説明

非汚染性ブラックサイドウォール

化学式:―S―の硫黄官能基を含有する界面活性剤の添加であって、特にゴム配合物へのポリエーテルチオエーテル界面活性剤の添加は、外側の露出した表面上に光沢のある被膜を有するゴム組成物をもたらす。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、米国特許出願第60/494,384号による優先権を主張する。
【0002】
本発明は、ゴム組成物及び該ゴム組成物を用いる空気入りタイヤに関し、特に、望ましい外観を維持することが可能な、大気条件に暴露されるタイヤ部材用のゴム組成物に関する。更に、本発明は加硫ゴム組成物の表面上に保護膜を形成する方法を提供する。
【背景技術】
【0003】
ゴム配合に用いるエラストマーの性質により、大気の攻撃からゴム組成物を防ぐために、劣化防止剤をゴム配合物に入れるのが一般的である。重合体主鎖に不飽和を有するエラストマーは、オゾンの攻撃を特に受けやすい。大気中のオゾンと重合体主鎖との反応を防ぐために、「オゾン劣化防止剤」とみなされる材料を通常用い、また、該材料はゴムの表面にブルームする材料を含んでもよく、重合体と大気中のオゾンの反応を防ぐ。特定のワックスは、ゴムの表面に移動することが知られ、ゴムに大気中のオゾンからの保護層を与える不活性被膜を形成する。他の既知のオゾン劣化防止剤としては、亀裂形成を抑えるか、又は亀裂成長の速度を最小限に抑える化学物質が挙げられる。
【0004】
かかる種類のオゾン劣化防止剤に不利な点は、ゴムの表面の外観に影響を及ぼすことである。ワックスの被膜によって、該表面が艶のない又は濁りをおびたように見える一方で、他のオゾン劣化防止剤によって、ゴムの表面が黄色から褐色に変色するか、又は接触している隣接したゴムの表面を汚染することがある。
【0005】
先の試みによって、ゴム組成物を大気の攻撃から防ぐ一方で、ゴムの外側表面に望ましい外観を付与する材料が明らかにされてきた。特に、米国特許第6,554,037号には、特定の構造を持つ酸素基含有重合体とアルキルスルホン酸又はアルキル硫酸のアルカリ金属塩との組合せを含むゴム組成物が記載されている。更に、米国特許第6,598,632号には、酸素基と、特定の化学式を持つポリオキシアルキレンブロックと、末端基にアルコール官能基とを有する重合体を含むゴム組成物が記載されている。米国特許出願第10/133,546号には、特定の化学式を持つ多価アルコールのカルボン酸エステルを含むゴム組成物が記載されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
現在、当技術分野において、大気中のオゾンの攻撃から保護し、更に美学的に見て美しいままであるゴム組成物が必要とされている。かかる組成物はまた、材料と製造の観点の両方から費用効果が高くなければならない。
【0007】
出願人らは、ゴム配合物への硫黄含有界面活性剤の添加が、外側の露出した表面上に光沢のある被膜を有するゴム組成物をもたらすことを見出した。更に、出願人らは、この被膜は、組成物中の劣化防止剤が大気の攻撃からゴムを保護する能力を妨げないことを見出した。以下の理論に限定されないが、この被膜は、ゴム組成物の外側表面上にかかる劣化防止剤が現れないようにすると思われる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一の観点は、少なくとも一種の界面活性剤が硫黄原子を含有する界面活性剤又は界面活性剤の組合せを含むゴム組成物及び該ゴム組成物から作られるタイヤである。
【0009】
本発明の他の観点は、硫黄原子を含有する界面活性剤を含み、アルキルスルホン酸又はアルキル硫酸のアルカリ金属塩を除外するゴム組成物及び該ゴム組成物から作られるタイヤである。
【0010】
本発明の他の観点は、硫黄原子を含有する界面活性剤を含み、式:(Cn2nO)xのポリオキシアルキレンブロックの少なくとも一端に結合した酸素基を有し、少なくとも一のブロックが重合体の鎖末端に位置する水素原子と結合している重合体を除外するゴム組成物及び該ゴム組成物から作られるタイヤである。
【0011】
本発明の他の観点は、硫黄原子を含有する界面活性剤を含み、ワックス又はオイル等の軟化剤の量を減少させたゴム組成物及び該ゴム組成物から作られるタイヤである。
【0012】
本発明の更なる観点は、硫黄含有界面活性剤を含み、シリカ充填剤を除外するゴム組成物及び該ゴム組成物から作られるタイヤである。
【0013】
出願人らの発明の他の観点は、混合中、硫黄原子を含有する界面活性剤をゴム組成物に添加することを含む、露出したゴムの表面上に被膜を形成する方法である。
【0014】
本明細書で用いる界面活性剤という用語は、二種の液体間又は液体と固体間の界面張力を低下させる可溶性化合物を指す。また、かかる種類の界面活性剤を、ゴム配合の技術分野の中で可塑剤及び/又は軟化剤とみなすこともできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
<ゴム組成物用エラストマー>
ゴム配合に慣習的に用いるあらゆるエラストマーは、硫黄原子含有界面活性剤の使用から生じる本発明の利益のために利用できる可能性がある。
【0016】
本発明における潜在的に有用なエラストマーの例としては、特に限定されないが、ゴム組成物の所望の最終粘弾性に応じ、天然ゴム、ポリイソプレンゴム、スチレンブタジエンゴム、ポリブタジエンゴム、ブチルゴム、ハロブチルゴム、エチレンプロピレンゴム、架橋ポリエチレン、ネオプレン、ニトリルゴム、塩化ポリエチレンゴム、シリコーンゴム、耐熱性・耐油性の特殊ゴム、他の特殊ゴム及び熱可塑性ゴム単独に加えてこれらを組み合わせたものが挙げられる。これらの用語は、ヴァンダービルトゴムハンドブック13版(1990年)で用いられる。これらエラストマーは、種々の官能基を含有することができ、該官能基としては、特に制限されないが、スズ含有官能基、ケイ素含有官能基及びアミン含有官能基が挙げられる。
【0017】
好適なエラストマーとしては、タイヤ産業で一般的に使用されていることから、天然ゴム、合成イソプレン、スチレン−ブタジエン共重合体、ブタジエンゴムが挙げられる。
【0018】
かかるポリマーブレンドの割合(多くの場合、合計すると100部になるように表される)は、重合したゴム組成物に望まれる最終粘弾性の必要性に応じ、可能な限り幅広い範囲に及ぶことができる。当業者であれば、過度の実験をしないで、どんな量でどのエラストマーが所望の粘弾性の範囲をもたらすのに適切であるかを容易に決定することができる。
【0019】
<充填剤>
本発明のエラストマー配合物は、カーボンブラック、シリカ又はこれらの混合物のような補強性充填剤と配合させるのが好ましい。カーボンブラックは、好適な充填剤であるが、単独で用いてもよいし、シリカ及び/又は他の非補強性充填剤と組み合わせて用いてもよい。
【0020】
エラストマーは、あらゆる形状のカーボンブラックと配合させることができる。カーボンブラックは、約0〜約80phrの範囲の量で存在することができ、約5〜約60phrの範囲で存在するのが好ましい。カーボンブラックとしては、一般に利用可能で工業的に製造されているあらゆるカーボンブラックを挙げることができるが、少なくとも約20m2/gの表面積(EMSA)を有するものが好ましく、少なくとも約35m2/g〜約200m2/g或いはそれ以上の表面積を有するものがより好ましい。本願で用いる表面積の値は、セチルトリメチルアンモニウムブロミド(CTAB)法を用いるASTM D1765によって決定される。
【0021】
有用なカーボンブラックの中にファーネスブラック、チャンネルブラック、ランプブラックがある。有用なカーボンブラックの例として、より具体的には、超耐摩性ファーネス(SAF)ブラック、高耐摩性ファーネス(HAF)ブラック、高速押出性ファーネス(FEF)ブラック、微粒子ファーネス(FF)ブラック、準超耐摩性ファーネス(ISAF)ブラック、半補強性ファーネス(SRF)ブラック、中級作業性チャンネルブラック、難作業性チャンネルブラック、導電性チャンネルブラックが挙げられる。利用し得る他のカーボンブラックとしては、アセチレンブラックが挙げられる。
【0022】
本発明のカーボンブラック製品を製造する際に、二種以上の上記ブラックの混合物を用いることができる。SAF、HAF又はGPF級カーボンブラックが好ましい。本発明の加硫性エラストマー組成物の製造に利用されるカーボンブラックは、小球状の形態又は非小球で綿状の塊で存在し得る。
【0023】
適切なシリカ補強性充填剤の例としては、制限されず、沈降非晶質シリカ、湿式シリカ(水和ケイ酸)、乾式シリカ(無水ケイ酸)、ヒュームドシリカ、ケイ酸カルシウム等が挙げられる。他の適切な充填剤としては、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム等が挙げられる。本発明のために、シリカの表面積は、約32m2/g〜約400m2/gにすべきであり、約100m2/g〜約250m2/gの範囲が好ましく、約150m2/g〜約220m2/gの範囲が最も好ましい。シリカ充填剤のpHは一般に約5.5〜約7か、わずかに超える程度であり、好ましくは約5.5〜約6.8である。
【0024】
シリカは、エラストマー100部当たり約0〜約100重量部(phr)の量で用いることができ、約5〜約80phrの量で用いるのが好ましく、約30〜約80phrの量で用いるのがより好ましい。有用な上限の範囲は、この種の充填剤により付与される高粘度によって制限される。用い得る市販のシリカの一部としては、制限されず、PPGインダストリーズ社(ピッツバーグ、PA)製のHi−Sil(登録商標)190、Hi−Sil(登録商標)210、Hi−Sil(登録商標)215、Hi−Sil(登録商標)233、Hi−Sil(登録商標)243等が挙げられる。また、異なるシリカの有用な商用銘柄の多数は、デグッサ社(ピスカタウエイ、NJ)(例えばVN2、VN3)、ローヌプーラン社(例えばゼオシール(登録商標)1165MP)、J.M.フーバー社(エジソン、NJ)から市販されている。
【0025】
補強性充填剤としてカーボンブラックとシリカの両方を組み合わせて用いる場合には、カーボンブラック:シリカが約10:1〜約1:4の比でしばしば用いられる。
【0026】
<界面活性剤>
本発明に従う界面活性剤の選択は、得られた組成物の望ましい視覚的性能及び粘弾性能に基づいて行う。
【0027】
本発明の界面活性剤は、化学構造の中に硫黄基,―S―を有することが望ましい。
【0028】
上記界面活性剤は、チオエーテル化合物であることがより好ましく、下記の式1:
94-(O-CH2-CH2)n-O-CH2-CH2-S-CH2-O-(CH2-CH2-O)n-C49
で表されるエーテルチオエーテルであることが最も望ましい。
【0029】
エーテルチオエーテル界面活性剤の二つの例は、バルカノール(Vulkanol)(登録商標)85及びバルカノール(登録商標)OTであって、前者が好ましく、両方ともバイエル社で製造されている。
【0030】
加硫性ゴム組成物に混合すべき界面活性剤の量は、所望の最終外観や予想されるオゾン暴露のような他の環境事情によって決まる。界面活性剤の量は、約0〜約10phr(ゴム100部に対する部数−ここで「ゴム100部」とはエラストマー100部を意味する)の範囲であり、約0.5〜約5phrの範囲が好ましい。
【0031】
<更なる及び任意の配合剤>
ゴム配合に用いる更なる配合剤としては、加硫パッケージ、加工助剤、酸化防止剤とオゾン劣化防止剤、カップリング剤等を挙げることができる。過度の試験をすることなく特許及び技術文献を利用して、当業者は、望ましい特定のゴム製品に応じ、後の構造及び加硫に向けた特定の加硫性ゴム組成物の数々を開発することができる。
【0032】
例えば、制限するものではないが、本発明の組成物はまた、典型的に下記の量でこのような更なる配合剤を含有する。
充填剤:約0〜約150phr,好ましくは約30〜約80phr;
プロセス油/加工助剤:約0〜約75phr,好ましくは約0〜約40phr;
劣化防止剤:約0〜約10phr,好ましくは約0〜約5phr;
ステアリン酸:約0〜約5phr,好ましくは約0〜約3phr;
酸化亜鉛:約0〜約10phr,好ましくは約0〜約5phr;
硫黄:約0〜約10phr,好ましくは約0〜約4phr;
促進剤:約0〜約10phr,好ましくは約0〜約5phr.
【0033】
<発明の有用性>
ゴム組成物への硫黄官能基,―S―を含有する界面活性剤の添加は、オゾンに暴露した際に暴露した表面上に光沢のある被膜を形成するゴムの表面を思いがけなくもたらす。
【0034】
特殊な理論に制限されないが、ゴム組成物において、硫黄官能基,―S―を含有する界面活性剤の使用によって、従来のゴム組成物が有する問題、即ち大気中のオゾンに暴露したゴムの表面の変色が処理される。本発明においては、特定の界面活性剤の添加によって、オゾンからの保護を維持しながら魅力的な外観の表面を有する組成物がもたらされる。
【0035】
本発明の更なる実施態様を下記の実施例に記載する。
【実施例】
【0036】
<一般的な実験手順>
1.レオメーター
レオメーターを用いて、配合したゴムの硬化特性を測定する。今回の発明にて記載されているゴム試料の硬化を測定するのに用いた手順は、ASTM D2084に準拠するものである。試料の大きさは、直径30mm、厚さ12.5mm、つまり体積8cm3相当であった。装置は、モンサントレオメーターMDR2000型を用いた。
【0037】
2.引張応力、引張強さ、破断点伸び
引張応力、引張強さ(最大歪における応力)、破断点伸びは、一般にASTM D 412(1998)B法に従って測定される。加硫ゴム試験片を、D 412 Bのタイプ1のダイを用いてリングの形状に切り取る。上記特性の測定は、試験片の元の断面積を基準とする。インストロン引張試験機のような一様な掴み具分離速度を実現するために、適切なダイナモメーター及び加えた力を測定するための指示系統又は記録系統を備える計測器を、試験片の伸びの測定と併せて用いる。引張応力(100%(M100)及び300%(M300))、引張強さ(TB)、伸び(EB)を、ASTM D 412(1998)に示されている計算法に従って算出する。
【0038】
3.反発弾性
反発弾性、つまり戻しエネルギーと渡しエネルギーの比に基づくゴム試料のレジリエンスは、一般にASTM D1054−91(2000)の試験法に従い測定される。ゴム試料を混練し、ASTM D1054に従い、指定された金型を用いて加硫する。次に、加硫した試料を状態調整に先立ってタルクで被覆する。オーブン中の試料を要求された温度で約1時間状態調整する。状態調整した試料を、振り子が該試料に衝突して振動するようにツヴィック型反発弾性試験機に置き、後方に振り子が跳ね返る角度を測定する。反発弾性の百分率をD1054−91(2000)で見出された方程式を用いて算出する。
【0039】
4.オゾン試験(ベントループ)
ベントループ表面のオゾン亀裂は、材料の耐オゾン性を評価するのに役立つ。試験を受ける材料から粗粒の状態で2.54cm×2.54cm×1.91mm〜2.54mmのストリップを切り取る。それから、このゴムストリップを長さ7.62cmの二つの試料に切る。試料にラベルを貼り付け、4.44cmの標線を付けた後に、各試料を真ん中で折り、端部を大型クリップと一緒にクランプで締め付ける。次に、試料を棒に取り付け、それ故に該試料は試験中、直立位置にある。
【0040】
上記試料をオゾン室で7日間放置する。オゾン室は、37.8℃±1℃の温度で空気1億部に対してオゾン50部の状態に保たれる。亀裂について試料を毎日点検する。亀裂の最初の徴候の時間を記録する。試料を7日目にオゾン室から取り出し、亀裂の程度について目視検査を行う。
【0041】
5.色彩と光沢
色彩と光沢は、ミノルタ社製CM2600D分光光度計を用いて決定され、製造者標準に準拠して検量した。タイヤドラム上で回転させながら、タイヤに空気1億部当たり25部のオゾンを照射する。このために、オゾンボックス,OREC型0500/DM100とオゾンモニター,(登録商標)OREC型O3DM100とを用いる。様々な時間で、回転するタイヤを停止し、分光光度計の測定値を記録する。これら測定値L,a,bの三軸を描き、固有の色彩を特定する。二色間でのベクトル差,dEを下記式:
【数1】

で計算できる。
【0042】
光沢を光が表面に当たることによって生じる分光反射率と定義し、対象物の持つ絶対的な色の分光成分とその表面から10°の角度で反射する色との間のベクトル差として表すことができる。
【0043】
<一般的な実験材料の例>
以下の例において、種々の量のポリエーテルチオエーテル界面活性剤を含むゴム組成物を、このような界面活性剤を含まない組成物と比較する。
【0044】
(実施例1〜5及び比較例A)
比較例Aは、カーボンブラックを充填剤として配合したサイドウォール組成物の典型例であった。実施例1〜5は、上記組成物の改質型であり、各組成物はゴム100部当たり0.5〜3.0部(phr)のバルカノール(登録商標)85を含んでいた。
【0045】
これらの各例は、二つの混合段階で混合した。最初の非生産的混合段階では、配合剤を約155℃の温度まで約120秒間混合した。次に、最後の生産的混合段階において、得られたゴム組成物を硫黄加硫剤、促進剤、酸化防止剤、及び状況に応じてバルカノール(登録商標)85と共に約77℃の最高温度まで約145秒間混合した。
【0046】
表1は、比較例Aと実施例1〜5それぞれの配合処方である。
【0047】
【表1】

【0048】
次に、これら各組成物の試料を約170℃の温度で約15分間加硫した。得られた加硫ゴムの物性を表2に示す。
【0049】
【表2】

【0050】
表2に示すデータから明らかなように、ブラックサイドウォール組成物の物性は、バルカノール(登録商標)85の添加による影響をほとんど受けない。
【0051】
(実施例6〜7及び比較例B)
比較例Bは、カーボンブラックを充填剤として配合したサイドウォールの典型例であった。実施例6〜7は、上記組成物の改質型であり、各組成物は0.75phrか1.75phrのバルカノール(登録商標)85を含んでいた。
【0052】
比較例B及び実施例6,7のそれぞれは、二つの混合段階で混合した。最初の非生産的混合段階では、配合剤を約155℃の温度まで約120秒間混合した。次に、最後の生産的混合段階において、得られたゴム組成物を硫黄加硫剤、促進剤、酸化防止剤、及び状況に応じてバルカノール(登録商標)85と共に約77℃の最高温度まで約145秒間混合した。
【0053】
この組の例のゴム組成物は、表3に示す配合剤からなる。
【0054】
【表3】

【0055】
次に、比較例B、実施例6、実施例7のそれぞれからなるサイドウォールを有するタイヤを製造した。上述した試験手順に従い色彩と光沢のデータを得た。かかる試験の結果を表4に示す。
【0056】
【表4】

【0057】
図1は、汚染性(b)と試料にオゾンを照射した時間との関係を示すグラフである。この図から明らかなように、比較例Bと実施例6は、オゾンの照射量が増加するにつれて、ゴム表面の汚染性の上昇、つまりゴム表面の変色を示す。実施例7におけるb値のプロットは、オゾン照射を増大してもほとんど不変である。この図は、バルカノール(登録商標)85の量を増加することによって、ゴム試料の表面変色を防ぐことを立証する。
【0058】
図2は、試料の光沢の発現性(光沢dE)と、これら試料をオゾン室に入れていた時間との関係を示すグラフである。この場合も、低いレベルのバルカノール(登録商標)85を含む組成物(実施例6)は、対照組成物(比較例B)と同様のデータを示した。高いレベルのバルカノール(登録商標)85を含む組成物(実施例7)は、上記組成物のいずれよりも極めて高い光沢値を示す。
【0059】
本発明は、上記実施態様に制限されるものではなく、特許請求の範囲に従う。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】図1は、ゴムの表面の汚染性(b)とかかる試料にオゾンを照射した時間との関係を示すグラフである。
【図2】図2は、ゴム試料の光沢の発現性(光沢dE)と該試料をオゾン室に入れていた時間との関係を示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
硫黄官能基を含有する界面活性剤を少なくとも含むゴム組成物。
【請求項2】
界面活性剤が更にチオエーテルを含む請求項1に記載のゴム組成物。
【請求項3】
界面活性剤が下記の式:
94-(O-CH2-CH2)n-O-CH2-CH2-S-CH2-O-(CH2-CH2-O)n-C49
で表されるエーテルチオエーテルを更に含む請求項2に記載のゴム組成物。
【請求項4】
エラストマー100部当たり硫黄官能基を含有する界面活性剤を約0.02〜10部含むエラストマーベースのゴム組成物。
【請求項5】
エラストマー100部当たりチオエーテル界面活性剤を約0.02〜10部含むエラストマーベースのゴム組成物。
【請求項6】
エラストマーが重合体主鎖に不飽和を有する請求項4に記載のゴム組成物。
【請求項7】
界面活性剤が下記の式:
94-(O-CH2-CH2)n-O-CH2-CH2-S-CH2-O-(CH2-CH2-O)n-C49
で表されるエーテルチオエーテルである請求項4に記載のゴム組成物。
【請求項8】
エラストマー100部に基づいて硫黄官能基を含有する界面活性剤を約0.02〜10部含む加硫したタイヤのサイドウォール。
【請求項9】
硫黄含有界面活性剤を含む加硫したサイドウォール部を備えるタイヤ。
【請求項10】
加硫ゴムの露出した表面上に被膜を形成する方法において、
硫黄官能基を含有する界面活性剤約0.02〜10部をゴム組成物に添加することと、
前記ゴム組成物を加硫することと、
加硫ゴム組成物にオゾンを照射することとを含む被膜の形成方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2007−502348(P2007−502348A)
【公表日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−523315(P2006−523315)
【出願日】平成16年8月11日(2004.8.11)
【国際出願番号】PCT/US2004/025954
【国際公開番号】WO2005/017020
【国際公開日】平成17年2月24日(2005.2.24)
【出願人】(504428038)ブリヂストン/ファイヤストーン ノース アメリカン タイヤ エルエルシー (13)
【Fターム(参考)】