説明

非揮発性有機化合物コーティングを適用する方法

所定の揮発性有機化合物(VOC)基準を満たすコーティングを適用するための方法である。本発明の化合物は、コーティング及び可塑剤として機能する。本発明の方法は、少なくとも140°Fの引火点を有する溶剤系を形成するために、アセトンとテルペンアルコールを混合することを包含する。樹脂は、溶剤系中に可溶化され、コーティングを形成する。コーティングは、効果及び乾燥のために基材表面の上に掛けられる。本発明の方法により生成された溶剤系は、洗浄剤としての用途を含む他の用途においても使用され得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明はコーティングの適用に関し、より具体的には、揮発性有機化合物基準を満たすコーティングを適用するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
過去数年間において、揮発性有機化合物(VOC)の使用について関心が集まった。VOCは通常の条件下において著しく蒸発し、大気に入るのに十分な高い蒸気圧を有する有機化合物である。アルデヒド、ケトン及び炭化水素のような炭素を基本とした広範囲の分子がVOCである。
【0003】
いくつかのVOCは、日光の存在下においてオゾンを形成するために空気中の酸化窒素と反応する。オゾンは紫外線を吸収することにより危険な太陽放射への露出から人間、植物、及び動物を保護するため、大気の上層部では有益であるが、大気の下層部においては呼吸困難を引き起こすことにより、健康に対しての害を引き起こす。加えて、下層部の高い濃度のオゾンは、作物及び建物に損害を与え得る。建築物の周囲で見受けられる塗料除去剤や木材防腐剤のような多くのVOCは、それらの高い蒸気圧のためシックビル症候群の原因となる。
【0004】
多くのコーティングは、固体樹脂を可溶性にした溶剤によって作り出される。歴史的には、使用される溶剤は、PMアセトン、メチルエチルケトン、キシレン、トルエン、ブタノール、ニス製造者及び印刷者(VM&P)ナフサ及び他の脂肪族溶剤であって、これらはVOCである。溶剤内の樹脂の可溶化から作り出された製剤は、その後基材上に掛けられ(cast)、溶媒の蒸発によって保護的又は装飾的なフィルムを基材上に作り出すであろう。
【0005】
一般的な人工的なVOCの根源は、コーティング剤に限らず、産業クリーニング及び脱脂製品、光沢剤、接着剤、家庭用化学製品、自動車メンテナンス製品並びに金属仕上げ剤を含むが、これらに限られない。米国環境保護局(EPA)は、VOC規制との関係における溶剤VOC問題のため、産業界に水性コーティング剤への切り替えを強制した。このことは、水性系のための新しい固体樹脂を結果として生じさせたが、前記固体樹脂は溶剤系が示すフィルムの品質又は性能特性を有しない。いくつかの水性製品(ラテックス)の問題は以下の通りである。
弱い粘着力
より低い光沢
より少ない耐久性(溶媒樹脂と同様には消耗しない)
粘性問題
遅い乾燥及び硬化
【0006】
液剤コーティングにおいて使用される最も一般的な樹脂は以下の通りである。
アクリル
エポキシ
ビニル
シロキサン
エポキシ/シロキサン
ポリビニルブチリル(Polyvinyl Butryl)
フェノール
酢酸酪酸セルロース
アスファルト
【0007】
これらのコーティングは、コンクリート、金属、缶コーティング、印刷、産業塗料、紙、ワイヤー、延性金属パイプ、車道等のために使用される。
【0008】
多くのコーティングは、表面を保護したり、装飾的仕上げを施すために使用されている。ほとんど全てのコーティングは、輝きと光沢をもたらす可塑剤を使用するが、多くの可塑剤は人間に対して潜在的に有毒である。毒性の蒸気は時間と共にコーティングから「浸出され」得る。外へ浸出する可塑剤の例は、「新車の臭い」である。その臭いは、自動車部品内のプラスチック材料から生じる可塑剤である。
【0009】
特定の国は、コーティングを含むがこれに限らない人工製品のVOC含有量に関する規制を承認したか、又は承認中である。このように、コーティング及び可塑剤として機能する一方で、所定の揮発性有機化合物基準を満たすコーティングを作り出す方法を提供する必要が存在している。
【0010】
【特許文献1】米国特許番号7,163,979は、「水性コーティング間コーティング組成と前記の使用による多層コーティングフィルム形成方法(WATER BASED INTERCOAT COATING COMPOSITION AND MULTI-LAYER COATING FILM-FORMING METHOD BY USE OF THE SAME)」について、2007年1月16日にシュウイチ・オカザキらに発行された。オカザキらは、脂環式多塩基酸及び/又は脂環式多価アルコール、他の多塩基酸及び他の多価アルコール、架橋剤、並びに水性ウレタン樹脂乳剤を本質的な成分として含む、ポリエステル樹脂を含む水性コーティング間コーティング組成を開示する。
【0011】
【特許文献2】米国特許番号5,425,893は、「光反応性塗料剥離組成及び方法(PHOTOREACTIVE PAINT STRIPPING COMPOSITIONS AND METHOD)」について、1995年6月20日にエドウィン・スティーブンズ(Edwin Stevens)に発行された。スティーブンズは、基材からポリマー物質を取り除く(具体的には硬い及び/又は柔軟な表面から硬化された塗料を取り除く)ために使われる可溶性アルコールと組み合わせて、共役テルペン及び関連するポリエンのような生物分解可能成分を主に使用した、光反応性であり実質的に非毒性で不燃性の安全な組成を開示する。前記組成は、塩化メチレン、フェノール、腐食剤及び焼灼剤、メタノール、トルオール又はアセトンの使用を回避する。スティーブンズの特許による組成は、好適には約49°C(約120°F)より上の引火点を有し、pHは好適には約9より小さい。表面からポリマーコーティングを除去する方法と、前記組成の作成方法も記載されている。
【0012】
【特許文献3】米特許番号7,166,248は、「揮発性有機化合物排出が削減されたアルケニル芳香族ポリマー発泡体及び工程(REDUCED VOC EMISSION ALKENYL AROMATIC POLYMER FOAMS AND PROCESSES)」について、2007年1月23日にゲイリー・エー・フランシス(Gary A. Francis)らに発行された。フランシスらは、少なくとも一つのアルケニル芳香族ポリマー樹脂を溶融させることを含む、アルケニル芳香族ポリマーの発泡体構造を生成する方法を開示する。発泡剤混合物の有効量は、アルケニル芳香族ポリマー中において溶解される。発泡剤混合物は、VOC発泡剤とアセトンを含む。VOC発泡剤のモル百分率による大部分は、n‐ブタン、イソブタン、プロパン及びこれらの組み合わせから選択される。成形品は、アルケニル芳香族ポリマー樹脂、VOC発泡剤及びアセトンを含んで形成される。成形品は、約2.7重量%より少ないVOC発泡剤を含む。成形品は拡張領域に移送され、発泡体構造を生成するように拡張することが可能にされる。発泡体構造は、7ポンド毎立方フィート(lbs/ft3)未満の押出密度と、20グラム毎100平方インチの基礎重量を有する。
【0013】
【特許文献4】米国特許番号7,166,664は、「水性及び非水性コーティング製剤中における導電性ポリマーのためのポリマー溶剤としてのリモネン、ピネン又はその他のテルペン及びそれらのアルコール、アルデヒド及びケトン並びにそれらの使用(LIMONENE, PINENE, OR OTHER TERPENES AND THEIR ALCOHOLS, ALDEHYDES AND KETONES, AS POLYMER SOLVENTS FOR CONDUCTING POLYMERS IN AQUEOUS AND NON-AQUEOUS COATING FORMULATIONS AND THEIR USES)」について、2007年1月23日にニコール・マリー・アンダーソン(Nicole Marie Anderson)に発行された。アンダーソンは、テルペン又はテルペノイドを含む少なくとも一つの非ハロゲン化溶剤と、導電性ポリマー、電気活性ポリマー及び/又は共役ポリマーを含む少なくとも一つのポリマーを含む低VOC及び/又は低毒性コーティング製剤を開示し、ここではポリマーと非ハロゲン化溶剤は水性でない形態にある。他の実施例においては、コーティング製剤は、約0.01重量%から約99.9重量%の少なくとも一つの非ハロゲン化溶剤(テルペン又はテルペノイドを含む)と、約0.01重量%から約90重量%の少なくとも一つのポリマー(導電性ポリマー、共役ポリマー及び電気活性ポリマーを含む)と、約0.001重量%から約90重量%の少なくとも一つの界面活性剤を含み、ここではポリマー、溶剤及び界面活性剤は非水性の発泡体の形態にある。前記特許には、テルペン又はテルペノイド、及び少なくとも一つの共役、電気活性又は導電性ポリマー、共重合体、ブロックポリマー及びこれらの混合物を含む少なくとも一つの非ハロゲン化溶剤を有する水性低VOC及び/又は毒性のコーティング製剤も含まれている。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0014】
(発明の要旨)
本発明により、所定の揮発性有機化合物基準を満たす化合物を適用する方法が提供される。化合物は可塑剤により、コーティングとして機能する。本発明の方法は、樹脂を可溶化してコーティングにするために、アセトン及びテルペンアルコールを樹脂と混合することを包含する。前記コーティングは、乾燥するためにその後基材表面に掛けられる。
【0015】
「テルペンアルコール」の語は、本発明の目的については、それぞれ単環式、二環式、非環式アルコールである化学式C1018Oの化合物を包含するように理解される。α‐テルピネオールは、他のテルペン炭化水素間にα‐テルペンを含むことができる、商業的に利用可能なテルペンアルコールであり、存在する揮発性不純物の量に依存して、180°F〜200°Fの間の引火点を示す。
【0016】
アセトンは、米国環境保護庁(EPA)の1990年大気汚染防止法改正法下において、VOCとしては免除されている。アセトンは−18°C(0°F)の引火点を有し極めて可燃性が高い。テルペンアルコールがアセトン溶媒に加えられるとき、溶媒の引火点は140°Fより上に上昇され、これにより当該溶媒が米国EPA規制に準拠していることになる。
【0017】
本発明の方法のステップを実行することにより形成された化合物は、コーティングとして使用される時、他の溶媒及び水性製品を超えて大きく改善されたフィニアルフィルム特性を有する。ブレンドのテルペンアルコール部分は樹脂中の可塑剤として機能し、より高い光沢があり、より丈夫で、より柔軟で、かつ改善された表面の湿潤と粘性を示すフィルムを生成する。本発明の方法は、他の溶媒が特定の目的のために使用され得るさらなるステップを含み得る。
【0018】
コーティングとして機能するために、基材に化合物を適用する方法を提供することは、本発明の目的である。
【0019】
基材の上に掛ける(cast over)ときに、効果的な可塑剤として働く化合物を適用する方法を提供することは、本発明の別の目的である。
【0020】
基準のVOC規制を満たす化合物を適用する方法を提供することは、本発明のさらなる目的である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
(発明の詳細な説明)
本発明は、所定の揮発性有機化合物基準を満たす化合物を塗布する方法に関する。特に、本発明の方法はコーティング及び可塑剤として作用し、VOCほど危険ではない化合物の用途を提供する。
【0022】
過去において、液剤樹脂はVOCであるPMアセテート、メチルエチルケトン、キシレン、トルエン、ブタノール、ニス製造者及び印刷者(VM&P)ナフサ、並びに他の脂肪族溶媒のような溶媒において商業的に供給された。これらは、現在の米国EPAのVOC規制を満たさない。本発明の方法は、米国EPA規制を満たす化合物を生産する。
【0023】
本発明の方法は、最初に溶媒の引火点が140°F以上になるまで、テルペンアルコールをアセトンに加えることを包含する。生産される溶媒は、次に固体樹脂と混合される。前記樹脂は前記溶媒により可溶性にされて、コーティングとして作用するように基材に適用され得る化合物を形成する。前記化合物は、噴霧、塗布、摩擦、洗浄、浸漬によって基材に適用され得る。これは、前記化合物がコーティングされるべき基材が置かれるタンク内に含まれ得ることを意味する。フィルムは、10〜15分で乾燥して硬化する。本発明の方法は、特定の溶媒和物の用途のために選択された追加の溶媒を使用して実行され得る。
【0024】
テルペンアルコール/アセトン溶媒中に樹脂を溶解させる本発明の方法は、他の方法を超えて大きく改善されたフィニアルフィルム特性を有する化合物を結果として生じさせる。結果として生じる化合物のテルペンアルコール部分は可塑剤として機能し、これはより高い光沢があり、より丈夫で、より柔軟で、かつ改善された表面の湿潤と粘性を示すフィルムを生成する。
【0025】
本発明の方法は、コーティング及び可塑剤として使用され得てVOCを含まない(VOC-safe)化合物を生産する。先行技術の方法を超える本発明の方法の利点は、以下の通りである。
・可塑剤である化合物を生産する。テルペンアルコールは可塑剤(高沸点アルコール)として作用し、アセトン/テルペンアルコールはほとんどの樹脂を可溶化する。
・テルペンアルコールは蒸発を遅延させ、改善された乾燥及び硬化時間を提供する。
・より丈夫なフィルム仕上げを有する化合物を生産する。
・ より高い光沢を有する化合物を生産する。
・コーティングされるべき表面の湿潤を増加させる。
・適用の容易さを可能にする可溶化された樹脂の粘性を改善する。
・基材への浸透を改善する。
・より速い乾燥を提供する。
・全ての適用可能な規制のために非VOCである化合物を生産する。
・高い引火点を有する化合物を生産する。そして、
・溶媒が最初のコーティングを腐食するため、再コーティングを改善する。
【0026】
「テルペンアルコール」の語は、本発明の目的については、それぞれ単環式、二環式及び非環式アルコールである化学式C1018Oの化合物を包含するように理解される。テルペンアルコールは、その構造がいくつかの水酸基官能性をも含むことを除き、テルペン炭化水素に構造的に類似している。テルペンアルコールは、上記と同様に、単環式、二環式及び非環式テルペンの一次、二次又は三次アルコール派生物であり得る。そのような第三級アルコールは、通常にはアルファ、ベータ及びガンマ異性体の混合物として商業的に販売されているテルピネオールを含む。リナロールもまた、商業的に利用可能な第三級テルペンアルコールである。第二級アルコールはボルネオールを含み、第一級テルペンアルコールはゲラニオールを含む。テルペンアルコールは、一般には商業的供給源を通して利用可能である。
【0027】
α‐テルピネオールは、他のテルペン炭化水素間にα‐テルペンを含むことができる、商業的に利用可能なテルペンアルコールであり、存在する揮発性不純物に依存して、180°Fと200°Fの間の引火点を示す。
【0028】
アセトンは、米国環境保護庁の1990年大気汚染防止法改正法の下において、VOCとして免除されているため、テルペンアルコールと混合するのに理想的な溶媒である。テルペンアルコールがアセトンに加えられるとき、溶媒の引火点は140°Fより上に上昇する。これにより、前記溶媒は米国EPA規制に準拠していることになる。
【0029】
本発明の組成は、1〜25重量パーセントのテルペンアルコールと、1.0〜99.0重量パーセントのアセトンを有する混合物を形成することを含み得る。典型的な組合せは、1.0〜99.0重量パーセントのアセトンと、1.0〜25.0重量パーセントのテルペンアルコール、より具体的には、α‐テルピネオールを含み得る。
【0030】
本発明の方法は、「そのままで」実行され得るか、あるいは、例えば環境的により安全な性能の化合物を生産することを含む種々の理由のため、結果として生じる製剤を他の有機溶媒と混合することを含むがこれに限られない追加のステップを含み得る。結果として生じる製剤が他の溶媒とさらに混合される場合には、アセトン/テルペンアルコールのように、溶媒が相対的に高い引火点を有することが望ましい。そのような溶媒は、ケトン、アルコール、芳香族及び脂肪族炭化水素、エステル、エーテル並びにアミンのグループからの化合物を含むが、これらに限られない。使用され得る溶媒の例は、以下のものを含む。
1)エチレングリコール、ジエチレングリコール、249.8°Fの引火点を有する1,3‐ブタンジオールから構成される232°Fの引火点を有する多価アルコール。
2)140°Fの引火点を有する140溶媒、143.6°Fの引火点を有するナフサから構成される脂肪族炭化水素。
3)147.2°Fの引火点を有するアイソパー(isopar)Lから構成される芳香族炭化水素。
4)212°Fの引火点を有する二塩基エステル、269.6°Fの引火点を有するプロピレン炭酸塩から構成されるエステル。
5)引火点204.8°Fのジエチレングリコールモノエチルエステル、145.4°Fの引火点を有するジエチレングリコールジメチルエステル、185°Fの引火点を有するエチレングリコールジブチルエーテルから構成されるエーテル。
6)269°Fの引火点を有するn‐メチルピロリドンから構成されるアミン。
【0031】
上記に名称が挙げられた全ての化学成分は、商業的に利用可能である。以下の例は本発明の特定局面を例示するが、本発明の完全な範囲を制限することを意図しない。
【0032】
(実施例1:アクリルコーティング)
1)少なくとも140°Fの引火点を有する第二の溶媒を形成するために、アセトン(第一の溶媒)にα‐テルピネオールを加える。
2)25重量部分のパラロイド(Paraloid)B‐64と、75重量部分の第二の溶媒を形成するように、第二の溶媒中にパラロイドB‐64を溶解させる。
【0033】
パラロイドB‐64は、郵便番号19106ペンシルバニア州フィラデルフィアのローム・アンド・ハース・カンパニー(Rohm and Haas Company)により生産されている。
【0034】
歴史的には、パラロイドB‐64アクリル樹脂を含む製剤は、通常にはトルエン、キシレン及びPMアセテート中に可溶化されてきた。しかし、これらの溶媒を含む製剤は、米国環境保護局VOC基準を満たさない。
【0035】
パラロイドB‐64がアセトン/α‐テルピネオール溶媒と混合されたとき、これはVOCを示さないが、優れた光沢、より丈夫なフィルム及びより良い粘着性を有し、他の可塑剤の付加を必要としなかった。
【0036】
(実施例2:アクリル/ビニル/酢酸酪酸セルロース汎用透明トップコート)
1)少なくとも140°Fの引火点を有する第二の溶媒を形成するために、α‐テルピネオールをアセトン(第一の溶媒)に加える。
2)32.0重量部分のパラロイドA‐11、65重量部分のビニル共重合体、4重量部分の酢酸酪酸セルロースを形成するために、第二の溶媒中に、以下の混合物を溶解させる。
パラロイドA‐11
ビニル共重合体
酢酸酪酸セルロース
第二の溶媒は、適切な固体又は粘度のために必要とされる。
【0037】
当該化合物は、以下の企業により生産された。
パラロイドA‐11 ‐ 郵便番号19106ペンシルバニア州フィラデルフィアのローム・アンド・ハース・カンパニー
ビニル共重合体 ‐ ダウ・ケミカル・カンパニー(Dow Chemical Co.)
酢酸酪酸セルロース ‐ イーストマン・ケミカル・プロダクツ(Eastman Chemical Products)
【0038】
本発明を介して編成された(formulated)アクリル/ビニル/酢酸酪酸セルロースコーティングは、改善されたVOC溶媒により編成された製剤を超える改善されたフィルム特性を示した。いかなる可塑剤の使用もなしに、光沢のある均一なフィルムが示された。
【0039】
(実施例3:ポリビニルブチラール)
1)少なくとも140°Fの引火点を有する第二の溶媒を形成するために、α‐テルピネオールをアセトン(第一の溶媒)に加える。
2)56.7重量部分の第二の溶媒、3.3重量部分のブトバー(Butvar)B‐76、及び40重量部分デュライト(Durite)P‐97を含む組成を形成するために、第二の溶媒中に以下の混合物を溶解させる。
ブトバーB‐76
デュライトP‐97
【0040】
当該化合物は、以下の企業により生産された。
ブトバーB‐76 ‐ ソリューティア(Solutia)、郵便番号63166ミズーリ州セントルイス
デュライトP‐97 ‐ ボーデン・ケミカル・カンパニー(Borden Chemical Company)
【0041】
ポリビニルブチラール/フェノール樹脂/α‐テルピネオールのブレンドを混合することにより、いかなる可塑剤の使用もなしに即時の(instant)溶液が作成され、優れたコーティングが形成された。乾燥されたコーティングは、トルエン、キシレン、メチルイソブチルケトン及びエタノールから作られた製剤と同一の特性を示した。前記製剤は、同等のフィルム特性を有する非VOCコーティングを示した。
【0042】
(実施例4:シリコーン(Silcone)/シロキサン)
1)少なくとも140°Fの引火点を有する第二の溶媒を形成するために、α‐テルピネオールをアセトン(第一の溶媒)に加える。
2)95重量部分の第二の溶媒と、5重量部分のシルブロック・エル‐オン(Silblock L-ON)を含む組成を形成するために、第二の溶媒中にシルブロック・エル‐オンを溶解させる。
【0043】
シルブロック・エル‐オンは、以前はジーイー・シリコーン(GE Silicone)であったモーメンティブ・カンパニー(Momentive Co.)により生産された。
【0044】
シルブロック・エル‐オンは、溶媒に溶解可能なシロキサンであるアルキル化アルコキシシロキサンであって、本発明の方法により使用された時に、コンクリート用の貫通保護コーティングを示す安定した化合物を形成した。シルブロックは他と違った表面フィルムを形成し、前記表面フィルムは視覚的局面について重要であって、水を基本とした製剤によっては得られない。
【0045】
(実施例5:酢酸酪酸セルロースコーティング)
1)少なくとも140°Fの引火点を有する第二の溶媒を形成するために、α‐テルピネオールをアセトン(第一の溶媒)に加える。
2)10.0重量部分の酢酸酪酸セルロース、15.0重量部分の石油スピリット、及び75.0重量部分の第二の溶媒を形成するために、第二の溶媒中に以下の混合物を溶解させる。
酢酸酪酸セルロース
石油スピリット
アセトン/α‐テルピネオールのブレンド
【0046】
本発明の方法を使用して上記を混合することにより、卓越した柔軟特性を有する非常に高い光沢のフィルムが生産された。塩、紫外線及び屈曲に曝されたフィルムは、いかなるフィルム特性の崩壊も示さなかった。
【0047】
(実施例6:ビニル樹脂コーティングA)
1)少なくとも140°Fの引火点を有する第二の溶媒を形成するために、α‐テルピネオールをアセトン(第一の溶媒)に加える。
2)15.0重量部分の塩化ビニル90%/ビニルアセテートと85.0重量部分の第二の溶媒を含む組成を形成するために、第二の溶媒中に塩化ビニル90%/ビニルアセテート10%を溶解させる。
【0048】
(実施例7:ビニル樹脂コーティングB)
25.0重量部分の塩化ビニル90%/ビニルアセテートと、75.0重量部分の第二の溶媒を含む組成を形成するために、
1)少なくとも140°Fの引火点を有する第二の溶媒を形成するために、α‐テルピネオールをアセトンに加える。
2)第二の溶媒中に、塩化ビニル90%/ビニルアセテート10%を溶解させる。
【0049】
(実施例8:ビニル樹脂コーティングC)
1)少なくとも140°Fの引火点を有する第二の溶媒を形成するために、アセトン(第一の溶媒)にα‐テルピネオールを追加する。
2)20.0重量部分の塩化ビニル81%/ビニルアセテート4%/ヒドロキシアルキルアクリレート15%と、80.0重量部分の第二の溶媒を形成するために、第二の溶媒中に塩化ビニル90%/ビニルアセテート10%/ヒドロキシアルキルアクリレート15%を溶解させる。
【0050】
塩化ビニル、ビニルアセテート及びアクリレート樹脂ブレンドを可溶化するために使用された溶剤は、歴史的にはメチルエチルケトン(MEK)及びトルエンブレンドである。樹脂可溶性溶液を形成するために、トルエン及びメチルエチルケトンは、ビニル樹脂を「湿らせる」必要があった。本発明の組成を使用して混合されたとき、樹脂は直ちに可溶化し、基材へ適用されるとフィルムを形成する。
【0051】
当業者は、本発明の組成による溶剤系が、本発明の方法を介して鋼鉄、アルミニウム及びその他の基材から種々の物質から潤滑油及びその他の混入物質を除去するために使用され得ることを認識するであろう。本発明の化合物は、噴霧、塗布、摩擦、洗浄、浸漬によって基材に適用され得る。清潔にされるべき物質が内部に置かれるタンク内に、溶剤系が含まれ得ることを意味する。用途に依存して、溶剤系の加熱は必要ない場合もあるが、高い引火点のため有用であり得る。溶剤系が混入物質によって濃度が高くなりすぎた場合には、その後当該溶液は処分され得て、あるいは、混入物質が膜ろ過を含むがこれに限られない種々の手段により溶剤系から分離され得る。
【0052】
特定の作業条件及び環境に適合させるために変化される他の変形及び変更は当業者にとって明白であるため、本発明は本開示の目的のために選択された実施例に限られるとは考えられず、本発明の真の精神及び範囲からの逸脱を構成しない全ての変更及び変形に及ぶ。
【0053】
このように本発明を説明したが、「特許証」により保護されることが所望されることは、続いて添付の請求項に提示される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の揮発性有機化合物基準を満たす化合物を適用する(applying)方法であって、
a)アセトンを含む第一の溶剤を供給するステップと、
b)少なくとも140°Fの引火点を有する第二の溶剤を形成するために、前記第一の溶剤とテルペンアルコールを混合するステップと、
c)コーティングを形成するために、前記第二の溶剤中に少なくとも一つの樹脂を溶解させるステップであって、前記樹脂がアクリル、エポキシ、ビニル、シロキサン、エポキシ/シロキサン、ポリビニル、ブチリル(butryl)、フェノール、石油派生物及び酢酸酪酸(butrare)セルロースのグループから選択されているステップと、
d)前記コーティングを基材(substrate)に適用するステップ
を含む方法。
【請求項2】
前記テルペンアルコールがα‐テルピネオールを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
所定の揮発性有機化合物基準を満たす化合物を適用する方法であって、
a)アセトンを含む第一の溶剤を供給するステップと、
b)少なくとも140°Fの引火点を有する第三の溶剤を形成するために、前記第一の溶剤及び第二の溶剤をテルペンアルコールと混合するステップと、
c)コーティング(coating)を形成するために、前記第三の溶剤中に少なくとも一つの樹脂を溶解させるステップであって、前記樹脂がアクリル、エポキシ、ビニル、シロキサン、エポキシ/シロキサン、ポリビニル、ブチリル、フェノール、石油派生物及び酢酸酪酸セルロースのグループから選択されているステップと、
d)前記コーティングを基材に適用するステップ
を含む方法。
【請求項4】
前記テルペンアルコールがα‐テルピネオールを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
所定の揮発性有機化合物基準を満たす化合物を適用する方法であって、
a)下記を混合して溶剤系を形成するステップと、
i)ケトン、アルコール、芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素、エーテル及びエステルのグループから選択された第一の有機溶媒であって、140°Fより低い引火点を有する、第一の有機溶媒
ii)全体の溶剤系の約5〜45体積パーセントである量のテルペンアルコールを含み、ASTM D−93に従って試験されたときに前記溶剤系についての引火点を140°Fより上に増加させるのに十分である、第二の有機溶媒
b)コーティングを形成するために、前記溶剤系中に少なくとも一つの樹脂を溶解させるステップであって、前記樹脂がアクリル、エポキシ、ビニル、シロキサン、エポキシ/シロキサン、ポリビニル、ブチリル、フェノール、石油派生物及び酢酸酪酸セルロースのグループから選択されているステップと、
c)前記コーティングを基材に適用するステップ
を含む方法。
【請求項6】
前記第二の有機溶媒が少なくとも5〜20体積パーセントのα‐テルピネオールを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記溶剤系が140°Fより高い引火点を有するように、前記第一の有機溶媒がアセトンであって、前記第一の有機溶媒が全体の溶剤系の約82重量パーセントの濃度において存在し、前記前記第二の有機溶媒が全体の溶剤系の約18重量パーセントの濃度において存在する、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
所定の揮発性有機化合物基準を満たすコーティングを適用する方法であって、
a)下記を混合して溶剤系を形成するステップと、
i)第一の有機アセトン溶媒
ii)全体の溶剤系の約5〜45体積パーセントである量のテルペンアルコールを含み、ASTM D−93に従って試験されたときに前記溶剤系についての引火点を140°Fより上に増加させるのに十分である、第二の有機溶媒
iii)140°Fより低い引火点を有する、テルペンアルコールではない第三の有機溶媒
b)コーティングを形成するために、前記溶剤系中に少なくとも一つの樹脂を溶解させるステップであって、前記樹脂がアクリル、エポキシ、ビニル、シロキサン、エポキシ/シロキサン、ポリビニル、ブチリル、フェノール、石油派生物及び酢酸酪酸セルロースのグループから選択されているステップと、
c)前記コーティングを基材に適用するステップ
を含む方法。
【請求項9】
前記第二の有機溶媒がα‐テルピネオールを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
所定の揮発性有機化合物基準を満たすコーティングを適用する方法であって、
a)下記を混合して溶剤系を形成するステップと、
i)全体の溶剤系の約42重量パーセントから約95重量パーセントまでの濃度の第一の有機アセトン溶媒
ii)全体の溶剤系の約5〜20体積パーセントである量のテルペンアルコールを含み、ASTM D−93に従って試験されたときに前記溶剤系の引火点を140°Fより上に増加させるのに十分である、第二の有機溶媒
iii)140°Fより低い引火点を有する、ケトン、アルコール、芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素、エーテル及びエステルから構成されるグループから選択された第三の有機溶媒
b)コーティングを形成するために、前記溶剤系中に少なくとも一つの樹脂を溶解させるステップであって、前記樹脂がアクリル、エポキシ、ビニル、シロキサン、エポキシ/シロキサン、ポリビニル、ブチリル、フェノール、石油派生物及び酢酸酪酸セルロースのグループから選択されているステップと、
c)前記コーティングを基材に適用するステップ
を含む方法。
【請求項11】
前記第二の有機溶媒がα‐テルピネオールを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
洗浄剤を適用する方法であって、
a)下記を混合して溶剤系を形成するステップと、
i)洗浄剤の引火点を少なくとも140°Fまで増加させるのに十分である、5〜45重量パーセントのα‐テルピネオール
ii)140°Fより低い引火点を有する、1〜35重量パーセントの第一の有機アセトン溶媒
iii)140°Fより高い引火点を有する、5〜90重量パーセントの第二の有機溶媒
b)噴霧、塗布、摩擦、洗浄及び浸漬のグループから選択された少なくとも一つにより、前記溶剤系を基材に適用するステップ
を含む方法。
【請求項13】
前記第一の溶媒が140°Fより低い引火点を有するケトン、アルコール、芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素、エーテル及びエステルのグループから選択された有機物質を含み、前記第二の有機溶媒が140°Fより高い引火点を有するケトン、アルコール、芳香族炭化水素、エーテル及びエステルのグループから選択された有機物質を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記第二の有機溶媒が140°Fより高い引火点を有するケトン、アルコール、芳香族炭化水素、エーテル及びエステルのグループから選択された有機物質である、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記洗浄剤が140°Fより上の引火点を示す、請求項12に記載の方法。

【公表番号】特表2010−519403(P2010−519403A)
【公表日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−551972(P2009−551972)
【出願日】平成19年2月27日(2007.2.27)
【国際出願番号】PCT/US2007/004953
【国際公開番号】WO2008/105758
【国際公開日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【出願人】(509240457)タークソル・インターナショナル エル.エル.シー. (1)
【Fターム(参考)】