非接触型記録書き換え媒体及び該記録書き換え媒体の書き換え方法
【課題】レーザ光により、非接触で可視情報の記録・消去が可能であり、かつ耐光性に優れ、経時による記録情報の消去性低下を抑制し得ると共に、記録情報の視認性にも優れる非接触型記録書き換え媒体を提供する。
【解決手段】支持体の一方の面に可逆性感熱発色層が設けられてなる、レーザ光により非接触で可視情報の書き換えを行う非接触型記録書き換え媒体であって、前記可逆性感熱発色層上に、500〜700nmの可視光領域に少なくとも一つの非透過率ピークを有する樹脂層が積層されてなる非接触型記録書き換え媒体である。
【解決手段】支持体の一方の面に可逆性感熱発色層が設けられてなる、レーザ光により非接触で可視情報の書き換えを行う非接触型記録書き換え媒体であって、前記可逆性感熱発色層上に、500〜700nmの可視光領域に少なくとも一つの非透過率ピークを有する樹脂層が積層されてなる非接触型記録書き換え媒体である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非接触型記録書き換え媒体及び該記録書き換え媒体の書き換え方法に関する。さらに詳しくは、本発明は、レーザ光により、非接触で可視情報の記録・消去が可能であり、かつ耐光性に優れ、経時による記録情報の消去性低下を抑制し得る非接触型記録書き換え媒体、及び該記録書き換え媒体の書き換え方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、物品の管理に使用されているラベル、例えば食品を輸送するプラスチックコンテナに貼るラベル、電子部品の管理に用いるラベル、段ボールなどに貼る物流管理ラベルなどは、感熱記録材料(ダイレクトサーマル紙など)を表面基材に用いたものが主流となっていた。
この感熱記録材料は、支持体上に電子供与性の通常無色ないし淡色の染料前駆体と電子受容性の顕色剤とを主成分とする感熱記録層が設けられており、熱ヘッド、熱ペン等で加熱することにより、染料前駆体と顕色剤とが瞬時に反応し記録画像が得られるものである。このような感熱記録材料は、一般に一度画像を形成すると、その部分を消去して再び画像形成前の状態に戻すことは不可能である。
【0003】
これまで、前記の物品管理に使用されるラベルにおいては、表面基材として、このような感熱記録材料が主として使用され、接触型のサーマルプリンタなどを用いて、宛先、送り主、品名、数量、重量、製造年月日、賞味期限、固有識別番号、ロット番号などの情報や、それらをバーコード化したものを印字し、被着体に貼付していた。そして、ラベルとしての役目が終了すると、被着体であるコンテナや段ボールなどを再利用するために、ラベルを人手で剥がすのに多くの時間と手間を要していた。また、ラベルが剥がされた被着体は、別のラベルが再度貼付され、繰り返し利用される。
【0004】
このように、被着体が繰り返し利用される度に、ラベルの剥離及び貼付が行われているのが実状である。このため、近年ラベルを被着体からその都度剥がすことなく、被着体に貼付した状態で繰り返し情報の記録及び消去が可能なリライトサーマルラベルが注目され、例えば支持体上に染料前駆体と可逆性顕色剤を含む感熱発色層を設けてなる可視情報記録・消去手段を有する非接触型可逆性感熱記録材料が開発されている(例えば、特許文献1〜3参照)。
【0005】
しかしながら、このような非接触型可逆性感熱記録材料においては、太陽光を始めとする可視及び紫外光を浴びることにより、染料前駆体である色素や光吸収熱変換剤の分解が起こり、記録情報の消去性が低下し、これにより繰り返し記録性が低下する問題があり、また、記録した文字及び記録材料の色の変色が生じ、視認性が低下する問題があった。
したがって、非接触型記録書き換え媒体においては、耐光性に優れるものが望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−118238号公報
【特許文献2】特開2006−231647号公報
【特許文献3】特許第2741435号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、このような事情のもとで、レーザ光により、非接触で可視情報の記録・消去が可能であり、かつ耐光性に優れ、経時による記録情報の消去性低下を抑制し得ると共に、記録情報の視認性にも優れる非接触型記録書き換え媒体、及び該記録書き換え媒体の書き換え方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、前記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、支持体の一方の面に設けられた可逆性感熱発色層上に、500〜700nmの可視光領域に、少なくとも一つの非透過率ピークを有し、かつ好ましくは情報の記録・消去に使用するレーザ光(波長800〜1400nm)の透過率が80%以上である樹脂層を積層することにより、その目的に適合し得る非接触型記録書き換え媒体が得られることを見出した。
また、この非接触型記録書き換え媒体に、レーザ光の照射により記録を行い、レーザ光の照射又は熱処理により、該記録を消去することにより、効率よく、記録情報を書き換え得ることを見出した。
本発明は、かかる知見に基づいて完成したものである。
【0009】
すなわち、本発明は、
(1)支持体の一方の面に可逆性感熱発色層が設けられてなる、レーザ光により非接触で可視情報の書き換えを行う非接触型記録書き換え媒体であって、前記可逆性感熱発色層上に、500〜700nmの可視光領域に少なくとも一つの非透過率ピークを有する樹脂層が積層されていることを特徴とする非接触型記録書き換え媒体、
(2)500〜700nmの可視光領域における最大非透過率のピーク値が40〜98%の範囲にある上記(1)項に記載の非接触型記録書き換え媒体、
(3)400〜800nmの可視光領域における全光線透過率が70%以上である上記(1)又は(2)項に記載の非接触型記録書き換え媒体、
(4)使用するレーザ光の波長が800〜1400nmの範囲にあり、かつ樹脂層の前記レーザ光の波長におけるレーザ光の透過率が80%以上である上記(1)〜(3)項のいずれかに記載の非接触型記録書き換え媒体、
(5)樹脂層が、ラミネートフィルムと粘着剤層とからなる上記(1)〜(4)項のいずれかに記載の非接触型記録書き換え媒体、
(6)ラミネートフィルムが、ポリエチレンテレフタレート多層積層フィルムである上記(5)項に記載の非接触型記録書き換え媒体、及び
(7)上記(1)〜(6)項のいずれかに記載の非接触型記録書き換え媒体に、レーザ光を照射して記録を行い、レーザ光の照射又は熱処理により、該記録の消去を行うことを特徴とする、非接触型記録書き換え媒体の書き換え方法、
を提供するものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、支持体の一方の面に可逆性感熱発色層を設け、その上に、500〜700nmの可視光領域に、少なくとも一つの非透過率ピークを有し、かつ好ましくは使用するレーザ光(波長800〜1400nm)の透過率が80%以上である樹脂層を積層することにより、レーザ光による非接触で可視情報の記録・消去が可能であり、かつ耐光性に優れ、経時による記録情報の消去性低下を抑制し得ると共に、記録情報の視認性にも優れる非接触型記録書き換え媒体を提供することができる。
本発明の非接触型記録書き換え媒体は、記録されて被着体等に貼付した状態で屋外や屋内に放置された場合でも、消去性の低下を抑制できる。また、前記樹脂層を積層しても、レーザ光による記録や消去、目視による感熱発色記録の視認容易性を低下させることはない。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の非接触型記録書き換え媒体の一例のイメージ図である。
【図2】実施例1で用いた樹脂層における、波長と非透過率との関係を示すグラフである。
【図3】実施例2で用いた樹脂層における、波長と非透過率との関係を示すグラフである。
【図4】実施例3で用いた樹脂層における、波長と非透過率との関係を示すグラフである。
【図5】実施例4で用いた樹脂層における、波長と非透過率との関係を示すグラフである。
【図6】実施例5で用いた樹脂層における、波長と非透過率との関係を示すグラフである。
【図7】実施例6で用いた樹脂層における、波長と非透過率との関係を示すグラフである。
【図8】実施例7で用いた樹脂層における、波長と非透過率との関係を示すグラフである。
【図9】比較例1で用いた樹脂層における、波長と非透過率との関係を示すグラフである。
【図10】比較例2で用いた樹脂層における、波長と非透過率との関係を示すグラフである。
【図11】比較例3で用いた樹脂層における、波長と非透過率との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の非接触型記録書き換え媒体は、支持体の一方の面に可逆性感熱発色層が設けられてなる、レーザ光により非接触で可視情報の書き換えを行う非接触型記録書き換え媒体であって、前記可逆性感熱発色層上に、500〜700nmの可視光領域に少なくとも一つの非透過率ピークを有する樹脂層が積層されていることを特徴とする。
【0013】
[支持体]
本発明の非接触型記録書き換え媒体(以下、単に「記録媒体」と称することがある。)において、支持体としては特に制限はなく、例えばポリスチレン、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、発泡PET、ポリエチレンナフタレートなどのプラスチックフィルム、合成紙、不織布、紙などが挙げられる。支持体の厚さとしては特に制限はないが、通常10〜500μm、好ましくは20〜200μmの範囲である。また、支持体としてプラスチックフィルムを用いる場合には、その表面に設けられる層との密着性を向上させる目的で、所望により酸化法や凹凸化法などにより表面処理を施すことができる。上記酸化法としては、例えばコロナ放電処理、クロム酸処理(湿式)、火炎処理、熱風処理、オゾン・紫外線照射処理などが挙げられ、また、凹凸化法としては、例えばサンドブラスト法、溶剤処理法などが挙げられる。これらの表面処理法は支持体の種類に応じて適宜選ばれるが、一般にはコロナ放電処理法が効果及び操作性などの面から、好ましく用いられる。
また、レーザ光による情報の記録を行う際の熱を効果的に利用するために、断熱効果の高い発泡フィルムを支持体として用いることも有効である。さらに、支持体としては、繰り返し使用適性に優れるプラスチックフィルムが好ましい。
【0014】
(アンカーコート層)
本発明の記録媒体においては、前記支持体の一方の面にアンカーコート層を設けることができる。このアンカーコート層は、可逆性感熱発色層と支持体との密着性を向上させるため、及び次工程の可逆性感熱発色層を設ける際に用いられる塗工液中の溶剤から支持体を保護するためのものであり、このアンカーコート層を設けることにより、耐溶剤性の乏しい支持体も使用が可能となる。
該アンカーコート層を構成する樹脂としては、特に制限はなく、各種のものが使用可能であるが、耐溶剤性に優れる架橋化樹脂が好適に用いられる。この架橋化樹脂としては、例えば架橋化することのできるアクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体などが挙げられる。支持体として、耐溶剤性に劣るものを用いる場合には、アンカーコート層の形成に有機溶剤型でない塗工液、例えば水溶液型や水分散型塗工液の使用が好ましい。また、架橋方法としては特に制限はなく、従来公知の様々な方法の中から、使用する樹脂の種類に応じて適宜選択することができる。
さらに、無溶媒型として、紫外線や電子線などの電離放射線で架橋硬化する樹脂の使用も有効である。この電離放射線硬化型樹脂は、照射線量を変えることにより、架橋密度を容易に調整することができる上、架橋密度の高い架橋化樹脂を形成することができる。
【0015】
[可逆性感熱発色層]
本発明の記録媒体において、前記支持体表面に設けられる可逆性感熱発色層(以下、単に「感熱発色層」と称することがある。)は、一般に無色ないし淡色の染料前駆体、可逆性顕色剤及び必要に応じて用いられる光吸収熱変換剤、バインダー、消色促進剤、無機顔料、各種添加剤などから構成されている。
(染料前駆体)
無色ないし淡色の染料前駆体としては特に制限はなく、従来感熱記録材料において、染料前駆体として用いられている公知の化合物の中から、任意のものを適宜選択して使用することができる。例えば3,3−ビス(4−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド、3−(4−ジメチルアミノフェニル)−3−(1,2−ジメチルインドール−3−イル)フタリド、3−(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリドなどのトリアリールメタン系化合物、ローダミンBアニリノラクタム、3−(N−エチル−N−トリル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオランなどのキサンテン系化合物、4,4'−ビス(ジメチルアミノフェニル)ベンズヒドリルベンジルエーテル、N−クロロフェニルロイコオーラミンなどのジフェニルメタン系化合物、3−メチルスピロジナフトピラン、3−エチルスピロジナフトピランなどのスピロ系化合物、ベンゾイルロイコメチレンブルー、p−ニトロベンゾイルロイコメチレンブルーなどのチアジン系化合物などの中から1種を選び用いてもよく、2種以上を選び組み合わせて用いてもよい。
【0016】
(可逆性顕色剤)
本発明の記録媒体において、可逆性感熱発色層に用いることができる可逆性顕色剤としては、加熱後の冷却速度の違いにより、前記染料前駆体に可逆的な色調変化を生じさせるものであればよく、特に制限はないが、発色濃度、消色性、繰り返しの耐久性などの点から、長鎖アルキル基を有するフェノール誘導体からなる電子受容性化合物が好ましい。
前記フェノール誘導体は、分子中に酸素、硫黄などの原子やアミド結合を有していてもよい。アルキル基の長さや数は、消色性と発色性のバランスなどを考慮して選定されるが、アルキル基としては、炭素数8以上のものが好ましく、特に8〜24程度のものが好ましい。また、長鎖アルキル基を側鎖にもつヒドラジン化合物、アニリド化合物、尿素化合物なども使用することができる。
このような長鎖アルキル基を有するフェノール誘導体としては、例えば4−(N−メチル−N−オクタデシルスルホニルアミノ)フェノール、N−(4−ヒドロキシフェニル)−N'−n−オクタデシルチオ尿素、N−(4−ヒドロキシフェニル)−N'−n−オクタデシル尿素、N−(4−ヒドロキシフェニル)−N'−n−オクタデシルチオアミド、N−[3−(4−ヒドロキシフェニル)プロピオノ]−N'−オクタデカノヒドラジド、4'−ヒドロキシ−4−オクタデシルベンズアニリドなどを挙げることができる。
このような可逆性顕色剤の結晶性を利用して、情報を記録する際には、加熱後急冷することにより、一方消去する際には、加熱後徐冷を行うことにより、繰り返し情報の記録及び消去が可能となる。
【0017】
(光吸収熱変換剤)
可逆性感熱発色層に必要に応じて用いられる光吸収熱変換剤は、照射するレーザ光を吸収して熱に変換する作用を有するものであって、使用するレーザ光によって、適宜選択される。レーザ光としては、装置の簡便性や走査性などの面から、発振波長が800〜1400nmの範囲にあるものを選定するのがよく、例えば半導体レーザ光及びYAGレーザ光が好適である。
該光吸収熱変換剤は、このような近赤外のレーザ光を吸収し、発熱するものであって、可視光域の光はあまり吸収しないものが好ましい。該光吸収熱変換剤が可視光を吸収すると本発明の書き換え可能な記録媒体の視認性やバーコード読み取り性が低下する。このような要求性能を満たす光吸収熱変換剤としては、有機染料及び/又は有機金属系色素を挙げることができる。具体的には、シアニン系色素、フタロシアニン系色素、アントラキノン系色素、アズレン系色素、スクワリリウム系色素、金属錯体系色素、トリフェニルメタン系色素、インドレニン系色素などの中から選ばれる少なくとも1種が挙げられる。
感熱発色層中に、前記光吸収熱変換剤を含有させる場合、その含有量については特に制限はないが、感熱発色層全質量に基づき、通常0.1〜30質量%、好ましくは0.2〜10質量%、より好ましくは0.5〜5質量%である。
なお、感熱発色層に当該光吸収熱変換剤を加えないで、後述のように感熱発色層上に光吸収熱変換層を設けることができる。
【0018】
(その他成分)
感熱発色層を構成する各成分の保持、均一分散性を維持するなどの目的で、必要に応じて用いられるバインダーとしては、例えばポリアクリル酸、ポリアクリル酸エステル、ポリアクリルアミド、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリビニルアセタール、ポリビニルアルコールなどの重合体やそれらを構成するモノマーの共重合体を挙げることができる。
さらに、必要に応じて用いられる消色促進剤としては、例えばアンモニウム塩などが、無機顔料としては、例えばタルク、カオリン、シリカ、酸化チタン、酸化亜鉛、炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウムなどが、その他添加剤としては、例えば公知のレベリング剤や分散剤などが挙げられる。
【0019】
(感熱発色層の形成)
感熱発色層を形成するには、まず適当な有機溶媒中に、前記の染料前駆体、可逆性顕色剤及び必要に応じて用いられる各種添加成分を溶解又は分散させて塗工液を調製する。この際、有機溶媒としては、例えばアルコール系、エーテル系、エステル系、脂肪族炭化水素系、芳香族炭化水素系などを用いることができるが、特にテトラヒドロフランが分散性などに優れ、好適である。染料前駆体と可逆性顕色剤の割合については特に制限はないが、染料前駆体100質量部に対し、可逆性顕色剤が、通常50〜700質量部、好ましくは100〜500質量部の範囲で用いられる。
次に、このようにして調製された塗工液を、従来公知の手段で塗工し、乾燥処理することにより、感熱発色層を形成する。乾燥処理温度については特に制限はないが、染料前駆体が発色しないように低温で乾燥するのが望ましい。このようにして形成された感熱発色層の厚さは、通常1〜10μm、好ましくは2〜7μmの範囲である。
【0020】
[光吸収熱変換層]
本発明の記録媒体においては、感熱発色層中に、前述した光吸収熱変換剤を含有させないで、感熱発色層上に必要に応じて光吸収熱変換層を設けることができる。
感熱発色層上に、光吸収熱変換層を設ける場合、該光吸収熱変換層は、一般的に前記光吸収熱変換剤、バインダー及び必要に応じて用いられる無機顔料、帯電防止剤、その他添加剤などから構成される。
前記バインダーとしては、前述の感熱発色層におけるバインダーとして例示したものと同じものを用いることができるが、この光吸収熱変換層は、下層の発色を有視化させるための透明性が要求される。また、バインダーとしては、架橋タイプの樹脂が好ましく、特に紫外線や電子線などの電離放射線硬化型樹脂が好適である。
【0021】
(光吸収熱変換層の形成)
光吸収熱変換層を形成するには、まず、前記の光吸収熱変換剤、バインダー及び必要に応じて用いられる各種添加剤を含む塗工液を調製する。この際、バインダーの種類によっては、必要に応じ適当な有機溶媒を用いてもよい。バインダーと光吸収熱変換剤の割合については特に制限はないが、バインダー100質量部に対し、光吸収熱変換剤が、通常0.01〜50質量部、好ましくは0.03〜10質量部の範囲で用いられる。しかし、前記光吸収熱変換剤は、可視光域の光も吸収する場合があるため、光吸収熱変換剤の配合量が多いと光吸収熱変換層がレーザ光が照射されていない通常状態で着色されるおそれがある。光吸収熱変換層が着色すると、記録媒体の外観のみでなく、情報の視認性、バーコードの読み取り性などを低下させるために、発熱による発色感度とのバランスを考慮し、光吸収熱変換剤の配合量を少なく抑えることが好ましい。
次に、このようにして調製された塗工液を、前記感熱発色層上に従来公知の手段により塗工し、乾燥処理後、加熱や電離放射線の照射などにより架橋化することによって、光吸収熱変換層を形成する。このようにして形成された光吸収熱変換層の厚さとしては、通常0.05〜10μm、好ましくは0.1〜3μmの範囲である。
【0022】
[樹脂層]
本発明の非接触型記録書き換え媒体においては、前述の可逆性感熱発色層上に、500〜700nmの可視光領域に少なくとも一つの非透過率ピークを有する樹脂層が積層される。本発明で非透過率とは、各波長における光を透過しない割合と定義する。具体的には、各波長における透過率を測定し、100%から透過率値を差し引くことで非透過率とした。(非透過率(%)=100%−透過率(%))
当該樹脂層は、500〜700nmの可視光領域に、非透過率ピークを少なくとも一つ有するものであればよく、上記可視光領域に複数の非透過率ピークを有していてもよいし、500nm未満の波長域に一つ以上の非透過率ピークを有していてもよい。
当該樹脂層としては、500〜700nmの可視光領域における最大非透過率のピーク値が、40〜98%の範囲にあるものが好ましく、50〜90%の範囲にあるものがより好ましい。また、当該樹脂層は当然ながら下の感熱発色層に設けられる情報を視認できる透明性が必要であり、400〜800nmの可視光領域における全光線透過率が70%以上、より好ましくは80%以上である。なお、本発明でいう全光線透過率とは、分光光度計を用いて各波長での各光線透過率を波長400nm〜1400nmの範囲で測定する。そのうち可視光部分(400〜800nm)での平均光線透過率を全光線透過率とする。また、波長800〜1400nmのレーザ光の透過率が80%以上であるものが好ましい。
【0023】
従来の非接触型記録書き換え媒体においては、太陽光を始めとする可視及び紫外光を浴びることにより、染料前駆体である色素や光吸収熱変換剤の分解が起こり、記録情報の消去性が低下し、これにより繰り返し記録性が低下したり、あるいは記録した文字及び記録材料の色の変色が生じ、視認性が低下するなどの問題があった。
本発明の非接触型記録書き換え媒体においては、感熱発色層上に、前述した光学特性を有する樹脂層を積層することにより、レーザ光による非接触で可視情報の記録・消去が可能であると共に、耐光性が向上し、経時による記録情報の消去性低下を抑制することができる上、記録情報の視認性も良好となる。
また、本発明の記録媒体は、可視情報が記録されて被着体等に貼付した状態で屋外や屋内に放置された場合でも、消去性の低下を抑制できる。また、前記樹脂層を積層しても、レーザ光による記録や消去、目視による感熱発色記録の視認容易性を低下させることはない。
【0024】
本発明の記録媒体において、感熱発色層上に設けられる、前述した光学特性を有する樹脂層は、通常ラミネートフィルムと粘着剤層とから構成されており、該ラミネートフィルムとしては、前述した樹脂層の光学特性の観点から、ポリエチレンテレフタレート多層積層フィルムを好ましく用いることができる。
このポリエチレンテレフタレート多層積層フィルムは、屈折率の低い層と高い層とを交互に多数積層することにより、前記の光学特性を付与した積層フィルムであって、例えば市販品として、帝人デュポン社製の「テトロンMLF19.0」や「テトロンMLF16.5」などを用いることができる。
【0025】
一方、粘着剤層を構成する粘着剤としては特に制限はなく、アクリル系、ゴム系、ポリエステル系、ポリウレタン系粘着剤などを用いることができるが、耐光性、透明性などの観点から、アクリル系粘着剤が好適である。このアクリル系粘着剤はエマルション型、溶剤型、無溶剤型のいずれであってもよいが、架橋タイプのものが耐久性などの観点から好ましい。この場合、架橋剤としては、例えばイソシアネート系、エポキシ系、キレート系などの公知の架橋剤を用いることができる。また、粘着剤中には、耐光性、透明性に影響を与えない範囲において、必要に応じて、粘着付与剤、安定剤、紫外線吸収剤等の各種添加剤を含有させることができる。
【0026】
本発明の記録媒体において、感熱発色層上に、前述した光学特性を有する樹脂層を積層するとは、当該記録媒体の層構成により、例えば感熱発色層の表面又は光吸収熱変換剤を含む感熱発色層の表面、あるいは感熱発色層の表面に設けられた光吸収熱変換層の表面に、当該樹脂層を積層することを指す。当該樹脂層は前述したように、通常ラミネートフィルムと粘着剤層とから構成されており、したがって該粘着剤層を介してラミネートフィルムを積層することにより、当該樹脂層が積層される。この場合、前記ラミネートフィルムは一層積層してもよいし、必要に応じ二層以上積層してもよい。
<レーザ光波長透過率、可視光線透過率、全光線透過率の測定>
400〜1400nmの波長域における樹脂層(例えばラミネートフィルム/厚さ20μmの粘着剤層)の透過率を分光光度計にて測定し、樹脂層のレーザ光波長域(800〜1400nm)における透過率及び400〜800nmの波長域における透過率ピーク波長を調べ、該波長における非透過率ピーク値及び全光線透過率を求める。
【0027】
[被着体貼付用粘着剤層]
本発明の記録媒体においては支持体の感熱発色層が設けられてない側の表面に、被着体貼付用の粘着剤層を設けることができる。
前記粘着剤層を構成する粘着剤は、被着体に対して良好な接着性を示し、かつ該被着体と記録媒体を共に原料にリサイクルする場合、このリサイクルを阻害しない樹脂組成のものが好ましく、特に樹脂成分として、アクリル酸エステル系共重合体を含む粘着剤は、リサイクル性に優れ好適である。その他、ゴム系、ポリエステル系、ポリウレタン系粘着剤なども使用することができる。また、耐熱性に優れるシリコーン系粘着剤も使用可能であるが、リサイクル工程において、被着体との相溶性が悪いために、リサイクル樹脂が不均一になりやすく、強度低下や外観不良の原因となることがある。また、この粘着剤はエマルション型、溶剤型、無溶剤型のいずれでもよく、また架橋タイプであれば、被着体を繰り返し使用するために施される洗浄工程での耐水性に優れ、ラベル保持の耐久性も向上するために好ましい。該粘着剤層の厚さは、通常5〜100μm、好ましくは10〜50μmの範囲である。
【0028】
(剥離シート)
本発明の記録媒体においては、前記被着体貼付用粘着剤層上に、必要に応じて剥離シートを設けることができる。この剥離シートとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、発泡PET、ポリプロピレンなどのプラスチックフィルムや、ポリエチレンラミネート紙、グラシン紙、クレーコート紙などの剥離シート用基材に、必要により離型剤を塗布したものが用いられる。該離型剤としては、シリコーン系のものが好ましく、その他フッ素系、長鎖アルキル基含有カルバメイト系のものなども使用することができる。離型剤の塗布厚さは、通常0.1〜5.0μm、好ましくは0.2〜3.0μmの範囲である。また、剥離シートの厚さについては特に制限はないが、通常10〜150μm程度である。
【0029】
[記録媒体の作製]
本発明の記録媒体を作製するには、例えば支持体の一方の面に、必要に応じてアンカーコート層、感熱発色層、必要に応じて光吸収熱変換層及び樹脂層の順に設けたのち、該支持体の反対側の面に、粘着剤層を設けるのが好ましい。前記アンカーコート層、感熱発色層及び光吸収熱変換層は、それぞれの塗工液を、ダイレクトグラビア、グラビアリバース、マイクログラビア、マイヤーバー、エアーナイフ、ブレード、ダイ、ロールナイフ、リバース、カーテンコートなどのコート法や、フレキソ、レタープレス、スクリーンなどの印刷方法で塗工、乾燥し、必要ならばさらに加熱することにより、形成することができる。特に、感熱発色層は、発色しないように低温で乾燥するのが望ましい。また、電離放射線硬化型の場合は、電離放射線を照射して硬化させる。
一方、粘着剤層は、粘着剤をロールナイフコーター、リバースコーター、ダイコーター、グラビアコーター、マイヤーバーなどの公知の方法で、支持体表面に直接塗布、乾燥して形成してもよいし、あるいは剥離シートの剥離処理面に粘着剤を前記方法で塗布、乾燥して粘着剤層を設けたのち、これを支持体に貼着し、該粘着剤層を転写してもよい。後者の転写方法は、支持体に設けられている感熱発色層を発色させることなく、粘着剤の乾燥効率を上げることができるので、好ましい。
このようにして、本発明の非接触型記録書き換え媒体を得ることができる。図1は、本発明の非接触型記録書き換え媒体の一例のイメージ図である。
非接触型記録書き換え媒体10は、支持体1の一方の側の面に、可逆性感熱発色層2及び光吸収熱変換層3が順次設けられ、さらにその上に、粘着剤層4を介してラミネートフィルム5が積層されていると共に、支持体1の他方の面に被着体貼付用粘着剤層6及び剥離シート7が順次設けられた構造を有している。8は被着体である。
【0030】
次に、本発明の非接触型記録書き換え媒体の書き換え方法について説明する。
[記録書き換え媒体の書き換え方法]
本発明の非接触型記録書き換え媒体の書き換え方法(以下、単に「書き換え方法」と称することがある。)は、前述した本発明の非接触型記録書き換え媒体に、レーザ光を照射して記録を行い、レーザ光の照射又は熱処理により、該記録の消去を行うことを特徴とする。
本発明の書き換え方法においては、レーザ光(レーザビーム)として、波長が800〜1400nmの範囲にある近赤外レーザビームを用いることが好ましい。波長が800nmより短いものは、視認性及び光学反射読み取り記号の読み取り性が低下するため好ましくない。波長が1400nmより長いものは、パルス単位当たりのエネルギーが高く、熱の影響が大きいため感熱発色層などが徐々に破壊され、繰り返し記録、消去を行う耐久性が低下するおそれがある。
【0031】
(可視情報の記録)
本発明における記録方式としては、スキャニングミラーを、レーザ光の発振を行うことなく連続駆動させ、レーザ光を発振した場合に想定されるレーザビームの軌跡(仮想レーザビーム)が実質上等速運動している場合のみに、レーザ光を発振させてレーザ光の走査を行い、描画する記録方式が好ましい。
また、記録を行う際の、記録媒体表面とレーザ光源の距離は、スキャンスピード及び照射出力によって異なるが、文字濃度(バーコード読み取り性)、文字の大きさを考慮して選定する必要がある。好ましくは記録の際はレーザ出力が2.0〜20W程度、照射距離150〜250mm程度、デューティ50〜100%、消去の際はレーザ出力が5〜30W程度、照射距離200〜500mm程度、デューティ約50〜100%である。なお、スキャンスピードについては、印字性能又は消去性能を損なわない範囲で速くすることが好ましい。
記録用レーザビームを、記録に必要なエネルギーだけを短時間で照射することにより、急冷効果をもたらし、良好な画像を得ることができる。また、冷風の送風によって、急冷効果をもたらしてもよい。
【0032】
このようにして情報を記録した媒体のうち、裏面側に被着体貼付用粘着剤層を施した記録媒体は、被着体に、機械又は人による手作業で貼付される。機械貼りする場合は、グリッドによる圧着方式、ロールで圧着するローラープランジャー方式、エアーによるエアー吹き付け方式などを採用することができる。また、記録媒体は、粘着剤の利用だけでなく、任意の方法で被着体に具備させることができる。このようにして記録媒体付きの被着体は、物品の輸送などの目的を果たしたのち、再度利用するために、必要に応じて洗浄される。洗浄方法としては、エアーを吹き付けてゴミなどを除去する方法、水洗い方法、アルカリ温水による洗浄方法などが用いられる。
使用済の被着体を再度利用するために、貼付されている記録媒体の情報を、新しい情報へ書きなおす必要がある。そのためには、まず記録情報の消去を行う。
【0033】
(記録情報の消去)
本発明における記録情報の消去方法は、レーザ光による加熱、熱風による加熱などが挙げられ、特に加熱手段を限定するものではない。次に、消去方法の一例を記す。
記録媒体の情報を新しい情報に書き直すために消去を行う。この場合、まず、記録された媒体表面に800〜1400nmの近赤外レーザ光を照射する。所定のエネルギー量によるレーザ光の照射に加えて、熱ロールなどを接触させる方法、熱風を吹き付ける方法などによって冷却速度を更に遅くすることにより記録情報残存率を更に低減することができる。
加熱ロールは、100〜140℃程度に加熱することができ、記録媒体表面を損傷しないものであれば、特に制限することなく公知の加熱ロールを使用することができる。例えば、ゴムロール、ステンレスロールなどを使用することができる。特に耐熱性に優れるシリコーンゴムロールを好適に使用することができる。ゴム硬度は40度以上が好ましい。
また、熱風を送風することにより、記録情報を消去することができる。この場合、80〜400℃程度の熱風を0.01〜30秒間程度送風する。記録媒体及び被着体の熱変形や消去速度を考慮すると、100〜350℃の高温熱風を0.01〜3秒間程度の極短時間送風して加熱することが好ましい。
【0034】
次に、このようにして情報を消去したのち、前述で説明した非接触方式により、新しい情報の記録を行う。このように、前記工程を繰り返すことにより、被着体及び記録媒体を繰り返し利用することができる。
本発明においては、この記録と消去の繰り返し回数は1000回以上が可能である。所定回数利用した被着体及び記録媒体は、必要に応じて一緒にリサイクル工程へ送ることも可能である。
本発明の非接触型記録書き換え媒体は、例えば物品の管理に使用されているラベル、具体的には食品を輸送するプラスチックコンテナに貼るラベル、電子部品の管理に用いるラベル、段ボールなどに貼る物流管理ラベルなどとして用いることができる。
【実施例】
【0035】
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
なお、各例で得られた書き換え可能記録媒体の性能評価は、以下に示す方法に従って行った。
<記録(印字)方法>
レーザビームを照射するレーザマーカーとして、YAGレーザ(波長1064nm)[サンクス(株)製、商品名「LP−F10W」]を用いて、記録を行った。
照射距離210mm、レーザ出力3.3W、デューティ70%、スキャンスピード3000mm/秒、パルス周期100μs、線幅0.1mm、塗りつぶし間隔0.05mmになるように調節し、アルファベットA〜Jまでの10文字の記録を行った。
<消去方法>
媒体に20mmの距離から300℃の高温熱風を2秒間送風したのち、記録文字の消去性(消え残りの有無)を確認した。
<光曝露後における文字消去性>
記録(印字)方法により、記録を行った試料を4000ルクスの蛍光灯下50cmの位置に1ヶ月放置した。その後、上述の消去方法により文字の消去を行い、消去性を目視により確認し、下記の判定基準に従って、光曝露後における文字消去性(以下「文字消去性」ということがある)を評価した。
○:完全に消去されている。
×:完全には消去できず、文字跡が残る。
<レーザ光波長透過率、可視光線透過率、全光線透過率の測定>
400〜1400nmの波長域における樹脂層(例えばラミネートフィルム/厚さ20μmの粘着剤層)の透過率を分光光度計[(株)島津製作所製、機種名「UV−3100PC」]にて測定し、使用するレーザ光の波長である1064nmの透過率及び400〜800nmの波長域における透過率ピーク波長を調べ、該波長における非透過率ピーク値及び全光線透過率を求めた。
【0036】
製造例1 感熱発色層形成用塗工液(A液)の調製
染料前駆体として、トリアリールメタン系化合物である3−(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド10質量部、可逆性顕色剤として4−(N−メチル−N−オクタデシルスルホニルアミノ)フェノール30質量部、バインダーのポリビニルアセタール1.5質量部及び希釈溶剤としてテトラヒドロフラン2500質量部を、粉砕機及びディスパーにより粉砕、分散させて、感熱発色層形成用塗工液(A液)を調製した。
【0037】
製造例2 光吸収熱変換層形成用塗工液(B液)の調製
近赤外光吸収熱変換剤(ニッケル錯体系色素)[(株)トスコ製、商品名「SDA−5131」]を1質量部、紫外線硬化型バインダー(ウレタンアクリレート)[大日精化工業(株)製、商品名「PU−5(NS)」]100質量部及び無機顔料(シリカ)[日本アエロジル工業(株)製、商品名「アエロジルR−972」]3質量部をディスパーにより分散させて、光吸収熱変換層形成用塗工液(B液)を調製した。
【0038】
製造例3 剥離シート付き粘着剤層の作製
厚さ100μmのポリエチレンテレフタレートフィルム[東レ(株)製、商品名「ルミラーT−60」]上に、触媒を添加させたシリコーン樹脂[東レ・ダウコーニング(株)製、商品名「SRX−211」]を、乾燥後の厚みが0.7μmになるように塗布した剥離シートを作製した。
この剥離シートのシリコーン樹脂層上に、アクリル系粘着剤[リンテック(株)製、商品名「PA−T1」]を、乾燥後の厚みが30μmになるようにロールナイフコーター方式で塗布した。この粘着剤塗布フィルムを温度100℃のオーブンで2分間乾燥して、剥離シート付き粘着剤層を作製した。
【0039】
実施例1
(1)記録用サンプルの作製
支持体として厚さ100μmの発泡ポリエチレンテレフタレートフィルム[東洋紡績(株)製、商品名「クリスパー50K2411」]の易接着コート側に、製造例1で調製したA液をグラビア方式にて乾燥後の厚さが4μmとなるように塗布し、60℃のオーブンで5分間乾燥させ、感熱発色層を形成した。次いで、この感熱発色層上に、製造例2で調製したB液を、乾燥後の厚さが1.2μmになるようにフレキソ方式にて塗布し、60℃のオーブンで1分間乾燥させた後、紫外線を光量220mJ/cm2で照射して光吸収熱変換層を作製した。
製造例3で作製した剥離シート付き粘着剤層をラミネーターで、前記支持体の感熱発色層及び光吸収熱変換層が形成されていない面と貼り合わせ、記録用サンプルとした。
(2)書き換え可能記録媒体の作製
ラミネートフィルムとして帝人デュポン社製の厚さ16.5μmの多積層フィルム「テトロンMLF16.5」(以下、ラミネートフィルム(a)とする)片面(下層)にアクリル系架橋型粘着剤として、アクリル系粘着剤[リンテック(株)製、商品名「PLシン」]を乾燥後の塗工厚が20μmになるように塗付した。このように得られたラミネート材料を先の記録用サンプルの上層(光吸収熱変換層面)にラミネートを行い、書き換え可能記録媒体を作製した。
前記ラミネート材料(ラミネートフィルム(a)/厚さ20μmの粘着剤層)について、レーザ光の波長である1064nmの透過率、非透過率ピーク波長と該波長における非透過率ピーク値、全光線透過率を求めると共に、書き換え可能記録媒体について文字消去性を評価した。結果を第1表及び図2に示す。
【0040】
実施例2
ラミネートフィルムとして帝人デュポン社製の厚さ19.0μmの多積層フィルム「テトロンMLF19.0」(以下、ラミネートフィルム(b)とする。)をラミネートした以外は、実施例1と同様な操作を行い、書き換え可能記録媒体を作製した。
ラミネート材料(ラミネートフィルム(b)/20μm粘着剤層)について、レーザ光の波長である1064nmの透過率、非透過率ピーク波長と該波長における非透過率ピーク値、全光線透過率を求めると共に、書き換え可能記録媒体について文字消去性を評価した。結果を第1表及び図3に示す。
【0041】
実施例3
ラミネートフィルムとしてラミネート(a)を2層重ねてラミネートした以外は、実施例1と同様な操作を行い、書き換え可能記録媒体を作製した。
ラミネート材料(ラミネートフィルム(a)/20μm粘着剤層/ラミネートフィルム(a)/20μm粘着剤層)について、レーザ光の波長である1064nmの透過率、非透過率ピーク波長と該波長における非透過率ピーク値、全光線透過率を求めると共に、書き換え可能記録媒体について文字消去性を評価した。結果を第1表及び図4に示す。
【0042】
実施例4
ラミネートフィルムとしてラミネートフィルム(b)を2層重ねてラミネートした以外は、実施例1と同様な操作を行い、書き換え可能記録媒体を作製した。
ラミネート材料(ラミネートフィルム(b)/20μm粘着剤層/ラミネートフィルム(b)/20μm粘着剤層)について、レーザ光の波長である1064nmの透過率、非透過率ピーク波長と該波長における非透過率ピーク値、全光線透過率を求めると共に、書き換え可能記録媒体について文字消去性を評価した。結果を第1表及び図5に示す。
【0043】
実施例5
ラミネートフィルムとして帝人デュポン社製の厚さ13.0μmの多積層フィルム「テトロンMLF13.0」(以下、ラミネートフィルム(c)とする。)と、ラミネートフィルム(a)とを、該ラミネートフィルム(a)が上側になるように重ねてラミネートした以外は、実施例1と同様な操作を行い、書き換え可能記録媒体を作製した。
ラミネート材料(ラミネートフィルム(a)/20μm粘着剤層/ラミネートフィルム(c)/20μm粘着剤層)について、レーザ光の波長である1064nmの透過率、非透過率ピーク波長と該波長における非透過率ピーク値、全光線透過率を求めると共に、書き換え可能記録媒体について文字消去性を評価した。結果を第1表及び図6に示す。
【0044】
実施例6
ラミネートフィルムとしてラミネートフィルム(a)と、ラミネートフィルム(b)とを、ラミネートフィルム(b)が上側になるように重ねてラミネートした以外は、実施例1と同様な操作を行い、書き換え可能記録媒体を作製した。
ラミネート材料(ラミネートフィルム(b)/20μm粘着剤層/ラミネートフィルム(a)/20μm粘着剤層)について、レーザ光の波長である1064nmの透過率、非透過率ピーク波長と該波長における非透過率ピーク値、全光線透過率を求めると共に、書き換え可能記録媒体について文字消去性を評価した。結果を第1表及び図7に示す。
【0045】
実施例7
ラミネートフィルムとしてラミネートフィルム(c)と、ラミネートフィルム(b)とを、ラミネートフィルム(b)が上側になるように重ねてラミネートした以外は、実施例1と同様な操作を行い、書き換え可能記録媒体を作製した。
ラミネート材料(ラミネートフィルム(b)/20μm粘着剤層/ラミネートフィルム(c)/20μm粘着剤層)について、レーザ光の波長である1064nmの透過率、非透過率ピーク波長と該波長における非透過率ピーク値、全光線透過率を求めると共に、書き換え可能記録媒体について文字消去性を評価した。結果を第1表及び図8に示す。
【0046】
比較例1
ラミネートフィルムとして厚さ25μmの東レ(株)製フィルム「ルミラー25T61M」(以下、ラミネートフィルム(d)とする。)をラミネートした以外は、実施例1と同様な操作を行い、書き換え可能記録媒体を作製した。
ラミネート材料(ラミネートフィルム(d)/20μm粘着剤層)について、レーザ光の波長である1064nmの透過率、非透過率ピーク波長と該波長における非透過率ピーク値、全光線透過率を求めると共に、書き換え可能記録媒体について文字消去性を評価した。結果を第1表及び図9に示す。
【0047】
比較例2
ラミネートフィルムとしてラミネートフィルム(c)をラミネートした以外は、実施例1と同様な操作を行い、書き換え可能記録媒体を作製した。
ラミネート材料(ラミネートフィルム(c)/20μm粘着剤層)について、レーザ光の波長である1064nmの透過率、非透過率ピーク波長と該波長における非透過率ピーク値、全光線透過率を求めると共に、書き換え可能記録媒体について文字消去性を評価した。結果を第1表及び図10に示す。
【0048】
比較例3
ラミネートフィルムとしてラミネート(c)を2層重ねてラミネートした以外は、実施例1と同様な操作を行い、書き換え可能記録媒体を作製した。
ラミネート材料(ラミネートフィルム(c)/20μm粘着剤層/ラミネートフィルム(c)/20μm粘着剤層)について、レーザ光の波長である1064nmの透過率、非透過率ピーク波長と該波長における非透過率ピーク値、全光線透過率を求めると共に、書き換え可能記録媒体について文字消去性を評価した。結果を第1表及び図11に示す。
【0049】
【表1】
【0050】
実施例1〜4におけるラミネート材料は、500〜700nmの波長域における最大非透過率のピーク値が67〜81%であり、実施例5は、波長450nmと550nmに、それぞれ64%、68%の非透過率ピーク値を、実施例6は波長550nmと620nmに、それぞれ68%の非透過率ピーク値を、実施例7は、波長450μmと620μmに、それぞれ64%の非透過率ピーク値を有している。このような光学特性を有するラミネート材料を積層してなる、実施例1〜7の本発明の書き換え記録媒体は、文字消去性がいずれも○であり、合格である。
一方、比較例1におけるラミネート材料は、500〜700nmの波長域に非透過率ピークを有しておらず、比較例2は、波長450nmに62%の非透過率ピーク値を有するが、500〜700nmの波長域には、非透過率ピークを有していない。また、比較例3におけるラミネート材料は、波長450nmに82%の非透過率ピーク値を有するが、500〜700nmの波長域には、非透過率ピークを有していない。
このような光学特性を有するラミネート材料を積層してなる、比較例1〜3の書き換え記録媒体は、文字消去性がいずれも×であり、不合格である。
なお、実施例1〜7及び比較例1〜3におけるラミネート材料のレーザ光(波長1064nm)透過率は、いずれも80%以上であった。また、実施例1〜7及び比較例1〜3におけるラミネート材料の全光線透過率は、いずれも70%以上であった。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明の非接触型記録書き換え媒体は、レーザ光による非接触で可視情報の記録・消去が可能であり、かつ耐光性に優れ、経時による記録情報の消去性低下を抑制し得ると共に、記録情報の視認性にも優れており、例えば物品の管理に使用されているラベル、具体的には食品を輸送するプラスチックコンテナに貼るラベル、電子部品の管理に用いるラベル、段ボールなどに貼る物流管理ラベルなどとして好適である。
【符号の説明】
【0052】
1 支持体
2 可逆性感熱発色層
3 光吸収熱変換層
4 粘着剤層
5 ラミネートフィルム
6 被着体貼付用粘着剤層
7 剥離シート
8 被着体
10 非接触型記録書き換え媒体
【技術分野】
【0001】
本発明は、非接触型記録書き換え媒体及び該記録書き換え媒体の書き換え方法に関する。さらに詳しくは、本発明は、レーザ光により、非接触で可視情報の記録・消去が可能であり、かつ耐光性に優れ、経時による記録情報の消去性低下を抑制し得る非接触型記録書き換え媒体、及び該記録書き換え媒体の書き換え方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、物品の管理に使用されているラベル、例えば食品を輸送するプラスチックコンテナに貼るラベル、電子部品の管理に用いるラベル、段ボールなどに貼る物流管理ラベルなどは、感熱記録材料(ダイレクトサーマル紙など)を表面基材に用いたものが主流となっていた。
この感熱記録材料は、支持体上に電子供与性の通常無色ないし淡色の染料前駆体と電子受容性の顕色剤とを主成分とする感熱記録層が設けられており、熱ヘッド、熱ペン等で加熱することにより、染料前駆体と顕色剤とが瞬時に反応し記録画像が得られるものである。このような感熱記録材料は、一般に一度画像を形成すると、その部分を消去して再び画像形成前の状態に戻すことは不可能である。
【0003】
これまで、前記の物品管理に使用されるラベルにおいては、表面基材として、このような感熱記録材料が主として使用され、接触型のサーマルプリンタなどを用いて、宛先、送り主、品名、数量、重量、製造年月日、賞味期限、固有識別番号、ロット番号などの情報や、それらをバーコード化したものを印字し、被着体に貼付していた。そして、ラベルとしての役目が終了すると、被着体であるコンテナや段ボールなどを再利用するために、ラベルを人手で剥がすのに多くの時間と手間を要していた。また、ラベルが剥がされた被着体は、別のラベルが再度貼付され、繰り返し利用される。
【0004】
このように、被着体が繰り返し利用される度に、ラベルの剥離及び貼付が行われているのが実状である。このため、近年ラベルを被着体からその都度剥がすことなく、被着体に貼付した状態で繰り返し情報の記録及び消去が可能なリライトサーマルラベルが注目され、例えば支持体上に染料前駆体と可逆性顕色剤を含む感熱発色層を設けてなる可視情報記録・消去手段を有する非接触型可逆性感熱記録材料が開発されている(例えば、特許文献1〜3参照)。
【0005】
しかしながら、このような非接触型可逆性感熱記録材料においては、太陽光を始めとする可視及び紫外光を浴びることにより、染料前駆体である色素や光吸収熱変換剤の分解が起こり、記録情報の消去性が低下し、これにより繰り返し記録性が低下する問題があり、また、記録した文字及び記録材料の色の変色が生じ、視認性が低下する問題があった。
したがって、非接触型記録書き換え媒体においては、耐光性に優れるものが望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−118238号公報
【特許文献2】特開2006−231647号公報
【特許文献3】特許第2741435号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、このような事情のもとで、レーザ光により、非接触で可視情報の記録・消去が可能であり、かつ耐光性に優れ、経時による記録情報の消去性低下を抑制し得ると共に、記録情報の視認性にも優れる非接触型記録書き換え媒体、及び該記録書き換え媒体の書き換え方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、前記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、支持体の一方の面に設けられた可逆性感熱発色層上に、500〜700nmの可視光領域に、少なくとも一つの非透過率ピークを有し、かつ好ましくは情報の記録・消去に使用するレーザ光(波長800〜1400nm)の透過率が80%以上である樹脂層を積層することにより、その目的に適合し得る非接触型記録書き換え媒体が得られることを見出した。
また、この非接触型記録書き換え媒体に、レーザ光の照射により記録を行い、レーザ光の照射又は熱処理により、該記録を消去することにより、効率よく、記録情報を書き換え得ることを見出した。
本発明は、かかる知見に基づいて完成したものである。
【0009】
すなわち、本発明は、
(1)支持体の一方の面に可逆性感熱発色層が設けられてなる、レーザ光により非接触で可視情報の書き換えを行う非接触型記録書き換え媒体であって、前記可逆性感熱発色層上に、500〜700nmの可視光領域に少なくとも一つの非透過率ピークを有する樹脂層が積層されていることを特徴とする非接触型記録書き換え媒体、
(2)500〜700nmの可視光領域における最大非透過率のピーク値が40〜98%の範囲にある上記(1)項に記載の非接触型記録書き換え媒体、
(3)400〜800nmの可視光領域における全光線透過率が70%以上である上記(1)又は(2)項に記載の非接触型記録書き換え媒体、
(4)使用するレーザ光の波長が800〜1400nmの範囲にあり、かつ樹脂層の前記レーザ光の波長におけるレーザ光の透過率が80%以上である上記(1)〜(3)項のいずれかに記載の非接触型記録書き換え媒体、
(5)樹脂層が、ラミネートフィルムと粘着剤層とからなる上記(1)〜(4)項のいずれかに記載の非接触型記録書き換え媒体、
(6)ラミネートフィルムが、ポリエチレンテレフタレート多層積層フィルムである上記(5)項に記載の非接触型記録書き換え媒体、及び
(7)上記(1)〜(6)項のいずれかに記載の非接触型記録書き換え媒体に、レーザ光を照射して記録を行い、レーザ光の照射又は熱処理により、該記録の消去を行うことを特徴とする、非接触型記録書き換え媒体の書き換え方法、
を提供するものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、支持体の一方の面に可逆性感熱発色層を設け、その上に、500〜700nmの可視光領域に、少なくとも一つの非透過率ピークを有し、かつ好ましくは使用するレーザ光(波長800〜1400nm)の透過率が80%以上である樹脂層を積層することにより、レーザ光による非接触で可視情報の記録・消去が可能であり、かつ耐光性に優れ、経時による記録情報の消去性低下を抑制し得ると共に、記録情報の視認性にも優れる非接触型記録書き換え媒体を提供することができる。
本発明の非接触型記録書き換え媒体は、記録されて被着体等に貼付した状態で屋外や屋内に放置された場合でも、消去性の低下を抑制できる。また、前記樹脂層を積層しても、レーザ光による記録や消去、目視による感熱発色記録の視認容易性を低下させることはない。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の非接触型記録書き換え媒体の一例のイメージ図である。
【図2】実施例1で用いた樹脂層における、波長と非透過率との関係を示すグラフである。
【図3】実施例2で用いた樹脂層における、波長と非透過率との関係を示すグラフである。
【図4】実施例3で用いた樹脂層における、波長と非透過率との関係を示すグラフである。
【図5】実施例4で用いた樹脂層における、波長と非透過率との関係を示すグラフである。
【図6】実施例5で用いた樹脂層における、波長と非透過率との関係を示すグラフである。
【図7】実施例6で用いた樹脂層における、波長と非透過率との関係を示すグラフである。
【図8】実施例7で用いた樹脂層における、波長と非透過率との関係を示すグラフである。
【図9】比較例1で用いた樹脂層における、波長と非透過率との関係を示すグラフである。
【図10】比較例2で用いた樹脂層における、波長と非透過率との関係を示すグラフである。
【図11】比較例3で用いた樹脂層における、波長と非透過率との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の非接触型記録書き換え媒体は、支持体の一方の面に可逆性感熱発色層が設けられてなる、レーザ光により非接触で可視情報の書き換えを行う非接触型記録書き換え媒体であって、前記可逆性感熱発色層上に、500〜700nmの可視光領域に少なくとも一つの非透過率ピークを有する樹脂層が積層されていることを特徴とする。
【0013】
[支持体]
本発明の非接触型記録書き換え媒体(以下、単に「記録媒体」と称することがある。)において、支持体としては特に制限はなく、例えばポリスチレン、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、発泡PET、ポリエチレンナフタレートなどのプラスチックフィルム、合成紙、不織布、紙などが挙げられる。支持体の厚さとしては特に制限はないが、通常10〜500μm、好ましくは20〜200μmの範囲である。また、支持体としてプラスチックフィルムを用いる場合には、その表面に設けられる層との密着性を向上させる目的で、所望により酸化法や凹凸化法などにより表面処理を施すことができる。上記酸化法としては、例えばコロナ放電処理、クロム酸処理(湿式)、火炎処理、熱風処理、オゾン・紫外線照射処理などが挙げられ、また、凹凸化法としては、例えばサンドブラスト法、溶剤処理法などが挙げられる。これらの表面処理法は支持体の種類に応じて適宜選ばれるが、一般にはコロナ放電処理法が効果及び操作性などの面から、好ましく用いられる。
また、レーザ光による情報の記録を行う際の熱を効果的に利用するために、断熱効果の高い発泡フィルムを支持体として用いることも有効である。さらに、支持体としては、繰り返し使用適性に優れるプラスチックフィルムが好ましい。
【0014】
(アンカーコート層)
本発明の記録媒体においては、前記支持体の一方の面にアンカーコート層を設けることができる。このアンカーコート層は、可逆性感熱発色層と支持体との密着性を向上させるため、及び次工程の可逆性感熱発色層を設ける際に用いられる塗工液中の溶剤から支持体を保護するためのものであり、このアンカーコート層を設けることにより、耐溶剤性の乏しい支持体も使用が可能となる。
該アンカーコート層を構成する樹脂としては、特に制限はなく、各種のものが使用可能であるが、耐溶剤性に優れる架橋化樹脂が好適に用いられる。この架橋化樹脂としては、例えば架橋化することのできるアクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体などが挙げられる。支持体として、耐溶剤性に劣るものを用いる場合には、アンカーコート層の形成に有機溶剤型でない塗工液、例えば水溶液型や水分散型塗工液の使用が好ましい。また、架橋方法としては特に制限はなく、従来公知の様々な方法の中から、使用する樹脂の種類に応じて適宜選択することができる。
さらに、無溶媒型として、紫外線や電子線などの電離放射線で架橋硬化する樹脂の使用も有効である。この電離放射線硬化型樹脂は、照射線量を変えることにより、架橋密度を容易に調整することができる上、架橋密度の高い架橋化樹脂を形成することができる。
【0015】
[可逆性感熱発色層]
本発明の記録媒体において、前記支持体表面に設けられる可逆性感熱発色層(以下、単に「感熱発色層」と称することがある。)は、一般に無色ないし淡色の染料前駆体、可逆性顕色剤及び必要に応じて用いられる光吸収熱変換剤、バインダー、消色促進剤、無機顔料、各種添加剤などから構成されている。
(染料前駆体)
無色ないし淡色の染料前駆体としては特に制限はなく、従来感熱記録材料において、染料前駆体として用いられている公知の化合物の中から、任意のものを適宜選択して使用することができる。例えば3,3−ビス(4−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド、3−(4−ジメチルアミノフェニル)−3−(1,2−ジメチルインドール−3−イル)フタリド、3−(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリドなどのトリアリールメタン系化合物、ローダミンBアニリノラクタム、3−(N−エチル−N−トリル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオランなどのキサンテン系化合物、4,4'−ビス(ジメチルアミノフェニル)ベンズヒドリルベンジルエーテル、N−クロロフェニルロイコオーラミンなどのジフェニルメタン系化合物、3−メチルスピロジナフトピラン、3−エチルスピロジナフトピランなどのスピロ系化合物、ベンゾイルロイコメチレンブルー、p−ニトロベンゾイルロイコメチレンブルーなどのチアジン系化合物などの中から1種を選び用いてもよく、2種以上を選び組み合わせて用いてもよい。
【0016】
(可逆性顕色剤)
本発明の記録媒体において、可逆性感熱発色層に用いることができる可逆性顕色剤としては、加熱後の冷却速度の違いにより、前記染料前駆体に可逆的な色調変化を生じさせるものであればよく、特に制限はないが、発色濃度、消色性、繰り返しの耐久性などの点から、長鎖アルキル基を有するフェノール誘導体からなる電子受容性化合物が好ましい。
前記フェノール誘導体は、分子中に酸素、硫黄などの原子やアミド結合を有していてもよい。アルキル基の長さや数は、消色性と発色性のバランスなどを考慮して選定されるが、アルキル基としては、炭素数8以上のものが好ましく、特に8〜24程度のものが好ましい。また、長鎖アルキル基を側鎖にもつヒドラジン化合物、アニリド化合物、尿素化合物なども使用することができる。
このような長鎖アルキル基を有するフェノール誘導体としては、例えば4−(N−メチル−N−オクタデシルスルホニルアミノ)フェノール、N−(4−ヒドロキシフェニル)−N'−n−オクタデシルチオ尿素、N−(4−ヒドロキシフェニル)−N'−n−オクタデシル尿素、N−(4−ヒドロキシフェニル)−N'−n−オクタデシルチオアミド、N−[3−(4−ヒドロキシフェニル)プロピオノ]−N'−オクタデカノヒドラジド、4'−ヒドロキシ−4−オクタデシルベンズアニリドなどを挙げることができる。
このような可逆性顕色剤の結晶性を利用して、情報を記録する際には、加熱後急冷することにより、一方消去する際には、加熱後徐冷を行うことにより、繰り返し情報の記録及び消去が可能となる。
【0017】
(光吸収熱変換剤)
可逆性感熱発色層に必要に応じて用いられる光吸収熱変換剤は、照射するレーザ光を吸収して熱に変換する作用を有するものであって、使用するレーザ光によって、適宜選択される。レーザ光としては、装置の簡便性や走査性などの面から、発振波長が800〜1400nmの範囲にあるものを選定するのがよく、例えば半導体レーザ光及びYAGレーザ光が好適である。
該光吸収熱変換剤は、このような近赤外のレーザ光を吸収し、発熱するものであって、可視光域の光はあまり吸収しないものが好ましい。該光吸収熱変換剤が可視光を吸収すると本発明の書き換え可能な記録媒体の視認性やバーコード読み取り性が低下する。このような要求性能を満たす光吸収熱変換剤としては、有機染料及び/又は有機金属系色素を挙げることができる。具体的には、シアニン系色素、フタロシアニン系色素、アントラキノン系色素、アズレン系色素、スクワリリウム系色素、金属錯体系色素、トリフェニルメタン系色素、インドレニン系色素などの中から選ばれる少なくとも1種が挙げられる。
感熱発色層中に、前記光吸収熱変換剤を含有させる場合、その含有量については特に制限はないが、感熱発色層全質量に基づき、通常0.1〜30質量%、好ましくは0.2〜10質量%、より好ましくは0.5〜5質量%である。
なお、感熱発色層に当該光吸収熱変換剤を加えないで、後述のように感熱発色層上に光吸収熱変換層を設けることができる。
【0018】
(その他成分)
感熱発色層を構成する各成分の保持、均一分散性を維持するなどの目的で、必要に応じて用いられるバインダーとしては、例えばポリアクリル酸、ポリアクリル酸エステル、ポリアクリルアミド、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリビニルアセタール、ポリビニルアルコールなどの重合体やそれらを構成するモノマーの共重合体を挙げることができる。
さらに、必要に応じて用いられる消色促進剤としては、例えばアンモニウム塩などが、無機顔料としては、例えばタルク、カオリン、シリカ、酸化チタン、酸化亜鉛、炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウムなどが、その他添加剤としては、例えば公知のレベリング剤や分散剤などが挙げられる。
【0019】
(感熱発色層の形成)
感熱発色層を形成するには、まず適当な有機溶媒中に、前記の染料前駆体、可逆性顕色剤及び必要に応じて用いられる各種添加成分を溶解又は分散させて塗工液を調製する。この際、有機溶媒としては、例えばアルコール系、エーテル系、エステル系、脂肪族炭化水素系、芳香族炭化水素系などを用いることができるが、特にテトラヒドロフランが分散性などに優れ、好適である。染料前駆体と可逆性顕色剤の割合については特に制限はないが、染料前駆体100質量部に対し、可逆性顕色剤が、通常50〜700質量部、好ましくは100〜500質量部の範囲で用いられる。
次に、このようにして調製された塗工液を、従来公知の手段で塗工し、乾燥処理することにより、感熱発色層を形成する。乾燥処理温度については特に制限はないが、染料前駆体が発色しないように低温で乾燥するのが望ましい。このようにして形成された感熱発色層の厚さは、通常1〜10μm、好ましくは2〜7μmの範囲である。
【0020】
[光吸収熱変換層]
本発明の記録媒体においては、感熱発色層中に、前述した光吸収熱変換剤を含有させないで、感熱発色層上に必要に応じて光吸収熱変換層を設けることができる。
感熱発色層上に、光吸収熱変換層を設ける場合、該光吸収熱変換層は、一般的に前記光吸収熱変換剤、バインダー及び必要に応じて用いられる無機顔料、帯電防止剤、その他添加剤などから構成される。
前記バインダーとしては、前述の感熱発色層におけるバインダーとして例示したものと同じものを用いることができるが、この光吸収熱変換層は、下層の発色を有視化させるための透明性が要求される。また、バインダーとしては、架橋タイプの樹脂が好ましく、特に紫外線や電子線などの電離放射線硬化型樹脂が好適である。
【0021】
(光吸収熱変換層の形成)
光吸収熱変換層を形成するには、まず、前記の光吸収熱変換剤、バインダー及び必要に応じて用いられる各種添加剤を含む塗工液を調製する。この際、バインダーの種類によっては、必要に応じ適当な有機溶媒を用いてもよい。バインダーと光吸収熱変換剤の割合については特に制限はないが、バインダー100質量部に対し、光吸収熱変換剤が、通常0.01〜50質量部、好ましくは0.03〜10質量部の範囲で用いられる。しかし、前記光吸収熱変換剤は、可視光域の光も吸収する場合があるため、光吸収熱変換剤の配合量が多いと光吸収熱変換層がレーザ光が照射されていない通常状態で着色されるおそれがある。光吸収熱変換層が着色すると、記録媒体の外観のみでなく、情報の視認性、バーコードの読み取り性などを低下させるために、発熱による発色感度とのバランスを考慮し、光吸収熱変換剤の配合量を少なく抑えることが好ましい。
次に、このようにして調製された塗工液を、前記感熱発色層上に従来公知の手段により塗工し、乾燥処理後、加熱や電離放射線の照射などにより架橋化することによって、光吸収熱変換層を形成する。このようにして形成された光吸収熱変換層の厚さとしては、通常0.05〜10μm、好ましくは0.1〜3μmの範囲である。
【0022】
[樹脂層]
本発明の非接触型記録書き換え媒体においては、前述の可逆性感熱発色層上に、500〜700nmの可視光領域に少なくとも一つの非透過率ピークを有する樹脂層が積層される。本発明で非透過率とは、各波長における光を透過しない割合と定義する。具体的には、各波長における透過率を測定し、100%から透過率値を差し引くことで非透過率とした。(非透過率(%)=100%−透過率(%))
当該樹脂層は、500〜700nmの可視光領域に、非透過率ピークを少なくとも一つ有するものであればよく、上記可視光領域に複数の非透過率ピークを有していてもよいし、500nm未満の波長域に一つ以上の非透過率ピークを有していてもよい。
当該樹脂層としては、500〜700nmの可視光領域における最大非透過率のピーク値が、40〜98%の範囲にあるものが好ましく、50〜90%の範囲にあるものがより好ましい。また、当該樹脂層は当然ながら下の感熱発色層に設けられる情報を視認できる透明性が必要であり、400〜800nmの可視光領域における全光線透過率が70%以上、より好ましくは80%以上である。なお、本発明でいう全光線透過率とは、分光光度計を用いて各波長での各光線透過率を波長400nm〜1400nmの範囲で測定する。そのうち可視光部分(400〜800nm)での平均光線透過率を全光線透過率とする。また、波長800〜1400nmのレーザ光の透過率が80%以上であるものが好ましい。
【0023】
従来の非接触型記録書き換え媒体においては、太陽光を始めとする可視及び紫外光を浴びることにより、染料前駆体である色素や光吸収熱変換剤の分解が起こり、記録情報の消去性が低下し、これにより繰り返し記録性が低下したり、あるいは記録した文字及び記録材料の色の変色が生じ、視認性が低下するなどの問題があった。
本発明の非接触型記録書き換え媒体においては、感熱発色層上に、前述した光学特性を有する樹脂層を積層することにより、レーザ光による非接触で可視情報の記録・消去が可能であると共に、耐光性が向上し、経時による記録情報の消去性低下を抑制することができる上、記録情報の視認性も良好となる。
また、本発明の記録媒体は、可視情報が記録されて被着体等に貼付した状態で屋外や屋内に放置された場合でも、消去性の低下を抑制できる。また、前記樹脂層を積層しても、レーザ光による記録や消去、目視による感熱発色記録の視認容易性を低下させることはない。
【0024】
本発明の記録媒体において、感熱発色層上に設けられる、前述した光学特性を有する樹脂層は、通常ラミネートフィルムと粘着剤層とから構成されており、該ラミネートフィルムとしては、前述した樹脂層の光学特性の観点から、ポリエチレンテレフタレート多層積層フィルムを好ましく用いることができる。
このポリエチレンテレフタレート多層積層フィルムは、屈折率の低い層と高い層とを交互に多数積層することにより、前記の光学特性を付与した積層フィルムであって、例えば市販品として、帝人デュポン社製の「テトロンMLF19.0」や「テトロンMLF16.5」などを用いることができる。
【0025】
一方、粘着剤層を構成する粘着剤としては特に制限はなく、アクリル系、ゴム系、ポリエステル系、ポリウレタン系粘着剤などを用いることができるが、耐光性、透明性などの観点から、アクリル系粘着剤が好適である。このアクリル系粘着剤はエマルション型、溶剤型、無溶剤型のいずれであってもよいが、架橋タイプのものが耐久性などの観点から好ましい。この場合、架橋剤としては、例えばイソシアネート系、エポキシ系、キレート系などの公知の架橋剤を用いることができる。また、粘着剤中には、耐光性、透明性に影響を与えない範囲において、必要に応じて、粘着付与剤、安定剤、紫外線吸収剤等の各種添加剤を含有させることができる。
【0026】
本発明の記録媒体において、感熱発色層上に、前述した光学特性を有する樹脂層を積層するとは、当該記録媒体の層構成により、例えば感熱発色層の表面又は光吸収熱変換剤を含む感熱発色層の表面、あるいは感熱発色層の表面に設けられた光吸収熱変換層の表面に、当該樹脂層を積層することを指す。当該樹脂層は前述したように、通常ラミネートフィルムと粘着剤層とから構成されており、したがって該粘着剤層を介してラミネートフィルムを積層することにより、当該樹脂層が積層される。この場合、前記ラミネートフィルムは一層積層してもよいし、必要に応じ二層以上積層してもよい。
<レーザ光波長透過率、可視光線透過率、全光線透過率の測定>
400〜1400nmの波長域における樹脂層(例えばラミネートフィルム/厚さ20μmの粘着剤層)の透過率を分光光度計にて測定し、樹脂層のレーザ光波長域(800〜1400nm)における透過率及び400〜800nmの波長域における透過率ピーク波長を調べ、該波長における非透過率ピーク値及び全光線透過率を求める。
【0027】
[被着体貼付用粘着剤層]
本発明の記録媒体においては支持体の感熱発色層が設けられてない側の表面に、被着体貼付用の粘着剤層を設けることができる。
前記粘着剤層を構成する粘着剤は、被着体に対して良好な接着性を示し、かつ該被着体と記録媒体を共に原料にリサイクルする場合、このリサイクルを阻害しない樹脂組成のものが好ましく、特に樹脂成分として、アクリル酸エステル系共重合体を含む粘着剤は、リサイクル性に優れ好適である。その他、ゴム系、ポリエステル系、ポリウレタン系粘着剤なども使用することができる。また、耐熱性に優れるシリコーン系粘着剤も使用可能であるが、リサイクル工程において、被着体との相溶性が悪いために、リサイクル樹脂が不均一になりやすく、強度低下や外観不良の原因となることがある。また、この粘着剤はエマルション型、溶剤型、無溶剤型のいずれでもよく、また架橋タイプであれば、被着体を繰り返し使用するために施される洗浄工程での耐水性に優れ、ラベル保持の耐久性も向上するために好ましい。該粘着剤層の厚さは、通常5〜100μm、好ましくは10〜50μmの範囲である。
【0028】
(剥離シート)
本発明の記録媒体においては、前記被着体貼付用粘着剤層上に、必要に応じて剥離シートを設けることができる。この剥離シートとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、発泡PET、ポリプロピレンなどのプラスチックフィルムや、ポリエチレンラミネート紙、グラシン紙、クレーコート紙などの剥離シート用基材に、必要により離型剤を塗布したものが用いられる。該離型剤としては、シリコーン系のものが好ましく、その他フッ素系、長鎖アルキル基含有カルバメイト系のものなども使用することができる。離型剤の塗布厚さは、通常0.1〜5.0μm、好ましくは0.2〜3.0μmの範囲である。また、剥離シートの厚さについては特に制限はないが、通常10〜150μm程度である。
【0029】
[記録媒体の作製]
本発明の記録媒体を作製するには、例えば支持体の一方の面に、必要に応じてアンカーコート層、感熱発色層、必要に応じて光吸収熱変換層及び樹脂層の順に設けたのち、該支持体の反対側の面に、粘着剤層を設けるのが好ましい。前記アンカーコート層、感熱発色層及び光吸収熱変換層は、それぞれの塗工液を、ダイレクトグラビア、グラビアリバース、マイクログラビア、マイヤーバー、エアーナイフ、ブレード、ダイ、ロールナイフ、リバース、カーテンコートなどのコート法や、フレキソ、レタープレス、スクリーンなどの印刷方法で塗工、乾燥し、必要ならばさらに加熱することにより、形成することができる。特に、感熱発色層は、発色しないように低温で乾燥するのが望ましい。また、電離放射線硬化型の場合は、電離放射線を照射して硬化させる。
一方、粘着剤層は、粘着剤をロールナイフコーター、リバースコーター、ダイコーター、グラビアコーター、マイヤーバーなどの公知の方法で、支持体表面に直接塗布、乾燥して形成してもよいし、あるいは剥離シートの剥離処理面に粘着剤を前記方法で塗布、乾燥して粘着剤層を設けたのち、これを支持体に貼着し、該粘着剤層を転写してもよい。後者の転写方法は、支持体に設けられている感熱発色層を発色させることなく、粘着剤の乾燥効率を上げることができるので、好ましい。
このようにして、本発明の非接触型記録書き換え媒体を得ることができる。図1は、本発明の非接触型記録書き換え媒体の一例のイメージ図である。
非接触型記録書き換え媒体10は、支持体1の一方の側の面に、可逆性感熱発色層2及び光吸収熱変換層3が順次設けられ、さらにその上に、粘着剤層4を介してラミネートフィルム5が積層されていると共に、支持体1の他方の面に被着体貼付用粘着剤層6及び剥離シート7が順次設けられた構造を有している。8は被着体である。
【0030】
次に、本発明の非接触型記録書き換え媒体の書き換え方法について説明する。
[記録書き換え媒体の書き換え方法]
本発明の非接触型記録書き換え媒体の書き換え方法(以下、単に「書き換え方法」と称することがある。)は、前述した本発明の非接触型記録書き換え媒体に、レーザ光を照射して記録を行い、レーザ光の照射又は熱処理により、該記録の消去を行うことを特徴とする。
本発明の書き換え方法においては、レーザ光(レーザビーム)として、波長が800〜1400nmの範囲にある近赤外レーザビームを用いることが好ましい。波長が800nmより短いものは、視認性及び光学反射読み取り記号の読み取り性が低下するため好ましくない。波長が1400nmより長いものは、パルス単位当たりのエネルギーが高く、熱の影響が大きいため感熱発色層などが徐々に破壊され、繰り返し記録、消去を行う耐久性が低下するおそれがある。
【0031】
(可視情報の記録)
本発明における記録方式としては、スキャニングミラーを、レーザ光の発振を行うことなく連続駆動させ、レーザ光を発振した場合に想定されるレーザビームの軌跡(仮想レーザビーム)が実質上等速運動している場合のみに、レーザ光を発振させてレーザ光の走査を行い、描画する記録方式が好ましい。
また、記録を行う際の、記録媒体表面とレーザ光源の距離は、スキャンスピード及び照射出力によって異なるが、文字濃度(バーコード読み取り性)、文字の大きさを考慮して選定する必要がある。好ましくは記録の際はレーザ出力が2.0〜20W程度、照射距離150〜250mm程度、デューティ50〜100%、消去の際はレーザ出力が5〜30W程度、照射距離200〜500mm程度、デューティ約50〜100%である。なお、スキャンスピードについては、印字性能又は消去性能を損なわない範囲で速くすることが好ましい。
記録用レーザビームを、記録に必要なエネルギーだけを短時間で照射することにより、急冷効果をもたらし、良好な画像を得ることができる。また、冷風の送風によって、急冷効果をもたらしてもよい。
【0032】
このようにして情報を記録した媒体のうち、裏面側に被着体貼付用粘着剤層を施した記録媒体は、被着体に、機械又は人による手作業で貼付される。機械貼りする場合は、グリッドによる圧着方式、ロールで圧着するローラープランジャー方式、エアーによるエアー吹き付け方式などを採用することができる。また、記録媒体は、粘着剤の利用だけでなく、任意の方法で被着体に具備させることができる。このようにして記録媒体付きの被着体は、物品の輸送などの目的を果たしたのち、再度利用するために、必要に応じて洗浄される。洗浄方法としては、エアーを吹き付けてゴミなどを除去する方法、水洗い方法、アルカリ温水による洗浄方法などが用いられる。
使用済の被着体を再度利用するために、貼付されている記録媒体の情報を、新しい情報へ書きなおす必要がある。そのためには、まず記録情報の消去を行う。
【0033】
(記録情報の消去)
本発明における記録情報の消去方法は、レーザ光による加熱、熱風による加熱などが挙げられ、特に加熱手段を限定するものではない。次に、消去方法の一例を記す。
記録媒体の情報を新しい情報に書き直すために消去を行う。この場合、まず、記録された媒体表面に800〜1400nmの近赤外レーザ光を照射する。所定のエネルギー量によるレーザ光の照射に加えて、熱ロールなどを接触させる方法、熱風を吹き付ける方法などによって冷却速度を更に遅くすることにより記録情報残存率を更に低減することができる。
加熱ロールは、100〜140℃程度に加熱することができ、記録媒体表面を損傷しないものであれば、特に制限することなく公知の加熱ロールを使用することができる。例えば、ゴムロール、ステンレスロールなどを使用することができる。特に耐熱性に優れるシリコーンゴムロールを好適に使用することができる。ゴム硬度は40度以上が好ましい。
また、熱風を送風することにより、記録情報を消去することができる。この場合、80〜400℃程度の熱風を0.01〜30秒間程度送風する。記録媒体及び被着体の熱変形や消去速度を考慮すると、100〜350℃の高温熱風を0.01〜3秒間程度の極短時間送風して加熱することが好ましい。
【0034】
次に、このようにして情報を消去したのち、前述で説明した非接触方式により、新しい情報の記録を行う。このように、前記工程を繰り返すことにより、被着体及び記録媒体を繰り返し利用することができる。
本発明においては、この記録と消去の繰り返し回数は1000回以上が可能である。所定回数利用した被着体及び記録媒体は、必要に応じて一緒にリサイクル工程へ送ることも可能である。
本発明の非接触型記録書き換え媒体は、例えば物品の管理に使用されているラベル、具体的には食品を輸送するプラスチックコンテナに貼るラベル、電子部品の管理に用いるラベル、段ボールなどに貼る物流管理ラベルなどとして用いることができる。
【実施例】
【0035】
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
なお、各例で得られた書き換え可能記録媒体の性能評価は、以下に示す方法に従って行った。
<記録(印字)方法>
レーザビームを照射するレーザマーカーとして、YAGレーザ(波長1064nm)[サンクス(株)製、商品名「LP−F10W」]を用いて、記録を行った。
照射距離210mm、レーザ出力3.3W、デューティ70%、スキャンスピード3000mm/秒、パルス周期100μs、線幅0.1mm、塗りつぶし間隔0.05mmになるように調節し、アルファベットA〜Jまでの10文字の記録を行った。
<消去方法>
媒体に20mmの距離から300℃の高温熱風を2秒間送風したのち、記録文字の消去性(消え残りの有無)を確認した。
<光曝露後における文字消去性>
記録(印字)方法により、記録を行った試料を4000ルクスの蛍光灯下50cmの位置に1ヶ月放置した。その後、上述の消去方法により文字の消去を行い、消去性を目視により確認し、下記の判定基準に従って、光曝露後における文字消去性(以下「文字消去性」ということがある)を評価した。
○:完全に消去されている。
×:完全には消去できず、文字跡が残る。
<レーザ光波長透過率、可視光線透過率、全光線透過率の測定>
400〜1400nmの波長域における樹脂層(例えばラミネートフィルム/厚さ20μmの粘着剤層)の透過率を分光光度計[(株)島津製作所製、機種名「UV−3100PC」]にて測定し、使用するレーザ光の波長である1064nmの透過率及び400〜800nmの波長域における透過率ピーク波長を調べ、該波長における非透過率ピーク値及び全光線透過率を求めた。
【0036】
製造例1 感熱発色層形成用塗工液(A液)の調製
染料前駆体として、トリアリールメタン系化合物である3−(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド10質量部、可逆性顕色剤として4−(N−メチル−N−オクタデシルスルホニルアミノ)フェノール30質量部、バインダーのポリビニルアセタール1.5質量部及び希釈溶剤としてテトラヒドロフラン2500質量部を、粉砕機及びディスパーにより粉砕、分散させて、感熱発色層形成用塗工液(A液)を調製した。
【0037】
製造例2 光吸収熱変換層形成用塗工液(B液)の調製
近赤外光吸収熱変換剤(ニッケル錯体系色素)[(株)トスコ製、商品名「SDA−5131」]を1質量部、紫外線硬化型バインダー(ウレタンアクリレート)[大日精化工業(株)製、商品名「PU−5(NS)」]100質量部及び無機顔料(シリカ)[日本アエロジル工業(株)製、商品名「アエロジルR−972」]3質量部をディスパーにより分散させて、光吸収熱変換層形成用塗工液(B液)を調製した。
【0038】
製造例3 剥離シート付き粘着剤層の作製
厚さ100μmのポリエチレンテレフタレートフィルム[東レ(株)製、商品名「ルミラーT−60」]上に、触媒を添加させたシリコーン樹脂[東レ・ダウコーニング(株)製、商品名「SRX−211」]を、乾燥後の厚みが0.7μmになるように塗布した剥離シートを作製した。
この剥離シートのシリコーン樹脂層上に、アクリル系粘着剤[リンテック(株)製、商品名「PA−T1」]を、乾燥後の厚みが30μmになるようにロールナイフコーター方式で塗布した。この粘着剤塗布フィルムを温度100℃のオーブンで2分間乾燥して、剥離シート付き粘着剤層を作製した。
【0039】
実施例1
(1)記録用サンプルの作製
支持体として厚さ100μmの発泡ポリエチレンテレフタレートフィルム[東洋紡績(株)製、商品名「クリスパー50K2411」]の易接着コート側に、製造例1で調製したA液をグラビア方式にて乾燥後の厚さが4μmとなるように塗布し、60℃のオーブンで5分間乾燥させ、感熱発色層を形成した。次いで、この感熱発色層上に、製造例2で調製したB液を、乾燥後の厚さが1.2μmになるようにフレキソ方式にて塗布し、60℃のオーブンで1分間乾燥させた後、紫外線を光量220mJ/cm2で照射して光吸収熱変換層を作製した。
製造例3で作製した剥離シート付き粘着剤層をラミネーターで、前記支持体の感熱発色層及び光吸収熱変換層が形成されていない面と貼り合わせ、記録用サンプルとした。
(2)書き換え可能記録媒体の作製
ラミネートフィルムとして帝人デュポン社製の厚さ16.5μmの多積層フィルム「テトロンMLF16.5」(以下、ラミネートフィルム(a)とする)片面(下層)にアクリル系架橋型粘着剤として、アクリル系粘着剤[リンテック(株)製、商品名「PLシン」]を乾燥後の塗工厚が20μmになるように塗付した。このように得られたラミネート材料を先の記録用サンプルの上層(光吸収熱変換層面)にラミネートを行い、書き換え可能記録媒体を作製した。
前記ラミネート材料(ラミネートフィルム(a)/厚さ20μmの粘着剤層)について、レーザ光の波長である1064nmの透過率、非透過率ピーク波長と該波長における非透過率ピーク値、全光線透過率を求めると共に、書き換え可能記録媒体について文字消去性を評価した。結果を第1表及び図2に示す。
【0040】
実施例2
ラミネートフィルムとして帝人デュポン社製の厚さ19.0μmの多積層フィルム「テトロンMLF19.0」(以下、ラミネートフィルム(b)とする。)をラミネートした以外は、実施例1と同様な操作を行い、書き換え可能記録媒体を作製した。
ラミネート材料(ラミネートフィルム(b)/20μm粘着剤層)について、レーザ光の波長である1064nmの透過率、非透過率ピーク波長と該波長における非透過率ピーク値、全光線透過率を求めると共に、書き換え可能記録媒体について文字消去性を評価した。結果を第1表及び図3に示す。
【0041】
実施例3
ラミネートフィルムとしてラミネート(a)を2層重ねてラミネートした以外は、実施例1と同様な操作を行い、書き換え可能記録媒体を作製した。
ラミネート材料(ラミネートフィルム(a)/20μm粘着剤層/ラミネートフィルム(a)/20μm粘着剤層)について、レーザ光の波長である1064nmの透過率、非透過率ピーク波長と該波長における非透過率ピーク値、全光線透過率を求めると共に、書き換え可能記録媒体について文字消去性を評価した。結果を第1表及び図4に示す。
【0042】
実施例4
ラミネートフィルムとしてラミネートフィルム(b)を2層重ねてラミネートした以外は、実施例1と同様な操作を行い、書き換え可能記録媒体を作製した。
ラミネート材料(ラミネートフィルム(b)/20μm粘着剤層/ラミネートフィルム(b)/20μm粘着剤層)について、レーザ光の波長である1064nmの透過率、非透過率ピーク波長と該波長における非透過率ピーク値、全光線透過率を求めると共に、書き換え可能記録媒体について文字消去性を評価した。結果を第1表及び図5に示す。
【0043】
実施例5
ラミネートフィルムとして帝人デュポン社製の厚さ13.0μmの多積層フィルム「テトロンMLF13.0」(以下、ラミネートフィルム(c)とする。)と、ラミネートフィルム(a)とを、該ラミネートフィルム(a)が上側になるように重ねてラミネートした以外は、実施例1と同様な操作を行い、書き換え可能記録媒体を作製した。
ラミネート材料(ラミネートフィルム(a)/20μm粘着剤層/ラミネートフィルム(c)/20μm粘着剤層)について、レーザ光の波長である1064nmの透過率、非透過率ピーク波長と該波長における非透過率ピーク値、全光線透過率を求めると共に、書き換え可能記録媒体について文字消去性を評価した。結果を第1表及び図6に示す。
【0044】
実施例6
ラミネートフィルムとしてラミネートフィルム(a)と、ラミネートフィルム(b)とを、ラミネートフィルム(b)が上側になるように重ねてラミネートした以外は、実施例1と同様な操作を行い、書き換え可能記録媒体を作製した。
ラミネート材料(ラミネートフィルム(b)/20μm粘着剤層/ラミネートフィルム(a)/20μm粘着剤層)について、レーザ光の波長である1064nmの透過率、非透過率ピーク波長と該波長における非透過率ピーク値、全光線透過率を求めると共に、書き換え可能記録媒体について文字消去性を評価した。結果を第1表及び図7に示す。
【0045】
実施例7
ラミネートフィルムとしてラミネートフィルム(c)と、ラミネートフィルム(b)とを、ラミネートフィルム(b)が上側になるように重ねてラミネートした以外は、実施例1と同様な操作を行い、書き換え可能記録媒体を作製した。
ラミネート材料(ラミネートフィルム(b)/20μm粘着剤層/ラミネートフィルム(c)/20μm粘着剤層)について、レーザ光の波長である1064nmの透過率、非透過率ピーク波長と該波長における非透過率ピーク値、全光線透過率を求めると共に、書き換え可能記録媒体について文字消去性を評価した。結果を第1表及び図8に示す。
【0046】
比較例1
ラミネートフィルムとして厚さ25μmの東レ(株)製フィルム「ルミラー25T61M」(以下、ラミネートフィルム(d)とする。)をラミネートした以外は、実施例1と同様な操作を行い、書き換え可能記録媒体を作製した。
ラミネート材料(ラミネートフィルム(d)/20μm粘着剤層)について、レーザ光の波長である1064nmの透過率、非透過率ピーク波長と該波長における非透過率ピーク値、全光線透過率を求めると共に、書き換え可能記録媒体について文字消去性を評価した。結果を第1表及び図9に示す。
【0047】
比較例2
ラミネートフィルムとしてラミネートフィルム(c)をラミネートした以外は、実施例1と同様な操作を行い、書き換え可能記録媒体を作製した。
ラミネート材料(ラミネートフィルム(c)/20μm粘着剤層)について、レーザ光の波長である1064nmの透過率、非透過率ピーク波長と該波長における非透過率ピーク値、全光線透過率を求めると共に、書き換え可能記録媒体について文字消去性を評価した。結果を第1表及び図10に示す。
【0048】
比較例3
ラミネートフィルムとしてラミネート(c)を2層重ねてラミネートした以外は、実施例1と同様な操作を行い、書き換え可能記録媒体を作製した。
ラミネート材料(ラミネートフィルム(c)/20μm粘着剤層/ラミネートフィルム(c)/20μm粘着剤層)について、レーザ光の波長である1064nmの透過率、非透過率ピーク波長と該波長における非透過率ピーク値、全光線透過率を求めると共に、書き換え可能記録媒体について文字消去性を評価した。結果を第1表及び図11に示す。
【0049】
【表1】
【0050】
実施例1〜4におけるラミネート材料は、500〜700nmの波長域における最大非透過率のピーク値が67〜81%であり、実施例5は、波長450nmと550nmに、それぞれ64%、68%の非透過率ピーク値を、実施例6は波長550nmと620nmに、それぞれ68%の非透過率ピーク値を、実施例7は、波長450μmと620μmに、それぞれ64%の非透過率ピーク値を有している。このような光学特性を有するラミネート材料を積層してなる、実施例1〜7の本発明の書き換え記録媒体は、文字消去性がいずれも○であり、合格である。
一方、比較例1におけるラミネート材料は、500〜700nmの波長域に非透過率ピークを有しておらず、比較例2は、波長450nmに62%の非透過率ピーク値を有するが、500〜700nmの波長域には、非透過率ピークを有していない。また、比較例3におけるラミネート材料は、波長450nmに82%の非透過率ピーク値を有するが、500〜700nmの波長域には、非透過率ピークを有していない。
このような光学特性を有するラミネート材料を積層してなる、比較例1〜3の書き換え記録媒体は、文字消去性がいずれも×であり、不合格である。
なお、実施例1〜7及び比較例1〜3におけるラミネート材料のレーザ光(波長1064nm)透過率は、いずれも80%以上であった。また、実施例1〜7及び比較例1〜3におけるラミネート材料の全光線透過率は、いずれも70%以上であった。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明の非接触型記録書き換え媒体は、レーザ光による非接触で可視情報の記録・消去が可能であり、かつ耐光性に優れ、経時による記録情報の消去性低下を抑制し得ると共に、記録情報の視認性にも優れており、例えば物品の管理に使用されているラベル、具体的には食品を輸送するプラスチックコンテナに貼るラベル、電子部品の管理に用いるラベル、段ボールなどに貼る物流管理ラベルなどとして好適である。
【符号の説明】
【0052】
1 支持体
2 可逆性感熱発色層
3 光吸収熱変換層
4 粘着剤層
5 ラミネートフィルム
6 被着体貼付用粘着剤層
7 剥離シート
8 被着体
10 非接触型記録書き換え媒体
【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体の一方の面に可逆性感熱発色層が設けられてなる、レーザ光により非接触で可視情報の書き換えを行う非接触型記録書き換え媒体であって、前記可逆性感熱発色層上に、500〜700nmの可視光領域に少なくとも一つの非透過率ピークを有する樹脂層が積層されていることを特徴とする非接触型記録書き換え媒体。
【請求項2】
500〜700nmの可視光領域における最大非透過率のピーク値が40〜98%の範囲にある請求項1に記載の非接触型記録書き換え媒体。
【請求項3】
400〜800nmの可視光領域における全光線透過率が70%以上である請求項1又は2に記載の非接触型記録書き換え媒体。
【請求項4】
使用するレーザ光の波長が800〜1400nmの範囲にあり、かつ樹脂層の前記レーザ光の波長におけるレーザ光の透過率が80%以上である請求項1〜3のいずれかに記載の非接触型記録書き換え媒体。
【請求項5】
樹脂層が、ラミネートフィルムと粘着剤層とからなる請求項1〜4のいずれかに記載の非接触型記録書き換え媒体。
【請求項6】
ラミネートフィルムが、ポリエチレンテレフタレート多層積層フィルムである請求項5に記載の非接触型記録書き換え媒体。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかに記載の非接触型記録書き換え媒体に、レーザ光を照射して記録を行い、レーザ光の照射又は熱処理により、該記録の消去を行うことを特徴とする、非接触型記録書き換え媒体の書き換え方法。
【請求項1】
支持体の一方の面に可逆性感熱発色層が設けられてなる、レーザ光により非接触で可視情報の書き換えを行う非接触型記録書き換え媒体であって、前記可逆性感熱発色層上に、500〜700nmの可視光領域に少なくとも一つの非透過率ピークを有する樹脂層が積層されていることを特徴とする非接触型記録書き換え媒体。
【請求項2】
500〜700nmの可視光領域における最大非透過率のピーク値が40〜98%の範囲にある請求項1に記載の非接触型記録書き換え媒体。
【請求項3】
400〜800nmの可視光領域における全光線透過率が70%以上である請求項1又は2に記載の非接触型記録書き換え媒体。
【請求項4】
使用するレーザ光の波長が800〜1400nmの範囲にあり、かつ樹脂層の前記レーザ光の波長におけるレーザ光の透過率が80%以上である請求項1〜3のいずれかに記載の非接触型記録書き換え媒体。
【請求項5】
樹脂層が、ラミネートフィルムと粘着剤層とからなる請求項1〜4のいずれかに記載の非接触型記録書き換え媒体。
【請求項6】
ラミネートフィルムが、ポリエチレンテレフタレート多層積層フィルムである請求項5に記載の非接触型記録書き換え媒体。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかに記載の非接触型記録書き換え媒体に、レーザ光を照射して記録を行い、レーザ光の照射又は熱処理により、該記録の消去を行うことを特徴とする、非接触型記録書き換え媒体の書き換え方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−79236(P2011−79236A)
【公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−233600(P2009−233600)
【出願日】平成21年10月7日(2009.10.7)
【出願人】(000102980)リンテック株式会社 (1,750)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年10月7日(2009.10.7)
【出願人】(000102980)リンテック株式会社 (1,750)
【Fターム(参考)】
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