説明

非接触給電用パネル

【課題】配電系統の施工を簡易にできるとともに、負荷への電源供給が容易で安全性の高い非接触給電用パネルを提供する。
【解決手段】非接触給電用パネルPは、構造物の施工面に設置された長尺状の筐体1と、筐体1内の長手方向に沿った複数の位置に設置されて高周波磁界を各々発生する複数の非接触給電部10と、各非接触給電部10が発生する高周波磁界による電磁誘導を利用して非接触給電部10から非接触で受電した電力を直流機器Uへ供給する非接触受電部20を各非接触給電部10に対向する筐体1外面に取り付ける取付手段とを備え、当該取付手段は、非接触給電部10の磁石M1a,M1bと非接触受電部20磁石M2a,M2bとで構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非接触給電用パネルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、住宅やオフィス等の建屋内に配設される配電系統としては、商用電源を供給する交流の配電系統や、商用電源を直流電圧に変換した直流電源を供給する直流の配電系統がある。
【0003】
これらの建屋内に配設された配電系統は、建屋の壁面、天井面、床面を構成する建材の施工面に開口を設け、この開口に設置したコンセントや引掛シーリング等の接触式のアウトレットに、電気機器に直接設けた接触子(導体)または接続線を介して設けた接触子が直接接触することによって、各電気機器へ電源を供給していた(例えば、特許文献1,2参照)。
【特許文献1】特開平2−276412号公報
【特許文献2】特開平7−15835号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記従来の技術では、コンセント等のアウトレットを設置するために、建屋の壁面、天井面、床面に開口を設ける必要があり、さらに設置後の建屋内の見栄えがよくなかった。また、ユーザは、コンセント等のアウトレットに、電気機器の接触子を接続する手間が必要となり、さらには給電のための導体が露出しているので感電の危険があった。
【0005】
本発明は、上記事由に鑑みてなされたものであり、その目的は、配電系統の施工を簡易にできるとともに、負荷への電源供給が容易で安全性の高い非接触給電用パネルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の発明は、構造物の施工面に設置された長尺状の筐体と、筐体内の長手方向に沿った複数の位置に設置されて高周波磁界を各々発生する複数の非接触給電部と、各非接触給電部が発生する高周波磁界による電磁誘導を利用して非接触給電部から非接触で受電した電力を負荷へ供給する非接触受電部を各非接触給電部に対向する筐体外面に取り付ける取付手段とを備えたことを特徴とする。
【0007】
この発明によれば、非接触給電用パネルを設置することによって負荷に非接触で給電できるので、コンセントや引掛シーリング等のような接触式のアウトレットを設ける必要がなく、施工を簡略化できる。また、ユーザは非接触受電部を非接触給電部に対向して取り付けるだけで負荷を動作させることができるので、使い易いものとなり、さらに給電のための導体が露出していないので感電の危険性がない。而して、本実施形態の非接触給電用パネルを用いることで、配電系統の施工を簡易にできるとともに、負荷への電源供給が容易で安全性の高い配電システムを実現できる。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1において、前記取付手段は、前記非接触給電部と非接触受電部との間に前記筐体を介した吸引力を発生させ、当該吸引力によって、筐体外面において非接触給電部に対向する位置に非接触受電部を着脱自在に取り付けることを特徴とする。
【0009】
この発明によれば、ねじや係止手段等の取付手段を別途設ける必要がなく、構成の簡略化、取付作業の簡易化を図ることができる。
【0010】
請求項3の発明は、請求項2において、前記取付手段は、前記非接触給電部と非接触受電部とに各々設けられた磁石間に発生する吸引力によって、筐体外面において非接触給電部に対向する位置に非接触受電部を着脱自在に取り付けることを特徴とする。
【0011】
この発明によれば、ねじや係止手段等の取付手段を別途設ける必要がなく、構成の簡略化、取付作業の簡易化を図ることができる。
【0012】
請求項4の発明は、請求項1乃至3いずれかにおいて、前記非接触給電部は、高周波電流を供給されることで高周波磁界を発生するコイルを具備し、前記各非接触給電部に非接触受電部が対向して配置されたか否かを検出する駆動対象検出手段と、非接触受電部が対向して配置された非接触給電部のコイルに所定の高周波電流を供給して高周波磁界を発生させる駆動手段とを備えることを特徴とする。
【0013】
この発明によれば、全ての非接触給電部を常時駆動するのではなく、非接触受電部が対向して配置されている非接触給電部のみを駆動するので、不必要な電力を消費することなく、省エネルギー化を図ることができる。
【0014】
請求項5の発明は、請求項4において、前記駆動対象検出手段は、前記複数の非接触給電部のうち1つのみを駆動する検出可能期間を、駆動する非接触給電部を順次切り換えて一定時間毎に発生させ、検出可能期間において駆動中の非接触給電部から受電側をみたインピーダンスを測定し、当該測定したインピーダンスに基づいて当該非接触給電部に非接触受電部が対向して配置されているか否かを判断することを特徴とする。
【0015】
この発明によれば、各非接触給電部に非接触受電部が対向して配置されているか否かを確実に検出することができる。
【0016】
請求項6の発明は、請求項1乃至5いずれかにおいて、前記筐体は、筐体内の長手方向に沿った複数の位置に前記非接触給電部の設置位置を予め設定しており、筐体の外面は各設置位置に対応する箇所にLED素子を設け、各LED素子に対応する設置位置に非接触給電部が設置された場合にLED素子を点灯させる点灯手段を備えることを特徴とする。
【0017】
この発明によれば、ユーザは、LED素子が点灯している位置に非接触受電部を取り付ければよく、設置位置が容易にわかる。
【0018】
請求項7の発明は、請求項1乃至5いずれかにおいて、前記筐体は、筐体内の長手方向に沿った複数の位置に前記非接触給電部の設置位置を予め設定しており、筐体の外面は各設置位置に対応する箇所にLED素子を設け、各LED素子は、当該LED素子に対応する設置位置の非接触給電部の給電状態を表示することを特徴とする。
【0019】
この発明によれば、ユーザは、負荷に給電されているか否かを容易に認識できる。
【発明の効果】
【0020】
以上説明したように、本発明では、配電系統の施工を簡易にできるとともに、負荷への電源供給が容易で安全性を得ることができるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0022】
(実施形態1)
本実施形態では、住宅等の建屋H内に非接触給電システムを備え付け、従来のコンセントや引掛シーリング等の接触式のアウトレットに、電気機器(負荷)に直接設けた接触子(導体)または接続線を介して設けた接触子が直接接触することによって行われる電気機器への電力供給の代わりに、非接触で電気機器へ電力供給を行うものである。
【0023】
なお、本実施形態においては、建屋H内の配電系統を直流配電系統で構成しており、最初にこの配電システムの概略について図9を用いて説明する。
【0024】
以下に説明する実施形態は、本発明を適用する建物として戸建て住宅の家屋を想定して説明するが、本発明の技術思想を集合住宅に適用することを妨げるものではない。建屋Hには、図9に示すように、直流電力を出力する直流電力供給部101と、直流電力により駆動される電気機器である直流機器U’とが設けられ、直流電力供給部101の出力端部に接続した直流供給線路Wdcを通して直流機器U’に直流電力が供給される。直流電力供給部101と直流機器U’との間には、直流供給線路Wdcに流れる電流を監視し、異常を検知したときに直流給電線路Wdc上で直流電力供給部101から直流機器U’への給電を制限ないし遮断する直流ブレーカ114が設けられる。
【0025】
直流供給線路Wdcは、直流電力の給電路であるとともに通信路としても兼用されており、高周波の搬送波を用いてデータを伝送する通信信号を直流電圧に重畳することにより直流供給線路Wdcに接続された機器間での通信を可能にしている。この技術は、交流電力を供給する電力線において交流電圧に通信信号を重畳させる電力線搬送技術と類似した技術である。
【0026】
直流供給線路Wdcは、直流電力供給部101を介して宅内サーバ116に接続される。宅内サーバ116は、宅内の通信網(以下、「宅内網」という)を構築する主装置であり、宅内網において直流機器U’が構築するサブシステムなどと通信を行う。
【0027】
図示例では、サブシステムとして、パーソナルコンピュータ、無線アクセスポイント、ルータ、IP電話機のような情報系の直流機器U’からなる情報機器システムK101、照明器具のような照明系の直流機器U’からなる照明システムK102,K105、来客対応や侵入者の監視などを行う直流機器U’からなるインターホンシステムK103、火災感知器のような警報系の直流機器U’からなる住警器システムK104などがある。各サブシステムは、自立分散システムを構成しており、サブシステム単独でも動作が可能になっている。
【0028】
上述した直流ブレーカ114は、サブシステムに関連付けて設けられており、図示例では、情報機器システムK101、照明システムK102およびインターホンシステムK103、住警器システムK104、照明システムK105に関連付けて4個の直流ブレーカ114を設けている。1台の直流ブレーカ114に複数個のサブシステムを関連付ける場合には、サブシステムごとに直流供給線路Wdcの系統を分割する接続ボックス121が設けられる。図示例においては、照明システムK102とインターホンシステムK103との間に接続ボックス121が設けられている。
【0029】
情報機器システムK101としては、壁コンセントあるいは床コンセントの形態で建屋Hに先行配置(建屋Hの建築時に施工)される直流コンセント131に接続される直流機器U’からなる情報機器システムK101が設けられる。
【0030】
照明システムK102、K105としては、建屋Hに先行配置される照明器具(直流機器U’)からなる照明システムK102と、天井に先行配置される引掛シーリング132に接続する照明器具(直流機器U’)からなる照明システムK105とが設けられる。引掛シーリング132には、建屋Hの内装施工時に施工業者が照明器具を取り付けるか、または家人自身が照明器具を取り付ける。
【0031】
照明システムK102を構成する直流機器U’である照明器具に対する制御の指示は、赤外線リモコン装置を用いて与えるほか、直流供給線路Wdcに接続されたスイッチ141から通信信号を用いて与えることができる。すなわち、スイッチ141は直流機器U’とともに通信の機能を有している。また、スイッチ141の操作によらず、宅内網の別の直流機器U’あるいは宅内サーバ116から通信信号により制御の指示がなされることもある。照明器具への指示には、点灯、消灯、調光、点滅点灯などがある。
【0032】
上述した直流コンセント131、引掛シーリング132には、任意の直流機器U’を接続することができ、接続された直流機器U’に直流電力を出力するから、以下では直流コンセント131、引掛シーリング132を区別する必要がない場合には「直流アウトレット」と呼ぶ。
【0033】
これらの直流アウトレットは、直流機器U’に直接設けた接触子(図示しないプラグの栓刃や導体片等)または接続線を介して設けた接触子が差し込まれる差込式の接続口が器体に開口し、接続口に差し込まれた接触子に直接接触する接触子受けが器体に保持された構造を有しており、接触式で給電を行う。直流アウトレットに接続された直流機器U’が通信機能を有する場合には、直流供給線路Wdcを通して通信信号を伝送することが可能になる。直流機器U’だけではなく直流アウトレットにも通信機能が設けられている。
【0034】
宅内サーバ116は、宅内網に接続されるだけではなく、インターネットを構築する広域網NTに接続される接続口を有している。宅内サーバ116が広域網NTに接続されている場合には、広域網NTに接続されたコンピュータサーバであるセンタサーバ200によるサービスを享受することができる。
【0035】
センタサーバ200が提供するサービスには、広域網NTを通して宅内網に接続された機器(主として直流機器U’であるが通信機能を有した他の機器も含む)の監視や制御を可能にするサービスがある。このサービスにより、パーソナルコンピュータ、インターネットTV、移動体電話機などのブラウザ機能を備える通信端末(図示せず)を用いて宅内網に接続された機器の監視や制御が可能になる。
【0036】
宅内サーバ116は、広域網NTに接続されたセンタサーバ200との間の通信と、宅内網に接続された機器との間の通信との両方の機能を備え、宅内網の機器に関する識別情報(ここでは、IPアドレスを用いるものとする)の取得の機能を備える。
【0037】
宅内サーバ116は、センタサーバ200との通信機能を用いることにより、広域網NTに接続された通信端末からセンタサーバ200を通して宅内の機器の監視や制御を可能にする。センタサーバ200は、宅内の機器と広域網NT上の通信端末とを仲介する。
【0038】
通信端末から宅内の機器の監視や制御を行う場合は、監視や制御の要求をセンタサーバ200に記憶させ、宅内の機器は定期的に片方向のポーリング通信を行うことにより、通信端末からの監視や制御の要求を受信する。この動作により、通信端末から宅内の機器の監視や制御が可能になる。
【0039】
また、宅内の機器において火災検知など通信端末に通知すべきイベントが生じたときには、宅内の機器からセンタサーバ200に通知し、センタサーバ200から通信端末に対して電子メールによる通知を行う。
【0040】
宅内サーバ116における宅内網との通信機能のうち重要な機能は、宅内網を構成する機器の検出と管理である。宅内サーバ116では、UPnP(Universal Plug and Play)を応用して宅内網に接続された機器を自動的に検出する。宅内サーバ116はブラウザ機能を有する表示器117を備え、検出した機器の一覧を表示器117に表示する。この表示器117はタッチパネル式もしくは操作部が付設された構成を有し、表示器117の画面に表示された選択肢から所望の内容を選択する操作が可能になっている。したがって、宅内サーバ116の利用者(施工業者あるいは家人)は、表示器117の画面上で機器の監視ないし制御が可能になる。表示器117は宅内サーバ116とは分離して設けてもよい。
【0041】
宅内サーバ116では、機器の接続に関する情報を管理しており、宅内網に接続された機器の種類や機能とアドレスとを把握する。したがって、宅内網の機器を連動動作させることができる。機器の接続に関する情報は上述のように自動的に検出されるが、機器を連動動作させるには、機器自身が保有する属性により自動的に関係付けを行うほか、宅内サーバ116にパーソナルコンピュータのような情報端末を接続し、情報端末のブラウザ機能を利用して機器の関係付けを行うこともできる。
【0042】
機器の連動動作の関係は各機器がそれぞれ保持する。したがって、機器は宅内サーバ116を通すことなく連動動作することができる。各機器について、連動動作の関係付けを行うことにより、たとえば、機器であるスイッチの操作により、機器である照明器具の点灯あるいは消灯の動作を行うことが可能になる。また、連動動作の関係付けはサブシステム内で行うことが多いが、サブシステムを超える関係付けも可能である。
【0043】
ところで、直流電力供給部101は、基本的には、商用電源のように宅外から供給される交流電源ACの電力変換により直流電力を生成する。図示する構成では、交流電源ACは、分電盤110に内器として取り付けられた主幹ブレーカ111を通して、スイッチング電源を含むAC/DCコンバータ112に入力される。AC/DCコンバータ112から出力される直流電力は、協調制御部113を通して各直流ブレーカ114に接続される。
【0044】
直流電力供給部101には、交流電源ACから電力が供給されない期間(たとえば、商用電源ACの停電期間)に備えて二次電池162が設けられている。また、直流電力を生成する太陽電池161や燃料電池163を併用することも可能になっている。交流電源ACから直流電力を生成するAC/DCコンバータ112を備える主電源に対して、太陽電池161や二次電池162や燃料電池163は分散電源になる。なお、図示例において、太陽電池161、二次電池162、燃料電池163は出力電圧を制御する回路部を含み、二次電池162は放電だけではなく充電を制御する回路部も含んでいる。
【0045】
分散電源のうち太陽電池161や燃料電池163は必ずしも設けなくてもよいが、二次電池162は設けるのが望ましい。二次電池162は主電源や他の分散電源により適時充電され、二次電池162の放電は、交流電源ACから電力が供給されない期間だけではなく必要に応じて適時に行われる。二次電池162の充放電や主電源と分散電源との協調は、協調制御部113により行われる。すなわち、協調制御部113は、直流電力供給部101を構成する主電源および分散電源から直流機器U’への電力の配分を制御する直流電力制御部として機能する。なお、太陽電池161、二次電池162、燃料電池163の出力を交流電力に変換し、AC/DCコンバータ112の入力電力として用いる構成を採用してもよい。
【0046】
直流機器U’の駆動電圧は機器に応じた複数種類の電圧から選択されるから、協調制御部113にDC/DCコンバータを設け、主電源および分散電源から得られる直流電圧を必要な電圧に変換するのが望ましい。通常は、1系統のサブシステム(もしくは1台の直流ブレーカ114に接続された直流機器U’)に対して1種類の電圧が供給されるが、1系統のサブシステムに対して3線以上を用いて複数種類の電圧を供給するように構成してもよい。あるいはまた、直流供給線路Wdcを2線式とし、線間に印加する電圧を時間経過に伴って変化させる構成を採用することも可能である。DC/DCコンバータは、直流ブレーカと同様に複数に分散して設けてもよい。
【0047】
上述の構成例では、AC/DCコンバータ112を1個だけ図示しているが、複数個のAC/DCコンバータ112を並設することが可能であり、複数個のAC/DCコンバータ112を設けるときには、負荷の大きさに応じて運転するAC/DCコンバータ112の台数を増減させるのが望ましい。
【0048】
上述したAC/DCコンバータ112、協調制御部113、直流ブレーカ114、太陽電池161、二次電池162、燃料電池163には通信機能が設けられており、主電源および分散電源や直流機器U’を含む負荷の状態に対処する連携動作を行うことを可能にしている。この通信に用いる通信信号は、直流機器U’に用いる通信信号と同様に直流電圧に重畳する形式で伝送する。
【0049】
上述の例では主幹ブレーカ111から出力された交流電力をAC/DCコンバータ112により直流電力に変換するために、AC/DCコンバータ112を分電盤110内に配置しているが、主幹ブレーカ111の出力側において分電盤110内に設けた分岐ブレーカ(図示せず)で交流供給線路を複数系統に分岐し、各系統の交流供給線路にAC/DCコンバータを設けて系統ごとに直流電力に変換する構成を採用してもよい。
【0050】
この場合、建屋Hの各階や各部屋を単位としてAC/DCコンバータを設けることができるから、AC/DCコンバータを系統別に管理することができ、しかも、直流電力を利用する直流機器U’との間の直流供給線路Wdcの距離が小さくなるから、直流供給線路Wdcでの電圧降下による電力損失を低減させることができる。また、主幹ブレーカ111および分岐ブレーカを分電盤110に収納し、AC/DCコンバータ112と協調制御部113と直流ブレーカ114と宅内サーバ116とを分電盤110とは別の盤に収納してもよい。
【0051】
本実施形態では、上記配電システムにおいて電気機器Kへ直流電力を供給する直流配電系統に非接触給電システムを適用しており、図2は建屋H内の部屋R1の概略図を示す。部屋R1は、壁面G1(図2では、3方の壁面のみを示す)、上方に設けた天井面G2、下方に設けた床面G3によって囲まれている。
【0052】
そして、構造物の施工面たる壁面G1、天井面G2、床面G3(まとめて施工面Gと称す)に、本実施形態の非接触給電用パネルPを設置する。非接触給電用パネルPは、図1に示すように、長尺状の樹脂で形成された筐体1を外郭とし、筐体1は、長尺の矩形函状に形成されて前面を開口したベースプレート1aと、長尺の矩形函状に形成されて後面を開口した化粧カバー1bとを備えて、ベースプレート1aの前面開口に化粧カバー1bの後面開口が覆設することで構成される。そして、ベースプレート1aの後面が施工面Gにねじ留め等の取付手段を用いて固定される。
【0053】
筐体1内のベースプレート1a側には、上記直流供給線路Wdcが長手方向に沿って配設され、さらに非接触給電システムに用いる複数の非接触給電部10が所定の間隔で長手方向に沿って配置されており、各非接触給電部10が直流供給線路Wdcに接続することで、上記接触式の直流アウトレットである直流コンセント131や引掛シーリング132等の代わりに、非接触式のアウトレットを構成している。また、非接触給電部10の配置位置は予め決められており、各配置位置に対応するベースプレート1aの側面には2個のLED素子2a,2bが設けられている。
【0054】
この非接触給電部10は、図3に示すように、上記直流供給線路Wdcを介して供給される直流電力を高周波電力に変換する高周波電力発生回路11と、非接触給電部10の通電状態や給電状態を検出して当該検出信号を出力する状態検出回路12と、高周波電力発生回路11から高周波電力を供給されることによって高周波磁界を発生する一次コイルL1とで構成される。
【0055】
高周波電力発生回路11は、内部に具備したスイッチング素子(図示なし)を高周波数でスイッチングさせることで直流電圧を高周波電圧に変換し、当該高周波電圧を一次コイルL1の両端に印加して一次コイルL1に高周波電流を供給し、一次コイルL1は、高周波電流によって高周波磁界を発生する。なお、スイッチング素子を用いて直流電圧を高周波電圧に変換する回路構成については周知であり、説明は省略する。
【0056】
状態検出回路12は、直流供給線路Wdcから高周波電力発生回路11に直流電源が供給されている場合には通電状態であると判断して、LED素子2aを点灯させ、さらに高周波電力発生回路11が一次コイルL1に高周波電流を供給しているときには給電状態であると判断して、LED素子2bを点灯させる。なおLED素子2aは、非接触給電部10への通電確認とともに、非接触給電用パネルPにおける非接触給電部10の設置位置を知らせている。
【0057】
そして、非接触給電用パネルPには直流機器Uが取り付けられ、図2に示すように、壁面G1に設置された非接触給電用パネルP1には、補助照明用のLEDライトU1等が取り付けられ、天井面G2に設置された非接触給電用パネルP2には、主照明用のシーリングライトU2、セキュリティシステムに用いる人感センサU3、無線LANに用いるアクセスポイントU4等が取り付けられ、床面G3に設置された非接触給電用パネルP3には、テレビ装置U5、暖房用のマットヒータU6等が取り付けられる。
【0058】
各直流機器Uは、図3に示すように、非接触給電システムに用いる非接触受電部20と、各直流機器の機能部21(例えば、照明機能、センサ機能、通信機能、LANのハブ機能、暖房機能等)とを備えている。なお、非接触受電部20は、直流機器Uに機能部21と一体に組み込まれた構成(図2中の直流機器U1〜U4)や、非接触受電部20を単体で形成し、機能部21を備える機器本体に電源コードCDを介して動作電源を供給する構成(図2中の直流機器U5,U6)がある。非接触受電部20を単体で形成した場合、機器本体は非接触給電部10の位置に関わらず任意に配置でき、非接触受電部20の着脱も容易に行うことができる。
【0059】
非接触受電部20は、非接触給電用パネルP内の各非接触給電部10に対向して、非接触給電用パネルPの前面に取り付けられる。この非接触受電部20は、非接触給電部10の一次コイルL1に電磁気的に結合して、非接触給電部10が発生した高周波磁界が鎖交すると電磁誘導によって二次電圧が誘起する二次コイルL2と、二次コイルL2の両端に発生した二次電圧を全波整流する整流部DBと、整流部DBの正側の整流出力に直列接続されたインダクタLaと、インダクタLaを介した整流電圧を平滑する平滑コンデンサCaとで構成され、平滑コンデンサCaの両端電圧が機能部21に供給されて、機能部21の動作電源となる。また、平滑コンデンサCaの出力にシリーズレギュレータまたはチョッパ回路を設けて定電圧機能を付加してもよい。さらに、図3に破線で示すように、二次コイルL2に並列に共振コンデンサC2を接続して、一次コイルL1からの受電能力を向上させてもよい。
【0060】
そして、本実施形態では、内蔵した非接触給電部10に対向した非接触給電用パネルPの前面(LED素子2aが配置されている位置)に、非接触受電部20、および非接触受電部20を具備した直流機器Uを着脱自在に取り付ける取付手段を備えている。なお、ユーザは、LED素子2a(非接触給電部10の位置表示および通電確認)が点灯している位置に直流機器Uを取り付ければよく、直流機器Uの設置位置が容易にわかる。
【0061】
この取付手段は、図4(a),(b)に示すように、非接触給電部10に設けた磁石M1a,M1bと、非接触受電部20に設けた磁石M2a,M2bとで構成される。非接触給電部10に設けた磁石M1a,M1bは略L型に各々形成され、一辺がS極、他辺がN極に各々着磁されており、磁石M1a,M1bの互いに異極となる端面同士を対向させて形成される矩形枠の内側に非接触給電部10を取り付ける。また、非接触受電部20に設けた磁石M2a,M2bは略L型に各々形成され、一辺がS極、他辺がN極に各々着磁されており、磁石M2a,M2bの互いに異極となる端面同士を対向させて形成される矩形枠の内側に非接触受電部20を取り付ける。
【0062】
したがって、非接触給電部10と非接触受電部20とが非接触給電用パネルPを介して互いに対向したときに、磁石M1a,M1bと磁石M2a,M2bとの各異極同士が互いに対向すれば、磁石M1a,M1bと磁石M2a,M2bとの間に磁気による吸引力が発生して、非接触受電部20は、非接触給電部10に対向して正しい取付方向で設置される。取り付け方向が例えば90度ずれた場合には、磁石M1a,M1bと磁石M2a,M2bとの各同極同士が対向し、磁石M1a,M1bと磁石M2a,M2bとの間に磁気による反発力が発生して、非接触受電部20を非接触給電部10に対向して設置することはできない。これは、一次コイルL1および二次コイルL2の各コア形状に起因して互いの電磁気的な結合が最大となる取付方向があることから、非接触受電部20を必ず正しい取付方向に設置させるためであり、上述の正しい取付方向とは、一次コイルL1と二次コイルL2との電磁気的な結合度が最も高くなる方向のことである。このときの磁気による吸引力は、非接触受電部20を組み込んだ各直流機器Uや非接触受電部20単体を非接触給電用パネルPの前面に取付可能な力を発生する。
【0063】
したがってユーザは、非接触受電部20を具備した直流機器Uや非接触受電部20単体を非接触給電用パネルPのLED素子2a付近に近付ければ、上記磁気による吸引力によって、非接触受電部20が非接触給電部10に対向して正しく取り付けられる。そして、非接触給電部10が発生する高周波磁界による電磁誘導によって、非接触受電部20は非接触給電部10から非接触で受電し、直流機器Uの機能部21へ動作電源を供給する。
【0064】
また、非接触給電部10内の一次コイルL1と非接触受電部20の二次コイルL2との相対位置および設置環境や、一次コイルL1が発生する高周波磁界の周波数および大きさおよび範囲や、磁石M1a,M1bおよび磁石M2a,M2bからなる取付手段の構成は、規格によって統一されている。すなわち、上記非接触給電部10が発生する高周波磁界は、所定の規格に基づく所定周波数、所定強度の磁界が所定範囲内に発生するものであり、非接触給電用パネルP内に非接触給電部10を組み込む位置も所定の規格によって決められており、また上記非接触受電部20を非接触給電用パネルPに設置する際に、非接触給電部10との相対位置(距離、方向等)も所定の規格で決められている。したがって、非接触受電部20が非接触給電部10から受電する電力は規定の範囲内に収まり、機能部21の構成を簡略化することができる(例えば、動作可能入力範囲を狭く設計できる等)。
【0065】
そして、非接触給電部10は、非接触給電用パネルP内の複数箇所に各々組み込まれており、上記各部の規格化と併せて、ユーザは使用する直流機器Uに応じて適切な位置に直流機器Uまたは非接触受電部20単体を容易に設置することができ、優れた使い勝手を得ることができる。
【0066】
このように、本実施形態では、直流配電システム(図9参照)において、非接触給電用パネルPを部屋R1に設置することによって、部屋R1内の直流機器Uに非接触で給電できるので、直流コンセント131や引掛シーリング132等のような接触式の直流アウトレットを建屋Hに設ける必要がなく、施工を簡略化できる。また、ユーザは使用したい直流機器Uを非接触給電用パネルPに取り付けるだけで直流機器Uを動作させることができるので、使い易いものとなり、さらに給電のための導体が露出していないので感電の危険性がない。而して、本実施形態の非接触給電用パネルPを用いることで、配電系統の施工を簡易にできるとともに、直流機器Uへの電源供給が容易で安全性の高い配電システムを実現している。
【0067】
また、磁気による吸着力を用いて直流機器Uや非接触受電部20単体を、非接触給電用パネルP内の非接触給電部10に対向して取り付けるので、ねじや係止手段等の取付手段を別途設ける必要がなく、構成の簡略化、取付作業の簡易化を図ることができる。
【0068】
また、ねじ、面ファスナ、吸盤、粘着性樹脂、両面テープ段等の取付手段によって、直流機器Uや非接触受電部20単体を非接触給電用パネルPに取り付ける構成でもよく、さらにはこれらの取付手段を上記磁石を用いた取付手段と併用してもよい。
【0069】
次に、本実施形態では、複数の非接触給電部10を1つの非接触給電用パネルP内に配置しているが、全ての非接触給電部10を常時駆動するのではなく、非接触受電部20が対向して配置されている非接触給電部10のみを駆動する構成を備えており、図5を用いて以下説明する。
【0070】
まず、非接触給電用パネルP内の非接触給電部10を1つのブロックBとし(図5では4つの非接触給電部10a〜10dが非接触給電用パネルP内に配置されてブロックBを構成する)、非接触給電部10a〜10dには、リレー31a〜31dの各接点311を介して直流供給線路Wdcから直流電力が各々供給される。そして、リレー31a〜31dの各リレーコイル312は、制御電源Vccとグランドレベルとの間にトランジスタ32a〜32dの各コレクタ−エミッタを介して接続されており、トランジスタ32a〜32dの各ベースはコントローラ40の出力部に接続されている。
【0071】
コントローラ40は、トランジスタ32a〜32dの各ベースへの出力を個別に制御して、トランジスタ32a〜32dを各々オン・オフさせており、オンしたトランジスタ32(32a〜32d)にリレーコイル312を接続したリレー31(31a〜31d)は接点311がオンし、対応する非接触給電部10(10a〜10d)に直流電力が供給され、当該非接触給電部10が駆動される。
【0072】
そして、上記リレー31a〜31d、トランジスタ32a〜32d、コントローラ40で駆動制御部Aを構成し、駆動制御部Aは、非接触給電部10a〜10dに非接触受電部20が対向して配置されたか否かを検出する駆動対象検出手段と、非接触受電部20が対向して配置された非接触給電部10の一次コイルL1に定格電流を供給して高周波磁界を発生させる駆動手段とを形成している。なお、この駆動制御部Aは、非接触給電用パネルP内に収納されている。
【0073】
まず、コントローラ40は、4つのトランジスタ32a〜32dのうち1つのみをオンさせる期間を、通常の給電動作中に一定時間毎に生成することで、4つの非接触給電部10a〜10dのうち1つのみを駆動して他を停止させる検出可能期間を、駆動する非接触給電部10を順次切り換えて一定時間毎に発生させる。すなわち、非接触給電部10aのみが駆動する検出可能期間T1 → 非接触給電部10bのみが駆動する検出可能期間T2 → 非接触給電部10cのみが駆動する検出可能期間T3 → 非接触給電部10dのみが駆動する検出可能期間T4を順次、通常の給電動作中に一定時間毎に発生させ、この動作を繰り返す。
【0074】
そして、コントローラ40の入力部は、非接触給電部10a〜10dの各一次コイルL1の両端間に接続しており(図3参照)、検出可能期間T1〜T4においてコントローラ40は非接触給電部10a〜10dから受電側を見たインピーダンス(以降、受電側インピーダンスと称す)を各々測定する。この受電側インピーダンスは、非接触給電部10に対向して非接触受電部20が設置されていない場合と、非接触給電部10に対向して非接触受電部20が設置された場合とでは互いに異なる値となり、コントローラ40は、受電側インピーダンスが通常値(非接触受電部20が設置されていない場合の受電側インピーダンス)から所定値(非接触受電部20が設置された場合の受電側インピーダンス)に変化した場合に非接触受電部20が設置されたと判断する。非接触受電部20の設置前と設置後の受電側インピーダンスの変化パターンは、一次コイルL1および二次コイルL2の各設定(自己インダクタンス、相互インダクタンス等)や、非接触受電部20および機能部21の回路構成によって、予め所定のパターンで変化するように設計されており、例えば、非接触給電部10に対向して金属板や磁性体等が配置された場合には、受電側インピーダンスの変化パターンが上記所定のパターンとは異なるため、コントローラ40は当該非接触給電部10を駆動しない。
【0075】
このように、コントローラ40は、通常の給電動作中に一定時間毎に発生する検出可能期間T1〜T4において、各非接触給電部10に対向して非接触受電部20が設置されているか否かを順次判断することができ、検出可能期間T1〜T4以外では、非接触受電部20が対向して設置されている全ての非接触給電部10を駆動して、非接触受電部20への通常の給電動作を行う。
【0076】
つまり、コントローラ40は図6に示すフローチャートのように、まず4つのトランジスタ32a〜32dのうちいずれか1つのみをオンさせ(S1)、対応する1つの非接触給電部10を駆動して、当該非接触給電部10からみた受電側インピーダンスを測定し(S2)、当該非接触給電部10に対向して非接触受電部20が設置されているか否かを、測定した受電側インピーダンスに基づいて判断する(S3)。そして、この判断結果に基づいて当該非接触給電部10の出力調整を行い、非接触受電部20が設置されている場合には当該非接触給電部10の駆動状態を継続して定格出力にし、非接触受電部20が設置されていない場合にはステップS1でオンしたトランジスタ32をオフさせて、当該非接触給電部10を駆動停止して出力を零にする(S4)。以降、非接触受電部20が対向して設置されている全ての非接触給電部10を駆動する通常給電を行い(S5)、一定時間の経過後(S6)に4つのトランジスタ32a〜32dのうち次の1つをオンさせて(S7)、上記処理S2〜S7を繰り返す。
【0077】
また、検出可能期間T1〜T4においては、非接触給電部10a〜10dのうち1つのみを駆動し、他の非接触給電部10を停止させるため、他の非接触給電部10に対向して設置された非接触受電部20には、通常の給電動作中に一定時間毎に受電不可能な期間が生じる。そこで、非接触受電部20の平滑コンデンサCaは、この検出可能期間T1〜T4においても機能部21へ給電可能な容量に設定されており、この受電不可能期間における給電動作を補償している。
【0078】
また、状態検出回路12は、高周波電力発生回路11から一次コイルL1に高周波電流を供給しているときには給電状態であると判断して、LED素子2bを点灯させるので、ユーザは、直流機器Uに給電されているか否かを容易に認識できる。
【0079】
このように、全ての非接触給電部10を常時駆動するのではなく、非接触受電部20が対向して配置されている非接触給電部10のみを駆動するので、不必要な電力を消費することなく、省エネルギー化を図ることができる。
【0080】
また、本実施形態の非接触給電用パネルPを建屋H内の風呂場等の水周りや、建屋Hの外部に面した箇所に設置してもよい。
【0081】
(実施形態2)
本実施形態の非接触給電用パネルPは、実施形態1と略同様の構成を備えるが、非接触給電部10に非接触受電部20が対向して配置されたか否かを検出する構成が異なる。なお、実施形態1と同様の構成には同一の符号を付して説明は省略する。
【0082】
本実施形態の非接触給電部10は、直流供給線路Wdcに常時接続しており、高周波電力発生回路11は一次コイルL1に流す高周波電流を、定格電流、待機電流、ゼロに切り換えることができる(定格電流>待機電流>ゼロ)。そして、非接触給電部10に非接触受電部20が対向して配置されていない待機状態では、定格電流より小さい待機電流を一次コイルL1に流しておく。
【0083】
非接触受電部20は、図7に示すように二次コイルL2の両端に接続した変調部22を設けており、非接触給電部10に対向して設置されると一次コイルL1の待機電流によって二次コイルL2の両端に二次電圧が発生し、この二次電圧を整流平滑した電圧を動作電源として、給電要求信号を二次電圧に重畳して変調をかける(例えば、正弦波状の二次電圧の波形を、所定周期毎に変化させる)。すると、非接触給電部10の一次コイルL1の両端には、この二次電圧に重畳された給電要求信号によって誘起された信号が発生し、高周波電力発生回路11は、一次コイルL1の両端電圧からこの誘起された信号を復調することによって、非接触受電部20が対向して配置されていることを検出する。そして、高周波電力発生回路11は、非接触受電部20が対向して配置されていることを検出すると、一次コイルL1に定格電流を流して、非接触受電部20への通常給電を開始する。
【0084】
通常給電中でも、高周波電力発生回路11は、一次コイルL1の両端電圧に対する上記復調処理を継続しており、上記誘起信号が検出されなくなると、非接触受電部20が取り外されたと判断して、一次コイルL1に流す電流を待機電流に切り換える。
【0085】
すなわち、高周波電力発生回路11と変調部22とで、非接触給電部10a〜10dに非接触受電部20が対向して配置されたか否かを検出する駆動対象検出手段を形成し、高周波電力発生回路11で、非接触受電部20が対向して配置された非接触給電部10の一次コイルL1に定格電流を供給して高周波磁界を発生させる駆動手段を形成している。
【0086】
この検出方法では、他の非接触給電部10が非接触受電部20への給電を継続した状態で、非接触受電部20の設置状態を検出することができるので、実施形態1のように、非接触受電部20の平滑コンデンサCaの容量を大きくする必要がない。さらに、コントローラ40を設ける必要がなくなる。
【0087】
また、全ての非接触給電部10が定格電流を一次コイルL1に常時流すのではなく、非接触受電部20が対向して配置されている非接触給電部10のみが定格電流を一次コイルL1に流し、他の非接触受電部は定格電流より小さい待機電流を一次コイルL1に流すので、不要な電力消費を抑制でき、省エネルギー化を図ることができる。
【0088】
(実施形態3)
本実施形態の非接触給電用パネルPは、実施形態1と略同様の構成を備えるが、非接触給電部10に非接触受電部20が対向して配置されたか否かを検出する構成が異なる。なお、実施形態1または2と同様の構成には同一の符号を付して説明は省略する。
【0089】
本実施形態の非接触給電部10は、直流供給線路Wdcに常時接続しており、高周波電力発生回路11は一次コイルL1に流す高周波電流を、定格電流、待機電流、ゼロに切り換えることができる(定格電流>待機電流>ゼロ)。そして、非接触給電部10に非接触受電部20が対向して配置されていない待機状態では、定格電流より小さい待機電流を一次コイルL1に流しておく。
【0090】
さらに図8に示すように、非接触給電部10には無線受信部13を設け、非接触受電部20には無線送信部23を設けており、無線送信部23と無線受信部13との間では、電波による無線信号の授受が行われる。
【0091】
そして、非接触受電部20は、非接触給電部10に対向して設置されると一次コイルL1の待機電流によって二次コイルL2の両端に二次電圧が発生し、この二次電圧を整流平滑した電圧を動作電源として、無線送信部23から給電要求信号を送信する。すると、非接触給電部10の無線受信部13はこの給電要求信号を受信し、高周波電力発生回路11は、この給電要求信号によって非接触受電部20が対向して配置されていることを検出する。そして、高周波電力発生回路11は、非接触受電部20が対向して配置されていることを検出すると、一次コイルL1に定格電流を流して、非接触受電部20への通常給電を開始する。
【0092】
高周波電力発生回路11は、通常給電中に給電要求信号が受信されなくなれば、非接触受電部20が取り外されたと判断して、一次コイルL1に流す電流を待機電流に切り換える。
【0093】
すなわち、高周波電力発生回路11と無線受信部13と無線送信部23とで、非接触給電部10a〜10dに非接触受電部20が対向して配置されたか否かを検出する駆動対象検出手段を形成し、高周波電力発生回路11で、非接触受電部20が対向して配置された非接触給電部10の一次コイルL1に定格電流を供給して高周波磁界を発生させる駆動手段を形成している。
【0094】
この検出方法では、他の非接触給電部10が非接触受電部20への給電を継続した状態で、非接触受電部20の設置状態を検出することができるので、実施形態1のように、非接触受電部20の平滑コンデンサCaの容量を大きくする必要がない。さらに、コントローラ40を設ける必要がなくなる。
【0095】
また、全ての非接触給電部10が定格電流を一次コイルL1に常時流すのではなく、非接触受電部20が対向して配置されている非接触給電部10のみが定格電流を一次コイルL1に流し、他の非接触受電部は定格電流より小さい待機電流を一次コイルL1に流すので、不要な電力消費を抑制でき、省エネルギー化を図ることができる。
【0096】
また、非接触受電部20から非接触給電部10への給電要求信号の授受は有線を介して行われてもよい。
【0097】
なお、上記実施形態1〜3では、図9に示す配電システムにおいて直流配電系統に非接触給電システムを適用しているが、図示しない交流配電系統に各実施形態と同様の非接触給電用パネルを用いた非接触給電システムを適用してもよい。この場合、非接触給電部10の入力段に商用電源を整流する整流手段を設け、非接触受電部20の出力段にインバータ装置等のDC/AC変換装置を設ける。
【図面の簡単な説明】
【0098】
【図1】実施形態1の非接触給電用パネルの構成を示す図である。
【図2】同上の設置状態を示す図である。
【図3】同上の非接触給電用パネルの回路構成の概略を示す図である。
【図4】(a)は同上の非接触給電部が具備する磁石の配置、(b)は非接触受電部が具備する磁石の配置を各々示す図である。
【図5】同上の非接触給電部の駆動制御部の構成を示す図である。
【図6】同上の駆動制御部の動作フローチャートを示す図である。
【図7】実施形態2の非接触給電用パネルの回路構成の概略を示す図である。
【図8】実施形態3の非接触給電用パネルの回路構成の概略を示す図である。
【図9】配電システムの全体構成を示す図である。
【符号の説明】
【0099】
P 非接触給電用パネル
1 筐体
1a ベースプレート
1b 化粧カバー
10 非接触給電部
20 非接触受電部
M1a,M1b 磁石
M2a,M2b 磁石
U 直流機器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造物の施工面に設置された長尺状の筐体と、筐体内の長手方向に沿った複数の位置に設置されて高周波磁界を各々発生する複数の非接触給電部と、各非接触給電部が発生する高周波磁界による電磁誘導を利用して非接触給電部から非接触で受電した電力を負荷へ供給する非接触受電部を各非接触給電部に対向する筐体外面に取り付ける取付手段とを備えたことを特徴とする非接触給電用パネル。
【請求項2】
前記取付手段は、前記非接触給電部と非接触受電部との間に前記筐体を介した吸引力を発生させ、当該吸引力によって、筐体外面において非接触給電部に対向する位置に非接触受電部を着脱自在に取り付けることを特徴とする請求項1記載の非接触給電用パネル。
【請求項3】
前記取付手段は、前記非接触給電部と非接触受電部とに各々設けられた磁石間に発生する吸引力によって、筐体外面において非接触給電部に対向する位置に非接触受電部を着脱自在に取り付けることを特徴とする請求項2記載の非接触給電用パネル。
【請求項4】
前記非接触給電部は、高周波電流を供給されることで高周波磁界を発生するコイルを具備し、
前記各非接触給電部に非接触受電部が対向して配置されたか否かを検出する駆動対象検出手段と、非接触受電部が対向して配置された非接触給電部のコイルに所定の高周波電流を供給して高周波磁界を発生させる駆動手段とを備えることを特徴とする請求項1乃至3いずれか記載の非接触給電用パネル。
【請求項5】
前記駆動対象検出手段は、前記複数の非接触給電部のうち1つのみを駆動する検出可能期間を、駆動する非接触給電部を順次切り換えて一定時間毎に発生させ、検出可能期間において駆動中の非接触給電部から受電側をみたインピーダンスを測定し、当該測定したインピーダンスに基づいて当該非接触給電部に非接触受電部が対向して配置されているか否かを判断することを特徴とする請求項4記載の非接触給電用パネル。
【請求項6】
前記筐体は、筐体内の長手方向に沿った複数の位置に前記非接触給電部の設置位置を予め設定しており、筐体の外面は各設置位置に対応する箇所にLED素子を設け、各LED素子に対応する設置位置に非接触給電部が設置された場合にLED素子を点灯させる点灯手段を備えることを特徴とする請求項1乃至5いずれか記載の非接触給電用パネル。
【請求項7】
前記筐体は、筐体内の長手方向に沿った複数の位置に前記非接触給電部の設置位置を予め設定しており、筐体の外面は各設置位置に対応する箇所にLED素子を設け、各LED素子は、当該LED素子に対応する設置位置の非接触給電部の給電状態を表示することを特徴とする請求項1乃至5いずれか記載の非接触給電用パネル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−159675(P2009−159675A)
【公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−332826(P2007−332826)
【出願日】平成19年12月25日(2007.12.25)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】