靴、特に子供用靴
【課題】足のサイズの変化に対応する靴を提供する。
【解決手段】寿命が著しく延びる靴、特に子供用靴であり、特定の足入れ部V2を画定する底12及び甲革14を備える。スペーサ20を取り付けることにより、靴長L2及び高さC2を、靴長L1及び高さC1に調節し、縮小足入れ部V1を決定する。少なくとも1つのスペーサ20は、靴10に対し、取り出し及びはめ込み自在である。子供靴に適用すれば、子供の足のサイズの変化に応じてスペーサ20を取り外すことにより、靴を長く使用することができる。
【解決手段】寿命が著しく延びる靴、特に子供用靴であり、特定の足入れ部V2を画定する底12及び甲革14を備える。スペーサ20を取り付けることにより、靴長L2及び高さC2を、靴長L1及び高さC1に調節し、縮小足入れ部V1を決定する。少なくとも1つのスペーサ20は、靴10に対し、取り出し及びはめ込み自在である。子供靴に適用すれば、子供の足のサイズの変化に応じてスペーサ20を取り外すことにより、靴を長く使用することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して靴に関する。特に、本発明は、特定の足入れ部を画定する底及び甲革を備え、特定の靴長及び高さが調節可能な子供用靴に関する。
本発明において、「靴長」とは、足入れ部先端、すなわちつま先から、足入れ部後端、すなわちかかとまでの距離である。「高さ」とは、前記つま先及び前記かかとの間の特定の位置において、底に対しほぼ垂直に測定された、底から甲革までの距離である。さらに詳細には、当業者には知られている通り、前述の高さが測定される特定の位置とは、中足骨が位置する部分である。
【背景技術】
【0002】
正しい歩行のため、きつすぎる靴、大きすぎる靴、以前に他人が履いていた靴などは避ける方がよいことが知られている。きつすぎる靴は、足の血液循環を変え、足に汗をかきやすくなり、つま先の自然な動きを妨げる。また、靴が大きすぎると、靴の内側で足が摩擦され、擦り傷や皮膚硬結が生じやすい。さらに、他人が履いていた靴は、他人の足に適合していたため、足の柔らかい部位を傷つけ、多くの場合、前述した2つのケースのどちらかに陥ることになりがちである。
【0003】
なかでも、成長期に足のサイズが急激に成長する子供や青年の靴に関して、専門家は、靴のサイズが合っているかを頻繁に確認することを勧めている。たとえば、きつくなった靴を次のサイズに変える場合などにおける確認の頻度は、下記(i)〜(iv)の通りである。
(i)1才から3才までの幼児の場合は、2ヶ月毎。
(ii)3才から6才までの子供の場合は、4ヶ月毎。
(iii)6才から10才までの子供の場合は、6ヶ月毎。
(iv)10才から15才までの子供や少年は、8ヶ月毎。
【0004】
前述の好ましくない靴を避けるために、なかでも足入れ部がつま先とかかとの間で実質的に閉じている靴の場合、前述の「きつすぎる靴」のケースに陥らないために、子供の足に小さすぎるようになった時点で、適切なサイズの靴と取り替える必要がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
靴長と高さとの組み合わせは、特定の足入れ部を決定し、それが靴の特定サイズと対応付けられる。靴のサイズは、標準化ルールの対象となっており、国際的に認知された一連のサイズが存在するようになって久しい。言い換えると、きつすぎもせず、大きすぎもしない靴を見つけることが可能な様に、個々のサイズは画定されている。
前記サイズ規定に準拠して作られている靴は、様々な観点から好ましい点もあるが、欠点があることも確かである。子供用靴に関して言えば、第一の欠点は、頻繁に靴を変えなければならないという事実に関連している。つまり、非常に短期間しか使用されず靴が良い状態であるにも関わらず、靴を頻繁に変えなければならないということである。
【0006】
本発明の課題は、足の大きさがたとえ急に変わる場合でも足に適合し、靴の交換頻度を減らすことが可能な靴を、容易でかつ費用効率の高い方法で考案し、提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、足入れ部を構成する底及び甲革を備えるタイプの靴であって、靴長及び高さを調節可能な靴を提供する。すなわち、本発明1は、底及び甲革により画定される足入れ部と、前記足入れ部に着脱自在な少なくとも1つのスペーサとを備える靴を提供する。前記スペーサの着脱により、前記足入れ部のつま先からかかとまでの距離である靴長と、前記足入れ部の所定の位置における底及び甲革間の距離である高さとを、調節可能である。
【0008】
本発明2は、前記発明1において、前記スペーサが、前記足入れ部のつま先付近に取り付けられる靴を提供する。
本発明3は、前記発明2において、前記スペーサが、底部及びつま先部を有し、前記足入れ部を画定する底の上面に取り付けられる靴を提供する。
本発明4は、前記発明3において、前記スペーサの底部が、前記足入れ部の底の前部の輪郭に合わせて形成された前部曲線輪郭と、一定の厚みとを有している靴を提供する。
【0009】
本発明5は、前記発明4において、前記スペーサのつま先部が、スペーサの底部の前部曲線輪郭において、スペーサの底部と垂直に連結され、ほぼ一定の厚みを有している靴を提供する。
本発明6は、前記発明1において、前記スペーサが、前記足入れ部の底の上面に位置し、前記足入れ部の底の輪郭に合わせて成形されている中底の一部である靴を提供する。
【0010】
本発明7は、前記発明6において、前記中底が、前記スペーサからなる前部と後部とから構成され、前記後部と前記スペーサとを取り外し自在に連結する固定手段を有している靴を提供する。
本発明8は、前記発明6において、前記中底が、前記スペーサからなる前部と、前記スペーサに連結された後部と、から構成され、前記後部を前記スペーサから分離する剥離手段を有している靴を提供する。
【0011】
本発明9は、前記発明6において、前記中底が地面から足への衝撃を吸収する素材を用いて形成されている靴を提供する。
本発明10は、前記発明7または8において、前記中底が、前記中底の輪郭に合わせて成形され、前記中底の後部に連結された上部被膜層を有している靴を提供する。
本発明11は、底及び甲革により画定される足入れ部を有する靴の前記足入れ部に着脱可能であり、着脱により、前記足入れ部のつま先からかかとまでの距離である靴長と、前記足入れ部の所定の位置における底及び甲革間の距離である高さとを調節可能な靴用スペーサを提供する。
【0012】
本発明12は、底及び甲革により画定される足入れ部を有する靴の中底であって、着脱自在な少なくとも1つのスペーサを備える靴用中底を提供する。前記スペーサの着脱により、前記足入れ部のつま先からかかとまでの距離である靴長及び前記足入れ部の所定の位置における底及び甲革間の距離である高さが調節可能である。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る靴は、スペーサの脱着により、サイズの異なる足に対応することができる。そのため、靴をより長期間使用でき、靴の寿命を延ばすことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
添付の図面を参照し、以下の好適な実施形態から、本発明にかかる靴、特に子供用靴のさらなる特徴及び利点が明らかになるであろう。なお、実施形態は説明のためであり、限定するために示されているものではない。
<第1実施形態>
まず、図1、2、3及び4を参照して本発明の第1実施形態を説明する。本発明に係る靴の全体は、参照番号10で示す。図1は、スペーサ20が取り付けられ、靴長L1及び高さC1で特定されるサイズの足28aが靴10を着用している状態を示す。図2は、スペーサ20が外され、足28aより大きなサイズの足28bが靴10を着用している状態を示す。図3は、スペーサ20を取り付けた中底30を示す。図4は、図3に示す中底30の側面図である。
【0015】
靴10は、足入れ部V2を画定する底12及び甲革14を備える。特定の靴長L2及び特定の高さC2は、調節可能である。靴長L2は、足入れ部V2の先端、つまりつま先16から、足入れ部V2の後端、つまりかかと18までの距離である。高さC2は、つま先16とかかと18との間の特定の部分において、底12に対してほぼ垂直に測定した場合の底12と甲革14との間の距離である。
【0016】
スペーサ20は、靴10に対して取り出し及びはめ込み自在である。スペーサ20のはめ込みにより縮小足入れ部V1を形成し、前記靴長L2及び前記高さC2を、縮小靴長L1(L1<L2)及び縮小高さC1(C1<C2)に調節可能である。スペーサ20は、少なくとも前記足入れ部V2のつま先16に取り付けることが好ましい。なお、本願において、スペーサ20は、足の前部など、少なくとも足の一部分に着用されうるよう形成されている。
【0017】
本実施形態では、ほぼ舟形のスペーサ20は、底部22及びつま先部24を備え、靴10内の底12の上面の、足入れ部V2のつま先16付近に取り付けられる。底部22は、底12の前部の輪郭に合わせて成形された前部曲線輪郭26を有し、厚さS1はほぼ一定である。つま先部24は、前部曲線輪郭26において底部22と連結され、底部22とほぼ垂直をなし、ほぼ一定の所定の厚みS2を有している。従って、図2に示す靴10のサイズ、すなわち靴長L2及び高さC2は、図1に示す靴のサイズ及びスペーサ20のサイズと次の関係を有している。
【0018】
(靴長L1)+(スペーサ20のつま先部24の厚みS2)=(靴長L2)
(高さC1)+(スペーサ20の底部22の厚みS1)=(高さC2)
言い換えれば、スペーサ20を靴10から取り出すことで、図1に示す足28aよりもサイズの大きい足28bに対応する靴長L2及び高さC2を得ることができる。
スペーサ20の出し入れに伴うサイズの変更幅は、あまり大きすぎないことが好ましい。具体的には、図2に示す靴10のサイズは、図1に示す靴よりちょうど1サイズ大きな靴のサイズになることが好ましい。たとえば、スペーサ20を取り出すことで、サイズが「26」から「27」になることが挙げられる。
【0019】
図1、2、3及び4に示す第1実施形態において、中底30は、靴10内の底12上部に位置し、ほぼ底12の輪郭に合わせて成形されている。
中底30は前部と後部とに分けられ、中底30の前部はスペーサ20により構成される。中底30の後部32は、ボタンファスナ36(図3に図示)、ありつぎファスナ、ベルクロ(登録商標)ファスナ、接着剤などの固定手段34により、スペーサ20に対し連結及び取り外しが自在につなぎ合わされている。固定手段34は、スペーサ20の底部22の下面に設けられることが好ましい。
【0020】
図2に示す通り、スペーサ20が取り外された後でも、中底30の後部32は、底12の後部に位置したままである。このため、中底30の後部32は、たとえば底12の後部に接着しておいてもよい。
中底30は、地面から足への衝撃を吸収することができるような素材、たとえば展伸材を用いて形成することができる。また中底30は、足の快適さを向上させるための、身体構造を考慮した構造を有することも可能である。
【0021】
中底30は、足止めの機能を有した、たとえば革の上部被覆層を備えることが望ましい。上部被膜層は、中底30の輪郭にほぼ合わせ成形され、中底30の後部32にのみつながっており、スペーサ20が取り出された場合、上部被膜層の前部は、底12の前部に直接置かれる。
上部被膜層とできれば中底30とに、孔を開けてある程度特定の発散作用を確保しておくとよい。
【0022】
<第2実施形態>
図5、6、7、8、9及び10は、本発明の第2実施形態に係る中底を示し、中底全体を参照番号130で示す。中底30と同様の機能を有する構成要素には、同一の参照番号を付している。
固定手段34は、2つのボタンファスナを備えている。すなわち、スペーサ20の底部22上の後側には、一対の凸部136が設けられている。また、中底130の中央部32の下側には、対応する一対の凹部138が、スペーサ20の凸部136と係合するように設けられている。
【0023】
<第3実施形態>
図11及び12に本発明の第3実施形態に係る中底230を示す。中底30と同様の機能を有する構成要素には同一の参照番号を付している。
本実施形態において、スペーサ20の底部22は、裂離手段240を介し、中底230の後部32に連結されている。たとえば、剥離手段240は、手でも裂くことができる薄さの部分242を備え、中底230の中央部32と、スペーサ20とを分離することができる。中央部32は靴の中に残り、スペーサ20は取り出される。
【0024】
<その他の実施形態>
本発明の別の実施形態において、靴は、縮小足入れ部を決定する、取り出し及びはめ込み可能なスペーサを複数備えるようにすることもでき、特定の靴長及び特定の高さに対し、縮小靴長及び縮小高さが調節可能である。
言い換えれば、図面を参照しながら説明したスペーサ20は、多くの部分に分けて作ることもできる。たとえば、上述した底部22及びつま先部24は、一体ではなく、別々に分かれていてもよい。
【0025】
また、上述したタイプの2つ以上のスペーサを互いの上に重ね、個々を取り出し可能に設けることにより、3サイズ以上の足に対応できるよう3段階以上の靴長及び高さに調整できるようにすることも可能である。この場合、スペーサを重ねて着用し、足の成長に合わせて1つずつ取り外していくとよい。
本発明は、前述の取り出し及びはめ込み可能なスペーサを含む中底に加え、前述のタイプの取り出し及びはめ込み可能なスペーサにも関するものである。なお、靴とは別途に、前述の中底及びスペーサを商品化することも可能である。
【0026】
以上述べたように、本発明に係る靴は、スペーサの脱着により、サイズの異なる足に対応することができる。そのため、靴をより長期間使用でき、靴の寿命が著しく延びると言う効果を奏する。本発明を子供用靴に適用すれば、子供の成長期に靴を買い換える回数を減少させることが可能である。
もちろん、当業者であれば、特定の偶発的な要請を満たすため、上述の靴に数々の修正変更を加えることが可能であるが、それらは全て以下の請求項により定められる本発明の範囲内に含まれるものである。
【産業上の利用可能性】
【0027】
本発明は、靴、例えば足のサイズが変わりやすい子供の靴に、好適に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の第1実施形態に係る靴にスペーサを取り付けた場合の側面断面図
【図2】本発明の第1実施形態に係る靴からスペーサをはずした場合の側面断面図
【図3】図1に示す靴の中底の平面図
【図4】図3に示す中底の側面図。
【図5】第2実施形態における中底の平面図。
【図6】図5に示す中底を側方から見た側面図
【図7】図5に示す中底を後方から見た側面図
【図8】図5に示す中底の斜視図
【図9】図8に示す中底を裏返した場合の拡大斜視図
【図10】図8に示すスペーサの拡大斜視図
【図11】第3実施形態における中底の平面図
【図12】図11に示す中底のXII−XII断面側面図
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して靴に関する。特に、本発明は、特定の足入れ部を画定する底及び甲革を備え、特定の靴長及び高さが調節可能な子供用靴に関する。
本発明において、「靴長」とは、足入れ部先端、すなわちつま先から、足入れ部後端、すなわちかかとまでの距離である。「高さ」とは、前記つま先及び前記かかとの間の特定の位置において、底に対しほぼ垂直に測定された、底から甲革までの距離である。さらに詳細には、当業者には知られている通り、前述の高さが測定される特定の位置とは、中足骨が位置する部分である。
【背景技術】
【0002】
正しい歩行のため、きつすぎる靴、大きすぎる靴、以前に他人が履いていた靴などは避ける方がよいことが知られている。きつすぎる靴は、足の血液循環を変え、足に汗をかきやすくなり、つま先の自然な動きを妨げる。また、靴が大きすぎると、靴の内側で足が摩擦され、擦り傷や皮膚硬結が生じやすい。さらに、他人が履いていた靴は、他人の足に適合していたため、足の柔らかい部位を傷つけ、多くの場合、前述した2つのケースのどちらかに陥ることになりがちである。
【0003】
なかでも、成長期に足のサイズが急激に成長する子供や青年の靴に関して、専門家は、靴のサイズが合っているかを頻繁に確認することを勧めている。たとえば、きつくなった靴を次のサイズに変える場合などにおける確認の頻度は、下記(i)〜(iv)の通りである。
(i)1才から3才までの幼児の場合は、2ヶ月毎。
(ii)3才から6才までの子供の場合は、4ヶ月毎。
(iii)6才から10才までの子供の場合は、6ヶ月毎。
(iv)10才から15才までの子供や少年は、8ヶ月毎。
【0004】
前述の好ましくない靴を避けるために、なかでも足入れ部がつま先とかかとの間で実質的に閉じている靴の場合、前述の「きつすぎる靴」のケースに陥らないために、子供の足に小さすぎるようになった時点で、適切なサイズの靴と取り替える必要がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
靴長と高さとの組み合わせは、特定の足入れ部を決定し、それが靴の特定サイズと対応付けられる。靴のサイズは、標準化ルールの対象となっており、国際的に認知された一連のサイズが存在するようになって久しい。言い換えると、きつすぎもせず、大きすぎもしない靴を見つけることが可能な様に、個々のサイズは画定されている。
前記サイズ規定に準拠して作られている靴は、様々な観点から好ましい点もあるが、欠点があることも確かである。子供用靴に関して言えば、第一の欠点は、頻繁に靴を変えなければならないという事実に関連している。つまり、非常に短期間しか使用されず靴が良い状態であるにも関わらず、靴を頻繁に変えなければならないということである。
【0006】
本発明の課題は、足の大きさがたとえ急に変わる場合でも足に適合し、靴の交換頻度を減らすことが可能な靴を、容易でかつ費用効率の高い方法で考案し、提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、足入れ部を構成する底及び甲革を備えるタイプの靴であって、靴長及び高さを調節可能な靴を提供する。すなわち、本発明1は、底及び甲革により画定される足入れ部と、前記足入れ部に着脱自在な少なくとも1つのスペーサとを備える靴を提供する。前記スペーサの着脱により、前記足入れ部のつま先からかかとまでの距離である靴長と、前記足入れ部の所定の位置における底及び甲革間の距離である高さとを、調節可能である。
【0008】
本発明2は、前記発明1において、前記スペーサが、前記足入れ部のつま先付近に取り付けられる靴を提供する。
本発明3は、前記発明2において、前記スペーサが、底部及びつま先部を有し、前記足入れ部を画定する底の上面に取り付けられる靴を提供する。
本発明4は、前記発明3において、前記スペーサの底部が、前記足入れ部の底の前部の輪郭に合わせて形成された前部曲線輪郭と、一定の厚みとを有している靴を提供する。
【0009】
本発明5は、前記発明4において、前記スペーサのつま先部が、スペーサの底部の前部曲線輪郭において、スペーサの底部と垂直に連結され、ほぼ一定の厚みを有している靴を提供する。
本発明6は、前記発明1において、前記スペーサが、前記足入れ部の底の上面に位置し、前記足入れ部の底の輪郭に合わせて成形されている中底の一部である靴を提供する。
【0010】
本発明7は、前記発明6において、前記中底が、前記スペーサからなる前部と後部とから構成され、前記後部と前記スペーサとを取り外し自在に連結する固定手段を有している靴を提供する。
本発明8は、前記発明6において、前記中底が、前記スペーサからなる前部と、前記スペーサに連結された後部と、から構成され、前記後部を前記スペーサから分離する剥離手段を有している靴を提供する。
【0011】
本発明9は、前記発明6において、前記中底が地面から足への衝撃を吸収する素材を用いて形成されている靴を提供する。
本発明10は、前記発明7または8において、前記中底が、前記中底の輪郭に合わせて成形され、前記中底の後部に連結された上部被膜層を有している靴を提供する。
本発明11は、底及び甲革により画定される足入れ部を有する靴の前記足入れ部に着脱可能であり、着脱により、前記足入れ部のつま先からかかとまでの距離である靴長と、前記足入れ部の所定の位置における底及び甲革間の距離である高さとを調節可能な靴用スペーサを提供する。
【0012】
本発明12は、底及び甲革により画定される足入れ部を有する靴の中底であって、着脱自在な少なくとも1つのスペーサを備える靴用中底を提供する。前記スペーサの着脱により、前記足入れ部のつま先からかかとまでの距離である靴長及び前記足入れ部の所定の位置における底及び甲革間の距離である高さが調節可能である。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る靴は、スペーサの脱着により、サイズの異なる足に対応することができる。そのため、靴をより長期間使用でき、靴の寿命を延ばすことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
添付の図面を参照し、以下の好適な実施形態から、本発明にかかる靴、特に子供用靴のさらなる特徴及び利点が明らかになるであろう。なお、実施形態は説明のためであり、限定するために示されているものではない。
<第1実施形態>
まず、図1、2、3及び4を参照して本発明の第1実施形態を説明する。本発明に係る靴の全体は、参照番号10で示す。図1は、スペーサ20が取り付けられ、靴長L1及び高さC1で特定されるサイズの足28aが靴10を着用している状態を示す。図2は、スペーサ20が外され、足28aより大きなサイズの足28bが靴10を着用している状態を示す。図3は、スペーサ20を取り付けた中底30を示す。図4は、図3に示す中底30の側面図である。
【0015】
靴10は、足入れ部V2を画定する底12及び甲革14を備える。特定の靴長L2及び特定の高さC2は、調節可能である。靴長L2は、足入れ部V2の先端、つまりつま先16から、足入れ部V2の後端、つまりかかと18までの距離である。高さC2は、つま先16とかかと18との間の特定の部分において、底12に対してほぼ垂直に測定した場合の底12と甲革14との間の距離である。
【0016】
スペーサ20は、靴10に対して取り出し及びはめ込み自在である。スペーサ20のはめ込みにより縮小足入れ部V1を形成し、前記靴長L2及び前記高さC2を、縮小靴長L1(L1<L2)及び縮小高さC1(C1<C2)に調節可能である。スペーサ20は、少なくとも前記足入れ部V2のつま先16に取り付けることが好ましい。なお、本願において、スペーサ20は、足の前部など、少なくとも足の一部分に着用されうるよう形成されている。
【0017】
本実施形態では、ほぼ舟形のスペーサ20は、底部22及びつま先部24を備え、靴10内の底12の上面の、足入れ部V2のつま先16付近に取り付けられる。底部22は、底12の前部の輪郭に合わせて成形された前部曲線輪郭26を有し、厚さS1はほぼ一定である。つま先部24は、前部曲線輪郭26において底部22と連結され、底部22とほぼ垂直をなし、ほぼ一定の所定の厚みS2を有している。従って、図2に示す靴10のサイズ、すなわち靴長L2及び高さC2は、図1に示す靴のサイズ及びスペーサ20のサイズと次の関係を有している。
【0018】
(靴長L1)+(スペーサ20のつま先部24の厚みS2)=(靴長L2)
(高さC1)+(スペーサ20の底部22の厚みS1)=(高さC2)
言い換えれば、スペーサ20を靴10から取り出すことで、図1に示す足28aよりもサイズの大きい足28bに対応する靴長L2及び高さC2を得ることができる。
スペーサ20の出し入れに伴うサイズの変更幅は、あまり大きすぎないことが好ましい。具体的には、図2に示す靴10のサイズは、図1に示す靴よりちょうど1サイズ大きな靴のサイズになることが好ましい。たとえば、スペーサ20を取り出すことで、サイズが「26」から「27」になることが挙げられる。
【0019】
図1、2、3及び4に示す第1実施形態において、中底30は、靴10内の底12上部に位置し、ほぼ底12の輪郭に合わせて成形されている。
中底30は前部と後部とに分けられ、中底30の前部はスペーサ20により構成される。中底30の後部32は、ボタンファスナ36(図3に図示)、ありつぎファスナ、ベルクロ(登録商標)ファスナ、接着剤などの固定手段34により、スペーサ20に対し連結及び取り外しが自在につなぎ合わされている。固定手段34は、スペーサ20の底部22の下面に設けられることが好ましい。
【0020】
図2に示す通り、スペーサ20が取り外された後でも、中底30の後部32は、底12の後部に位置したままである。このため、中底30の後部32は、たとえば底12の後部に接着しておいてもよい。
中底30は、地面から足への衝撃を吸収することができるような素材、たとえば展伸材を用いて形成することができる。また中底30は、足の快適さを向上させるための、身体構造を考慮した構造を有することも可能である。
【0021】
中底30は、足止めの機能を有した、たとえば革の上部被覆層を備えることが望ましい。上部被膜層は、中底30の輪郭にほぼ合わせ成形され、中底30の後部32にのみつながっており、スペーサ20が取り出された場合、上部被膜層の前部は、底12の前部に直接置かれる。
上部被膜層とできれば中底30とに、孔を開けてある程度特定の発散作用を確保しておくとよい。
【0022】
<第2実施形態>
図5、6、7、8、9及び10は、本発明の第2実施形態に係る中底を示し、中底全体を参照番号130で示す。中底30と同様の機能を有する構成要素には、同一の参照番号を付している。
固定手段34は、2つのボタンファスナを備えている。すなわち、スペーサ20の底部22上の後側には、一対の凸部136が設けられている。また、中底130の中央部32の下側には、対応する一対の凹部138が、スペーサ20の凸部136と係合するように設けられている。
【0023】
<第3実施形態>
図11及び12に本発明の第3実施形態に係る中底230を示す。中底30と同様の機能を有する構成要素には同一の参照番号を付している。
本実施形態において、スペーサ20の底部22は、裂離手段240を介し、中底230の後部32に連結されている。たとえば、剥離手段240は、手でも裂くことができる薄さの部分242を備え、中底230の中央部32と、スペーサ20とを分離することができる。中央部32は靴の中に残り、スペーサ20は取り出される。
【0024】
<その他の実施形態>
本発明の別の実施形態において、靴は、縮小足入れ部を決定する、取り出し及びはめ込み可能なスペーサを複数備えるようにすることもでき、特定の靴長及び特定の高さに対し、縮小靴長及び縮小高さが調節可能である。
言い換えれば、図面を参照しながら説明したスペーサ20は、多くの部分に分けて作ることもできる。たとえば、上述した底部22及びつま先部24は、一体ではなく、別々に分かれていてもよい。
【0025】
また、上述したタイプの2つ以上のスペーサを互いの上に重ね、個々を取り出し可能に設けることにより、3サイズ以上の足に対応できるよう3段階以上の靴長及び高さに調整できるようにすることも可能である。この場合、スペーサを重ねて着用し、足の成長に合わせて1つずつ取り外していくとよい。
本発明は、前述の取り出し及びはめ込み可能なスペーサを含む中底に加え、前述のタイプの取り出し及びはめ込み可能なスペーサにも関するものである。なお、靴とは別途に、前述の中底及びスペーサを商品化することも可能である。
【0026】
以上述べたように、本発明に係る靴は、スペーサの脱着により、サイズの異なる足に対応することができる。そのため、靴をより長期間使用でき、靴の寿命が著しく延びると言う効果を奏する。本発明を子供用靴に適用すれば、子供の成長期に靴を買い換える回数を減少させることが可能である。
もちろん、当業者であれば、特定の偶発的な要請を満たすため、上述の靴に数々の修正変更を加えることが可能であるが、それらは全て以下の請求項により定められる本発明の範囲内に含まれるものである。
【産業上の利用可能性】
【0027】
本発明は、靴、例えば足のサイズが変わりやすい子供の靴に、好適に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の第1実施形態に係る靴にスペーサを取り付けた場合の側面断面図
【図2】本発明の第1実施形態に係る靴からスペーサをはずした場合の側面断面図
【図3】図1に示す靴の中底の平面図
【図4】図3に示す中底の側面図。
【図5】第2実施形態における中底の平面図。
【図6】図5に示す中底を側方から見た側面図
【図7】図5に示す中底を後方から見た側面図
【図8】図5に示す中底の斜視図
【図9】図8に示す中底を裏返した場合の拡大斜視図
【図10】図8に示すスペーサの拡大斜視図
【図11】第3実施形態における中底の平面図
【図12】図11に示す中底のXII−XII断面側面図
【特許請求の範囲】
【請求項1】
底及び甲革により画定される足入れ部と、
前記足入れ部に着脱自在な少なくとも1つのスペーサとを備え、
前記スペーサの着脱により、前記足入れ部のつま先からかかとまでの距離である靴長と、前記足入れ部の所定の位置における底及び甲革間の距離である高さとを調節可能である、靴。
【請求項2】
前記スペーサは、前記足入れ部のつま先付近に取り付けられる、請求項1に記載の靴。
【請求項3】
前記スペーサは、底部及びつま先部を有し、前記足入れ部を画定する底の上面に取り付けられる、請求項2に記載の靴。
【請求項4】
前記スペーサの底部は、前記足入れ部の底の前部の輪郭に合わせて形成された前部曲線輪郭と、一定の厚みとを有している、請求項3に記載の靴。
【請求項5】
前記スペーサのつま先部は、スペーサの底部の前部曲線輪郭において、スペーサの底部と垂直に連結され、ほぼ一定の厚みを有している、請求項4に記載の靴。
【請求項6】
前記スペーサは、前記足入れ部の底の上面に位置し、前記足入れ部の底の輪郭に合わせて成形されている中底の一部である、請求項1に記載の靴。
【請求項7】
前記中底は、前記スペーサからなる前部と後部とから構成され、前記後部と前記スペーサとを取り外し自在に連結する固定手段を有している、請求項6に記載の靴。
【請求項8】
前記中底は、前記スペーサからなる前部と、前記スペーサに連結された後部と、から構成され、前記後部を前記スペーサから分離する剥離手段を有している、請求項6に記載の靴。
【請求項9】
前記中底は、地面から足への衝撃を吸収する素材を用いて形成されている、請求項6に記載の靴。
【請求項10】
前記中底は、前記中底の輪郭に合わせて成形され、前記中底の後部に連結された上部被膜層を有している、請求項7または8に記載の靴。
【請求項11】
底及び甲革により画定される足入れ部を有する靴の前記足入れ部に着脱可能であり、着脱により、前記足入れ部のつま先からかかとまでの距離である靴長と、前記足入れ部の所定の位置における底及び甲革間の距離である高さと、を調節可能な靴用スペーサ。
【請求項12】
底及び甲革により画定される足入れ部を有する靴の中底であって、
着脱自在な少なくとも1つのスペーサを備え、
前記スペーサの着脱により、前記足入れ部のつま先からかかとまでの距離である靴長及び前記足入れ部の所定の位置における底及び甲革間の距離である高さが調節可能である、靴用中底。
【請求項1】
底及び甲革により画定される足入れ部と、
前記足入れ部に着脱自在な少なくとも1つのスペーサとを備え、
前記スペーサの着脱により、前記足入れ部のつま先からかかとまでの距離である靴長と、前記足入れ部の所定の位置における底及び甲革間の距離である高さとを調節可能である、靴。
【請求項2】
前記スペーサは、前記足入れ部のつま先付近に取り付けられる、請求項1に記載の靴。
【請求項3】
前記スペーサは、底部及びつま先部を有し、前記足入れ部を画定する底の上面に取り付けられる、請求項2に記載の靴。
【請求項4】
前記スペーサの底部は、前記足入れ部の底の前部の輪郭に合わせて形成された前部曲線輪郭と、一定の厚みとを有している、請求項3に記載の靴。
【請求項5】
前記スペーサのつま先部は、スペーサの底部の前部曲線輪郭において、スペーサの底部と垂直に連結され、ほぼ一定の厚みを有している、請求項4に記載の靴。
【請求項6】
前記スペーサは、前記足入れ部の底の上面に位置し、前記足入れ部の底の輪郭に合わせて成形されている中底の一部である、請求項1に記載の靴。
【請求項7】
前記中底は、前記スペーサからなる前部と後部とから構成され、前記後部と前記スペーサとを取り外し自在に連結する固定手段を有している、請求項6に記載の靴。
【請求項8】
前記中底は、前記スペーサからなる前部と、前記スペーサに連結された後部と、から構成され、前記後部を前記スペーサから分離する剥離手段を有している、請求項6に記載の靴。
【請求項9】
前記中底は、地面から足への衝撃を吸収する素材を用いて形成されている、請求項6に記載の靴。
【請求項10】
前記中底は、前記中底の輪郭に合わせて成形され、前記中底の後部に連結された上部被膜層を有している、請求項7または8に記載の靴。
【請求項11】
底及び甲革により画定される足入れ部を有する靴の前記足入れ部に着脱可能であり、着脱により、前記足入れ部のつま先からかかとまでの距離である靴長と、前記足入れ部の所定の位置における底及び甲革間の距離である高さと、を調節可能な靴用スペーサ。
【請求項12】
底及び甲革により画定される足入れ部を有する靴の中底であって、
着脱自在な少なくとも1つのスペーサを備え、
前記スペーサの着脱により、前記足入れ部のつま先からかかとまでの距離である靴長及び前記足入れ部の所定の位置における底及び甲革間の距離である高さが調節可能である、靴用中底。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2007−14774(P2007−14774A)
【公開日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−185774(P2006−185774)
【出願日】平成18年7月5日(2006.7.5)
【出願人】(506231294)ケリスメラ エルエルシー (1)
【氏名又は名称原語表記】KELLISMERE LLC
【住所又は居所原語表記】2120 Carey Avenue Cheyenne,Wyoming U.S.A
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年7月5日(2006.7.5)
【出願人】(506231294)ケリスメラ エルエルシー (1)
【氏名又は名称原語表記】KELLISMERE LLC
【住所又は居所原語表記】2120 Carey Avenue Cheyenne,Wyoming U.S.A
【Fターム(参考)】
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