説明

靴のアウトソール

【課題】グリップ性、耐久性及び耐摩耗性に優れた靴2の提供。
【解決手段】靴2は、アッパー4、インソール6、ミッドソール8及びアウトソール10を備えている。アウトソール10は、ゴム組成物が架橋されることで得られる。このゴム組成物の基材ゴムは、アクリロニトリル−ブタジエンゴムである。アウトソール10のゴム組成物は、4つの針状部を有する酸化亜鉛ウィスカを含んでいる。このウィスカの配合量は、基材ゴム100質量部に対して0.05質量部以上10質量部以下である。針状部の平均長さは、5μm以上50μm以下である。このゴム組成物は、30質量部以上80質量部以下のシリカを含んでいる。このゴム組成物はさらに、0.1質量部以上のポリエチレングリコールを含んでいる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、靴のアウトソールに関する。詳細には、本発明は、ゴルフ等の運動に適したアウトソールに関する。
【背景技術】
【0002】
ゴルフ靴は、アウトソール、ミッドソール、インソール、アッパー等から構成されている。アウトソールは、地面と直接に接触する。右利きのゴルファーは、スイングのとき、右足で地面を蹴り左足で力を受け止める。スイング中、アウトソールには大きな力がかかる。スイング中にアウトソールが地面とスリップすると、円滑なスイングが妨げられる。アウトソールには、優れたグリップ性が必要である。
【0003】
特開2002−45203公報には、多数の突起を備えたゴルフ靴が開示されている。この突起は、爪先側に凸な壁面と、踵側に凸な壁面とを備えている。爪先側に凸な壁面により、爪先側へのスリップが防止される。踵側に凸な壁面により、踵側へのスリップが防止される。
【特許文献1】特開2002−45203公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記公報に開示されたゴルフ靴では、突起の形状に工夫が施されることで、スリップが抑制されている。上記公報では、アウトソールのグリップ性に関し、材質面からの検討はなされていない。ゴルファーは、スリップがさらに抑制されるゴルフ靴を望んでいる。
【0005】
スイングのとき、アウトソールは大きく屈曲する。繰り返しの屈曲により、アウトソールが破損することがある。ゴルファーは、破損しにくいゴルフ靴を望んでいる。アウトソールにとって、耐久性も重要である。
【0006】
ラウンドのとき、ゴルファーは長い距離を歩行する。ゴルファーは、主として芝生の上を歩行するが、土の上や、アスファルト舗装された通路の上を歩行することもある。歩行により、アウトソールは摩耗する。アウトソールにとって、耐摩耗性も重要である。
【0007】
本発明の目的は、グリップ性、耐久性及び耐摩耗性に優れた靴の提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る靴は、アッパーと、ゴム組成物が架橋されてなるアウトソールとを備える。このゴム組成物は、100質量部の基材ゴムと、0.05質量部以上10質量部以下の充填剤とを含む。この充填剤は、2以上の針状部を有する。
【0009】
好ましくは、充填剤は、3以上の針状部を有しかつ三次元形状を呈する。
【0010】
好ましくは、充填剤は、4の針状部を有する。これらの針状部の一端は、三角錐の内部の点に位置している。それぞれの針状部の他端は、この三角錐のそれぞれの頂点に位置している。好ましい充填剤は、酸化亜鉛ウィスカである。
【0011】
好ましくは、ゴム組成物の基材ゴムは、ジエン系ゴムを含む。この基材ゴムの全量に対するジエン系ゴムの量の比率は、50質量%以上である。
【0012】
好ましくは、ゴム組成物は、30質量部以上80質量部以下のシリカをさらに含む。好ましくは、ゴム組成物は、0.1質量部以上10質量部以下のポリオールをさらに含む。
【発明の効果】
【0013】
このアウトソールは、2以上の針状部を有する充填剤を含むので、グリップ性及び耐久性に優れる。充填剤の量が適切であるため、この充填剤はアウトソールの耐摩耗性を阻害しない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、適宜図面が参照されつつ、好ましい実施形態に基づいて本発明が詳細に説明される。
【0015】
図1は、本発明の一実施形態に係るゴルフ靴2が示された一部切り欠き断面図である。この靴2は、アッパー4、インソール6、ミッドソール8及びアウトソール10を備えている。
【0016】
アッパー4は、外皮12を備えている。外皮12には、天然皮革、合成皮革、人工皮革、織布等が用いられうる。外皮12の内側に、内材が貼り付けられてもよい。アッパー4には、多数の孔14が形成されている。この孔14に、紐16が通されている。紐16が引かれることにより、アッパー4が締め付けられる。アッパー4はさらに、フラップ18も備えている。
【0017】
インソール6は、織布又は発泡合成樹脂からなる。インソール6は、足と接触する。このインソール6は、靴2を履く動作において、足の滑りに寄与する。インソール6はまた、履き心地に寄与する。インソール6が設けられなくてもよい。
【0018】
ミッドソール8は、気泡を含むポリマー成形体からなる。ミッドソール8は、十分な厚みを有する。このミッドソール8は、着地時に圧縮変形を起こす。この圧縮変形により、衝撃が吸収される。
【0019】
ミッドソール8の典型的な基材ポリマーは、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)である。EVAにおける酢酸ビニル含有量は、10質量%以上が好ましく、15質量%以上がより好ましい。EVAにおける酢酸ビニル含有量は、40質量%以下が好ましく、30質量%以下がより好ましく、25質量%以下が特に好ましい。ミッドソール8の基材ポリマーとして、EVAとポリオレフィンとが併用されることが好ましい。ポリオレフィンは、衝撃吸収性及び反発性に寄与しうる。この観点から、全基材ポリマーに対するポリオレフィンの比率は5質量%以上が好ましく、10質量%以上がより好ましい。コスト及び接着性の観点から、この比率は80質量%以下が好ましく、70質量%以下がより好ましく、15質量%以下が特に好ましい。好ましいポリオレフィンとしては、エチレン−オクテン共重合体、エチレン−ブテン共重合体、ポリプロピレン及びポリエチレンが例示される。
【0020】
ミッドソール8が、独立気泡を含んでもよく、連続気泡を含んでもよい。形状復元力及び非吸水性の観点から、独立気泡が好ましい。気泡は、通常は熱分解型発泡剤の発泡によって形成される。用いられる熱分解型発泡剤としては、アゾ化合物(例えばアゾジカルボンアミド)、ニトロソ化合物(例えばジニトロソペンタメチレンテトラミン)及びトリアゾール化合物が例示される。ミッドソール8の発泡倍率(気泡が存在する場合の密度に対する気泡が存在しない場合の密度の比)は、2倍以上が好ましく3倍以上が特に好ましい。発泡倍率は、30倍以下が好ましく、15倍以下がより好ましく、10倍以下が特に好ましい。
【0021】
アッパー4及びアウトソール10との接着性並びに安定性の観点から、ミッドソール810の硬度は40以上が好ましく、50以上がより好ましい。衝撃吸収性の観点から、硬度は80以下が好ましく、70以下がより好ましい。硬度は、日本ゴム協会の規格に準拠して測定される。測定には、高分子計器社のアスカーCタイプの硬度計が用いられる。
【0022】
アウトソール10は、ミッドソール8の下側に位置している。アウトソール10は、ミッドソール8と接合されている。接合は、接着剤によって達成されている。アウトソール10は、実質的に気泡を含まない。アウトソール10は、底面20を有する。この底面20は、地面と直接に接する。この底面20には、突起22が形成されている。この突起22により、アウトソール10と地面とのスリップが防止される。
【0023】
アウトソール10は、ゴム組成物が架橋されることで得られる。この組成物の基材ゴムとしては、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、エチレン−プロピレン−ジエンゴム、クロロプレンゴム、イソプレンゴム、イソブチレン−イソプレンゴム、アクリルゴム、エピクロルヒドリンゴム、多硫化ゴム、ウレタンゴム及び天然ゴムが例示される。
【0024】
耐久性及び耐摩耗性の理由から、アウトソール10にはジエン系ゴムが適している。ジエン系ゴムと他のゴムとが併用されてもよい。併用される場合、全基材ゴムに対するジエン系ゴムの比率は50質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましく、90質量%以上が特に好ましい。理想的には、この比率は100質量%である。
【0025】
アウトソール10には、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)が特に好適である。NBRは、混練性に優れる。後述されるように、アウトソール10は2以上の針状部を有する充填剤を含む。混練性に優れたNBRが用いられることにより、ゴム組成物が混練されるときの充填剤の破損が抑制される。NBRはアウトソール10の引裂き強さを高め、かつ圧縮永久歪みを抑制するので、底面20における充填剤の脱落が抑制される。NBRは、耐摩耗性及びウエット地面でのグリップ性にも寄与する。さらに、NBRが用いられたアウトソール10は、繰り返しの屈曲によっても破損しにくい。NBRと他のゴムとが併用されてもよい。併用される場合、全基材ゴムに対するNBRの比率は50質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましく、90質量%以上が特に好ましい。理想的には、この比率は100質量%である。
【0026】
アウトソール10のゴム組成物は、2以上の針状部を有する充填剤を含んでいる。2以上の針状部を有する充填剤は、底面20に露出しやすい。充填剤の露出は、底面20と地面との間の水膜の形成を阻止する。この充填剤により、優れたグリップ性が達成される。2以上の針状部を有する充填剤は補強効果に優れるので、この充填剤によって優れた耐久性が達成される。針状部の数は3以上がより好ましく、4以上が特に好ましい。
【0027】
図2には、針状部24の数が2である充填剤26が示されている。この充填剤26では、一方の針状部24の軸28と他方の針状部24の軸28とが交差している。換言すれば、この充填剤26は、二次元形状を呈する。この充填剤26により、優れたグリップ性及び耐久性が達成される。一方の針状部24の軸28と他方の針状部24の軸28とのなす角度は、180°未満である。この角度は、30°以上150°以下が好ましく、60°以上120°以下が特に好ましい。なお、角度が180°である場合は、針状部24の数は1である。
【0028】
図3には、針状部24の数が3である充填剤30が示されている。この充填剤30も、二次元形状を呈する。この充填剤30により、優れたグリップ性及び耐久性が達成される。充填剤30が、三次元形状を呈してもよい。三次元形状とは、第一針状部24の軸28及び第二針状部24の軸28を含む平面に、第三針状部24の軸28が含まれない形状を意味する。三次元形状を呈する充填剤30により、極めて優れたグリップ性及び耐久性が達成される。
【0029】
図4には、特に好ましい充填剤32が示されている。この充填剤32は、三角錐34の4つの頂点P1をそれぞれ一端とする4つの針状部24を備えている。これら4つの針状部24の他端は全て、三角錐34の内部に存在する点P2に位置している。この点P2から、4つの軸が、三角錐34の4つの頂点P1に向かって伸びている。この充填剤32は、テトラポッド(登録商標)に類似の形状(三次元形状)を呈する。
【0030】
好ましくは、この充填剤32は単結晶である。好ましくは、三角錐34は正四面体であり、針状部24の他端はこの正四面体の中心に位置する。4つの針状部24の長さは、実質的に同一である。針状部24の長さは、頂点P1と点P2との距離である。この充填剤32は底面20に露出しやすいので、この充填剤32によって極めて優れたグリップ性が達成される。この充填剤32は補強効果に優れるので、この充填剤32によって極めて優れた耐久性が達成される。
【0031】
三次元形状を呈しうる充填剤としては、酸化亜鉛、酸化チタン、硫酸バリウム及びタルクが例示される。架橋助剤としても機能するとの観点から、好ましい充填剤は酸化亜鉛である。好ましい充填剤の具体例としては、松下産業情報機器社の酸化亜鉛ウィスカ「パナテトラ(登録商標)」が挙げられる。この酸化亜鉛は、図4に示された形状を呈する。
【0032】
2以上の針状部24を有する充填剤は補強効果に優れるので、少量の配合でも耐久性に優れたアウトソール10が得られる。少量の充填剤の配合は、アウトソール10の耐摩耗性を阻害しない。この充填剤により、グリップ性、耐久性及び耐摩耗性に優れたアウトソール10が得られる。
【0033】
2以上の針状部24を有する充填剤の配合量は、基材ゴム100質量部に対して0.05質量部以上10質量部以下である。配合量が0.05質量部以上であるアウトソール10は、グリップ性及び耐久性に優れる。この観点から、配合量は0.10質量部以上がより好ましく、0.15質量部以下が特に好ましい。配合量が10質量部以下であるアウトソール10は、耐摩耗性に優れる。この観点から、配合量は5質量部以下がより好ましく、0.5質量部以下が特に好ましい。
【0034】
2以上の針状部24を有する充填剤と共に、針状部24の数が1である充填剤が併用されてもよい。針状部24の数が1である充填剤としては、酸化亜鉛、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、クレー及びタルクが例示される。併用される場合、充填剤の合計配合量は、基材ゴム100質量部に対して0.05質量部以上20質量部以下が好ましい。
【0035】
針状部24の平均長さは、5μm以上50μm以下が好ましい。平均長さが5μm以上である充填剤により、優れたグリップ性及び耐久性が達成される。この観点から、平均長さは7μm以上が特に好ましい。平均長さが50μm以下である充填剤は、分散性に優れる。この観点から、平均長さは40μm以下が特に好ましい。
【0036】
ゴム組成物には、補強剤が配合されうる。好ましい補強剤は、シリカである。シリカは白色なので、アウトソール10の色目に悪影響を与えない。シリカは、補強効果に優れる。2以上の針状部24を有する充填剤の周囲のゴムがシリカによって補強されることにより、この充填剤の脱落が抑制される。従って、優れたグリップ性が長続きする。補強効果の観点から、一次粒子直径が30nm以下のシリカが好ましく、20nm以下のシリカが特に好ましい。一次粒子直径は小さいほど好ましい。通常得られるシリカの一次粒子直径は、5nm以上である。一次粒子直径とは、凝集を起こしていない状態におけるシリカの粒子直径を意味する。
【0037】
シリカの配合量は、基材ゴム100質量部に対して30質量部以上80質量部以下が好ましい。配合量が30質量部以上に設定されることにより、充填剤の脱落が抑制される。この観点から、配合量は40質量部以上がより好ましく、50質量部以上がさらに好ましく、60質量部以上が特に好ましい。配合量が80質量部以下であるゴム組成物は、混練性に優れる。配合量が80質量部以下であるアウトソール10は、脆くない。しかも、配合量が80質量部以下であるアウトソール10では、シリカのブリードに起因する品質低下が生じにくい。これらの観点から、配合量は75質量部以下がより好ましく、73質量部以下がさらに好ましく、70質量部以下が特に好ましい。
【0038】
シリカに代えて、又はシリカと共に、他の補強剤が配合されてもよい。他の補強剤としては、カーボンブラックが挙げられる。
【0039】
好ましくは、ゴム組成物は、シリカと共にシランカップリング剤を含む。シランカップリング剤は、シリカによる補強効果を促進する。さらにシリカは、ゴム組成物の混練性にも寄与する。補強効果及び混練性の観点から、シランカップリング剤の配合量は、基材ゴム100質量部に対して1質量部以上が好ましく、2質量部以上がより好ましく、4質量部以上が特に好ましい。配合量は、10質量部以下が好ましい。
【0040】
好ましくは、ゴム組成物は、ポリオールを含む。ポリオールにより、ゴム組成物の優れた混練性が達成される。ポリオールにより、混練中の針状部24の破損が抑制される。用いられうるポリオールとしては、ポリエチレングリコール、ポリカルボネートジオール、ポリテトラメチレングリコール、ポリ1,6−ヘキサメチレンアジペート、ポリカプロラクトンポリオール、ポリプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ポリブタジエンポリオール、モノエチレングリコール及びアクリルポリオールが例示される。混練性の観点から、ポリエチレングリコールが特に好ましい。
【0041】
ポリオールの配合量は、基材ゴム100質量部に対して0.1質量部以上が好ましい。配合量が0.1質量部以上であるゴム組成物では、針状部24の破損が抑制される。この観点から、配合量は0.5質量部以上がより好ましく、1.0質量部以上が特に好ましい。配合量は10質量部以下が好ましく、5質量部以下がより好ましく、3質量部以下が特に好ましい。
【0042】
ゴム組成物の架橋形態には、制限がない。強度及びコストの観点から、硫黄架橋が好ましい。好ましくは、ゴム組成物は、硫黄と共に加硫促進剤を含む。チアゾール系加硫促進剤、チウラム系加硫促進剤、グアニジン系加硫促進剤、スルフェンアミド系加硫促進剤等が用いられうる。
【0043】
ゴム組成物が、可塑剤を含んでもよい。好ましい可塑剤としては、ジオクチルフタレート、ジブチルフタレート、ジオクチルセパケート、ジオクチルアジペート及びトリクレジルフォスフェートが例示される。
【0044】
ゴム組成物には、必要に応じ、老化防止剤、オイル、ステアリン酸、架橋開始剤、着色剤等が適量配合される。
【0045】
アウトソール10の硬度は、40以上85以下が好ましい。硬度が40以上であるアウトソール10は、安定性及び耐摩耗性に優れる。この観点から、硬度は50以上がより好ましく、60以上がさらに好ましく、70以上が特に好ましい。硬度が85以下であるアウトソール10により、好ましい履き心地が達成されうる。この観点から、硬度は80以下が好ましい。硬度は、「JIS K 6253」に準拠して測定される。測定には、高分子計器社のアスカーAタイプの硬度計が用いられる。
【実施例】
【0046】
以下、実施例によって本発明の効果が明らかにされるが、この実施例の記載に基づいて本発明が限定的に解釈されるべきではない。
【0047】
[実施例1]
100質量部のアクリロニトリル−ブタジエンゴム、65質量部のシリカ、1.8質量部のポリエチレングリコール、4.0質量部のシランカップリング剤、1.8質量部のジオクチルフタレート、0.8質量部の老化防止剤及び1.8質量部の他の老化防止剤を密閉式混練機で混練し、マスター組成物を得た。このマスター組成物をオープンロールに投入し、5.0質量部の酸化亜鉛、0.20質量部の酸化亜鉛ウィスカ、0.8質量部のステアリン酸、0.5質量部の硫黄、0.5質量部の加硫促進剤DM、0.8質量部の加硫促進剤TET、0.1質量部の加硫促進剤DT及び0.1質量部の加硫促進剤NSを添加し、さらに混練してゴム組成物を得た。このゴム組成物を金型内に投入し、160℃で10分間加圧・加熱して、アウトソールを得た。このアウトソールに既知のアッパー、インソール及びミッドソールを取り付けて、ゴルフ靴を得た。
【0048】
ゴム組成物の詳細は、以下の通りである。
アクリロニトリル−ブタジエンゴム
南帝社の商品名「NANCAR 1052」
シリカ
デグサ社の商品名「ウルトラジルVN3」
ポリエチレングリコール
日本油脂社の商品名「PEG4000」
シランカップリング剤
デグサ社の商品名「Si69」
ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフェン
ジオクチルフタレート
三建化工社の商品名「DOP」
老化防止剤
大内新興化学工業社の商品名「サンノックN」
老化防止剤
大内新興化学工業社の商品名「ノクラック200」
2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール
酸化亜鉛
三井金属鉱業社の商品名「亜鉛華1号」
酸化亜鉛ウィスカ
松下産業情報機器社の商品名「パナテトラ」
針状部の平均長さ:10μm
ステアリン酸
日本油脂社
硫黄
鶴見化学工業社の粉末硫黄
加硫促進剤DM
大内新興化学工業社の商品名「ノクセラーDM」
ジベンゾチアジルジスルフィド
加硫促進剤TET
大内新興化学工業社の商品名「ノクセラーTET」
テトラエチルチウラムジスルフィド
加硫促進剤DT
大内新興化学工業社の商品名「ノクセラーDT」
ジ−o−トリルグアニジン
加硫促進剤NS
大内新興化学工業社の商品名「ノクセラーNS」
N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド
【0049】
[実施例2から5及び比較例1から3]
酸化亜鉛ウィスカの量を下記の表1に示される通りとした他は実施例1と同様にして、実施例2から5及び比較例1から3のゴルフ靴を得た。
【0050】
[実施例6から10]
シリカの量を下記の表2に示される通りとした他は実施例1と同様にして、実施例6から10のゴルフ靴を得た。
【0051】
[実施例11]
ポリエチレングリコールを配合しなかった他は実施例1と同様にして、実施例11のゴルフ靴を得た。
【0052】
[比較例4から5]
酸化亜鉛ウィスカを配合せず、かつシリカの量を下記の表2に示される通りとした他は実施例1と同様にして、比較例4から5のゴルフ靴を得た。
【0053】
[硬度の測定]
アウトソールに用いられたゴム組成物を金型に投入し、160℃で15分間加圧・加熱して、厚みが12mmの板状試験片を得た。この試験片を用い、「JIS K 6253」に準拠して、高分子計器社のアスカーAタイプの硬度計で硬度を測定した。この結果が下記の表1及び表2に示されている。
【0054】
[グリップ性の評価]
ゴルフ靴を、ゴルファーに着用させた。このゴルファーに、ゴルフ場にてドライバーでゴルフボールを打撃させた。そして、グリップ性を「1」から「5」の5段階で格付けさせた。50人のゴルファーの平均評価値が下記の表1及び表2に示されている。数値が大きいほど好ましい。
【0055】
[耐摩耗性の評価]
アウトソールに用いられたゴム組成物を金型に投入し、160℃で15分間加圧・加熱して、厚みが12.7mmの円盤状試験片を得た。この試験片を用い、「JIS K 6264」に規定された「アクロン摩耗試験A−2法」に準拠して、摩耗容量を測定した。試験条件は、以下の通りである。
摩耗輪の厚み:25mm
試験片と摩耗輪との傾き角度:15°
摩耗輪に掛かる荷重:44.1N
試験片の回転速度:250rpm
この結果が下記の表1及び表2に示されている。
【0056】
[耐久性の評価]
サイズが25cmであるゴルフ靴を用意した。爪先と、爪先からの距離が7cmである箇所との間を、プレートに固定した。踵を引いてアウトソールを90°屈曲させ、復元させた。この屈曲を繰り返し行い、1000回ごとにゴルフ靴を目視で観察した。アウトソールに亀裂が生じるまでの屈曲回数が、下記の表1及び表2に示されている。
【0057】
【表1】

【0058】
【表2】

【0059】
表1及び2から明らかなように、実施例のゴルフ靴はグリップ性、耐摩耗性及び耐久性に優れている。この評価結果から、本発明の優位性は明らかである。
【産業上の利用可能性】
【0060】
2以上の針状部を有する充填剤を含むアウトソールは、テニス、ウォーキング、ジョギング等の種々のスポーツに適している。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に係るゴルフ靴が示された一部切り欠き断面図である。
【図2】図2は、図1の靴のアウトソールに配合されうる充填剤の一例が示された正面図である。
【図3】図3は、図1の靴のアウトソールに配合されうる充填剤の他の例が示された正面図である。
【図4】図4は、図1の靴のアウトソールに配合されうる充填剤のさらに他の例が示された斜視図である。
【符号の説明】
【0062】
2・・・ゴルフ靴
4・・・アッパー
6・・・インソール
8・・・ミッドソール
10・・・アウトソール
20・・・底面
22・・・突起
24・・・針状部
26、30、32・・・充填剤

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アッパーと、ゴム組成物が架橋されてなるアウトソールとを備えており、
このゴム組成物が、100質量部の基材ゴムと、0.05質量部以上10質量部以下の充填剤とを含んでおり、
この充填剤が2以上の針状部を有する靴。
【請求項2】
上記充填剤が、3以上の針状部を有しかつ三次元形状を呈する請求項1に記載の靴。
【請求項3】
上記充填剤が4の針状部を有し、これらの針状部の一端が三角錐の内部の点に位置しており、それぞれの針状部の他端がこの三角錐のそれぞれの頂点に位置している請求項2に記載の靴。
【請求項4】
上記充填剤が酸化亜鉛ウィスカである請求項3に記載の靴。
【請求項5】
上記ゴム組成物の基材ゴムがジエン系ゴムを含んでおり、この基材ゴムの全量に対するジエン系ゴムの量の比率が50質量%以上である請求項1から4のいずれかに記載の靴。
【請求項6】
上記ゴム組成物が、30質量部以上80質量部以下のシリカをさらに含む請求項1から5のいずれかに記載の靴。
【請求項7】
上記ゴム組成物が、0.1質量部以上10質量部以下のポリオールをさらに含む請求項1から6のいずれかに記載の靴。
【請求項8】
ゴム組成物が架橋されてなり、
このゴム組成物が、100質量部の基材ゴムと、0.05質量部以上10質量部以下の充填剤とを含んでおり、
この充填剤が、2以上の針状部を有するアウトソール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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