非接触式座標入力システム用導光板、これを含むシステム及びこれを用いた非接触式座標入力方法
【課題】画質の低下を抑え、かつ低コストな非接触式座標入力システムの提供。
【解決手段】蛍光体50と1つまたはそれ以上の光学層を含む導光板60と、導光板60に到達した光20を検知する複数の光センサ30,40とで構成される非接触式座標入力システムにおいて、ヘイズ値が10%以下、かつ蛍光物質の吸収波長領域における透過率が80%以上の特性を有する透明基層と、シアニン他の蛍光体で構成される導光板60を用いることで、センサの使用量と光損失を最大限減少させる。
【解決手段】蛍光体50と1つまたはそれ以上の光学層を含む導光板60と、導光板60に到達した光20を検知する複数の光センサ30,40とで構成される非接触式座標入力システムにおいて、ヘイズ値が10%以下、かつ蛍光物質の吸収波長領域における透過率が80%以上の特性を有する透明基層と、シアニン他の蛍光体で構成される導光板60を用いることで、センサの使用量と光損失を最大限減少させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非接触式座標入力システム用導光板、これを含むシステム及びこれを用いた非接触式座標入力方法に関するもので、より詳細には従来の接触式座標入力システムが有する直接接触による座標入力方式の不便さを解消した非接触式座標入力システムに用いられる導光板で、センサ使用量と光損失を最大限減少させることができる非接触式座標入力システム用導光板、これを含むシステム及びこれを用いた非接触式座標入力方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
TVやコンピュータモニター等のようなディスプレイ装置は、一般的には上記コンピュータやモニター等に直接連結されたボタン入力またはマウス入力により所望の情報が上記ディスプレイ装置に内蔵されるか、これに連結された演算装置を通じて入力及び処理する。
【0003】
最近では、このような伝統的な入力方式から脱皮し、様々な形態の主なまたは補助的な入力方式が採択されているが、タッチスクリーン方式は有用に用いられる上記新たな入力方式のうちの1つである。
【0004】
上記タッチスクリーン方式は、ディスプレイ装置のスクリーン側に抵抗膜、または超音波等の手段を用いて入力者が指またはその他入力手段でスクリーンをタッチするとき発生する画面の抵抗が変動するか、または弾性表面波が発生する現象を感知してタッチされた部分の画面上の座標を検知し上記座標に情報を入力し、それに従って命令を遂行する方式である。
【0005】
上記のようなタッチスクリーン方式の入力方式を用いる場合、所望の情報を簡単に入力することができるという長所がある。
【0006】
しかし、上記入力装置を用いるディスプレイ装置が次第に大型化される傾向により、上記ディスプレイ装置と操作者間の距離も遠くなり、操作者が手を伸ばして簡単にタッチできた従来の条件に比べて操作者とスクリーン間の間隔が操作者の腕の長さ以上に遠くなる場合が頻繁に発生し、これにより操作者が移動して上記スクリーンの表面をタッチしなければならないという不便が発生するようになった。
【0007】
また、タッチスクリーン方式のような接触式座標入力方式は、接触により画面が汚れるという問題と共に画面に反復的に荷重をかけるようになるため、ディスプレイ装置のパネルの耐久性を害する恐れがある。
【0008】
このような問題点を解決するために、非接触式座標入力システムが開発されるようになった。非接触式座標入力システムは、上述の接触式座標入力システムとは異なってスクリーンと入力手段(指、ペン等)が物理的に接触しないため、他の方式の入力手段と検知手段(センサ)を用いる。
【0009】
即ち、非接触式座標入力システムは、通常は光を用いる方式が主に用いられ、上記光をスクリーンの所望の位置に照射し、光が照射された位置の座標が入力されることによりタッチスクリーン方式と同じ機能を行う。このような用途に用いられる光としては、主にレーザー光等を用いるが、必ずこれに限定されず、上記光というのは赤外線や紫外線等全領域の電磁気波を全て含む概念である。
【0010】
上記非接触式座標入力システムの一例として、光を用いた直接ポインティングシステムに関する発明が開示された特許文献1を挙げることができる。上記発明はリモコンを一々操作しなくても所望のメニューを直接ポインティングし簡単に選択するためのもので、指し示そうとする方向に向かってレーザー光等の光を発射して選択するポインターと、画面の表面に光を感知するパッドを付着してポインターから発射された光が入射される画面上の位置を感知する感知部と、感知部の感知信号から画面上の位置を計算する位置計算部と、計算された位置にカーソルが表示されるように制御し、ポインターの選択スイッチの操作時にカーソル位置のメニューに該当する動作が行われるように制御するCPU及びCPUの制御下でカーソルを生成し表示するカーソル生成部からなることを特徴とするシステムに関するものである。
【0011】
上記直接ポインティングシステムによる場合は、使用者がリモコンを一々操作せずスクリーンに表示させたメニューを光を通じて直接ポインティングして簡単に選択することができる効果を得ることができる。
【0012】
このような非接触式座標入力システムのさらに他の一例としては、特許文献2に記載された入出力装置を挙げることができる。
【0013】
上記入出力装置は、任意の位置を検出してそれに対応した入力等を行う入出力装置において、表示画面を非タッチ式で位置入力を行うようにするものである。より具体的に説明すると、上記入出力装置は表示画面の任意の位置を操作することにより、その位置を検出してこれに対応した入出力処理を行う入出力装置で、表示画面側から入力用ライトペンで任意の位置を光照射し、その照射位置を表示装置と一体に設置した複数のマトリックス配列された光転換素子において受光させ、光電変換素子の出力状態に対応して位置検出を行うことを特徴とする。
【0014】
上述の入出力装置も非接触式でスクリーンに情報を入力することができる有用な手段である。
【0015】
しかし、上記特許文献1に記載の発明、または上記特許文献2に記載の発明は、図1及び図2で確認できるように、夫々の座標に対応する格子点(例えば、図2の1aa)に光を検出することができるセンサを配置して、光を発光するポインター等から発光された光が夫々のセンサに到達したときの情報により座標を入力する方式を採択している。
【0016】
しかし、このような形態の座標入力方式は、ディスプレイ装置が大型化されるか、入力座標をより精密に区分しなければならない場合に問題になることがある。即ち、上記座標入力方式では夫々の座標に対応する光センサ等のセンサを配置しなければならないため、入力に用いられる座標の数だけセンサが必要で、同じ間隔でセンサを配置する場合、ディスプレイ装置のスクリーンのサイズが増加するので上記スクリーンのサイズ(横、または縦等)の増加の二乗に比例して上記センサの必要量が増加するようになり、大型化された入力装置にセンサを配置する工程も現実的に簡単ではない。
【0017】
従って、ディスプレイ装置が大型化される場合には、上記センサの使用量が大きな負担となり得る。このような現象は、座標をより精密に区分しなければならない場合にも同様で、座標の解像度が増加した分センサをさらに配置しなければならず、上記センサの配置数は座標の解像度の二乗に比例して増加する。
【0018】
また、夫々の座標にセンサを配置する方式は、センサの不透明性により図2に図示されたようにセンサが位置する区域1aaが別途で設定され、残りの領域を画素領域1baにしなければならないため、上記画素領域の面積を十分に確保するためには上記センサが非常に小さくなければならず、そうでない場合には画質が劣化するという問題が発生することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0019】
【特許文献1】大韓民国公開特許公報第2001−0026856号公報
【特許文献2】日本特開平11−119910号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
従って、本発明は、上述の従来技術の問題点を解決するためのもので、過多にセンサを用いなくても十分に座標を非接触式で入力できる非接触式座標入力システム用導光板、これを含むシステム及びこれを用いた非接触式座標入力方法を提供することをその目的とする。
【0021】
また、本発明はセンサにより画質が劣化するという問題を発生させない非接触式システム用導光板、これを含むシステム及びこれを用いた非接触式座標入力方法を提供することをさらに他の目的とする。
【0022】
また、本発明は過多にセンサを用いなくても十分座標を非接触式で入力できる方法を提供することをその目的とする。
【0023】
また、本発明はセンサにより画質が劣化するという問題を発生させない非接触式システム用導光板を用いた非接触式座標入力方法を提供することをさらに他の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0024】
上記目的を達成するための本発明の導光板は、蛍光体及び1つまたはそれ以上の光学層を含むことを特徴とする。
【0025】
このとき、上記導光板には、上記導光板に到達した光を受けて蛍光体が発した光を検知する複数の光センサが、上記導光板の横方向の端のうち1つまたは両方と、縦方向の端のうち1つまたは両方で受光部が上記導光部の端に向かうように上記導光板に付着されることができる。
【0026】
本発明の他の一側面である上記導光板を含む非接触式座標入力システムは、光排出装置から放出された光が入射する導光板で、蛍光体及び1つまたはそれ以上の光学層を含む導光板と、上記導光板の横方向の端のうち1つまたは両方と、縦方向の端のうち1つまたは両方で受光部が上記導光部の端に向かうように上記導光板に付着され、上記導光板に到達した光を受けて蛍光体が発した光を検知する複数の光センサと、上記光センサに連結され導光板に到達した光の到達座標を計算し、ディスプレイ装置またはこれと連結されたコンピュータシステムにその座標を伝達する演算部からなることを特徴とする。
【0027】
本発明のさらに他の一側面として、上記座標入力システムを用いて座標を非接触式で入力する方法は、光排出装置から放出された光が入射する導光板で、蛍光体及び1つまたはそれ以上の光学層を含む導光板と、上記導光板の横方向の端のうち1つまたは両方と、縦方向の端のうち1つまたは両方で受光部が上記導光板の端に向かうように上記導光板に付着され、上記導光板に到達した光を受けて蛍光体が発した光を検知する複数の光センサと、上記光センサに連結され導光板に到達した光の到達座標を計算し、ディスプレイ装置またはこれと連結されたコンピュータシステムにその座標を伝達する演算部からなる非接触式座標入力システムを用いて導光板に入射された光の位置を非接触式で入力する座標入力方法で、上記横方向の端に付着されたセンサのうち受光量が最も多いセンサの位置または受光量が最も多い隣接した2つのセンサの間の特定位置を上記入射した光の横座標に算定し、上記縦方向の端に付着されたセンサのうち受光量が最も多いセンサの位置または受光量が最も多い隣接した2つのセンサの間の特定位置を上記入射した光の縦座標に算定することを特徴とする。
【0028】
このとき、上記蛍光体は、上記透明基層の表面にコーティングされた形態または上記透明基層の内部にドーピングされた形態で上記導光板に含まれることが好ましい。
【0029】
また、上記透明基層はhazeが10%以下で、用いる蛍光物質の吸収発光波長領域における透過率が80%以上であることが好ましい。
【0030】
このとき、上記透明基層はガラス、ポリオレフィン、オレフィンコーポリマー、アクリル、ポリビニル、ポリウレタン、ポリアセタルとエポキシレジンを含むエーテルポリマー、PCを含むポリエステル、ポリアミド、ポリサルフォン、シリコンのうちから選ばれた材質からなることがより好ましい。
【0031】
そして、上記導光板が空気中に独立的に存在するときとは異なり、粘着剤や接着剤により他の光学基材と合板になると、合板になった光学基材も共に導光板の役割をすることもできるようになる。若し、この光学基材のhazeが高いか、または発生する蛍光の波長領域の透過率が低い場合は蛍光の導光効率を阻害することもできる。このような場合には、既存の導光板の基材のうち最も屈折率が高い基材対比屈折率が0.05以上低い低屈折率層を問題となり得る光学基材の間に置いて光学的に分離する必要がある。
【0032】
このとき、上記屈折率が0.05以上低い低屈折率コーティング層は内部が多孔質または空洞の中空シリカ微粒子、またはフッ素系樹脂を用いるか、またはCaF2、MgF2、NaAlF4、SiO2、ThF4、ZrO2、Nd2O3、SnO2、TiO2、CeO2、ZnS、In2O3等の誘電体をドライ及びウェットコーティングして形成されることが好ましい。または導光板用透明基材の屈折率が十分高い場合にはガラス、ポリオレフィン、オレフィンコーポリマー、アクリル、ポリビニル、ポリウレタン、ポリアセタルとエポキシレジンを含むエーテルポリマー、シリコン等屈折率が1.5内外である一般樹脂を用いることも可能である。
【0033】
上記蛍光体は、導光板に含まれたとき導光板のhazeが10%以下になるようにすることが好ましい。
【0034】
また、上記蛍光体はcyanine、perylene、anthraquinone、xanthene系のうちから選ばれた染料からなることが好ましい。
【0035】
そして、上記演算部または上記演算部に連結されたコンピュータシステムは上記光の到達座標をディスプレイ装置に表示できるようになることが好ましい。
【0036】
また、上記導光板がディスプレイ装置の表面に接着されるか、別途の板形態でディスプレイ装置の前面に装着されるか、防護眼鏡等の形態で着脱が可能な形態を有することがより好ましい。
【0037】
そして、上記ディスプレイ装置はLCD、PDP、LED、FED及びCRTディスプレイ装置から選ばれたことが好ましい。
【0038】
また、上記導光板はLCD偏光板、PDPフィルター、projection用screenまたはLED、FED、CRT装置の表面に接着されたのがよい。
【0039】
このとき、上記横方向の端または縦方向の端に付着されたセンサのうち受光量が最も多いセンサの位置または受光量が最も多い隣接した2つのセンサ間の特定位置を算定することにおいて、上記センサの位置と受光量の間の関係を回帰分析して用いることが好ましい。
【0040】
上記目的を達成するための本発明の一側面としての座標入力方法は、蛍光体及び1つまたはそれ以上の光学層を含むことを特徴とする非接触式座標入力システム用導光板に入射される光の座標を入力するための方法で、導光板の一地点に光を入射する段階と、上記入射された光により導光板内に含まれた蛍光体が光を発し2以上の地点に付着された光センサに上記光が到達する段階と、光センサが到達された光を感知して到達された光の強度に従って、それに相応する信号を出力する段階と、上記出力された信号を予め用意された光の強度−距離との関係を示す回帰式に代入しセンサと光が入射された地点の間の距離を各センサ別に求める段階と、上記求められた各センサ別の距離または2つのセンサ間の距離の割合が一定の点を成す軌跡が一致する地点を探し、その地点の座標を入射された光の座標にする段階を含むことを特徴とする。
【0041】
このとき、上記センサが3つ以上の場合に、2つのセンサの間に軌跡が一致する地点を1つ、またはそれ以上探してから、各地点の座標の平均値に該当する地点を各センサ別距離がなす軌跡が一致する地点にすることが好ましい。
【0042】
そして、上記蛍光体は、上記透明基層の表面にコーティングされた形態または上記透明基層の内部にドーピングされた形態で上記導光板に含まれることが好ましい。
【0043】
また、上記透明基層はhazeが10%以下で、用いる蛍光物質の吸収発光波長領域における透過率が80%以上であることが好ましい。
【0044】
そして、上記導光板の外側に導光板に含まれた基材のうち最も屈折率が高い基材対比屈折率が0.05以上低い低屈折率層をさらに含むことが有利である。
【0045】
また、上記蛍光体は 導光板に含まれたとき導光板のhazeが10%以下になるようにすることが効果的である。
【0046】
そして、上記導光板に到達した光を受けて蛍光体が発した光を検知する2以上の光センサが上記導光板の前面、後面または側面に付着されているのがよい。
【発明の効果】
【0047】
本発明による場合、過多にセンサを用いなくても十分に座標を非接触式で入力でき、センサにより画質が劣化するという問題を発生させない非接触式システム用導光板を用いた非接触式座標入力方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】特許文献1において非接触式で座標を入力するために光センサが各格子点に配置されたことを示す概略図である。
【図2】特許文献2において、光センサと画面を表現するための画素が共存することを示す概略図である。
【図3】本発明の導光板の内部を光が全反射現象により通過し導光板の端の方に伝達される現象を示す概念図である。
【図4】全反射現象が起こる原理を示す概念図である。
【図5】本発明の導光板において蛍光体により発光される光が全方向に発散され全反射により端の方向に伝播される現象を示す概念図で、(a)は断面図、(b)は平面図である。
【図6】蛍光体において光が発光される位置に対応して各端の横座標用センサまたは縦座標用センサに光が到達する量の差を説明するための説明図である。
【図7】各座標用センサ位置により受光される光の量が異なることを示すグラフである。
【図8】センサが導光板の前面または後面に装着されたことを示す概略図である。
【図9】センサが導光板に装着されたことを示す概略図で、(a)はセンサが導光板の側面に装着されたことを示し、(b)はセンサが導光板の上面に装着されたことを示す概略図である。
【図10】本発明の一側面によりセンサが2つ配置されたことを示す概略図である。
【図11】本発明の一側面によりセンサを2つまたはそれ以上配置した場合の光が入射された地点とセンサとの距離が分かる場合、光が入射した地点の座標を求める方式を説明するための概念図である。
【図12】光が入射した地点とセンサとの距離と、センサに感知された光の強さとの関係を示すグラフである。
【図13】センサが3つ以上配置された場合を示す概略図である。
【図14】2つのセンサ間の距離の割合が分かる場合、表される円の軌跡から光が入射する地点の座標を求める方式を説明するための概略図である。
【図15】導光板を構成するために蛍光体を透明基層の表面にコーティングさせるか、透明基層の内部に含ませる方式の例を示す概念図である。
【図16】本発明の導光板を含む非接触式座標入力システムの概略的な概念図である。
【図17】本発明の実施例において光センサで生成された電流信号を電圧信号に増幅する回路を示す回路図である。
【図18】本発明の実施例において各横方向のセンサ毎に感知された光の強度分布を示すグラフである。
【図19】本発明の実施例において各縦方向のセンサ毎に感知された光の強度分布を示すグラフである。
【図20】本発明の一実施例において座標を入力するためのシステムの概要を示す概略図である。
【図21】本発明の一実施例において配置された各センサの距離による受光強度の関係式を導出するためにセンサと光の入射地点を配置したことを示す概略図である。
【図22】本発明の一実施例において特定の形で蛍光導光板に光を入射させた後、センサ信号を計算して再び座標にした図である。
【図23】上記図22の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0049】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0050】
本発明の発明者らは上述のように、各格子点に光センサを配置した従来技術の場合は様々な問題点を有しているという点に着目し、各格子点にセンサを配置しなくても光が到達する地点の座標を容易に入力することができる座標入力システムに対して深く研究したところ、図3に図示したように光が到達する地点にセンサが配置されていなくても、上記光20が到達した後、光が到達した位置から複数のスクリーンの外郭のセンサ30、40に光21が伝達されるのであれば、それに基づいて計算、または測定された横座標と縦座標を入力することにより光が到達する位置のセンサを通じて座標を入力するのと同じ効果が得られることが確認できた。
【0051】
上記のように複数のセンサ30、40に光が到達するようになるためには、スクリーンに到達した光20が2つ以上に分かれて夫々のセンサに伝達されるように光21の経路を調節する必要がある。しかし、一旦、一方向に入射された光はその特性上スクリーンの外郭の複数のセンサに分岐されて進まず、直にスクリーンを通過するため、一般的なスクリーンを用いる場合は本発明の技術的思想は達成できない。
【0052】
本発明はスクリーンに到達した光20を複数のセンサに伝達するために導光板60を用いることを主な特徴とする。即ち、本発明の導光板は蛍光体と共に内部全反射を起こすことができる1つまたはそれ以上の光学層を含むことを特徴とする。上記導光板としては蛍光体が透明な基層の表面にコーティングされた形態または透明基層の内部にドーピングされた形態等のものを用いることができる。但し、図面は透明基層の内部に蛍光体(図5の50参照)がドーピングされている場合を仮定して図示した。以下において特別な記載がない限り、本発明において言及する'基層'は透明な基層である。
【0053】
上記導光板60は、光の全反射現象を用いて光の進行方向または屈折された方向に進行して光が入射された反対側に抜け出る現象を防ぐためのものである。即ち、全反射現象というのは、2つの媒質が接する境界において、一部の光は上記境界を通過して2つ目の媒質に伝達され、残りの一部の光は上記境界において反射される現象が起こるのが一般的であり、特に密な媒質から疎な媒質に光が伝達される場合にその入射角が図4のΘcで表示される臨界角以上である場合、上記2つの媒質の境界において光が進行できずに全部反射される現象のことを言うが、主に光ファイバ等において光に情報を保存し伝送するための用途として用いられる。
【0054】
上記臨界角は、2つの媒質の屈折率によって決まり、スネルの法則により下記数1で表示されることができる。
【0055】
【数1】
【0056】
従って、光の入射角が上記臨界角以上の場合は、光は導光板の最外郭において全反射されることができるため、導光板を通過せず導光板の側面に移動することができるようになる。そのため、側面にセンサが位置する場合には上記センサに光が伝達されることができる。
【0057】
しかし、未だに本発明の技術的思想を具現するためには困難な技術的な問題点が残っている。レーザーポインター等の光排出装置から排出されディスプレイ装置のスクリーンまたは導光板に入射される光は上記スネルの法則によって空気中で進行するときの方向とは異なる角度に屈折されて進行するようになり導光板内部において臨界角以下の角度を有するようになるため、結局全て導光板の半対面に透過されて抜け出るようになる。即ち、導光板の空気と接する2つの面が平行である場合、一方の面から入射された全ての光は入射角度に関わらず他の面に抜けるようになる。若し、導光板の表面が粗いか、内部に拡散粒子がある場合には、導光板内において臨界角以上の進行角を有する光が発生することがあるが、この場合は導光板の内部を進行しながら同じ散乱、乃至は屈折により再び導光板の外に抜け出るか、消失されるようになる。従って、どのようにして導光板の外部から入射した光が導光板の内部において臨界角以上の進行角度を有するように方向を変えて損失なく導光板の端まで進行させることができるかが本特許の重要な事項のうち1つであると言える。
【0058】
本発明では、このような問題を解決するために上述のように透明基層の表面、または透明基層の内部に蛍光体を含ませる。蛍光体は光や電気等のエネルギーを受けて電子が励起された後、基底状態に落ちながら放出するエネルギーにより光を発する特性を有する物質のことを言う。上記蛍光体は位置を指定するために光が入射されると、上記蛍光体に含まれた電子が上記光により励起状態に励起された後、再び基底状態に落ちながら放射状に光を発する。
【0059】
本発明において重要な点は、上記蛍光体が発する光が放射状に発散されるという点である。光が放射状に放出される場合、上述の問題点を全て解消することができる。即ち、導光板の厚さ方向から見た図5(a)に図示したように放射状に放出された光21のうち、相当部分は上述の臨界角(Θc)より大きい入射角(Θ1)で導光板を成す1つまたはそれ以上の層のうち最外郭層において上記導光板と導光板に接する他の媒質の境界に入射されるようになり、このような光は2つの媒質の境界において全反射しながら導光板の側面に移動するようになる。
【0060】
また、導光板の広さ方向から見た図5の(b)に図示されたように、蛍光体から発散される光は広さ方向にも放射状で発散されるが、上記のように発散された光は2つ以上の方向(厳密にいうと、無数に多い方向)に進行するため、本発明の一具現例による例を挙げると、導光板の端に位置した横座標用センサ30と縦座標用センサ40全てに到達することができるようになる。
【0061】
但し、光が全てのセンサに伝達されるため、導光板に最初に光が到達した地点に対応する横座標用センサ及び縦座標用センサを識別するための特別な作業が必要となる。
【0062】
図6に、上記本発明の一具現例として横座標用センサ及び縦座標用センサを用いて座標を求める場合に各センサに光が到達するパターンを示した。図6で分かるように、たとえ蛍光体においては同じ間隔で放出されても蛍光体とセンサの位置関係によって到達する光の量が異なるようになる。即ち、蛍光が発生した位置から最も近いセンサに到達する光の量が最も多く、センサとの距離が遠くなるほど光がより多く広がるようになって到達される光の量は減るようになる。これは光の明るさが光源の距離の二乗に反比例する現象と類似な現象に因るものである。また、蛍光体から発散される光が垂直に入射するセンサ(上記蛍光体の横座標または縦座標に該当するセンサ)35には、同じ面積内で到達する光の量は他の位置のセンサより多い反面、蛍光体から発散される光が斜めに入射する位置のセンサには同じ面積内で到達する光の量は他の位置のセンサでより少なくなる。従って、各センサに到達する光の量(入射量)は図7において例を挙げて説明するように蛍光体の位置(言い換えれば、ポインターから排出された光が最初に到達する位置)に対応する座標のセンサにおいて最も高い値を示し、それから遠くなるほど減少する傾向を示す。
【0063】
また、フィルターを導光板とセンサの間に位置させて使用することもできる。 即ち、ここで、フィルターとは、一定の間隔で形成されている遮光パターンを有する材料のことを言い、上記フィルターを用いて蛍光が発散される位置に対応するセンサには蛍光の光が多く到達し、その周辺のセンサに到達する光を遮断して信号の感度を高めるものである。このようなフィルターの特徴により光がセンサに入射される角度が垂直の場合は光がフィルタリングされず、そのままセンサに到達することができる反面、光がセンサに入射される角度が斜めである場合は上記フィルターにより多量の光がフィルタリングされるため、フィルターに到達する光の量は上述の角度に影響を受ける上、フィルタリングまでされてさらに減少するようになる。従って、上記蛍光体の位置に対応する座標のセンサと、そうでないセンサに到達する光の量の差はより大きくなり座標認識にさらに有利になる。
【0064】
また、これとは別途に本発明のさらに他の具現例によると、センサの前面にレンズが付着され、入射される光の角度により感度に大きな差が出る(即ち、正面から入射される光の受信量を増大させたセンサ)センサを用いることもさらに他の好ましい方法である。このような場合にも上記蛍光体の位置に対応する座標のセンサと、そうでないセンサに到達する光の量の差が非常に大きくなり座標認識にさらに有利になる。光を感知するセンサは一般的にフォトダイオードを用いるが、大部分の光センサが入射角による感度に差が出るため、一般的な光センサをそのまま用いるか、または入射角による感度がさらに敏感に変わるように設計された製品を用いることができる。
【0065】
従って、最も高い値を示す位置に該当する横座標用センサと縦座標用センサに該当する座標を入力しようとする座標に選択するか、最も高い値を示す位置に該当する2つの横座標用センサ間の位置を横座標にし、最も高い値を示す位置に該当する2つの縦座標用センサ間の位置を縦座標にする方式で横座標と縦座標を設定することもできる。
【0066】
但し、センサに入力される信号にノイズが含まれることもあるため、上記センサの位置による光の入射量は回帰分析等を通じて平滑化させた後に対応座標に選定することがより好ましい。回帰分析は一般的に用いられる最小自乗法等をはじめ、様々な回帰分析方法のうちから容易に選んで用いればよい。このような回帰分析を用いる場合、上記2つのセンサ間の位置を選択することが容易であることができる。
【0067】
また、上記横座標用センサ30及び縦座標用センサ40は導光板60の縦方向の端のうち1つと、横方向の端のうち1つに配置されて用いることもできるが、導光板の全ての端に配置して用いることもできる。
【0068】
この場合、例えば、横座標用センサに到達した光の入射量がノイズにより2つの座標以上で最大点を示す場合には対向する縦座標用センサのうちいずれのセンサに到達する量が多かったか、または両側のセンサに到達した光の入射量の割合から実際に入射量が最大である地点のセンサを決めることができる。
【0069】
また、縦方向の端のうち1つ、または横方向の端のうち1つにのみ上記センサを配置する場合には、センサが配置されない残りの端にはその側面にメッキや蒸着ペンキ等のような光の反射または吸収処理を通じノイズを除去するか、または信号の強度をより高めることができる。
【0070】
このとき、センサは様々な方法で付着させることができるが、最も好ましい2つの方法を説明すると下記のようである。先ず、図8に図示したようにセンサを導光板の正面または後面に設ける方法を挙げることができる。このような場合、進行される光が導光板の正面、または後面の境界に到達したとき、これ以上全反射されずセンサに到達する必要がある。そのためには導光板とセンサを付着させる地点の接着剤の透明度と屈折率を調節する必要があり、導光板の透明基層の屈折率またはクラッド(clad)層(屈折率の高い透明基層を囲んでいる屈折率の低い層)の役割をする媒質が存在する場合、上記媒質の屈折率より高い屈折率を有する接着剤、または粘着剤を用いることが好ましい。但し、この場合、センサが付着された導光板を図9(a)のように側面から見て、センサの受光面積の断面の長さ(即ち、導光板とセンサが接する部分の長さ)が蛍光導光板の厚さと接着層の厚さの和より十分に長くないと受光効率がよくならない。
【0071】
他の付着方法として、図9(a)に図示したように導光板の側面に付着する方法があり得る。このような場合には表面において全反射されず、直にセンサに到達することができるため、導光板とセンサ間に空気層があっても性能に影響がなく、接着剤の屈折率に制限がないので効果的である。上記センサを導光板に付着させるための接着剤としては感圧性粘着剤(PSA)または接着剤を用いることが好ましい。また、上記センサ周辺を導光板と付着して導光板とセンサ受光面の間に空気層が存在するように付着することもできる。
【0072】
しかし、導光板が非常に薄い場合は導光板の側面にセンサを付着することが事実上困難であるため、図9(b)に図示したように曲がる反射フィルムを用いて導光板の側面から放出される蛍光をセンサ側に反射されるように付着することもできる。
【0073】
また、上記の位置にセンサを付着する方法は、別途のセンサを定められた位置に接着剤を用いて付着する方法もあり得る。センサの機能を有するように導光板の表面にフォトダイオード等のセンサをパターニングすることもできる。
【0074】
また、本発明の座標入力方法は光が入射する地点からセンサまでの距離情報を用いることでより効果的に具現されることができる。以下、上述の様々なセンサの配置形態を考慮し光が入射される座標をより効果的に検出することができるいくつかの方法をその例とともに具体的に説明する。
【0075】
即ち、上記本発明の導光板を用いて座標を入力する本発明の座標入力方法のさらに他の有利な側面によると本発明の導光板に付着されるセンサは、図10に図示したように上記導光板60の任意の2つの地点に設置されることができる。この場合、上記センサの光が入射する地点とセンサ30との距離が分かれば導光板中に光が入射する地点の座標も求めることができる。
【0076】
その原理の一例は図11に図示した通りである。これは各地点からの距離が決まった場合、その距離を満たす軌跡を描き、その軌跡が一致する点を探すのと同じ原理である。即ち、図11に図示したように、センサが位置する2つの地点の座標のうち1つ目の座標が(a1、b1)で2つ目の座標が(a2、b2)で、入射地点(u、v)から1つ目の座標と2つ目の座標を繋ぐ線に下ろした垂線の足の座標を(l、m)とし、1つ目の座標と入射地点間の距離がd1、2つ目の座標と入射地点間の距離がd2である場合を仮定すると、d1、d2、a1、b1、a2、b2、l、mの間には下記数2が成立する。
【0077】
【数2】
【0078】
上記数2は、2つの直角三角形の共通の辺であるcの長さが一致するということから導出されたものである。上記数2をまとめると下記式3を導出することができる。
【0079】
【数3】
【0080】
また、座標(l、m)は1つ目のセンサの座標と2つ目のセンサの座標を繋ぐ直線上に位置するため、これに一次関数の関係式を適用すると下記数4を得ることができる。
【0081】
【数4】
【0082】
また、上記式4を式3に代入してlを纏めることにより下記数5に表示されるlを得ることができ、その結果を上記数4に再び代入することによって下記数6に表示されるmを得ることができる。
【0083】
【数5】
【0084】
【数6】
【0085】
但し、上記数5と数6により得られた座標(l、m)は光が入射される地点ではない上記地点から1つ目のセンサと2つ目のセンサを連結した直線上に下ろした垂線の足の座標であるため、光が入射される地点の座標(u、v)を予め求めた結果から求める必要がある。即ち、上記垂線の足により区分される2つの直角三角形にピタゴラスの定理を代入すると、下記数7と数8を得ることができるが、既に上記数5と数6からlとmの値を求めたため、u、v値も下記の2つの式を連立することで求めることができる。
【0086】
【数7】
【0087】
【数8】
【0088】
従って、2つの地点のセンサから入射される地点までの距離が分かる場合、入射される地点の座標を求めることができる。
【0089】
但し、上記距離を求める方法が問題になるが、本発明者らは導光板に含まれた蛍光体から発する光がセンサに感知される強度は、距離が増加しながら減少するようになるが、これを回帰分析した結果、強度と距離との間には良好な相関関係が表れることが分かった。
【0090】
特に、いくつかの好ましい実施例において本発明者らは、距離(x)とセンサにおいて感知される光の強度(y、mVと測定される)は下記数9により表現できるということを確認することができ、その係数を適切に選択することにより高い相関度の回帰式が導出できることが分かった。下記数9のような形態だけではなく、指数関数や多項式等多様な形態にその結果を表現し相関係数の高い回帰式を得ることも可能である。また、必ずしも回帰分析された数式だけを用いるのではなく、多くの値をデータベースに入力した後、これを参考に距離を求めることも可能である。但し、この場合にはセンサは光がセンサに入射される角度に影響を受けないように設計されることがより好ましい。光が入射される角度に影響を受けるセンサを用いる場合、光の入射角度による感度補正をする必要がある。
【0091】
【数9】
【0092】
但し、ここでyはセンサの受信強度で、xは距離を示す。
【0093】
添付の図12は、本発明の一実施例において光が入射される地点とセンサとの距離を上記数9のような形態で回帰分析した結果を示したもので、相関度の尺度であるR2が0.994で非常に正確な値を示していることを確認することができる。図12の場合には、a=15647、b=−1.957の関係を有していた。
【0094】
従って、本発明の座標入力方法において距離を測定する過程は、いくつかの地点で光を入射し入射された部分とセンサ間の距離とセンサに到達した光の強度の間の関係を予め求めた後、実際距離を求めるときはセンサにおいて感知される光の強度から実際の距離に関する関係式(またはデータベース)から計算すればよい。
【0095】
即ち、本発明の座標入力方法は、導光板の一地点に光を入射する段階と、上記入射された光により導光板内に含まれた蛍光体が光を発し2以上の地点に付着された光センサに上記光が到達する段階と、光センサが到達した光を感知して到達した光の強度によりそれに相応する信号を出力する段階と、上記出力された信号を予め用意された光の強度−距離との関係を示す回帰式に代入しセンサと光が入射された地点間の距離を各センサ別に求める段階及び上記求められた各センサ別の距離がなす軌跡が一致する地点を探し、その地点の座標を入射された光の座標にする段階を含む。
【0096】
従って、2つのセンサのみを装着しても本発明の導光板を用いた座標入力方法は効果的に達成することができる。但し、数7と数8により求められる座標(u、v)は1つではなく2つであるという点に留意しなければならない。即ち、上記数7と数8の解は、上記条件を満たす座標は2つの地点を連結した線を基準に線対称の関係であることを示している。従って、2つのセンサを装着する場合には、なるべく導光板と同じ辺にセンサを装着することが好ましい。それはセンサを導光板の辺ではない内部に装着するか、または2つの辺に夫々1つのセンサを装着する場合と、上記のような線対称関係により座標値が2つ計算される恐れがあるためである。
【0097】
但し、このとき、2つのセンサが非常に近く装着される場合には座標入力地点とセンサとの距離が若干変わるだけでも計算される座標と実際座標の誤差が非常に大きくなるため、上記2つのセンサは用いる導光板の対角線の長さの1/2以上離隔されて設置されることが好ましい。
【0098】
本発明のさらに他の一側面によると、正確度をより増加させるか、簡単な方法で座標を入力しようとする場合にはセンサを3つ以上設置することもできる。
【0099】
即ち、センサを3つ設置する場合には、3対のセンサの組み合わせがあることができるため、座標値も3つ導出されることができる。理想的には上記3つの座標値が全て一致しなければならないが、若干の誤差がある可能性があるため、これらの値を平均するか、またはそのうち一致する2つの値のみを選択して座標値の算定に用いる方法等を使用することができる。
【0100】
センサを3つ以上設置する場合のさらに他の具現例は、図13に図示したように上記導光板の4つの角のうち4つまたは3つの角にセンサを装着する。このような場合、導光板が普通長方形であるため、1対のセンサからは横座標を、残りの1対のセンサからは縦座標を求めればよい。各対のセンサから横座標と縦座標を求める方法は上記数5または6を用いればよい。即ち、光が入射される地点において各辺(2つの角のセンサを連結すると辺と一致する)に下ろした垂線の足が各地点の横座標または縦座標に該当するためである。
【0101】
このような場合にも上記数7と数8により光が入射される地点の座標を求めることもできる。
【0102】
その上、上記数9を用いて光源が入射される距離の比を求める方式を使用すると光源の明るさの変化、即ち、発生蛍光の明るさの変化による座標計算の誤差を防止または最小化することができる。これを添付した図14を参照して説明すると以下のようである。
【0103】
即ち、光源から入射する地点とセンサとの距離を式9を用いて求め、2つのセンサから入射する地点の距離を夫々d2、d1とするとき、2つの地点の距離の割合d2/d1は下記式10で表現されることができる。
【0104】
【数10】
【0105】
ここで、下小文字1は1つ目のセンサを示すもので、下小文字2は2つ目のセンサを示すものである。
【0106】
2つのセンサ間の距離の割合がd2/d1である関係を満たす点の軌跡は円を表す。従って、2つのセンサが存在し2つのセンサから光が入射する地点までの距離の割合が分かる場合(必ず数10の関係に限定することではない)、1つの円の方程式を得ることができる。また、導光板の縁部分に上述の2つのセンサを連結した仮想の直線と垂直または垂直に近い直線上の両端にさらに他のセンサを2つ追加すると、この2つのセンサと蛍光発生位置との距離比を求めて、さらに他の円の方程式を得ることができる。このような場合、2対のセンサから2つの円の方程式を得ることができるが、2つの円の方程式の交点の座標を上記光が入射する地点の座標にすることができる。無論、2つの円の方程式の交点の座標は2つであるため、光が入射する地点の座標が2つ求められる恐れがあるが、センサの位置を上述のように適切に調節する場合には交点のうち1つは導光板の外の領域に存在するようにすることができるため、1つの座標のみを求めることが可能になる。
【0107】
また、上記のように2つのセンサ間の距離の割合を満たす点の軌跡が円を表す現象を用いると、多様な状況においてより正確に座標を得ることができる。即ち、レーザーポインター等のような光源を用いて導光板に座標を入力する場合、大部分の光源は時間に従って電圧が変わる電池によって作動するが、その場合、光源から発生される光の強さも変わるようになる。しかし、上記数9により表示されるセンサの受信強度と光が入射される地点間の距離関係は入射される光の強さが一定であるという仮定の下で行われたもので、入射される光の強さが変更される場合、上記関係式9の常数a、bが異なることができる。しかし、回帰式の全ての常数が意味を失うことではない。式9のaは光源の明るさ、または蛍光物質の蛍光発生の効率により決まる常数で(発生した蛍光の絶対量に対する常数)、bは発生した蛍光が導光板の内部を進行するとき、進行した距離によって消滅する光の程度を意味する。即ち、上記のように光源の明るさが変わって発生する蛍光の明るさが変わったとき、予め求めた回帰式においてa値が変わるようになる。このような場合にも変わらない常数bにより座標を計算することができれば、光源の明るさの変化による座標計算の誤差を防ぐことができる。方法は下記のようである。
【0108】
即ち、光源の明るさの変化、即ち、発生蛍光の明るさの変化による座標計算の誤差が防止または最小化される理由は以下のようである。
【0109】
センサ1とセンサ2に対する発生蛍光による距離(d)と発生電圧(y)の関係は既に上記式10に示した。ここで、導光板の導光特性が均一で2つのセンサの感度が同じである理想的なシステムにおいてはa1=a2、b1=b2になるが、多くの場合、多少の差が発生する。特に、aはセンサと導光板との連結過程において光の損失の程度がセンサ毎に異なることがあるため、差が発生する可能性がより高い。しかし、一旦導光板の製作が完了するとa1とa2は一定の比を有するようになる。従って、a2=k×a1の関係が成立することができ、数10は下記数11のように変形されることができる。
【0110】
【数11】
【0111】
光源の明るさが変わって蛍光発生量が変わると、発生電圧と距離との回帰式が変わるのはこのa値が変わるためである。従って、光源の明るさが変わる環境では、単一センサから蛍光発生地点の絶対距離を計算することが不可能である。しかし、蛍光発生地点と2つのセンサ間の距離比を上記数11のように整理してみると、b1=b2の環境ではaの影響を全く受けないようになる。常数bは導光板における光の損失率に関する常数であるため、量産時に均一な導光板ではほぼ全てのセンサにおいて同じ値を有すると予想され、aの影響を全く受けないことができる。そうでない場合もa、bの値を既に知っているため、十分に補正が可能である。従って、4つの角にセンサを付着し、付着されたセンサのうち隣接する2つのセンサを1対にし、各対のセンサから入力される地点間の距離の割合を上記数11により求めることができるため、その距離の割合が一定の円の軌跡が各対当りに1つずつ得られるので、最小限2つの円の軌跡を得ることができる。その結果、2つの円の軌跡が接する地点の座標を光が入射される地点の座標にすることができる。
【0112】
類似な形態として、各角ではなく、各辺に4つのセンサを装着する方法も考えられる。このような場合、センサは各4辺に1つずつ装着されるようになるため、各対向する辺に夫々1つのセンサが対をなすことができる。各頂点に4つのセンサを装着する方法もあるが、このときは、対角線上にある2つのセンサが対を成すようになる。このとき2対のセンサの距離の割合を先ず求め、上記距離の割合により2つの円の方程式を得ることができる。その結果、上記のような方式で2つの円の交点の座標を得ることにより光が入射される地点の座標を求めることができる。
【0113】
それから、2対のセンサによる距離の割合が一定の円の軌跡と配置されたセンサのうち1つ(如何なるセンサでも構わない)の距離が一致する円の軌跡が会う部分の点の座標を光が入射する部分の座標に決める方法も可能である。
【0114】
また、複数の光センサを統合させる等の方法を用いて入射される光の強度及び角度を認識することができるセンサを用いる場合には必ず端全体にわたって配置する必要はなく、上記センサを2つ以上の箇所に配置することにより座標を決めることができる。即ち、上記センサに入射される角度が分かる場合、上記センサのうち1つから光が入射される方向に延長線を描き、残りのセンサからも同様に延長線を描き、2つの延長線が接する地点を光の座標に設定することができる。
【0115】
上記センサが3つ以上の場合は、全てのセンサにおいて感知された光の入射角度が正確である場合は理論的にはセンサの数に関わらず、1つの地点のみにおいて全ての延長線が接するようになるので問題ないが、センサの入射角の測定値に誤差が発生する場合、各延長線の交点は複数形成されることができる。このような場合、全て延長線の交点座標の中心(上記中心は各横座標の平均値と各縦座標の平均値から求めることができる)を光の座標と設定することができる。さらに他の方法としては、上記センサの正確度が光の入射角により変わることもできるが、このとき、正確度の低い角度で光が入射されるセンサを除いて、残りのセンサから延長線を描いて、これらの交点を座標に設定する方法も考えられ、上述の中心を設定する方法と折衷して用いることもできる。従って、上記センサは3つ以上であることがより好ましい。
【0116】
上述のように本発明は光が導光板を通じて全反射を起こしながら側面に容易に伝達される必要があるが、センサにより感知される程度を高めるためには蛍光体により発生される光の量が同一の場合に上記発生される光のうち、全反射を起こし側面に伝達される光の量が多くなければならない。
【0117】
上記全反射を起こす光の量を増加させるために導光板において最も重要な物性は屈折率、透明度と表面平坦度を挙げることができる。屈折率が高いほど臨界角が減少し外部の光により発生した蛍光の中で導光板の内部に全反射進行する光に転換される効率を高めることができ、表面平坦度が良好でなければ上記導光板をなす層のうち最外郭層と他の媒質層との界面において全反射が容易に起こらず、また、内部の透明度が確保されないと全反射された光が進行するときの損失を最小化することができない。
【0118】
上記適切な臨界角を得るための上記導光板を成す各層(透明基層、透明フィルム、コーティング層等)の屈折率は1.3以上が好ましく、容易に材料を確保するために、そしてより良好な臨界角を得るためには1.5以上であることがより好ましい。また、表面粗度がRa=100nm以下にならないと全反射が円滑に起こらず、全光線の透過率が80%以上でないと側面センサが感知するのに容易な量の光が端のセンサ部まで伝達されない。また、この導光板が他の光学層、例えば、偏光板またはPDP filterのような光学フィルムや、PDP moduleのようなディスプレイ表面に粘着剤や接着剤等により直接付着される形態で用いられる場合には、このような光学層またはディスプレイの表面層の中では導光板の機能を阻害する材料がある場合、導光板に比べて屈折率が0.05以上低い低屈折率コーティング層または低屈折率フィルム層を上記導光板と上記ディスプレイ表面の間に位置するように導光板の外側に置き、全反射が容易に起こるようにしなければならない。上記低屈折率コーティング層は粘着剤や接着剤も含む概念である。若し、上記光学層またはこれらと導光板の最外郭層の間に位置する粘着剤や接着剤層の屈折率が導光板に比べて0.05以上低い場合には特別に設置しなくてもよい。このとき、上記屈折率が0.05以上低い低屈折率コーティング層は内部が多孔質または空洞の中空シリカ微粒子、またはフッ素系樹脂を用いるか、CaF2、MgF2、NaAlF4、SiO2、ThF4、ZrO2、Nd2O3、SnO2、TiO2、CeO2、ZnS、In2O3等の誘電体をドライ及びウェットコーティングして形成することができる。または導光板用透明基材の屈折率が十分に高い場合(例えば、透明基材の外側に存在するクラッドの役割をする層より屈折率が0.05以上高い場合)にはガラス、ポリオレフィン、オレフィンコーポリマー、アクリル、ポリビニル、ポリウレタン、ポリアセタルとエポキシレジンを含むエーテルポリマー、シリコン等屈折率が1.5内外の一般樹脂を用いることも可能である。
【0119】
また、上記導光板を成す層のうち透明基層はhazeが10%以下で、用いる蛍光物質の吸収発光波長領域における透過率が80%以上の素材であれば無機物か有機物に関わらず全て使用できる。
【0120】
このとき、上記透明基層としては、様々な材質のものを用いることができるが、その一部を例に挙げると、ガラス、ポリオレフィン、オレフィンコーポリマー、アクリル、ポリビニル、ポリウレタン、ポリアセタルとエポキシレジンを含むエーテルポリマー、PCを含むポリエステル、ポリアミド、ポリサルフォン、シリコンのうちから選ばれた材質からなることがより好ましい。
【0121】
本発明において言及する透明基層は、記載の便宜のために透明基層という用語を用い、上記透明基層には厚い板形状の透明基層のみではなく薄いフィルム形態の透明基層も全て含まれることができることに留意する必要がある。
【0122】
また、図15に図示したように本発明の蛍光体50は透明基層60の内部にドーピングされるか(図15(a))、透明基層60の表面にコーティングされた形態61(図15(b))で導光板に含まれることができる。
【0123】
上記蛍光体をコーティングする場合には、上記蛍光体はバインダーに混合されてから透明基層表面にウェットでコーティングされる方式によりコーティングされることが最も好ましく、上記蛍光体を透明基層の内部にドーピングさせる場合には導光板原料と上記蛍光体を混合して射出またはキャスティングして製造することが好ましい。
【0124】
そして、本発明の蛍光体はポインター等の光排出装置において放出される光を吸収して発光することができる材質であることが好ましい。光排出装置から放出される光が操作者が調節できるように可視光線領域の光が用いられるという点を勘案すると、可視光線領域の光に対して上記蛍光体が反応できるようにすることも好ましいが、可視光線領域の光に対して反応する蛍光体を用いる場合、可視光線の透過率が低くなるため、可視光線に対しては透明で赤外線等の可視光線領域の外の光に対して反応可能であることが最も好ましい。
【0125】
また、上記蛍光体は、導光板に含まれたとき導光板のhazeが10%以下になるようにすることが好ましい。
【0126】
上記の条件を備えた蛍光体としてはcyanine、perylene、anthraquinone、xanthene系染料等を挙げることができる。
【0127】
上記本発明の導光板を含む非接触式座標入力システムの概略的な概念を図16に図示した。
【0128】
図面で分かるように本発明のシステムは上述の本発明の導光板60、上記導光板の縦の端のうち1つまたは2つと横の端のうち1つまたは2つにおいて受光部が上記導光板の端に向かうように配置された複数の光センサ30、40、上記光センサ30、40に連結されて必要な座標を計算しディスプレイ装置90またはこれと連結されたコンピュータシステム80にその座標を伝達する演算部70からなっている。
【0129】
上記演算部から光排出装置から放出された光の位置座標の伝達を受けたコンピュータシステムはディスプレイ装置にマークなどのような特定標識で上記光の位置を表示することもできる。
【0130】
また、本発明の導光板は、ディスプレイ装置の種類によってPDPフィルター、LCD偏光板、CRTのブラウン管表面、LED装置の表面、projection用screenまたはFED装置の表面に付着されるか、ディスプレイパネルと空気層を有してディスプレイケースに含まれるように別途の板形態でディスプレイ装置の前面に装着されるか、防護眼鏡等の形状で上記本発明の非接触式座標入力システムに含まれることができる。
【0131】
上記のような有利な本発明の座標入力方法を用いたとき、光源としては様々な光源に適用することがあるが、可視光線を用いる場合にはノイズが影響を及ぼすことがあるため、赤外線領域の光を用いることがより好ましい。従って、本発明の座標入力システムに含まれる光排出装置としては紫外線、一般可視光線または赤外線のうち選ばれた1種以上を放出させることができる光排出装置を用いることが好ましい。また、遠くまで広がらず進行する性質を有するレーザー形態の光源を用いることがより効率的であると予想される。
【0132】
また、蛍光導光板に用いた蛍光物質の吸収波長帯の光が本発明システムの駆動光源のみに存在すれば問題ないが、太陽光や蛍光灯、白熱灯等に本発明において用いる光と同じ波長を有する光が存在し、このような光が蛍光導光板内の蛍光物質を励起させて蛍光を発するようにしセンサにもノイズとして到達する恐れがある。センサに到達するこのようなノイズを除去するために本発明の駆動光源は特定形式で点滅することが好ましい。即ち、光源が消えているとき、センサに到達する光の量を基準に光源が付けられるときに発生する蛍光によって増加する受光量を計算しノイズを排除し位置計算をすることができる。
【0133】
その上、導光板とセンサの間には蛍光体から排出される光以外の波長の光は吸収または反射させる形態のフィルターを付着させることがより好ましい。上記蛍光体から排出される光以外の波長の光がセンサの受光部に到達する場合センサの感度を低下させるノイズとして作用することができるためである。上記フィルターは用いる蛍光体の種類とそれから放出される光の波長が分かる場合 上記波長帯域以外の光を吸収する性質を有する染料等を含む形態で用いることができるもので、本発明が属する技術分野において通常の知識を有するものであれば、如何なる者でも容易に応用して使用することができる。
【0134】
従って、本発明の導光板を用いる場合には、ポインター等のような光排出装置から排出され導光板に到達した光が導光板に含まれた蛍光体を発光させるようになり、上記蛍光体から発散された光は発光された蛍光体を中心に放射状で放出され上記放射状で放出された光のうち一部は導光板内で全反射を起こしながら導光板の広さの全方向に伝達され導光板の側面の端に位置した複数の光センサに入射するようになるが、上記光センサのうち最も多い光が入射したセンサの座標をポインター等のような光排出装置から放出された光の座標と決めるか、2つの対を成すセンサと蛍光発生位置との距離比を計算して座標を決めるか、または2つ以上のセンサと蛍光発生位置との距離を計算して座標を決めることができる。
【0135】
以下、下記の実施例を通して本発明をより詳細に説明する。但し、下記実施例は本発明を例示するためのもので、本発明の権利範囲を限定するためのものではない。本発明の権利範囲は特許請求の範囲に記載の事項と、これにより合理的に解釈される事項により決まる。
【0136】
(実施例)
<導光板製作の実施例>
実験準備
センサ(Photodiode)の準備
導光板から発生した蛍光を感知するための感光センサとしてパーキンエルマー(Perkin Elmer)社のVTS3080フォトダイオードを用いた。用いられたセンサの感光領域は2cm×2cmであった。
【0137】
光源(Laser)の準備
蛍光を発生させる光源としてLanics社のLM−8520MDという赤外線レーザー(IR laser)を用いた。用いられたレーザーの光出力(Optical power)は10mWで、発光波長は860nmであった。
【0138】
増幅器の準備
フォトダイオードは光を受けると光の強度に比例し電流が発生する。しかし発生電流の量が非常に少ないため正確に測定することが簡単ではなく、一般的にオペレーションアンプ(Operation Amp)を用いて電圧に変換して増幅した値を用いる。本実験に用いた増幅回路の概念図は図17に図示した通りである。
【0139】
オペレーションアンプとしてはオンセミコンダクター(On Semiconductor)社のLM2904Mを用い、このとき、入力電圧はVCC+10V、VEE−10Vにした。RFには1MΩの抵抗を用い、生成された電流(I)の106倍のサイズに増幅された電圧(VOUT)が生成されるようにした。このようにして発生した電圧をテスター機を通じて確認することができた。
【0140】
蛍光導光板の製作
実施例1−透明基層の表面に蛍光体がコーティングされた形態
吸収波長が約853nm領域の日本化薬(Nippon Kayaku)社のシアニン系染料のPDC−460(S)3.6mgを総研化学(Soken)社のアクリル系バインダー溶液(binder solution)のGS−1000(30wt%、溶剤はMEK)10gに溶解させて東洋紡(Toyobo)社の100μm厚さの光学用PETフィルムのA4300に乾燥後、厚さが約2μmになるようにコーティングした。有効コーティング面積は約25cm×30cmであった。コーティングしたフィルムの透過特性は853nmで約78%で、可視光線領域の平均透過率は90.6%であった。
【0141】
実施例2−透明基層の内部にドーピングされた形態
吸収波長が約853nm領域の日本化薬社のシアニン系染料のPDC−460(S)3.6mgを総研化学社のアクリル系バインダー溶液(30wt%、溶剤はMEK)100gに溶解させて離型処理されたガラス板上に乾燥後、厚さが約20μmになるようにコーティング後、ガラス板から剥離した。有効コーティング面積は約25cm×30cmであった。コーティングしたフィルムの透過特性は853nmで約82%で、可視光線領域の平均透過率は91.8%であった。
【0142】
比較例1
上記実施例1と比較するために、上記実施例1において基材として用いられた東洋紡社A4300 PETフィルムに染料をコーティングしない形態の導光板を製作した。
【0143】
比較例2
上記実施例2との比較のために、染料をバインダー溶液に溶解させない点を除いては上記実施例2と同じ方式で導光板を製作した。
【0144】
作動性能の確認
上記のような過程で製造された導光板に2cm間隔で横15個、縦11個のセンサを付着した。導光板の中心位置(横14cm、縦10cm地点)にレーザーを照射し、各センサに連結された増幅回路の電圧を記録した。発生電圧は、蛍光発生時の電圧において待機状態における電圧を抜いた値として定義した。
【0145】
横方向のセンサの発生電圧記録値を図18にグラフで示し、縦方向のセンサの発生電圧記録値は図19にグラフで示した。
【0146】
図18と図19において、同じ基材を用いた実施例1と比較例1を比較すると、蛍光体(染料)により多くの光が発生してセンサに到達したことを確認することができる。比較例1は蛍光体を用いなかったにもかかわらず導光板の機能を若干は発揮しているようにみえるが、これは基材内のヘイズによるもので、蛍光体を含ませた実施例1に比べてはその性能に大きな差があることを確認することができた。また、実施例2は比較例2に比べて著しく向上された結果を示し、比較例2によっては光が到達した地点を得ることができないことが分かった。
【0147】
<座標入力方法の確認>
2つ以上の少ない数のセンサのみでも座標入力することができるか否かを検討するために下記のような条件で別途の座標入力実験を行った。実験準備方式は上記の「導光板製作の実施例」に記載したのと同一である。
【0148】
センサ受光強度と距離との関係確認
上記の「導光板製作の実施例」のうち、実施例1と他の条件は同様で、有効コーティング面積のみを25cm×35cmにすることにより上記実施例1の導光板と同じ性能を有する導光板を製造した。
【0149】
実験のために、導光板の端のうち1つに屈折率が1.48のアクリル系粘着剤を用いて導光板の前面にセンサを付着した後、夫々センサから5、10、15、20、25、30、35cmの距離に光を入射しながらセンサの受光部で感知される光の強さをmVで測定し距離と感知される光の強度(受光強度)の相関関係を上記した図12に示した。上述のように、図12には測定したデータによる回帰分析式が示されているが、回帰分析式で相関図の尺度であるR2が0.994で非常に正確な値を示していることが確認できる。図12の場合にはa=15647、b=−1.957の関係を有していた。従って、受光部で感知される光の強さと距離との相関関係を予め求めて回帰分析する場合、以後感知される光の強さによって入射される地点の距離を求めることができることが分かった。
【0150】
座標入力の正確性の確認
吸収波長が約853nm領域の日本化薬(Nippon Kayaku)社のシアニン系染料のPDC−460(S)3.6mgを総研化学(Soken)社のアクリル系バインダー溶液(binder solution)のGS−1000(30wt%、溶剤はMEK)10gに溶解させて東洋紡(Toyobo)社の100μm厚さの光学用PETフィルムであるA4300に乾燥後、厚さが約2μmになるようにコーティングした。PETフィルムの反対側もPETフィルム表面のヘイズ(haze)による蛍光内部反射損失を減らすために総研化学社のアクリル系バインダー溶液であるGS−1000を乾燥した後、厚さが約2μmになるようにコーティングした。コーティングによる有効コーティング面積は約26cm×26cmで、コーティングしたフィルムの透過特性は852nmにおいて約76%で、可視光線領域の平均透過率は91.2%であった。
【0151】
導光板から発生した蛍光を感知するための感光センサとしてPerkinElmer社のVTS3080 photodiodeを用いた。photodiodeを保護するためのエポキシモールディングなしにphotodiodeが直に露出される形態のphotodiodeである。このようなphotodiodeを用いた理由は導光板とphotodiodeの受光面との距離を最小化して受光効率を高めるためである。センサの受光面積は2cm×2cmである。センサを導光板に付着するために、屈折率が約1.48、厚さ25μmのアクリル系粘着剤を用いた。このとき、粘着剤の形態は直径2cmの円形に裁断した。即ち、導光板とセンサの粘着剤による付着領域はセンサの受光面積と同じ2cm×2cmの正方形ではなく、直径2cmの円形である。このようにした理由は蛍光の進行方向により蛍光に露出されるセンサ部の断面積を均一にし蛍光の進行方向によるセンサの受光面積の差を除去するためである。
【0152】
座標入力のために図20に図示した形態の回路を用いた。図20において分かるように、4つのセンサを導光板の4つの角に付着し、導光板から出力される信号を増幅するための増幅器と増幅された信号を分析するためのオシロスコープを図面に図示した形態で配置した。増幅器としては上述のようなLM2904Mを用い、オシロスコープ(oscilloscope)としては4つのセンサから出力される信号を同時に測定、記録することができる4チャンネルオシロスコープであるTektronicx社のTDS5000Bを用いた。
【0153】
上記製造された導光板の表面に図21に図示された形態の仮想の座標を設定した後、図面に表示した各地点A、B、C、D、Eに上述のレーザー光源を用いて光を入射した。参考までに、付着された4個のセンサ(X1、X2、Y1、Y2と称する)の中心点の座標は(12、12)、(12、−12)、(−12、−12)、(−12、12)であった。
【0154】
各地点に光を入射したとき、付着された各センサに連結された増幅回路から出力される光の強度(電圧、単位V)を下記表1に示した。
【表1】
【0155】
上記表1に記載の結果に基づき、各センサ別に受光強度と距離による関係を上記式9の形態に回帰分析することができ、その結果を下記表2に示した。
【表2】
【0156】
従って、上記表2に記載の回帰分析の結果に基づき、任意の地点に光を入射する場合、対を成すセンサと入射地点の間の距離の割合を計算することができ、これにより2つの対のセンサの間の距離の割合が一定の地点を連結した円を2個求めることができた。上記求められた2つの円が接する地点の座標を求めてから、上記座標のうち導光板の面積内に形成される座標を光が入射される地点の座標にする方式で光が入射される地点の座標を求めることができる。
【0157】
これを確認するために、導光板の表面に予め図22に図示した形態と同じ形態で指定した柄をレーザー光源を用いて描いた。そして、そのときの4つのセンサに連結された増幅回路の電圧信号をoscilloscopeに保存してから、4つの電圧信号を2つのセンサ間距離比の値に変え、最終的にx、y座標値に転換して座標を図22に図示した。図23は21を多少拡大した図である。
【0158】
図22と図23の結果から明白に分かるように、光が入射する地点とそれによる座標入力値が非常に良好に一致していることが分かる。
【技術分野】
【0001】
本発明は、非接触式座標入力システム用導光板、これを含むシステム及びこれを用いた非接触式座標入力方法に関するもので、より詳細には従来の接触式座標入力システムが有する直接接触による座標入力方式の不便さを解消した非接触式座標入力システムに用いられる導光板で、センサ使用量と光損失を最大限減少させることができる非接触式座標入力システム用導光板、これを含むシステム及びこれを用いた非接触式座標入力方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
TVやコンピュータモニター等のようなディスプレイ装置は、一般的には上記コンピュータやモニター等に直接連結されたボタン入力またはマウス入力により所望の情報が上記ディスプレイ装置に内蔵されるか、これに連結された演算装置を通じて入力及び処理する。
【0003】
最近では、このような伝統的な入力方式から脱皮し、様々な形態の主なまたは補助的な入力方式が採択されているが、タッチスクリーン方式は有用に用いられる上記新たな入力方式のうちの1つである。
【0004】
上記タッチスクリーン方式は、ディスプレイ装置のスクリーン側に抵抗膜、または超音波等の手段を用いて入力者が指またはその他入力手段でスクリーンをタッチするとき発生する画面の抵抗が変動するか、または弾性表面波が発生する現象を感知してタッチされた部分の画面上の座標を検知し上記座標に情報を入力し、それに従って命令を遂行する方式である。
【0005】
上記のようなタッチスクリーン方式の入力方式を用いる場合、所望の情報を簡単に入力することができるという長所がある。
【0006】
しかし、上記入力装置を用いるディスプレイ装置が次第に大型化される傾向により、上記ディスプレイ装置と操作者間の距離も遠くなり、操作者が手を伸ばして簡単にタッチできた従来の条件に比べて操作者とスクリーン間の間隔が操作者の腕の長さ以上に遠くなる場合が頻繁に発生し、これにより操作者が移動して上記スクリーンの表面をタッチしなければならないという不便が発生するようになった。
【0007】
また、タッチスクリーン方式のような接触式座標入力方式は、接触により画面が汚れるという問題と共に画面に反復的に荷重をかけるようになるため、ディスプレイ装置のパネルの耐久性を害する恐れがある。
【0008】
このような問題点を解決するために、非接触式座標入力システムが開発されるようになった。非接触式座標入力システムは、上述の接触式座標入力システムとは異なってスクリーンと入力手段(指、ペン等)が物理的に接触しないため、他の方式の入力手段と検知手段(センサ)を用いる。
【0009】
即ち、非接触式座標入力システムは、通常は光を用いる方式が主に用いられ、上記光をスクリーンの所望の位置に照射し、光が照射された位置の座標が入力されることによりタッチスクリーン方式と同じ機能を行う。このような用途に用いられる光としては、主にレーザー光等を用いるが、必ずこれに限定されず、上記光というのは赤外線や紫外線等全領域の電磁気波を全て含む概念である。
【0010】
上記非接触式座標入力システムの一例として、光を用いた直接ポインティングシステムに関する発明が開示された特許文献1を挙げることができる。上記発明はリモコンを一々操作しなくても所望のメニューを直接ポインティングし簡単に選択するためのもので、指し示そうとする方向に向かってレーザー光等の光を発射して選択するポインターと、画面の表面に光を感知するパッドを付着してポインターから発射された光が入射される画面上の位置を感知する感知部と、感知部の感知信号から画面上の位置を計算する位置計算部と、計算された位置にカーソルが表示されるように制御し、ポインターの選択スイッチの操作時にカーソル位置のメニューに該当する動作が行われるように制御するCPU及びCPUの制御下でカーソルを生成し表示するカーソル生成部からなることを特徴とするシステムに関するものである。
【0011】
上記直接ポインティングシステムによる場合は、使用者がリモコンを一々操作せずスクリーンに表示させたメニューを光を通じて直接ポインティングして簡単に選択することができる効果を得ることができる。
【0012】
このような非接触式座標入力システムのさらに他の一例としては、特許文献2に記載された入出力装置を挙げることができる。
【0013】
上記入出力装置は、任意の位置を検出してそれに対応した入力等を行う入出力装置において、表示画面を非タッチ式で位置入力を行うようにするものである。より具体的に説明すると、上記入出力装置は表示画面の任意の位置を操作することにより、その位置を検出してこれに対応した入出力処理を行う入出力装置で、表示画面側から入力用ライトペンで任意の位置を光照射し、その照射位置を表示装置と一体に設置した複数のマトリックス配列された光転換素子において受光させ、光電変換素子の出力状態に対応して位置検出を行うことを特徴とする。
【0014】
上述の入出力装置も非接触式でスクリーンに情報を入力することができる有用な手段である。
【0015】
しかし、上記特許文献1に記載の発明、または上記特許文献2に記載の発明は、図1及び図2で確認できるように、夫々の座標に対応する格子点(例えば、図2の1aa)に光を検出することができるセンサを配置して、光を発光するポインター等から発光された光が夫々のセンサに到達したときの情報により座標を入力する方式を採択している。
【0016】
しかし、このような形態の座標入力方式は、ディスプレイ装置が大型化されるか、入力座標をより精密に区分しなければならない場合に問題になることがある。即ち、上記座標入力方式では夫々の座標に対応する光センサ等のセンサを配置しなければならないため、入力に用いられる座標の数だけセンサが必要で、同じ間隔でセンサを配置する場合、ディスプレイ装置のスクリーンのサイズが増加するので上記スクリーンのサイズ(横、または縦等)の増加の二乗に比例して上記センサの必要量が増加するようになり、大型化された入力装置にセンサを配置する工程も現実的に簡単ではない。
【0017】
従って、ディスプレイ装置が大型化される場合には、上記センサの使用量が大きな負担となり得る。このような現象は、座標をより精密に区分しなければならない場合にも同様で、座標の解像度が増加した分センサをさらに配置しなければならず、上記センサの配置数は座標の解像度の二乗に比例して増加する。
【0018】
また、夫々の座標にセンサを配置する方式は、センサの不透明性により図2に図示されたようにセンサが位置する区域1aaが別途で設定され、残りの領域を画素領域1baにしなければならないため、上記画素領域の面積を十分に確保するためには上記センサが非常に小さくなければならず、そうでない場合には画質が劣化するという問題が発生することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0019】
【特許文献1】大韓民国公開特許公報第2001−0026856号公報
【特許文献2】日本特開平11−119910号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
従って、本発明は、上述の従来技術の問題点を解決するためのもので、過多にセンサを用いなくても十分に座標を非接触式で入力できる非接触式座標入力システム用導光板、これを含むシステム及びこれを用いた非接触式座標入力方法を提供することをその目的とする。
【0021】
また、本発明はセンサにより画質が劣化するという問題を発生させない非接触式システム用導光板、これを含むシステム及びこれを用いた非接触式座標入力方法を提供することをさらに他の目的とする。
【0022】
また、本発明は過多にセンサを用いなくても十分座標を非接触式で入力できる方法を提供することをその目的とする。
【0023】
また、本発明はセンサにより画質が劣化するという問題を発生させない非接触式システム用導光板を用いた非接触式座標入力方法を提供することをさらに他の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0024】
上記目的を達成するための本発明の導光板は、蛍光体及び1つまたはそれ以上の光学層を含むことを特徴とする。
【0025】
このとき、上記導光板には、上記導光板に到達した光を受けて蛍光体が発した光を検知する複数の光センサが、上記導光板の横方向の端のうち1つまたは両方と、縦方向の端のうち1つまたは両方で受光部が上記導光部の端に向かうように上記導光板に付着されることができる。
【0026】
本発明の他の一側面である上記導光板を含む非接触式座標入力システムは、光排出装置から放出された光が入射する導光板で、蛍光体及び1つまたはそれ以上の光学層を含む導光板と、上記導光板の横方向の端のうち1つまたは両方と、縦方向の端のうち1つまたは両方で受光部が上記導光部の端に向かうように上記導光板に付着され、上記導光板に到達した光を受けて蛍光体が発した光を検知する複数の光センサと、上記光センサに連結され導光板に到達した光の到達座標を計算し、ディスプレイ装置またはこれと連結されたコンピュータシステムにその座標を伝達する演算部からなることを特徴とする。
【0027】
本発明のさらに他の一側面として、上記座標入力システムを用いて座標を非接触式で入力する方法は、光排出装置から放出された光が入射する導光板で、蛍光体及び1つまたはそれ以上の光学層を含む導光板と、上記導光板の横方向の端のうち1つまたは両方と、縦方向の端のうち1つまたは両方で受光部が上記導光板の端に向かうように上記導光板に付着され、上記導光板に到達した光を受けて蛍光体が発した光を検知する複数の光センサと、上記光センサに連結され導光板に到達した光の到達座標を計算し、ディスプレイ装置またはこれと連結されたコンピュータシステムにその座標を伝達する演算部からなる非接触式座標入力システムを用いて導光板に入射された光の位置を非接触式で入力する座標入力方法で、上記横方向の端に付着されたセンサのうち受光量が最も多いセンサの位置または受光量が最も多い隣接した2つのセンサの間の特定位置を上記入射した光の横座標に算定し、上記縦方向の端に付着されたセンサのうち受光量が最も多いセンサの位置または受光量が最も多い隣接した2つのセンサの間の特定位置を上記入射した光の縦座標に算定することを特徴とする。
【0028】
このとき、上記蛍光体は、上記透明基層の表面にコーティングされた形態または上記透明基層の内部にドーピングされた形態で上記導光板に含まれることが好ましい。
【0029】
また、上記透明基層はhazeが10%以下で、用いる蛍光物質の吸収発光波長領域における透過率が80%以上であることが好ましい。
【0030】
このとき、上記透明基層はガラス、ポリオレフィン、オレフィンコーポリマー、アクリル、ポリビニル、ポリウレタン、ポリアセタルとエポキシレジンを含むエーテルポリマー、PCを含むポリエステル、ポリアミド、ポリサルフォン、シリコンのうちから選ばれた材質からなることがより好ましい。
【0031】
そして、上記導光板が空気中に独立的に存在するときとは異なり、粘着剤や接着剤により他の光学基材と合板になると、合板になった光学基材も共に導光板の役割をすることもできるようになる。若し、この光学基材のhazeが高いか、または発生する蛍光の波長領域の透過率が低い場合は蛍光の導光効率を阻害することもできる。このような場合には、既存の導光板の基材のうち最も屈折率が高い基材対比屈折率が0.05以上低い低屈折率層を問題となり得る光学基材の間に置いて光学的に分離する必要がある。
【0032】
このとき、上記屈折率が0.05以上低い低屈折率コーティング層は内部が多孔質または空洞の中空シリカ微粒子、またはフッ素系樹脂を用いるか、またはCaF2、MgF2、NaAlF4、SiO2、ThF4、ZrO2、Nd2O3、SnO2、TiO2、CeO2、ZnS、In2O3等の誘電体をドライ及びウェットコーティングして形成されることが好ましい。または導光板用透明基材の屈折率が十分高い場合にはガラス、ポリオレフィン、オレフィンコーポリマー、アクリル、ポリビニル、ポリウレタン、ポリアセタルとエポキシレジンを含むエーテルポリマー、シリコン等屈折率が1.5内外である一般樹脂を用いることも可能である。
【0033】
上記蛍光体は、導光板に含まれたとき導光板のhazeが10%以下になるようにすることが好ましい。
【0034】
また、上記蛍光体はcyanine、perylene、anthraquinone、xanthene系のうちから選ばれた染料からなることが好ましい。
【0035】
そして、上記演算部または上記演算部に連結されたコンピュータシステムは上記光の到達座標をディスプレイ装置に表示できるようになることが好ましい。
【0036】
また、上記導光板がディスプレイ装置の表面に接着されるか、別途の板形態でディスプレイ装置の前面に装着されるか、防護眼鏡等の形態で着脱が可能な形態を有することがより好ましい。
【0037】
そして、上記ディスプレイ装置はLCD、PDP、LED、FED及びCRTディスプレイ装置から選ばれたことが好ましい。
【0038】
また、上記導光板はLCD偏光板、PDPフィルター、projection用screenまたはLED、FED、CRT装置の表面に接着されたのがよい。
【0039】
このとき、上記横方向の端または縦方向の端に付着されたセンサのうち受光量が最も多いセンサの位置または受光量が最も多い隣接した2つのセンサ間の特定位置を算定することにおいて、上記センサの位置と受光量の間の関係を回帰分析して用いることが好ましい。
【0040】
上記目的を達成するための本発明の一側面としての座標入力方法は、蛍光体及び1つまたはそれ以上の光学層を含むことを特徴とする非接触式座標入力システム用導光板に入射される光の座標を入力するための方法で、導光板の一地点に光を入射する段階と、上記入射された光により導光板内に含まれた蛍光体が光を発し2以上の地点に付着された光センサに上記光が到達する段階と、光センサが到達された光を感知して到達された光の強度に従って、それに相応する信号を出力する段階と、上記出力された信号を予め用意された光の強度−距離との関係を示す回帰式に代入しセンサと光が入射された地点の間の距離を各センサ別に求める段階と、上記求められた各センサ別の距離または2つのセンサ間の距離の割合が一定の点を成す軌跡が一致する地点を探し、その地点の座標を入射された光の座標にする段階を含むことを特徴とする。
【0041】
このとき、上記センサが3つ以上の場合に、2つのセンサの間に軌跡が一致する地点を1つ、またはそれ以上探してから、各地点の座標の平均値に該当する地点を各センサ別距離がなす軌跡が一致する地点にすることが好ましい。
【0042】
そして、上記蛍光体は、上記透明基層の表面にコーティングされた形態または上記透明基層の内部にドーピングされた形態で上記導光板に含まれることが好ましい。
【0043】
また、上記透明基層はhazeが10%以下で、用いる蛍光物質の吸収発光波長領域における透過率が80%以上であることが好ましい。
【0044】
そして、上記導光板の外側に導光板に含まれた基材のうち最も屈折率が高い基材対比屈折率が0.05以上低い低屈折率層をさらに含むことが有利である。
【0045】
また、上記蛍光体は 導光板に含まれたとき導光板のhazeが10%以下になるようにすることが効果的である。
【0046】
そして、上記導光板に到達した光を受けて蛍光体が発した光を検知する2以上の光センサが上記導光板の前面、後面または側面に付着されているのがよい。
【発明の効果】
【0047】
本発明による場合、過多にセンサを用いなくても十分に座標を非接触式で入力でき、センサにより画質が劣化するという問題を発生させない非接触式システム用導光板を用いた非接触式座標入力方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】特許文献1において非接触式で座標を入力するために光センサが各格子点に配置されたことを示す概略図である。
【図2】特許文献2において、光センサと画面を表現するための画素が共存することを示す概略図である。
【図3】本発明の導光板の内部を光が全反射現象により通過し導光板の端の方に伝達される現象を示す概念図である。
【図4】全反射現象が起こる原理を示す概念図である。
【図5】本発明の導光板において蛍光体により発光される光が全方向に発散され全反射により端の方向に伝播される現象を示す概念図で、(a)は断面図、(b)は平面図である。
【図6】蛍光体において光が発光される位置に対応して各端の横座標用センサまたは縦座標用センサに光が到達する量の差を説明するための説明図である。
【図7】各座標用センサ位置により受光される光の量が異なることを示すグラフである。
【図8】センサが導光板の前面または後面に装着されたことを示す概略図である。
【図9】センサが導光板に装着されたことを示す概略図で、(a)はセンサが導光板の側面に装着されたことを示し、(b)はセンサが導光板の上面に装着されたことを示す概略図である。
【図10】本発明の一側面によりセンサが2つ配置されたことを示す概略図である。
【図11】本発明の一側面によりセンサを2つまたはそれ以上配置した場合の光が入射された地点とセンサとの距離が分かる場合、光が入射した地点の座標を求める方式を説明するための概念図である。
【図12】光が入射した地点とセンサとの距離と、センサに感知された光の強さとの関係を示すグラフである。
【図13】センサが3つ以上配置された場合を示す概略図である。
【図14】2つのセンサ間の距離の割合が分かる場合、表される円の軌跡から光が入射する地点の座標を求める方式を説明するための概略図である。
【図15】導光板を構成するために蛍光体を透明基層の表面にコーティングさせるか、透明基層の内部に含ませる方式の例を示す概念図である。
【図16】本発明の導光板を含む非接触式座標入力システムの概略的な概念図である。
【図17】本発明の実施例において光センサで生成された電流信号を電圧信号に増幅する回路を示す回路図である。
【図18】本発明の実施例において各横方向のセンサ毎に感知された光の強度分布を示すグラフである。
【図19】本発明の実施例において各縦方向のセンサ毎に感知された光の強度分布を示すグラフである。
【図20】本発明の一実施例において座標を入力するためのシステムの概要を示す概略図である。
【図21】本発明の一実施例において配置された各センサの距離による受光強度の関係式を導出するためにセンサと光の入射地点を配置したことを示す概略図である。
【図22】本発明の一実施例において特定の形で蛍光導光板に光を入射させた後、センサ信号を計算して再び座標にした図である。
【図23】上記図22の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0049】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0050】
本発明の発明者らは上述のように、各格子点に光センサを配置した従来技術の場合は様々な問題点を有しているという点に着目し、各格子点にセンサを配置しなくても光が到達する地点の座標を容易に入力することができる座標入力システムに対して深く研究したところ、図3に図示したように光が到達する地点にセンサが配置されていなくても、上記光20が到達した後、光が到達した位置から複数のスクリーンの外郭のセンサ30、40に光21が伝達されるのであれば、それに基づいて計算、または測定された横座標と縦座標を入力することにより光が到達する位置のセンサを通じて座標を入力するのと同じ効果が得られることが確認できた。
【0051】
上記のように複数のセンサ30、40に光が到達するようになるためには、スクリーンに到達した光20が2つ以上に分かれて夫々のセンサに伝達されるように光21の経路を調節する必要がある。しかし、一旦、一方向に入射された光はその特性上スクリーンの外郭の複数のセンサに分岐されて進まず、直にスクリーンを通過するため、一般的なスクリーンを用いる場合は本発明の技術的思想は達成できない。
【0052】
本発明はスクリーンに到達した光20を複数のセンサに伝達するために導光板60を用いることを主な特徴とする。即ち、本発明の導光板は蛍光体と共に内部全反射を起こすことができる1つまたはそれ以上の光学層を含むことを特徴とする。上記導光板としては蛍光体が透明な基層の表面にコーティングされた形態または透明基層の内部にドーピングされた形態等のものを用いることができる。但し、図面は透明基層の内部に蛍光体(図5の50参照)がドーピングされている場合を仮定して図示した。以下において特別な記載がない限り、本発明において言及する'基層'は透明な基層である。
【0053】
上記導光板60は、光の全反射現象を用いて光の進行方向または屈折された方向に進行して光が入射された反対側に抜け出る現象を防ぐためのものである。即ち、全反射現象というのは、2つの媒質が接する境界において、一部の光は上記境界を通過して2つ目の媒質に伝達され、残りの一部の光は上記境界において反射される現象が起こるのが一般的であり、特に密な媒質から疎な媒質に光が伝達される場合にその入射角が図4のΘcで表示される臨界角以上である場合、上記2つの媒質の境界において光が進行できずに全部反射される現象のことを言うが、主に光ファイバ等において光に情報を保存し伝送するための用途として用いられる。
【0054】
上記臨界角は、2つの媒質の屈折率によって決まり、スネルの法則により下記数1で表示されることができる。
【0055】
【数1】
【0056】
従って、光の入射角が上記臨界角以上の場合は、光は導光板の最外郭において全反射されることができるため、導光板を通過せず導光板の側面に移動することができるようになる。そのため、側面にセンサが位置する場合には上記センサに光が伝達されることができる。
【0057】
しかし、未だに本発明の技術的思想を具現するためには困難な技術的な問題点が残っている。レーザーポインター等の光排出装置から排出されディスプレイ装置のスクリーンまたは導光板に入射される光は上記スネルの法則によって空気中で進行するときの方向とは異なる角度に屈折されて進行するようになり導光板内部において臨界角以下の角度を有するようになるため、結局全て導光板の半対面に透過されて抜け出るようになる。即ち、導光板の空気と接する2つの面が平行である場合、一方の面から入射された全ての光は入射角度に関わらず他の面に抜けるようになる。若し、導光板の表面が粗いか、内部に拡散粒子がある場合には、導光板内において臨界角以上の進行角を有する光が発生することがあるが、この場合は導光板の内部を進行しながら同じ散乱、乃至は屈折により再び導光板の外に抜け出るか、消失されるようになる。従って、どのようにして導光板の外部から入射した光が導光板の内部において臨界角以上の進行角度を有するように方向を変えて損失なく導光板の端まで進行させることができるかが本特許の重要な事項のうち1つであると言える。
【0058】
本発明では、このような問題を解決するために上述のように透明基層の表面、または透明基層の内部に蛍光体を含ませる。蛍光体は光や電気等のエネルギーを受けて電子が励起された後、基底状態に落ちながら放出するエネルギーにより光を発する特性を有する物質のことを言う。上記蛍光体は位置を指定するために光が入射されると、上記蛍光体に含まれた電子が上記光により励起状態に励起された後、再び基底状態に落ちながら放射状に光を発する。
【0059】
本発明において重要な点は、上記蛍光体が発する光が放射状に発散されるという点である。光が放射状に放出される場合、上述の問題点を全て解消することができる。即ち、導光板の厚さ方向から見た図5(a)に図示したように放射状に放出された光21のうち、相当部分は上述の臨界角(Θc)より大きい入射角(Θ1)で導光板を成す1つまたはそれ以上の層のうち最外郭層において上記導光板と導光板に接する他の媒質の境界に入射されるようになり、このような光は2つの媒質の境界において全反射しながら導光板の側面に移動するようになる。
【0060】
また、導光板の広さ方向から見た図5の(b)に図示されたように、蛍光体から発散される光は広さ方向にも放射状で発散されるが、上記のように発散された光は2つ以上の方向(厳密にいうと、無数に多い方向)に進行するため、本発明の一具現例による例を挙げると、導光板の端に位置した横座標用センサ30と縦座標用センサ40全てに到達することができるようになる。
【0061】
但し、光が全てのセンサに伝達されるため、導光板に最初に光が到達した地点に対応する横座標用センサ及び縦座標用センサを識別するための特別な作業が必要となる。
【0062】
図6に、上記本発明の一具現例として横座標用センサ及び縦座標用センサを用いて座標を求める場合に各センサに光が到達するパターンを示した。図6で分かるように、たとえ蛍光体においては同じ間隔で放出されても蛍光体とセンサの位置関係によって到達する光の量が異なるようになる。即ち、蛍光が発生した位置から最も近いセンサに到達する光の量が最も多く、センサとの距離が遠くなるほど光がより多く広がるようになって到達される光の量は減るようになる。これは光の明るさが光源の距離の二乗に反比例する現象と類似な現象に因るものである。また、蛍光体から発散される光が垂直に入射するセンサ(上記蛍光体の横座標または縦座標に該当するセンサ)35には、同じ面積内で到達する光の量は他の位置のセンサより多い反面、蛍光体から発散される光が斜めに入射する位置のセンサには同じ面積内で到達する光の量は他の位置のセンサでより少なくなる。従って、各センサに到達する光の量(入射量)は図7において例を挙げて説明するように蛍光体の位置(言い換えれば、ポインターから排出された光が最初に到達する位置)に対応する座標のセンサにおいて最も高い値を示し、それから遠くなるほど減少する傾向を示す。
【0063】
また、フィルターを導光板とセンサの間に位置させて使用することもできる。 即ち、ここで、フィルターとは、一定の間隔で形成されている遮光パターンを有する材料のことを言い、上記フィルターを用いて蛍光が発散される位置に対応するセンサには蛍光の光が多く到達し、その周辺のセンサに到達する光を遮断して信号の感度を高めるものである。このようなフィルターの特徴により光がセンサに入射される角度が垂直の場合は光がフィルタリングされず、そのままセンサに到達することができる反面、光がセンサに入射される角度が斜めである場合は上記フィルターにより多量の光がフィルタリングされるため、フィルターに到達する光の量は上述の角度に影響を受ける上、フィルタリングまでされてさらに減少するようになる。従って、上記蛍光体の位置に対応する座標のセンサと、そうでないセンサに到達する光の量の差はより大きくなり座標認識にさらに有利になる。
【0064】
また、これとは別途に本発明のさらに他の具現例によると、センサの前面にレンズが付着され、入射される光の角度により感度に大きな差が出る(即ち、正面から入射される光の受信量を増大させたセンサ)センサを用いることもさらに他の好ましい方法である。このような場合にも上記蛍光体の位置に対応する座標のセンサと、そうでないセンサに到達する光の量の差が非常に大きくなり座標認識にさらに有利になる。光を感知するセンサは一般的にフォトダイオードを用いるが、大部分の光センサが入射角による感度に差が出るため、一般的な光センサをそのまま用いるか、または入射角による感度がさらに敏感に変わるように設計された製品を用いることができる。
【0065】
従って、最も高い値を示す位置に該当する横座標用センサと縦座標用センサに該当する座標を入力しようとする座標に選択するか、最も高い値を示す位置に該当する2つの横座標用センサ間の位置を横座標にし、最も高い値を示す位置に該当する2つの縦座標用センサ間の位置を縦座標にする方式で横座標と縦座標を設定することもできる。
【0066】
但し、センサに入力される信号にノイズが含まれることもあるため、上記センサの位置による光の入射量は回帰分析等を通じて平滑化させた後に対応座標に選定することがより好ましい。回帰分析は一般的に用いられる最小自乗法等をはじめ、様々な回帰分析方法のうちから容易に選んで用いればよい。このような回帰分析を用いる場合、上記2つのセンサ間の位置を選択することが容易であることができる。
【0067】
また、上記横座標用センサ30及び縦座標用センサ40は導光板60の縦方向の端のうち1つと、横方向の端のうち1つに配置されて用いることもできるが、導光板の全ての端に配置して用いることもできる。
【0068】
この場合、例えば、横座標用センサに到達した光の入射量がノイズにより2つの座標以上で最大点を示す場合には対向する縦座標用センサのうちいずれのセンサに到達する量が多かったか、または両側のセンサに到達した光の入射量の割合から実際に入射量が最大である地点のセンサを決めることができる。
【0069】
また、縦方向の端のうち1つ、または横方向の端のうち1つにのみ上記センサを配置する場合には、センサが配置されない残りの端にはその側面にメッキや蒸着ペンキ等のような光の反射または吸収処理を通じノイズを除去するか、または信号の強度をより高めることができる。
【0070】
このとき、センサは様々な方法で付着させることができるが、最も好ましい2つの方法を説明すると下記のようである。先ず、図8に図示したようにセンサを導光板の正面または後面に設ける方法を挙げることができる。このような場合、進行される光が導光板の正面、または後面の境界に到達したとき、これ以上全反射されずセンサに到達する必要がある。そのためには導光板とセンサを付着させる地点の接着剤の透明度と屈折率を調節する必要があり、導光板の透明基層の屈折率またはクラッド(clad)層(屈折率の高い透明基層を囲んでいる屈折率の低い層)の役割をする媒質が存在する場合、上記媒質の屈折率より高い屈折率を有する接着剤、または粘着剤を用いることが好ましい。但し、この場合、センサが付着された導光板を図9(a)のように側面から見て、センサの受光面積の断面の長さ(即ち、導光板とセンサが接する部分の長さ)が蛍光導光板の厚さと接着層の厚さの和より十分に長くないと受光効率がよくならない。
【0071】
他の付着方法として、図9(a)に図示したように導光板の側面に付着する方法があり得る。このような場合には表面において全反射されず、直にセンサに到達することができるため、導光板とセンサ間に空気層があっても性能に影響がなく、接着剤の屈折率に制限がないので効果的である。上記センサを導光板に付着させるための接着剤としては感圧性粘着剤(PSA)または接着剤を用いることが好ましい。また、上記センサ周辺を導光板と付着して導光板とセンサ受光面の間に空気層が存在するように付着することもできる。
【0072】
しかし、導光板が非常に薄い場合は導光板の側面にセンサを付着することが事実上困難であるため、図9(b)に図示したように曲がる反射フィルムを用いて導光板の側面から放出される蛍光をセンサ側に反射されるように付着することもできる。
【0073】
また、上記の位置にセンサを付着する方法は、別途のセンサを定められた位置に接着剤を用いて付着する方法もあり得る。センサの機能を有するように導光板の表面にフォトダイオード等のセンサをパターニングすることもできる。
【0074】
また、本発明の座標入力方法は光が入射する地点からセンサまでの距離情報を用いることでより効果的に具現されることができる。以下、上述の様々なセンサの配置形態を考慮し光が入射される座標をより効果的に検出することができるいくつかの方法をその例とともに具体的に説明する。
【0075】
即ち、上記本発明の導光板を用いて座標を入力する本発明の座標入力方法のさらに他の有利な側面によると本発明の導光板に付着されるセンサは、図10に図示したように上記導光板60の任意の2つの地点に設置されることができる。この場合、上記センサの光が入射する地点とセンサ30との距離が分かれば導光板中に光が入射する地点の座標も求めることができる。
【0076】
その原理の一例は図11に図示した通りである。これは各地点からの距離が決まった場合、その距離を満たす軌跡を描き、その軌跡が一致する点を探すのと同じ原理である。即ち、図11に図示したように、センサが位置する2つの地点の座標のうち1つ目の座標が(a1、b1)で2つ目の座標が(a2、b2)で、入射地点(u、v)から1つ目の座標と2つ目の座標を繋ぐ線に下ろした垂線の足の座標を(l、m)とし、1つ目の座標と入射地点間の距離がd1、2つ目の座標と入射地点間の距離がd2である場合を仮定すると、d1、d2、a1、b1、a2、b2、l、mの間には下記数2が成立する。
【0077】
【数2】
【0078】
上記数2は、2つの直角三角形の共通の辺であるcの長さが一致するということから導出されたものである。上記数2をまとめると下記式3を導出することができる。
【0079】
【数3】
【0080】
また、座標(l、m)は1つ目のセンサの座標と2つ目のセンサの座標を繋ぐ直線上に位置するため、これに一次関数の関係式を適用すると下記数4を得ることができる。
【0081】
【数4】
【0082】
また、上記式4を式3に代入してlを纏めることにより下記数5に表示されるlを得ることができ、その結果を上記数4に再び代入することによって下記数6に表示されるmを得ることができる。
【0083】
【数5】
【0084】
【数6】
【0085】
但し、上記数5と数6により得られた座標(l、m)は光が入射される地点ではない上記地点から1つ目のセンサと2つ目のセンサを連結した直線上に下ろした垂線の足の座標であるため、光が入射される地点の座標(u、v)を予め求めた結果から求める必要がある。即ち、上記垂線の足により区分される2つの直角三角形にピタゴラスの定理を代入すると、下記数7と数8を得ることができるが、既に上記数5と数6からlとmの値を求めたため、u、v値も下記の2つの式を連立することで求めることができる。
【0086】
【数7】
【0087】
【数8】
【0088】
従って、2つの地点のセンサから入射される地点までの距離が分かる場合、入射される地点の座標を求めることができる。
【0089】
但し、上記距離を求める方法が問題になるが、本発明者らは導光板に含まれた蛍光体から発する光がセンサに感知される強度は、距離が増加しながら減少するようになるが、これを回帰分析した結果、強度と距離との間には良好な相関関係が表れることが分かった。
【0090】
特に、いくつかの好ましい実施例において本発明者らは、距離(x)とセンサにおいて感知される光の強度(y、mVと測定される)は下記数9により表現できるということを確認することができ、その係数を適切に選択することにより高い相関度の回帰式が導出できることが分かった。下記数9のような形態だけではなく、指数関数や多項式等多様な形態にその結果を表現し相関係数の高い回帰式を得ることも可能である。また、必ずしも回帰分析された数式だけを用いるのではなく、多くの値をデータベースに入力した後、これを参考に距離を求めることも可能である。但し、この場合にはセンサは光がセンサに入射される角度に影響を受けないように設計されることがより好ましい。光が入射される角度に影響を受けるセンサを用いる場合、光の入射角度による感度補正をする必要がある。
【0091】
【数9】
【0092】
但し、ここでyはセンサの受信強度で、xは距離を示す。
【0093】
添付の図12は、本発明の一実施例において光が入射される地点とセンサとの距離を上記数9のような形態で回帰分析した結果を示したもので、相関度の尺度であるR2が0.994で非常に正確な値を示していることを確認することができる。図12の場合には、a=15647、b=−1.957の関係を有していた。
【0094】
従って、本発明の座標入力方法において距離を測定する過程は、いくつかの地点で光を入射し入射された部分とセンサ間の距離とセンサに到達した光の強度の間の関係を予め求めた後、実際距離を求めるときはセンサにおいて感知される光の強度から実際の距離に関する関係式(またはデータベース)から計算すればよい。
【0095】
即ち、本発明の座標入力方法は、導光板の一地点に光を入射する段階と、上記入射された光により導光板内に含まれた蛍光体が光を発し2以上の地点に付着された光センサに上記光が到達する段階と、光センサが到達した光を感知して到達した光の強度によりそれに相応する信号を出力する段階と、上記出力された信号を予め用意された光の強度−距離との関係を示す回帰式に代入しセンサと光が入射された地点間の距離を各センサ別に求める段階及び上記求められた各センサ別の距離がなす軌跡が一致する地点を探し、その地点の座標を入射された光の座標にする段階を含む。
【0096】
従って、2つのセンサのみを装着しても本発明の導光板を用いた座標入力方法は効果的に達成することができる。但し、数7と数8により求められる座標(u、v)は1つではなく2つであるという点に留意しなければならない。即ち、上記数7と数8の解は、上記条件を満たす座標は2つの地点を連結した線を基準に線対称の関係であることを示している。従って、2つのセンサを装着する場合には、なるべく導光板と同じ辺にセンサを装着することが好ましい。それはセンサを導光板の辺ではない内部に装着するか、または2つの辺に夫々1つのセンサを装着する場合と、上記のような線対称関係により座標値が2つ計算される恐れがあるためである。
【0097】
但し、このとき、2つのセンサが非常に近く装着される場合には座標入力地点とセンサとの距離が若干変わるだけでも計算される座標と実際座標の誤差が非常に大きくなるため、上記2つのセンサは用いる導光板の対角線の長さの1/2以上離隔されて設置されることが好ましい。
【0098】
本発明のさらに他の一側面によると、正確度をより増加させるか、簡単な方法で座標を入力しようとする場合にはセンサを3つ以上設置することもできる。
【0099】
即ち、センサを3つ設置する場合には、3対のセンサの組み合わせがあることができるため、座標値も3つ導出されることができる。理想的には上記3つの座標値が全て一致しなければならないが、若干の誤差がある可能性があるため、これらの値を平均するか、またはそのうち一致する2つの値のみを選択して座標値の算定に用いる方法等を使用することができる。
【0100】
センサを3つ以上設置する場合のさらに他の具現例は、図13に図示したように上記導光板の4つの角のうち4つまたは3つの角にセンサを装着する。このような場合、導光板が普通長方形であるため、1対のセンサからは横座標を、残りの1対のセンサからは縦座標を求めればよい。各対のセンサから横座標と縦座標を求める方法は上記数5または6を用いればよい。即ち、光が入射される地点において各辺(2つの角のセンサを連結すると辺と一致する)に下ろした垂線の足が各地点の横座標または縦座標に該当するためである。
【0101】
このような場合にも上記数7と数8により光が入射される地点の座標を求めることもできる。
【0102】
その上、上記数9を用いて光源が入射される距離の比を求める方式を使用すると光源の明るさの変化、即ち、発生蛍光の明るさの変化による座標計算の誤差を防止または最小化することができる。これを添付した図14を参照して説明すると以下のようである。
【0103】
即ち、光源から入射する地点とセンサとの距離を式9を用いて求め、2つのセンサから入射する地点の距離を夫々d2、d1とするとき、2つの地点の距離の割合d2/d1は下記式10で表現されることができる。
【0104】
【数10】
【0105】
ここで、下小文字1は1つ目のセンサを示すもので、下小文字2は2つ目のセンサを示すものである。
【0106】
2つのセンサ間の距離の割合がd2/d1である関係を満たす点の軌跡は円を表す。従って、2つのセンサが存在し2つのセンサから光が入射する地点までの距離の割合が分かる場合(必ず数10の関係に限定することではない)、1つの円の方程式を得ることができる。また、導光板の縁部分に上述の2つのセンサを連結した仮想の直線と垂直または垂直に近い直線上の両端にさらに他のセンサを2つ追加すると、この2つのセンサと蛍光発生位置との距離比を求めて、さらに他の円の方程式を得ることができる。このような場合、2対のセンサから2つの円の方程式を得ることができるが、2つの円の方程式の交点の座標を上記光が入射する地点の座標にすることができる。無論、2つの円の方程式の交点の座標は2つであるため、光が入射する地点の座標が2つ求められる恐れがあるが、センサの位置を上述のように適切に調節する場合には交点のうち1つは導光板の外の領域に存在するようにすることができるため、1つの座標のみを求めることが可能になる。
【0107】
また、上記のように2つのセンサ間の距離の割合を満たす点の軌跡が円を表す現象を用いると、多様な状況においてより正確に座標を得ることができる。即ち、レーザーポインター等のような光源を用いて導光板に座標を入力する場合、大部分の光源は時間に従って電圧が変わる電池によって作動するが、その場合、光源から発生される光の強さも変わるようになる。しかし、上記数9により表示されるセンサの受信強度と光が入射される地点間の距離関係は入射される光の強さが一定であるという仮定の下で行われたもので、入射される光の強さが変更される場合、上記関係式9の常数a、bが異なることができる。しかし、回帰式の全ての常数が意味を失うことではない。式9のaは光源の明るさ、または蛍光物質の蛍光発生の効率により決まる常数で(発生した蛍光の絶対量に対する常数)、bは発生した蛍光が導光板の内部を進行するとき、進行した距離によって消滅する光の程度を意味する。即ち、上記のように光源の明るさが変わって発生する蛍光の明るさが変わったとき、予め求めた回帰式においてa値が変わるようになる。このような場合にも変わらない常数bにより座標を計算することができれば、光源の明るさの変化による座標計算の誤差を防ぐことができる。方法は下記のようである。
【0108】
即ち、光源の明るさの変化、即ち、発生蛍光の明るさの変化による座標計算の誤差が防止または最小化される理由は以下のようである。
【0109】
センサ1とセンサ2に対する発生蛍光による距離(d)と発生電圧(y)の関係は既に上記式10に示した。ここで、導光板の導光特性が均一で2つのセンサの感度が同じである理想的なシステムにおいてはa1=a2、b1=b2になるが、多くの場合、多少の差が発生する。特に、aはセンサと導光板との連結過程において光の損失の程度がセンサ毎に異なることがあるため、差が発生する可能性がより高い。しかし、一旦導光板の製作が完了するとa1とa2は一定の比を有するようになる。従って、a2=k×a1の関係が成立することができ、数10は下記数11のように変形されることができる。
【0110】
【数11】
【0111】
光源の明るさが変わって蛍光発生量が変わると、発生電圧と距離との回帰式が変わるのはこのa値が変わるためである。従って、光源の明るさが変わる環境では、単一センサから蛍光発生地点の絶対距離を計算することが不可能である。しかし、蛍光発生地点と2つのセンサ間の距離比を上記数11のように整理してみると、b1=b2の環境ではaの影響を全く受けないようになる。常数bは導光板における光の損失率に関する常数であるため、量産時に均一な導光板ではほぼ全てのセンサにおいて同じ値を有すると予想され、aの影響を全く受けないことができる。そうでない場合もa、bの値を既に知っているため、十分に補正が可能である。従って、4つの角にセンサを付着し、付着されたセンサのうち隣接する2つのセンサを1対にし、各対のセンサから入力される地点間の距離の割合を上記数11により求めることができるため、その距離の割合が一定の円の軌跡が各対当りに1つずつ得られるので、最小限2つの円の軌跡を得ることができる。その結果、2つの円の軌跡が接する地点の座標を光が入射される地点の座標にすることができる。
【0112】
類似な形態として、各角ではなく、各辺に4つのセンサを装着する方法も考えられる。このような場合、センサは各4辺に1つずつ装着されるようになるため、各対向する辺に夫々1つのセンサが対をなすことができる。各頂点に4つのセンサを装着する方法もあるが、このときは、対角線上にある2つのセンサが対を成すようになる。このとき2対のセンサの距離の割合を先ず求め、上記距離の割合により2つの円の方程式を得ることができる。その結果、上記のような方式で2つの円の交点の座標を得ることにより光が入射される地点の座標を求めることができる。
【0113】
それから、2対のセンサによる距離の割合が一定の円の軌跡と配置されたセンサのうち1つ(如何なるセンサでも構わない)の距離が一致する円の軌跡が会う部分の点の座標を光が入射する部分の座標に決める方法も可能である。
【0114】
また、複数の光センサを統合させる等の方法を用いて入射される光の強度及び角度を認識することができるセンサを用いる場合には必ず端全体にわたって配置する必要はなく、上記センサを2つ以上の箇所に配置することにより座標を決めることができる。即ち、上記センサに入射される角度が分かる場合、上記センサのうち1つから光が入射される方向に延長線を描き、残りのセンサからも同様に延長線を描き、2つの延長線が接する地点を光の座標に設定することができる。
【0115】
上記センサが3つ以上の場合は、全てのセンサにおいて感知された光の入射角度が正確である場合は理論的にはセンサの数に関わらず、1つの地点のみにおいて全ての延長線が接するようになるので問題ないが、センサの入射角の測定値に誤差が発生する場合、各延長線の交点は複数形成されることができる。このような場合、全て延長線の交点座標の中心(上記中心は各横座標の平均値と各縦座標の平均値から求めることができる)を光の座標と設定することができる。さらに他の方法としては、上記センサの正確度が光の入射角により変わることもできるが、このとき、正確度の低い角度で光が入射されるセンサを除いて、残りのセンサから延長線を描いて、これらの交点を座標に設定する方法も考えられ、上述の中心を設定する方法と折衷して用いることもできる。従って、上記センサは3つ以上であることがより好ましい。
【0116】
上述のように本発明は光が導光板を通じて全反射を起こしながら側面に容易に伝達される必要があるが、センサにより感知される程度を高めるためには蛍光体により発生される光の量が同一の場合に上記発生される光のうち、全反射を起こし側面に伝達される光の量が多くなければならない。
【0117】
上記全反射を起こす光の量を増加させるために導光板において最も重要な物性は屈折率、透明度と表面平坦度を挙げることができる。屈折率が高いほど臨界角が減少し外部の光により発生した蛍光の中で導光板の内部に全反射進行する光に転換される効率を高めることができ、表面平坦度が良好でなければ上記導光板をなす層のうち最外郭層と他の媒質層との界面において全反射が容易に起こらず、また、内部の透明度が確保されないと全反射された光が進行するときの損失を最小化することができない。
【0118】
上記適切な臨界角を得るための上記導光板を成す各層(透明基層、透明フィルム、コーティング層等)の屈折率は1.3以上が好ましく、容易に材料を確保するために、そしてより良好な臨界角を得るためには1.5以上であることがより好ましい。また、表面粗度がRa=100nm以下にならないと全反射が円滑に起こらず、全光線の透過率が80%以上でないと側面センサが感知するのに容易な量の光が端のセンサ部まで伝達されない。また、この導光板が他の光学層、例えば、偏光板またはPDP filterのような光学フィルムや、PDP moduleのようなディスプレイ表面に粘着剤や接着剤等により直接付着される形態で用いられる場合には、このような光学層またはディスプレイの表面層の中では導光板の機能を阻害する材料がある場合、導光板に比べて屈折率が0.05以上低い低屈折率コーティング層または低屈折率フィルム層を上記導光板と上記ディスプレイ表面の間に位置するように導光板の外側に置き、全反射が容易に起こるようにしなければならない。上記低屈折率コーティング層は粘着剤や接着剤も含む概念である。若し、上記光学層またはこれらと導光板の最外郭層の間に位置する粘着剤や接着剤層の屈折率が導光板に比べて0.05以上低い場合には特別に設置しなくてもよい。このとき、上記屈折率が0.05以上低い低屈折率コーティング層は内部が多孔質または空洞の中空シリカ微粒子、またはフッ素系樹脂を用いるか、CaF2、MgF2、NaAlF4、SiO2、ThF4、ZrO2、Nd2O3、SnO2、TiO2、CeO2、ZnS、In2O3等の誘電体をドライ及びウェットコーティングして形成することができる。または導光板用透明基材の屈折率が十分に高い場合(例えば、透明基材の外側に存在するクラッドの役割をする層より屈折率が0.05以上高い場合)にはガラス、ポリオレフィン、オレフィンコーポリマー、アクリル、ポリビニル、ポリウレタン、ポリアセタルとエポキシレジンを含むエーテルポリマー、シリコン等屈折率が1.5内外の一般樹脂を用いることも可能である。
【0119】
また、上記導光板を成す層のうち透明基層はhazeが10%以下で、用いる蛍光物質の吸収発光波長領域における透過率が80%以上の素材であれば無機物か有機物に関わらず全て使用できる。
【0120】
このとき、上記透明基層としては、様々な材質のものを用いることができるが、その一部を例に挙げると、ガラス、ポリオレフィン、オレフィンコーポリマー、アクリル、ポリビニル、ポリウレタン、ポリアセタルとエポキシレジンを含むエーテルポリマー、PCを含むポリエステル、ポリアミド、ポリサルフォン、シリコンのうちから選ばれた材質からなることがより好ましい。
【0121】
本発明において言及する透明基層は、記載の便宜のために透明基層という用語を用い、上記透明基層には厚い板形状の透明基層のみではなく薄いフィルム形態の透明基層も全て含まれることができることに留意する必要がある。
【0122】
また、図15に図示したように本発明の蛍光体50は透明基層60の内部にドーピングされるか(図15(a))、透明基層60の表面にコーティングされた形態61(図15(b))で導光板に含まれることができる。
【0123】
上記蛍光体をコーティングする場合には、上記蛍光体はバインダーに混合されてから透明基層表面にウェットでコーティングされる方式によりコーティングされることが最も好ましく、上記蛍光体を透明基層の内部にドーピングさせる場合には導光板原料と上記蛍光体を混合して射出またはキャスティングして製造することが好ましい。
【0124】
そして、本発明の蛍光体はポインター等の光排出装置において放出される光を吸収して発光することができる材質であることが好ましい。光排出装置から放出される光が操作者が調節できるように可視光線領域の光が用いられるという点を勘案すると、可視光線領域の光に対して上記蛍光体が反応できるようにすることも好ましいが、可視光線領域の光に対して反応する蛍光体を用いる場合、可視光線の透過率が低くなるため、可視光線に対しては透明で赤外線等の可視光線領域の外の光に対して反応可能であることが最も好ましい。
【0125】
また、上記蛍光体は、導光板に含まれたとき導光板のhazeが10%以下になるようにすることが好ましい。
【0126】
上記の条件を備えた蛍光体としてはcyanine、perylene、anthraquinone、xanthene系染料等を挙げることができる。
【0127】
上記本発明の導光板を含む非接触式座標入力システムの概略的な概念を図16に図示した。
【0128】
図面で分かるように本発明のシステムは上述の本発明の導光板60、上記導光板の縦の端のうち1つまたは2つと横の端のうち1つまたは2つにおいて受光部が上記導光板の端に向かうように配置された複数の光センサ30、40、上記光センサ30、40に連結されて必要な座標を計算しディスプレイ装置90またはこれと連結されたコンピュータシステム80にその座標を伝達する演算部70からなっている。
【0129】
上記演算部から光排出装置から放出された光の位置座標の伝達を受けたコンピュータシステムはディスプレイ装置にマークなどのような特定標識で上記光の位置を表示することもできる。
【0130】
また、本発明の導光板は、ディスプレイ装置の種類によってPDPフィルター、LCD偏光板、CRTのブラウン管表面、LED装置の表面、projection用screenまたはFED装置の表面に付着されるか、ディスプレイパネルと空気層を有してディスプレイケースに含まれるように別途の板形態でディスプレイ装置の前面に装着されるか、防護眼鏡等の形状で上記本発明の非接触式座標入力システムに含まれることができる。
【0131】
上記のような有利な本発明の座標入力方法を用いたとき、光源としては様々な光源に適用することがあるが、可視光線を用いる場合にはノイズが影響を及ぼすことがあるため、赤外線領域の光を用いることがより好ましい。従って、本発明の座標入力システムに含まれる光排出装置としては紫外線、一般可視光線または赤外線のうち選ばれた1種以上を放出させることができる光排出装置を用いることが好ましい。また、遠くまで広がらず進行する性質を有するレーザー形態の光源を用いることがより効率的であると予想される。
【0132】
また、蛍光導光板に用いた蛍光物質の吸収波長帯の光が本発明システムの駆動光源のみに存在すれば問題ないが、太陽光や蛍光灯、白熱灯等に本発明において用いる光と同じ波長を有する光が存在し、このような光が蛍光導光板内の蛍光物質を励起させて蛍光を発するようにしセンサにもノイズとして到達する恐れがある。センサに到達するこのようなノイズを除去するために本発明の駆動光源は特定形式で点滅することが好ましい。即ち、光源が消えているとき、センサに到達する光の量を基準に光源が付けられるときに発生する蛍光によって増加する受光量を計算しノイズを排除し位置計算をすることができる。
【0133】
その上、導光板とセンサの間には蛍光体から排出される光以外の波長の光は吸収または反射させる形態のフィルターを付着させることがより好ましい。上記蛍光体から排出される光以外の波長の光がセンサの受光部に到達する場合センサの感度を低下させるノイズとして作用することができるためである。上記フィルターは用いる蛍光体の種類とそれから放出される光の波長が分かる場合 上記波長帯域以外の光を吸収する性質を有する染料等を含む形態で用いることができるもので、本発明が属する技術分野において通常の知識を有するものであれば、如何なる者でも容易に応用して使用することができる。
【0134】
従って、本発明の導光板を用いる場合には、ポインター等のような光排出装置から排出され導光板に到達した光が導光板に含まれた蛍光体を発光させるようになり、上記蛍光体から発散された光は発光された蛍光体を中心に放射状で放出され上記放射状で放出された光のうち一部は導光板内で全反射を起こしながら導光板の広さの全方向に伝達され導光板の側面の端に位置した複数の光センサに入射するようになるが、上記光センサのうち最も多い光が入射したセンサの座標をポインター等のような光排出装置から放出された光の座標と決めるか、2つの対を成すセンサと蛍光発生位置との距離比を計算して座標を決めるか、または2つ以上のセンサと蛍光発生位置との距離を計算して座標を決めることができる。
【0135】
以下、下記の実施例を通して本発明をより詳細に説明する。但し、下記実施例は本発明を例示するためのもので、本発明の権利範囲を限定するためのものではない。本発明の権利範囲は特許請求の範囲に記載の事項と、これにより合理的に解釈される事項により決まる。
【0136】
(実施例)
<導光板製作の実施例>
実験準備
センサ(Photodiode)の準備
導光板から発生した蛍光を感知するための感光センサとしてパーキンエルマー(Perkin Elmer)社のVTS3080フォトダイオードを用いた。用いられたセンサの感光領域は2cm×2cmであった。
【0137】
光源(Laser)の準備
蛍光を発生させる光源としてLanics社のLM−8520MDという赤外線レーザー(IR laser)を用いた。用いられたレーザーの光出力(Optical power)は10mWで、発光波長は860nmであった。
【0138】
増幅器の準備
フォトダイオードは光を受けると光の強度に比例し電流が発生する。しかし発生電流の量が非常に少ないため正確に測定することが簡単ではなく、一般的にオペレーションアンプ(Operation Amp)を用いて電圧に変換して増幅した値を用いる。本実験に用いた増幅回路の概念図は図17に図示した通りである。
【0139】
オペレーションアンプとしてはオンセミコンダクター(On Semiconductor)社のLM2904Mを用い、このとき、入力電圧はVCC+10V、VEE−10Vにした。RFには1MΩの抵抗を用い、生成された電流(I)の106倍のサイズに増幅された電圧(VOUT)が生成されるようにした。このようにして発生した電圧をテスター機を通じて確認することができた。
【0140】
蛍光導光板の製作
実施例1−透明基層の表面に蛍光体がコーティングされた形態
吸収波長が約853nm領域の日本化薬(Nippon Kayaku)社のシアニン系染料のPDC−460(S)3.6mgを総研化学(Soken)社のアクリル系バインダー溶液(binder solution)のGS−1000(30wt%、溶剤はMEK)10gに溶解させて東洋紡(Toyobo)社の100μm厚さの光学用PETフィルムのA4300に乾燥後、厚さが約2μmになるようにコーティングした。有効コーティング面積は約25cm×30cmであった。コーティングしたフィルムの透過特性は853nmで約78%で、可視光線領域の平均透過率は90.6%であった。
【0141】
実施例2−透明基層の内部にドーピングされた形態
吸収波長が約853nm領域の日本化薬社のシアニン系染料のPDC−460(S)3.6mgを総研化学社のアクリル系バインダー溶液(30wt%、溶剤はMEK)100gに溶解させて離型処理されたガラス板上に乾燥後、厚さが約20μmになるようにコーティング後、ガラス板から剥離した。有効コーティング面積は約25cm×30cmであった。コーティングしたフィルムの透過特性は853nmで約82%で、可視光線領域の平均透過率は91.8%であった。
【0142】
比較例1
上記実施例1と比較するために、上記実施例1において基材として用いられた東洋紡社A4300 PETフィルムに染料をコーティングしない形態の導光板を製作した。
【0143】
比較例2
上記実施例2との比較のために、染料をバインダー溶液に溶解させない点を除いては上記実施例2と同じ方式で導光板を製作した。
【0144】
作動性能の確認
上記のような過程で製造された導光板に2cm間隔で横15個、縦11個のセンサを付着した。導光板の中心位置(横14cm、縦10cm地点)にレーザーを照射し、各センサに連結された増幅回路の電圧を記録した。発生電圧は、蛍光発生時の電圧において待機状態における電圧を抜いた値として定義した。
【0145】
横方向のセンサの発生電圧記録値を図18にグラフで示し、縦方向のセンサの発生電圧記録値は図19にグラフで示した。
【0146】
図18と図19において、同じ基材を用いた実施例1と比較例1を比較すると、蛍光体(染料)により多くの光が発生してセンサに到達したことを確認することができる。比較例1は蛍光体を用いなかったにもかかわらず導光板の機能を若干は発揮しているようにみえるが、これは基材内のヘイズによるもので、蛍光体を含ませた実施例1に比べてはその性能に大きな差があることを確認することができた。また、実施例2は比較例2に比べて著しく向上された結果を示し、比較例2によっては光が到達した地点を得ることができないことが分かった。
【0147】
<座標入力方法の確認>
2つ以上の少ない数のセンサのみでも座標入力することができるか否かを検討するために下記のような条件で別途の座標入力実験を行った。実験準備方式は上記の「導光板製作の実施例」に記載したのと同一である。
【0148】
センサ受光強度と距離との関係確認
上記の「導光板製作の実施例」のうち、実施例1と他の条件は同様で、有効コーティング面積のみを25cm×35cmにすることにより上記実施例1の導光板と同じ性能を有する導光板を製造した。
【0149】
実験のために、導光板の端のうち1つに屈折率が1.48のアクリル系粘着剤を用いて導光板の前面にセンサを付着した後、夫々センサから5、10、15、20、25、30、35cmの距離に光を入射しながらセンサの受光部で感知される光の強さをmVで測定し距離と感知される光の強度(受光強度)の相関関係を上記した図12に示した。上述のように、図12には測定したデータによる回帰分析式が示されているが、回帰分析式で相関図の尺度であるR2が0.994で非常に正確な値を示していることが確認できる。図12の場合にはa=15647、b=−1.957の関係を有していた。従って、受光部で感知される光の強さと距離との相関関係を予め求めて回帰分析する場合、以後感知される光の強さによって入射される地点の距離を求めることができることが分かった。
【0150】
座標入力の正確性の確認
吸収波長が約853nm領域の日本化薬(Nippon Kayaku)社のシアニン系染料のPDC−460(S)3.6mgを総研化学(Soken)社のアクリル系バインダー溶液(binder solution)のGS−1000(30wt%、溶剤はMEK)10gに溶解させて東洋紡(Toyobo)社の100μm厚さの光学用PETフィルムであるA4300に乾燥後、厚さが約2μmになるようにコーティングした。PETフィルムの反対側もPETフィルム表面のヘイズ(haze)による蛍光内部反射損失を減らすために総研化学社のアクリル系バインダー溶液であるGS−1000を乾燥した後、厚さが約2μmになるようにコーティングした。コーティングによる有効コーティング面積は約26cm×26cmで、コーティングしたフィルムの透過特性は852nmにおいて約76%で、可視光線領域の平均透過率は91.2%であった。
【0151】
導光板から発生した蛍光を感知するための感光センサとしてPerkinElmer社のVTS3080 photodiodeを用いた。photodiodeを保護するためのエポキシモールディングなしにphotodiodeが直に露出される形態のphotodiodeである。このようなphotodiodeを用いた理由は導光板とphotodiodeの受光面との距離を最小化して受光効率を高めるためである。センサの受光面積は2cm×2cmである。センサを導光板に付着するために、屈折率が約1.48、厚さ25μmのアクリル系粘着剤を用いた。このとき、粘着剤の形態は直径2cmの円形に裁断した。即ち、導光板とセンサの粘着剤による付着領域はセンサの受光面積と同じ2cm×2cmの正方形ではなく、直径2cmの円形である。このようにした理由は蛍光の進行方向により蛍光に露出されるセンサ部の断面積を均一にし蛍光の進行方向によるセンサの受光面積の差を除去するためである。
【0152】
座標入力のために図20に図示した形態の回路を用いた。図20において分かるように、4つのセンサを導光板の4つの角に付着し、導光板から出力される信号を増幅するための増幅器と増幅された信号を分析するためのオシロスコープを図面に図示した形態で配置した。増幅器としては上述のようなLM2904Mを用い、オシロスコープ(oscilloscope)としては4つのセンサから出力される信号を同時に測定、記録することができる4チャンネルオシロスコープであるTektronicx社のTDS5000Bを用いた。
【0153】
上記製造された導光板の表面に図21に図示された形態の仮想の座標を設定した後、図面に表示した各地点A、B、C、D、Eに上述のレーザー光源を用いて光を入射した。参考までに、付着された4個のセンサ(X1、X2、Y1、Y2と称する)の中心点の座標は(12、12)、(12、−12)、(−12、−12)、(−12、12)であった。
【0154】
各地点に光を入射したとき、付着された各センサに連結された増幅回路から出力される光の強度(電圧、単位V)を下記表1に示した。
【表1】
【0155】
上記表1に記載の結果に基づき、各センサ別に受光強度と距離による関係を上記式9の形態に回帰分析することができ、その結果を下記表2に示した。
【表2】
【0156】
従って、上記表2に記載の回帰分析の結果に基づき、任意の地点に光を入射する場合、対を成すセンサと入射地点の間の距離の割合を計算することができ、これにより2つの対のセンサの間の距離の割合が一定の地点を連結した円を2個求めることができた。上記求められた2つの円が接する地点の座標を求めてから、上記座標のうち導光板の面積内に形成される座標を光が入射される地点の座標にする方式で光が入射される地点の座標を求めることができる。
【0157】
これを確認するために、導光板の表面に予め図22に図示した形態と同じ形態で指定した柄をレーザー光源を用いて描いた。そして、そのときの4つのセンサに連結された増幅回路の電圧信号をoscilloscopeに保存してから、4つの電圧信号を2つのセンサ間距離比の値に変え、最終的にx、y座標値に転換して座標を図22に図示した。図23は21を多少拡大した図である。
【0158】
図22と図23の結果から明白に分かるように、光が入射する地点とそれによる座標入力値が非常に良好に一致していることが分かる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
蛍光体及び1つまたはそれ以上の光学層を含むことを特徴とする非接触式座標入力システム用導光板。
【請求項2】
前記蛍光体は、前記導光板が有する透明基層の表面にコーティングされた形態または前記透明基層の内部にドーピングされた形態で前記導光板に含まれることを特徴とする請求項1に記載の非接触式座標入力システム用導光板。
【請求項3】
前記透明基層はヘイズ(haze)が10%以下で、用いる蛍光物質の吸収発光波長領域における透過率が80%以上であることを特徴とする請求項2に記載の非接触式座標入力システム用導光板。
【請求項4】
前記透明基層はガラス、ポリオレフィン、オレフィンコーポリマー、アクリル、ポリビニル、ポリウレタン、ポリアセタルとエポキシレジンを含むエーテルポリマー、PCを含むポリエステル、ポリアミド、ポリサルフォン、シリコンのうちから選ばれた材質からなることを特徴とする請求項3に記載の非接触式座標入力システム用導光板。
【請求項5】
前記導光板の外側に導光板に含まれた基材のうち最も屈折率が高い基材対比屈折率が0.05以上低い低屈折率層をさらに含むことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の非接触式座標入力システム用導光板。
【請求項6】
前記屈折率が0.05以上低い前記低屈折率層は、内部が多孔質または空洞の中空シリカ微粒子、またはフッ素系樹脂を用いるか、CaF2、MgF2、NaAlF4、SiO2、ThF4、ZrO2、Nd2O3、SnO2、TiO2、CeO2、ZnS、In2O3等の誘電体をドライ及びウェットコーティングして形成されることを特徴とする請求項5に記載の非接触式座標入力システム用導光板。
【請求項7】
前記蛍光体は、導光板に含まれたとき導光板のhazeが10%以下になるようにすることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の非接触式座標入力システム用導光板。
【請求項8】
前記蛍光体はシアニン(cyanine)、ペリレン(perylene)、アントラキノン(anthraquinone)、キサンテン(xanthene)系のうちから選ばれた染料であることを特徴とする請求項7に記載の非接触式座標入力システム用導光板。
【請求項9】
前記導光板に到達した光を受けて蛍光体が発光した光を検知する複数の光センサが、前記導光板の横方向の端のうち1つまたは両方と、縦方向の端のうち1つまたは両方で受光部が前記導光板の端に向かうように前記導光板に付着されていることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の非接触式座標入力システム用導光板。
【請求項10】
光排出装置から放出された光が入射する導光板で、蛍光体及び1つまたはそれ以上の光学層を含む導光板と、
前記導光板の横方向の端のうち1つまたは両方と、縦方向の端のうち1つまたは両方で受光部が前記導光板の端に向かうように前記導光板に付着され、前記導光板に到達した光を受けて蛍光体が発光した光を検知する複数の光センサと、
前記光センサに連結され導光板に到達した光の到達座標を計算し、ディスプレイ装置またはこれと連結されたコンピュータシステムにその座標を伝達する演算部と、
を備えることを特徴とする非接触式座標入力システム。
【請求項11】
前記蛍光体は、前記導光板が有する透明基層の表面にコーティングされた形態または前記透明基層の内部にドーピングされた形態で前記導光板に含まれることを特徴とする請求項10に記載の非接触式座標入力システム。
【請求項12】
前記透明基層はヘイズ(haze)が10%以下で、用いる蛍光物質の吸収発光波長領域における透過率が80%以上であることを特徴とする請求項11に記載の非接触式座標入力システム。
【請求項13】
前記透明基層はガラス、ポリオレフィン、オレフィンコーポリマー、アクリル、ポリビニル、ポリウレタン、ポリアセタルとエポキシレジンを含むエーテルポリマー、PCを含むポリエステル、ポリアミド、ポリサルフォン、シリコンのうちから選ばれた材質からなることを特徴とする請求項12に記載の非接触式座標入力システム。
【請求項14】
前記導光板の外側に導光板に含まれた基材のうち最も屈折率が高い基材対比屈折率が0.05以上低い低屈折率層をさらに含むことを特徴とする請求項10乃至請求項13のいずれかに記載の非接触式座標入力システム。
【請求項15】
前記屈折率が0.05以上低い前記低屈折率層は、内部が多孔質または空洞の中空シリカ微粒子、またはフッ素系樹脂を用いるか、CaF2、MgF2、NaAlF4、SiO2、ThF4、ZrO2、Nd2O3、SnO2、TiO2、CeO2、ZnS、In2O3等の誘電体をドライ及びウェットコーティングして形成されることを特徴とする請求項14に記載の非接触式座標入力システム。
【請求項16】
前記蛍光体は、導光板に含まれたとき導光板のヘイズ(haze)が10%以下になるようにすることを特徴とする請求項10乃至請求項13のいずれかに記載の非接触式座標入力システム。
【請求項17】
前記蛍光体はシアニン(cyanine)、ペリレン(perylene)、アントラキノン(anthraquinone)、キサンテン(xanthene)系のうちから選ばれた染料であることを特徴とする請求項16に記載の非接触式座標入力システム。
【請求項18】
前記演算部または前記演算部に連結されたコンピュータシステムは、前記光の到達座標をディスプレイ装置に表示することを特徴とする請求項10乃至請求項13のいずれかに記載の非接触式座標入力システム。
【請求項19】
前記導光板がディスプレイ装置の表面に接着されるか、別途の板形態でディスプレイ装置の前面に装着されるか、防護眼鏡等の形態で着脱が可能な形態を有することを特徴とする請求項10乃至請求項13のいずれかに記載の非接触式座標入力システム。
【請求項20】
前記ディスプレイ装置は、LCD、PDP、LED、FED、プロジェクション用スクリーン及びCRTディスプレイ装置から選ばれたことを特徴とする請求項19に記載の非接触式座標入力システム。
【請求項21】
前記導光板は、LCD偏光板、PDPフィルター、プロジェクション用スクリーンまたはLED、FED、CRT装置の表面に接着されたことを特徴とする請求項20に記載の非接触式座標入力システム。
【請求項22】
光排出装置から放出された光が入射する導光板で、蛍光体及び1つまたはそれ以上の光学層を含む導光板と、前記導光板の横方向の端のうち1つまたは両方と、縦方向の端のうち1つまたは両方で受光部が前記導光板の端に向かうように前記導光板に付着され、前記導光板に到達した光を受けて蛍光体が発光した光を検知する複数の光センサと、前記光センサに連結され導光板に到達した光の到達座標を計算し、ディスプレイ装置またはこれと連結されたコンピュータシステムにその座標を伝達する演算部からなる非接触式座標入力システムを用いて導光板に入射された光の位置を非接触式で入力する座標入力方法で、
前記横方向の端に付着されたセンサのうち受光量が最も多いセンサの位置を前記入射した光の横座標に算定し、
前記縦方向の端に付着されたセンサのうち受光量が最も多いセンサの位置を前記入射した光の縦座標に算定することを特徴とする非接触式座標入力方法。
【請求項23】
前記横方向の端または縦方向の端に付着されたセンサのうち受光量が最も多いセンサの位置を算定することにおいて、前記センサの位置と受光量の間の関係を回帰分析して用いることを特徴とする請求項22に記載の非接触式座標入力方法。
【請求項24】
蛍光体及び1つまたはそれ以上の光学層を含むことを特徴とする非接触式座標入力システム用導光板に入射される光の座標を入力するための方法で、
導光板の一地点に光を入射する段階と、
前記入射された光により導光板内に含まれた蛍光体が光を発し2以上の地点に付着された光センサに前記光が到達する段階と、
光センサが到達された光を感知して到達された光の強度によって、それに相応する信号を出力する段階と、
前記出力された信号を予め用意された光の強度−距離との関係を示す回帰式に代入しセンサと光が入射された地点の間の距離を各センサ別に求める段階と、
前記求めた各センサ別の距離または2つのセンサの間の距離の割合が一定の点を成す軌跡が一致する地点を探し、その地点の座標を入射された光の座標にする段階と、
を含むことを特徴とする座標入力方法。
【請求項25】
前記センサが3以上の場合に、2つのセンサ間に軌跡が一致する地点を1つまたはそれ以上探してから、各地点の座標の平均値に該当する地点を各センサ別距離が成す軌跡が一致する地点にすることを特徴とする請求項24に記載の座標入力方法。
【請求項26】
前記蛍光体は、前記導光板が有する透明基層の表面にコーティングされた形態または前記透明基層の内部にドーピングされた形態で前記導光板に含まれることを特徴とする請求項24または請求項25に記載の非接触式座標入力システム用座標入力方法。
【請求項27】
前記透明基層はヘイズ(haze)が10%以下で、用いる蛍光物質の吸収発光波長領域における透過率が80%以上であることを特徴とする請求項26に記載の非接触式座標入力システム用座標入力方法。
【請求項28】
前記導光板の外側に導光板に含まれた基材のうち最も屈折率が高い基材対比屈折率が0.05以上低い低屈折率層をさらに含むことを特徴とする請求項24または請求項25に記載の非接触式座標入力システム用座標入力方法。
【請求項29】
前記蛍光体は 導光板に含まれたとき導光板のhazeが10%以下になるようにすることを特徴とする請求項24または請求項25に記載の非接触式座標入力システム用座標入力方法。
【請求項30】
前記導光板に到達した光を受けて蛍光体が発光した光を検知する2以上の光センサが前記導光板の前面、後面または側面に付着されていることを特徴とする請求項24または請求項25に記載の座標入力方法。
【請求項31】
前記入射する光は点滅する光源により点滅する形態で入射することを特徴とする請求項24または請求項25に記載の座標入力方法。
【請求項32】
前記導光板とセンサの間には蛍光体から放出する光の波長以外の波長を有する光を吸収するフィルターが設けられたことを特徴とする請求項24または請求項25に記載の座標入力方法。
【請求項1】
蛍光体及び1つまたはそれ以上の光学層を含むことを特徴とする非接触式座標入力システム用導光板。
【請求項2】
前記蛍光体は、前記導光板が有する透明基層の表面にコーティングされた形態または前記透明基層の内部にドーピングされた形態で前記導光板に含まれることを特徴とする請求項1に記載の非接触式座標入力システム用導光板。
【請求項3】
前記透明基層はヘイズ(haze)が10%以下で、用いる蛍光物質の吸収発光波長領域における透過率が80%以上であることを特徴とする請求項2に記載の非接触式座標入力システム用導光板。
【請求項4】
前記透明基層はガラス、ポリオレフィン、オレフィンコーポリマー、アクリル、ポリビニル、ポリウレタン、ポリアセタルとエポキシレジンを含むエーテルポリマー、PCを含むポリエステル、ポリアミド、ポリサルフォン、シリコンのうちから選ばれた材質からなることを特徴とする請求項3に記載の非接触式座標入力システム用導光板。
【請求項5】
前記導光板の外側に導光板に含まれた基材のうち最も屈折率が高い基材対比屈折率が0.05以上低い低屈折率層をさらに含むことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の非接触式座標入力システム用導光板。
【請求項6】
前記屈折率が0.05以上低い前記低屈折率層は、内部が多孔質または空洞の中空シリカ微粒子、またはフッ素系樹脂を用いるか、CaF2、MgF2、NaAlF4、SiO2、ThF4、ZrO2、Nd2O3、SnO2、TiO2、CeO2、ZnS、In2O3等の誘電体をドライ及びウェットコーティングして形成されることを特徴とする請求項5に記載の非接触式座標入力システム用導光板。
【請求項7】
前記蛍光体は、導光板に含まれたとき導光板のhazeが10%以下になるようにすることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の非接触式座標入力システム用導光板。
【請求項8】
前記蛍光体はシアニン(cyanine)、ペリレン(perylene)、アントラキノン(anthraquinone)、キサンテン(xanthene)系のうちから選ばれた染料であることを特徴とする請求項7に記載の非接触式座標入力システム用導光板。
【請求項9】
前記導光板に到達した光を受けて蛍光体が発光した光を検知する複数の光センサが、前記導光板の横方向の端のうち1つまたは両方と、縦方向の端のうち1つまたは両方で受光部が前記導光板の端に向かうように前記導光板に付着されていることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の非接触式座標入力システム用導光板。
【請求項10】
光排出装置から放出された光が入射する導光板で、蛍光体及び1つまたはそれ以上の光学層を含む導光板と、
前記導光板の横方向の端のうち1つまたは両方と、縦方向の端のうち1つまたは両方で受光部が前記導光板の端に向かうように前記導光板に付着され、前記導光板に到達した光を受けて蛍光体が発光した光を検知する複数の光センサと、
前記光センサに連結され導光板に到達した光の到達座標を計算し、ディスプレイ装置またはこれと連結されたコンピュータシステムにその座標を伝達する演算部と、
を備えることを特徴とする非接触式座標入力システム。
【請求項11】
前記蛍光体は、前記導光板が有する透明基層の表面にコーティングされた形態または前記透明基層の内部にドーピングされた形態で前記導光板に含まれることを特徴とする請求項10に記載の非接触式座標入力システム。
【請求項12】
前記透明基層はヘイズ(haze)が10%以下で、用いる蛍光物質の吸収発光波長領域における透過率が80%以上であることを特徴とする請求項11に記載の非接触式座標入力システム。
【請求項13】
前記透明基層はガラス、ポリオレフィン、オレフィンコーポリマー、アクリル、ポリビニル、ポリウレタン、ポリアセタルとエポキシレジンを含むエーテルポリマー、PCを含むポリエステル、ポリアミド、ポリサルフォン、シリコンのうちから選ばれた材質からなることを特徴とする請求項12に記載の非接触式座標入力システム。
【請求項14】
前記導光板の外側に導光板に含まれた基材のうち最も屈折率が高い基材対比屈折率が0.05以上低い低屈折率層をさらに含むことを特徴とする請求項10乃至請求項13のいずれかに記載の非接触式座標入力システム。
【請求項15】
前記屈折率が0.05以上低い前記低屈折率層は、内部が多孔質または空洞の中空シリカ微粒子、またはフッ素系樹脂を用いるか、CaF2、MgF2、NaAlF4、SiO2、ThF4、ZrO2、Nd2O3、SnO2、TiO2、CeO2、ZnS、In2O3等の誘電体をドライ及びウェットコーティングして形成されることを特徴とする請求項14に記載の非接触式座標入力システム。
【請求項16】
前記蛍光体は、導光板に含まれたとき導光板のヘイズ(haze)が10%以下になるようにすることを特徴とする請求項10乃至請求項13のいずれかに記載の非接触式座標入力システム。
【請求項17】
前記蛍光体はシアニン(cyanine)、ペリレン(perylene)、アントラキノン(anthraquinone)、キサンテン(xanthene)系のうちから選ばれた染料であることを特徴とする請求項16に記載の非接触式座標入力システム。
【請求項18】
前記演算部または前記演算部に連結されたコンピュータシステムは、前記光の到達座標をディスプレイ装置に表示することを特徴とする請求項10乃至請求項13のいずれかに記載の非接触式座標入力システム。
【請求項19】
前記導光板がディスプレイ装置の表面に接着されるか、別途の板形態でディスプレイ装置の前面に装着されるか、防護眼鏡等の形態で着脱が可能な形態を有することを特徴とする請求項10乃至請求項13のいずれかに記載の非接触式座標入力システム。
【請求項20】
前記ディスプレイ装置は、LCD、PDP、LED、FED、プロジェクション用スクリーン及びCRTディスプレイ装置から選ばれたことを特徴とする請求項19に記載の非接触式座標入力システム。
【請求項21】
前記導光板は、LCD偏光板、PDPフィルター、プロジェクション用スクリーンまたはLED、FED、CRT装置の表面に接着されたことを特徴とする請求項20に記載の非接触式座標入力システム。
【請求項22】
光排出装置から放出された光が入射する導光板で、蛍光体及び1つまたはそれ以上の光学層を含む導光板と、前記導光板の横方向の端のうち1つまたは両方と、縦方向の端のうち1つまたは両方で受光部が前記導光板の端に向かうように前記導光板に付着され、前記導光板に到達した光を受けて蛍光体が発光した光を検知する複数の光センサと、前記光センサに連結され導光板に到達した光の到達座標を計算し、ディスプレイ装置またはこれと連結されたコンピュータシステムにその座標を伝達する演算部からなる非接触式座標入力システムを用いて導光板に入射された光の位置を非接触式で入力する座標入力方法で、
前記横方向の端に付着されたセンサのうち受光量が最も多いセンサの位置を前記入射した光の横座標に算定し、
前記縦方向の端に付着されたセンサのうち受光量が最も多いセンサの位置を前記入射した光の縦座標に算定することを特徴とする非接触式座標入力方法。
【請求項23】
前記横方向の端または縦方向の端に付着されたセンサのうち受光量が最も多いセンサの位置を算定することにおいて、前記センサの位置と受光量の間の関係を回帰分析して用いることを特徴とする請求項22に記載の非接触式座標入力方法。
【請求項24】
蛍光体及び1つまたはそれ以上の光学層を含むことを特徴とする非接触式座標入力システム用導光板に入射される光の座標を入力するための方法で、
導光板の一地点に光を入射する段階と、
前記入射された光により導光板内に含まれた蛍光体が光を発し2以上の地点に付着された光センサに前記光が到達する段階と、
光センサが到達された光を感知して到達された光の強度によって、それに相応する信号を出力する段階と、
前記出力された信号を予め用意された光の強度−距離との関係を示す回帰式に代入しセンサと光が入射された地点の間の距離を各センサ別に求める段階と、
前記求めた各センサ別の距離または2つのセンサの間の距離の割合が一定の点を成す軌跡が一致する地点を探し、その地点の座標を入射された光の座標にする段階と、
を含むことを特徴とする座標入力方法。
【請求項25】
前記センサが3以上の場合に、2つのセンサ間に軌跡が一致する地点を1つまたはそれ以上探してから、各地点の座標の平均値に該当する地点を各センサ別距離が成す軌跡が一致する地点にすることを特徴とする請求項24に記載の座標入力方法。
【請求項26】
前記蛍光体は、前記導光板が有する透明基層の表面にコーティングされた形態または前記透明基層の内部にドーピングされた形態で前記導光板に含まれることを特徴とする請求項24または請求項25に記載の非接触式座標入力システム用座標入力方法。
【請求項27】
前記透明基層はヘイズ(haze)が10%以下で、用いる蛍光物質の吸収発光波長領域における透過率が80%以上であることを特徴とする請求項26に記載の非接触式座標入力システム用座標入力方法。
【請求項28】
前記導光板の外側に導光板に含まれた基材のうち最も屈折率が高い基材対比屈折率が0.05以上低い低屈折率層をさらに含むことを特徴とする請求項24または請求項25に記載の非接触式座標入力システム用座標入力方法。
【請求項29】
前記蛍光体は 導光板に含まれたとき導光板のhazeが10%以下になるようにすることを特徴とする請求項24または請求項25に記載の非接触式座標入力システム用座標入力方法。
【請求項30】
前記導光板に到達した光を受けて蛍光体が発光した光を検知する2以上の光センサが前記導光板の前面、後面または側面に付着されていることを特徴とする請求項24または請求項25に記載の座標入力方法。
【請求項31】
前記入射する光は点滅する光源により点滅する形態で入射することを特徴とする請求項24または請求項25に記載の座標入力方法。
【請求項32】
前記導光板とセンサの間には蛍光体から放出する光の波長以外の波長を有する光を吸収するフィルターが設けられたことを特徴とする請求項24または請求項25に記載の座標入力方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図2】
【図3】
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【図18】
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【図20】
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【図22】
【図23】
【公開番号】特開2012−138105(P2012−138105A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−49612(P2012−49612)
【出願日】平成24年3月6日(2012.3.6)
【分割の表示】特願2009−521707(P2009−521707)の分割
【原出願日】平成19年8月10日(2007.8.10)
【出願人】(504111015)エルジー ケム. エルティーディ. (38)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−49612(P2012−49612)
【出願日】平成24年3月6日(2012.3.6)
【分割の表示】特願2009−521707(P2009−521707)の分割
【原出願日】平成19年8月10日(2007.8.10)
【出願人】(504111015)エルジー ケム. エルティーディ. (38)
【Fターム(参考)】
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