説明

非水電解質二次電池

【課題】樹脂製のモノブロック電槽を使用した非水電解質二次電池において、製造工程における加熱処理による弊害を回避できるようにする。
【解決手段】隔壁11にて区画された複数の電槽12を備える樹脂製の本体部1aと、その本体部1aの開放面を覆う樹脂製の蓋部とを備えるモノブロック電槽1を有する非水電解質二次電池において、前記隔壁11の前記開放面側に、前記蓋部側に突出する形状の突出部11aが形成され、前記突出部11aにおいて、前記蓋部と前記隔壁11とが互いに溶着されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、隔壁にて区画された複数の電槽を備える樹脂製の本体部と、その本体部の開放面を覆う樹脂製の蓋部とを備えるモノブロック電槽を有する非水電解質二次電池に関する。
【背景技術】
【0002】
かかる非水電解質二次電池は、隔壁にて区画された複数の電槽を備える樹脂製のモノブロック電槽を有するもので、電槽を樹脂により形成することで、複数のセルの電槽を一体化して、複数のセルを高密度に実装することができ、大幅な部品点数の削減や軽量化を実現できる利点を有する。更には、金属製の電槽を用いる場合に比べて、電槽内に収納される発電要素等が変位して電槽の壁面に接触しても、短絡故障が発生してしまうことがない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平6−70152号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の樹脂製のモノブロック電槽を使用した非水電解質二次電池では、それの製造工程における加熱処理が、電槽内に配置される発電要素等の部品に悪影響を与えてしまう場合があった。
すなわち、樹脂製のモノブロック電槽を使用した非水電解質二次電池は、それの製造工程において、隣接する電槽間で電解液同士が混じり合ってしまうのを確実に回避するために、隣接する電槽間の隔壁部分でモノブロック電槽の本体部と蓋部とを熱溶着して、電解液の往来を確実に遮断する処理が行われている。
この加熱処理によって影響を受けうるものとしては、例えば発電要素の構成部品であるセパレータがある。
上記加熱処理でセパレータが過熱されてしまうと、セパレータのシャットダウン機能が阻害されてしまう場合がある。
セパレータは、実使用時において電池温度が過度に上昇すると、セパレータ内の空隙が狭まり、イオン等の流動を阻止して、電池動作を停止させるように機能するのであるが、製造時にセパレータに過大な熱が加わってしまうと、上記のようなセパレータの変形動作がうまく機能しなくなる場合がある。
本発明は、かかる実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、樹脂製のモノブロック電槽を使用した非水電解質二次電池において、製造工程における加熱処理による弊害を回避できるようにする点にある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本出願の第1の発明は、隔壁にて区画された複数の電槽を備える樹脂製の本体部と、その本体部の開放面を覆う樹脂製の蓋部とを備えるモノブロック電槽を有する非水電解質二次電池において、前記隔壁の前記開放面側に、前記蓋部側に突出する形状の突出部が形成され、前記突出部において、前記蓋部と前記隔壁とが互いに溶着されている。
すなわち、蓋部側に突出する形状の突出部に対して加熱作用して、蓋部と本体部の隔壁とを溶着し、隣接する電槽間で電解液が往来するのを遮断するので、加熱作用する位置と電槽との距離がそれだけ長くなり、加熱処理の影響が電槽内に及んでしまうのを抑制できる。
【0006】
又、本出願の第2の発明は、上記第1の発明の構成に加えて、前記モノブロック電槽は、金属製のケースに収納されている。
すなわち、非水電解質二次電池の電池筐体を樹脂材料のみによって構成すると、長期に亘る使用によって、その電池筐体を水分が透過してしまい、電池寿命に悪影響を及ぼす可能性があるが、樹脂製のモノブロック電槽を金属製のケースに収納することで、水分の侵入を遮断することができる。
【0007】
又、本出願の第3の発明は、上記第2の発明の構成に加えて、前記ケースは、前記モノブロック電槽の前記本体部と前記蓋部とに対応して、金属製の本体部と金属製の蓋部とを備えて構成され、前記モノブロック電槽の前記本体部と前記モノブロック電槽の前記蓋部とは、前記モノブロック電槽の前記蓋部の端縁部において熱溶着により接合され、前記ケースの前記本体部と前記ケースの前記蓋部とは、前記ケースの前記蓋部の端縁部において溶接により接合されている。
【0008】
すなわち、非水電解質二次電池の電池筐体の構成として、樹脂製のモノブロック電槽で構成される樹脂製の内殻と、金属製のケースで構成される金属製の外殻との二重構造とし、その内殻及び外殻の夫々で、熱溶着及び溶接による接合で密閉している。
電池筐体を上記のように二重構造とする場合、内殻かあるいは外殻のいずれか一方を接合により密閉するだけでも水分の侵入を阻止できるものと考えられるのであるが、近年の電池技術の向上により他の劣化要因が克服されてきて、わずかな水分の侵入が電池劣化の主要な要因となっていることがわかってきた。
そこで、上記二重構造の内殻及び外殻の双方において、密閉状態となるように接合して、水分の侵入を可及的に抑制するものとした。
【発明の効果】
【0009】
上記第1の発明によれば、モノブロック電槽の本体部と蓋部とを隔壁位置で溶着させる際に、加熱作用する位置と電槽との間の距離が長くなり、加熱処理の影響が電槽内に及んでしまうのを抑制できるので、樹脂製のモノブロック電槽を使用した非水電解質二次電池において、製造工程における加熱処理による弊害を回避できるものとなった。
更に、モノブロック電槽を使用することの効果として、個別に製造した複数のセルを用いて組電池を構成する場合では、それらのセルを連結し緊圧をかける部材が必要になると共に、そのように連結しても、振動や衝撃、温度変化並びに時間の経過に伴う材料クリープで各セルがバラバラになってしまう場合もあるのに対して、モノブロック電槽を使用する場合では、そのような連結のための構成を必要とせず、又、各セルがバラバラになってしまうこともない。
更に又、モノブロック電槽を樹脂製とすることの効果として、一般的な金属製の電槽を使用する場合では、電槽内に配置する発電要素と電槽内壁との電気的な絶縁を確保するために、発電要素を絶縁袋で覆う等する必要があるのに対して、モノブロック電槽を樹脂製とする場合では、そのような、電槽内に配置する発電要素と電槽内壁との電気的な絶縁を確保するための部材を必要としない。
【0010】
又、上記第2の発明によれば、樹脂製のモノブロック電槽を金属製のケースに収納することで、水分の侵入を遮断することができるので、電池寿命の向上を図れる。
又、上記第3の発明によれば、樹脂製の内殻及び金属製の外殻の双方において、密閉状態となるように接合して、水分の侵入を可及的に抑制できるので、電池の寿命特性を一層向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施の形態にかかるモノブロック電槽の本体部を示す斜視図
【図2】本発明の実施の形態にかかるケースの本体部を示す斜視図
【図3】本発明の実施の形態にかかるモノブロック電槽の蓋部及びケースの蓋部を示す斜視図
【図4】本発明の実施の形態にかかる非水電解質二次電池の外観斜視図
【図5】本発明の実施の形態にかかる電極端子付近の断面図
【図6】本発明の実施の形態にかかる非水電解質二次電池の内部構成を示す斜視図
【図7】本発明の実施の形態にかかる非水電解質二次電池の製造過程における斜視図
【図8】本発明の別実施形態にかかる電池筐体の構成を示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の非水電解質二次電池の実施の形態を図面に基づいて説明する。
本実施の形態では、非水電解質二次電池としてリチウムイオン電池を例示して説明する。
【0013】
〔非水電解質二次電池RBの構成〕
本実施の形態の非水電解質二次電池RBは、樹脂製のモノブロック電槽1と、そのモノブロック電槽1を完全に覆う金属製のケース2との二重構造の電池筐体BCを有しており、内側のモノブロック電槽1がケース2に収納される関係となっている。
図4の斜視図に示すように、ケース2の上面には、端子ボルトとして形成されている正負の電極端子3,4が配置されている。本実施の形態の二次電池RBは、詳しくは後述するが、4つの単電池(セル)を1つの電池筐体BCに集積する場合を例示しており、電極端子3,4も、各単電池に対応して4組備えられている。
【0014】
モノブロック電槽1は、図1に示す樹脂製の本体部1aと、図3に示す樹脂製の蓋部1bとを備えて構成されている。
モノブロック電槽1の本体部1aは、樹脂成形により、図1に示す形状に一体成形されており、隔壁11にて区画された複数(本実施の形態では、4個)の電槽12が形成されて構成されている。各電槽12は、扁平な直方体形状の内部空間を有しており、夫々同一形状で同一の容積を有している。4つの電槽12は、その内部空間の最も短い辺に沿う方向に並んでいる。蓋部1bは、これら各電槽12の開放面側に被さることになる。
各隔壁11の上端すなわち本体部1aの開放面側の端部は、各電槽12の上端位置よりも更に上方側に延出して、蓋部1b側に突出する突出部11aが形成されている。
【0015】
モノブロック電槽1の蓋部1bは、本体部1aと同様に、樹脂成形により一体成形されており、全体として矩形の板状で、本体部1aの突出部11aの存在位置と対応する位置に、コの字状の屈曲部14が形成されている。
蓋部1bは、本体部1aの開放面を覆うように配置され、本体部1aに蓋部1bを被せた状態では、本体部1aの突出部11aが屈曲部14の内面側に嵌入する。
又、各電槽12の開放面側に相当する位置には、電極端子3,4への配線部材が通過する開口13が形成され、1つの電槽12に対応する一対の開口13間には、破裂弁として構成される安全弁16と、電解液を注液するための注液口17とが備えられている。
上記構成のモノブロック電槽1は、各電槽12が夫々独立した電池を構成し、本実施の形態の場合、独立した4つの単電池(セル)で1つの電池筐体BCを共有している。
【0016】
金属製のケース2は、図2の斜視図に示す金属製の本体部2aと、図3に示す金属製の蓋部2bとを備えて構成されている。
ケース2の本体部2aは、ステンレス鋼等の金属板にて1側面が開放した略直方体形状の缶体として形成されている。
ケース2の本体部2aの内部空間の形状は、モノブロック電槽1の本体部1aの外形形状に適合させた直方体形状としており、ケース2の本体部2aの内部空間にモノブロック電槽1の本体部1aをすっぽりと収納し、且つ、両者の間の隙間は極力小さくなるようにしてある。
ケース2の蓋部2bは、本体部1aと同様に、ステンレス鋼等の金属板により形成しており、全体として矩形の板状で、モノブロック電槽1の蓋部1bに形成されているコの字状の屈曲部14と対応する位置に、コの字状の屈曲部21が形成されている。更に、モノブロック電槽1の蓋部1bの開口13と対応する位置に同一寸法の開口22が形成され、1つの電槽12に対応する一対の開口22間には、破裂弁として構成される安全弁24と、電解液を注液するための注液口25とが備えられている。
ケース2の蓋部2bの安全弁24及び注液口25は、夫々、モノブロック電槽1の蓋部1bの安全弁16及び注液口17と、上下方向に並ぶ位置に配置されており、ケース2の蓋部2bの注液口25は、モノブロック電槽1の蓋部1bの注液口17よりも大径に形成されている。
【0017】
モノブロック電槽1の各電槽12内には、電池筐体BCの内部を斜視図で示す図6において2点鎖線で示す発電要素5が配置され、更に、その発電要素5と電極端子3,4とを電気的に接続する集電体6,7が配置されている。
集電体6と集電体7とは何れも導電体であり、図6に示すように、同一形状のものが対称に配置される関係となっているが、両者で材質が異なる。正極側の集電体6はアルミニウムにて形成され、負極側の集電体7は銅にて形成されている。
集電体6,7の形状は、電極端子3,4との接続のために、電極端子3,4の取り付け面であるケース2の蓋部2bに沿って伸びる形状の部分と、発電要素5との接続のために、下方へ90度屈曲して蓋部2bの法線方向に伸びる部分とが連なる略L字状の屈曲形状を有している。この蓋部2bの法線方向に伸びる部分に発電要素5と接続するための接続部6a,7aが形成されている。
【0018】
発電要素5は、詳細な説明は省略するが、長尺箔状に形成された正極板と長尺箔状に形成された負極板とからなる一対の電極板の夫々に活物質を塗布し、同じく長尺のセパレータを挟んで積層状態で巻回した、いわゆる巻回型の発電要素として構成されている。このセパレータとしては、熱可塑性樹脂を含む多孔性のフィルムを用いることができる。上記熱可塑性樹脂としては、優れたシャットダウン機能を有することから、ポリオレフィン樹脂が好ましく、特に、ポリエチレン又はポリプロピレンが好ましい。
発電要素5は、上記のように巻回した状態で、箔状正極板の活物質の未塗工部5aが側方(箔状正極板の長手方向と直交する方向)に延出し、箔状負極板の活物質の未塗工部5bがそれと反対側の側方(箔状負極板の長手方向と直交する方向)に延出している。
本実施の形態の発電要素5は、活物質を塗布した箔状正極板及び箔状負極板、並びに、セパレータを扁平形状に巻回し、扁平形状の電槽12に適合させている。
発電要素5の電槽12内での配置姿勢は、箔状正極板等の巻回軸心が、正負の電極端子3,4を結ぶ線分と平行となる姿勢としており、正負の夫々において、集電体6,7の接続部6a,7aが、渦巻き状に巻回されている発電要素5の未塗工部5a,5bの並びに入り込んでいる。
箔状正極板の未塗工部5aは束ねられた状態で集電体6の接続部6aに溶接され、箔状負極板の未塗工部5bは束ねられた状態で集電体7の接続部7aに溶接されている。
【0019】
ケース2の蓋部2bに取り付けられている正極側の電極端子3は正極側の集電体6に電気的に接続され、負極側の電極端子4は負極側の集電体7に電気的に接続されている。
電極端子3の蓋部2bへの取り付け構造及び電極端子3と集電体6との接続構造と、電極端子4の蓋部2bへの取り付け構造及び電極端子4と集電体7との接続構造とは、同一構成のものが各単電池の中心に対して対称に配置されたものであり、又、各単電池間では、正極と負極との配置が交互に逆向きとなっているものの、それ以外は同一構成である。
以下において、1つの単電池の正極側の構成によって代表させて説明する。
電極端子3には、図5の断面図に示すように、それの頭部側に、集電体6を電池筐体BCに固定するための導電性を有するリベット部材3aが一体成形されている。そのリベット部材3aの部分が、ケース2の蓋部2bに形成された開口22及びモノブロック電槽1の蓋部1bに形成された開口13を貫通する状態で配置されている。すなわち、モノブロック電槽1の蓋部1bとケース2の蓋部2bとは、図3に示す向きで重ね合わされ、その重ね合わせたものに電極端子3,4を固定する。
電極端子3及び集電体6の蓋部1b,2bへの取り付け固定は、電気的な絶縁と気密性とを確保するためのガスケット8を、リベット部材3aを囲む状態で開口13,22へ挿入し、電極端子3の頭部と集電体6とで挟んで、リベット部材3aの電池筐体BC内方側端部をかしめることで行い、この取り付け固定によって、リベット部材3aと集電体6とが発電要素5と電極端子3との間の通電経路を形成し、発電要素5と電極端子3とを電気的に接続する。
尚、モノブロック電槽1の蓋部1bの下面側(電池筐体BC内方側)には、集電体6,7の上端分の横姿勢部分の側脇に位置する状態で縦壁15が形成されており、電極端子3,4に電気配線を行う際等に、集電体6,7あるいは電極端子3,4が縦軸芯周りで回転してしまうのを阻止している。
【0020】
〔二次電池RBの製造工程〕
次に、二次電池RBの製造工程について概略的に説明する。
発電要素5は、上述のように、長尺帯状の箔状正極板及び箔状負極板に正極活物質及び負極活物質を夫々未塗工部5a,5bを残して塗布し、乾燥処理等の後にセパレータを挟んで扁平形状に巻回する。未塗工部5a,5bは正極と負極とで幅方向の反対側の端縁部に位置し、且つ、未塗工部5a,5bが側方にはみ出すように巻回している。
【0021】
電池筐体BCの組み立ては、先ず、図3に示す形状に形成したモノブロック電槽1の蓋部1bとケース2の蓋部2bとを、端縁位置同士を位置合わせして、図3に示す向きで蓋部2bの屈曲部21を蓋部1bの屈曲部14に嵌め込み、一体化する。
この一体化した蓋部1b,2bの開口13,22にガスケット8を差し込み、更に、そのガスケット8に電極端子3のリベット部材3aを差し込み、リベット部材3aの先端が開口13,22を貫通して、反対側に突出する状態とする。負極側についても、同様に、ガスケット8及び電極端子4を開口13,22に嵌め込む。
正極側の電極端子3と負極側の電極端子4との配置は、1つの単電池内でそれらを1つずつ配置すると共に、隣接する単電池間では、図4に示すように、正負の電極端子3,4の配置が逆向きとなるように配置する。これは、本実施の形態では、4個の単電池を直列接続して組電池を構成するためである。
電極端子3,4を蓋部1b,2bに差し込んだ状態で、集電体6,7に形成した開口を、電極端子3,4のリベット部材側の突出部分に差し込み、そのリベット部材をかしめることで、電極端子3,4を蓋部1b,2bに固定する。
この際、正極の電極端子3には正極用の集電体6を接続し、負極の電極端子4には負極用の集電体7を接続する。
又、集電体6,7は、蓋部1bに形成されている縦壁15に沿わせて配置する。
この状態の集電体6,7の接続部6a,7aに、図6に示すように、上述の発電要素5を組み付ける。
すなわち、正極側の集電体6の接続部6aに正極板の未塗工部5aを溶接し、負極側の集電体7の接続部7aに負極板の未塗工部5bを溶接する。
【0022】
上記のようにして組み上げた蓋部1b,2b側の組品を、図1に示す形状に樹脂成形したモノブロック電槽1の本体部1aに対して、各発電要素5が各電槽12に入り込むようにして挿入し、図7の斜視図に示す状態とする。この際、蓋部1bの屈曲部14が本体部1aの突出部11aに嵌入する。
この状態で、モノブロック電槽1の本体部1aと蓋部1bとを熱溶着する。
この熱溶着によって、電槽12間が気密状態で封止され、隣接する電槽12間で電解液が往来するのを阻止して、電槽12間を分離する。
具体的には、図7において矢印Aで指し示す蓋部1bの端縁部と本体部1aとの境界位置を外方側から加熱して、両者を熱溶着にて接合させると共に、電槽12間を気密状態で封止するために、図7において矢印Bで指し示すケース2の蓋部2bにおける屈曲部21の上端付近を外方側から加熱する。
屈曲部21を加熱することによって、モノブロック電槽1の本体部1aにおける突出部11aの上端付近と、モノブロック電槽1の蓋部1bにおける屈曲部14とが溶着し、突出部11aにおいて、蓋部1bと隔壁11とが互いに溶着されることになる。
このように、モノブロック電槽1に突出部11aを形成することで、モノブロック電槽1の本体部1aと蓋部1bとを熱溶着させる際に、加熱位置が発電要素5から離間するので、溶着の際の熱が発電要素5のセパレータに悪影響を及ぼすのを抑制することができる。
【0023】
次に、上記のようにしてモノブロック電槽1の本体部1aと蓋部1bとを溶着したものを、図2に示すケース2の本体部2aに挿入し、図4に示す状態とする。この際、ケース2の本体部1aの上端縁に形成されている矩形の突出片23が、モノブロック電槽1の本体部1a側の突出部11aと蓋部1bの屈曲部14との接合箇所の端部を覆うように、挿入の向きを設定する。
この後、図4において矢印Cにて指し示す、ケース2の蓋部2bの端縁部と本体部2a上端との境界部分を溶接にて接合する。
本実施の形態では、電池筐体BCに収納されている4つの単電池を直列接続する場合を例示しているので、図4に示すように、隣接する単電池間で正極側の電極端子3と負極側の電極端子4とを金属プレート31を掛け渡して接続し、ナット32を電極端子3,4のボルト部分にねじ込んで固定する。
このようにして電池筐体BCの組み立てが完了すると、モノブロック電槽1及びケース2の注液口17,25から電解液を電池筐体BC内に注入し、注液が完了すると、先ず樹脂製の液栓を溶着させて注液口17を気密封止し、更に、金属製の液栓26(図4参照)を溶接して注液口25を気密封止する。上述のように、ケース2の蓋部2bの注液口25は、モノブロック電槽1の蓋部1bの注液口17よりも大径としているので、注液口17の封止を円滑に行うことができる。
この後、初期充電(予備充電)やエージング等を行って、二次電池RBとして完成する。
【0024】
〔別実施形態〕
以下、本発明の別実施形態を列記する。
(1)上記実施の形態では、モノブロック電槽1の構成として、扁平矩形形状の内部空間を有する電槽12を、その内部空間の最も短い辺の方向に沿って同じ向きで並べて配置する場合を例示しているが、例えば、図8に例示するように、扁平矩形形状の内部空間を有する電槽12を、開放面の長辺方向に沿って同じ向きで並べて配置する構成としても良い。尚、図8では、電池筐体BCの構成を、上記実施の形態において対応する構成部分と同一の符号を付して示している。
発電要素5等の構成は、上記実施の形態と同一のもので良く、セル間の電極端子3,4の接続は、隣り合うセルの正極と負極とを金属プレート31にて連結する構成で良い。
図8に示すような電池筐体BCを有する二次電池RBは、上記実施の形態で示す構成に比べて、大面積の扁平面が外気にさらされる形状となっているので、両隣のセルに囲まれているセルも含めて、各セルの放熱性が良好で、容易に冷却できる利点を有している。
【0025】
(2)上記実施の形態では、モノブロック電槽1の本体部1aにおいて、各電槽12を区画する隔壁11をそのまま蓋部1b側に延出して、蓋部1bとの接合のための突出部11aを形成する構成としているが、例えば、突出部11aの厚さを隔壁11の厚さよりも更に薄く形成する等、この突出部11aの具体形状は種々に変更可能である。
(3)上記実施の形態では、モノブロック電槽1は、隔壁11で区画された4つの電槽12を備えて構成される場合を例示しているが、電槽12の数は、3個以下でも良いし、5個以上であっても良い。
【符号の説明】
【0026】
1 モノブロック電槽
1a 本体部(モノブロック電槽)
1b 蓋部(モノブロック電槽)
2 ケース
2a 本体部(ケース)
2b 蓋部(ケース)
11 隔壁
11a 突出部
12 電槽

【特許請求の範囲】
【請求項1】
隔壁にて区画された複数の電槽を備える樹脂製の本体部と、その本体部の開放面を覆う樹脂製の蓋部とを備えるモノブロック電槽を有する非水電解質二次電池であって、
前記隔壁の前記開放面側に、前記蓋部側に突出する形状の突出部が形成され、
前記突出部において、前記蓋部と前記隔壁とが互いに溶着されている非水電解質二次電池。
【請求項2】
前記モノブロック電槽は、金属製のケースに収納されている請求項1記載の非水電解質二次電池。
【請求項3】
前記ケースは、前記モノブロック電槽の前記本体部と前記蓋部とに対応して、金属製の本体部と金属製の蓋部とを備えて構成され、
前記モノブロック電槽の前記本体部と前記モノブロック電槽の前記蓋部とは、前記モノブロック電槽の前記蓋部の端縁部において熱溶着により接合され、
前記ケースの前記本体部と前記ケースの前記蓋部とは、前記ケースの前記蓋部の端縁部において溶接により接合されている請求項2記載の非水電解質二次電池。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−226840(P2012−226840A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−90574(P2011−90574)
【出願日】平成23年4月15日(2011.4.15)
【出願人】(507151526)株式会社GSユアサ (375)
【Fターム(参考)】