説明

非発泡ポリウレタン用ポリエーテルポリオール

【課題】 それから得られるプレポリマーを用いた樹脂の伸び物性が良好な、非発泡ポリウレタン用ポリエーテルポリオールを得る。
【解決手段】 2官能ポリエーテルポリオール(a)または(a)と3質量%以下の3官能以上の活性水素化合物(b)からなるポリエーテルポリオール(A)であって、(A)の数平均分子量が900〜2200であり、(A)と4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートとを当量比1:2で、反応温度100℃で反応させて得られるウレタンプレポリマーの粘度Sが下式(1)を満たす非発泡ポリウレタン用ポリエーテルポリオール(A)。
(5.2×107−1.3T2)/T≦S≦(7.1×107−1.3T2)/T:(1)
S:得られるプレポリマーの粘度(mPa・s)/25℃
T:ポリエーテルポリオール(A)の分子量

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は非発泡ポリウレタン用ポリエーテルポリオールに関するものであり、さらに詳しくは、シーラント、接着剤等に用いるプレポリマー用途に適したポリエーテルポリオール関する。
【背景技術】
【0002】
プレポリマー用途に使用されるポリエーテルポリオールは、有機ポリイソシアネートと反応させプレポリマーにすることで、シーラントや接着剤等の主剤となる。使用されるポリエーテルポリオールは2官能または3官能のものが多く用いられている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
一般に2官能ポリエーテルポリオールから得られるプレポリマーは、2官能ポリエーテルポリオールの市販品中には、微量の不純分が含有されることが多く、不純物の影響で、プレポリマーから得られる樹脂の伸び物性が低下するという問題がある。また、プレポリマーの粘度が過剰に増加することがあり、反応条件の調整や最適化が必要になることから生産性が悪化する。また生産毎に粘度のバラツキが発生するため商品としての取り扱いが不便になる等の問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明者らは、これらの問題点を解決するべく鋭意検討した結果、本発明を完成した。
即ち本発明は、2官能ポリエーテルポリオール(a)または(a)と3質量%以下の3官能以上の活性水素化合物(b)からなるポリエーテルポリオール(A)であって、(A)の数平均分子量が900〜2200であり、(A)と4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートとを当量比1:2で、反応温度100℃で反応させて得られるウレタンプレポリマーの粘度Sが下式(1)を満たす非発泡ポリウレタン用ポリエーテルポリオール(A);並びに(A)と有機ポリイソシアネート(B)から得られる非発泡用ポリウレタン用プレポリマー;である。
(5.2×107−1.3T2)/T≦S≦(7.1×107−1.3T2)/T:(1)
S:得られるプレポリマーの粘度(mPa・s)/25℃
T:ポリエーテルポリオール(A)の数平均分子量
【発明の効果】
【0005】
本発明の非発泡ポリウレタン用ポリエーテルポリオールを用いることにより、伸び物性が良好な非発泡ポリウレタンが得られる。またプレポリマーが過剰に増粘することがなく、生産性が良好で、かつ生産毎の粘度幅が小さく取り扱いが容易となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明の非発泡ポリウレタン用ポリエーテルポリオール(A)中に含有する、2官能ポリエーテルポリオール(a)としては、例えば2価アルコール、2価フェノール、2価アミン、2価カルボン酸等の、2個の活性水素を有する化合物に、炭素数2〜8またはそれ以上のアルキレンオキサイド(以下AOと略記する。)が付加された構造の化合物が挙げられ、2種以上を併用してもよい。
【0007】
上記2価アルコールとしては、炭素数2〜20の2価アルコール(脂肪族ジオール、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−および1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコールなどのアルキレングリコール;および脂環式ジオール、例えば、シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノールなどのシクロアルキレングリコール)2種以上の併用などが挙げられる。
【0008】
2価フェノールとしては、ハイドロキノン等の単環2価フェノール;ビスフェノールA、ビスフェノールF、およびビスフェノールスルホン等のビスフェノール類;フェノールとホルムアルデヒドの縮合物(ノボラック);たとえば米国特許第3265641号明細書に記載のポリフェノール;およびこれらの2種以上の併用などが挙げられる。
【0009】
2価アミンとしては、活性水素の数が2個のものが挙げられ、脂肪族アミンとして、炭素数1〜20のアルキルアミン(例えば、n−ブチルアミンおよびオクチルアミン)、炭素数2〜20の2価アルカノールアミン(例えば、メチルジエタノールアミン)、および炭素数6〜20の芳香族モノアミン(例えば、アニリン);炭素数4〜20の2価脂環式アミン(例えば、シクロヘキシルアミン)などが挙げられる。
【0010】
ジカルボン酸としては、炭素数4〜18の脂肪族ジカルボン酸(コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、グルタル酸、アゼライン酸など)、炭素数8〜18の芳香族ジカルボン酸(フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸など)、およびこれらの2種以上の混合物があげられる。
これらの活性水素含有化合物は2種以上を併用してもよい。これらの中で好ましくは2価アルコールである。
【0011】
上記活性水素含有化合物に付加させるAOしては、プロピレンオキシド(以下POと略称する。)であることが好ましいが、AO中10質量%(以下、とくに記載のない限り、%は質量%を意味する。)以下(とくに5%以下)の範囲で、エチレンオキシド(以下EOと略称する。)を除く他のAOが併用された付加物であっても好ましい。他のAOとしては、炭素数4〜8のものが好ましく、1,2−、1,3−、1,4−、または2,3−ブチレンオキシド、およびスチレンオキシド等が挙げられ、2種以上用いてもよい。
POと他のAOを併用する場合の付加方法としては、ブロック付加、またはランダム付加、およびこれらの併用のいずれでもよい。
AO付加時に用いる触媒としては、通常用いられるアルカリ触媒(KOH、CsOH等)の他、特開2000−344881号公報に記載の触媒〔トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン等〕、特開平11−120300号公報に記載の触媒(過塩素酸マグネシウム等)を用いてもよい。(以下のAO付加物についても同様。)
【0012】
(a)の数平均分子量は、好ましくは900〜2200(JIS K1557に基づき水酸基価を測定し、次の計算式により分子量を算出した値:「56100÷水酸基価×出発物質の官能基数」、以下の数平均分子量についても同様)、さらに好ましくは1000〜2040である。
【0013】
ポリエーテルポリオール(a)の、数平均分子量が2200以下では、反応性が良好で、プレポリマーが樹脂化した後の樹脂の硬さが十分であり、樹脂強度も良好となる。900以上だと、プレポリマーが樹脂化した後の伸び物性が良好となる。
【0014】
ポリエーテルポリオール(A)中には、2官能ポリエーテルポリオール(a)以外に、必用により3官能以上の活性水素化合物(b)を含有してもよい。
(b)としては、3価以上のポリエーテルポリオール、3価以上のポリエステルポリオール、これら以外の3価以上の各種ポリオールが挙げられ2種以上を併用してもよい。
上記3価以上のポリエーテルポリオールとしては、例えば、多価アルコール、多価フェノール、アミン、ポリカルボン酸、リン酸等のうち、少なくとも3個の活性水素を有する化合物に、炭素数2〜8またはそれ以上のAOが付加された構造の化合物が挙げられる。活性水素含有化合物としては、2種類以上併用してもよい。
【0015】
上記3価以上の多価アルコールとしては、炭素数3〜20の3価アルコール(脂肪族トリオール、例えば、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ヘキサントリオールなどのアルカントリオール);炭素数5〜20の4〜8価またはそれ以上の多価アルコール(脂肪族ポリオール、例えば、ペンタエリスリトール、ソルビトール、マンニトール、ソルビタン、ジグリセリン、ジペンタエリスリトールなどの、アルカンポリオールおよびそれらもしくはアルカントリオールの分子内もしくは分子間脱水物;ならびにショ糖、グルコース、マンノース、フルクトース、メチルグルコシドなどの糖類およびその誘導体)、およびこれらの2種以上の併用などが挙げられる。
【0016】
3価以上(3〜8価またはそれ以上)のフェノールとしては、ピロガロール、フロログルシン等の単環多価フェノール;;たとえば米国特許第3265641号明細書に記載のポリフェノール;およびこれらの2種以上の併用などが挙げられる。
【0017】
3価以上のアミンとしては、活性水素の数が3〜8個またはそれ以上のものが挙げられ、アンモニア;脂肪族アミンとして、炭素数2〜20のアルカノールアミン(例えば、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、イソプロパノールアミンおよびアミノエチルエタノールアミン)、炭素数2〜6のアルキレンジアミン(例えば、エチレンジアミン、プロピレンジアミンおよびヘキサメチレンジアミン)、炭素数4〜20のポリアルキレンポリアミン(アルキレン基の炭素数が2〜6のジアルキレントリアミン〜ヘキサアルキレンヘプタミン、例えば、ジエチレントリアミンおよびトリエチレンテトラミン)が挙げられる。
また、炭素数6〜20の芳香族ポリアミン(例えば、フェニレンジアミン、トリレンジアミン、キシリレンジアミン、ジエチルトルエンジアミン、メチレンジアニリンおよびジフェニルエーテルジアミン);炭素数4〜20の脂環式アミン(例えば、イソホロンジアミン、シクロヘキシレンジアミンおよびジシクロヘキシルメタンジアミン);炭素数4〜20の複素環式アミン(例えば、ピペラジン、アミノエチルピペラジンおよび特公昭55−21044号公報記載のもの)およびこれらの2種以上の併用などが挙げられる。
【0018】
3価以上のポリカルボン酸としては、炭素数8〜18の芳香族ポリカルボン酸(トリメリット酸など)、およびこれらの2種以上の混合物があげられる。
これらの3価以上の活性水素含有化合物に付加させるAOしては、前記と同様のものが挙げられ、好ましいものも同様である。
【0019】
3価以上のポリエステルポリオールとしては、前記の2価アルコールまたは3価以上の多価アルコールと、前記ジカルボン酸もしくは3価以上のポリカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体〔酸無水物、低級アルキル(アルキル基の炭素数:1〜4)エステル等〕、または前記ジカルボン酸もしくは3価以上のポリカルボン酸無水物およびAOとの縮合反応物;そのAO(EO、PO等)付加物;ポリラクトンポリオール、例えば前記3価以上の多価アルコールを開始剤としてラクトン(ε−カプロラクトン等)を開環重合させることにより得られるもの;ポリカーボネートポリオール、例えば前記3価以上の多価アルコールとアルキレンカーボネートとの反応物;等が挙げられる。
【0020】
3価以上の各種ポリオールとしては、ポリブタジエンポリオール等のポリジエンポリオールおよびそれらの水添物;アクリル系ポリオール、特開昭58−57413号公報および特開昭58−57414号公報等に記載された水酸基含有ビニル重合体;ヒマシ油等の天然油脂系ポリオール;ヒマシ油変性物(例えば多価アルコールエステル交換生成物、水添物)等の天然油脂系ポリオールの変性物;国際公開WO98/44016号公報に記載の末端ラジカル重合性官能基含有活性水素化合物;3価以上のポリエーテルポリオールをメチレンジハライド等のアルキレンジハライド等でジャンプした変性ポリオール;3価以上のポリエーテルポリオールのOH末端プレポリマー;等が挙げられる。
これらの中で好ましくは3価以上のポリエーテルポリオールである。
【0021】
(A)中の3官能以上の活性水素化合物(b)の量は、通常は3%以下、好ましくは1%以下、さらに好ましくは0.5%以下である。
(b)が3%を越えるとプレポリマーの粘度が過剰に増加する。
【0022】
本発明のポリエーテルポリオール(A)の数平均分子量は、通常900〜2200、好ましくは1000〜2040である。
(A)の、数平均分子量が2200を越えると、反応性が不足し、プレポリマーが樹脂化した後の樹脂の硬さが不十分であり樹脂強度も低下する。900未満であるとプレポリマーが樹脂化した後の伸び物性が低下する。
【0023】
ポリエーテルポリオール(A)は、下記式(1)の関係を満たす。また、下記式(1’)の関係を満たすのが好ましい。式(1)の関係を満たすと、プレポリマーの取り扱いが容易であり、反応性が良好で、プレポリマーが樹脂化した後の樹脂の硬さと伸び物性が共に良好となる。
(5.2×107−1.3T2)/T≦S≦(7.1×107−1.3T2)/T:(1)

1.02(5.2×107−1.3T2)/T≦S
≦0.98(7.1×107−1.3T2)/T:(1’)

S:得られるプレポリマーの粘度(mPa・s)/25℃
T:ポリエーテルポリオール(A)の数平均分子量
ここで、(A)の数平均分子量は前述の方法で求められる。粘度Sは以下の方法で求られる。
【0024】
1Lのガラス製コルベン内を窒素通気し、気相酸素濃度を100ppm以下とする。4,4−ジフェニルメタンジイソシアネートを40℃以下で仕込み、攪拌速度120rpmで攪拌下、ポリエーテルポリオール(A)を所定量混合する〔(A)と4,4−ジフェニルメタンジイソシアネートは当量比1:2で全量500gで実施〕。次いで窒素通気下で反応温度100℃まで加熱し、プレポリマー化反応を促進させる。1時間毎にサンプリングを実施してプレポリマーのNCO%を測定し、NCO%の低下が0.1%以下となるまで反応を継続し、プレポリマーを得る。NCO%の測定は以下の方法で実施する。
NCO%測定法:試料3gに0.5mol/Lのジ−n−ブチルアミン・トルエン溶液を30ml加え試料を溶解し、緩く栓をし15分静置する。2−プロパノール100mlとブロムクレゾールグリーン指示薬を加え、0.5mol/Lの塩酸で滴定する。試料溶液の色が青から黄色に変色する点を終点とする。上記操作を試料採取無しで実施し、空試験とする。試料滴定量A(ml)、空試験滴定量B(ml)、サンプル量の秤量値S1(g)から、下式によってNCO%を算出する。
NCO%=42.02×0.5×(B−A)÷1000÷S1。
また得られたプレポリマーの粘度は、液温を25℃に温調した後、B型粘度計の4号ローターで測定する(回転数は得られるプレポリマー粘度に応じて測定可能な範囲に変更する)。
【0025】
ポリエーテルポリオール(A)中に、オキシエチレン単位を持つポリエーテルポリオールを含有した場合、得られるプレポリマーの粘度が大幅に上昇することがある。(A)中のオキシエチレン単位の含有量は、好ましくは100ppm以下、さらに好ましくは50ppm以下である。(A)中のオキシエチレン単位の含有量が100ppm以下の場合、粘度は異常増粘することなく良好となる
ポリエーテルポリオールのオキシエチレン単位は、通常EOの付加によって形成されるが、原料としてEOを用いないポリエーテルポリオールであっても、特に工業製品の場合、反応容器の洗浄が不十分であると、微量の前回生産品が残存し、オキシエチレン単位を有するポリオールが混入することがある。オキシエチレン単位の含有量が100ppm以下のポリエーテルポリオールを得る方法としては、例えば、十分に洗浄した反応容器で製造する、オキシエチレン単位を有しないポリエーテルポリオールで共洗いした反応容器を用いる、という方法がある。
なお、オキシエチレン単位の含有量を変化させた試料は、十二分に洗浄した容器で作成したオキシエチレン単位含量0ppmのサンプルと、既知のオキシエチレン単位含量のサンプルとを配合して得ることができる。
【0026】
ポリエーテルポリオール(A)は、酸素存在下で加熱することによりアルデヒドを副生する。ポリエーテルポリオール中のアルデヒド含量が多いと、プレポリマー化反応において副反応が起こり、得られるプレポリマーの粘度が上昇する。
アルデヒド含量は、好ましくは50ppm以下、さらに好ましくは45ppm以下、とくに好ましくは32ppm以下である。
アルデヒド含量が50ppm以下であるとプレポリマーの粘度が良好である。
アルデヒド含量の測定は、塩酸ヒドロキシルアミン法(試料約20gに塩酸ヒドロキシルアミン10ml加え試料溶解後、1時間静置し反応させる。メタノールを50ml加え0.1mol/Lの水酸化カリウムで電位差滴定する。上記操作を試料採取無しで実施し空試験とする。試料滴定量P(ml)、空試験滴定量Q(ml)、サンプル量の秤量値S2(g)から、下式によってアルデヒド含量を算出する。
アルデヒド含量(ppm)=(P−Q)×0.29/S2×10000
アルデヒド含量50ppm以下のポリエーテルポリオールは、例えば、窒素雰囲気下で、ポリエーテルポリオールの製造および後処理を行うことにより得られる。
なお、アルデヒド含量を変化させた試料は、窒素存在下で処理したアルデヒド含量0ppmのサンプルと、酸素存在下で処理したアルデヒド含量100〜200ppmのサンプルを配合して得ることができる。
【0027】
本発明の非発泡ポリウレタン用プレポリマーは、ポリエーテルポリオール(A)と有機ポリイソシアネート(B)を反応させて得られる。
有機ポリイソシアネート(B)としては、通常ポリウレタンフォームに使用される2〜8価またはそれ以上の有機ポリイソシアネートはすべて使用でき、芳香族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート、脂環式ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネート、これらの変性物(例えば、ウレタン基、カルボジイミド基、アロファネート基、ウレア基、ビューレット基、イソシヌアレート基、またはオキサゾリドン基含有変性物など)およびこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
【0028】
芳香族ポリイソシアネートとしては、炭素数(NCO基中の炭素を除く;以下のポリイソシアネートも同様)6〜16の芳香族ジイソシアネート、炭素数6〜20の芳香族トリイソシアネートおよびこれらのイソシアネートの粗製物などが挙げられる。具体例としては、2,4−および2,6−トリレンジイソシアネート(TDI)、1,3−および1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート(粗製MDI)、ナフチレン−1,5−ジイソシアネート、トリフェニルメタン−4,4’,4’’−トリイソシアネートなどが挙げられる。
脂肪族ポリイソシアネートとしては、炭素数6〜10の脂肪族ジイソシアネートなどが挙げられる。具体例としては、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネートなどが挙げられる。
脂環式ポリイソシアネートとしては、炭素数6〜16の脂環式ジイソシアネートなどが挙げられる。具体例としては、イソホロンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネートなどが挙げられる。
芳香脂肪族ポリイソシアネートとしては、炭素数8〜12の芳香脂肪族ジイソシアネートなどが挙げられる。具体例としては、キシリレンジイソシアネート、α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネートなどが挙げられる。
変性ポリイソシアネートの具体例としては、カルボジイミド変性MDIなどが挙げられる。
【0029】
これらのイソシアネートの中で好ましくは、芳香族ポリイソシアネートであり、さらに好ましくは、TDI、MDI、粗製MDI、およびこれらのイソシアネートの変性物から選ばれる1種以上であり、とくに好ましくはMDIである。
【0030】
本発明のプレポリマーの製造法の一例を示せば、下記の通りである。
まず、有機ポリイソシアネート(B)を40℃以下で仕込み、攪拌下、ポリエーテルポリオール(A)を所定量混合する。次いで反応温度(例えば80〜120℃)まで加熱し、プレポリマー化反応を促進させる。経時的にサンプリングを実施し、プレポリマーのNCO含量の低下が0.1%以下/1時間となるまで反応を継続し、プレポリマーを得る。NCO%の測定は前記の方法による。
本発明の非発泡ポリウレタン用プレポリマーのNCO含量は、用途、目的により異なるが、好ましくは3.0〜6.0%、さらに好ましくは3.1〜5.9%である。
【0031】
本発明のポリウレタン用プレポリマーは、空気中での湿式硬化あるいは、硬化剤(前記2価アルコール、2価アミン、3価以上の多価アルコール、3価以上のアミン等の活性水素化合物など)との反応により、シーリング材や接着剤として使用される。
【実施例】
【0032】
以下、実施例により本発明をさらに説明するが、本発明はこれにより限定されるものではない。なお、以下、部は質量部を意味する。
【0033】
実施例および比較例における原料は次の通りである。なお、ポリオールはいずれも純度100%品を用いた。
(1)ポリエーテルポリオールa−1:プロピレングリコールにPOを付加させて得られた、官能基数2、数平均分子量1000のポリオキシプロピレンポリオール。アルデヒド含量18ppm。
(2)ポリエーテルポリオールa−2:プロピレングリコールにPOを付加させて得られた、官能基数2、数平均分子量2000のポリオキシプロピレンポリオール。アルデヒド含量32ppm。
(3)ポリエーテルポリオールa−3:プロピレングリコールにPOを付加させて得られた、官能基数2、数平均分子量850のポリオキシプロピレンポリオール。アルデヒド含量29ppm。
(4)活性水素化合物b−1:グリセリンにPOを付加させて得られた、官能基数3、数平均分子量3000のポリオキシプロピレンポリオール。アルデヒド含量25ppm。
(5)活性水素化合物b−2:グリセリンにPOを付加させたのちEOを付加させて得られた、官能基数3、数平均分子量5000、オキシエチレン単位含量14%のポリオキシプロピレンポリオキシエチレンポリオール。アルデヒド含量33ppm。
【0034】
(6)有機ポリイソシアネートB−1:4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート〔日本ポリウレタン工業(株)製「ミリオネートMT」〕
【0035】
実施例1〜3および比較例1〜3
有機ポリイソシアネートを40℃以下で仕込み、攪拌下ポリエーテルポリオールを表1に記載の部数混合した(有機ポリイソシアネートとポリエーテルポリオールの当量比2:1)。次いで反応温度100℃まで加熱し、プレポリマー化反応を促進させた。経時的にサンプリングを実施しプレポリマーのNCO含量が一定(変化量が0.1%/1時間以下)となるまで反応を継続し、プレポリマーを得た。各プレポリマーの粘度の測定結果を表1に示す。
また得られたプレポリマーは次の方法で樹脂化し伸び物性を測定した。
ポリエチレンを表面に広げた板に高さ1mmの囲いを作り、プレポリマーを均一に塗布し25℃、湿度60%の条件下で72時間静置して樹脂化を促進させ、厚さ1mmの樹脂を得た。また伸び物性はJIS K6301に準じて測定をおこなった。
【0036】
【表1】

【0037】
以上の結果から、本発明の方法により得られた実施例1〜3のプレポリマーは、比較例1〜3のプレポリマーに比べ、得られる樹脂の伸び物性が良好であることがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明のポリエーテルポリオールおよびプレポリマーは、それから得られる樹脂の伸び物性が良好である。またプレポリマーの生産性が良好であり、かつ粘度が一定でプレポリマーの取り扱いが容易であるので、シーラントや接着剤等の非発泡ポリウレタンの原料として有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2官能ポリエーテルポリオール(a)または(a)と3質量%以下の3官能以上の活性水素化合物(b)からなるポリエーテルポリオール(A)であって、(A)の数平均分子量が900〜2200であり、(A)と4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートとを当量比1:2で、反応温度100℃で反応させて得られるウレタンプレポリマーの粘度Sが下式(1)を満たす非発泡ポリウレタン用ポリエーテルポリオール(A)。
(5.2×107−1.3T2)/T≦S≦(7.1×107−1.3T2)/T:(1)
S:得られるプレポリマーの粘度(mPa・s)/25℃
T:ポリエーテルポリオール(A)の数平均分子量
【請求項2】
ポリエーテルポリオール(A)中のオキシエチレン単位の含有量が100ppm以下である請求項1記載のポリエーテルポリオール(A)。
【請求項3】
アルデヒド含量が50ppm以下である請求項1または2記載のポリエーテルポリオール(A)。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか記載のポリエーテルポリオール(A)と有機ポリイソシアネート(B)から得られる非発泡ポリウレタン用プレポリマー。

【公開番号】特開2007−204569(P2007−204569A)
【公開日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−23940(P2006−23940)
【出願日】平成18年1月31日(2006.1.31)
【出願人】(000002288)三洋化成工業株式会社 (1,719)
【Fターム(参考)】