説明

静電霧化装置

【課題】構造を簡略化して製造コストを低減でき、小型化することが可能となり、また、帯電微粒子水を遠くまで飛ばすことが可能となる。
【解決手段】放電極2と、この放電極2に水を供給する水供給手段3と、放電極2に供給された水を静電霧化するために強電界を発生させるための高電圧印加手段と、放電極2で発生する帯電微粒子水を送風に乗せて放出するための送風部9と、空気取入れ口11と帯電微粒子水放出口12を有するカバー10が回路基板5に保持される。回路基板5に保持されたカバー10は、放電極2、前記水供給手段3を覆う。カバー10に設けた空気取入れ口11は、送風部9に対向している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、静電霧化装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、放電極と、この放電極に水を供給する熱交換手段と、前記放電極に供給された水を静電霧化するために強電界を発生させるための高電圧印加手段と、熱交換手段の放熱部を冷却するための送風部を備える静電霧化装置が知られている。
【0003】
この特許文献1は、放電極と、この放電極に水供給手段であるペルチェユニットが一つのブロック化された電気部品の霧化ブロック、高電圧印加手段を構成する電気部品のブロック、送風部を構成する電気部品のブロック等がそれぞれ別体に構成されている。
【0004】
そして、この別体に構成された霧化ブロック、高電圧印加手段を構成するブロックは、送風部を構成するブロックはそれぞれケース内に別々に組込まれ、それぞれをハーネスなどで接続することで静電霧化装置が構成されている。
【0005】
また、特許文献1に示された従来例は、ケースに帯電微粒子を放出する帯電微粒子水放出口と、熱交換手段の放熱部を冷した空気を排気する排気口とが別々が設けられている。
【0006】
そして、送風部で発生した風量の大部分は熱交換手段の放熱部を冷して排気口から外部に排出され、ごく一部の空気が霧化ブロックの静電霧化空間に流れ、この空気に乗って帯電微粒子水が帯電微粒子水放出口から外部に放出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−117971号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
前記従来例は、別体に構成された霧化ブロック、高電圧印加手段を構成するブロック、送風部を構成するブロック等は、それぞれケース内に別々に組込み固定する必要があり、組込みが複雑で、製造コストを低くし難いという問題がある。
【0009】
また、別体に構成された霧化ブロック、高電圧印加手段を構成するブロック、送風部を構成するブロック等をケース内に別々に組込むため、これらのブロックを備えた静電霧化装置が大型化するという問題がある。
【0010】
前記従来例は、帯電微粒子水を乗せて外部に放出する空気の風量が送風部で発生する風量のうちのごく一部でしかないので、帯電微粒子水を帯電微粒子水放出口から遠くまで飛ばし難いという問題がある。
【0011】
本発明は、上記の従来の問題点に鑑みて発明したもので、構造を簡略化して製造コストを低減でき、小型化することが可能となり、また、帯電微粒子水を遠くまで飛ばすことが可能となる静電霧化装置を提供するにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の静電霧化装置は、放電極と、この放電極に水を供給する水供給手段と、前記放電極の周りに強電界を発生させるための高電圧印加手段と、前記放電極で発生する帯電微粒子水を送風に乗せて放出するための送風部と、空気取入れ口と帯電微粒子水放出口を有するカバーが回路基板に保持され、前記回路基板に保持された前記カバーは、前記放電極、前記水供給手段を覆うか、又は、前記放電極、前記水供給手段、前記送風部を覆い、前記カバーに設けた空気取入れ口は、前記送風部に対向していることを特徴とする。
【0013】
また、前記水供給手段が、前記放電極を冷却してこの放電極部分に空気中の水分を基に静電霧化するための結露水を生成する熱交換手段により構成され、この熱交換手段への通電と熱を放熱する機能を有する放熱用通電部を備えることが好ましい。
【0014】
また、前記カバーが前記回路基板に保持されることで、カバーと回路基板で、前記放電極、前記水供給手段が内部に配置された、又は、前記放電極、前記水供給手段、前記送風部が内部に配置された前記空気取入れ口と帯電微粒子水放出口を除いて略密閉された空間を形成することが好ましい。
【0015】
また、前記空気取入れ口と前記帯電微粒子水放出口を結ぶ線上に前記放電極が位置していることが好ましい。
【0016】
また、前記空気取入れ口は、対向する前記送風部の送風口又は吸気口と略同じ大きさに設定してあることが好ましい。
【発明の効果】
【0017】
本発明は、放電極、水供給手段、高電圧印加手段、送風部、カバーが回路基板に保持されるので、構造簡略化して製造コストを低減でき、小型化することが可能となる。またカバーで放電極、水供給手段を覆うか、又は、放電極、水供給手段、送風部を覆い、カバーに設けた空気取入れ口が、送風部に対向していることで、カバーに設けた帯電微粒子水放出口から帯電微粒子水を遠くまで飛ばすことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の静電霧化装置の一実施形態を示し、(a)は上方から見た斜視図であり、(b)は下方から見た斜視図である。
【図2】(a)は同上の平面図であり、(b)は側面図であり、(c)は正面図である。
【図3】同上の図2(a)のA−A線断面図である。
【図4】同上の図2(a)のB−B線断面図である。
【図5】同上に用いる回路基板の平面図である。
【図6】同上に用いる静電霧化発生部を示し、(a)は斜視図であり、(b)は正面図であり、(c)は(b)のC−C線断面図である。
【図7】同上の回路基板に静電霧化発生部を保持した状態の斜視図である。
【図8】同上の回路基板に静電霧化発生部を保持した状態を示し、(a)は平面図であり、(b)は側面図であり、(c)は正面図である。
【図9】同上の断面図である。
【図10】同上の他の実施形態の回路基板に静電霧化部を保持した状態を示す斜視図である。
【図11】同上の他の実施形態の回路基板に静電霧化発生部を保持した状態を示し、(a)は平面図であり、(b)は側面図であり、(c)は正面図である。
【図12】同上の他の実施形態に用いる回路基板の平面図である。
【図13】同上の更に他の実施形態の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を添付図面に示す実施形態に基づいて説明する。
【0020】
図1乃至図9には一実施形態を示している。
【0021】
静電霧化装置1は、放電極2と、水供給手段3と、高電圧印加手段4と、送風部9と、を備え、更に、水供給手段3、高電圧印加手段4、送風部9に通電するための回路を備えた回路基板5と、カバー10を備えている。
【0022】
水供給手段3は放電極2に水を供給するためのもので、実施形態においては、放電極2を冷却してこの放電極2部分に空気中の水分を基に静電霧化するための結露水を生成する熱交換手段6により構成されている。
【0023】
放電極2と水供給手段3である熱交換手段6は霧化ケーシング15に組み込んであって、図6に示される一つのブロック化された静電霧化発生部8を構成している。
【0024】
霧化ケーシング15は合成樹脂により構成され、図6の実施形態では、対向電極14を備えている例を示している。
【0025】
対向電極14は環状に形成されていて、図6(c)に示すように環状の中心が放電極2の軸芯の延長線上に位置している。
【0026】
熱交換手段6は、複数の熱電素子16を備えている。図6(c)においては、熱電素子16としてはP型のペルチェ素子とN型のペルチェ素子が用いられる。そしてP型のペルチェ素子の端部と、N型のペルチェ素子の端部が、平板状の導電材よりなる連結部17の裏面に固着してあり、ペルチェ素子の連結部17側の端部が冷却側となり、ペルチェ素子の連結部17と反対側の端部が放熱側となる。
【0027】
連結部17の表面側には先端が尖った放電極2が突設してあり、熱交換手段6の冷却側が冷却されることで放電極2が冷却される。
【0028】
P型とN型で対をなす熱電素子16の放熱側の端部には、それぞれ通電と熱を放熱する放熱用通電部7が接合してあり、図6に示すように放熱用通電部7が霧化ケーシング15の外側に突出している。
【0029】
放熱用通電部7は、放熱の機能と、熱電素子16への通電の機能を備えている。
【0030】
図6に示す実施形態においては、放熱用通電部7が霧化ケーシング15の側面からL状に突設されており、これにより側面からの側方への突出長をできるだけ短くしながら放熱面積を広く確保できるようにしている。この放熱用通電部7の先端部は接続用端子部45となっている。
【0031】
霧化ケーシング15の放熱用通電部7を突設した両側面には図6(a)のように係止部19と、位置ずれ防止部20とを設けている。
【0032】
霧化ケーシング15は、対向電極14が位置する側の端部が開口し、また、上面に空気流入用開口25を設け、下面に排水用開口26を設けている。ここで、L状をした放熱用通電部7の先端部側を下、放熱用通電部7の突出基部側を上と定義して、霧化ケーシング15の下面、上面を規定している。
【0033】
図7、図8に示すように、放電極2、熱交換手段6を備えた静電霧化発生部8と、高電圧印加手段4は、同じ回路基板5に保持される。この回路基板5には、更に、水供給手段3である熱交換手段6に電源を供給するための熱交換手段電源供給部13、送風部9も保持される。
【0034】
また、回路基板5には電源入力部46が実装され、この電源入力部46には外部から電源を入力するためのコネクター48を有する電源線47が接続される。回路基板5に実装された電源入力部46は、回路基板5に形成した回路を通して回路基板5に保持する高電圧印加手段4、熱交換手段電源供給部13、送風部9等と電気的に接続される。
【0035】
回路基板5は図5に示すように、一端部に略コ字状をした切欠き部18が形成されており、この切欠き部18の両側縁には係止縁部21と、嵌め込み凹部22を備えている。
【0036】
また、回路基板5は図5に示すように、両側縁に係止凹み34と、嵌め込み凹み35を備えている。
【0037】
また、回路基板5は、放熱用通電部7の接続用端子部45を実装するための実装用孔23を有している。この実装用孔23の内周面には図示を省略しているが回路基板5に設けた熱交換用通電回路が露出している。この熱交換用通電回路は回路基板5に保持される(実施形態では実装される)熱交換手段電源供給部13を構成する電気部品に電気的に接続される。
【0038】
静電霧化発生部8は、回路基板5の実装用孔23に接続用端子部45を嵌め込み、熱交換用通電回路と電気的に接続した状態で半田付けなどの固着手段により回路基板5に接続され、これにより静電霧化発生部8が回路基板5に対し実装される。
【0039】
このように静電霧化発生部8は回路基板5に保持される。
【0040】
この場合、更に、静電霧化発生部8の一部(下部)が回路基板5の切欠き部18に嵌め込まれ、係止部19が係止縁部21に係止され(図9参照)、位置ずれ防止部20が嵌め込み凹部22に嵌め込まれる。
【0041】
係止部19が係止縁部21に係止されることで、静電霧化発生部8が回路基板5の面と直交する方向(上下方向)に外れるのを防止するようになっている。
【0042】
また、両側の位置ずれ防止部20が両側の嵌め込み凹部22に嵌め込まれることで、静電霧化発生部8が回路基板5の面と平行な方向(前後、左右方向)に位置ずれするのを防止するようになっている。
【0043】
本実施形態は、静電霧化発生部8の回路基板5への保持が、実装用孔23に接続用端子部45を嵌め込んで実装する保持に加え、係止部19と係止縁部21の係止及び位置ずれ防止部20と嵌め込み凹部22の嵌め込みによる保持がなされ、保持がより強固となる。
【0044】
回路基板5には高電圧印加手段4が保持されている。添付図面に示す実施形態では高電圧印加手段4を構成する電気部品が回路基板5に実装される。
【0045】
高電圧印加手段4と静電霧化発生部8の対向電極14は図7、図8に示すようにハーネス28により電気的に接続される。
【0046】
回路基板5には放熱用通電部7を冷却するための送風部9が保持される(図1乃至図4参照)。添付図面の実施形態では送風部9を構成するファンユニットが回路基板5に実装され、送風部9の端子29が、回路基板5に設けた送風部通電回路に電気的に接続される。
【0047】
送風部9は、図3に示すように、ファン36、送風口37、吸気口38を備えている。
【0048】
更に送風部9はフック30を有していて、フック30を回路基板5に設けた孔27に係止することで、送風部9の回路基板5への保持力を向上させている。
【0049】
回路基板5には合成樹脂製の電気的絶縁性を有するカバー10が保持される(図1乃至図4参照)。回路基板5に保持されたカバー10は、放電極2と熱交換手段6を備えた静電霧化発生部8を覆うか、又は、放電極2と熱交換手段6を備えた静電霧化発生部8と送風部9を覆う。
【0050】
図1乃至図4は、カバー10は、放電極2と熱交換手段6を備えた静電霧化発生部8を覆う実施形態を示している。
【0051】
カバー10は、後端面に空気取入れ口11が開口しており、前端面に内側が帯電微粒子水放出口12となった筒部が突出している。
【0052】
カバー10の下面は開口しており、カバー10の前面が下方に突出していて、この下面の下端中央部から後方に下カバー部31を突出している。
【0053】
カバー10には下面開口の両側に係止爪32と、位置ずれ防止突部33を設けている。
【0054】
係止爪32が係止凹み34に係止され、位置ずれ防止突部33が嵌め込み凹み35に嵌め込まれることで、カバー10が回路基板5に取付けられる(図1参照)。
【0055】
係止爪32が係止凹み34に係止されることで、カバー10が回路基板5の面と直交する方向(上下方向)に外れるのを防止するようになっている。
【0056】
また、両側の位置ずれ防止突部33が両側の嵌め込み凹み35に嵌め込まれることで、カバー10が回路基板5の面と平行な方向(前後、左右方向)に位置ずれするのを防止する。
【0057】
下カバー部31は、静電霧化発生部8の下部の回路基板5の切欠き部18に嵌め込まれて下方に突出した部分を覆う(図1(b)、図2(b)、図3、図4参照)。
【0058】
このようにしてカバー10を回路基板5に取付けて保持させることで、カバー10と回路基板5で囲まれた空間39が空気取入れ口11と帯電微粒子水放出口12を除いて略密閉され、静電霧化発生部8はこの空間39内に配置される。
【0059】
図3に示すように、カバー10の後面が送風部9の前面に当接状態で対向しており、空気取入れ口11が送風部9の送風口37と対向している。
【0060】
空気取入れ口11と帯電微粒子水放出口12を結ぶ線上に放電極2が位置しており、また、空気取入れ口11は、対向する送風部9の送風口37と略同じ大きさに設定してある。
【0061】
前記構成の静電霧化装置1は、熱交換手段電源供給部13から熱電素子16に対し通電すると、各熱電素子16内において同一方向への熱の移動が生じ、熱電素子16の冷却部側が冷却されて放電極2が冷却され、放熱側が高温となって放熱用通電部7が高温となる。
【0062】
放電極2が冷却されると放電極2の周囲の空気が冷却され、空気中の水分が結露等により液化されて放電極2の先端部に結露水が生成される。
【0063】
上記のようにして放電極2を冷却して放電極2の先端部に結露水が保持された状態で、高電圧印加手段4により高電圧を印加して、放電極2の周りに強電界を発生させる。これにより放電極2の先端部に保持されている水がマイナス又はプラスに帯電し、帯電した水にクーロン力が働き、該水の液面が局所的に円錐形状に盛り上がってテイラーコーンが形成される。すると、円錐形状となった水の先端に電荷が集中して電荷の密度が高密度となり、高密度の電荷の反発力ではじけるようにして水が分裂・飛散(レーリー分裂)して静電霧化を行い、ラジカルを有するナノメータサイズの帯電微粒子水を発生させる。
【0064】
一方、放熱用通電部7から熱が放電される。
【0065】
ここで、熱交換手段電源供給部13から熱電素子16への通電と同時に送風部9に通電され、送風部9が運転され、空気流が、空気取入れ口11から、カバー10と回路基板5で囲まれた静電霧化発生部8が配置された空間39内に送り込まれる。
【0066】
空間39内に流入した空気流は、霧化ケーシング15とカバー10側面及び上面との間の隙間を流れ、放熱用通電部7に当って、放熱用通電部7を冷却して放熱を促進させ、帯電微粒子水放出口12から前方に流出する。
【0067】
ここで、霧化ケーシング15とカバー10側面及び上面との間の隙間の面積を、空気流入用開口25の開口面積よりも大きく設定している。このため、送風部9からの空気は霧化ケーシング15内に流れ込むことが少なく、主として霧化ケーシング15とカバー10側面及び上面との間の隙間を流れて効果的に放熱用通電部7を冷却することが可能となる。
【0068】
一方、霧化ケーシング15内で静電霧化により生成された帯電微粒子水は静電霧化時に発生するイオン風、及び、空気流入用開口25から霧化ケーシング15内に流れ込む少量の空気の流れにより、霧化ケーシング15の前面開口の外に運ばれる。霧化ケーシング15の前面開口の外に運ばれた帯電微粒子水は霧化ケーシング15とカバー10側面及び上面との間の隙間を通過した空気流と合流して、帯電微粒子水放出口12から前方に放出される。これにより、帯電微粒子水を遠くまで飛ばすことが可能となる。
【0069】
空気流入用開口25から霧化ケーシング15内に流れ込む空気の風量は、放電極2を冷却して空気中の水分を結露水として生成することの妨げとならないような風量となるようにする。これにより、結露時間を短く且つ安定して結露水を生成することが可能となる。
【0070】
前記構成の静電霧化装置1は、放電極2と水供給手段3を備えた静電霧化発生部8、高電圧印加手段4、熱交換手段電源供給部13、送風部9、カバー10等を回路基板5に保持して一つのユニットとして構成してあるので、構成が簡略化され、小型化が可能となる。
【0071】
しかも、水供給手段3を熱交換手段6で構成し、熱交換手段6への通電と熱を放熱する機能を有する放熱用通電部7を備えるので、熱交換手段6への通電と放熱を別部材で構成する必要がなく、構成が簡略化し、この点でも静電霧化装置1の小型化が可能となる。
【0072】
また、実施形態では水供給手段3である熱交換手段6の放熱用通電部7を回路基板5に実装しているので、熱交換手段6に通電するためのハーネスを必要としないので、構成が簡略化され、且つ、組立が簡略化される。
【0073】
また、回路基板5に保持されたカバー10は、静電霧化発生部8を覆っているので、高電圧部分に誤って指や他の物が触れたりするのが抑制される。
【0074】
空気取入れ口11が送風部9に対向しているので、送風部9から送られる空気が効率よくカバー10と回路基板5とで囲まれた静電霧化発生部8を配置した空間39内に送風される。
【0075】
この静電霧化発生部8に配置された空間39は、空気取入れ口11と帯電微粒子水放出口12を除いて略密閉されているので、送風部9から送られる加圧された空気が漏れによる圧力損失を抑制し、帯電微粒子水放出口12にたどり着き、外部空間に放出される。これにより、遠くまで帯電微粒子水を飛ばすことが可能となる。
【0076】
また、前記空気取入れ口11は、対向する送風部9の送風口37と略同じ大きさに設定してあるので、送風部9から送られる空気がすべて空間39内に送り込まれ、送風部9とカバー10との間の隙間から逆流して空気が流れるのが防がれる。したがって、送風部9の圧力を減少させることなく、帯電微粒子水放出口12へ流れることとなる。
【0077】
ところで、前記構成の静電霧化装置1は使用に当って、静電霧化発生部8の霧化ケーシング15の下面の排水用開口26が下となるように静電霧化装置1を組み込む外郭ケースや各種機器に設置される。
【0078】
これにより、放電極2を冷却して結露水として生成した際、余剰の結露水が放電極2から滴下すると、排水用開口26から下方に流れ、排水用開口26から下方に流れた水が下カバー部31で受けられる。
【0079】
したがって、余剰の結露水が下方に滴下しても、回路基板5上に流れることがなく、結露水による回路基板5へのトラブルが抑制される。
【0080】
また、下カバー部31に受けられた水は自然蒸発し、下カバー部31を超えて流れないように構成している。下カバー部31は電気絶縁性を有する合成樹脂製であり、外郭ケースや機器の静電霧化装置1の取付け部分が金属製であったとしても、滴下した結露水と金属部分との間にした下カバー部31が介在して電気的絶縁が確保される。
【0081】
次に、他の実施形態を図10乃至図12に基づいて説明する。
【0082】
本実施形態は、対向電極14と高電圧印加手段4との電気的接続の構成が、前述の高電圧印加手段4と静電霧化発生部8の対向電極14をハーネス28により電気的に接続した構成と異なる。そして、この対向電極14と高電圧印加手段4との電気的接続の構成以外は前述の実施形態と同様なので、以下の説明では重複する説明は省略して、異なる点のみを説明する。
【0083】
本実施形態は、図10、図11のように静電霧化発生部8に設けた対向電極14に端子40が連出される。
【0084】
また、回路基板5には、高電圧印加用回路が形成され、更に、図12に示すように、回路基板5に対向電極14から端子40を実装するための実装用孔41が形成される。この実装用孔41の内周面には図示を省略しているが回路基板5に形成した高電圧印加用回路が露出する。高電圧印加用回路は回路基板5に保持される(実施形態では実装される)高電圧印加手段4を構成する電気部品に電気的に接続される。
【0085】
対向電極14から連出した端子40は、回路基板5の実装用孔41に嵌め込み、高電圧印加用回路と電気的に接続した状態で半田付けなどの固着手段により回路基板5に接続され、これにより対向電極14から連出した端子40が回路基板5に対し実装される。
【0086】
このように、静電霧化発生部8に設けた対向電極14の端子40を回路基板5に実装するので、前述の実施形態のような高電圧印加手段4と静電霧化発生部8の対向電極14を接続するハーネス28を必要とせず、構成の簡略化が可能で、組立が容易となる。
【0087】
また、静電霧化発生部8に設けた対向電極14の端子40を回路基板5に実装するので、端子40部分でも機械的に接続される。
【0088】
したがって、本実施形態の静電霧化発生部8は、回路基板5に対して、放熱用通電部7の先端部は接続用端子部45の実装による保持、対向電極14の端子40の実装による保持に加え、係止部19と係止縁部21の係止及び位置ずれ防止部20と嵌め込み凹部22の嵌め込みによる保持がなされ、保持がより強固となる。
【0089】
前述の各実施形態は、いずれも、カバー10で放電極2と水供給手段3を備えた静電霧化発生部8を覆い、送風部9は覆っていないが、図13のように、カバー10で放電極2と水供給手段3を備えた静電霧化発生部8と、送風部9を覆ってもよい。
【0090】
この場合、カバー10に設けた空気取入れ口11は、送風部9の吸気口38に対向する。また、空気取入れ口11は、吸気口38と略同じ大きさに設定する。これにより、圧力損失を減らし、送風部9を運転して空気取入れ口11から空気を吸い込んで効率よくカバー10と回路基板5とで囲まれた静電霧化発生部8を配置した空間39内に送風し、放熱用通電部7を冷却することができる。
【0091】
なお、前記各実施形態においては、対向電極14側に高電圧印加手段4からの高電圧を印加する例を示したが、放電極2側に高電圧印加手段4から高電圧を印加するようにしてもよい。
【0092】
また、前記各実施形態においては、放電極2と水供給手段3である熱交換手段6を霧化ケーシング15に組み込んで一つのブロック化された静電霧化発生部8を構成し、この静電霧化発生部8を回路基板5に保持した例を示したが、放電極2のブロックと、水供給手段3のブロックを別体に形成し、放電極2のブロックと、水供給手段3のブロックをそれぞれ回路基板5に保持してもよい。
【符号の説明】
【0093】
1 静電霧化装置
2 放電極
3 水供給手段
4 高電圧印加手段
5 回路基板
6 熱交換手段
7 放熱用通電部
9 送風部
10 カバー
11 空気取入れ口
12 帯電微粒子水放出口



【特許請求の範囲】
【請求項1】
放電極と、この放電極に水を供給する水供給手段と、前記放電極に供給された水を静電霧化するために強電界を発生させるための高電圧印加手段と、前記放電極で発生する帯電微粒子水を送風に乗せて放出するための送風部と、空気取入れ口と帯電微粒子水放出口を有するカバーが回路基板に保持され、
前記回路基板に保持された前記カバーは、前記放電極、前記水供給手段を覆うか、又は、前記放電極、前記水供給手段、前記送風部を覆い、
前記カバーに設けた空気取入れ口は、前記送風部に対向していることを特徴とする静電霧化装置。
【請求項2】
前記水供給手段が、前記放電極を冷却してこの放電極部分に空気中の水分を基に静電霧化するための結露水を生成する熱交換手段により構成され、この熱交換手段への通電と熱を放熱する機能を有する放熱用通電部を備えることを特徴とする請求項1記載の静電霧化装置。
【請求項3】
前記カバーが前記回路基板に保持されることで、カバーと回路基板で、前記放電極、前記水供給手段が内部に配置された、又は、前記放電極、前記水供給手段、前記送風部が内部に配置された前記空気取入れ口と帯電微粒子水放出口を除いて略密閉された空間を形成することを特徴とする請求項1又は請求項2記載の静電霧化装置。
【請求項4】
前記空気取入れ口と前記帯電微粒子水放出口を結ぶ線上に前記放電極が位置していることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の静電霧化装置。
【請求項5】
前記空気取入れ口は、対向する前記送風部の送風口又は吸気口と略同じ大きさに設定してあること特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の静電霧化装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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