説明

非天然アミノ酸フェニルセレノシステインを含有するタンパク質の遺伝的にプログラムされた発現

本発明は、非天然アミノ酸フェニルセレノシステインを大腸菌(E.coli)などの真正細菌宿主細胞内で生成されたタンパク質に組み込める、tRNAおよびアミノアシル−tRNAシンセターゼの直交対に関する。本発明は、例えば新規な直交性アミノアシル−tRNAシンセターゼ、新規なシンセターゼ分子をコードするポリヌクレオチド、新規なシンセターゼを同定して作成する方法、非天然アミノ酸フェニルセレノシステインおよび翻訳系を含有するタンパク質を生成する方法を提供するがこれに限定されるものではない。本発明は、タンパク質中のフェニルセレノシステイン残基を標的とした変性を通じて変性タンパク質(例えば脂質付加タンパク質)を生成する方法をさらに提供する。


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【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)フェニルセレノシステインである第1の非天然アミノ酸、
(b)第1の直交性アミノアシル−tRNAシンセターゼ(O−RS)、および
(c)第1の直交性tRNA(O−tRNA)
を含んでなり、前記第1のO−RSが、前記第1のO−tRNAを前記フェニルセレノシステインで優先的にアミノアシル化する、翻訳系。
【請求項2】
前記第1のO−RSが、前記O−tRNAと、前記フェニルセレノシステインと、配列番号4、6または8のアミノ酸配列を含んでなるアミノアシル−tRNAシンセターゼとを含んでなる翻訳系について観察される効率の少なくとも50%の効率で、前記第1のO−tRNAを前記フェニルセレノシステインで優先的にアミノアシル化する、請求項1に記載の翻訳系。
【請求項3】
前記第1のO−RSが、配列番号4、6、8で記載されるアミノ酸配列とその保存的変異型とからなる群から選択されるアミノ酸配列を含んでなる、請求項1に記載の翻訳系。
【請求項4】
前記第1のO−tRNAがアンバー抑圧遺伝子tRNAである、請求項1に記載の翻訳系。
【請求項5】
前記第1のO−tRNAが、配列番号1で記載されるポリヌクレオチド配列を含んでなり、またはそれによってコードされる、請求項1に記載の翻訳系。
【請求項6】
対象とするタンパク質をコードする核酸をさらに含んでなり、前記核酸が少なくとも1つのセレクターコドンを含んでなり、前記セレクターコドンが前記第1のO−tRNAによって認識される、請求項1に記載の翻訳系。
【請求項7】
第2のO−RSおよび第2のO−tRNAをさらに含んでなり、第2のO−RSが第2のO−tRNAを第1の非天然アミノ酸とは異なる第2の非天然アミノ酸で優先的にアミノアシル化し、第2のO−tRNAが第1のO−tRNAによって認識されるセレクターコドンとは異なるセレクターコドンを認識する、請求項6に記載の翻訳系。
【請求項8】
前記第1の非天然アミノ酸、前記第1のO−RS、および前記第1のO−tRNAを含んでなる宿主細胞を含んでなる、請求項1に記載の翻訳系。
【請求項9】
前記宿主細胞が真正細菌細胞である、請求項8に記載の翻訳系。
【請求項10】
前記真正細菌細胞が大腸菌(E.coli)細胞である、請求項9に記載の翻訳系。
【請求項11】
前記宿主細胞が前記第1のO−RSをコードするポリヌクレオチドを含んでなる、請求項8に記載の翻訳系。
【請求項12】
前記ポリヌクレオチドが配列番号5、7または9で記載されるヌクレオチド配列を含んでなる、請求項11に記載の翻訳系。
【請求項13】
前記宿主細胞が前記第1のO−tRNAをコードするポリヌクレオチドを含んでなる、請求項8に記載の翻訳系。
【請求項14】
(a)(i)フェニルセレノシステインである第1の非天然アミノ酸、
(ii)第1の直交性アミノアシル−tRNAシンセターゼ(O−RS)、
(iii)第1の直交性tRNA(O−tRNA)、および
(iv)タンパク質をコードする核酸
を含んでなり、前記第1のO−RSが前記第1のO−tRNAを前記フェニルセレノシステインで優先的にアミノアシル化し、前記核酸が前記第1のO−tRNAによって認識される少なくとも1つのセレクターコドンを含んでなる、翻訳系を提供するステップと、
(b)前記セレクターコドンに応答して、前記タンパク質の翻訳中に、前記非天然アミノ酸を前記タンパク質中の前記選択された位置に組み込み、それによって前記非天然アミノ酸を選択された位置に含んでなるタンパク質を生成するステップと
を含んでなる、選択された位置に非天然アミノ酸を含んでなるタンパク質を翻訳系中で生成する方法。
【請求項15】
前記第1のO−RSが、前記O−tRNAと、前記フェニルセレノシステインと、配列番号4、6または8のアミノ酸配列を含んでなるアミノアシル−tRNAシンセターゼとを含んでなる翻訳系について観察される効率の少なくとも50%の効率で、前記第1のO−tRNAを前記フェニルセレノシステインで優先的にアミノアシル化する、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記翻訳系が前記O−RSをコードするポリヌクレオチドを含んでなる、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
翻訳系を提供する前記ステップが、配列番号4、6、8で記載されるアミノ酸配列とその保存的変異型とからなる群から選択されるアミノ酸配列を含んでなるO−RSを提供するステップを含んでなる、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
第1の直交性アミノアシル−tRNAシンセターゼを提供する前記ステップが、部位特異的変異誘発によって野生型アミノアシル−tRNAシンセターゼのアミノ酸結合ポケットを変異させるステップと、前記O−tRNAを前記非天然アミノ酸で優先的にアミノアシル化する得られたO−RSを選択し、それによって前記第1の直交性アミノアシル−tRNAシンセターゼを提供するステップを含んでなる、請求項14に記載の方法。
【請求項19】
前記選択するステップが、前記部位特異的変異誘発に続いて生成した複数の突然変異アミノアシル−tRNAシンセターゼ分子を含んでなるプールから、前記O−RSをポジティブに選択し、およびネガティブに選択するステップを含んでなる、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
翻訳系を提供する前記ステップが、前記O−tRNAをコードするポリヌクレオチドを提供するステップを含んでなる、請求項14に記載の方法。
【請求項21】
翻訳系を提供する前記ステップが、アンバー抑圧遺伝子tRNAであるO−tRNAを提供するステップを含んでなる、請求項14に記載の方法。
【請求項22】
翻訳系を提供する前記ステップが、前記O−tRNAをコードするかまたはそれを含んでなる核酸を提供するステップを含んでなり、前記核酸が配列番号1で記載されるポリヌクレオチド配列を含んでなる、請求項14に記載の方法。
【請求項23】
翻訳系を提供する前記ステップが、前記O−RSをコードする核酸を提供するステップを含んでなり、前記核酸が配列番号5、7または9で記載されるポリヌクレオチド配列を含んでなる、請求項14に記載の方法。
【請求項24】
翻訳系を提供する前記ステップが、アンバーセレクターコドンを含んでなる核酸を提供するステップを含んでなる、請求項14に記載の方法。
【請求項25】
さらに前記タンパク質が前記第1の非天然アミノ酸とは異なる第2の非天然アミノ酸を含んでなり、前記翻訳系が第2のO−RSおよび第2のO−tRNAをさらに含んでなり、第2のO−RSが第2のO−tRNAを第1の非天然アミノ酸とは異なる第2の非天然アミノ酸で優先的にアミノアシル化し、第2のO−tRNAが第1のO−tRNAによって認識されるセレクターコドンとは異なる核酸中のセレクターコドンを認識する、請求項14に記載の方法。
【請求項26】
翻訳系を提供する前記ステップが、宿主細胞を提供するステップを含んでなり、前記宿主細胞が前記第1の非天然アミノ酸、前記第1のO−RS、前記第1のO−tRNA、および前記核酸を含んでなり、前記組み込むステップが前記宿主細胞を培養するステップを含んでなる、請求項14に記載の方法。
【請求項27】
前記宿主細胞が真正細菌宿主細胞である、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記真正細菌宿主細胞が大腸菌(E.coli)宿主細胞である、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記宿主細胞が前記O−RSをコードする核酸を含んでなる、請求項26に記載の方法。
【請求項30】
前記O−RSをコードする前記核酸が、配列番号5、7または9で記載されるヌクレオチド配列を含んでなる、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
(c)前記フェニルセレノシステインを前記タンパク質中の前記選択された位置で反応させ、前記選択された位置にデヒドロアラニンを含んでなるタンパク質を生成するステップをさらに含んでなる、請求項14に記載の方法。
【請求項32】
前記反応させるステップが酸化的脱離による、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記反応させるステップが前記フェニルセレノシステインを過酸化水素に曝露するステップを含んでなる、請求項31に記載の方法。
【請求項34】
(a)(i)フェニルセレノシステイン非天然アミノ酸、
(ii)直交性アミノアシル−tRNAシンセターゼ(O−RS)、
(iii)直交性tRNA(O−tRNA)、および
(iv)タンパク質をコードする核酸
を含んでなり、前記O−RSが前記O−tRNAを前記フェニルセレノシステインで優先的にアミノアシル化し、前記核酸が前記O−tRNAによって認識される前記選択された位置にセレクターコドンを含んでなる、翻訳系を提供するステップと、
(b)前記セレクターコドンに応答して、前記タンパク質の翻訳中に、フェニルセレノシステインを前記タンパク質中の前記選択された位置に組み込むステップと、
(c)前記フェニルセレノシステインを前記タンパク質中の選択された位置で反応させて、選択された位置にデヒドロアラニンを含んでなるタンパク質を生成するステップと、
(d)前記デヒドロアラニンを前記タンパク質中の選択された位置で脂質部分と反応させて、タンパク質中の選択された位置に脂質およびアミノ酸部分を含んでなるタンパク質を生成するステップと
を含んでなる、選択された位置に脂質部分を含んでなるタンパク質を翻訳系中で生成する方法。
【請求項35】
前記フェニルセレノシステインを前記タンパク質中の選択された位置で反応させる前記ステップが、酸化的脱離による、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記フェニルセレノシステインを前記タンパク質中の選択された位置で反応させる前記ステップが、前記フェニルセレノシステインを過酸化水素に曝露するステップを含んでなる、請求項34に記載の方法。
【請求項37】
前記脂質部分が、チオパルミチン酸、ファルネシルメルカプタン、および1−ヘキサデカンチオールからなる群から選択される、請求項34に記載の方法。
【請求項38】
前記脂質付加アミノ酸部分が、パルミトイルシステイン、ファルネシルシステイン、およびS−ヘキサデシルシステインからなる群から選択される、請求項34に記載の方法。
【請求項39】
前記デヒドロアラニンを前記タンパク質中の選択された位置で反応させる前記ステップが、マイケル付加反応による、請求項34に記載の方法。
【請求項40】
(a)(i)フェニルセレノシステイン非天然アミノ酸、
(ii)直交性アミノアシル−tRNAシンセターゼ(O−RS)、
(iii)直交性tRNA(O−tRNA)、および
(iv)タンパク質をコードする核酸
を含んでなり、前記O−RSが前記フェニルセレノシステインで前記O−tRNAを優先的にアミノアシル化し、前記核酸が前記O−tRNAによって認識される前記選択された位置にセレクターコドンを含んでなる、翻訳系を提供するステップと、
(b)前記セレクターコドンに応答して、前記タンパク質の翻訳中に、前記フェニルセレノシステイン非天然アミノ酸を前記タンパク質中の前記選択された位置に組み込むステップと、
(c)前記フェニルセレノシステインを前記タンパク質中の選択された位置で反応させ、それによって前記デヒドロアラニン非天然アミノ酸を選択された位置に含んでなる前記タンパク質を生成するステップ
を含んでなる、デヒドロアラニン非天然アミノ酸を選択された位置に含んでなるタンパク質を翻訳系中で生成する方法。
【請求項41】
前記フェニルセレノシステインを前記タンパク質中の選択された位置で反応させる前記ステップが、酸化的脱離による、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記フェニルセレノシステインを前記タンパク質中の選択された位置で反応させる前記ステップが、前記フェニルセレノシステインを過酸化水素に曝露するステップを含んでなる、請求項40に記載の方法。
【請求項43】
配列番号4、6、8で記載されるアミノ酸配列とその保存的変異型とからなる群から選択されるアミノ酸配列を含んでなる、ポリペプチドを含んでなる組成物。
【請求項44】
前記保存的変異型ポリペプチドが、前記O−tRNAと、前記非天然アミノ酸と、配列番号4、6または8のアミノ酸配列を含んでなるアミノアシル−tRNAシンセターゼとを含んでなる翻訳系について観察される効率の少なくとも50%の効率で、同族直交性tRNA(O−tRNA)を非天然アミノ酸でアミノアシル化する、請求項43に記載の組成物。
【請求項45】
前記組成物がポリペプチドを含んでなる細胞を含んでなる、請求項43に記載の組成物。
【請求項46】
請求項43に記載のポリペプチドをコードするポリヌクレオチド。
【請求項47】
前記ポリヌクレオチドが配列番号5、7または9のヌクレオチド配列を含んでなる、請求項46に記載のポリヌクレオチド。
【請求項48】
請求項46に記載のポリヌクレオチドを含んでなるベクター。
【請求項49】
請求項46に記載のポリヌクレオチドを含んでなる発現ベクター。
【請求項50】
請求項46に記載のポリヌクレオチドを含んでなるベクターを含んでなる細胞。
【請求項51】
配列番号5、7または9で記載されるヌクレオチド配列を含んでなる、ポリヌクレオチドを含んでなる組成物。

【図1】
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【図2−1】
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【図2−2】
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【図2−3】
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【公表番号】特表2009−529877(P2009−529877A)
【公表日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−500449(P2009−500449)
【出願日】平成19年3月13日(2007.3.13)
【国際出願番号】PCT/US2007/006382
【国際公開番号】WO2007/109035
【国際公開日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【出願人】(593052785)ザ スクリップス リサーチ インスティテュート (91)
【Fターム(参考)】