説明

非接触型データ受送信体

【課題】太陽電池を備え、その太陽電池の発電効率に優れた非接触型データ受送信体を提供する。
【解決手段】本発明の非接触型データ受送信体10は、対向する一対の第一電極11および第二電極12と、これらの電極の間に設けられた高分子発電層13と、第一電極11側または第二電極12側に配設されたインレットインレット20と、を備え、第一電極11および第二電極12にはそれぞれ、インレット20と重なる領域において開口部11a、12aが設けられ、インレット20は、そのベース基材21が高分子発電層13の第一電極11または第二電極12と対向する側の面に沿うように配設されたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、RFID(Radio Frequency IDentification)用途の情報記録メディアのように、電波または電磁波を媒体として外部から情報を受信し、また、外部に情報を送信できるようにした非接触型データ受送信体に関し、さらに詳しくは、太陽電池を備えた非接触型データ受送信体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
非接触型データ受送信体の一例であるICタグは、基材と、その一方の面に設けられ互いに接続されたアンテナおよびICチップとから構成されるインレットを備えており、これらは、情報書込/読出装置からの電磁波を受信すると共振作用によりアンテナに起電力が発生し、この起電力によりICタグ内のICチップが起動し、このICチップ内の情報を信号化し、この信号がICタグのアンテナから発信される。
ICタグから発信された信号は、情報書込/読出装置のアンテナで受信され、コントローラーを介してデータ処理装置へ送られ、識別などのデータ処理が行われる。
【0003】
近年、このような非接触型データ受送信体は、ICチップに対する情報の書き込みおよび読み出しを行うだけでなく、所定の情報を表示できることが望まれている。
このような情報の表示を行うために、液晶表示素子などの表示素子を備えた非接触型データ受送信体が提案されている。この表示素子を備えた非接触型データ受送信体としては、表示素子を動作させる電源として、太陽電池と、太陽電池が発生した電力を充電するバッテリーを具備するものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2003−162704号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されている非接触型データ受送信体は、アンテナやICチップと同一面上に、太陽電池を配置しているものの、これらが互いに重ならないように配置されている。そのため、非接触型データ受送信体の表面において、太陽電池の占める面積が小さく、ひいては、太陽電池の受光面(光を受ける面)の面積が小さく、太陽電池の発電効率が悪いので、表示素子を動作させるのに十分な電力を得るためには、非接触型データ受送信体は、比較的長い時間、光を受ける必要があり、非常に不便であった。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、太陽電池を備え、その太陽電池の発電効率に優れた非接触型データ受送信体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の非接触型データ受送信体は、対向する一対の第一電極および第二電極と、これらの電極の間に設けられた高分子発電層と、前記第一電極側または前記第二電極側に配設されたインレットと、を備えた非接触型データ受送信体であって、前記第一電極および前記第二電極にはそれぞれ、前記インレットと重なる領域において開口部が設けられ、前記インレットは、前記ベース基材が前記高分子発電層の前記第一電極または前記第二電極と対向する側の面に沿うように配設されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明の非接触型データ受送信体によれば、対向する一対の第一電極および第二電極と、これらの電極の間に設けられた高分子発電層と、前記第一電極側または前記第二電極側に配設されたインレットと、を備えた非接触型データ受送信体であって、前記第一電極および前記第二電極にはそれぞれ、前記インレットと重なる領域において開口部が設けられ、前記インレットは、前記ベース基材が前記高分子発電層の前記第一電極または前記第二電極と対向する側の面に沿うように配設されたので、高分子発電層の受光面の面積を大きくすることができるから、高分子発電層における発電効率に優れている。すなわち、インレットがベース基材と重なる部分においても、高分子発電層は光を受けることができるから、発電に寄与する受光面の面積が大きくなる。また、インレットと重なる部分には、その通信特性を劣化する電極が存在しないので、太陽電池とインレットをほぼ同一面上に配置した状態で、インレットのICチップに対する情報の書き込みや読み出しを行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明の非接触型データ受送信体の最良の形態について説明する。
なお、この形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。
【0009】
図1は、本発明の非接触型データ受送信体の一実施形態を示す概略図であり、(a)は平面図、(b)は(a)のA−A線に沿う断面図である。
この非接触型データ受送信体10は、対向する一対の第一電極11および第二電極12と、第一電極11および第二電極12の間に設けられた高分子発電層13と、第二電極12側の中央部に配設されたインレット20と、第一電極11を支持する第一基材14と、第二電極12およびインレット20を覆う第二基材15とから概略構成されている。
【0010】
インレット20は、光透過性のベース基材21と、ICチップ22と、アンテナ23とから概略構成されている。また、ICチップ22およびアンテナ23は、ベース基材21の一方の面21aに設けられ、それぞれの接点を介して、互いに電気的に接続されている。
また、アンテナ23は、一方が三角形の面状をなすダイポールアンテナである。
【0011】
非接触型データ受送信体10では、第一基材14の一方の面14aに、第一電極11が設けられており、その第一電極11の中央部には、開口部11aが設けられている。この第一電極11は、太陽電池の対極として機能する。
【0012】
また、第一電極11の開口部11aにおいて、第一基材14の一方の面14aに、線状の第一導電部16が格子縞状に設けられている。すなわち、第一導電部16は、第一電極11の開口部11aにおいて、第一基材14の長手方向に沿って、対向する第一電極11同士を接続する複数のバス配線16aと、第一電極11の開口部11aにおいて、第一基材14の短手方向に沿って、対向する第一電極11同士を接続する複数のバス配線16bとから構成されている。
【0013】
複数のバス配線16aは所定の間隔を置いて並列に設けられており、複数のバス配線16bは所定の間隔を置いて並列に設けられている。なお、バス配線16aの間隔、および、バス配線16bの間隔は、特に限定されないが、アンテナ23が共振する周波数に応じて適宜調整される。
【0014】
第一電極11の第一基材14と接している面とは反対側の面(以下、「一方の面」と言う。)11b、および、第一電極11の開口部11a内の第一基材14の一方の面14aには、高分子発電層13が設けられている。したがって、第一電極11の開口部11aにおいて、高分子発電層13と第一導電部16が接している。
【0015】
高分子発電層13の第一電極11と接している面とは反対側の面(以下、「一方の面」と言う。)13aには、透明電極からなる第二電極12が設けられており、その第二電極12の中央部には、第一電極11の開口部11aと同一形状の開口部12aが設けられている。そして、第一電極11の開口部11aと第二電極12の開口部12aが、重なり合っている。
この第二電極12は、太陽電池の窓極として機能する。
【0016】
また、第二電極12の開口部12aにおいて、高分子発電層13には、第一電極11側に窪んだ凹部13bが設けられ、この凹部13bの底面13cに、線状の第二導電部17が格子縞状に設けられている。すなわち、第二導電部17は、第二電極12の開口部12aにおいて、高分子発電層13の長手方向に沿って、対向する第二電極12同士を接続する複数のバス配線17aと、第二電極12の開口部12aにおいて、高分子発電層13の短手方向に沿って、対向する第二電極12同士を接続する複数のバス配線17bとから構成されている。
【0017】
複数のバス配線17aは所定の間隔を置いて並列に設けられており、複数のバス配線17bは所定の間隔を置いて並列に設けられている。なお、バス配線17aの間隔は、特に限定されず、アンテナ23が共振する周波数に応じて適宜調整されるが、バス配線16aの間隔と等しいことが好ましい。また、バス配線17bの間隔は、特に限定されず、アンテナ23が共振する周波数に応じて適宜調整されるが、バス配線16bの間隔と等しいことが好ましい。
【0018】
インレット20は、高分子発電層13の凹部13b内に配置されるとともに、そのベース基材21が高分子発電層13の凹部13bの底面13cに沿うように、第二電極12の開口部12a内に配設されている。すなわち、インレット20は、第二電極12の開口部12a内において、第一電極11の開口部11aと重なるように配設されている。
【0019】
第二電極12の高分子発電層13と接している面とは反対側の面(以下、「一方の面」と言う。)12bには、第二電極12およびインレット20を覆うように、光透過性の第二基材15が設けられている。
【0020】
この非接触型データ受送信体10では、第一基材14、第一電極11、第一導電部16、高分子発電層13、第二導電部17、第二電極12および第二基材15からなる積層体が、高分子型太陽電池を構成している。
すなわち、非接触型データ受送信体10は、高分子型太陽電池素子を備えたものである。
【0021】
第一基材14としては、フィルム状、シート状または板状のものであれば特に限定されないが、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸エステル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体およびこれらの金属架橋物などからなるフィルム、シートまたは板などや、ガラス繊維、アルミナ繊維などの無機繊維からなる織布、不織布、マット、紙などまたはこれらを組み合わせたもの、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維などの有機繊維からなる織布、不織布、マット、紙などまたはこれらを組み合わせたものや、あるいはこれらに樹脂ワニスを含浸させて成形した被覆部材、ガラス基材、各種金属基材などが挙げられる。
【0022】
第一電極11は、第一基材14の一方の面14aに、ポリマー型導電インクを用いて所定のパターンにスクリーン印刷、インクジェット印刷などの印刷法により形成してなるもの、もしくは、導電性箔を所定のパターンにエッチングしてなるもの、金属メッキにより所定のパターンを形成してなるものである。
【0023】
ポリマー型導電インクとしては、例えば、銀粉末、金粉末、白金粉末、アルミニウム粉末、パラジウム粉末、ロジウム粉末、カーボン粉末(カーボンブラック、カーボンナノチューブなど)などの導電微粒子が樹脂組成物に配合されたものが用いられる。
【0024】
樹脂組成物として熱硬化型樹脂を用いれば、ポリマー型導電インクは、200℃以下、例えば、100〜150℃程度で第一電極11をなす塗膜を形成することができる熱硬化型となる。第一電極11をなす塗膜の電気の流れる経路は、塗膜をなす導電微粒子が互いに接触することによる形成され、この塗膜の抵抗値は10-5Ω・cmオーダーである。
また、本発明におけるポリマー型導電インクとしては、熱硬化型の他にも、光硬化型、浸透乾燥型、溶剤揮発型といった公知のものが用いられる。
【0025】
光硬化型のポリマー型導電インクは、光硬化性樹脂を樹脂組成物に含むものであり、硬化時間が短いので、製造効率を向上させることができる。光硬化型のポリマー型導電インクとしては、例えば、熱可塑性樹脂のみ、あるいは、熱可塑性樹脂と架橋性樹脂(特にポリエステルとイソシアネートによる架橋系樹脂など)とのブレンド樹脂組成物に、導電微粒子が60質量%以上配合され、ポリエステル樹脂が10質量%以上配合されたもの、すなわち、溶剤揮発型かあるいは架橋/熱可塑併用型(ただし熱可塑型が50質量%以上である)のものや、熱可塑性樹脂のみ、あるいは熱可塑性樹脂と架橋性樹脂(特にポリエステルとイソシアネートによる架橋系樹脂など)とのブレンド樹脂組成物に、ポリエステル樹脂が10質量%以上配合されたもの、すなわち、架橋型かあるいは架橋/熱可塑併用型のものなどが好適に用いられる。
【0026】
また、第一電極11をなす導電性箔としては、銅箔、銀箔、金箔、白金箔、アルミニウム箔などが挙げられる。
さらに、第一電極11をなす金属メッキとしては、銅メッキ、銀メッキ、金メッキ、白金メッキなどが挙げられる。
【0027】
高分子発電層13をなす材料としては、特表2005−530351号公報や特開2006−12802号公報に開示されている機能性膜形成用の材料が用いられる。
【0028】
第二電極12としては、スズドープ酸化インジウム(ITO:Indium Tin Oxide)、フッ素ドープ酸化スズ(FTO:Fluoride−doped TinOxide)、アンチモンドープ酸化スズ(ATO:Antimony−doped Tin Oxide)、アルミニウムドープ酸化亜鉛(AZO:Aluminum−doped Zinc Oxide)、ガリウムドープ酸化亜鉛(GZO:Gallium−doped Zinc Oxide)などの導電性金属酸化物の薄膜からなるものが挙げられる。
【0029】
第二基材15としては、光透過性のものが用いられ、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸エステル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体およびこれらの金属架橋物などからなるフィルム、シートまたは板などが挙げられる。
【0030】
なお、第二基材15と第二電極12は一体化されたものであってもよい。その場合、第二基材15の高分子発電層13と対向する面(以下、「一方の面」と言う。)15aに、スパッタリング法などにより、第二電極12なす導電性金属酸化物の薄膜が設けられ、第二基材15と第二電極12からなる透明導電性基材が用いられる。
【0031】
第一導電部16および第二導電部17をなす材料としては、第一電極11をなす材料と同様のものが用いられる。
【0032】
ベース基材21としては、上記の第二基材15と同様の光透過性のものが用いられる。
【0033】
ICチップ22としては、アンテナ23を介して非接触状態にて情報の書き込みおよび読み出しが可能なものであれば、非接触型ICタグや非接触型ICラベル、あるいは非接触型ICカードなどのRFIDメディアに適用可能なものであればいかなるものでも用いられる。
【0034】
アンテナ23は、ベース基材21の一方の面21aに、ポリマー型導電インクを用いて所定のパターンにスクリーン印刷、インクジェット印刷などの印刷法により形成してなるもの、もしくは、導電性箔を所定のパターンにエッチングしてなるもの、金属メッキにより所定のパターンを形成してなるものである。
また、アンテナ23をなす材料としては、第一電極11を形成する材料と同様のものが用いられる。
【0035】
また、非接触型データ受送信体10には、上記の構成部材を接着して一体化するとともに、高分子発電層13を封止して、これらの層と空気との接触を遮断するために、封止用接着剤(図示略)が用いられる。
封止用接着剤としては、特に限定されないが、熱硬化型接着剤、紫外線硬化型接着剤、電子線硬化型接着剤などが用いられる。
熱硬化型接着剤としては、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン硬化型樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アクリル系反応樹脂などが挙げられる。
紫外線硬化型接着剤としては、紫外線硬化性アクリル樹脂、紫外線硬化性ウレタンアクリレート樹脂、紫外線硬化性ポリエステルアクリレート樹脂、紫外線硬化性ポリウレタン樹脂、紫外線硬化性エポキシアクリレート樹脂、紫外線硬化性イミドアクリレート樹脂などが挙げられる。
電子線硬化型接着剤としては、電子線硬化性アクリル樹脂、電子線硬化性ウレタンアクリレート樹脂、電子線硬化性ポリエステルアクリレート樹脂、電子線硬化性ポリウレタン樹脂、電子線硬化性エポキシアクリレート樹脂、カチオン硬化型樹脂などが挙げられる。
【0036】
また、この非接触型データ受送信体10は、高分子発電層13において発生した電力を蓄積する二次電池を備えていてもよい。
また、この非接触型データ受送信体10は、各種表示素子、発光素子などを備えていてもよい。
【0037】
次に、非接触型データ受送信体10の製造方法について、その一例を挙げて説明する。
まず、ポリマー型導電インクを用いた印刷法により、第一基材14の一方の面14aに、第一電極11をなし、開口部11aを有する印刷層を形成するとともに、第一導電部16を形成する。
この工程において、印刷法としては、グラビア印刷法、フレキソ印刷法、ダイコーティング法、スプレーコーティング法、スクリーン印刷法などが用いられる。
【0038】
次いで、上記の機能性膜形成用の材料を用いた印刷法により、第一基材14の一方の面14aに設けられた第一電極11および第一導電部16の上に、高分子発電層13をなす印刷層を形成する。
この工程において、印刷法としては、インクジェット法、スクリーン印刷法などが用いられる。
【0039】
次いで、ポリマー型導電インクを用いた印刷法により、高分子発電層13の凹部13bの底面13cに、第二導電部17をなす所定形状の印刷層を形成する。
この工程において、印刷法としては、グラビア印刷法、フレキソ印刷法、ダイコーティング法、スプレーコーティング法、スクリーン印刷法などが用いられる。
【0040】
次いで、高分子発電層13の凹部13b内に、インレット20を配置する。これにより、第一電極11の開口部11aと重なる位置に、インレット20を配置する。
この工程において、インレット20を、そのベース基材21が高分子発電層13の凹部13bの底面13cに沿うように配置する。
【0041】
また、上記の第一電極11を形成する工程、高分子発電層13を形成する工程、第二導電部17を形成する工程とは別に、スパッタリング法などにより、第二基材15の一方の面15aに、ITO、FTO、ATOなどの導電性金属酸化物を蒸着し、この導電性金属酸化物の薄膜からなり、開口部12aを有する第二電極12を形成し、第二基材15と第二電極12からなる透明導電性基材を得る。
【0042】
次いで、第二電極12の開口部12a内に、インレット20が配置されるとともに、第二電極12が高分子発電層13に接するように、封止用接着剤を用いて、高分子発電層13に上記の透明導電性基材を接合し、非接触型データ受送信体10を得る。
【0043】
この非接触型データ受送信体10によれば、高分子発電層13の受光面(一方の面13a)側において、インレット20の外縁、および、インレット20のベース基材21が対向している部分に高分子発電層13が存在し、さらに、ベース基材21が光透過性であるので、高分子発電層13の受光面の面積を大きくすることができるから、高分子発電層13における発電効率に優れている。すなわち、ベース基材21と重なる部分においても、高分子発電層13は、ベース基材21を透過した光を受けることができるから、発電に寄与する受光面の面積が大きくなる。また、第一電極11のインレット20と重なる部分には開口部11aが設けられ、第二電極12のインレット20と重なる部分には開口部12aが設けられ、それぞれの開口部に設けられた第一導電部16と第二導電部17は格子縞状であるので、インレット20はアンテナ23を介して情報の書き込みや読み出しを行うことができる。すなわち、インレット20と重なる部分には、アンテナ23の通信特性を劣化する電極が存在しないので、太陽電池とインレットをほぼ同一面上に配置することができる。
また、高分子発電層13によって発生した電力は、非接触型データ受送信体10に備えられた各種表示素子や発光素子を動作させる電力や、インレット20への情報の書き込みや読み出しに必要な起電力として利用される。
【0044】
なお、この実施形態では、インレット20が、高分子発電層13の凹部13b内に配置されるとともに、そのベース基材21が高分子発電層13の凹部13bの底面13cに沿うように、第二電極12の開口部12a内に配設されている非接触型データ受送信体10を例示したが、本発明の非接触型データ受送信体はこれに限定されない。本発明の非接触型データ受送信体にあっては、インレットが第一電極の開口部および第二電極の開口部に重なっていればよく、インレットが高分子発電層の一方の面または他方の面、あるいは、第一基材の第一電極と接する面とは反対側の面または第二基材の第二電極と接する面とは反対側の面に配設されていてもよい。
【0045】
また、この実施形態では、第一電極11の開口部11a、第二電極12の開口部12aおよびインレット20が、中央部に配置された非接触型データ受送信体10を例示したが、本発明の非接触型データ受送信体はこれに限定されない。本発明の非接触型データ受送信体にあっては、第一電極の開口部、第二電極の開口部およびインレットが重なり合っていれば、これらが非接触型データ受送信体の任意の位置に配置されていてもよい。
【0046】
また、この実施形態では、一方が三角形の面状をなすダイポールアンテナからなるアンテナ23有するインレット20を備えた非接触型データ受送信体10を例示したが、本発明の非接触型データ受送信体はこれに限定されない。本発明の非接触型データ受送信体にあっては、アンテナは一方が三角形の枠状をなすダイポールアンテナ、メアンダ状のダイポールアンテナ、ループ状アンテナ、スパイラル状アンテナであってもよい。
【0047】
また、この実施形態では、第一電極11の開口部11aに第一導電部16が設けられ、第二電極12の開口部12aに第二導電部17が設けられた非接触型データ受送信体10を例示したが、本発明の非接触型データ受送信体はこれに限定されない。本発明の非接触型データ受送信体にあっては、第一電極の開口部および第二電極の開口部に、導電部が設けられていなくてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の非接触型データ受送信体の一実施形態を示す概略構成図であり、(a)は平面図、(b)は(a)のA−A線に沿う断面図である。
【符号の説明】
【0049】
10・・・非接触型データ受送信体、11・・・第一電極、12・・・第二電極、13・・・高分子発電層、14・・・第一基材、15・・・第二基材、16・・・第一導電部、17・・・第二導電部、20・・・インレット、21・・・ベース基材、22・・・ICチップ、23・・・アンテナ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向する一対の第一電極および第二電極と、これらの電極の間に設けられた高分子発電層と、前記第一電極側または前記第二電極側に配設されたインレットと、を備えた非接触型データ受送信体であって、
前記第一電極および前記第二電極にはそれぞれ、前記インレットと重なる領域において開口部が設けられ、
前記インレットは、前記ベース基材が前記高分子発電層の前記第一電極または前記第二電極と対向する側の面に沿うように配設されたことを特徴とする非接触型データ受送信体。


【図1】
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【公開番号】特開2010−134744(P2010−134744A)
【公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−310834(P2008−310834)
【出願日】平成20年12月5日(2008.12.5)
【出願人】(000110217)トッパン・フォームズ株式会社 (989)
【Fターム(参考)】