説明

非水電解質二次電池用負極の製造方法、非水電解質二次電池用負極、および非水電解質二次電池

【課題】主として、負極活物質にあらかじめ付与されたリチウム量を非破壊のインライン検査により定量でき、品質の向上と歩留まりの向上とを両立できる非水電解質二次電池用負極の製造方法を提供すること。
【解決手段】負極活物質を含む負極活物質層12bにリチウムを付着および吸蔵させるリチウム付与工程の前後において、負極活物質層12bに対して照射線源41からベータ線を照射して、負極活物質層12bからの後方散乱量を計測し、次いで、リチウム付与工程の前後における後方散乱量の差に基づいて、負極活物質層12bに付着および吸蔵されたリチウム量を定量する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非水電解質二次電池用負極の製造方法と、それを用いた非水電解質二次電池用負極および非水電解質二次電池に関する。さらに詳しくは、本発明は、主に、負極活物質にあらかじめリチウムを付与する方法の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、各種電子機器の駆動用電源として、非水電解質二次電池、とりわけ、リチウムイオン二次電池への期待が高まっている。リチウムイオン二次電池は、高容量で、エネルギー密度が高く、小型化および軽量化が容易である。このため、例えば、携帯電話、携帯情報端末(PDA)、ノート型パーソナルコンピュータ、デジタルカメラ、携帯ゲーム機などの携帯用小型電子機器の電源として汎用されている。また、電気自動車、ハイブリッド自動車などの車載用電源、無停電電源などとしての応用開発も進められている。
【0003】
現在の代表的なリチウムイオン二次電池では、黒鉛などの炭素材料を負極活物質として用いている。また、近年、リチウムイオン二次電池のさらなる高容量化および高出力化が求められており、かかる要求を達成するための負極活物質として、ケイ素、スズなどを含み、リチウムと合金化する合金系負極活物質が注目を集めている。
【0004】
しかし、一般に、負極活物質は、初回の充電で吸蔵したリチウムの一部を放電時に放出しない。放出されないリチウム分は、その後の充放電サイクルに関与しない不可逆容量となり、リチウムイオン二次電池の容量の損失の原因となる。
【0005】
そこで、このような不可逆容量に起因する損失を低減させるため、あらかじめ、負極活物質に対してリチウムを付与する方法が提案されている。負極活物質にリチウムを付与する方法としては、例えば、真空蒸着法や、負極の表面にリチウム金属を直接貼り付ける方法などが挙げられる。
【0006】
そして、負極活物質へのリチウムの付与量は、電池の充放電容量に直接影響を及ぼすことから、付与量の制御が重要になる。また、負極活物質へのリチウムの付与量が少ないと、不可逆容量を低減させる効果が乏しくなり、逆に、リチウムの付与量が多すぎると、製造コストが上昇することから、リチウムを過不足なく付与することが重要である。
【0007】
負極活物質にどの程度のリチウムが付与されているかを検査するには、例えば、リチウム付与工程前の負極と、リチウム付与工程後の負極とを、それぞれ所定のサイズに打抜き、こうして得られたサンプル間の重量差に基づいて、リチウム付与工程で付与されたリチウム量を算出する方法や、リチウム付与工程前の負極と、リチウム付与工程後の負極とを用いて、それぞれモデルセルを作製し、これらの充放電容量からリチウム含有量を算出する方法などが挙げられる。
【0008】
このような検査において、検査精度を向上させるには、製品のサンプル数を多くする必要があるが、この場合、製品の歩留まりが低下する。逆に、サンプル数を少なくすると、検査精度が低下し、製品の品質にばらつきが生じるおそれがある。
また、この検査方法では、負極活物質へのリチウムの付与量を、負極の製造工程の中で計測すること、すなわち、非破壊のインライン検査をすることができない。
【0009】
ところで、特許文献1には、連続した帯状の金属芯体に、電池用活物質粉末を主体とするペースト状練合物を連続して塗着するための塗着装置が記載されており、さらには、乾燥後のペーストに90Srを線源とするβ線を照射し、ペーストを透過した放射線量を計測することで、金属芯体に塗着されたペーストの重量を測定することが記載されている。
【0010】
また、特許文献2には、基板上に形成されたリチウムまたはリチウム合金の薄膜について、リチウムの純度を測定する方法が記載されている。
【特許文献1】特許第3324343号公報
【特許文献2】特開2007−63615号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
特許文献1に記載のようにベータ線の透過線量を計測する方法では、負極集電体、負極活物質層、および負極活物質層に付与されたリチウムの全てを透過させるために、高エネルギーのベータ線源を使用する必要が生じる。しかしながら、高エネルギーのベータ線を照射した場合には、負極を透過した全ベータ線量に対し、負極活物質層中のリチウムによって吸収されるベータ線量が小さくなるため、負極活物質層に付与されたリチウムの量を精度よく定量することができない。
また、特許文献2に記載の方法では、測定に際し、薄膜を破壊することが前提となっている。
【0012】
本発明の目的は、負極活物質層に対してあらかじめ付与されるリチウムの量(以下、これらを「リチウム付与量」という。)を非破壊のインライン検査により定量することができ、品質の向上と歩留まりの向上とを両立させることができる非水電解質二次電池用負極の製造方法を提供することである。
また、本発明の他の目的は、負極活物質の不可逆容量や品質のばらつきが低減された非水電解質二次電池用負極および非水電解質二次電池を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の非水電解質二次電池用負極の製造方法は、負極活物質を含む負極活物質層にリチウムを付着および吸蔵させるリチウム付与工程を含み、上記リチウム付与工程前および上記リチウム付与工程後において、それぞれ、上記負極活物質層に対してベータ線を照射して、上記負極活物質層からの後方散乱量を計測し、次いで、上記リチウム付与工程前と上記リチウム付与工程後との後方散乱量の差に基づいて、上記負極活物質層に付着および吸蔵されたリチウム量を定量することを特徴としている。
【0014】
金属基材上に形成された塗装膜に対してベータ線を照射すると、ほとんどのベータ線が塗装膜を透過して金属基板表面に到達し、金属基板表面から後方散乱される。そして、後方散乱したベータ線は、エネルギーが低くなっているために、塗装膜で吸収されながら、塗装膜表面から放出される。このとき、塗装膜によって吸収されるベータ線の量は、塗装膜の物質量に比例する。それゆえ、塗装膜の成分や密度が均一であるときには、塗装膜表面から後方散乱されるベータ線量を放射線測定機で測定することで、塗装膜の厚みを測定することができる。実際に、ベータ線後方散乱法は、メッキ膜などの膜厚測定に用いられている。
【0015】
一方、非水電解質二次電池用負極は、金属基板としての負極集電体の表面に、負極活物質層と、これに対して付与されたリチウム金属との積層体または混合物を有するものであるため、本来、その膜厚測定にベータ線後方散乱法は用いられない。
しかしながら、本発明者らによる検討の結果、負極活物質層におけるリチウムの状態によらず、すなわち、リチウムが負極活物質層の表面に付着しているか、あるいは、内部に吸蔵されているかにかかわらず、負極活物質層に存在しているリチウム量をベータ線後方散乱法によって計測できることが見出された。具体的に、負極活物質層の不可逆容量を解消させるために必要なリチウム付与量は、厚みに換算して50μm以下の量であって、リチウム付与量が上記範囲内にあるときは、負極活物質層に対するリチウム付与量とベータ線の後方散乱量とが比例する。それゆえ、ベータ線後方散乱法によって、負極活物質層に対するリチウム付与量を定量することができる。
【0016】
上記非水電解質二次電池用負極の製造方法では、負極活物質層に対してあらかじめ付与されるリチウムの量(リチウム付着量)を、負極活物質層を破壊することなく定量することができる。また、負極活物質層からのベータ線の後方散乱量を測定する工程と、負極活物質層に対してリチウムを付与する工程とを、引き続いて実行することができ、インライン検査によるリチウム量の定量が可能となる。
【0017】
すなわち、上記非水電解質二次電池用負極の製造方法によれば、リチウム付着量を非破壊のインライン検査により定量することができる。また、これにより、負極活物質層の品質の向上と、品質のばらつきの低減とを達成することができ、しかも、非破壊の検査で定量されるため、歩留まりの低下を防止することができる。
【0018】
上記非水電解質二次電池用負極の製造方法では、上記負極活物質層の所定領域または負極集電体の表面において上記リチウム量を定量し、次いで、上記負極活物質層の他の領域にリチウムを付与する際に、上記リチウム量の定量結果に基づいて上記他の領域に付与および吸蔵させるリチウム量を調整することが好ましい。
この場合、非水電解質二次電池用負極を製造するライン上において、負極活物質層の所定の領域におけるリチウム量の定量結果を、逐次、負極活物質層の他の領域へのリチウム付与量の調整に反映させることができる。また、このような定量結果のフィードバックによって、負極活物質層の品質をより一層向上させることができる。
【0019】
上記の非水電解質二次電池用負極の製造方法においては、ベータ線の線源が、147Pm、14C、または204Tlであることが好ましい。
上記ベータ線源から照射されるベータ線の強度は、リチウムの含有量を計測する用途において適度である。このため、上記ベータ線源を用いることで、後方散乱量の計量の精度を向上させることができる。
【0020】
本発明の非水電解質二次電池用負極は、負極集電体と、上記負極集電体の表面に形成された負極活物質を含む負極活物質層と、上記負極活物質層に付着および吸蔵されたリチウムと、を備え、上記リチウムが、本発明の非水電解質二次電池用負極の製造方法によって負極活物質層に付着および吸蔵されていることを特徴とする。
上記非水電解質二次電池用負極によれば、負極の製造に本発明の非水電解質二次電池用負極の製造方法が用いられることから、負極活物質の不可逆容量を低減させることができ、さらには、電池の品質のばらつきを低減させることができる。
【0021】
本発明の非水電解質二次電池は、上記本発明に係る非水電解質二次電池用負極と、正極と、上記非水電解質二次電池用負極および正極の間に介在されるセパレータと、非水電解質と、を備えることを特徴とする。
上記非水電解質二次電池によれば、負極の製造に、本発明の非水電解質二次電池用負極の製造方法が用いられることから、負極活物質の不可逆容量を低減させることができ、かつ、電池の品質のばらつきを低減させることができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明の非水電解質二次電池用負極の製造方法によれば、負極活物質層にあらかじめ付与されたリチウム量を非破壊のインライン検査により定量することができる。このため、品質の向上と歩留まりの向上とを両立させることができ、高品質の非水電解質二次電池用負極を低コストで提供することができる。
また、本発明の非水電解質二次電池用負極および非水電解質二次電池によれば、負極活物質の不可逆容量や、電池の品質のばらつきを低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の非水電解質二次電池用負極の製造方法、非水電解質二次電池用負極、および非水電解質二次電池として、リチウムイオン二次電池を例に挙げて詳細に説明する。
【0024】
図1は、リチウムイオン二次電池10の一実施形態を示す概略縦断面図である。
図1を参照して、リチウムイオン二次電池10は、正極11と、負極12と、正極11および負極12の間を隔離するセパレータ13と、正極11と電気的に接続されている正極リード14と、負極12と電気的に接続されている負極リード15と、これらを収容する外装体16と、外装体16を密封するためのガスケット17と、を含んでいる。また、リチウムイオン二次電池10は、正極11と、セパレータ13と、負極12とからなる単セルを1つ備えている。なお、本発明のリチウムイオン二次電池は、上記の構成に限定されるものではなく、例えば、複数の単セルを、各単セル間をセパレータで隔離しながら、重ね合わせることや、正極、負極を帯状に作製し、セパレータで隔離しながら捲回することができる。
【0025】
正極11は、正極集電体11aと、正極活物質層11bと、を有している。
正極集電体11aには、この分野で常用されるものを使用でき、例えば、多孔性導電性基板、無孔の導電性基板などの、リチウムイオン二次電池に用いられる各種の正極集電体を用いることができる。導電性基板の材質としては、ステンレス鋼、チタン、アルミニウム、アルミニウム合金などの金属材料や、導電性樹脂が挙げられる。
【0026】
正極活物質層11bは、正極集電体11aの一方の表面に形成されており、正極活物質を含んでいる。この正極活物質層11bは、正極集電体11aの両面に形成されていてもよい。また、正極活物質層11bは、さらに、導電剤、結着剤などの各種添加剤を含んでもよい。
正極活物質には、リチウムを吸蔵および放出することができる各種の物質を用いることができる。具体的には、リチウム含有複合金属酸化物、オリビン型リン酸リチウムなどが挙げられる。
【0027】
正極活物質層11bは、例えば、正極活物質と、必要に応じて導電剤、結着剤などの添加剤とを、有機溶媒に溶解または分散させ、こうして得られる正極合剤スラリーを正極集電体11aの表面に塗布し、乾燥させ、所定の厚みまで圧延することにより、作製できる。
正極活物質層11bの厚みは、特に限定されず、リチウムイオン二次電池のサイズ、単セルの構成や積層数に応じて、適宜設定することができる。
【0028】
負極12は、負極集電体12aと、負極活物質層12bと、を有している。
負極集電体12aには、例えば、多孔性導電性基板、無孔の導電性基板などの、リチウムイオン二次電池に用いられる各種の負極集電体を用いることができる。導電性基板の材質としては、例えば、ステンレス鋼、ニッケル、銅、銅合金などの金属材料や、導電性樹脂などが挙げられる。
【0029】
負極活物質層12bは、負極集電体12aの一方の表面に形成されており、負極活物質を含んでいる。この負極活物質層12bは、負極集電体12aの両面に形成されていてもよい。また、負極活物質層12bは、さらに、導電剤、結着剤などの各種添加剤を含んでもよい。
【0030】
負極活物質には、リチウムを吸蔵および放出することができる各種の物質を用いることができる。具体的には、炭素材料や、合金系負極活物質などが挙げられる。
合金系負極活物質は、負極電位下において、充電時にリチウムと合金化してリチウムを吸蔵し、かつ、放電時にリチウムを放出する。このような合金系負極活物質としては、特に制限されないが、例えば、ケイ素またはスズを含有する合金系負極活物質などが挙げられる。
【0031】
ケイ素を含有する合金系負極活物質としては、例えば、ケイ素、ケイ素酸化物、ケイ素炭化物、ケイ素窒化物、ケイ素含有合金、これらの固溶体などが挙げられる。これらのうち、ケイ素含有合金としては、例えば、ケイ素と、Fe、Co、Sb、Bi、Pb、Ni、Cu、Zn、Ge、In、Sn、およびTiからなる群より選ばれる1または2以上の元素とを含む合金が挙げられる。また、ケイ素酸化物、ケイ素窒化物、およびケイ素含有合金は、これらに含まれているケイ素の一部が、B、Mg、Ni、Ti、Mo、Co、Ca、Cr、Cu、Fe、Mn、Nb、Ta、V、W、Zn、C、N、およびSnよりなる群から選ばれる1または2以上の元素で置換されていてもよい。
【0032】
スズを含有する合金系負極活物質としては、例えば、スズ、スズ酸化物、スズ窒化物、スズ含有合金、これらの固溶体、SnSiO3、Ni2Sn4、Mg2Snなどが挙げられる。これらのうち、スズ含有合金としては、例えば、Ni−Sn合金、Mg−Sn合金、Fe−Sn合金、Cu−Sn合金、Ti−Sn合金などが挙げられる。
【0033】
負極活物質層12bは、例えば、負極活物質と、必要に応じて導電剤、結着剤などとを有機溶媒に溶解または分散させ、こうして得られる負極合剤スラリーを負極集電体12aの表面に塗布し、乾燥させることにより、作製できる。
また、合金系の負極活物質からなる負極活物質層12bは、例えば、負極集電体12a上にて、気相法により薄膜状に形成することができる。
【0034】
図2は、真空蒸着装置の一例を示す模式図である。この装置は、真空ポンプ21により減圧されたチャンバ20内に、帯状の負極集電体12aを連続的に供給するための巻出しロール22と、負極集電体12を、その表面が一対の蒸着ソース23a、23bのそれぞれと対向するように走行させる一対の成膜ロール24a、24bと、負極集電体12aを巻き取るための巻取りロール25とを備えている。
【0035】
一方の成膜ロール24aに搬送された負極集電体12aの一方側表面には、一対のマスク26aで区画される領域において、一方の蒸着ソース23aから供給された負極活物質が蒸着し、負極活物質層(図示せず)を形成する。さらに、他方の成膜ロール24bに搬送された負極集電体12aの他方側表面には、一対のマスク26bで区画される領域において、他方の蒸着ソース23bから供給された負極活物質が蒸着し、負極活物質層(図示せず)を形成する。こうして、負極集電体12aの両面に、負極活物質層が形成される。
【0036】
図2に示す真空蒸着装置によって合金系負極活物質層を形成する場合において、一対の蒸着ソース23a、23bは、いずれも負極活物質を収容する。この真空蒸着装置は、さらに、図示しない電子ビーム発生装置または抵抗加熱用ボードを備えている。負極活物質の蒸気は、各蒸着ソース23a、23bに電子ビームを照射することにより、または各蒸着ソース23a、23bを加熱しすることにより、発生する。
負極活物質を蒸着させる際には、必要に応じて、一対の酸素ノズル27a、27bから負極活物質の蒸気に対して酸素を供給する。これにより、負極集電体12aの表面に形成される負極活物質を酸化物とすることができる。
【0037】
真空蒸着によって負極集電体12aの表面に負極活物質層を形成する場合において、負極活物質の蒸着量は、例えば、電子ビームの加速電圧、電流値、チャンバ内の真空度などを適宜設定することにより、調整できる。具体的には、電子ビームの加速電圧や電流値を高くすると、負極活物質の蒸着量が増加する。また、チャンバ内の真空度を高くすると、同一温度における蒸発量が増加するため、負極活物質の蒸着量が増加する。
【0038】
さらに、電子ビームによって負極活物質を蒸着させる場合において、負極活物質の蒸着量は、電子ビームの加速電圧、電流値、およびチャンバ内の真空度を一定に保ちつつ、負極集電体12aを負極活物質の蒸気に晒す時間(具体的には、負極集電体12aの走行速度など)を変えることによって調整することもできる。
また、抵抗過熱によって負極活物質を蒸着させる場合において、負極活物質の蒸着量は、チャンバ内の真空度を高くするだけでなく、例えば、印加電圧を高くして加熱温度を高くすることや、抵抗過熱時間を長くして蒸発時間を長くすることによっても、増加させることができる。
【0039】
負極活物質層12bの厚みは、特に限定されず、リチウムイオン二次電池のサイズ、単セルの構成や積層数に応じて、適宜設定することができる。
【0040】
セパレータ13には、リチウムイオン二次電池に用いられる各種のセパレータを用いることができる。具体的には、イオン透過性や絶縁性を備え、機械的強度に優れたシートまたはフィルムを用いることができ、より好ましくは、微多孔膜、織布、不織布などの、多孔性シートまたは多孔性フィルムが用いられる。
【0041】
正極リード14は、その一端が正極集電体11aに接続され、他端が外装ケース16の一方の開口部16aからリチウムイオン二次電池10の外部に導出されている。また、負極リード15は、その一端が負極集電体12aに接続され、他端が外装ケース16の他方の開口部16bからリチウムイオン二次電池10の外部に導出されている。
正極リード14および負極リード15には、リチウムイオン二次電池に用いられる各種のリードを用いることができる。具体的には、正極リード14として、アルミニウムなどが挙げられ、負極リード15として、ニッケルなどが挙げられる。
【0042】
外装体16には、リチウムイオン二次電池に用いられる各種の外装体を用いることができる。具体的には、金属製ケース、積層ラミネートフィルム製ケースなどが挙げられる。
ガスケット17は、外装体16の開口部を封鎖するためのシール材である。なお、ガスケット18を使用せずに、外装ケース19の開口部19a、19bを溶着などによって直接封口してもよい。
【0043】
本発明のリチウムイオン二次電池1は、例えば、次のようにして製造できる。
まず、正極11と、負極12とを、セパレータ13を介して重ね合わせ、平板状電極群を作製する。次に、正極集電体11aに正極リード14の一端を接続し、負極集電体12aに負極リード15の一端を接続する。そして、平板状電極群を外装ケース16内に挿入し、正極リード14および負極リード15の他端を、それぞれ外装ケース16の外部に導出させるとともに、外装ケース16の内部に非水電解質を注液する。この状態で、外装ケース16の内部を真空減圧しながら開口部を、ガスケット17を介して溶着させる。
【0044】
リチウムイオン二次電池を形成する各種材料、各部位の作製方法、各部位のサイズなどについては、上記に限定されず、適宜設定することができる。
【0045】
また、本発明の非水電解質二次電池は、上記の実施形態に限定されず、種々の形態を採ることができる。具体的には、円筒型電池、角形電池、扁平電池、コイン電池、ラミネート積層フィルム電池などの各種形態を採ることができる。
【0046】
本発明の非水電解質二次電池用負極の製造方法は、負極活物質を含む負極活物質層に対してリチウムを付着および吸蔵させる、リチウム付与工程を含んでいる。
リチウム付与工程は、非水電解質二次電池用負極の負極活物質層に対し、リチウムを付着および吸蔵させる工程である。
【0047】
負極活物質層にリチウムを付与する方法としては、例えば、真空蒸着法、スパッタ法、イオンプレーティング法、レーザアブレーション法、化学気相成長(CVD)法、プラズマ化学気相成長法、溶射法などが挙げられる。なかでも、真空蒸着法が好適である。
真空蒸着法による場合には、真空蒸着装置のチャンバ内に負極集電体を固定し、ターゲットにおいて発生されたリチウムの蒸気を、負極活物質層に付着させればよい。
【0048】
真空蒸着法による負極活物質へのリチウムの付与には、例えば、合金系負極活物質を気相法によって形成する場合と同様に、図2に示す蒸着装置を用いて行うことができる。
この場合において、一対の蒸着ソース23a、23bには、それぞれリチウムが収容される。また、負極集電体12aの両面に形成された負極活物質層には、それぞれ、一対のマスク26a、26bで区画される領域において、各蒸着ソース23a、23bから供給されたリチウムが蒸着する。また、チャンバ20の内部には、必要に応じて、リチウムに対して不活性なアルゴンなどのガスが導入される。
【0049】
真空蒸着によって負極活物質層にリチウムを付与する場合において、負極活物質層に対するリチウム付与量は、例えば、電子ビームの加速電圧、電流値、チャンバ内の真空度などを適宜設定することにより、調整できる。具体的には、電子ビームの加速電圧や電流値を高くすると、リチウム付与量が増加する。また、チャンバ内の真空度を高くすると、リチウム付与量が増加する。
【0050】
さらに、電子ビームによってリチウムを付与する場合において、リチウム付与量は、電子ビームの加速電圧、電流値、およびチャンバ内の真空度を一定に保ちつつ、負極活物質層をリチウムの蒸気に晒す時間(具体的には、負極集電体12aの走行速度など)を変えることによって調整することもできる。
また、抵抗過熱によってリチウムを付与する場合において、リチウム付与量は、チャンバ内の真空度を高くするだけでなく、例えば、印加温度を高くして加熱温度を高くすることや、抵抗過熱時間を長くして蒸発時間を長くすることによっても、増加させることができる。
【0051】
本発明の非水電解質二次電池用負極の製造方法は、さらに、上記リチウム付与工程の前後において、それぞれ、負極活物質層に対してベータ線を照射して、上記負極活物質層からの後方散乱量を計測する計測工程と、リチウム付与工程前後の後方散乱量の差に基づいて、負極活物質層に付着および吸蔵されたリチウム量を定量する定量工程と、を備えている。
【0052】
計測工程は、非水電解質二次電池用負極の負極活物質層に対してベータ線を照射し、その後方散乱量を計測する工程である。
後方散乱量の計測には、例えば、図3に示すような、ベータ線の後方散乱量の測定装置を用いることができる。
【0053】
後方散乱量の測定装置40は、リチウムイオン二次電池用の負極12に対してベータ線を照射する照射線源41と、後方散乱したベータ線の通過を規制するスリット42と、後方散乱したベータ線を捕集する検出器43と、負極12を肯定するための固定台44と、を備えている。固定台44は、負極集電体12aが照射線源41と対向するように負極12を固定する。
【0054】
照射線源41から負極集電体12aへ向けて照射されたベータ線は、その一部が、負極活物質層12bで吸収されるか、または、負極活物質層12bを通過し、負極集電体12aで後方散乱される。
負極活物質層12bで後方散乱されたベータ線のうち、スリット42を通過したものが、照射線源41の後方に配置された検出器43で捕集される。
【0055】
負極集電体12aへ向けて照射されたベータ線の線源としては、147Pm、14C、および204Tlが挙げられる。なかでも、147Pmまたは14Cが好ましい。
ベータ線の線源は上記線源以外にも多種存在するが、上記線源以外の線源は、概ね、ベータ線のエネルギーが大きすぎる。このため、上記線源以外の線源を用いた場合は、負極集電体表面から後方散乱されたベータ線のうち、負極活物質層中のリチウムによって吸収されるベータ線量が、吸収されずに負極活物質層から放出されるベータ線量に対して小さくなり、負極活物質層上での少量のリチウムを精度よく定量することができなくなる。一方、ベータ線の線源が上記の線源から選択されるときは、ベータ線のエネルギーを適度な範囲に設定することができるため、負極活物質層へのリチウム付与量を精度よく定量することができる。
【0056】
定量工程は、上記リチウム付与工程の前後において、上記計測工程で計測されたベータ線の後方散乱量の差を算出し、その算出結果に基づいて、負極活物質層に付着および吸蔵されたリチウム量を定量する工程である。
【0057】
負極活物質層12bで反射し、検出器43で捕集される、後方散乱したベータ線の量は、負極活物質層12bに付与されるリチウムの量が、膜厚に換算して50μmを上回らない範囲において、負極活物質層12bへのリチウム付与量に比例する。また、負極活物質層に対してあらかじめ付与されるリチウムの量は、負極活物質の不可逆容量に応じて設定されるものであり、その量は、膜厚に換算して、概ね、1〜20μmである。
【0058】
このため、上述のリチウム付与工程の前後において、負極活物質層12bで後方散乱し、検出器43で捕集されるベータ線の量を計測し、比較することによって、負極活物質層12bへのリチウム付与量を定量することができる。
【0059】
本発明の非水電解質二次電池用負極の製造方法においては、上記負極活物質層の所定領域において上記定量工程による定量をし、次いで、上記負極活物質層の他の領域にリチウムを付与する際に、上記定量の結果に基づいて上記他の領域に付与するリチウム量を調整する調整工程を備えていてもよい。
【0060】
上記定量工程によって、負極活物質層に付着および吸蔵されたリチウム量が定量されることから、この定量結果に基づいて、負極活物質の不可逆容量に起因する損失を解消させるために必要なリチウム付与量の過不足を判断することができる。さらに、上記調整工程によって、上記定量工程により定量されたリチウム付与量の結果を、逐次、負極活物質層の他の領域に対するリチウムの付与に際してフィードバックさせることができる。
それゆえ、上記調整工程を備える場合には、非水電解質二次電池用負極の全体として、リチウム付与量の精度をより一層向上させることができ、負極の品質が向上する。
【0061】
本発明の非水電解質二次電池用負極の製造方法において、負極活物質層12bに対してリチウムを付与する処理と、ベータ線の後方散乱量を測定する処理とは、連続的に実行することができる。
このため、本発明によれば、負極活物質へのリチウムの付着量を、負極活物質を破壊することなく、かつ、インライン検査によって定量することができる。
【0062】
本発明によれば、上述のとおり、リチウムイオン二次電池などの非水電解質二次電池における負極について、あらかじめ負極活物質に付与したリチウム量を非破壊のインライン検査により定量することができ、品質の向上と歩留まりの向上とを両立させることができる。また、これにより、本発明によれば、負極活物質の不可逆容量に起因する損失や品質のばらつきが低減された非水電解質二次電池用負極および非水電解質二次電池を低コストで提供することができる。
【実施例】
【0063】
以下、本発明を実施例および比較例を用いて詳細に説明するが、これらは本発明を何ら限定するものではない。
【0064】
<非水電解質二次電池の製造>
実施例1
(1)負極の作製
負極集電体12aとして、厚さが30μm、表面粗さ(算術平均高さRa、JIS B0601:2001)が0.125μmの帯状銅箔(日立電線株式会社製)を用いた。また、真空蒸着装置として、図2に示す装置を用いた。この装置のチャンバ20の内部を圧力3.5Paのアルゴン雰囲気とし、一対の蒸着ソース23a、23bに、純度99.999%スクラップシリコンを用いた。そして、電子ビーム発生装置(図示せず)からの電子ビームを偏光ヨークで偏光させて各蒸着ソース23a、23bに照射し、こうして発生したSi蒸気を、成膜速度が2nm/秒となるように、マスク26a、26bの開口部から負極集電体12aの両面に照射した。この際、一対の酸素ノズル27a、27bからそれぞれ酸素を導入し、SiとO2とを反応させた。これにより、集電体12aの両面に、組成がSiO0.6である負極活物質層を形成した。負極全体の厚みは、50μmであった。
【0065】
(2)後方散乱量の測定(計測工程)
上記負極12を、市販のベータ線後方散乱量測定装置の固定台44に固定し(図3参照)、負極活物質層12bに対して、147Pmを線源とするベータ線を照射し、後方散乱量を測定した。このときの測定値を、負極活物質層12bに対してリチウムが付与されていない状態(初期状態)のベータ線の後方散乱量とした。後方散乱量の測定は、ドライ環境下(露点−40℃)で行い、負極と測定機の間隔を10mmとした。
【0066】
(3)リチウム付与工程
あらかじめ、対極をLi金属としてモデルセルを作製し、負極の不可逆容量を測定した結果に基づいて、必要なリチウム付与量を厚み換算で10μmと決定した。
次に、上記負極12を、図2に示す蒸着装置の巻出しロール22に装着し、チャンバ20の内部をアルゴン雰囲気とした。一対の蒸着ソース23a、23bとして、Li金属(本城金属株式会社製)を用い、これをタングステンボード上に設置して、抵抗加熱(図示せず)によりLiを蒸発させ、負極12の負極活物質層12aに対し、厚み換算で10μmに相当する量のLiを蒸着した。Liを厚み換算する場合、空隙率は0%とした。また、ここでは、リチウムを加熱する時間を変化させることによって、単位時間当りのLiの蒸発量を制御した。
【0067】
(4)後方散乱量の測定(計測工程)およびリチウム付与量の計量(定量工程)
リチウム付与工程を経た負極12を、再度、市販のベータ線後方散乱量測定装置の固定台44に固定し(図3参照)、負極活物質層12bに対して、147Pmを線源とするベータ線を照射し、後方散乱量を測定した。後方散乱量の測定は、ドライ環境下(露点−40℃)で行い、負極と測定機の間隔を10mmとした。
【0068】
このときの測定値を、負極活物質層12bに対してリチウムを付与した状態(リチウム付与工程後)のベータ線の後方散乱量とした。
こうして、初期状態のベータ線の後方散乱量と、リチウム付与工程後のベータ線の後方散乱量との差を求め、あらかじめ作成しておいた検量線に基づき、負極活物質層12bに対するリチウム付与量を算出した。
【0069】
(5)正極の作製
正極活物質として、二次粒子の平均粒径が10μm、BET法による比表面積が0.45m2/gのリチウムニッケル含有複合金属酸化物を使用した。このリチウムニッケル含有複合金属酸化物の組成式は、LiNi0.7Co0.2Al0.12であって、粉末X線回折による分析の結果、単一相の六方晶層状構造を有していた。
【0070】
上記正極活物質の粉末100g、アセチレンブラック(導電剤)3g、ポリフッ化ビニリデン粉末(結着剤)3gおよびN−メチル−2−ピロリドン(NMP)50mlを充分に混合して正極合剤ペーストを調製した。この正極合剤ペーストを厚み20μmのアルミニウム箔(正極集電体)の片面に塗布し、乾燥し、圧延して、正極活物質層を形成した。その後、30mm×180mmのサイズに正極を切り出した。得られた正極板を裁断し、正極活物質層の片側厚みが50μm、サイズが30mm×200mmの正極を作製した。
【0071】
(6)捲回型電池の作製
得られた正極の集電体が露出する部分にアルミニウム製正極リードの一端を接続した。また、得られた負極の集電体が露出する部分にニッケル製負極リードの一端を接続した。ポリエチレン多孔質膜(セパレータ、商品名:ハイポア、厚さ20μm、旭化成(株)製)を介して正極活物質層と負極活物質層とが対向するように、正極、ポリエチレン多孔質膜および負極を重ね合わせた。これを捲回して平板状に成形し、平板状の捲回型電極群を作製した。なお、正極リードおよび負極リードは、捲回型電極群の捲回軸方向に平行になるように接続した。
【0072】
この捲回型電極群を、アルミニウムラミネートシートからなる外装ケースに挿入し、電解液を注液した。電解液には、エチレンカーボネート(EC)とエチルメチルカーボネート(EMC)とを体積比1:1の割合で含む混合溶媒に、LiPF6を1.0mol/Lの濃度で溶解させた非水電解質を用いた。次に、正極リードおよび負極リードを外装ケースの開口部から外装ケースの外部に導出し、外装ケース内部を真空減圧しながら、外装ケースの開口を溶着させ、外装ケースから突出したリード部を1cmの長さに切断し、未充電のリチウムイオン二次電池を作製した。
【0073】
<検量線の作成例>
負極活物質層に対するリチウム付与量がリチウムの厚みに換算して所定の範囲にあるときは、上記リチウム付与量と、負極活物質層におけるベータ線の後方散乱量とが比例すること、ならびに、負極活物質層に対するリチウム付与量を負極活物質層におけるベータ線の後方散乱量に基づいて定量するための検量線が作成できることを確認するため、以下の試験を行った。
【0074】
試験例1
まず、実施例1と同様にして、帯状銅箔(厚さ30μm、表面の算術平均高さ(Ra)0.125μm)の負極集電体12aの両面に、組成がSiO0.6である負極活物質層が形成された、全体の厚みが50μmの負極12を作製した。そして、この状態(初期状態)において、実施例1と同様にして、負極12の負極活物質層12bについてのベータ線の後方散乱量を測定した。
【0075】
次いで、上記負極12の負極活物質層12bに対し、実施例1で使用した蒸着装置により、Liを蒸着した。Liの蒸着量は、4〜6000μmの範囲で適宜設定した。
そして、Liの蒸着量が異なるサンプルについて、それぞれ、実施例1と同様にして、負極活物質層12bについてのベータ線の後方散乱量を測定した。その結果に基づいて、厚みに換算されたリチウム付与量と、ベータ線の後方散乱量の測定結果から求められる、負極活物質層中のリチウムに吸収されたベータ線のカウント数[cps]との関係をグラフに示した。
【0076】
図4Aは、上記試験例1において、厚みに換算したリチウム付与量[μm]と、負極活物質層のリチウムに吸収されたベータ線のカウント数[cps]との関係を示したグラフである。また、図4Bは、図4Aのうち、リチウム付与量が0〜60μmの範囲を拡大して示すグラフである。
【0077】
図4Aより明らかなように、リチウム付与量が、リチウムの厚みに換算して数百μm以上であるときは、リチウム付与量が増加しても、リチウムに吸収されたベータ線のカウント数に変化が観察されない。しかしながら、図4Bより明らかなように、リチウム付与量が、リチウムの厚みに換算して60μm以下であるときは、リチウム付与量の増加と、リチウムに吸収されたベータ線のカウント数とが比例していることがわかる。
【0078】
一方、上述のとおり、非水電解質二次電池の分野においては、一般に、負極活物質層12bに対するリチウムの付与量が、リチウムの厚みに換算して50μm以下である。このため、この分野においては、例えば、図4Bを検量線とすることで、負極活物質層12bに対するリチウムの付与量を、リチウムに吸収されたベータ線のカウント数に基づいて定量することができる。
【産業上の利用可能性】
【0079】
本発明は、例えば、各種電子機器の駆動用電源、電気自動車、ハイブリッド自動車などの車載用電源、無停電電源などに用いられる負極およびその製造方法として、ならびに、上述の各種電源として、極めて有用である。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】図1は、リチウムイオン二次電池の一実施形態を示す概略縦断面図である。
【図2】図2は、真空蒸着装置の一例を示す模式図である。
【図3】図3は、ベータ線の後方散乱量の測定装置の一例を示す概略構成図である。
【図4A】図4Aは、試験例1において、厚みに換算したリチウム付与量と、負極活物質層中のリチウムに吸収されたベータ線のカウント数との関係を示したグラフである。
【図4B】図4Bは、図4Aのうち、リチウム付与量が0〜60μmの範囲を拡大して示すグラフである。
【符号の説明】
【0081】
10 リチウムイオン二次電池、 11 正極、 11a 正極集電体、 11b 正極活物質層、 12 負極、 12a 負極集電体、 12b 負極活物質層、 13 セパレータ、 14 正極リード、 15 負極リード、 16 ガスケット、 17 外装体、 20 チャンバ、 21 真空ポンプ、 22 巻出しロール、 23a 蒸着ソース、 23b 蒸着ソース、 24a 成膜ロール、 24b 成膜ロール、 25 巻取りロール、 26a マスク、 26b マスク、 27a 酸素ノズル、 27b 酸素ノズル、 40 測定装置、 41 照射線源、 42 スリット、 43 検出器、 44 固定台。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
負極活物質を含む負極活物質層にリチウムを付着および吸蔵させるリチウム付与工程を含む非水電解質二次電池の製造方法であって、
前記リチウム付与工程前および前記リチウム付与工程後において、それぞれ、前記負極活物質層に対してベータ線を照射して、前記負極活物質層からの後方散乱量を計測し、次いで、前記リチウム付与工程前と前記リチウム付与工程後との後方散乱量の差に基づいて、前記負極活物質層に付着および吸蔵されたリチウム量を定量する、非水電解質二次電池用負極の製造方法。
【請求項2】
前記負極活物質層の所定領域において前記リチウム量を定量し、次いで、前記負極活物質層の他の領域にリチウムを付与する際に、前記リチウム量の定量結果に基づいて前記他の領域に付着および吸蔵させるリチウム量を調整する、請求項1に記載の非水電解質二次電池用負極の製造方法。
【請求項3】
前記ベータ線の線源が、147Pm、14C、または204Tlである、請求項1または2に記載の非水電解質二次電池用負極の製造方法。
【請求項4】
負極集電体と、前記負極集電体の表面に形成された負極活物質を含む負極活物質層と、前記負極活物質層に付着および吸蔵されたリチウムと、を備え、
前記リチウムが、請求項1〜3のいずれかに記載の非水電解質二次電池用負極の製造方法によって前記負極活物質層に付着および吸蔵されている、非水電解質二次電池用負極。
【請求項5】
請求項4に記載の非水電解質二次電池用負極と、正極と、前記非水電解質二次電池用負極および正極の間に介在されるセパレータと、非水電解質と、を備える、非水電解質二次電池。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【公開番号】特開2010−140793(P2010−140793A)
【公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−316754(P2008−316754)
【出願日】平成20年12月12日(2008.12.12)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】