説明

面状光源ユニット

【課題】光源と導光板の厚みが異なっても導光効率が低下しない面状光源ユニットを提供する。
【解決手段】実装面に対し平行方向に光軸を有するよう側面部に凹部からなる開口部15を有し、前記凹部の底面に発光素子11が搭載される側面発光装置1と、前記側面発光装置1からの光を導光部22から導光し、前記側面発光装置1よりも厚い導光板2と、からなる面状光源ユニットにおいて、前記導光板2の導光部22の厚さ方向の中心を通り、且つ前記実装面に平行となる仮想軸上に、前記発光素子11が搭載されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶バックライト、表示灯や面発光スイッチなどに用いられる側面発光装置、及び面状光源に関する。
【背景技術】
【0002】
今日、発光ダイオード(LED)は表示装置や照明用光源として、様々な分野で利用されている。
【0003】
例えば、液晶バックライト用の面状光源は、光源と導光板とからなり、光源としてはその色再現性の高さや消費電力の低さからLED光源が好適に用いられている(特許文献1)。このようなLED光源として、発光素子を収納するための開口部を有するパッケージを備え、導電性パターンを施した基板と実装面に対し、ほぼ平行な方向に光軸を有するような発光をし、導光板端面から光を入射させる側面発光装置が用いられている(特許文献2)。
【0004】
このような面状光源は薄型化も求められる。特許文献2に記載の側面発光装置では、薄型化を図るため、発光装置の基板実装面である底面側に突出するよう開口部を設け、この突出部に発光素子を搭載する形状が開示されている。
【0005】
一方で導光板は、面全体を均一に照射する機能が求められるが、薄くなるほど均一に発光させることが困難となり、また各部からの光の漏れも生じてしまうため、通常、導光板は光源厚に対し厚く設定される。更には光源と導光板は、部品点数を削減し簡略化するためほとんど同一の面内に配置され、これにより厚さ方向における光源の中心と導光体の中心がずれてしまい、導光効率が低下してしまう。
【0006】
厚さ(高さ)方向のずれによる特性低下を抑制する手段としては、簡単には特許文献1に開示されている表面実装型の発光装置を用いれば、容易にずれを補正できる。しかしながら表面実装型の発光装置では、その形状、仕様から薄型化が困難であり、本問題には対応できない。側面発光装置を用いた手法としては、光源と導光板の実装面の高さを変更、導光板の導光部形状を光源に合わせる、などが考えられる。しかし実装面の高さを変更した場合は、その段差により間に設けられる反射用白色シートが切れるなど信頼性に問題がある他、発光装置から洩れ出た光が段差により散乱されるため、光のロスが生じてしまう。これは薄型の面状光源とした場合に顕著となる。また導光部形状を変更した場合は、取り付け部材の形状や導光板の固定方法なども考慮、変更しなければならず、コストアップの要因となる。薄型の発光装置では各部品が非常に小さいため、これらの構成部品を設計変更することは、非常に問題となる。
【特許文献1】特開2006−154136号公報
【特許文献2】特許第3972889号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上記のような従来の問題点を解消するためのものとして、従来の構成部品を変更することなく低コストで薄型化でき、薄型化しても側面発光装置から導光板への入射光の導光効率が低下しない、高効率で発光可能な面状光源ユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため本発明は、実装面に対し平行方向に光軸を有するよう側面部に凹部からなる開口部を有し、前記凹部の底面に発光素子が搭載される側面発光装置と、前記側面発光装置からの光を導光部から導光する、前記側面発光装置よりも厚い導光板と、断面コの字状を有するよう一体に成形された金属からなる筐体と、を有し、前記筐体の下壁上に少なくとも前記側面発光装置が実装された前記基板を有し、前記導光板は前記上壁と前記下壁に挟持されるよう配置された面状光源ユニットにおいて、前記導光板の導光部の厚さ方向の中心を通り、且つ前記実装面に平行となる仮想軸上に前記発光素子が搭載されている、ことを特徴とする。
【0009】
また前記発光素子は、前記側面発光装置の厚さ方向の中心より、前記実装面から離れる方向にずらして搭載されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の面状光源では、導光板の導光部の厚さ方向の中心を通り、且つ実装面に平行となる仮想軸の延長上に発光素子を設けたことで、導光効率の良い導光部の中心と、発光強度の強い発光素子の中心が合致することから、厚さの異なる導光板と側面発光装置を用いても、導光効率が高く高輝度で発光可能な面状光源が得られる。
【0011】
また、発光素子を実装面から離れる方向にずらして搭載するのみとしたことで、周辺部材の形状や配置方法などを変更することなく、更には従来の面状光源と比べ信頼性を低下させることなく、容易に導光効率を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の好ましい実施の形態を、図面を参照に更に詳細に説明する。ただし、以下に示す実施の形態は、本発明の技術思想を具体化するための側面発光装置、及びこれを用いた面状光源を例示するものであって、本発明の範囲を以下の形態に減縮するものではない。また、各図面に示す部材の大きさや位置関係などは説明を明確にするため誇張しているところがある。
【0013】
図1は面状光源ユニットの構造を示すものであり、図2は図1に示す側面発光装置1と導光板2の位置関係を図示したものである。図2(a)は側面発光装置の正面視であり、開口部15に充填される封止材、及び発光素子11の電極と接続されるワイヤを省略して記載している。図2(b)は(a)におけるA−A’断面図を、導光板2の厚みと比較した図面である。図3は従来の側面発光装置1と導光板2との関係を示した図面である。
【0014】
本実施形態に係る面状光源ユニット10は、図1に示すようにフレキシブル基板(FPC基板)3上に配置された側面発光装置1と、導光板2とが、筐体となるAlプレート7上に配置された構造を有する。また導光体2は輝度ムラを抑制し面全体が均一に発光するよう、その裏面に反射シート5を有している。また、側面発光装置から導光した光が反射シート5の配置された部位までに洩れてしまうことを抑制するため、FPC基板3上から反射シート5の裏面にかけて、白色テープ4を設けている。さらに導光板が光放射面側に浮き上がることを防止し、更には側面発光装置1への干渉を防ぐため、Alプレートはコの字状に形成され、その上面側(光放射面側)の内面に、光洩れを防止するため白色とした反射テープ6が設けられ、反射テープ6により導光板2を固定している。
【0015】
図1の側面発光装置1は、図2(a)に示される様、樹脂成形されたパッケージ12の側面に開口部15を有し、開口部底面に露出したリード13a、14aとそれぞれ導通している外部接続リード13b、14bとを有し、リード13aには発光素子11がマウントされている。尚、図示されていないが発光素子11はリード13a、14aとそれぞれ導電性ワイヤにて接続されている。
【0016】
ここで、従来の面状光源は図3に示されたように、側面発光装置1と導光体2とが筐体の下壁からなるほぼ同一面上に配置されている。この際、発光素子11は側面発光素子の高さ方向におけるほぼ中央(C1)に搭載されている。側面発光素子1の開口面における発光強度分布は発光素子1の直上Mで最も強くなることから、この場合、側面発光装置の中央で発光強度が最大となる。このため導光体2の導光面22の内、厚さ方向の中心C2に対し下壁73側にずれた部位から光を供給することとなるため、導光効率が低下する。
【0017】
更に、図3では側面発光装置1と導光板2とを筐体下壁73に配置した例を示したが、筐体上壁71に対し実装した場合は、上記の場合と同様に、導光面22の厚さ方向の中心C2に対し上壁71側にずれた部位、すなわち導光板上面の発光面21により近い部位からの導光となり、これらの光は導光面(導光部)22に近い部位から外部に放出される結果、光源近傍の輝度が高くなる輝度ムラが発生するため好ましくない。
【0018】
しかし、本発明において、発光素子11は図2(a)、及び(b)に示される様、パッケージ12の厚さ方向の中心となるC1よりも、側面発光装置1の実装面側から離れる方向、すなわち側面発光装置1の上面側に配置されている。側面発光素子1の開口面における発光強度分布は、発光素子1の直上Mで最も強くなることから、発光素子11を上面側にずらすことで、導光面2のほぼ中心C2から光を供給できるようになり、導光効率が向上する。また、発光素子11を導光体の中心C2を通り実装面に平行となる仮想軸上に配置することで、導光効率は最大となるため、面状光源ユニット10の輝度を飛躍的に向上させることができる。更には発光強度の弱い、実装面に近い側から放出される光も、効率的に導光体2へ入射させることができる。
【0019】
また、発光素子11が上面側にずれたことで、発光強度が最大となる点Mの下側(実装面側)の領域が拡大される。ここで、側面発光素子1を筐体下壁73に配置していることで、この比較的発光強度の低い領域から放出される光が導光された際、導光面22の近傍から外部に放射されることを抑制できるため、輝度ムラの無い均一な発光面を得ることができる。
【0020】
上記において、筐体7は上壁71、側壁72、下壁73が、断面コの字状を有するよう一体に成形されている。このように成形することで側面発光装置1、及び導光板2を一体に保持することが可能となり、面状光源のユニット化が容易となるため好ましい。これに加え下壁73を上壁71以上の長さとすることで、板形状で且つ重量の大きい導光板を容易に保持でき更に好ましい。また下壁73のみで導光板2を保持した場合、特に、光出力を高めるため導光板2と下壁73の間に高反射率の反射シート5を配置した場合に、導光板2が下壁73の端部を中心として浮き上がるという不具合が発生する。これは反射シート5が反射率を高めるために粘着性を有していないことに起因する。このため導光板2は上壁71と下壁73で挟持するように配置することが好ましい。この様にすることで下壁73を導光板2に合わせ必要以上に長く形成する必要が無くなり、反射シート5、導光板2などの各部材を一体に安定して保持することが可能となり、更には下壁73の厚み分の薄型化が達成される。
【0021】
また本実施例において、筐体7をAlからなる金属筐体としているが、Alの代わりにCuやFe、またはこれらの合金からなる筐体としても良い。但し、筐体7には側面発光装置から洩れた光を導光体2に導光させる機能が望まれることからAlが好ましい。更には、このような構成とすることで、側面発光装置1から発せられる熱を効果的に放熱でき、信頼性の高い面状光源ユニットを構成することができる。
【0022】
基板3としてはFPC基板を用いた例を示したが、一般に知られるプリント基板を用いても良く、または筐体下壁73を絶縁層で被覆しその上にパターニングされた配線層を用いることも可能である。しかし、面状発光ユニットとしての組み立て性の問題から、プリント基板などの別部材により基板を構成することが好ましい。更に基板が厚くなるとユニット全体の薄型化が阻害されることや、別途設けられる反射シート5や導光板2と干渉しやすくなるため、FPC基板を用いることが更に好ましい。
【0023】
側面発光装置1のパッケージ12はナイロン等の樹脂材料やセラミックス等の無機材料を用いて形成することができる。更にパッケージ12はその成形材料を白色系として材料自体に反射性能を持たせることができる。好ましくは成形状の問題や量産性の問題から、ナイロン樹脂に白色塗料を混入させたパッケージ材を用いることが好ましい。更に好ましくは、ガラスフィラーを混入し拡散反射性を向上させることが望ましい。側面発光装置1においては、その大きさから光の混色が容易でなく、他のLED光源と比べ色ムラの問題が顕著となる。しかしガラスフィラーを混入し拡散反射性を高めることで、薄型でありながら色ムラの少ない側面発光装置1とすることができる。
【0024】
発光素子11には短波長の光を発光するIII族窒化物系半導体発光素子などを用いる。この発光素子へ適当な蛍光体を組み合わせることにより白色発光が得られる。この実施例では発光素子として青色発光するGaN系半導体発光素子と、発光素子から発せられる青色光を吸収して黄色系の光を放出するYAG蛍光体とを選択している。発光素子の発光色は紫色、青色など、蛍光体を励起させることが可能な範囲で、任意に選択することができる。また、赤色、緑色など複数の発光色の異なる蛍光体を用い、色演色性を高めることもできる。
【0025】
発光素子11を側面発光装置1の上面側に配置した場合、パッケージの底面側のリフレクタ傾斜角を緩やかとすることで、発光素子から底面側に発せられる光を効率よく反射し、外部に放射することもできる。リフレクタの傾斜角、及び形状については、公知の手法を用いることができる。
【産業上の利用可能性】
【0026】
本発明の面状光源ユニットは、液晶表示装置のバックライトとして用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本実施の形態における面状光源ユニットの概略図である。
【図2】本実施の形態における側面発光装置の正面図、及び側面発光装置と導光体厚さの関係を示す図である。
【図3】従来の側面発光装置における側面発光装置の正面図、及び側面発光装置と導光体厚さの関係を示す図である。
【符号の説明】
【0028】
1 側面発光装置
2 導光体
3 フレキシブル基板
4 白色テープ
5 反射シート
6 反射テープ
7 Alプレート
10 面状光源ユニット
11 発光素子
12 パッケージ
13a、14a リード
13b、14b 外部接続リード
15 開口部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の実装面に対し平行方向に光軸を有するよう側面部に凹部からなる開口部を有し、前記凹部の底面に発光素子が搭載される側面発光装置と、
前記側面発光装置からの光を導光部から導光する、前記側面発光装置よりも厚い導光板と、
上壁、側壁、及び該上壁以上の長さを有する下壁が、断面コの字状を有するよう一体に成形された金属からなる筐体と、を有し、
前記下壁上に少なくとも前記側面発光装置が実装された前記基板を有し、前記導光板は前記上壁と前記下壁に挟持されるよう配置された面状光源ユニットにおいて、
前記導光板の導光部の厚さ方向の中心を通り、且つ前記実装面に平行となる仮想軸上に、前記発光素子が搭載されている、ことを特徴とする面状光源ユニット。
【請求項2】
前記発光素子は、前記側面発光装置の厚さ方向の中心より、前記実装面から離れる方向にずらして搭載されていることを特徴とする請求項1に記載の面状光源ユニット。





【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−158318(P2009−158318A)
【公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−335672(P2007−335672)
【出願日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【出願人】(000241463)豊田合成株式会社 (3,467)
【Fターム(参考)】