説明

面積式流量計

【課題】 画像センサから被写体となるフロートまでの距離を短縮して小型化を可能とし、フロート位置に対する精度の良い電気信号出力を得る。
【解決手段】 透光性材料から成るテーパ管13が鉛直方向に向けて配置され、テーパ管13内にはフロート14が挿入されている。テーパ管13の長手方向に沿って照明手段15が配置され、テーパ管13の側方には、複数組の光学レンズ16、画像センサ17から成る画像センサユニット18が配置されている。複数組の画像センサユニット18を設けることにより、フロート14の検出範囲が長手方向に分担され、画像センサ17とテーパ管13との距離が短縮される。画像センサ17で得られたフロート14の像の位置を基に、テーパ管13に対するフロート14の位置を求め、流量を検出できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フロートの動きを光学的に検出する面積式流量計に関するものである。
【背景技術】
【0002】
面積式流量計は構造が簡素で使い易く、応答性が良く微小な流量の測定に適し、更には低コストである等の長所があり、広く実用に供せられている。
【0003】
特許文献1には、精度良く小型で安価な光学的に検出を行う面積式流量計が開示されている。この特許文献1では図4に示すように、透光性を有するテーパ管1内に、流体の流量に追従して上下動するフロート2が設けられている。テーパ管1に沿って照明用LED3が配置され、テーパ管1を挟んでレンズ4、画像センサ5が配置されている。画像センサ5で得られたフロート2のデジタル画像からフロート2の位置を検知して、流量を示す電気信号が出力される。
【0004】
また、特許文献2の面積式流量計においては、レンズと画像センサから成る複数組の画像センサユニットをテーパ管に沿って配列し、フロートの動きを検知している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−281431号公報
【特許文献2】特開2001−221666号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の面積式流量計においては、1個の画像センサ5の撮像範囲内にフロート2の全ての可動範囲を投影する必要があるため、通常のレンズを用いた場合にはテーパ管1と画像センサ5の間隔が相当に大きくなり、装置が大型化する。また、テーパ管1までの距離の延長に伴って、画像センサ5に映るフロート2の幅が狭くなるため、カメラ方位の調整が困難となり、フロート2の全位置に対応する電気信号出力の直線性が十分に得られないという問題がある。
【0007】
画角が大きな特殊なレンズを用いることにより、寸法を或る程度は縮小することができるが、視野の端部においては画像が歪んだり、ぼけたりすることがあって、フロート2の位置検出精度が低下する。また、特殊なレンズの製作を必要とし、コストが高くなる等の問題も生ずる。
【0008】
特許文献2は複数組の画像センサユニットを使用しているので、撮像光路を短縮することが可能である。しかし、テーパ管に沿った照明手段を採用してないので、環境の明るさによってはフロートの画像が得られないことがある。
【0009】
本発明は、上述の課題を解決し、複数の画像センサを用いてフロートまでの距離を短縮して小型化が可能で、フロート位置の電気信号出力を良好な特性で出力する面積式流量計を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するための本発明に係る面積式流量計は、鉛直方向に支持した透光性材料から成るテーパ管内に被測定流体を流し、前記被測定流体の流量に依存して上下方向に変位するフロートを前記テーパ管内に配置し、前記フロートの位置を検知することにより流量を求める面積式流量計において、前記テーパ管に沿って長尺の発光体を該発光体の長手方向と直交する方向に照射光を出射するように配置し、前記テーパ管に沿って複数組の画像センサユニットを配置し、前記発光体により照射された前記フロートの画像を前記画像センサユニットにより光学的に検知して前記フロートの位置を検知することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る面積式流量計によれば、画像センサから被写体となるフロートまでの距離を短縮して小型化を可能とし、長尺の発光体を用いることにより、フロート位置に対する精度の良い電気信号出力を出力できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施例1の面積式流量計の構成図である。
【図2】実施例2の上方から見た断面図である。
【図3】実施例2の出力特性図である。
【図4】従来例の面積式流量計の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明を図示の実施例に基づいて詳細に説明する。
【実施例1】
【0014】
図1は実施例1の構成図である。被測定流体の入口部11と出口部12との間に、透光性材料から成るテーパ管13が鉛直方向に向けて配置され、テーパ管13内には被測定流体の流量に依存して上下動するフロート14が挿入されている。
【0015】
テーパ管13の長手方向に沿って照明手段15が配置され、テーパ管13の側方には、その長手方向に沿ってフロート14の位置を検知するための複数組の光学レンズ16、画像センサ17から成る画像センサユニット18が配置されている。
【0016】
照明手段15はテーパ管13の長手方向に沿って配置された例えば直径10mm程度の長尺の棒状体から成る照明ロッド或いは蛍光灯等の発光体とされている。この照明手段15は図示しないマイクロプロセッサ等を含む電気回路とインタフェース回路を介して接続され、長手方向と直交する方向のテーパ管13に向けて、必要に応じてコリメータ等を用いて平行光を発するようにされている。
【0017】
照明ロッドは散乱材が混在された例えば合成樹脂材で製造され、LEDからの光が両端部から内部に入射されると、散乱材により散乱され、外部に照明光が出射するようにされている。この照明ロッドの原材料としては、ポリスチレン等の透明材料が使用され、また混入する散乱材として、シリコン樹脂粒子を使用することができる。
【0018】
画像センサ17には、例えばCCD式、CMOS式、POC式等が使用できるが、目的に合ったものを選択して使用すればよい。
【0019】
各画像センサユニット18においては、光学レンズ16に関してテーパ管13の中心つまりフロート14の通過位置と画像センサ17が光学的に共役にされている。
【0020】
また、画像センサユニット18を複数組設けることにより、フロート14の検出範囲を長手方向に分担され、画像センサ17とテーパ管13との距離が短縮される。更に必要に応じて、上下に隣り合う2つの画像センサユニット18の撮像範囲の一部が互いに重なり合うようにされ、フロート14の像は少なくとも何れかの画像センサ17に結像するようになっている。
【0021】
ここで、全ての画像センサ17の出力である画像信号を、マイクロプロセッサに送ることにより、少なくとも1つの画像センサ17で得られるフロート14の像の位置を基に、テーパ管13に対するフロート14の位置を求めることができる。
【0022】
なお、隣り合う2つの画像センサユニット18の撮像範囲が重複する領域にフロート14がある場合には、これらの2つの画像センサ17の両方からフロート14の画像信号が出力される。この場合には、例えば像の面積の大きい方を採択する等の一定の規則に従って、一方の画像センサ17からの出力を択一的に選択すればよい。
【0023】
照明手段15をテーパ管13に沿って配置することにより、テーパ管13は均質に照明され、複数組の画像センサユニット18によりフロート14の位置を正確にかつ容易に検知することができる。マイクロプロセットは予め得られているフロート14の位置と流量との特性関係から、画像センサ17で得られたフロート14の位置を基に、被測定流体の流量を求めて電気信号として出力する。
【0024】
更に、高精度な流量変化を検出すべき場合には、照明手段15から照射光をより水平に受光するように、画像センサユニット18の設置数を増加すればよい。
【実施例2】
【0025】
図2は実施例2の面積式流量計の上方から見た断面図である。また、図1と同じ符号は同じ部材を示している。テーパ管13と画像センサ17の間の光路中には、照明手段15からの光束を反射する反射体19が配置されている。画像センサユニット18は実施例1と同様にテーパ管13の長手方向に沿って複数組が配置され、例えばミラー、プリズム等から成る反射体19は、各画像センサユニット18ごとに設けてもよいし、複数の画像センサユニット18に対し共通に設けてもよい。
【0026】
テーパ管13に沿った照明手段15から出射された照明光は、テーパ管13内のフロート14に照射され、フロート14の画像は反射体19により光路を屈曲し、光学レンズ16を介して画像センサ17で撮像する。
【0027】
このように、反射体19を使用することにより、画像センサ17を適当なスペースに配置することにより、空間を有効に利用することができ、面積式流量計の小型化に通ずる。
【0028】
なお図2において、フロート14を検知するための光束はテーパ管13の中心を通らずにフロート14の周縁を照射するようにしている。これはフロート14の周縁にフランジ等を形成して、撮像に際してフランジを検出対象とするためである。
【0029】
図3は実施例2で得られたフロート14の位置に対する画像センサ17からの電気信号出力のグラフ図である。測定値において、直線性が欠如している個所は、2つの画像センサユニット18の切換え部分である。
【0030】
なお、実施例1、2においては、フロート14の画像については透過像としたが、反射像として検出することもできる。
【符号の説明】
【0031】
13 テーパ管
14 フロート
15 照明手段
16 光学レンズ
17 画像センサ
18 画像センサユニット
19 反射体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉛直方向に支持した透光性材料から成るテーパ管内に被測定流体を流し、前記被測定流体の流量に依存して上下方向に変位するフロートを前記テーパ管内に配置し、前記フロートの位置を検知することにより流量を求める面積式流量計において、前記テーパ管に沿って長尺の発光体を該発光体の長手方向と直交する方向に照射光を出射するように配置し、前記テーパ管に沿って複数組の画像センサユニットを配置し、前記発光体により照射された前記フロートの画像を前記画像センサユニットにより光学的に検知して前記フロートの位置を検知することを特徴とする面積式流量計。
【請求項2】
前記フロートと前記複数組の画像センサユニットとを結ぶ光路において、該光路中に反射体を配置し、前記光路を前記反射体を用いて屈曲させたことを特徴とする請求項1に記載の面積式流量計。
【請求項3】
前記画像センサユニットは光学レンズと画像センサとから成ることを特徴とする請求項1又は2に記載の面積式流量計。
【請求項4】
前記フロートの画像は透過像又は反射像とすることを特徴とする請求項1〜3の何れか1つの請求項に記載の面積式流量計。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−145437(P2012−145437A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−3912(P2011−3912)
【出願日】平成23年1月12日(2011.1.12)
【出願人】(390026996)東京計装株式会社 (57)
【出願人】(394007539)東京マグネットエンジニアリング株式会社 (4)
【Fターム(参考)】