説明

非合成低タンパク質ゴムラテックス製品および試験方法

本発明は、バラゴムノキラテックス製品に対する米国材料試験協会より公表されている基準に適合する、非バラゴムノキ、非合成、低アレルゲン性、かつ低タンパク質のラテックス製品と、バラゴムノキおよび合成ラテックス製品に対する代替性および優位性を含む該製品の定性的および定量的性質を判定するための新しい方法および基準とを開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ここに記載する本発明は、植物材料に由来する天然ラテックス製品に関する。より詳細には、本発明は、合衆国南西部およびメキシコ原産のグアユール植物(Parthenium argentatum)を含む砂漠植物からなる、非バラゴムノキ(バラゴムノキ)、非合成、低タンパク質、かつ低アレルゲン性のラテックス製品、および医療機器、産業用途における使用、および消費者製品に対する、バラゴムノキおよび合成ラテックス製品との定量的および定性的代替性または優位性を判定するための当該製品の特性試験方法に関する。
【背景技術】
【0002】
植物バラゴムノキ(Hevea brasiliensis)に由来する天然ゴムは、コーティング、フィルムおよび梱包などにおける多くの工業製品の主成分である。天然ゴムは、医療機器および消費財にも広く用いられている。より詳細には、ラテックスは、手袋、カテーテル、臨床検査機器、アッセイ、使い捨て可能キット、薬物容器、注射器、バルブ、シール、ポート、プランジャ、鉗子、ドロッパ、ストッパ、包帯、包帯剤、試験シート、包装材、カバー材、チップ、シールド、および内部機器用シース、溶液バッグ、バルーン、温度計、スパチュラ、チューブ類、結合剤、輸血および保存システム、針カバー、止血帯、テープ、マスク、聴診器、医療用接着剤、およびラテックス創傷ケア製品を含む医療製品において用いられている。
【0003】
処置後の患者に対する天然ゴムの用途としては、圧迫帯、ひも、ストラップ、インフレーションシステム、ギブス、スプリント、頸部カラー、および他の支持機器、ならびに車椅子および松葉杖上のベルト、クロージング、およびパッド類が挙げられる。天然ゴムは、いくつかの例を挙げてみると、おしゃぶり、ゴムバンド、接着剤、コンドーム、使い捨ておむつ、画材、玩具、ほ乳瓶、チューインガム、および電子機器などの多くの他の一般的な家庭用品にも用いられている。
【0004】
しかしながら、天然ゴムを広く使用することには、いくつかの理由で問題がある。まず第一に、バラゴムノキ由来の天然ゴムの大半は、インドネシア、マレーシアおよびタイにおける限られた数の品種から、大きな労働力を要する収穫方法を用いて栽培されている。バラゴムノキから作られたゴムおよび製品は、米国を含む世界の他の地域に輸入するには費用がかかり、サプライチェーンによって材料の入手可能性が限定されることもある。さらに、限定された栽培地域およびこれらの作物の遺伝的類似性のために、植物枯れ、病気、または天災によって、短時間のうちに世界中の生産の大部分が壊滅される潜在性をはらんでいる。
【0005】
第二に、特に医療および患者治療分野においては、推定二千万人のアメリカ人が東南アジアバラゴムノキ由来の天然ゴム作物中に見られるタンパク質に対するアレルギーを有している。他の多くの植物と同様に、バラゴムノキは構造支持のために、また環境条件に応答しての防御関連目的のために、タンパク質を産生する。しかしながら、I型ラテックスアレルギーには、少なくとも62のバラゴムノキ抗原が関与していることが知られており、これらのバラゴムノキ由来のラテックスタンパク質のうち、ゴム生合成に用いられるHevb1およびHevb3、防御関連タンパク質Hevb2,Hevb4,Hevb6.01,Hevb6.02,Hevb6.03,Hevb7.01,Hevb7.02,Hevb11,およびHevb12、ならびにHevb5,Hevb8,Hevb9およびHevb10などの他のタンパク質を含む、十数個以上が一般的なヒトアレルゲンである。
【0006】
ラテックスアレルギー患者が上記のタンパク質にさらされることが免疫グロブリンE(“IgE”)抗体産生の引き金となり、バラゴムノキに対するアレルギー反応が開始する。IgE抗体は、アレルギーの重篤性に応じて様々な反応を引き起こす。典型的には、ラテックスアレルギーは皮膚炎症に限られているが、患者によっては重篤な反応や死さえ起こりうる。さらに、上記のタンパク質の構造は、バラゴムノキだけでなく、多くの植物において進化上保存されており、バラゴムノキアレルギー患者は他の植物における同様のタンパク質の影響も受けやすい(交差反応性)。また、ラテックスアレルギー患者における免疫グロブリンE抗体産生のための共通エピトープ(タンパク質上の抗原性部位)として機能するアレルゲン性タンパク質が存在するために、バラゴムノキの人による栽培がうっかりと選択されがちであり、このことが当該タンパク質の効果的な除去を非常に難しくしている。
【0007】
一般的に、ラテックス製品の潜在的アレルゲン性は、既知のIgE抗原性タンパク質の全タンパク質レベルを測定し、特定の植物種における既知のIgE抗原性タンパク質に対する交差反応性を決定することによって判定される。既知のIgE抗原性タンパク質の量が少ない製品は、ラテックスアレルギーを持つ人において免疫グロブリンE抗体産生を誘発しにくい。したがって、既知のIgE抗原性タンパク質の数と濃度の低い製品では、アレルゲン性は実質的に低くなっている。
【0008】
さらに、ラテックス中に存在するタンパク質が多いほど、これらのタンパク質のうちの1つまたはそれ以上にさらされたヒトが感作されて、それに対するアレルギーを発症する可能性が大きくなる。したがって、ラテックス製品中のタンパク質、特に共通のヒトアレルゲンであるタンパク質の含量を低減することは、アレルギー反応の全体数を減らす第一段階である。
【0009】
特定のタンパク質感受性は、ラテックスアレルギー患者の間でも様々であることから、アレルギー反応の全リスクを低減するためには、全タンパク質濃度を低くすることが望ましい。タンパク質濃度の低い製品は全体として、アレルギー反応を起こしにくく、タンパク質濃度の高い製品に比べて実質的にアレルゲン性が低い。バラゴムノキラテックス製品は、上述のアレルゲン性タンパク質を含む典型的にはラテックスの乾燥重量1グラムあたり9,000μgを超える全タンパク質を含むラテックスからなり、乾燥重量1グラムあたりの全タンパク質量が多くなればなるほど、アレルギー反応は起こりやすくなる。
【0010】
また、バラゴムノキアレルギー患者と交差反応性をもつことが知られる非バラゴムノキ植物も多数存在する。これらの植物は、同様のタイプの構造的支持と防御関連植物タンパク質を含み、ヒトにおいて同様にアレルギー反応を与えうる。この種の植物は、バラゴムノキに代わる低アレルギー性の天然ゴムに対する供給源になる可能性はさらに低い。
【0011】
全体的にみて、米国人口におけるラテックスアレルギーの広範な広がりは、特に医療分野において費用的な犠牲が大きい。医療処置中の不要なアレルギー反応を回避するためには、提供者は、確実にラテックスアレルギー患者には代替ラテックス製品しか接触しないようにする必要がある。さらに、自身がラテックスアレルギーを有する実務者は、確実に自身が天然ラテックスをベースとした製品と接触しないようにする必要がある。最後に、合成ゴム代替品は、はるかに高額であることも多く、非バラゴムノキラテックスの形態では入手不可能である。したがって、定性的にも定量的にも、既存のバラゴムノキまたは合成ラテックス製品に代わるものとして、またはそれより優れた非合成の低タンパク質天然ゴムラテックス製品が必要とされている。
【0012】
一般的に、工業的または医療的用途のための抽出ラテックスが、米国材料試験協会(A
merican Society for Testing Materials(“ASTM”))を含む様々な取締機関の基準仕様との適合性について調べられている。各型のラテックス製品には、ASTMの「型」が与えられている。たとえば、I型には、アンモニアのみまたはホルムアルデヒドによって保存した遠心分離バラゴムノキラテックスが含まれる。II型ラテックスは、アンモニアのみまたはホルムアルデヒドに続いてアンモニアによってクリーミングして保存したバラゴムノキラテックスであり、III型は、低アンモニアまたは他の保存料で保存した遠心分離バラゴムノキラテックスである。I,IIおよびIII型ラテックス製品は、それぞれ、I,IIまたはIIIASTMD1076−02基準に従って試験される。表1を参照のこと。
【0013】
【表1】

【0014】
ASTMD1076−02基準は、表1に示すようにI,IIおよびIII型のラテックス製品に対して、多数の物理的または化学的特性を挙げた基準表を提供する。これらの各特性とともに、ラテックス製品が当該型の要件に適合するために許容される基準最小または最大量を示すための、基準数値または基準記述値が示されている。基準記述値は、基準数値による測定が困難であるか不可能である場合の定量方法(たとえば、「なし」、「あり」は記述値)を提供する。各特性は、ASTMD1076−02基準において要求される標準方法に従って測定され、実験結果に基づいた検出数値または検出記述値で与えられる。これらの検出記述値または検出数値は次に、各特性に対する基準数値および基準記述値と比較される。すべての特性のアッセイ後に、ASTMD1076−02基準との適合性を判定することができる。すべての特性が基準記述値または基準数値を満たせば、そのラテックスはASTMD1076−02基準に適合することになる。
【0015】
しかしながら、これらの基準に適合しうる合成またはバラゴムノキラテックス製品でも、医療製品および医療機器産業において使用する場合にはやっかいな問題を有している。上記で詳細に考察したように、バラゴムノキラテックスは、感作とアレルギー反応を引き起こす。これら最終用途の多くにおいて、バラゴムノキラテックスをさらに合成ポリマーで代用することでは不十分であるが、これは、そうした合成ポリマーが必要どおりに機能しないことが多いためである。
【0016】
このように、ASTMD1076−02基準は、バラゴムノキラテックスにだけ向けられたものであるため、非バラゴムノキ天然ラテックスの物理的または化学的特性を判定するには不十分である。したがって、医療、工業および消費者製品および用途において用いる非バラゴムノキ天然ゴムラテックス代替物の代替可能性および優越性を定量的および定性的に評価するために用いることのできる、より高品質で低タンパク質、低アレルゲン性、かつ低交差反応性の家庭用天然ゴム供給源の化学的または物理的特性を判定する方法および基準が必要とされている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本開示は、米国材料試験協会(American Society for Testing Materials(“ASTM”))I型、II型またはIII型ラテックス製品に対する仕様に適合する非バラゴムノキ、非合成、かつ低タンパク質のラテックス製品に向けられている。本開示は、さらに、既存のバラゴムノキおよび合成ラテックス製品に対する非バラゴムノキ天然ラテックス製品の代替可能性を評価するとともに、開示の非バラゴムノキ,非合成、低タンパク質かつ低アレルゲン性のラテックス製品の優位性および有利性を実証するために、非バラゴムノキ天然ラテックス製品の特性を判定する方法を提供する。開示の方法は、非バラゴムノキ天然ゴムラテックスに対する新しい基準(呼び方を簡単にするために、本明細書中では「グアユール基準」と呼ぶ)を提供する。グアユール基準の概略は表2に示す。さらに、本明細書中に開示する製品は、下記の表2に示すような新しく開発され本願に開示するグアユール基準に従う非バラゴムノキ天然ゴム製品の化学的および物理的組成に対する基準に適合またはこの基準を超える製品である。
【0018】
【表2】

【0019】
非バラゴムノキ天然ゴム供給源としては、限定はされないが、たとえば、グアユール(
Parthenium argentatum)、ホルトソウ(Euphorbia lathyris)、マリオーラ(Parthenium incanum)、ラビットブラッシュ(Chrysothamnus nauseosus)、トウワタ(Asclepias種)、アキノキリンソウ(Solidago種)、ペールインディアンプランタン(Cacalia atripilcifolia)、ゴムブドウ(Crypstogeia grandiflora)、ロシアタンポポ(Taraxacum種およびScorzonera種)、マウンテンミント(Pycnanthemum incanum)、アメリカニガクサ(Teucreum canadense)およびトールベルフラワー(Campanula america)が挙げられる。これらの非バラゴムノキ天然ゴム供給源のすべてを、本開示の非合成、低タンパク質、かつ低アレルゲン性のラテックス製品における用途に対する適性を判定するための開示の方法によって評価することができる。
【0020】
とりわけ、米国南西部およびメキシコ北部が原産の砂漠植物であるグアユール(Parthenium argentatum)は、バラゴムノキラテックスと比較した場合に、本質的に同一または向上したラテックス品質の高分子のイソプレンを産生する。したがって、非バラゴムノキ天然ゴムラテックスおよびグアユールラテックスという言葉は、本開示においては互換的に用いる。さらに、加工されたグアユールラテックスは、バラゴムノキラテックスのアレルゲン特性に寄与するタンパク質を一切有しない。グアユールラテックス中の天然ゴムポリマーは、高分子量を有することから、この材料から作られる製品は、高機能用途において使用できる。
【0021】
その天然の状態において、グアユール植物の樹液中のタンパク質量は少なくはない。しかしながら、いくつかの加工段階によってグアユールから低タンパク質の天然ゴムラテックスを抽出することができる。低タンパク質グアユールラテックスは、グアユール植物の無傷の柔細胞から水性懸濁液中でゴム粒子を取り除くことによって生産される。植物は、アルカリ水性抽出媒体中での均質化処理までは水和状態のままである。1よりわずかに低い比重を有するゴム粒子は、一連の遠心分離段階および/またはクリーミング剤による浮選を用いてホモジネートから精製される。この処理により、細胞質性または可溶性タンパク質成分の残量が非常に少ない天然ゴムラテックスが得られる。
【0022】
さらに、所望の用途に応じて、物理的性質、貯蔵期間、または品質を改変するために、様々な安定剤および添加剤を用いてもよい。たとえば、硫黄を加えることにより、既存のラテックスポリマー鎖との間の硫黄架橋を作ることにより、材料の柔軟性または「弛緩」を変えることもできる。所望の用途によっては、他の化学物質または安定剤をグアユールラテックスに加えてもよい。全体として、精製グアユールラテックスは、長期間安定であることができ、医療用途の低アレルゲン性製品を含む広範な製品の製造に用いることができる。
【0023】
グアユールラテックスは、その低アレルゲン性の性質のために、医療製品市場における多くの潜在的用途を有している。その特性としては、(1)非常に少量のタンパク質、すなわちラテックス全体の乾燥重量グラム(g)あたり約200マイクログラム(μg)未満のタンパク質しか含まない;(2)いずれの既知のバラゴムノキIgE抗原性タンパク質も検出可能レベルで含まない;(3)残存する限られた量のタンパク質が疎水性であり、ゴム相に結合しており、ヒトの皮膚、組織への吸収または体液中への抽出の見込みを制限する、および(4)グアユールラテックス中に存在するタンパク質のいずれも、バラゴムノキラテックス(「I型」ラテックス)製品に対するラテックスアレルギーと交差反応しない。
【0024】
さらに、グアユールラテックスは、様々な理由により、長期間ラテックス感受性または
長時間にわたる広範なアレルギー反応を起こしにくい。歴史的には、I型ラテックスアレルギーを引き起こすことなく疾病伝播に対する防護を行うために、医療業界においては何十年ものあいだ、十分に浸出を行ったバラゴムノキラテックス製品が広範囲にわたり使用されており、これらの製品は、グアユールラテックス製品の45倍以上のはるかに多くのタンパク質を含んでいた。製品、特に可溶性タンパク質を多く含んだ浸出の不十分な製品のヒトへの曝露が増えるにつれ、人口のより多くの割合がアレルギーを発症し始める。これは可溶性ラテックスタンパク質を含まないグアユールでは起こりにくい。本明細書に開示するグアユールラテックス製品は、天然ゴム材料だけが持つ物理的利点を有しており、それから作られる医療製品は、合成高分子材料によっては達成することができなかったバラゴムノキ製品に対するASTMD3577−01a物理特性基準を達成するか、これを超える。これらの特性は、手術用手袋などの製品のフィット性や感触のみならず、ラテックスフィルムの強度や弾性を高めることから、製品の安全性にも関係する。
【0025】
第一に、本開示によるグアユールラテックス製品は、植物ホモジネートからゴム粒子を精製することによって生産されることから、非常に少ない可溶性タンパク質しか含まない。バラゴムノキラテックスの場合とは違い、グアユールラテックスは、精製しなければ使用できるようにならない。この製法は、水溶性植物色素のみならず、可溶性タンパク質を含む非ゴム植物成分を除去するものである。十分に精製されていないグアユールラテックスは、緑および茶色の着色剤を高濃度で含むことになる。これらの着色剤は、ラテックスの品質および可溶性タンパク質濃度に視覚的刺激を与える。着色したラテックスは、高機能ラテックスを与えるには不十分な低い品質のものとなり、可溶性タンパク質をより多く含むものとなる。
【0026】
第二に、本開示によれば、グアユールラテックス製品は、同じ乾燥重量において、バラゴムノキラテックスに比べて全タンパク質の含量が約90倍少ない。第三に、グアユールラテックス製品は、タンパク質を低減する浸出工程を必要とせず加工されるが、これは、グアユールラテックス製品が非常に低量の可溶性タンパク質しか含まないためである。残留タンパク質の大半が不溶性であるか疎水性であり、このことは、全タンパク質の50%以上が親水性または高い可溶性である浸出を行っていないか、浸出が不十分なバラゴムノキ製品で問題となるような、ヒトの皮膚中への製品の吸収がないことを意味する。この高い可溶性が、感作および結果として起こるアレルギー反応の誘発に対する主たる寄与因子なのである。
【0027】
比較すると、グアユールラテックス中に存在する可溶性タンパク質の量は、最もよく浸出を行ったバラゴムノキラテックス製品よりも、約45倍も低い。全体として、バラゴムノキラテックスを徹底的に洗浄した後にゴム粒子に結合したタンパク質のみが保持されていたとしても、バラゴムノキラテックスは、開示のグアユールラテックス製品中の約22倍以上の量の全タンパク質を含んでいる。全体として、臨床および機能試験から、グアユールの加工により、ヒト用途に対して安全な、安全かつ高機能の低アレルゲン性天然ゴムラテックスを提供することが示されている。
【0028】
本明細書に開示の製品は、バラゴムノキラテックスに対するASTMD1076−02基準の特性値に大体適合し、本明細書において開示され表2に示されるグアユール基準特性を満たすかこれを超える全純度および組成を有する天然の低アレルゲン性ラテックス製品である。さらに、開示のグアユールラテックス製品は、水中濃度が約30%から65%の範囲の乾ゴム含量(DRC)を有する。非バラゴムノキラテックスに対するグアユール基準特性値には、全アルカリ度、ラテックスの百分率としてのKOH、銅、マンガン、KOH数、全固形分、乾ゴム含量、粘度、スラッジ含量、凝塊含量、機械的安定性、密度、色、臭気、タンパク質含量、および揮発性脂肪酸が含まれる。
【0029】
少なくとも1つの実施形態において、開示の製品は、本願で開示のグアユール基準の要件のすべてに適合する。さらに、開示の製品は非常に低いアレルゲン性しか有さず、ラテックスアレルギーを持つヒトによる使用のためのものである。さらに、本製品は、ラテックスアレルギーを持たないヒトが製品中に存在するいくつかのタンパク質のいずれにも感作しにくく、したがって、何らかの新たなアレルギーを発症する可能性が低いという点で、アレルゲン感作の予防を行うものでもある。言い換えると、本製品は、標準検出方法を用いたアッセイに基づくと、いかなる検出可能なバラゴムノキ抗原性タンパク質も含まず、全体としてタンパク質濃度が低い。
【0030】
たとえば、これらの標準検出アッセイは、ASTMD6499基準プロトコルを用いた抗原性タンパク質の免疫学的測定、ASTMD6499基準プロトコルを用いたELISA阻害アッセイ、ASTMD5712基準プロトコルを用いた改変ローリーアッセイを用いた全タンパク質量、およびASTMD5712基準プロトコルを用いたバックグラウンド除去技術を含んでいてもよい。より詳細には、本願に開示のグアユール基準ラテックス要件に適合するには、製品の、水性洗剤抽出可能なタンパク質の分析によって測定されるラテックス乾燥重量1グラムあたりの全タンパク質が200マイクログラム(μg)未満であることが含まれる。開示の非バラゴムノキラテックスに対するグアユール基準は、可溶性タンパク質の検出可能濃度が低いと、I型ラテックスアレルギーを誘発するIgE抗体と交差反応する既知の抗原性タンパク質が存在しないことも含む。
【0031】
様々な実施形態において、製品は、様々な医療、消費者および工業製品において用いることができる。たとえば、一実施形態において、製品は、フィルム状に形成された非合成かつ低アレルゲン性の非バラゴムノキラテックス製品である。概して、ラテックスフィルムを形成するには、ラテックス材料の連続相(水性相)を特定の温度で蒸発させることによって、個々のラテックス粒子を合体させる必要がある。構造的には、蒸発の間に、荷電ポリマー鎖の末端基または界面活性剤が除去されるにつれ、離れたラテックス粒子を保持する静電的または立体的な力が克服される。得られるフィルムは、ポリマー格子によって形成され、蒸発条件に応じた様々な性質を有している。実施例1は、本願に開示のグアユール基準を満たす製品の一例であるフィルムを製造する1つの方法を提供する。
【0032】
実施例1.乾燥フィルム
空気を含まない乾燥した均質なフィルムを、グアユールなどの濃縮非バラゴムノキ格子から作製する。平坦なガラス板の上に幅6ミリメートル(mm)、厚さ1.5mmの合成プラスチック条片をセメントで固定化し、好ましくは125〜150mm四方のキャビティ面を形成することにより、鋳型を構築する。全固形分(TSC)が62%のラテックスで鋳型を満たした場合には、厚さ1mmの乾燥フィルムが得られ、TSCが48%のラテックスを用いた場合には約0.7mmのフィルムが得られる。次に、ASTMD1418およびD1566基準に準拠した標準技術に従って、非バラゴムノキフィルムとバラゴムノキラテックスフィルムを比較するための試験を行う。
【0033】
フィルム作製の一実施形態において、鋳型は、プラスチック条片をエポキシド樹脂接着剤またはメチルエチルケトン中に溶解したポリビニル酢酸でガラス板にセメント固定することによって形成される。木製またはステンレス鋼の直定規を用いて、鋳型中のラテックスの表面を気泡が無くなるようにこそげる。薄い透明なセルロースフィルムシートを用いて、乾燥ゴムフィルムを被覆し、保護する。
【0034】
TSCが約62%以下であれば、フィルムは希釈せずに作製される。TSCが62%を超える場合には、ラテックスは、蒸留水によって希釈することによってこの数値まで下げる。ラテックスは、試験管内でよく混合し、5分間放置する。その後、ラテックスを公称口径が0.180±0.009mm(0.0070±0.0004インチ)の180ml
ステンレス鋼ふるいを通して、50mlのガラスビーカーに注意深く漉し、覆いをして、5分間放置してから鋳型に流し込む。鋳型を、フィルムの乾燥を行わせる場所に配置する。ラテックスを鋳型に流し込む直前に、ビーカーから覆いを取り除き、ろ紙片を用いてラテックス表面に泡が無くなるようにこそげる。ビーカーを板の近くに維持し、ラテックスを連続流として鋳型に注ぎ込み、ラテックスが鋳型のキャビティ内に均等に分散し、鋳型を完全に満たすようにさせる。ラテックスを、鋳型内で1分間放置し、鋳型を横断するように透明の木製またはステンレス鋼直定規でこそげる。
【0035】
フィルム作製のこの実施形態において、鋳型は最初室温で乾燥させてから、次に35℃未満の温度の乾燥機中で乾燥させる。フィルムを歪みなく鋳型から取り除くのに十分なほどに乾燥したところで、フィルムの表面にできるだけ触れないように注意しながら、鋳型からフィルムを剥ぎ取り、ひっくり返して、薄い透明なセルロース系シート片上に置く。フィルムを35℃未満の温度でさらに24時間乾燥させ、別のセルロース系シートで覆う。フィルムの乾燥度は、フィルムが乾燥するにつれ増大する透明度によって判定する。目視診断による乾燥度について何らの疑いのある場合には、フィルムを乾燥雰囲気中、35℃未満の温度で一定質量まで乾燥させる。フィルムは、試験のために必要になるまで、水分の吸収を避けるために、気密容器またはデシケータ中で、冷暗所に保管する。
【0036】
別の実施形態において、本方法は、高い伸度特性を有した非バラゴムノキ、非合成、かつ低タンパク質のラテックス手袋の製造に向けられる。たとえば、本実施形態において、手袋は、装着者の手へのフィット性を譲歩することなく、サイズの数を限定して製造することを可能にする拡張性を有することになる。本実施例においては、手袋は、広範な手の型や大きさにフィットするように伸縮し、少数のサイズしか製造しなくてもよくなる。本実施形態の一例において、手袋のサイズ設定は、手の長さではなく手の容積サイズに基づいている。
【0037】
本発明の開示によるラテックス手袋製品には、実験用手袋と手術用手袋の両方が含まれる。手術用手袋は、実験用手袋とは多くの点で異なる。両者はデザイン的には類似しているが、最終用途に対する要件はかなり異なっている。実験用手袋が、多くを求めない常套的処置(包帯の交換、静脈穿刺、標本の取扱いなど)のために用いられるのに対し、手術用手袋は、何時間も続くこともある手術処置のために用いられる。したがって、手術用手袋は、快適性のために可撓性と柔らさを残しながらも、バリア性を維持するように耐久性のあるものでなければならない。手術処置にとって触覚感度は重要である。縫合やその他の触診も必要となるデリケートな処置であるために、弾性回復特性もまた重要である。多くの合成材料(ニトリルなど)は、指先にしわを残してしまい、これが触覚感度を損なわせている。したがって、合成ポリマーからなる手術用手袋は、高品質とみなされるために、または最適な機能を実証するために必要な望ましい触知性を欠く。
【0038】
しかしながら、本願に開示する非合成ラテックスからなる手術用手袋は、合成ポリマーからなる手術用手袋よりはるかに優れた触知性および弾性回復特性を示す。図10Aおよび10Bに示すように、グアユールラテックス対バラゴムノキラテックスの伸びの関係を0〜1分(図10A)および0〜15分(図10B)で測定したところ、長時間伸ばした場合にはバラゴムノキに比べて弛緩と移動が少ないという結果が得られた。また、結果は、グアユールラテックスが、長時間にわたって装着された場合にヒトの手に与える疲労が小さいことを示す。さらに、下に示すように、本願に開示する非合成ラテックスからなる実験用手袋も手術用手袋も、ラテックスフィルムの引張応力によって測定されるように、バラゴムノキまたは合成手袋よりも柔らかい(以下で議論する)。
【0039】
さらに、手術用手袋はパウダーフリーでなければならない。パウダーフリーグアユールラテックス手袋フィルムは、(1)オンライン/オフライン塩素化、および(2)代替的
オフライン塩素化を含む、種々の方法によって粉末製品から製造することができる。
【0040】
オンライン/オフライン塩素化については、手袋フィルムが硬化用乾燥機から出した直後の形態にあるあいだに、フィルムに硬化後浸出(水温40℃〜60℃)を行い、表面の水分を除去するために穏やかに乾燥させる。フィルムを最初に希塩酸溶液浴(pH2〜5に保った)に浸漬し、次に漂白剤(次亜塩素酸ナトリウム,3%〜6%溶液)溶液浴に浸漬する。次に、フィルムを水浴または希苛性アルカリ中に浸漬して、塩素化反応物を中和する。上記に規定した範囲内にパラメーターを維持し、塩素強度は500ppm〜4000ppmとしなければならない。酸溶液のpHを低下させることにより塩素溶液の強度が増加し、その逆も可能である。
【0041】
あるいは、塩酸および漂白浴は、500ppm〜4000ppmの濃度で水中に注入された塩素ガスからなる単一の浴に変えてもよい。この浴の後に、水/中和剤浴が続くようにしてもよい。その後、フィルムを完全に型から剥ぎ取る。剥ぎ取り後のフィルムは、つかみ側(grip−side)が外側になるようにする。オフライン塩素化装置において、フィルムは、つかみ側が塩素化されて、完全にパウダーフリーの手袋が得られる。塩素化は、水流中に200ppm〜2000ppm塩素の濃度範囲になるように塩素ガスを用いて行われる。
【0042】
オフライン塩素化の代替方法については、手袋フィルムが硬化前浸出後の形態にある間に、フィルムを炭酸カルシウムスラリー中に浸漬する。炭酸カルシウムは、硬化中に乾燥させると、型からのフィルムの除去を容易にする粉末と化する。手袋フィルムを型から取り外し、着用側が外側になるように返して、当該側が最初に塩素化されるようにする。
【0043】
オフライン塩素化装置において、フィルムは、着用側が最初に塩素化されることになる。塩素化は、200ppm〜2000ppm塩素の濃度範囲になるように水流中に注入される塩素ガスを用いて行われる。用途に応じて、フィルムは、つかみ側を外側に戻して、2回目として当該側を塩素化してもよい。塩素濃度範囲は、100ppm〜1500ppmとしてもよい。中和および水リンスの後、フィルムを乾燥させて、完全にパウダーフリーの手袋を得る。
【0044】
さらに、手袋はハイドロゲルによってコートしてもよい。図11に示すように、本願ではグアユールラテックス製品のハイドロゲルコーティング方法の少なくとも3つの選択肢を本願に開示する。図11に示すように、選択肢1は、ハイドロゲルコーティング用途に対する基本手順であり、選択肢2は、プロセスから活性結合面調節剤が省かれた代替手順であり、選択肢3は、追加のオンライン浸出を含んでいる。この浸出を含めることにより、シリコーン浸漬を追加の浸出後の時点に移動させることが必要となった。
【0045】
さらなる実施形態において、本方法は、バラゴムノキまたは合成ラテックス製品をコーティングする工程をさらに含む。たとえば、本実施形態において、本方法は、バラゴムノキまたは合成ラテックス製品の全部または一部を被覆する1つまたは複数の層を含む。別の例において、本方法は、非バラゴムノキ天然ゴム供給源以外の化合物、たとえば、プラスチック、金属、木、セラミック、合金などからなる任意の物品の全部または一部を被覆する1つまたは複数の層を含む。本方法の少なくとも1つの実施形態において、物品をグアユールラテックス塗料に浸漬するか、噴霧するか、または何らかの方法で塗布して、物品と使用者の皮膚の間にバリアを提供する。他の実施形態においては、本方法は、非バラゴムノキラテックスの上側塗膜と下側塗膜の間に物品を挟み込むことをさらに含む。さらなる特定の一実施形態において、本方法は、バラゴムノキラテックスまたは合成ラテックスフィルム(たとえば手袋)を非バラゴムノキラテックスに浸漬またはコーティングする最終工程を含む。
【0046】
別の実施形態において、製品は、カテーテル、医療用接着剤、ラテックス創傷ケア製品、臨床検査機器、アッセイ、使い捨て可能キット、薬物容器、注射器、バルブ、シール、ポート、プランジャ、鉗子、ドロッパ、ストッパ、包帯、包帯剤、試験シート、包装材、カバー材、チップ、シールド、および内部機器用シース、溶液バッグ、バルーン、温度計、スパチュラ、チューブ類、結合剤、輸血および保存システム、針カバー、止血帯、テープ、マスク、および聴診器などの医療機器、圧迫帯、ひも、ストラップ、インフレーションシステム、ギブス、スプリント、頸部カラー、および他の支持機器、ならびに車椅子および松葉杖上のベルト、クロージング、およびパッド類において用いるための非バラゴムノキ、非合成、低タンパク質ラテックス製品に向けられている。
【0047】
シリコンゴム、ポリウレタンおよび合成ポリイソプレンなどの合成材料が、カテーテル(特にバルーンカテーテル)に対する何百もの特化された製品用途に用いられているが、これらの材料のいくつかは、必要な時に一定圧力を維持することができない。さらに、拡張時に対して剛性を維持するための構造的統合性を有しない合成物もある。外科処置の間にバルーンカテーテルが破裂すると生死にかかわる。開示の非合成ラテックスからなる医療機器は、優れた構造的統合性を有し、これらの生死にかかわる問題を回避する。
【0048】
さらなる実施形態において、本製品は、デンタルダムなどの歯科用工具および製品に向けられている。現在のデンタルダムの最大の問題は、そのすべてがバラゴムノキラテックスで作られていることである。デンタルダムを作製する際に用いられる特定の製造工程のために、バラゴムノキラテックスの浸出を適切に行うことができず、ラテックス製品が多くの可溶性タンパク質を含むことになる。このことは、口腔処置のためのドレーピング材料として用いられ、粘膜組織に密着することになるデンタルダムにとっては特に危険である。浸出が十分でなく、高感作性、高アレルゲン性ラテックスのそうした接触は、迅速な感作および/または重篤なアレルギー反応を引き起こす結果ともなりうる。開示のグアユールラテックスからなるデンタルダムが低アレルゲン性であることから、この危険性は回避される。
【0049】
さらに別の実施形態において、本製品は、コンドーム(男性用、女性用のいずれも)、ペッサリー、子宮頸管キャップおよび避妊用スポンジなどの避妊用のバリア装置に向けられている。本発明の開示によるグアユールラテックスで作られたコンドームには、剛性ポリマーで作られたコンドームによくある一般的な破断の問題が起こりにくい。図9は、グアユールラテックスとバラゴムノキラテックスの物理的性質の比較をグラフで示したものである。図9に示すように、グアユールラテックスがバラゴムノキと同様の引張特性を有する一方で、グアユールラテックスはバラゴムノキラテックスに比べて高い伸度と弾性を有することにより、破断までに優れた伸縮能を示す。また、本願に開示の非合成ラテックスからなるコンドームは、ラテックスの引張応力によって測定されるように(以下で考察)、合成コンドームより柔らかく、使用中の快適性がより大きい。
【0050】
さらなる実施形態において、本製品は、介護施設、治療センター、スパ、病院、託児所、診療所、医院および歯科医院、デイケア施設、および学校などの非居住施設において使用するための製品および製法にも向けられている。本実施形態において、製品は、医療機器または扱われる業界または集団に特化した他の物品を含むものであってよい。
【0051】
さらに別の実施形態において、製品は、押出品、塗料、フィルム、コーティング剤、シーティングまたはビルディング材料、シーラント、梱包、製造装置、輸送装置、および容器などの工業的製品および製法に向けられる。さらなる実施形態において、本製品は、子供用の商品、オフィス用品、および健康および美容用品、たとえばコンドーム、アプリケータ、化粧品、デンタルケア製品などの家庭用用途に向けられる。他の実施形態において
、本製品は、保存容器、食品、飲料、および電子機器に向けられる。最終的に、本製品は、現在バラゴムノキまたは合成ラテックスから作られている任意の既存の製品に対する非バラゴムノキ,非合成、低タンパク質の代替となる。
【0052】
実施例2に記載するように、本願で開示するように、グアユールラテックス製品のタンパク質含量は、よく浸出を行ったバラゴムノキラテックス製品のものよりも実質的に低い。ゴム粒子に結合していないすべての可溶性および疎水性タンパク質を除去するラテックス洗浄工程によってタンパク質濃度が低くなっていることと、残余タンパク質の疎水性とが相まって、ラテックスアレルギー傾向にある個人におけるアレルギー反応に対する潜在性を低減する。残っている疎水性タンパク質は、粒子膜に結合しているために、アレルギー反応を引き起こす可能性ははるかに低い。さらに、以下の実施例のように、バラゴムノキラテックスと比較して、本願で開示するグアユールラテックス製品は同等の分子量のゴムポリマーを含む。さらに、グアユールラテックスは、分枝の少ないポリマーであるために、非常にわずかの不溶性ゲルしか形成しない。最終的に、本願に開示するグアユールラテックス製品は、あらゆる同程度の乾ゴム含量百分率(DRC)において、バラゴムノキラテックスよりも粘性が高いかもしれない。しかしながら、観察されうるいかなる粘性の差異も、界面活性剤などの添加剤によって克服することができる。グアユールラテックス製品は、実質的に低いタンパク質含量しか有さず、同等の強度と可撓性を有する。
【0053】
実施例2.グアユールラテックスとバラゴムノキの物理的性質の比較
ラテックス手袋フィルム
グアユールラテックス手袋フィルムは以下のプロトコルを用いて作製する。手袋成形具を75℃に予熱し、45℃の17%CaNO3、4%CaCO3、0.2%界面活性剤からなる凝固剤中に滞留時間なしで浸漬する。凝固剤を75℃で1分間乾燥させる。次に成形具を配合ラテックス(33%TSC,室温)中に浸漬し、滞留時間を10秒として、フィルムを形成する。フィルムでコートした成形具を75℃で6分間乾燥させ、ビーズロールにより腕回りを形成し、50℃で2分間浸出を行う。次にフィルムを110℃で15分間硬化させ、成形具から取りはずして塩素化する。その後、上記のようにして作製したグアユールラテックス手袋フィルムについて、物理的組成および含量を測定する。グアユールラテックスフィルムの測定は、市販の塩素化バラゴムノキラテックス手袋フィルムと比較により、膨潤、引張応力、引張強度および破断点伸度を測定する標準的な技術を用いて行う。機械的安定性および粘度は、グアユールラテックス自体に対して予め測定される。
【0054】
1.引張強度
8つの同じバラゴムノキラテックス手袋を、硫黄濃度のパーセンテージの異なる8つの同じグアユールラテックス手袋と比較する。引張試料は、型上での自身の方向と垂直に、10mm幅に裁断し、以下に開示する標準技術にしたがって試験する。図2に示すように、バラゴムノキラテックス手袋は、22〜30メガパスカル(MPa)の最高引張強度を有し、グアユールラテックス手袋では、引張強度レベルが硫黄含量の増大に伴って増大することがわかる。
【0055】
2.膨潤
膨潤試験もまた、標準技術を用いて、種々の含量の硫黄を含むグアユールラテックス手袋における直線膨潤を測定する。その後、グアユールラテックスフィルム膨潤を様々な加硫レベルにおいて、バラゴムノキラテックスに対する公表されている基準と比較する。表3および4に示すように、完全な硬化状態は、グアユールラテックスの所望の特性に合わせて調製したゴム化学を用いて得ることができる。その結果、非老化(非エージング)グアユールラテックスフィルムは、さらなる処理なしに完全な硬化状態に達することを示している。グアユールラテックス手袋における膨潤は、バラゴムノキラテックス製品の基準に匹敵する。表3および4に示すように、バラゴムノキラテックスフィルムに対する線形
膨潤試験は、非加硫フィルムに対しては160%を超える値をとり、軽く加硫したフィルムに対しては100〜159%の値をとり、中程度に加硫したフィルムに対しては80〜99%の値をとり、完全に加硫した材料に対しては80%未満の値となる。
【0056】
【表3】

【0057】
【表4】

【0058】
3.粘度
バラゴムノキラテックスとグアユールラテックスの間での粘度の比較は、板間流体測定技術を用い粘度計によって行う。板間流体測定は、当該技術分野において既知の標準技術を用いて行う。粘度試験は、回転心棒への抵抗によって粘度を測定するBrookfieldLVDV−II+粘度計(ブルックフィールド・エンジニアリング、マサチューセッツ州ストートン)を用いて行う。粘度計の軌跡からの結果は、図4に示すように、センチポイズ(cps)で測定した任意のCRC百分率において、バラゴムノキラテックスよりもグアユールラテックスの方が粘度が高いことを示す。ラテックスの粒径が大きいことに起因すると考えられるより高い粘度が、回収の向上、滞留時間の短縮およびラインスピードの高速化といった点で浸漬工程を向上させるのかもしれない。しかしながら、所望により、界面活性剤などの適当な添加剤を加えることでもグアユールラテックスの粘度を低減することが可能である。
【0059】
4.機械的安定性
バラゴムノキの粒径が約1.0μmであるのに対して、グアユールラテックスゴム粒子は、約1.4μmの平均粒径を有する。粒径の違いは、グアユールラテックスでは、バラゴムノキラテックスに比べて、ラテックスの粘度が高く、TSCが低いことに起因すると考えられる。ラテックスフィルム格子の機械的安定性は、TSCが55%を超えるASTMD1076−02基準の手順を用いて測定することができる。しかしながら、これを補正するために、TSCが55%未満のグアユールラテックスは以下に開示する技術を用いて測定する。類似の%TSCを有する両格子の機械的安定性は、図5に示すように同等の
結果をもたらす。TSC値43%において試験したグアユールラテックス試料は、370秒までの機械的安定時間(MST)を有していた。比較として、TSCが62%のバラゴムノキラテックスの試料は、約1.175秒のMST値を有し、TSCが46%のバラゴムノキラテックスは、約130秒のMST値を有していた。
【0060】
5.破断点伸度
様々な硫黄含量の非老化グアユール(非老化NRLG)および老化グアユール(老化NRLG)のラテックス破断点伸度特性を、図6に示すように、標準破断点伸度技術を用いて、同等の硫黄含量の老化したバラゴムノキ(老化NRLH)および老化していないバラゴムノキ(非老化NRLH)ラテックスと比較する。
【0061】
ひとつの試みにおいて、8つの同一のバラゴムノキラテックス手袋を、様々な硫黄含量の8つの同一のグアユールラテックス手袋と比較する。図3に示すように、バラゴムノキラテックス手袋は、700〜800%の破断点伸度を有し、グアユールラテックスの破断点伸度のレベルは、硫黄含量と相関する。標準破断点伸度技術を用いた別の試験セットでは、図6に示すように、グアユールラテックスフィルムは最も高い硫黄濃度である3phr(硫黄含量)においてすらASTMD3577手術用手袋基準を超え、バラゴムノキラテックスと比べて優れた破断点伸度を有する。グアユールラテックスフィルムの高い破断点伸度値は、これらのフィルムにおいて高レベルの伸縮度を示す。比較として、合成ラテックス手袋は、約25〜35MPaの引張強度と、約550〜675%の破断点伸度を有する。
【0062】
6.引張応力
連続フィルムの特性は、その弾性引張応力、または粒子変形に対する耐性に影響を与える、形成温度および添加剤に依存する。フィルムの弾性引張応力は、その用途に影響を及ぼし、(ASTMD3577基準において示されるように)一般的には、中程度の引張応力レベルがラテックス手袋など用途に対しては適切である。引張応力は、柔軟性および触知性と組み合わせたフィルムの強度を反映する。高い引張応力を有するフィルムは、ひびや亀裂が入りやすく、非常に低い引張応力を有するフィルムは、粘着性があり、接着剤として適している。
【0063】
様々な硫黄含量の非老化グアユール(非老化NRLG)および老化グアユール(老化NRLG)ラテックスの引張応力特性を、同等の硫黄含量の老化バラゴムノキ(老化NRLH)および非老化バラゴムノキ(非老化NRLH)ラテックスと、標準技術を用いて比較する。図7に示すように、非老化グアユールラテックスフィルムは、2phr硫黄において最大に達することから、硫黄に対する化合物の最適比であることがわかる。これらの非老化グアユールラテックスフィルムは、表5に示すように、3phrフィルムと同等の架橋密度を有している。図7に示すように、2phrにおける最大引張応力は、3.0phr非老化バラゴムノキラテックスフィルムのものと同等のモノスルフィド架橋の最大化を示すものである。硫黄含量をさらに増やすと、ラテックスポリマー鎖の間により多くのポリスルフィド架橋が可能になり、より低い引張応力が得られることになる。老化グアユールラテックスフィルムは、最も高い硫黄含量を除いては、非老化バラゴムノキフィルムに比べてさらに柔らかい。バラゴムノキフィルムは、すべての硫黄濃度において、一貫してグアユールフィルムよりも柔らかさが小さい。バラゴムノキフィルムは、最も高い硫黄濃度において、ASTMD3577基準を満たさないが、グアユールラテックスフィルムは、ASTM基準を依然として満たしているか、これを超える。
【0064】
全体として、結果から、グアユールラテックス製品が合成材料よりも性能が優れており、図8に示すように少なくともバラゴムノキラテックスに匹敵する物理的性質を有することが示される。さらに、グアユールラテックス製品は、表5に示すように、手術用手袋に
対するASTMD3577基準を満たすか、これを超える。
【0065】
【表5】

【0066】
実施例3.グアユールラテックス製品の特性の判定方法
別の実施形態において、本方法は、非合成、かつ低アレルゲン性の非バラゴムノキラテックス製品の特性の判定方法である。本方法において、天然の非バラゴムノキゴム供給源から加工した非合成ラテックス製品の低アレルゲン性の物理的または化学的特性を、タンパク質の有無および他の物理的および化学的特性に基づいて判定する。より詳細には、本方法は、遠心分離によって、または遠心分離とクリーミングの組み合わせのいずれかによって加工された天然の非バラゴムノキゴムを測定するために用いられる。様々な実施形態において、本願に開示する本方法は、製造、保存、輸送または製造工程における1つまたはそれ以上の段階におけるラテックス製品の物理的特性および組成を監視するために用いられる。
【0067】
一般的に、本開示のものも含めて、工業または医療用途のために抽出されたラテックスについては、ASTMD1076−02基準値を含む様々な取締機関の基準仕様への適合性について調べられる。本願に開示するグアユール基準は、多数の物理的または化学的特性を挙げた基準表を提供する。これらの特性のそれぞれが数値または記述値と関連しており、ラテックス製品が当該カテゴリに対する要件に適合するための基準最小または最大量を示している。記述値は、数値による測定が困難であるか不可能である(たとえば、「なし」または「あり」という用語は記述値である)であるような場合の定量化の方法を提供する。各特性は、グアユール基準に要求される、標準方法に従って測定される。より詳細には、本願で開示する方法は、グアユール基準プロトコルに従って非バラゴムノキラテックス製品について以下の化学的および物理的特性を試験することに向けられており、該化学的および物理的特性には、全固形分(%)(実施例5);乾ゴム含量(%)(実施例6);全アルカリ度(実施例8);粘性;スラッジ含量(実施例10);凝塊含量(実施例11);KOH数(実施例12);pH;機械的安定性(実施例14);銅(ppm)(実施例15);マンガン(ppm)(実施例15);および密度(mg/m3)が含まれ
る。
【0068】
加工段階または最終グアユールラテックス製品における純度は、ラテックスタンパク質分析およびバラゴムノキ抗原性タンパク質分析を含めて、下記に開示の方法全体を通して、ラテックスの水性相中のタンパク質の濃度を決定することによって調べる。全体の純度または組成の要件は、最終ラテックス製品の用途に依存するが、一般的には、最終製品に対するベンチマーク基準は、水中のラテックスゴム濃度が40重量%を超える乾燥ゴム含量に対して、非バラゴムノキのためのグアユール基準の全体的一致がみられることを含む。
【0069】
本願に開示する方法は、後述のように各カテゴリにおいて低アレルゲン性の非バラゴムノキラテックスを試験する方法を示す。本方法の様々な実施形態において、試料は、オープンヘッドドラム、クローズドヘッドドラム、タンク車、または他の容器から調製してもよいが、好ましくは、高速攪拌機によって約10分間激しく撹拌する。一実施形態におい
て、試料は、内径が10〜15ミリメートルで両端が開いた透明の乾燥したガラス管をそれが容器の底部に達して、内容物が透明の乾燥した試料瓶に移されるまで、ゆっくりと挿入することにより、保存容器から取り出すようにしてもよい。他の実施形態において、試料は、金属試料採取管、真空装置、遠隔操作サンプリングコレクタ、または他の回収方法を用いて取り出してもよい。一実施形態において、試料は容器の様々な部分から回収し、試験前に合わせる。
【0070】
実施例4.タンパク質の有無およびグアユールラテックスフィルムの交差反応性
グアユールラテックスについてのタンパク質組成および含量は、アッセイ標準技術を用いて、ヒトの臨床試験のみならずマウスやウサギモデルを用いて測定し、バラゴムノキラテックスと比較してもよい。様々な実施形態において、アレルゲン性Hev−bタンパク質アッセイは、共通アレルゲン性Hev−bタンパク質の有無と量を検出するために、ELISA(酵素免疫吸着測定法)、一次元および二次元イムノブロット、皮膚プリックテスト、放射性アレルギー吸着血液アレルギー試験(RASTR)アッセイ、免疫CAPシステム(“CAP”)(ファルマシア、ミシガン州カルマズー)アッセイ、またはそれらの改変法を用いて行ってもよい。
【0071】
たとえば、図1に示すように、イムノブロットは、抗グアユールゴム粒子全タンパク質ウサギポリクローナルIgG抗体を用いて、3つのバラゴムノキラテックス試料および3つのグアユールラテックス試料を含む異なるラテックス試料からのタンパク質に対して準備される。マウスとウサギの抗体を用いた相互試験は、抽出され濃縮されたグアユールラテックスタンパク質に対して意図的に産生された抗体が、バラゴムノキラテックスタンパク質とは交差反応しないことを実証している。
【0072】
別の例において、グアユールラテックスのタンパク質含量は、3つのバラゴムノキラテックス試料のうちの2試料と同等である。格子中の全タンパク質ASTMD5712基準プロトコルに記載の改変Lowry法を用いて定量する。表6に示すように、グアユールラテックスは、バラゴムノキラテックスと比較して、全体で非常に少ないタンパク質(<2%)しか含まない。
【0073】
【表6】

【0074】
さらに別の例において、CAP(ファルマシア,ミシガン州カラマズー)アッセイを用いて、グアユールラテックス手袋中のHev−bタンパク質の有無および量を判定して、2つのブランドのバラゴムノキラテックス手袋、すなわちRedline手袋(レッドライン・メディカル・サプライ,ミネソタ州ゴールデンバレイ)およびTriflex手術用手袋(アレジアンス・ヘルスケア/カーディナル・ヘルス,イリノイ州マックゴウパーク)および合成手袋と比較してもよい。
【0075】
CAPアッセイについては、まず、ヒト血清プールを用いてヒト血清を調製する。ヒト血清プールの例としては次のものが挙げられる。(1)小児:ヒトIgE抗Hev−b血清プールを、Hevea brasiliensis C血清皮膚試験研究に参加した対象者から調製する。このプールを、ラテックスアレルギーに対して陽性臨床的履歴をもち
、皮膚試験および/またはIgE抗ラテックス血清学に対して陽性の、二分脊椎をもつ53人の子供からの血清と結合させる。(Hamiltonら、1999)。2つのヒト血清プールをプールして、小児IgE抗ラテックスプールを作製する。(2)成人:ヒトIgE抗−Hev−b血清プールを、Hevea brasiliensis C血清皮膚試験研究に参加した対象者から調製する。このプールを、陽性履歴、陽性皮膚試験、およびIgE抗ラテックス血清学に基づいてHev−bラテックスアレルギーを有することが分かっている180人の医療従事者からの血清と合わせる。これらをプールして、成人IgE抗ラテックス血清プールを作製する。
【0076】
より詳細には、上記に開示のプールを用いる本例において、小児および成人の血清プールは、それぞれ、19kIU/L(1リットルあたりアレルゲンの測定単位)および63kIU/LのIgE抗ラテックス(CAPアッセイによって測定されるように)を含む。次に、アンモニア処理していないラテックス参照としての対照Hey−bE8を用いて、CAPアッセイを行って、3つのグアユールラテックス調製物、およびそれらの適当な対照上でのIgE抗−Hev−bラテックス阻害を測定する。すべての抽出物について、検出可能なHev−b交差反応性アレルゲンを調べる。試薬の例としては、上に開示したように、アレルゲンとして最も一般的に同定されているHev−bタンパク質によって最適化した、Hev−bラテックス血清学試薬(たとえば、K82ラテックスCAP,イムノCAPシステム)が挙げられる。
【0077】
より詳細には、本実施形態において、0.1mLの試験グアユール、合成または既知のHev−b陽性手袋材料を0.1mLのIgE抗ラテックスを含むヒト血清とともにインキュベートする。各ヒトIgE抗ラテックス血清プールを別個のアッセイにおいて分析する。E8非アンモニア処理Hev−bラテックスの12の希釈物をバッファ(2つずつ)とともにインキュベートし、ラテックスアレルゲン用量反応曲線を作製し、この曲線から、試験調製物を用いて得られるイムノCAPの結果を補間する。この最初のインキュベーション(230℃で4時間)に続いて、各混合物をその自身の各2つのラテックス−アレルゴソルベント(K82ラテックス−イムノCAP,ファルマシア、ミシガン州カラマズー)中にピペット注入する。次に、標識した抗ヒトIgEを加えることにより、結合したIgEの量を検出することにより、製造者によって決められているようにCAPアッセイを完結する。アッセイは、バラゴムノキラテックス交差反応性材料がいずれかの試験調製物中に存在した場合に、該材料がIgE抗バラゴムノキラテックス抗体と結合して、該抗体が固体相ラテックスアレルゲンと結合することを競争的に阻害するように、設計される。試験調製物によって得られるIgE抗−ラテックス阻害のレベルの差異を、負のネオプレンおよびビニル手袋抽出物と比較する。その結果についてIgE抗Hev−bラテックス阻害を分析する。
【0078】
上記のヒト血清プールを一例として用いて、アンモニア処理したグアユールラテックス、2つのラテックス手袋対照物、およびネオプレン合成手袋における、Hev−b交差反応性アレルゲン性タンパク質のレベルを、それぞれ成人および小児の血清プールを用いて、イムノCAP阻害アッセイによって判定する。アンモニア処理したグアユールラテックス調製物(ラテックスからの可溶化ゴム粒子結合タンパク質を含む)中には、いかなるHev−b交差反応性アレルゲンも検出されない。さらに、成人および小児のいずれかのIgE抗バラゴムノキラテックス血清プールを用いた、アンモニア処理したグアユールラテックス中には、CAP阻害アッセイによっていかなるバラゴムノキ交差反応性タンパク質も検出されない。基本t−検定を行ったところ、阻害の程度は、ネオプレン陰性対照抽出物(<1AUmL−1)とは有意には違わない。2つのブランドのバラゴムノキラテックス手袋は、それぞれ、1,812および1,283,900AUmL−1の検出可能なアレルゲンを産生する。これは、アンモニア処理したグアユール調製物中には検出可能な交差反応性アレルゲン性タンパク質が存在しないことを示す。
【0079】
全体として、グアユールラテックスは、バラゴムノキ型アレルギー反応を誘発することが知られているいかなる既知の交差反応性エピトープも含まない。上記および図1Aおよび1Bに示したように、グアユールラテックスタンパク質は、ヒトアレルギー患者におけるバラゴムノキタンパク質に対する応答を引き起こすのに十分なタンパク質量の少なくとも1000倍の濃度においても、抗バラゴムノキラテックスタンパク質抗体と交差反応することはない。
【0080】
以下の実施例5〜15は、開示の方法に従って、非バラゴムノキラテックス製品の物理的および化学的性質をどのように決定するかを示す具体例である。
実施例5.非バラゴムノキラテックス製品における全固形分の測定方法
グアユールラテックスの全固形分(TSC)を決定するために、以下の方法を用いることができる。一例において、約2.5±0.5グラムのグアユールラテックスを、風袋を計ったカバー付き直径約60mm(2.5インチ)の秤量皿に計り取り、皿を穏やかに回すことにより、ラテックスに1cm3の蒸留水を加える。ラテックスを約32cm2(5平方インチ)の面積にわたって、皿の底部に分散させる。標本を、通気口付きの空気乾燥機中、カバーをしていない皿の中で、70±2℃で16時間、または100±2℃で2時間乾燥させる。再度カバーして、試料をデシケータ中で室温まで冷却し、秤量する。質量が定常的に1mg以下になるまで、乾燥と秤量を繰り返す。試験は、2回ずつ行い、0.15%内に収まることを確認する。2回の判定の平均を結果として採用する。全固形分のパーセンテージは、以下のようにして算出される。全固形分,%=[(C−A)/(B−A)×100(式中、Aは、秤量皿の質量、Bは、皿+元の試料の質量:およびC=皿+乾燥試料の質量を表す)。
【0081】
実施例6.非バラゴムノキラテックス製品における乾燥ゴム含量の想定方法
グアユールラテックスの乾燥ゴム含量(DRC)を決定するために、以下の手順を用いることができる。一例において、約10グラムのグアユールラテックスを、直径約100mm、深さ50mmの磁器製蒸発皿中に秤量し、全固形分が約25%になるまで、酢酸水溶液(20Mg/m3)に蒸留水を加える。次に、5分間一定して撹拌しながら、酢酸(
2%)を加え、ラテックスを完全に凝固させる(約80cmまで)。多くとも20mLの塩酸(2%)をさらに加えて、凝固を向上させてもよい。次に、透明な血清が得られるまで皿を蒸気浴中で15〜30分間放置する。凝固したラテックス粒子を、凝塊の本体とともに取り上げ、流水中で洗浄する。この工程をシート状の凝固ゴムが2mmの最大厚みに達するまで繰り返す。
【0082】
次に、通気口付きの空気乾燥機雰囲気中、70±2℃で、シートを乾燥させる。酸化が起こるようであれば、試験は、55±2℃の乾燥温度を用いる選択肢を使って行うか、凝固の前にラテックスに酸化防止剤を加えてもよい。シートは最終的にデシケータ中で室温にまで冷却し、秤量する。質量が1mg以下に一定するまで、乾燥および秤量工程を繰り返す。乾燥ゴム含量を測定するために、複数の試料について試験を行い、0.2%以内にあるか調べる。試料の平均を結果として採用し、乾燥ゴム含量を以下の等式にしたがって算出する。乾燥ゴム含量,%=乾燥凝塊の質量/試料の質量×100
実施例7.非バラゴムノキラテックス製品のタンパク質含量の測定方法
全タンパク質含量は、ラテックスタンパク質を、1%SDSおよび50mMリン酸ナトリウムバッファ(最終濃度)中で可溶化し、ASTMD5712基準プロトコルに従う改変Lowry法を用いて定量することによって測定する。可溶化方法において、ラテックス試料(500μL)を、各試料につき3本の微量遠心チューブ中で、450μLの100mMリン酸ナトリウムバッファ(1:1)と混合し、50μLの20%SDSを各チューブに加えて混合し、200rpm振盪機上にて25℃で2時間インキュベートする。インキュベーション後、試料を5分間スピンして、水性相を新しいチューブに移し、さらに
回転させて、ラテックスを透明化する。試料を各試料について3×0.6mLチューブに分ける(これらは40℃で一晩保存可能である)。また、ウシ血清アルブミン(BSA)の標準を、抽出バッファ中、0,5,10,15,25,50,100,200,300,400μg/mLの濃度となるように調製する。さらに、60μLの1.5mg/mLデオキシコール酸ナトリウムを試料および標準に加え、混合し、10分間放置する。120μLの72%の混合したばかりのトリクロロ酢酸およびリンタングステン酸(1:1)を各試料および標準中に混合し、室温で30分間インキュベートし、15分間スピンして上清を除去する。各タンパク質ペレットを風乾し、250μLの0.2M水酸化ナトリウム中に懸濁し、アッセイまで4℃で保存する。アッセイは、24時間以内に、ASTMD5712に従う改変Lowry法を用いて行う。バラゴムノキ抗原性タンパク質に対するアッセイは、ラテックスタンパク質を1%SDSおよび50mMリン酸ナトリウムバッファ(最終濃度)で可溶化し、ASTMD6499基準プロトコルに従う抗原性タンパク質アッセイを用いて定量化することによって行うこともできる。
【0083】
実施例8.非バラゴムノキラテックス製品における全アルカリ度の測定方法
一実施形態において、グアユールラテックス中の全アルカリ度は、ガラス電極pHメーターおよび0.1M(モラー)標準HClを用いて測定する。試料は、まず最初に、すりガラス蓋を有し、1mg単位まで計れる約10cm3の容量のガラス秤量瓶中に5グラム
のラテックスを秤量することにより調製する。標本を約300cm3の蒸留水を入れたビ
ーカーに注ぎ込み、アンモニアの損失を防ぐために栓をし、再秤量のために脇に置いておく。標本の質量は、2つの重量の差と等しい。次に試料をラテックスの損失を最小限に抑えてビーカーに移す。
【0084】
較正したガラス電極pHメーターの電極を液体に入れてpHを測定する。次に製造者の指示に従い試験方法E70に従ってメーターを較正し、pH測定を行う。撹拌を行いながら、溶液のpHが6.0になるまで、0.1M塩酸(HCl)をゆっくりと加える。既知のアルカリ度を有する試料を用いて、HClを1cm3増分で加え、pHを10秒ごとに
読み取る。別の実施形態において、試料を上述のように調製し、メチルレッドの0.10%アルコール性溶液を6滴加える。その後、この溶液を、指示薬がピンクに変色するまで、約0.1モラー(M)HClで滴定する。最終点は完全な凝固が起こる前に起こり、指示薬の色の変化は、わずかに凝固したラテックスの白い背景に対して検出することができる。
【0085】
全アルカリ度は、本方法の様々な実施形態において計算することができる。一実施形態において、全アルカリ度は、ラテックス100g当たりのNH3のグラムとして、次のよ
うに計算される。全アルカリ度(NH3として)%=(1.7×M×n)/W(式中、M
=標準HClのモル;n=必要な標準HCl体積(cm3)、およびW=ラテックスの元
の質量)。別の実施形態において、全アルカリ度は、次の式に従ってKOHとして計算される。全アルカリ度(KOHとして)%=(5.61×M×n)/W(式中、M=標準HClのモル,n=必要な標準HClの体積(cm3)、およびW=ラテックスの元の質量
)。さらに別の実施形態において、全アルカリ度は、以下の計算を用いてラテックスの水相に基づいて計算される。水の%としての、全アルカリ度=(1.7×M×n)/W(1−TS/100)(式中、TS=全固形分百分率;M=標準HClのモル;n=必要な標準HClの体積(cm3)、およびW=ラテックスの元の質量)。さらなる一実施形態に
おいて、全アルカリ度は、次の式を用いて、ラテックスの水相に基づいてKOHとして計算することができる。全アルカリ度(KOHとして)水の%として=(5.61×M×n)/W(1−TS/100)(6)(式中、TS=全固形分百分率;M=標準HClのモル;n=必要な標準HClの体積、cm3および、W=ラテックスの元の質量)。
【0086】
実施例9.非バラゴムノキラテックス製品における粘度の測定方法
試料の粘度は、Brookfield粘度計、モデルLVFまたはLVT(ブルックフィールド・エンジニアリング・インク,マサチューセッツ州ストートン)を用いて測定する。この装置は、0.63および6.3rad/s(6および60rpm)の一定回転速度で駆動可能な誘導同期電動機と、異なる形状および寸法の心棒を装着可能な軸と、心棒の回転速度を制御する歯車列と、ベリリウム銅バネとで構成される。回転時、心棒は、巻き上げられたベリリウム銅バネに抗力がかかった場合に該バネを介して駆動される。抗力の量は、粘度計のダイアル上のポインタによって示される。この読み取り値は、任意の所与のスピードおよびスピンドルに対する粘度に比例する。粘度計は、±0.02℃の新鮮な較正オイル(National Bureau of Standards)またはシリコンオイルを用いて、較正される。
【0087】
粘度を測定するにあたって、まず最初に、ラテックスの全固形分を60± 0.1%に調整するために、試料を、開口率が0.180±0.009mm(0.0070±0.0004インチ)で、線径が0.131±0.01mm(0.0052±0.0005インチ)の標準180nmふるいを通して漉す。次に、ラテックスから空気を除去するために、標本を2時間のあいだ水浴中で25±2℃の所望の試験温度にならす。
【0088】
そして、ラテックス標本は、空気の取込みを防ぐために、(25℃に冷却された)600cm3ビーカーの側面をつたってゆっくりと注ぎ落とす。一実施形態において、粘度計
の心棒を、ラテックスの表面が心棒の軸内のノッチ内に入るまで、試料中に浸漬する。あるいは、心棒は、粘度計に装着する前に、上述のようにしてラテックス中に浸漬する。粘度計は、第1号心棒を用いて、0.63および6.3rad/s(6および60rpm)において100スケールで読み取り値を与える。粘度が第1号心棒の限界よりも大きい場合には、第2号心棒に替えてもよい。
【0089】
粘度を計算するために、使用した速度と心棒に応じて、読み取り値に以下の値をかける。第1号心棒,0.63rad/s(6rpm)=10;第1号心棒,6.3rad/s(60rpm)=1;第2号心棒,0.63rad/s(6rpm)=50;第2号心棒,6.3rad/s(60rpm)=5。次に粘度を、センチポイズと同等の1秒あたりのミリパスカル(mPa/s)で記録する。
【0090】
実施例10.非バラゴムノキラテックス製品におけるスラッジ含量の測定方法
スラッジ含量を測定するために、45〜50グラムのグアユールラテックスを2本の50cm3遠心管のそれぞれに量り入れ、約240rad/s(2,300rpm)で20
分間遠心分離する。各遠心管をラテックスの蒸発を防ぐためのキャップまたはフィルムで固定するか、表面フィルムを形成する。結果として生じるあらゆる表面クリーミングをすくい取って捨て、上清のラテックスを、スラッジの上部に約10mmが残るようになるまで、2mmピペットチップで引き抜く。その後、遠心管の上端までアンモニア−アルコール溶液(水酸化アンモニウム28cm3,95%最小純度のエチルアルコール946cm3,および水2,810cm3からなる)で満たし、約25分間、再遠心分離を行い、上清
溶液が透明になるまでこの工程を繰り返す。最後の遠心分離の後、遠心管を1cmのマークまで排水し、必要に応じて何らかのアンモニアとアルコールの混合液を用いて、残った残渣を風袋を計った200cm3ビーカーに移す。残渣をホットプレート上で蒸発させ、
70±20℃で乾燥させて、秤量する。2つどちらの乾燥残渣の質量も1mgに適合しているはずである。
【0091】
実施例11.非バラゴムノキラテックス製品における凝塊含量の測定方法
重量%としての凝塊含量を算出するために、200グラムのよく撹拌したグアユールラテックス試料を、同体積の5%アルカリ石鹸溶液で希釈し、180±0.009mm(0.0070±0.0004インチ)の開口率と、0.131±0.01mm(0.005
2±0.0005インチ)の線径を有した180nm網目スクリーンふるいに通して濾過する。スクリーンを5%石鹸溶液で洗浄し、続いて蒸留水で洗浄する。スクリーンを100±2℃で30分間乾燥させ、デシケータ内で冷却し、秤量する。乾燥、冷却および秤量の手順は、連続する秤量間での質量の損失が1mg未満となるまで、15分間隔で繰り返す。スクリーンの元の質量と、スクリーン+その上に保持された凝塊の質量との差が、乾燥凝塊の質量を示す。凝塊含量の百分率は次のように算出される。凝塊含量,%=(mi/mo)×100(mo=試験部分の質量、mi=凝塊の質量)
実施例12.非バラゴムノキラテックス製品におけるKOH数の測定方法
KOH数は、電気測定の測定値に依存するpHメーターと、8〜14の範囲のpHを判定するためのガラス電極流甘汞アセンブリとを用いて算出する。50グラムのグアユールラテックス試料をまず400cm3ビーカーに量りとり、5%ホルムアルデヒド(1cm3=0.0189gNH3)を撹拌しながら加えることにより、水を基準にしてアンモニア
含量が0.5%となるように調整する。(ホルムアルデヒド溶液(5%),cm3=W(
100−TS)(%水相上NH3−0.50)/189(式中、W=湿ラテックス試料の
グラム(g)、およびTS=全固形分の百分率)。ホルムアルデヒドは、希ストックUSPグレードホルムアルデヒドを用いて、蒸留水で5.0%になるように、0.1モル水酸化カリウム(KOH)溶液で中和(フェノールフタレインを指示薬として使用し、薄いピンク色になるまで滴定)して調製する。
【0092】
十分な蒸留水を固形分が約30%となるように、希ラテックスに加え、滴定電極をラテックス試料中に挿入して、pHを判定する。5cm3の0.5モルKOH溶液を撹拌しな
がら加え、10秒後に再度pHを記録する。0.5KOH溶液を1cm増分で撹拌しながら加え、終点の判定が行われるまで、各添加後10秒ごとにpHを記録する。
【0093】
滴定の終点判定は、pH値の曲線がKOH溶液のcm3単位での体積と比較して変曲を
示す点において行われる。この点において、曲線の勾配である一次差分は最大に達し、二次差分をゼロになる。終点は、二次差分から、該二次差分が正から負に通過する1cm3
の増分を通して直線であるという想定の下で算出される。表7は、変曲点判定の一例を示している。表7において、変曲に近づく領域のみ読み取り値が示されている。6.0〜12.0cm3の点をとってもよいが、終点には関連がない。表7に示すように、+0.0
7〜−0.04の直線の勾配のゼロとの切片が、KOHの15.0〜16.0cm3間の
距離の7/11の比を与える。したがって、変曲点は、15,7/11または15.64である。比は、形成される三角形の幾何学によって証明することができる。
【0094】
【表7】

【0095】
ラテックス中の固形分100グラム中に存在する酸を中和するのに必要なKOHのグラム数で表される、KOH数は、次のようにして算出される。KOH数=(cm3KOH×
M×561)/(TS×試料の質量)(式中、TS=全固形分の百分率、およびM=標準KOH溶液のモル)。
【0096】
実施例13.非バラゴムノキラテックス製品におけるpH数の測定方法
pHは、電子計測に依存する標準メーターと、8〜14のpH範囲に対して適応可能なpHを判定するためのガラス電極−甘汞アセンブリを用いて算出される。一実施形態において、pHメーターは、方法E70と、メーターの製造業者による指示に従って較正する。本実施形態において、ラテックス試料の温度は、適切な温度の水浴中で試料容器を穏やかに撹拌することによって、23±1℃に調整される。その後pHを決定して記録する。
【0097】
実施例14.非バラゴムノキラテックス製品における機械的安定性の測定方法
濃縮グアユールラテックスの機械的安定性の測定は、スターラ、アジテータ、および試験瓶からなる高速撹拌技術を用いて行う。一実施形態において、撹拌装置は、試験の間中、速度を1470±22rad/s(14000±200rpm)に維持することのできる垂直軸高速スターラである。スターラ軸は、アジテータディスクを装着する点におけるその下端において直径が約6.3mm(0.25インチ)であり、上に行くにつれて強度を大きくするためにテーパーを付けてもよく、また、試験瓶の底部まで延びるとともに、指定された速度での狂いが0.25mm(0.010インチ)以内となるように相対的に一定の速度を維持する。
【0098】
一実施形態において、アジテータは、直径20.83±0.03mm(0.820±0.001インチ)および厚さ1.57±0.05mm(0.062±0.902インチ)の研磨したステンレス鋼ディスクであり、その正確な中心に、スターラ軸の下端部の中心に装着するためのネジ付きスタッドを有する。一実施形態において、試験瓶は、内径が57.8±1mm(2.28±0.04インチ)、高さが約127mm(5インチ)、壁厚が約2.3mm(0.09インチ)の、平底の、円筒状のガラス容器である。本実施形態において、瓶は、軸およびアジテータに対して正確な指定位置に下降または上昇させることができる。
【0099】
機械的安定性を測定する前に、ラテックスは室温で保存し、好ましくは空気に触れてか
ら24時間以内に測定する。一実施形態において、グアユールラテックスは、アンモニア水溶液(0.6%NH3)で正確に全固形分が43.0±0.2%となるように希釈し、
穏やかに撹拌することにより36〜37℃に加温する。その後、ラテックスを0.180±0.009mm(0.0070±0.0004インチ)の開口率および0.131±0.013mm(0.0052±0.0005インチ)の線径を有する180mmステンレス鋼ふるいを通して漉す。約80.0±0.5グラムの濾過後のラテックスを試験瓶中に秤量し、35±1℃の温度にする。
【0100】
本実施形態においては、その後、以下に示す条件によって示されるように、終点に達するまでラテックスを14,000±200rpmで撹拌する。上記条件とは、ラテックスのメニスカスの落下、乱流の損失、または撹拌動作の音の変化である。本実施形態において、終点は、ガラス棒をラテックス中に頻繁につけ、使用者の手の平の上で一度軽く描くよって判定する。手の平の上に沈積されているフィルム中の凝固ゴムの小片が試験の終わりを知らせる。この終点は、さらに15秒間撹拌した後の沈積されるフィルム状の凝固ゴムの量が増加することによって、あるいは、ラテックスを上述の180nmステンレス鋼スクリーンで濾過することによって確認される。
【0101】
グアユールラテックスに対する機械的安定性値は、試験の開始から終点までに経過した秒数で示される。精度は、試験を複数回繰り返してすべての値が5%となることで確認する。
【0102】
実施例15.非バラゴムノキラテックス製品における銅およびマンガンの測定方法
銅およびマンガンの百万分の1濃度は、ASTMD1278基準に記載されている方法によって決定する。
【0103】
実施例16.非バラゴムノキラテックス製品密度における密度の測定方法
決定値を用いて、直接には秤量できない場所にあるラテックスの測定体積の大きさを計算する。そのような目的のために、体積を測定したときに含まれるラテックスと同量の空気を含むラテックス試料について、密度を決定する必要がある。サンプリングの前に、気泡を確実に分散させるためにラテックスを最低でも24時間放置する。ここでは、直接「審判」法および間接法を含む、密度計算方法の2つの実施形態について記載する。第一の実施形態において、密度および体積を同一温度(または温度がわずかに違えば補正して)で測定する。第2の実施形態においては、既知量のラテックスおよび既知量の蒸留水を既知体積のフラスコ中で秤量することにより、ラテックスの密度を任意の温度において測定する。この測定値、およびラテックスの既知の広範な性質に基づいて、密度は他の温度(たとえば、体積を測定する際の周囲温度)に対しても外挿することができる。
【0104】
直接「審判」実施形態においては、グアユールラテックスを入れた第1のフラスコを水浴を用いて一定温度に加熱し、撹拌する。蒸留水で充填した第2のフラスコを同じ水浴中で一定温度に加熱する。毛細管によって孔を開けたすりガラス栓とすりガラス蓋を有する50cm3の容量の比重瓶を0.001g単位まで秤量し、蓋はせずにガラス栓を付けて
、そのネック部まで、同じ水浴中に浸ける。3つすべての容器を約20分間一定温度に加熱する。次に、グアユールラテックスを比重瓶に吹き込んでこれを満たし、水浴から取り出し、即座にガラス蓋で覆う。次に瓶を乾燥させ、0.001グラム単位まで秤量する。ラテックスを廃棄した後に比重瓶を再度較正し、この工程を上述の手順に従って蒸留水を用いて繰り返す。測定の精度を保証するために複数回試験を行ってもよい。
【0105】
ラテックスの密度を次の式に従って算出する。D=(M×Dw)/Mw(式中、D=恒温槽の温度でのラテックスの密度(mg/cm);M=比重瓶中でのラテックスの質量(g);Mw=比重瓶中での水の質量(g)、およびDw=浴温での水の密度(mg/
3))密度は、質量を規定された温度での体積で割ったものであり、必要に応じて単位
を変換する。ラテックスの密度は、立方メートルあたりのメガグラムの単位で決定する。
【0106】
第2の間接密度計算実施形態において、定量用フラスコを1mg単位で秤量することにより較正する。フラスコを室温の蒸留水で満たし、水面を示す線でマークをつける。次に、水を入れたフラスコを1mg単位まで秤量する。この温度tに対して、マークまでのフラスコの体積を次のようにして計算する。V=(Bt−A)/dt(式中、V=実験室温度におけるフラスコの体積(立方センチメートル);t=フラスコ中の水の温度;Bt=温度tにおけるフラスコ+水の質量;A=空のフラスコの質量、およびdt=温度tにおける蒸留水の密度(mg/cm3))。表8は、25℃における試料の計算を示す。
【0107】
【表8】

【0108】
本実施形態において、透明で乾燥した1mg単位の目盛り付きフラスコを秤量することにより、密度を計算する。次に、フラスコの約半分が満たされるまで、グアユールラテックスを導入し、栓をして、1mg単位まで再度秤量する。次に栓を取りはずし、較正マークまで蒸留水を加える。水を加える間、フラスコを周期的に回して、ラテックス中に捕捉された気泡を放出する。液面がマークまで達した後、フラスコに栓をし、再度、1mg単位まで秤量する。
【0109】
内容物をよく混合した後、温度を測定し、次の式を用いて密度を計算する。Dt=(B−A)/[V−(C−B)/dt](式中、Dt=温度tでのラテックスの密度(mg/cm3);t=定量用フラスコ中のラテックスと水の混合物の温度;B=フラスコ+ラテ
ックスの質量;A=空のフラスコの質量;V=ステム上の較正マークまでのフラスコの体積;C=ステム上の較正マークまでのフラスコ、ラテックスおよび水の質量、およびdt=温度tにおける蒸留水の密度(立方センチメートルあたりのグラム)。表9は、試料密度計算を示す。
【0110】
【表9】

【0111】
実施例17.非バラゴムノキラテックス製品揮発性物質における揮発性脂肪酸の測定方法
100gの全固形分を含むラテックス試料中の揮発性脂肪酸を中和するのに必要な、脂肪酸数、または水酸化カリウム(KOH)のグラム数を、微量蒸留手順を用いて測定する。一実施形態において、Markham半微量蒸留または改変Markham半微量蒸留(エース・グラス・インク、ニュージャージー州ヴァインランド)、微量ビュレット(たとえば、10cm3微量ビュレット)、および蒸気発生器(たとえば、2〜3cm3フラスコと、温度調節付きホットプレートと、および、カーボランダム結晶による適当なガラスおよびゴム管連結部とで構成される、またはバンピングを防止するために類似材料を用いる)を用いて、グアユールラテックス中の揮発性脂肪酸を測定する。
【0112】
一実施形態において、50±0.2グラムの濃縮ラテックスを250cm3ビーカー中
に秤量し、ガラス棒で撹拌しながら、50cm3の(NH42SO4溶液を加える。ビーカーを70℃の水浴中に3〜5分間浸けて、ラテックスを凝固させる。次にラテックスを、低灰分、中程度テクスチャ(medium−texture)ろ紙を通して、50cm3
三角フラスコ中に濾過する。凝塊を、ガラス棒を用いてビーカー中に押し込み、残っている血清を除去する。25cm3の濾過後の血清を、5cm3のH2SO4(2+5)とともに第2の50cm3フラスコにピペットで注入し、栓をして、回して混合する。一連の試験
を開始する前に、15分以上の間、蒸気を通すことによって蒸留器をパージする。蒸気発生器を通気することによるサイフォン作用により内側チャンバを空にし、蒸留器への蒸気の供給を遮断し、下部ドレインを開放する。下部ドレインからの水の排出によって負圧を発生させて内側チャンバを空にし、その後チャンバを蒸留水で洗い流す。
【0113】
蒸留を始めるために、蒸留器への蒸気供給を通気し、10cm3の酸性化した血清を、
シリコーン消泡剤を滴下しながら、内側チャンバ中にピペットで注入する。100cm3
メモリ付きシリンダを凝縮器の下方に配置して、蒸留水を回収し、蒸気を内側チャンバ中の試料を通るように指向する。蒸気流は、3〜6cm/分の速度で留出物が得られるように調整する。100cm3の留出物を回収し、空気を含まないCO2で通気する。ブロモチ
モールブルー指示薬を1滴加え、試料を迅速に、0.01モルBa(OH)2溶液によっ
て、緑色に変色する前に約10〜20秒間持続する青色によって滴定する。
【0114】
揮発性脂肪酸数は、次のようにして計算する。揮発性脂肪酸数=(AM×561)/W×TS)(式中、A=試料の滴定に必要なBa(OH)2溶液の立方センチメートル、M
=Ba(OH)2溶液のモル、W=10cm3の酸性化した血清に相当するラテックスの質量、およびTS=ラテックス中の全固形分の百分率)。W因子は、以下のようにして計算する。W(50×25)/[(50+S)×3](式中、50=量り分けたラテックスのグラム、25=使用した血清の立方センチメートル、50+S=(NH42SO4溶液の
立方センチメートル+50グラムのラテックス中の血清の立方センチメートル、および3=比30/10(式中、30は濾過した血清の25cm3+H2SO4の5cm3に相当し、10は10cm3アリコートに相当する)。Wの値は、全固形分およびラテックスの乾燥
ゴム含量に依存するが、これらの値に有意な差がある場合にのみ再計算する必要がある。表10は、いくつかの典型的Wの値を示す。血清の体積Sは、次のように計算される。S=(100−DRC)/(1.02×2)(式中、DRC=ラテックスの乾燥ゴム含量の百分率、1.02は血清の比重である)。
【0115】
【表10】

【0116】
実施例18.ホウ酸保存剤を含む非バラゴムノキラテックス製品格子におけるホウ酸の測定方法
グアユールラテックス中のホウ酸含量を測定するために、約0.02gのホウ酸を含むラテックスの量をpH7.5に調整し、このpHにおいて、ホウ酸は実質的に解離していない状態にある。次にマンニトールを過剰に加えて、強い酸性のホウ酸−マンニトール複合体を形成する。ラテックス中に存在するホウ酸と等量の水素イオンが遊離し、pHが降下する。ラテックスのpHをその元の値まで回復するために必要なアルカリの量から、ホウ酸を測定する。ラテックス中のホウ酸の百分率(質量を基準)を以下のようにして計算する。ホウ酸(H33)=6.18×M×V/M(式中、M=NaOH溶液のモル、V=ラテックスのpHを7.50に回復するために必要なNaOH溶液の体積(cm3)、お
よびM=ラテックス標本の質量(g))
実施例19.非バラゴムノキラテックス製品の試験における精度および偏りの測定方法
各試験方法の精度は、バラゴムノキ(Hevea brasiliensis)からの3つの異なる天然ゴム格子の実験室間研究から推定し、グアユールラテックスに対して外挿する。グアユールラテックス試験の報告には、入手可能な場合には精度と偏りの情報も含める。
【0117】
実施例20.非バラゴムノキラテックスに対するグアユール基準試験の結果
試験は、市販の1型および2型のバラゴムノキラテックスに対するASTMD1076−02基準の規定値の規定値に記載の手順に従って行う。試験は、グアユールラテックスに対して本願に開示の方法によっても行い、全固形分(%);乾燥ゴム含量(%);全アルカリ度、KOH(%ラテックスとして);粘度;スラッジ含量;凝塊含量;KOH数;pH;機械的安定性;銅(ppm)およびマンガン(ppm);密度(mg/m3);タ
ンパク質含量、および揮発性脂肪酸について、蒸気に開示の方法に従って調べる。表11および12は、開示の方法に従って調べたグアユールラテックス試料に対する実際の特定のデータを示す。表11において、調べたグアユールラテックス試料は、遠心分離およびクリーミングによって処理する。しかしながら、表12は、(1)遠心分離だけを行った、および(2)遠心分離とクリーミングを行ったグアユールラテックス試料に対する実験結果を示す。表12は、(1)KOHで緩衝した、および(2)アンモニア処理したものについての結果も示す。
【0118】
表11に示すように、グアユールラテックスは、全固形分(%);乾燥ゴム含量(%);全アルカリ度、KOH(%ラテックスとして);粘度;スラッジ含量;凝塊含量;KOH数;pH;機械的安定性;銅およびマンガン;密度(mg/m3)、色および臭気につ
いて、1型および2型バラゴムノキラテックスと同等の結果を示す。表12に示すように、様々なバッファおよびアンモニア組成を有するグアユールラテックスもまた、1型および2型バラゴムノキラテックスと同等の結果を示す。
【0119】
【表11】

【0120】
【表12】

【0121】
実施例21.非バラゴムノキラテックスに対するELISAアッセイD6499および改変Lowry法D5712試験の結果
グアユールラテックスから作製したラテックス手袋の試料を秤量し測定し、裁断して、表面全体がバッファと接触できるようにする。抽出は、pH7.4の100mMリン酸緩衝生理食塩水(PBS)中、25°±5℃で、抽出比を5:1(mLバッファ/グラム試料)として、一定撹拌を行いながら2時間行う。ラテックス抽出物を遠心分離して粒子を除去し、ASTMD6499基準プロトコルを用いたELISA阻害アッセイ、ASTMD5712基準プロトコルを用いた改変Lowry法、およびASTMD5712基準プロトコルを用いたバックグラウンド減算法により、アッセイを行う。
【0122】
ELISA阻害アッセイについては、7つの2倍希釈系列をぞれぞれ2系列ずつ用いて試料をアッセイし、標準ASTMD6499プロトコルに従って行う。得られるデータは、非配合、アンモニア処理ラテックスから抽出したラテックスタンパク質を対照として用いて計算し、データを抗原性ラテックスタンパク質として、マイクログラム/試料1グラムおよびマイクログラム/dm2の単位で示す。
【0123】
改変Lowry法については、3つの抽出物をデオキシコール酸/トリクロロ酢酸/リンタングステン酸で沈殿させ、NaOH中に再懸濁し、標準ASTMD5712プロトコルを用いて試験する。4つの2倍希釈系列をぞれぞれ2系列ずつ用いて試料をアッセイし、結果を、得られるデータに対する参照標準としてのオボアルブミンを用いて計算し、表13に示すように、マイクログラムタンパク質/dm2で示す。
【0124】
【表13】

【0125】
本発明の様々な実施形態を上記の詳細な説明において記載している。上記の説明は上記の実施形態を直接記載するものであるが、当業者が、本願に開示および記載した特定の実施形態に対する改変および/または変更を想定しうることが理解されよう。本記載の範囲にあるそのいかなる任意の改変または変更も、それに含まれるものとする。特記しないかぎり、明細書および請求項中の用語および言い回しは、適用可能な技術分野の当業者にとって通常の習慣的な意味で与えられているものとする。
【0126】
前述の好ましい実施形態および本願出願時に出願人によって知られている最良の形態の記載は、説明と記載の目的で示したものである。網羅的なものではないし、開示の細かな形態および上記教示に鑑みて可能な多くの改変および変更に本発明を限定するような意図は全くない。実施形態は、本発明の原理とその実施用途を最適に説明するために選ばれ、記載されたものであって、他の当業者が、意図される個々の使用に適するように様々な実施形態および様々な改変を伴って最適に利用できるようにするものである。したがって、本発明は、本発明を実施するために開示した特定の実施形態に限定されることはない。
【図面の簡単な説明】
【0127】
【図1】バラゴムノキラテックスと非バラゴムノキラテックスタンパク質とを比較するイムノブロット図である。
【図2】バラゴムノキラテックス手袋および様々な硫黄含量のグアユールラテックス手袋フィルムの引張強度を示すグラフ。
【図3】バラゴムノキラテックス手袋および様々な硫黄含量のグアユールラテックスフィルムにおける破断点伸度レベルを示すグラフ。
【図4】粘度計によって測定したグアユールラテックスおよびバラゴムノキラテックスの粘度を、1分あたりの回転数(RPM)で示したグラフ。
【図5】異なる量の2つの安定化化合物の存在下におけるグアユールラテックスの機械的安定性を示したグラフ。
【図6】様々な硫黄含量の非老化および老化グアユールラテックスフィルムの破断点伸度を、同等の硫黄含量の非老化および老化バラゴムノキラテックスフィルムと比較して示したグラフ。
【図7】様々な硫黄含量の非老化および老化グアユールラテックスフィルムの引張応力を、同等の硫黄含量の非老化および老化バラゴムノキラテックスフィルムと比較して示したグラフ。
【図8】ゴム手術用手袋に対するASTMD3577−01基準規定に対して比較した、老化および非老化バラゴムノキラテックスフィルムと比較した非老化および老化グアユールラテックスフィルムの様々な特性を示す棒グラフ。
【図9】グアユールラテックスフィルムとバラゴムノキラテックスフィルムの物理的性質を比較したグラフ。
【図10A】グアユールラテックスフィルムとバラゴムノキラテックスフィルムの収縮−弛緩特性を比較したグラフ。
【図10B】グアユールラテックスフィルムとバラゴムノキラテックスフィルムの収縮−弛緩特性を比較したグラフ。
【図11】グアユールラテックス手袋のハイドロゲルコーティングに対する3つの選択肢を示すフローチャート。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
非バラゴムノキ植物に由来するゴムからなるエラストマー材料からなるラテックス製品であって、該エラストマー材料は、検出可能量のASTMD6499に従って測定されるバラゴムノキ抗原性タンパク質を含まず、ASTMD5712に従って測定されるラテックスの乾燥重量1グラムあたり約200マイクログラム以下の全タンパク質含量を有し、かつ水蒸気および液体の水に対して実質的な不浸透性であるという特徴を有するラテックス製品。
【請求項2】
非バラゴムノキ植物はグアユールであることを特徴とする請求項1に記載のラテックス製品。
【請求項3】
バラゴムノキ抗原性タンパク質は、Hevb1、Hevb3、Hevb2、Hevb4、Hevb6.01、Hevb6.02、Hevb6.03、Hevb7.01、Hevb7.02、Hevb11、Hevb12、Hevb5、Hevb8、Hevb9およびHevb10からなる群より選択されることを特徴とする請求項1に記載のラテックス製品。
【請求項4】
ASTMD6499に従って測定されるいかなる検出可能な量のバラゴムノキ抗原性タンパク質も有しないという特徴をさらに含む請求項1に記載のラテックス製品。
【請求項5】
バラゴムノキ抗原性タンパク質は、Hevb1、Hevb3、Hevb2、Hevb4、Hevb6.01、Hevb6.02、Hevb6.03、Hevb7.01、Hevb7.02、Hevb11、Hevb12、Hevb5、Hevb8、Hevb9およびHevb10からなる群より選択されることを特徴とする請求項4に記載のラテックス製品。
【請求項6】
エラストマー材料が、約10分の1パーセント以上の全アルカリ度の特徴を有することをさらに含む請求項1に記載のラテックス製品。
【請求項7】
エラストマー材料が、検出可能な臭気を含まないという特徴を有することをさらに含む請求項1に記載のラテックス製品。
【請求項8】
疎水性タンパク質と親水性タンパク質の比が、約9:1以上であるという特徴をさらに含む請求項1に記載のラテックス製品。
【請求項9】
エラストマー材料の少なくとも1つの層をさらに含む請求項1に記載のラテックス製品。
【請求項10】
前記エラストマー材料の層は、第2のラテックス製品に対するコーティングからなり、第2のラテックス製品はバラゴムノキラテックス製品および合成ラテックス製品からなる群より選択されることを特徴とする請求項9に記載のラテックス製品。
【請求項11】
非バラゴムノキ、非グアユールラテックス製品は、ホルトソウ、マリオーラ(mariola)、ラビットブラッシュ、トウワタ、アキノキリンソウ、ペールインディアンプランタン、ロシアタンポポ、マウンテンミント、アメリカニガクサ、マダガスカルゴムブドウ、およびトールベルフラワーからなる群より選択されるゴム生産種に由来することを特徴とする請求項10に記載のラテックス製品。
【請求項12】
エラストマー材料の層は、4つの指収容部、親指収容部、およびヒトの手を覆うことのできることを含む構成を有することをさらに含む請求項9に記載のラテックス製品。
【請求項13】
エラストマー材料は、医療機器の一部を構成することを特徴とする請求項1に記載のラテックス製品。
【請求項14】
医療機器は、手袋、カテーテル、医療用接着剤、創傷ケア製品、臨床検査機器、アッセイ、使い捨て可能キット、薬物容器、注射器、バルブ、シール、ポート、プランジャ、鉗子、ドロッパ、ストッパ、包帯、包帯剤、試験シート、内部機器用シース、溶液バッグ、バルーン、温度計、スパチュラ、チューブ類、結合剤、針カバー、止血帯、テープ、マスク、聴診器、圧迫帯、ストラップ、インフレーションシステム、ギブス、スプリント、頸部カラー、および松葉杖からなる群より選択されることを特徴とする請求項13に記載のラテックス製品。
【請求項15】
低アレルゲン性のラテックス製品の同定方法であって、
同定用にラテックス製品から試料を得る工程と、
ASTMD6499に従って試料中のバラゴムノキ抗原性タンパク質の有無を検出する工程と、
ASTMD5712に従って試料中の全タンパク質含量を測定する工程と、
いかなるバラゴムノキ抗原性タンパク質も検出されず、全タンパク質量がラテックスの乾燥重量1グラムあたり約200マイクログラム以下である場合に、試料が低アレルゲン性であると判定する工程とを含む方法。
【請求項16】
バラゴムノキ抗原性タンパク質は、Hevb1、Hevb3、Hevb2、Hevb6.01、Hevb6.02、Hevb6.03、Hevb7.01、Hevb7.02、Hevb11、Hevb12、Hevb5、Hevb8、Hevb9およびHevb10からなる群より選択されることを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項17】
ASTMD6499に従って測定される複数のバラゴムノキ抗原性タンパク質の組の有無を検出することをさらに含む請求項15に記載の方法。
【請求項18】
バラゴムノキ抗原性タンパク質の組は、Hevb1、Hevb3、Hevb2、Hevb4、Hevb6.01、Hevb6.02、Hevb6.03、Hevb7.01、Hevb7.02、Hevb11、Hevb12、Hevb5、Hevb8、Hevb9およびHevb10からなる群より選択される2つまたはそれ以上のバラゴムノキ抗原性タンパク質を含むことを特徴とする請求項17に記載の方法。
【請求項19】
試料の疎水性タンパク質対親水性タンパク質の比を測定する工程と、疎水性タンパク質と親水性タンパク質の比が約9:1以上である場合に試料が低アレルゲン性であると判定する工程とをさらに含む請求項15に記載の方法。
【請求項20】
試料の全アルカリ度を判定する工程と、全アルカリ度が約10分の1パーセント以上である場合に試料が低アレルゲン性であると判定する工程とをさらに含む請求項15に記載の方法。
【請求項21】
試料から放出される臭気の有無を検出する工程と、試料から検出可能な臭気が放出されていない場合に該試料が低アレルゲン性であると判定する工程とをさらに含む請求項15に記載の方法。
【請求項22】
グアユール植物に由来するゴムからなる乾燥フィルムからなるラテックス製品であって、該乾燥フィルムは、検出可能量のASTMD6499に従って測定されるバラゴムノキ抗原性タンパク質を含まず、ラテックスの乾燥重量1グラムあたり約200マイクログラム
以下のASTMD5712に従って測定される全タンパク質含量を有し、かつ水蒸気および液体の水に対して実質的な不浸透性であるという特徴を有するラテックス製品。
【請求項23】
4つの指収容部、親指収容部、およびヒトの手を覆うことのできることを含む構成を有するエラストマー材料からなる手袋であって、該エラストマー材料は、グアユール植物に由来するゴムからなり、該エラストマー材料は、検出可能量のASTMD6499に従って測定されるバラゴムノキ抗原性タンパク質を含まず、ラテックスの乾燥重量1グラムあたり約200マイクログラム以下のASTMD5712に従って測定される全タンパク質含量を有し、かつ病原性のヒトウィルスに対して不透性であるという特徴を有するラテックス製品。
【請求項24】
グアユール植物に由来するゴムからなるエラストマー材料からなるカテーテルであって、該エラストマー材料は、検出可能量のASTMD6499に従って測定されるバラゴムノキ抗原性タンパク質を含まず、ラテックスの乾燥重量1グラムあたり約200マイクログラム以下のASTMD5712に従って測定される全タンパク質含量を有し、かつ水蒸気および液体の水に対して実質的な不浸透性であるという特徴を有するカテーテル。
【請求項25】
哺乳類精子が哺乳類卵子に受精することを防止することのできる装置であって、該装置はエラストマー材料からなるバリアからなり、該エラストマー材料は、グアユール植物に由来するゴムからなり、該エラストマー材料は、検出可能量のASTMD6499に従って測定されるバラゴムノキ抗原性タンパク質を含まず、ラテックスの乾燥重量1グラムあたり約200マイクログラム以下のASTMD5712に従って測定される全タンパク質含量を有し、かつ哺乳類の精子に対して不透性であるという特徴を有する装置。
【請求項26】
バリアは、男性用コンドーム、女性用コンドーム、スポンジ、子宮頸管キャップ、およびペッサリーからなる群より選択されることを特徴とする請求項25に記載の装置。
【請求項27】
グアユール植物に由来するゴムからなるエラストマー材料からなるデンタルダムであって、該エラストマー材料は、検出可能量のASTMD6499に従って測定されるバラゴムノキ抗原性タンパク質を含まず、ラテックスの乾燥重量1グラムあたり約200マイクログラム以下のASTMD5712に従って測定される全タンパク質含量を有し、水蒸気および液体の水に対して実質的な不浸透性であるという特徴を有するデンタルダム。
【請求項28】
壁部と、閉端と、開端とを有する本体からなるコンドームであって、該壁部は内面および外面を含む突出部を画成し、本体は、グアユール植物に由来するゴムからなるエラストマー材料からなり、該エラストマー材料は、検出可能量のASTMD6499に従って測定されるバラゴムノキ抗原性タンパク質を含まず、ラテックスの乾燥重量1グラムあたり約200マイクログラム以下のASTMD5712に従って測定される全タンパク質含量を有し、かつ病原性ヒトウィルスに対して不透性であるという特徴を有するコンドーム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図11】
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【図9】
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【図10A】
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【図10B】
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【公表番号】特表2009−536978(P2009−536978A)
【公表日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−509533(P2009−509533)
【出願日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【国際出願番号】PCT/US2006/018906
【国際公開番号】WO2007/136364
【国際公開日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【出願人】(508326699)ユーレックス コーポレイション (4)
【氏名又は名称原語表記】YULEX CORPORATION
【Fターム(参考)】