説明

非対称モノアザメチンシアニンの製造方法

【課題】
各種の複素環の組合せを持つ非対称モノアザメチンシアニン類を、工業的に有利な製造方法、具体的には少ない反応工程数で特殊な設備を用いる必要のない製造方法を提供すること。
【解決手段】
二種の2−アミノ複素環類を、アルキル化剤の存在下溶媒中で反応させることにより、公知のシアニン色素合成における前駆体であるアゾール誘導体のN−アルキル化オニウム塩を単離することなく、ワンポット反応で所望の非対称モノアザメチンシアニンを得る製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非対称型構造モノアザメチンシアニン化合物の工業的に有用な製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
モノアザメチンシアニン類は、機能性材料用色素、写真用感光色素、染料あるいは医薬品として重要な化合物である。特に、その光吸収波長領域が青色レーザーによる記録及び再生に適していることから、高密度光記録メディア用色素としての用途が期待されている化合物群である。
【0003】
モノアザメチンシアニン類を機能性色素材料として用いる場合、それらモノアザメチンシアニンの吸収波長を制御することが機能設計上極めて重要となる。モノアザメチンシアニンの吸収波長は、主にアゾール環の窒素原子を1位とした場合の3位の原子種によって幅広く調整することが可能である。換言すれば、アゾール環の3位の原子種を固定化してしまうと吸収波長の調整が狭い範囲でしか制御できず、それは機能設計を困難にさせることを意味している。したがって吸収波長を精密に制御するため、3位の原子種が異なるアゾール環を組み合わせた非対称型のモノアザメチンシアニンが機能設計上極めて重要である。
【0004】
モノアザメチンシアニンの製造方法に関しては、過去に数例報告がなされている。
【0005】
例えば、式1に示すような製造方法が報告されている。すなわち、2−アミノアゾール化合物ならびに2−アルキルチオアゾール化合物をそれぞれN−アルキル化してオニウム塩を合成する。その後、ピリジン溶媒中還流下でそれらオニウム塩同士を縮合反応させるという方法である(特許文献1、非特許文献1)。この方法では、2−チオアゾール類、2−アミノアゾール類をそれぞれ単独でアルキル化しなければならず、工程が増え操作が煩雑になるという問題があった。また、それらオニウム塩類を単離する過程で晶析しきれなかった目的物を系外へロスしてしまうという問題があり、収率的に不利になる可能性があった。加えて、縮合工程の溶媒として高価でかつ臭気の強いピリジンを用いることから工業的製法としては不向きであった。

【化8】

【0006】
また、式2のように2−アミノベンゾチアゾールとp−トルエンスルホン酸3,3−ジメチルブチルエステルとの反応で3位の窒素原子をアルキル化してオニウム塩とした後に、p−トルエンスルホン酸を加え178℃で反応させるという方法が報告されている(特許文献2)。この方法も先の特許文献1及び非特許文献1と同様、アルキル化反応工程と縮合反応工程という二つの工程を経なければならず、工程が煩雑になるという問題があった。また、縮合工程で178℃という高温が必要であることから特殊な加熱装置が必要であり工業的に汎用性の高い方法とはいえなかった。加えて、この方法ではベンゾチアゾール対称型のモノアザメチンシアニンしか得ることができず、非対称型のモノアザメチンシアニンを製造できないという決定的な欠点があった。
【化9】

【0007】
一方、式3のようなニトロソ化合物とグリニア化合物を室温で反応する方法が報告されている(非特許文献2)。この方法は、原料であるニトロソ化合物、グリニア化合物ともに極めて調製が困難であり、工業的に採用できる方法ではなかった。更にこの方法では、ベンゾチアゾール対称型のモノアザメチンシアニン以外の合成例はなく、非対称型のモノアザメチンシアニンを合成したという報告はなされていない。
【化10】

【0008】
また、アンモニアを溶解させたトリエチレングリコール中へ式4のような2−メチルチオ−3−メチルベンゾチアゾリウム塩を入れ、100℃で反応させる方法が報告されている(非特許文献3)。この方法は、前述した例と同様にアルキル化反応工程と縮合反応工程という二つの工程を経なければならないという問題があった。加えて、アンモニアが溶解した反応溶液を加熱するため加圧容器が必要であるという点で、工業的製法として採択し難いという問題があった。更にこの方法では、ベンゾチアゾール対称型のモノアザメチンシアニン以外の合成例がなく、非対称型のモノアザメチンシアニンを合成したという報告はなされていない。

【化11】

【0009】
また、式5のようなトリアザメチンシアニンに塩基を作用させ、脱窒素反応によってモノアザメチンシアニンを得るという方法が報告されている(非特許文献4)。しかしながら、この方法では、原料のトリアザメチンシアニン自体入手及び調製が困難であるという問題があった。更にこの方法では、ベンゾチアゾール対称型のモノアザメチンシアニン以外の合成例がなく、非対称型のモノアザメチンシアニンを合成したという報告はなされていない。
【化12】

【0010】
2−アミノベンゾチアゾール類をハロゲン化アルキルによりアルキル化した際、偶然ではあるが少量のモノアザメチンシアニンが生成したという報告がなされている(非特許文献5、非特許文献6)。これらの例は、反応の副生物として少量のモノアザメチンシアニン生成が認められたのみであり、収率が極めて低く工業的製法には適さなかった。また、これら文献でも非対称型のモノアザメチンシアニンが生成したという報告はなされていない。
【化13】

【0011】
以上のような背景から、アゾール環同士の多様な組み合わせが可能であり、かつ工業的に簡便な方法でモノアザメチンシアニンを合成できる技術開発が切望されていた。
【特許文献1】特開平10−60295
【非特許文献1】J. Indian Chem. Soc., 47(12) 1121-1128(1970)
【特許文献2】特表2004−532141
【非特許文献2】Heterocycles, 2(5), 555 (1974)
【非特許文献3】Chem. zvesti,33(4), 558-568 (1979)
【非特許文献4】Chimia 20(9), 318-323 (1966)
【非特許文献5】Australian J. of Chemistry 36(11) 2307-2315 (1983)
【非特許文献6】Khimiya Geterotsiklicheskikh Soedinenii,(9), 1273-1278 (1996)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
従って、本発明の課題は各種の複素環の組合せを持つ非対称モノアザメチンシアニンの工業的に有利な製造方法、具体的には少ない反応工程数で特殊な設備を用いる必要のない製造方法を提供することにある。

【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、2−アミノ複素環類とアルキル化剤とを有機溶媒中で反応させることにより、複素環を構成している窒素原子アルキル化反応と縮合反応という二つの反応工程を連続的に進行させ、所望のモノアザメチンシアニンをワンポットで合成できることを見出した。更には原料として2種類の2−アミノ複素環類を同時に仕込んで反応することより、非対称型のモノアザメチンシアニンが得られるという工業的に有利なモノアザメチンシアニンの製造方法を見出し、本発明を完成するに至った。
【0014】
すなわち、本発明は次の(1)から(3)の方法により達成された。
(1)一般式(1)で表される2−アミノ複素環類と一般式(2)で表される2−アミノ複素環類を一般式(3)で表されるアルキル化剤の存在下反応させることを特徴とする一般式(4)で表されるモノアザメチンシアニンの製造方法。
【0015】
【化14】

(一般式(1)において、Rは水素原子または置換基を表し、A及びAはそれぞれ独立して水素原子または置換基を表し、AとAは連結基を介して環を形成しても良く、YはN−R12、O、S、Se、TeまたはC(R13を表し、R12およびR13はそれぞれ水素原子またはアルキル基を表す。)
【0016】
【化15】

(一般式(2)において、Rは水素原子または置換基を表し、A及びAはそれぞれ独立して水素原子または置換基を表し、AとAは連結基を介して環を形成しても良く、YはN−R14、O、S、Se、TeまたはC(R15を表し、R14およびR15はそれぞれ水素原子またはアルキル基を表す。)
【0017】
【化16】

(一般式(3)において、Rは置換基を有しても良いアルキル基を表し、Xは陰イオンになり得る原子または原子団を表し、Xの結合手が2以上ある場合はRとXとで環を形成しても良い。)
【0018】
【化17】

(一般式(4)において、A、A、AおよびAは前記一般式(1)及び一般式(2)と同義であり、Rは置換基を有しても良いアルキル基であり、Xは陰イオンを表し、但しXの結合手が2以上ある場合、RとXが結合していても良く、YおよびYは前記一般式(1)および一般式(2)と同義であり、但しYとYは互いに異なる。)
【0019】
(2)一般式(5)で表される2−アミノ複素環類と一般式(6)で表される2−アミノ複素環類を前記一般式(3)で表されるアルキル化剤の存在下反応させることを特徴とする一般式(7)で表されるモノアザメチンシアニンの製造方法。
【0020】
【化18】

(一般式(5)において、Rは水素原子または置換基を表し、R、R、RおよびRはそれぞれ独立して水素原子または置換基を表し、RとR、RとR、RとRはそれぞれ独立に連結基を介して環を形成しても良く、YはN−R12、O、S、Se、TeまたはC(R13を表し、R12およびR13はそれぞれ水素原子またはアルキル基を表す。)
【0021】
【化19】

(一般式(6)において、Rは水素原子または置換基を表し、R、R、R10およびR11はそれぞれ独立して水素原子または置換基を表し、RとR、RとR10、R10とR11はそれぞれ独立に連結基を介して環を形成しても良く、YはN−R14、O、S、Se、TeまたはC(R15を表し、R14およびR15はそれぞれ水素原子またはアルキル基を表す。)
【0022】
【化20】

(一般式(7)において、R、R、R、R、R、R、R10およびR11は前記一般式(5)および一般式(6)と同義であり、Rは置換基を有しても良いアルキル基であり、Xは陰イオンを表し、但しXの結合手が2以上ある場合、RとXが結合していても良く、YおよびYは前記一般式(5)および一般式(6)と同義であり、但しYとYは互いに異なる。)
【0023】
(3)YおよびYのどちらか一方がO、残るもう一方がSであることを特徴とする(1)または(2)記載のモノアザメチンシアニンの製造方法。

【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、各種のアゾール骨格の組合せを持つ非対称モノアザメチンシアニンを、工業的に有利な方法で製造することが可能となる。

【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明を実施するための最良の形態について詳述するが、本発明はこれにより限定されるものではない。
【0026】
本発明において、一般式(1)中のRならびに一般式(2)中のRは水素原子または置換基を表す。置換基として具体的には、アルキル基(好ましくは炭素数1〜16の直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基で、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、s−ブチル、t−ブチル、n−オクチル、トリデシル)、シクロアルキル基(好ましくは炭素数3〜8のシクロアルキル基で、例えば、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、1−ノルボルニル、1−アダマンチル)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜32のアルケニル基で、例えば、ビニル、アリル、3−ブテン−1−イル)、アリール基(好ましくは炭素数6〜32のアリール基で、例えば、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル)等が挙げられる。この中でRとして好ましくは水素原子またはアルキル基である。
【0027】
一般式(1)におけるA及びAならびに一般式(2)におけるA及びAはそれぞれ独立して水素原子または置換基を表し、AとA、AとAは連結基を介して環を形成しても良い。A及びAならびにA及びAの具体的な置換基としては、それぞれ独立してアルキル基(好ましくは炭素数1〜32の直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基で、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、s−ブチル、t−ブチル、n−オクチル、トリデシル)、シクロアルキル基(好ましくは炭素数3〜8のシクロアルキル基で、例えば、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、1−ノルボルニル、1−アダマンチル)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜32のアルケニル基で、例えば、ビニル、アリル、3−ブテン−1−イル)、アリール基(好ましくは炭素数6〜32のアリール基で、例えば、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル)、ヘテロ環基(好ましくは炭素数1〜32の、5〜8員環のヘテロ環基で、例えば、2−チエニル、4−ピリジル、2−フリル、2−ピリミジニル、1−ピリジル、2−ベンゾチアゾリル、1−イミダゾリル、1−ピラゾリル、ベンゾトリアゾール−2−イル)、シアノ基、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子)、ヒドロキシル基、ニトロ基、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜32のアルコキシ基で、例えば、メトキシ、エトキシ、1−ブトキシ、2−ブトキシ、イソプロポキシ、t−ブトキシ、ドデシルオキシ)、シクロアルキルオキシ基(好ましくは炭素数4〜32のシクロアルキルオキシ基で、例えば、シクロペンチルオキシ、シクロヘキシルオキシ)、アリールオキシ基(好ましくは炭素数6〜32のアリールオキシ基で、例えば、フェノキシ、2−ナフトキシ)、ヘテロ環オキシ基(好ましくは炭素数1〜32のヘテロ環オキシ基で、例えば、1−フェニルテトラゾール−5−オキシ、2−テトラヒドロピラニルオキシ、2−フリルオキシ)、シリルオキシ基(好ましくは炭素数1〜32のシリルオキシ基で、例えば、トリメチルシリルオキシ、t−ブチルジメチルシリルオキシ、ジフェニルメチルシリルオキシ)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数2〜32のアシルオキシ基で、例えば、アセトキシ、ピバロイルオキシ、ベンゾイルオキシ、ドデカノイルオキシ)、アルコキシカルボニルオキシ基(好ましくは炭素数2〜32のアルコキシカルボニルオキシ基で、例えば、メトキシカルボニルオキシ、エトキシカルボニルオキシ、t−ブトキシカルボニルオキシ)、シクロアルキルオキシカルボニルオキシ基(好ましくは炭素数4〜32のシクロアルキルオキシカルボニルオキシ基で、例えば、シクロヘキシルオキシカルボニルオキシ)、アリールオキシカルボニルオキシ基(好ましくは炭素数7〜32のアリールオキシカルボニルオキシ基で、例えば、フェノキシカルボニルオキシ)、カルバモイルオキシ基(好ましくは炭素数1〜32のカルバモイルオキシ基で、例えば、N,N−ジメチルカルバモイルオキシ、N−ブチルカルバモイルオキシ)、スルファモイルオキシ基(好ましくは炭素数1〜32のスルファモイルオキシ基で、例えば、N,N−ジエチルスルファモイルオキシ、N−プロピルスルファモイルオキシ)、アルカンスルホニルオキシ基(好ましくは炭素数1〜32のアルカンスルホニルオキシ基で、例えば、メタンスルホニルオキシ、ヘキサデカンスルホニルオキシ)、アレーンスルホニルオキシ基(好ましくは炭素数6〜32のアレーンスルホニルオキシ基で、例えば、ベンゼンスルホニルオキシ)、アシル基(好ましくは炭素数1〜32のアシル基で、例えば、ホルミル、アセチル、ピバロイル、ベンゾイル、テトラデカノイル)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜32のアルコキシカルボニル基で、例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、オクタデシルカルボニル)、シクロアルキルオキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜32のシクロアルキルオキシカルボニル基で、例えば、シクロヘキシルオキシカルボニル)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは炭素数7〜32のアリールオキシカルボニル基で、例えば、フェノキシカルボニル)、カルバモイル基(好ましくは炭素数1〜32のカルバモイル基で、例えば、カルバモイル、N,N−ジブチルカルバモイル、N−エチル−N−オクチルカルバモイル、N−プロピルカルバモイル)、アゾ基(好ましくは炭素数1〜32のアゾ基で、例えば、フェニルアゾ)、アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜32のアルキルチオ基で、例えば、エチルチオ、オクチルチオ)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜32のアリールチオ基で、例えば、フェニルチオ)、ヘテロ環チオ基(好ましくは炭素数1〜32のヘテロ環チオ基で、例えば、2−ベンゾチアゾリルチオ、2−ピリジルチオ、1−フェニルテトラゾリルチオ)、アルキルスルフィニル基(好ましくは炭素数1〜32のアルキルスルフィニル基で、例えば、ドデカンスルフィニル)、アレーンスルフィニル基(好ましくは炭素数6〜32のアレーンスルフィニル基で、例えば、ベンゼンスルフィニル)、アルカンスルホニル基(好ましくは炭素数1〜32のアルカンスルホニル基で、例えば、メタンスルホニル、オクタンスルホニル)、アレーンスルホニル基(好ましくは炭素数6〜32のアレーンスルホニル基で、例えば、ベンゼンスルホニル、1−ナフタレンスルホニル)、スルファモイル基(好ましくは炭素数32以下のスルファモイル基で、例えば、スルファモイル、N,N−ジプロピルスルファモイル、N−エチル−N−ドデシルスルファモイル)、スルホ基、ホスホニル基(好ましくは炭素数1〜32のホスホニル基で、例えば、フェノキシホスホニル、オクチルオキシホスホニル、フェニルホスホニル)等が挙げられる。
【0028】
一般式(1)ならびに一般式(2)において、AとA、AとAが連結基を介して環を形成する場合、その環の具体例としてはベンゼン環、ナフタレン環、アズレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ピレン環、クリセン環、ナフタセン環、トリフェニレン環、o−テルフェニル環、m−テルフェニル環、p−テルフェニル環、アセナフテン環、コロネン環、フルオレン環、フルオラントレン環、ナフタセン環、ペンタセン環、ペリレン環、ペンタフェン環、ピセン環、ピレン環、ピラントレン環、アンスラアントレン環、フラン環、チオフェン環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、トリアジン環、ベンゾイミダゾール環、オキサジアゾール環、トリアゾール環、イミダゾール環、ピラゾール環、チアゾール環、インドール環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾオキサゾール環、キノキサリン環、キナゾリン環、フタラジン環、カルバゾール環、カルボリン環、カルボリン環等が挙げられる。また、これら環は置換基を有していてもよく、その置換基の具体例としてはハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、シリルオキシ基、アシルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、シクロアルキルオキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、カルバモイルオキシ基、スルファモイルオキシ基、アルカンスルホニルオキシ基、アレーンスルホニルオキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、シクロアルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、ウレイド基、スルホンアミド基、スルファモイルアミノ基、イミド基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、スルフィニル基、スルホ基、アルカンスルホニル基、アレーンスルホニル基、スルファモイル基、ホスホニル基等を挙げることができる。
【0029】
一般式(1)において、YはN−R12、O、S、Se、TeまたはC(R13を表し、R12及びR13はそれぞれ水素原子またはアルキル基を表す。したがって、一般式(1)は2−アミノ−2H−ピロール、2−アミノイミダゾール、2−アミノオキサゾール、2−アミノチアゾール、2−アミノセレナゾール、2−アミノテルラゾール、2−アミノインドレニン類が挙げられる。また、前記R12及びR13がアルキル基の場合、具体的には炭素数1〜32の直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基で、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、s−ブチル、t−ブチル、n−オクチル、トリデシル等をそれぞれ挙げることができる。
【0030】
一般式(2)において、YはN−R14、O、S、Se、TeまたはC(R15を表し、R14及びR15はそれぞれ水素原子またはアルキル基を表す。したがって、一般式(1)は2−アミノ−2H−ピロール、2−アミノイミダゾール、2−アミノオキサゾール、2−アミノチアゾール、2−アミノセレナゾール、2−アミノテルラゾール、2−アミノインドレニン類が挙げられる。また、前記R14及びR15がアルキル基の場合、具体的には炭素数1〜32の直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基で、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、s−ブチル、t−ブチル、n−オクチル、トリデシル等をそれぞれ挙げることができる。
【0031】
一般式(3)において、Rは置換基を有しても良いアルキル基を表し具体的には、炭素数1〜32の直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基で、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、s−ブチル、t−ブチル、n−オクチル、トリデシル等を挙げることができる。それらアルキル基は置換基を有していても良く、その置換基の具体例としてはハロゲン原子、シクロアルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、シリルオキシ基、アシルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、シクロアルキルオキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、カルバモイルオキシ基、スルファモイルオキシ基、アルカンスルホニルオキシ基、アレーンスルホニルオキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、シクロアルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、アミノ基、アニリノ基、ヘテロ環アミノ基、カルボンアミド基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、ウレイド基、スルホンアミド基、スルファモイルアミノ基、イミド基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基等を挙げることができる。
【0032】
一般式(3)において、Xは陰イオンになり得る原子または原子団を表し、Xの結合手が2以上ある場合は前記RとXとで環を形成しても良い。その具体的原子または原子団
としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、メタンスルホン酸基、パラトルエンスルホン酸基等が挙げられ、Xの結合手が2以上あり前記RとXとで環を形成する具体例としては、1,3−プロパンサルトン、1,4−ブタンサルトンなどが挙げられる。
【0033】
一般式(4)において、A、A、AおよびAは前記一般式(1)及び一般式(2)と同義であり、Rは置換基を有しても良いアルキル基であり、一般式(3)のRと同義であり、その具体例は前述した通りである。また、Xは陰イオンを表し、その具体例は前述した通りである。YおよびYは前記一般式(1)および一般式(2)と同義であり、その具体例は前述した通りである。但し、ここでYとYは互いに異なることが本発明における重要な要件である。過去、非対称型モノアザメチンシアニンを選択的に得る製造方法は提案されておらず、本発明こそそれを初めて提案するものである。
【0034】
更に、本発明においては、AとA、AとAが連結基を介して環を形成していることが好ましい。それは、得られるモノアザメチンシアニンが機能性色素材料として良好な特性を持つことならびに本発明を実施することで高反応成績が得られるという理由に起因する。更には、AとA、AとAが両者ベンゼン環を形成していることがより好ましい。すなわち、一般式(5)ならびに一般式(6)で表される2−アミノ複素環類を原料として用い、一般式(7)で表されるモノアザメチンシアニンを得ることがより好ましい。
【0035】
一般式(5)において、Rは水素原子または置換基を表し、前記一般式(1)におけるRと同義である。その置換基の具体例においてもRの置換基として前述したものと同様の置換基を挙げることができる。また、R、R、RおよびRはそれぞれ独立して水素原子または置換基を表し、これら置換基の具体例としては先の一般式(1)、一般式(2)及び一般式(3)におけるA、A、A及びAで挙げたものと同様の置換基を挙げることができる。更には、RとR、RとR、RとRはそれぞれ独立に連結基を介して環を形成しても良い。この場合の具体的な環としては、先に一般式(1)、一般式(2)及び一般式(3)におけるAとA、AとAが連結基を介して環を形成する場合に挙げたものと同様の環を挙げることができる。また、YはN−R12、O、S、Se、TeまたはC(R13を表し、R12およびR13はそれぞれ水素原子またはアルキル基を表す。前記R12及びR13がアルキル基の場合、具体的には炭素数1〜32の直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基で、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、s−ブチル、t−ブチル、n−オクチル、トリデシル等をそれぞれ挙げることができる。
【0036】
一般式(6)において、Rは水素原子または置換基を表し、前記一般式(2)におけるRと同義である。その置換基の具体例においてもRの置換基として前述したものと同様の置換基を挙げることができる。また、R、R、R10およびR11はそれぞれ独立して水素原子または置換基を表し、これら置換基の具体例としては先の一般式(1)、一般式(2)及び一般式(3)におけるA、A、A及びAで挙げたものと同様の置換基を挙げることができる。更には、RとR、RとR10、R10とR11はそれぞれ独立に連結基を介して環を形成しても良い。この場合の具体的な環としては、先の一般式(1)、一般式(2)及び一般式(3)におけるA、A、A及びAが連結基を介して環を形成する場合に挙げたものと同様の環を挙げることができる。また、YはN−R14、O、S、Se、TeまたはC(R15を表し、R14およびR15はそれぞれ水素原子またはアルキル基を表す。前記R14及びR15がアルキル基の場合、具体的には炭素数1〜32の直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基で、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、s−ブチル、t−ブチル、n−オクチル、トリデシル等をそれぞれ挙げることができる。
【0037】
一般式(7)において、R、R、R、R、R、R、R10およびR11は前記一般式(5)および一般式(6)と同義であり、Rは置換基を有しても良いアルキル基であり、Xは陰イオンを表し、但しXの結合手が2以上ある場合、RとXが結合していても良く、YおよびYは前記一般式(5)および一般式(6)と同義である。但し、ここでYとYは互いに異なることが本発明における重要な要件である。
【0038】
本発明において、YとYの組み合わせとして特に好ましくは、一方がOで残るもう一方がSの場合である。
【0039】
本発明において用いられる反応溶媒は特に限定されるものではないが、好まし溶媒としては、脂肪族炭化水素類、芳香族炭化水素類、アルコール類、エステル類、ケトン類、ニトリル類、エーテル類、カルボン酸類、ハロゲン系溶媒及びアミド系溶媒を挙げることができる。また、例示した有機溶媒は、任意の組み合わせによる混合系でも用いることができる。この中で特に好ましい溶媒としては、ニトリル類及びエーテル類が挙げられる。その具体例として、ニトリル類ではアセトニトリル、プロピオニトリル、エーテル類ではジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等を挙げることができる。
【0040】
本発明において、一般式(1)と一般式(2)との仕込みモル比は、一般式(1)を基準物質とすれば、一般式(2)を0.5倍モルから3倍モルの範囲で使用することが好ましく、0.8倍モルから2倍モルの範囲が特に好ましい。また、一般式(5)と一般式(6)との仕込みモル比も同様で、一般式(5)を基準物質とすれば、一般式(6)を0.5倍モルから3倍モルの範囲で使用することが好ましく、0.8倍モルから2倍モルの範囲が特に好ましい。
【0041】
本発明において、2−アミノ複素環類に対する一般式(3)で表されるアルキル化剤の使用モル比は、少なく仕込んだ方の2−アミノ複素環類に対して2倍モルから20倍モルまでの範囲が好ましく、3倍モルから10倍モルまでの範囲が特に好ましい。アルキル化剤の使用モル比が少ないとアルキル化反応が未完結となり収率低下を招き、一方、アルキル化剤の使用モル比が多すぎるとモノアザメチンシアニンの晶析を妨げ収率低下を招くため、前記範囲が好ましい。
【0042】
本発明において、一般式(1)、(2)、(5)及び(6)で表される2−アミノ複素環類ならびに一般式(3)で表されるアルキル化剤は、用いる溶媒に完全に溶解している状態、一部溶解している懸濁状態のどちらの状態においても実施することができる。溶媒の使用量は特に限定するものではないが、2種の2−アミノ複素環類の合算質量に対して1〜500重量部が好ましく、更に好ましくは2〜100重量部である。
【0043】
本発明において、連続して行われるアルキル化及び縮合反応の反応温度は特に限定されないが、−50〜200℃の範囲が好ましく、−10〜100℃の範囲が特に好ましい。
【0044】
前記した反応系によって、単純かつ安全な試薬を用いて、工業的に容易に実施出来る方法で、非対称型モノアザメチンシアニンを極めて効率的に得ることが出来る。
【0045】
本発明により製造したモノアザメチンシアニンは、副生する不純物等が少なく、反応系で晶析した結晶を固液分離するのみで得ることが出来る。また、反応で用いた溶媒を留去した後、適当な有機溶媒あるいは水で再結晶し取り出すことも可能である。
【0046】
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0047】
実施例における紫外可視分光吸収スペクトルデータは、日本分光社分光光度計V−570型を用いて測定した。HPLCデータはウォーターズ社アライアンスシステム/紫外可視吸光検出器で測定した。マススペクトルデータはウォーターズ社ZQを用いESI(エレクトロスプレーイオナイゼーション)法で測定した。
【実施例1】
【0048】
アセトニトリル450mLに、2−アミノ−5−クロロベンゾオキサゾール15.0g、2−アミノ−5−クロロベンゾチアゾール24.7g、4−(2−ヨードエチル)フェノール132.5gを順次仕込み、還流温度での反応を30時間行なった。室温まで冷却し、析出している結晶をろ過し、50℃の送風乾燥機で乾燥しDye1 17.4gを得た。
ESIマススペクトルを測定したところ、ES+モードで質量数576(Dye1の分子量+1に相当)、及び塩素原子2個を含むことを支持する同位体ピークである578、580のピークを観測した。またメタノール溶液の紫外可視分光吸収を測定したところ、吸収極大は354nmであった。
【化21】

【実施例2】
【0049】
アセトニトリル350mLに、2−アミノ−5−クロロベンゾオキサゾール3.5g、2−アミノ−5−クロロベンゾチアゾール5.8g、4−(3−ヨードプロピル)フェノール32.6gを順次仕込み、還流温度での反応を40時間行なった。室温まで冷却し、析出している結晶をろ過し、50℃の送風乾燥機で乾燥してDye2 6.7gを得た。
ESIマススペクトルを測定したところ、ES+モードで質量数604(Dye2の分子量+1に相当)、及び塩素原子2個を含むことを支持する同位体ピークである606、608のピークを観測した。またメタノール溶液の紫外可視分光吸収を測定したところ、吸収極大は354nmであった。
【化22】

【実施例3】
【0050】
1,4−ジオキサン67mLに、2−アミノ−5−クロロベンゾオキサゾール2.7g、2−アミノ−5−クロロベンゾチアゾール4.4g、4−(5−ヨードペンチル)フェノール27.7gを順次仕込み、還流温度での反応を56時間行なった。室温まで冷却し、析出している結晶をろ過し、50℃の送風乾燥機で乾燥してDye3 9.1gを得た。
ESIマススペクトルを測定したところ、ES+モードで質量数660(Dye3の分子量+1に相当)、及び塩素原子2個を含むことを支持する同位体ピークである662、664のピークを観測した。またメタノール溶液の紫外可視分光吸収を測定したところ、吸収極大は354nmであった。
【化23】

【実施例4】
【0051】
アセトニトリル25mLに、2−アミノ−5−クロロベンゾオキサゾール0.6g、2−アミノ−5−クロロベンゾチアゾール1.0g、p−トルエンスルホン酸エチル4.4gを順次仕込み、還流温度での反応を40時間行なった。反応液のHPLC測定で単純面積百分率22.6%の生成物ピークを確認した。また反応液のESIマススペクトル測定では、ES+モードでDye4のカチオン部分の式量に相当する質量数392、及び塩素原子2個を含むことを支持する同位体ピークである394、396のピークを観測し、ES−モードで対イオンであるp−トルエンスルホン酸イオンに相当する質量数171のピークを観測した。また反応液のメタノール溶液の紫外可視分光吸収を測定したところ、吸収極大は350nmであった。これらの物性値より目的構造の生成を確認した。
【化24】

【実施例5】
【0052】
アセトニトリル25mLに、2−アミノ−5−クロロベンゾオキサゾール0.6g、2−アミノ−5−クロロベンゾチアゾール1.0g、ヨウ化エチル3.4gを順次仕込み、還流温度での反応を40時間行なった。反応液のHPLC測定で単純面積百分率11.5%の生成物ピークを確認した。また反応液のESIマススペクトル測定では、ES+モードでDye5のカチオン部分の式量に相当する質量数392、及び塩素原子2個を含むことを支持する同位体ピークである394、396のピークを観測し、ES−モードで対イオンであるヨウ素イオンに相当する質量数127のピークを観測した。また反応液のメタノール溶液の紫外可視分光吸収を測定したところ、吸収極大は350nmであった。これらの物性値より目的構造の生成を確認した。
【化25】

【実施例6】
【0053】
アセトニトリル25mLに、2−アミノ−5−クロロベンゾオキサゾール0.6g、2−アミノ−6−メチルベンゾチアゾール0.9g、p−トルエンスルホン酸エチル4.4gを順次仕込み、還流温度での反応を40時間行なった。反応液のHPLC測定で単純面積百分率25.0%の生成物ピークを確認した。また反応液のESIマススペクトル測定では、ES+モードでDye6のカチオン部分の式量に相当する質量数372、及び塩素原子1個を含むことを支持する同位体ピークである374のピークを観測し、ES−モードで対イオンであるp−トルエンスルホン酸イオンに相当する質量数171のピークを観測した。また反応液のメタノール溶液の紫外可視分光吸収を測定したところ、吸収極大は351nmであった。これらの物性値より目的構造の生成を確認した。
【化26】

【実施例7】
【0054】
アセトニトリル25mLに、2−アミノ−5−クロロベンゾオキサゾール0.6g、2−アミノ−6−メチルベンゾチアゾール0.9g、ヨウ化エチル3.4gを順次仕込み、還流温度での反応を40時間行なった。反応液のHPLC測定で単純面積百分率11.9%の生成物ピークを確認した。また反応液のESIマススペクトル測定では、ES+モードでDye7のカチオン部分の式量に相当する質量数372、及び塩素原子1個を含むことを支持する同位体ピークである374のピークを観測し、ES−モードで対イオンであるヨウ素イオンに相当する質量数127のピークを観測した。また反応液のメタノール溶液の紫外可視分光吸収を測定したところ、吸収極大は350nmであった。これらの物性値より目的構造の生成を確認した。
【化27】

【実施例8】
【0055】
アセトニトリル25mLに、2−アミノ−5−クロロベンゾオキサゾール0.6g、2−アミノベンゾチアゾール0.8g、p−トルエンスルホン酸エチル4.4gを順次仕込み、還流温度での反応を40時間行なった。反応液のHPLC測定で単純面積百分率20.8%の生成物ピークを確認した。また反応液のESIマススペクトル測定では、ES+モードでDye8のカチオン部分の式量に相当する質量数358、及び塩素原子1個を含むことを支持する同位体ピークである360のピークを観測し、ES−モードで対イオンであるp−トルエンスルホン酸イオンに相当する質量数171のピークを観測した。また反応液のメタノール溶液の紫外可視分光吸収を測定したところ、吸収極大は348nmであった。これらの物性値より目的構造の生成を確認した。
【化28】

【実施例9】
【0056】
アセトニトリル25mLに、2−アミノ−5−クロロベンゾオキサゾール0.6g、2−アミノベンゾチアゾール0.8g、ヨウ化エチル3.4gを順次仕込み、還流温度での反応を40時間行なった。反応液のHPLC測定で単純面積百分率32.8%の生成物ピークを確認した。また反応液のESIマススペクトル測定では、ES+モードでDye8のカチオン部分の式量に相当する質量数358、及び塩素原子1個を含むことを支持する同位体ピークである360のピークを観測し、ES−モードで対イオンであるヨウ素イオンに相当する質量数127のピークを観測した。また反応液のメタノール溶液の紫外可視分光吸収を測定したところ、吸収極大は348nmであった。これらの物性値より目的構造の生成を確認した。
【化29】

【産業上の利用可能性】
【0057】
染料、記録材料用色素、銀塩写真用感光色素、医薬品として重要なものアザメチンシアニンの、工業的に有利な製造方法である。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(1)で表される2−アミノ複素環類と一般式(2)で表される2−アミノ複素環類を一般式(3)で表されるアルキル化剤の存在下反応させることを特徴とする一般式(4)で表されるモノアザメチンシアニンの製造方法。
【化1】

(一般式(1)において、R1は水素原子または置換基を表し、A及びAはそれぞれ独立して水素原子または置換基を表し、AとAは連結基を介して環を形成しても良く、YはN−R12、O、S、Se、TeまたはC(R13を表し、R12およびR13はそれぞれ水素原子またはアルキル基を表す。)
【化2】

(一般式(2)において、R2は水素原子または置換基を表し、A及びAはそれぞれ独立して水素原子または置換基を表し、AとAは連結基を介して環を形成しても良く、YはN−R14、O、S、Se、TeまたはC(R15を表し、R14およびR15はそれぞれ水素原子またはアルキル基を表す。)
【化3】

(一般式(3)において、Rは置換基を有しても良いアルキル基を表し、Xは陰イオンになり得る原子または原子団を表し、Xの結合手が2以上ある場合はRとXとで環を形成しても良い。)
【化4】

(一般式(4)において、A、A、AおよびAは前記一般式(1)及び一般式(2)と同義であり、Rは置換基を有しても良いアルキル基であり、Xは陰イオンを表し、但しXの結合手が2以上ある場合、RとXが結合していても良く、YおよびYは前記一般式(1)および一般式(2)と同義であり、但しYとYは互いに異なる。)
【請求項2】
一般式(5)で表される2−アミノ複素環類と一般式(6)で表される2−アミノ複素環類を前記一般式(3)で表されるアルキル化剤の存在下反応させることを特徴とする一般式(7)で表されるモノアザメチンシアニンの製造方法。
【化5】

(一般式(5)において、Rは水素原子または置換基を表し、R、R、RおよびRはそれぞれ独立して水素原子または置換基を表し、RとR、RとR、RとRはそれぞれ独立に連結基を介して環を形成しても良く、YはN−R12、O、S、Se、TeまたはC(R13を表し、R12およびR13はそれぞれ水素原子またはアルキル基を表す。)
【化6】

(一般式(6)において、Rは水素原子または置換基を表し、R、R、R10およびR11はそれぞれ独立して水素原子または置換基を表し、RとR、RとR10、R10とR11はそれぞれ独立に連結基を介して環を形成しても良く、YはN−R14、O、S、Se、TeまたはC(R15を表し、R14およびR15はそれぞれ水素原子またはアルキル基を表す。)
【化7】

(一般式(7)において、R、R、R、R、R、R、R10およびR11は前記一般式(5)および一般式(6)と同義であり、Rは置換基を有しても良いアルキル基であり、Xは陰イオンを表し、但しXの結合手が2以上ある場合、RとXが結合していても良く、YおよびYは前記一般式(5)および一般式(6)と同義であり、但しYとYは互いに異なる。)
【請求項3】
およびYのどちらか一方がO、残るもう一方がSであることを特徴とする請求項1または請求項2記載のモノアザメチンシアニンの製造方法。