説明

非常用照明具

【課題】 地震や停電などの非常時に有効な照明器具を提供する。
【解決手段】 停電検知部13によって、停電の発生が検知される。また、光センサ16で周囲の明るさが検知される。また、振動センサ17で地震の発生が検知される。本発明では、明るさが所定以上暗く、かつ、停電を検知した場合に、自動で照明部を点灯させる。すなわち、停電により周囲が暗くなると、即座に照明が点灯して、周囲を照らすものである。また、停電が発生しなくとも、明るさが所定以上暗く、かつ、所定以上の大きな振動(揺れ)を検知した場合に、自動で照明部を点灯させる。すなわち、夜間などに急に大きな地震が発生した場合に、即座に照明が点灯して、周囲を照らすものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、たとえば停電時や地震時に点灯する非常用照明具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
日常生活において、地震その他の非常時に、急な停電が発生する場合がある。また、電力不足に伴う計画停電の実施により、例えば食事中や何らかの作業中に全ての照明が停電により消灯する場合がある。このような停電は、生活に大きな支障を生じる。また、予期せぬ事故につながる場合もある。
【0003】
このような停電時に自動点灯する照明としては、例えば、壁面に埋設されるスイッチボックスや壁面に開口された埋め込み穴に対応する取付枠に装着されるボックスと、ボックスに内蔵されボックスの前方を照らす照明ランプと、商用交流電源により照明ランプに点灯電力を与えるとともに、充電電池を充電する電源回路と、商用交流電源の停電を検知すると充電電池からの電力により照明ランプを点灯させる停電時点灯回路とを備えたフットライトがある(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平09−102207号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、夜間などに急な地震が発生した場合、停電の発生はなくとも、周囲の状況を瞬時に把握することができず、電気をつけるために、落下物につまずいたりすることも起こりうる。
【0006】
また、非常時には、単に身の回りを照らすのみではなく、周囲に対して注意を促したり、自分の居場所を知らせるなどの必要がある場合もある。
【0007】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、地震や停電などの非常時に有効な照明器具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前述した目的を達するために本発明は、非常用照明具であって、商用電源により充電される充電池と、商用電源または前記充電池により点灯する照明部と、明るさを感知する光センサと、振動を感知する振動センサと、前記照明部の点灯を制御する制御部と、を具備し、前記制御部は、前記光センサが所定の明るさ以下と認識し、かつ、前記振動センサが所定以上の振動を検知した際に、商用電源により前記照明部を点灯し、前記光センサが所定の明るさ以下と認識し、かつ、商用電源からの電力供給が停止した際に、前記充電池により前記照明部を点灯することを特徴とする非常用照明具である。
【0009】
前記制御部は、前記光センサが所定の明るさ以下と認識し、かつ、前記振動センサが所定以上の振動を検知した際に、前記照明部の点灯とともに警報を発することが望ましい。
【0010】
操作部をさらに有し、前記操作部によって、前記照明部の点灯または消灯の選択と、前記照明具の連続点灯または点滅点灯の切り替えが可能であることが望ましい。
【0011】
本発明によれば、光センサを備え、周囲が所定以上暗い場合において、停電または地震などの発生の際に、瞬時に照明部が点灯するため、暗闇になることによる不具合の発生を防止することができる。
【0012】
また、充電池は常に充電されるため、いざという時に充電切れの恐れもない。また、地震の際に警報を発するようにすることで、夜間の暗闇で使用者が睡眠中であっても、急に地震が発生した際に、照明が点灯すると同時に、警報を発して、使用者に注意を促すことができる。
【0013】
また、操作部を設け、照明部の点灯・消灯を操作することができれば、停電時であっても、夜間に睡眠等を取る場合には、照明を切ることもできる。また、照明部の連続点灯または点滅点灯を切り替えることが可能であれば、室内等としても使用可能であるとともに、屋外での警告等などにも使用することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、地震や停電などの非常時に有効な照明器具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】非常用照明具1を示す概略図。
【図2】非常用照明具1の構成を示すブロック図。
【図3】制御部14の構成を示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。図1は、非常用照明具1を示す概略図であり、図1(a)は、前面斜視図、図1(b)は後面斜視図である。非常用照明具1は、各種回路等を収容する本体3に、操作部5およびコンセント9が設けられる。
【0017】
本体3の前面には、操作部5および必要に応じて、動作状態を示すランプ等が設けられる。操作部5は、後述する照明の動作を操作する部位である。なお、操作部5としては、トグルスイッチ、レバースイッチ、スライドスイッチなど公知のいずれのスイッチを用いることができる。
【0018】
非常用照明具1の背面には、商用電源と接続されるケーブル7が設けられる。また、コンセント9が設けられる。コンセント9には、図示を省略した照明部(例えばLEDライト)が接続される。なお、コンセント9を形成せず、直接照明部を内部回路に接続してもよい。
【0019】
図2は、非常用照明具1の構成を示すブロック図である。商用電源である交流100V電源にAC/DC回路10が接続される。AC/DC回路10は、交流の商用電源から低電圧の直流電圧に変換する。AC/DC回路10には充電回路11が接続される。充電回路11は、変換された電圧によって充電池12の充電および制御部14への電力供給を行う。
【0020】
充電回路11には充電池12が接続される。充電池12は例えば鉛蓄電池等である。なお、充電回路11には、充電池12の過充電を保護する保護回路が設けられる。
【0021】
充電回路11および充電池12には、制御部14が接続される。制御部14は、リレーその他の電気回路等で構成される。制御部14には、光センサ16、振動センサ17が接続される。光センサ16は、周囲の明るさを検知するものである。振動センサ17は、非常用照明具1の本体部の振動を検知するものである。なお、光センサ16および振動センサ17は、それぞれ公知のCDS、フォトトランジスタや、振動または傾斜センサ等を使用することができる。制御部14については詳細を後述する。
【0022】
制御部14には、操作部15(手動スイッチ)および自動の制御用スイッチ13を介して、照明部であるLED照明18および警報19が接続される。なお、図1に示したように、コンセント9が設けられる場合には、LED照明18に代えてコンセントが接続される。この場合、コンセント9を100V交流電源として使用する場合には、制御部14とコンセント9の間にインバータ等で電圧(例えば12V)を交流電源に変換すればよい。また、外部出力としては、USB端子を設けてもよい。USB端子に電源(充電回路または充電池)から電力を供給することで、各種のUSB端末等を接続して使用することもできる。なお、以下の説明では、直接照明部(LED照明18)が接続された例を説明する。
【0023】
次に、非常用照明具1の動作について説明する。図3は、制御部14の構成(制御部における制御方法)を示す概略図である。前述のように、制御部14には、電源(充電回路11および充電池12)と、光センサ16と振動センサ17が接続される。
【0024】
充電回路11および充電池12は、停電検知コンパレータに接続される。停電検知コンパレータでは、充電回路11(商用電源)側からの電圧が所定値以上であるかが検知される。充電回路11側からの電圧が十分である場合には、充電回路11からの電力が制御部14に通電される。また、充電回路11からの電力供給が、電圧が所定値以下となると、停電検知コンパレータには充電池12からの電力が制御部14に通電される。なお、このような機構は、通常の無停電電源と同様の構成である。
【0025】
すなわち、停電検知コンパレータは、充電回路11(商用電源)側の電圧と基準の電圧とを比較し、充電回路11側の電圧が基準電圧よりも低いと(商用電源からの電力供給が停止した際)停電であると認定する。したがって、停電検知コンパレータによって、停電の発生が検知される。
【0026】
また、同様に、明るさ検知コンパレータは、光センサ16で得られる周囲の明るさに応じた電圧と基準の電圧(基準の明るさに応じた電圧)とを比較し、光センサ16による電圧が基準電圧よりも低いと、周囲が暗いと認定する。
【0027】
また、同様に、振動検知コンパレータは、振動センサ17で得られる本体に生じた振動の大きさに応じた電圧と基準の電圧(基準振動に応じた電圧)とを比較し、振動センサ17による電圧が基準電圧よりも大きいと、地震が発生したと認定する。
【0028】
本発明では、明るさが所定以上暗く、かつ、停電を検知した場合に、スイッチ制御部によって、制御用スイッチ13を動作する。すなわち、自動で照明部(LED照明18)が点灯する。したがって、停電により周囲が暗くなると、即座に照明が点灯して、周囲を照らし、急な停電において、暗いことによって行動が制限されることがなく、安全に行動することができる。なお、照明部は停電期間中点灯し続ける。
【0029】
また、停電が発生しなくとも、明るさが所定以上暗く、かつ、所定以上の大きな振動(揺れ)を検知した場合に、スイッチ制御部によって、制御用スイッチ13を動作する。すなわち、自動で照明部が点灯する。なお、この場合には、ホールド回路によって、揺れが収まった後にも照明部が点灯し続ける。このように、夜間などに急に大きな地震が発生した場合に、即座に照明が点灯して、周囲を照らし、急な地震において、暗いことによって行動が制限されることがなく、安全に行動することができる。
【0030】
なお、LED照明18を点灯する際には、必要に応じて警報19を駆動してもよい。警報19は、周囲に注意を促すものである。警報としては、アラームや音声等であり、周囲に地震の発生が知らせるものである。例えば、夜間に地震があった場合に、睡眠中の使用者に対しても注意を促すことができる。
【0031】
なお、警報は、照明と同時でなく単独で発せられてもよい。例えば、地震の場合には、明るさによらず警報のみを発してもよい。また、停電時においても、同様に警報を発してもよい。
【0032】
また、制御部14に接続された操作部15によって、LED照明18の自動と手動の切り替えを行うことができる。例えば、操作部において手動でOFFにすれば、自動制御によらず、照明を消灯させることができる。なお、逆に、前述した各検知部による制御とは無関係に、照明を点灯させるようにしてもよい。
【0033】
また、操作部によって照明の点灯方法を設定可能としてもよい。例えば、照明の連続点灯と点滅点灯を切り替えることもできる。連続点灯を選択した場合、照明を自動または手動で点灯させると、照明は点灯した状態となる。したがって、緊急時の室内灯として使用することができる。また、点滅点灯を選択した場合、照明を自動または手動で点灯させると、照明は点滅した状態となる。したがって、外部での警告等として使用することができる。
【0034】
なお、本体内部にタイマを設け、前述した自動制御で照明が点灯した場合には、タイマで設定された一定時間だけ照明を点灯するようにしてもよい。このようにすることで、誤作動等の際に、照明がつきっぱなしになることを防止することができる。この場合、タイマ切れとなる前に、消灯を知らせるアラーム等を発してもよい。
【0035】
また、充電池の容量としては、接続する照明が少なくとも3時間以上点灯させるものであることが望ましい。このようにすることで、例えば2011年3月〜4月に関東で実施された計画停電(最大3時間)にも対応することができる。
【0036】
また、充電池12で稼働中において、充電池12の電圧を常に監視してもよい。充電池12の電圧が所定値以下となると、電池切れが近いと判定して、その旨の警報等を発してもよい。また、警報等を発した後も使い続けた場合には、さらなる電圧低下を監視して制御用スイッチ13をOFFにして充電池12を負荷から切り離してもよい。
【0037】
以上、本発明によれば、停電や地震などの非常時に即座に点灯する非常用照明を得ることができる。特に、光センサと停電または振動との組み合わせで稼働するため、照明が必要な際に的確に点灯させることができる。
【0038】
また、照明と同時に警報を発することも可能であるため、夜間の突然の地震の発生の際、周囲に注意を促すことができる。
【0039】
また、照明の点灯状態は操作部で容易に設定可能であるため、室内灯としても使用可能であるとともに、警告灯としても使用することができる。
【0040】
以上、添付図を参照しながら、本発明の実施の形態を説明したが、本発明の技術的範囲は、前述した実施の形態に左右されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【符号の説明】
【0041】
1………非常用照明具
3………本体
5………操作部
7………ケーブル
9………コンセント

【特許請求の範囲】
【請求項1】
非常用照明具であって、
商用電源により充電される充電池と、
商用電源または前記充電池により点灯する照明部と、
明るさを感知する光センサと、
振動を感知する振動センサと、
前記照明部の点灯を制御する制御部と、
を具備し、
前記制御部は、前記光センサが所定の明るさ以下と認識し、かつ、前記振動センサが所定以上の振動を検知した際に、商用電源により前記照明部を点灯し、
前記光センサが所定の明るさ以下と認識し、かつ、商用電源からの電力供給が停止した際に、前記充電池により前記照明部を点灯することを特徴とする非常用照明具。
【請求項2】
前記制御部は、前記光センサが所定の明るさ以下と認識し、かつ、前記振動センサが所定以上の振動を検知した際に、前記照明部の点灯とともに警報を発することを特徴とする請求項1記載の非常用照明具。
【請求項3】
操作部をさらに有し、前記操作部によって、前記照明部の点灯または消灯の選択と、前記照明具の連続点灯または点滅点灯の切り替えが可能であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の非常用照明具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−226886(P2012−226886A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−91679(P2011−91679)
【出願日】平成23年4月18日(2011.4.18)
【出願人】(504076220)株式会社パートナーズ (3)
【Fターム(参考)】