説明

靴下類等のための円形編機

【解決手段】靴下類等のための円形編機は、垂直軸と、その側面に複数の軸スロット(3) とを有するニードルシリンダ(2) を備え、各軸スロットは針(4) 及び針(4) のための作動要素(5) を収容する。作動要素(5) は少なくとも1つの接続要素(6) を含む。接続要素(6) は移動可能なヒール(6a)を有し、移動可能なヒールは、ニードルシリンダ(2) のラジアル面での接続要素(6) の揺動によって、軸スロット(3) からラジアル方向に引出されることができるので、ニードルシリンダ(2) の側面に面する接続要素作動カムと移動可能なヒールとを係合させることができる。カムは、少なくとも1つの引出しカム又は1つの引込みカムを含み、引出しカム又は引込みカムは、ニードルシリンダ(2) の軸に垂直な仮想面に対して傾斜した外形である部分を有する。編機は、接続要素(6) の移動可能なヒール(6a)の引出しを引き起こすための引出し手段(39)を備え、引出しカム又は引込みカムの傾斜した外形を有する部分の略延長部全体に引出された位置に移動可能なヒール(6a)を保持する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、靴下類等のための円形編機に関する。
【背景技術】
【0002】
靴下類等のためのシングルシリンダ円形編機及びダブルシリンダ円形編機は公知である。
【0003】
シングルシリンダ円形編機は、垂直軸と、その側面に複数の軸スロットとを有するニードルシリンダを実質上備え、各軸スロットは、編地を形成するために対応する軸スロットに沿って交替動作で作動可能な針を収容する。針は、ニードルシリンダの対応する軸スロットからラジアル方向に突出するヒールを一般に有しており、針は、複数のニードル作動カムを備えることにより作動され、ニードル作動カムは、ニードルシリンダの周りに配置されて、全体として上がり部分、パーキング部分又は水平部分、及び下がり部分で形作られる、ニードルシリンダがニードル作動カムに対して自軸回りの回転動作で作動されるとき、針のヒールがたどり得る経路を定める。
【0004】
靴下類のためのダブルシリンダ円形編機は、垂直軸を有する下部ニードルシリンダと、下部ニードルシリンダより上方で、下部ニードルシリンダと同軸上に配置された上部ニードルシリンダとを一般に備え、前記シリンダは、共通軸回りの回転動作で互いに固定して作動可能である。
【0005】
複数の軸スロットは、下部ニードルシリンダの側面及び上部ニードルシリンダの側面に形成されている。上部ニードルシリンダの軸スロットは下部ニードルシリンダの軸スロットと一列に並んでいる。スライダが、下部ニードルシリンダの各軸スロットと、上部ニードルシリンダの各軸スロットとに収容されている。2つのニードルシリンダ間には、つまり編成領域には、各軸スロットに、2つの先端又は夫々上ヘッド及び下ヘッドである2つのヘッドを有する針があり、前記針は、平編を提供したいか又はパール編を提供したいかどうかに応じて、その上端で編成するように下部ニードルシリンダ内に移動するか、又はその下端で編成するように上部ニードルシリンダ内に移動する。
【0006】
針がヒールを備えていないので、針は、平編みを形成する必要があるか又はパール編を形成する必要があるかどうかに応じて、下部ニードルシリンダに配置されたスライダ、又は上部ニードルシリンダに配置されたスライダによって作動される。
【0007】
靴下類等のためのダブルシリンダ円形編機で現在用いられているスライダは、細長い薄板体によって一般に構成され、下部ニードルシリンダの側面又は上部ニードルシリンダの側面に形成された軸スロットの底部上にあることを意図された第1長手側部を有する。
【0008】
前記スライダは更に2つのヒールを有し、ヒールは、スライダの長手方向延長部に沿って相互に間隔を置いて配置され、スライダの第1長手側部の反対側に位置する第2長手側部から横方向に突出する。
【0009】
このようなヒールは、編機の様々なタイプの編成で前記スライダに関連した針の作動を生み出すか、又は1つのニードルシリンダから別のニードルシリンダに針を移すために、下部ニードルシリンダ又は上部ニードルシリンダの対応する軸スロットに沿ったスライダの移動を生み出すべく用いられる。
【0010】
スライダは、第1長手側部に、つまりスライダが収容される軸スロットの底部の方に向いた側部に、更にフック状のタブを有し、タブは、スライダが下部ニードルシリンダにあるか又は上部ニードルシリンダにあるかどうかに応じて、針の下ヘッド又は上ヘッドと係合する。
【0011】
下部ニードルシリンダの側面の周り及び上部ニードルシリンダの側面の周りには、複数のスライダ作動カムがあり、ニードルシリンダが前記カムに対して自軸回りの回転動作で作動されるとき、スライダのヒールが係合する一連の経路を定める。カムによって定められた経路は、スライダが収容されるニードルシリンダの軸スロットに沿ったスライダの移動を引き起こし、結果的にスライダに関連した針の作動を引き起こすように形作られている。
【0012】
各針の動作を変えて、それにより針が生み出す編成のタイプを変えるために、そのヒール、つまり対応する作動カムの1つの経路から別の経路に針を作動させるスライダのヒールを移動させる必要があり、これは、各軸スロットの内部で、シングルシリンダ円形編機の針の下方、又はダブルシリンダ円形編機の下部ニードルシリンダのスライダの下方に、サブ針又はセレクタを備えることにより一般に達成され、サブ針又はセレクタも、シングルシリンダ円形編機のニードルシリンダ又はダブルシリンダ円形編機の下部ニードルシリンダの側面の周りに配置されたセレクタ作動カムと係合するために、ニードルシリンダの側面からラジアル方向に突出することができる1又は複数のヒールを有する。
【0013】
セレクタは、セレクタ作動カムと係合するように、ニードルシリンダ又は下部ニードルシリンダの対応する軸スロットからセレクタのヒールの内の少なくとも1つで突出する作動位置から、セレクタ作動カムと係合しないように、対応する軸スロット内にセレクタの一又は複数のヒールではめ込まれる非作動位置に、又はその逆に通過するために、セレクタが位置するニードルシリンダのラジアル面で一般に揺動可能である。
【0014】
セレクタ作動カムは、上がり部分及び下がり部分を有し、セレクタ作動カムに対するニードルシリンダの自軸回りの回転の結果として、セレクタのヒールがセレクタ作動カムと係合するとき、上方に位置する針又はスライダの上り移動を引き起こして、針又はスライダの直接作動、又は、ニードル作動カム又はスライダ作動カムによって定められた経路の内の1つの経路から別の経路へのそのヒールの移動を生み出すか、又はニードル作動カム又はスライダ作動カムによって通常引き起こされる針又はスライダの下がり移動を可能にする。
【0015】
靴下類のための円形編機で現在用いられるセレクタは2種類あり、固定して揺動するセレクタ、及び弾性的に揺動するセレクタである。
【0016】
固定して揺動するセレクタは、セレクタの作動位置から非作動位置への移動、及びセレクタの非作動位置から作動位置への移動を両方共生み出すために、セレクタへの介入を必要とする。
【0017】
弾性的に揺動するセレクタは、セレクタを非作動位置に保持するための動作が終わり次第、セレクタの弾性反応の結果として逆移動が自動的に生じるので、作動位置から非作動位置にセレクタの移動を生み出すためだけの介入を一般に必要とする。
【0018】
セレクタの作動位置から非作動位置への移動は、編機のニードルシリンダに横方向から面し、セレクタによって針の作動を変えることができ、それ故生み出され得る編成を変えることができる選択装置によって作動される。
【0019】
現在市販している円形編機では、多くの場合、ニードル作動カム間及びスライダ作動カム間に追加のカムもあり、追加のカムは、針又はスライダのヒールによって係合されるように追加のカムがニードルシリンダに接近する作動位置から、追加のカムが、針又はスライダのヒールに干渉しないようにニードルシリンダから間隔が置かれる非作動位置に、及びその逆に通過するように、指令によりニードルシリンダに対してラジアル方向に移動可能である。
【0020】
公知のタイプの編機では、固定セレクタとセレクタ作動カム、特に針又はスライダを上げる前記カムの上がり部分との係合は、例えば振動等のランダムな現象の結果として、セレクタのヒールが作動カムから外れることがあり、その結果針の不正確な又は完全に誤った作動が起こり得るため、必ずしも十分であるとは限らない。この事実の結果として、破損又は編成誤りが生じる場合がある。
【0021】
この問題の解決を試みるために、セレクタ作動カムと係合することを意図されたセレクタのヒールは台形形状を有し、これに係合させるべく意図されたカムの外形は、対応して形作られているが、この解決法は、動作速度が速く、強度の振動がある状態では、セレクタのセレクタ作動カムからの不測の離脱が、これでもまだ生じる場合があるので、係合の強度を十分に保証しない。
【0022】
弾性タイプの揺動セレクタでは、セレクタの弾性反応がセレクタのセレクタ作動カムとの係合を強化するので、この問題はそれほど強く感じられないが、セレクタが、セレクタ作動カムとの係合を回避するために、非作動位置に運ばれる領域に追加のアクチュエータ又はカムを備える必要があり、編機の複雑さを著しく増加させるので、全体としてセレクタの管理に関してより重大な問題がある。
【0023】
更に、ニードル作動カムとスライダ作動カムとの間に、様々な種類の編成を生み出すために必要である移動可能なカム及び対応するアクチュエータが存在することにより、編機全体の構造の複雑さを著しく増加させるという問題がある。
【0024】
更に、これら移動可能なカムの存在により、編機に搭載され、適切に準備された作動プログラムの供給を余儀なくされ、電源供給の不足による編機の不測の停止が生じた場合、編成が再開される前に、移動可能なカムを正確な位置に戻す際に、編機が先に移動可能なカムを正確な位置に戻すことなく再開すると、針又はスライダのヒールが壊れるかもしれないので、プログラムが介入する。
【0025】
実際、これら移動可能なカムの存在により、電源供給が中断された場合、移動可能なカムの位置を格納する電子プログラムの編機への供給が必要とされ、これは、編機の製造での一層の複雑化を引き起こす。
【特許文献1】国際公開第02/042536号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0026】
本発明の意図は、動作速度が速く及び/又は振動がある状態でさえ、高精度の針の作動を保証する靴下類等のための円形編機を提供することにより、上述された問題を解決することである。
【0027】
この意図の範囲内で、本発明の目的は、一組のニードル作動カム又はスライダ作動カムが、公知のタイプの編機に比して著しく単純化される編機を提供することである。
【0028】
本発明の別の目的は、針又はスライダの作動のために、限られた数の移動可能なカムで、又は全く移動可能なカムなしで正確に動作することができる靴下類等のための円形編機を提供することである。
【0029】
本発明の別の目的は、ニードル作動カム又はスライダ作動カムの単純化にもかかわらず、従来のタイプの靴下類等のための円形編機で可能な通常のタイプの編成を今までどおり行なうことが可能な編機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0030】
この意図、並びにこれらの目的及び以下に明らかとなるその他の目的は、垂直軸と、その側面に、針及び針作動要素を夫々収容する複数の軸スロットとを有する少なくとも1つのニードルシリンダを備える靴下類等のための円形編機において、前記作動要素は、ニードルシリンダの外部に向いた側部に少なくとも1つの移動可能なヒールを有する少なくとも1つの接続要素を含み、該接続要素は、ニードルシリンダの側面に面し、作動位置での、接続要素作動カムに対するニードルシリンダの自軸回りの回転動作による作動の結果として、前記移動可能なヒールがたどり得る経路を定める前記対応する接続要素作動カムと係合するように、前記移動可能なヒールがニードルシリンダの対応する軸スロットからラジアル方向に突出する前記作動位置から、前記接続要素作動カムと係合しないように、前記移動可能なヒールがニードルシリンダの前記軸スロットに収容される非作動位置への、及びその逆への前記移動可能なヒールの移動のために、ニードルシリンダのラジアル面で揺動可能であり、前記接続要素作動カムは、少なくとも1つの引出しカム又は引込みカムを有し、該引出しカム又は引込みカムは、ニードルシリンダの軸に垂直な仮想面に対して傾斜した外形である部分を有し、作動位置で前記移動可能なヒールによって係合されることが可能であり、接続要素の移動可能なヒールを前記非作動位置から前記作動位置に移動させて、接続要素の前記移動可能なヒールを、引出しカム又は引込みカムの前記部分の略延長部全体に前記作動位置に保持するために、前記接続要素に作用する引出し手段が備えられていることを特徴とする編機によって達成される。
【0031】
本発明の更なる特徴及び利点は、添付図面の非限定例で示した本発明に係る編機の2つの好ましいが排他的でない実施形態の説明からより理解できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
靴下類のためのシングルシリンダ円形編機を参照する、図1及び2に示された第1実施形態に関して、一般に参照番号1によって示された本発明に係る編機は、垂直軸2aと、その側面に複数の軸スロット3とを有するニードルシリンダ2を備え、各軸スロットは針4と針4のための作動要素5とを収容する。
【0033】
本発明によれば、作動要素5は少なくとも1つの接続要素6を含み、接続要素は、ニードルシリンダ2の外部に向いた側部に、少なくとも1つの移動可能なヒール6aを有する。接続要素6は、ニードルシリンダ2のラジアル面で揺動可能であり、それ故、図2に示された、移動可能なヒール6aがニードルシリンダ2の対応する軸スロット3からラジアル方向に突出することにより、ニードルシリンダ2の側面に面して、作動位置での、対応する接続要素作動カム7に対するニードルシリンダ2の自軸2a回りの回転動作による作動の結果として、移動可能なヒール6aがたどり得る経路を定める接続要素作動カム7と係合する作動位置から、図1に示された、移動可能なヒール6aがニードルシリンダ2の軸スロット3に収容されることにより、接続要素作動カム7と係合しない非作動位置への、及びその逆への移動可能なヒール6aの移動を引き起こす。
【0034】
接続要素6は、ラジアル面に、つまり軸スロット3に挿入される接続要素6の配置面に垂直である回転軸10回りに、針の先端又はヘッドの反対側に位置する針4の長手方向端部に枢支される。接続要素6は、針4に対して前記回転軸10回りに揺動可能であるので、移動可能なヒール6aの作動位置から非作動位置への、又はその逆への移動を生み出す。
【0035】
針4は、長手方向延長部の中間領域に固定ヒール4aを有し、固定ヒールは、ニードルシリンダ2の対応する軸スロット3からラジアル方向に突出し、ニードルシリンダ2の側面に面し、ニードル作動カム11に対するニードルシリンダ2の自軸2a回りの回転動作による作動の結果として、固定ヒール4aがたどり得る経路を定めるニードル作動カム11と係合可能である。
【0036】
図1及び2に示された実施形態では、接続要素6は、針4に直接枢支されるが、ニードルシリンダ2の同一の軸スロット3に配置された接続要素6と針4との間に配置された中間要素に枢支されてもよい。この場合、中間要素は、針4に接続されてもよく、好ましくは、ニードルシリンダ2の軸2aと平行な交替移動を針4に伝えるように相互接続で接続されてもよい。この場合、接続要素6は、移動可能なヒール6aの作動位置から非作動位置への、又はその逆への移動のために、中間要素に対して前記回転軸回りに揺動可能であるように、ラジアル面に垂直な回転軸回りに、中間要素に枢支される。
【0037】
接続要素6と針4又は中間要素との間の枢支は、好ましくは、針又は中間要素が収容される軸スロット3の底部に対して反対方向に向いた針4又は中間要素の側部に突出する突部12と、軸10回りに回転可能であるように突部12を収容し、接続要素6に形成された座部13とによって構成される。
【0038】
好ましくは接続要素6は、針4又は中間要素に接続された端部に、ニードルシリンダ2の外部に向いてラジアル方向に突出する第2ヒール6bを有する。この第2ヒール6bは、ニードルシリンダ2の側面から常に突出し、特定の場合には、針4、任意の中間要素及び接続要素6によって構成された組立体の把持要素として、編機の保守の間に組立体を交換するために用いることができる。
【0039】
靴下類のためのダブルシリンダ円形編機を参照する、図3及び4に示された第2実施形態に関して、一般に参照番号21によって示された本発明に係る編機は、垂直軸22a を有する下部ニードルシリンダ22と、下部ニードルシリンダ22より上方で、下部ニードルシリンダと同軸上に配置された上部ニードルシリンダ42とを備える。相互に一列に並んだ複数の軸スロット23,43 が、下部ニードルシリンダ22の側面及び上部ニードルシリンダ42の側面に形成されている。針24のための作動要素25,45 が、下部ニードルシリンダ22及び上部ニードルシリンダ42の各軸スロット23,43 に収容されており、ダブルヘッド又は先端を有する針24は、ニードルシリンダ22,42 の内の一方に、ニードルシリンダ22,42 の相互に面する軸方向端部に隣接して配置されている。
【0040】
少なくとも下部ニードルシリンダ22に配置された作動要素25は、スライダ34を含み、スライダは、長手方向端部の内の一方に隣接して、針24のヘッドと係合する手段を有する。作動要素25は更に、接続要素6と同様の接続要素26を含み、接続要素は、スライダ34の、針24と係合可能な端部の反対側に位置する長手方向端部に枢支されている。
【0041】
実質上、スライダ34は、本発明に係る編機の第1実施形態で上記に検討された中間要素に概念的に例えることができる。
【0042】
特に、スライダ34は、長手方向延長部の中間領域に固定ヒール34a を有し、固定ヒールは、下部ニードルシリンダ22の対応する軸スロット23からラジアル方向に突出し、下部ニードルシリンダ22の側面に面し、前記スライダ作動カム31に対する下部ニードルシリンダ22の自軸22a 回りの回転動作による作動の結果として、固定ヒール34aがたどり得る経路を定めるスライダ作動カム31と係合可能である。
【0043】
接続要素26は、下部ニードルシリンダ22の外部に向いた側部に、少なくとも1つの移動可能なヒール26a を有する。接続要素26は、下部ニードルシリンダ22のラジアル面で揺動可能であり、それ故、図4に示された、移動可能なヒール26a が下部ニードルシリンダ22の対応する軸スロット23からラジアル方向に突出することにより、下部ニードルシリンダ22の側面に面して、作動位置での、接続要素作動カム27に対する下部ニードルシリンダ22の自軸22a 回りの回転動作による作動の結果として、移動可能なヒール26a がたどり得る経路を定める対応する接続要素作動カム27と係合する作動位置から、図3に示された、移動可能なヒール26a が下部ニードルシリンダ22の軸スロット23に収容されることにより、接続要素作動カム27と係合しない非作動位置への、及びその逆への移動可能なヒール26a の移動を引き起こす。
【0044】
接続要素26は、回転軸30回りに、スライダ34の、針24の先端又はヘッドと係合可能な端部の反対側に位置する長手方向端部に枢支され、回転軸は、ラジアル面に、つまり軸スロット23に挿入される接続要素26の配置面に垂直である。接続要素26は、スライダ34に対して前記回転軸30回りに揺動可能であるので、移動可能なヒール26a の作動位置から非作動位置への、又はその逆への移動を生み出す。
【0045】
接続要素26とスライダ34との間の枢支は、スライダが収容される軸スロット23の底部に対して反対方向に向いたスライダ34の側部に突出する突部32と、回転可能に突部32を収容し、接続要素26に形成された座部33とによって構成される。
【0046】
スライダ34は、針24の方に向いた長手方向端部に隣接して、更にフック状のタブ36を有し、タブは、針24の対応するヘッドと係合可能であり、フック状のタブ36に関する針24のヘッドとの係合又は針24のヘッドとの離脱を生み出すために、下部ニードルシリンダ22のラジアル面で揺動可能である。
【0047】
接続要素26は、好ましくはスライダ34に接続された端部に、下部ニードルシリンダ22の外部に向いてラジアル方向に突出する第2ヒール26b を有する。この第2ヒール26b は、下部ニードルシリンダ22の側面から常に突出し、単純化のために示されていない、下部ニードルシリンダ22の側面に面する対応する作動カムと係合可能である。
【0048】
更に、前記第2ヒール26b は、軸スロット23の底部に向けて押されることが可能であり、それによって、針24の方に向いたスライダの長手方向端部を、スライダが収容されるニードルシリンダ22の軸スロット23の底部から離れるように移動させる方向への、スライダが位置するニードルシリンダ22のラジアル面でのスライダ34の揺動を生み出して、スライダのフック状のタブ36を針24の対応するヘッドと係合させるか、又は係合を外す。
【0049】
上部ニードルシリンダ42の軸スロット43に配置された針の作動要素45は、好ましくは、下部ニードルシリンダ22に配置された針の作動要素25と同様に備えられ、つまり、各軸スロット43毎に、スライダ34及び接続要素26と略同様に備えられたスライダ及び接続要素によって構成される。下部ニードルシリンダ22に関して説明された要素と同様に、上部ニードルシリンダ42の側面の周りに、上部ニードルシリンダ42に配置されたスライダの固定ヒールによって係合可能な経路を定めるスライダ作動カムと、これらのスライダに枢支される接続要素の移動可能なヒールによって係合可能な経路を定める接続要素作動カムとがある。説明の単純化のために、上部ニードルシリンダに関する編機の要素は示されていない。
【0050】
図示されたどちらの実施形態でも、作動要素5,25は、好ましくはセレクタ8,28も含み、セレクタは、接続要素6,26と接続要素が収容されるニードルシリンダ2,22の軸スロット3,23の底部との間に、編機の動作の間、接続要素6,26が取り得る任意の位置で突出する部分9,29を有する。セレクタ8,28は、接続要素6,26の移動可能なヒール6a,26aの非作動位置から作動位置への移動を生み出す揺動の方向に、接続要素6,26の揺動を引き起こすために、ニードルシリンダ2,22のラジアル面で揺動可能である。
【0051】
同様に、上部ニードルシリンダ42の軸スロット43に配置された針の作動要素45は、各軸スロット43に、セレクタ28と同様のセレクタを含むことができる。
【0052】
シングルシリンダ円形編機の場合及びダブルシリンダ円形編機の場合の両方共、単一のニードルシリンダ2、又は下部ニードルシリンダ22、及び任意には上部ニードルシリンダ42に配置された接続要素6,26のための接続要素作動カム7,27は、少なくとも1つの引出しカム又は引込みカム38を含み、引出しカム又は引込みカムは、ニードルシリンダ2,22,42 の軸に垂直な仮想面に対して傾斜した外形を有する部分38a を有し、作動位置で移動可能なヒール6a,26aによって係合されることが可能である。
【0053】
本発明によれば、編機は、接続要素の移動可能なヒール6a,26aの非作動位置から作動位置への移動を生み出し、移動可能なヒール6a,26aを、引出しカム又は引込みカム38の前記部分38a の略延長部全体に沿って作動位置に保持するために、接続要素6,26に作用する引出し手段を備える。
【0054】
示されたどちらの実施形態でも、セレクタ8,28は、セレクタが収容される軸スロット3,23の底部と接続要素6,26との間に介在する一部分9,29から間隔を置いて配置される長手方向延長部の領域に、軸スロット3,23の底部へ向けて押されることが可能な少なくとも1つの領域8a,8b,8c,28a,28b,28cを有しており、それによって、セレクタ8,28の揺動を生み出し、結果的に、接続要素6,26の移動可能なヒール6a,26aの非作動位置から作動位置への通過を生み出す。
【0055】
示された実施形態では、各セレクタ8,28は、参照番号8a,8b 又は8c、及び28,28b又は28c によって示された2つの押圧可能領域を夫々有しており、押圧可能領域は、セレクタ8,28の、針4又はスライダ34の方に向いた長手方向端部の反対側に位置する長手方向端部に隣接して位置付けられている。押圧可能領域8b,8c 及び28b,28c は、ニードルシリンダ2,22の外部に向けて突出するように設けられており、相互に異なる高さで配置されている。特に、2つの隣接する軸スロット3,23に配置された2つのセレクタ8,28を考慮すると、以下に明らかとなるように、2つのセレクタへの多様な介入を可能にすべく、セレクタ8,28が領域8b,28bを有する一方、別のセレクタが領域8c,28cを有している。
【0056】
前記引出し手段は、接続要素6,26の移動可能なヒール6a,26aを非作動位置から作動位置へ移動させて、引出しカム又は引込みカム38の前記部分38a の略延長部全体に沿って作動位置に移動可能なヒールを安定して保持するように、ラジアル面でセレクタの揺動を引き起こすためにセレクタ8,28に指令により作用する。
【0057】
引出し手段は引出し要素39を含み、引出し要素は、ニードルシリンダ2,22,42 の側面に面して、引出しカム又は引込みカム38の前記部分38a に配置されている。引出し要素39は、好ましくはセレクタ8,28によって、接続要素6,26の移動可能なヒール6a,26aを非作動位置から作動位置へ移動させるために、且つ引出しカム又は引込みカム38の前記部分38a の略延長部全体に沿って作動位置に移動可能なヒールを安定して保持するために、接続要素6,26に作用する。
【0058】
引出し要素39は少なくとも1つのプレッサ40a,40b,40c を含み、プレッサは、ニードルシリンダ2,22の側面に面してあり、接続要素6,26の移動可能なヒール6a,26aの作動位置に相当する位置でセレクタの移動又は保持を引き起こすために、セレクタ8,28と係合可能である。
【0059】
プレッサ40a,40b,40c は、固定されることができる、つまり、作動カム11,31,7,27の(カムボックスとして公知でもある)支持要素に固定して接続されることができるか、又は、セレクタ8,28に干渉するようにプレッサがニードルシリンダ2,22に近接して配置される作動化位置から、セレクタ8,28に干渉しないようにプレッサがニードルシリンダ2,22から間隔を置いて配置される非作動化位置へと通過するために、ニードルシリンダ2,22に対してラジアル方向に指令により移動可能である。
【0060】
特に、図示された実施形態では、針選択装置に属する固定されたタイプの、例えばイタリア特許第IT 1312277号に記載されているタイプのプレッサ40a があり、針毎の選択を可能にし、つまり編機の様々なセレクタを、特にニードルシリンダ2,22の2つの隣接する軸スロット3,23に配置された2つのセレクタ8,28であっても、互いに独立して作動させることができる。
【0061】
前記選択装置は、ニードルシリンダ2,22の各軸スロット3,23にレバー50,60 を有し、レバーは、略水平に配置されて、前記ニードルシリンダ2,22に支持されて、ニードルシリンダ2,22に対してラジアル方向に並進運動を行なうことができ、ニードルシリンダ2,22のラジアル面で揺動可能である。
【0062】
レバー50,60 のラジアル方向の、つまり、ニードルシリンダ2,22の軸2a,22aに対して接近又は離間する移動は、前記レバー50によって、セレクタ8,28の押圧可能領域8a,28aに作用するために又は作用しないために用いられる一方、レバー50,60 のラジアル面で揺動する能力は、レバーが、プレッサ40a のレベルで、プレッサと係合するようにニードルシリンダ2,22に対して反対方向に向いたアバットメント側部の内の1つを有する作動位置から、レバーが、プレッサと係合しないように前記アバットメント側部がプレッサ40a の下方に配置された非作動位置への、及びその逆へのレバー50,60 の移動を生み出すために用いられる。
【0063】
作動位置でのレバー50,60 のプレッサ40a との係合は、ニードルシリンダ2,22の軸2a,22aの方に向かう前記レバー50,60 の並進運動を生み出す。この並進運動の結果として、レバー50,60 は、対応するセレクタ8,28の押圧可能領域8a,28aに作用して、セレクタは、ニードルシリンダ2,22がラジアル面で揺動することにより、その一部分9,29によって、接続要素の移動可能なヒール6a,26aで非作動位置から作動位置に通過する接続要素6,26の揺動を引き起こす。
【0064】
プレッサ40a は、該プレッサ40a に対するニードルシリンダ2,22の自軸2a,22a回りの回転方向に、ニードルシリンダ2,22の側面に徐々に接近する始めのガイド部分で形作られ、過度の衝撃又は応力を回避して、レバー50,60 のプレッサ40a との徐々の係合を達成する。
【0065】
プレッサ40a の代替物又は付加物として、セレクタ8,28の領域8b,8c,28b,28cと直接接することができる他のプレッサ40b,40c を備えることが可能である。
【0066】
この場合、例えば、領域8b,28b又は領域8c,28cを夫々有する2つのタイプのセレクタを備えて、2つのプレッサ40b,40c をこれらの領域に対応するレベルで配置することにより、1つのタイプのセレクタ、又は他のタイプのセレクタ、又は両方のタイプのセレクタに多様な方法で作用することが可能である。
【0067】
代替案として、少なくとも1つのプレッサを有する公知のタイプの別の種類の選択装置を備えることが可能であり、プレッサは、プレッサがセレクタ8,28に干渉して、セレクタの揺動を引き起こし、ひいては接続要素6,26の移動可能なヒール6a,26aの非作動位置から作動位置への移動を引き起こす作動化位置から、プレッサがセレクタ8,28に干渉しない非作動化位置に通過するために、例えばラジアル方向にニードルシリンダ2,22に対して指令により移動可能である。
【0068】
どんな場合でも、ニードルシリンダ2,22の同一の軸スロット3,23に配置され、直接又はスライダ34によって接続要素6,26と係合された針4,24を上げるか又は下げるために、接続要素6,26の移動可能なヒール6a,26aを引出しカム又は引込みカム38の前記部分38a と係合させることを望む場合、一又は複数のプレッサ40a,40b,40c が直接又は間接的にセレクタ8,28に作用するので、セレクタは、引出しカム又は引込みカム38の前記部分38a の略延長部全体に沿って作動位置に接続要素6,26の移動可能なヒール6a,26aを保持することができる。
【0069】
このように、接続要素6,26の移動可能なヒール6a,26aの引出しカム又は引込みカム38との係合は、回転速度が速く、振動がある状態であっても保証される。
【0070】
図5及び6は、一例として、その位置が線A によって示されたフィード又はドロップで、特にニードルシリンダ2,22の自軸2a,22a回りの往復動作の間用いられることが可能なフィード又はドロップA での、シングルシリンダ円形編機のニードルシリンダ2の周り、又はダブルシリンダ円形編機の下部ニードルシリンダ22の周りに配置された一組の作動カム7,27,11,31の一部分の可能な実施形態を示す。
【0071】
図示されたニードル作動カム11又はスライダ作動カム31の間に、ニードルシリンダ2,22の一回転方向の回転動作のための上げカム51、ニードルシリンダ2,22の反対方向の回転動作のための上げカム52、センターカム53、センター補足カム54、ニードルシリンダ2,22の一回転方向の回転動作のためのノックオーバーカム55、及びニードルシリンダ2,22の反対方向の回転動作のためのノックオーバーカム56が明示されている。
【0072】
図示された接続要素作動カム7,27の間に、ニードルシリンダ2,22の一回転方向の回転動作ための、移動可能なヒール6a,26aによって係合可能な対応する部分38a を有する引込みカム又は下げカム38と、ニードルシリンダ2,22の反対方向の回転動作のための、移動可能なヒール6a,26aによって係合可能な対応する部分58a を有する引込みカム又は下げカム58とが明示されている。これら2つのカム38,58 は、図示された実施形態では、一体に形成されているが、2つの個別のカムとして備えられてもよい。
【0073】
図5は、対応する針が、考慮対象のフィード又はドロップA で編成するために移動される必要がないとき、針4のヒール4a又はスライダ34のヒール34a 及び接続要素6,26の移動可能なヒール6a,26aがたどる経路を示す。カムに対するニードルシリンダ2,22の回転方向は、矢印61によって示される。実際、移動可能なヒール6a,26aは、移動されるか非作動位置に保持されるので、針4又はスライダ34のヒール4a,34aが上げカム51と係合した後、接続要素6,26の移動可能なヒール6a,26aは、引込みカム38の前記部分38a と係合しないので、針4又はスライダ34のヒール4a,34aは、センターカム53の上方を通過して、ノックオーバーカム55と係合しない。
【0074】
図6は、対応する針4,24が、考慮対象のフィード又はドロップA で編成するために移動される必要があるとき、針4のヒール4a又はスライダ34のヒール34a 及び接続要素6,26の移動可能なヒール6a,26aがたどる経路を示す。カムに対するニードルシリンダ2,22の回転方向は、この場合も矢印61によって示される。実際、針4又はスライダ34のヒール4a,34aが上げカム51と係合した後、プレッサ40a 又は別のプレッサ40b,40c の内の1つの介入によって作動位置へ移動した接続要素6,26の移動可能なヒール6a,26aは、引込みカム38の前記部分38a と係合するので、針4又はスライダ34のヒール4a,34aは、まずセンターカム53と係合し、その後ノックオーバーカム55と係合して、針4,24は、考慮対象のフィードA で編地を形成する。
【0075】
図5及び6では、接続要素6,26のヒール6a,26aの作動位置と非作動位置とを区別するために、作動位置でのヒール6a,26aは陰をつけて、非作動位置でのヒールは陰をつけていない。
【0076】
プレッサ40a,40b,40c と同様のプレッサが、ニードルシリンダ2,22が、作動カムに対して自軸2a,22a回りに反対方向、つまり矢印62によって示された方向に回転動作で作動されるときも、上述した動作状態と同様の動作状態を得ることができるように、下げカム58の前記部分58a に備えることができる。
【0077】
尚、本発明に係る編機では、接続要素6,26の移動可能なヒール6a,26aの非作動位置から作動位置への移動を、接続要素がニードルシリンダ2,22の軸スロット3,23に沿ってあり得る任意の位置で引き起こすことができるので、前記移動可能なヒール6a,26aの対応する作動カムとの係合又は離脱を引き起こして、接続要素に関連する針4又はスライダ34の固定ヒール4a,34aがたどる経路の変化を引き起こす。このように、移動可能なカムの必要がなく、それ故、前記移動可能なカムの存在に関連して認められた問題は解決される。
【0078】
靴下類のためのダブルシリンダ円形編機の下部ニードルシリンダに関して上述された解決法は、当業者に公知である異なる動作状態によって課される違いを除き、下部ニードルシリンダに関して説明された要素と同様の対応する作動カム及びプレッサだけでなく、下部ニードルシリンダに関して説明された要素と同様のセレクタ、接続要素及びスライダをも上述したように備えることにより上部ニードルシリンダにも適用されるが、上部ニードルシリンダに関する要素は、下部ニードルシリンダに関する要素に対して反転されているという事実を考慮に入れる。
【0079】
実際には、作動位置で接続要素の移動可能なヒールの引出しカムと引込みカムとの係合を安全に保証することにより、編機が、動作速度が速く、振動がある状態でも正確な動作を保証するので、本発明に係る編機は意図した目的を完全に達成することが分かった。
【0080】
本発明に係る編機の別の利点は、従来のタイプの靴下類のための円形編機で現在行われることができるほとんど全ての種類の編成を実行することが可能であるにもかかわらず、一組のスライダ作動カム又はニードル作動カムにおいて移動可能なカムを減らすか又は除去することさえ可能であることである。
【0081】
このように考案された編機は、その全てが添付した請求項の範囲内にある多くの修正及び変更を加えることができ、また細部の全ては、更に他の技術的に等価な要素に置き換えてもよい。
【0082】
実際には、用いられる材料並びに寸法は、要件及び技術の状態に応じて如何なるものであってもよい。
【0083】
本出願が優先権を主張しているイタリア特許出願第MI2006A000628 号及びイタリア特許出願第MI2006A001378 号での開示内容は、参照してここに盛り込まれる。
【0084】
任意の請求項の範囲に述べられている技術的特徴の後には参照番号が続いているが、これらの参照番号は請求項の範囲の理解度を高めるためだけに含まれているものであり、従って、このような参照番号は、このような参照番号により一例として識別される各要素の解釈をいかなる形においても限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】靴下類等のためのシングルシリンダ円形編機によって構成された、本発明に係る編機の第1実施形態を示し、接続要素の移動可能なヒールが非作動位置にある編機のニードルシリンダの一部を示す軸方向概略断面図である。
【図2】靴下類等のためのシングルシリンダ円形編機によって構成された、本発明に係る編機の第1実施形態を示し、接続要素の移動可能なヒールが作動位置にある編機のニードルシリンダの一部を示す軸方向概略断面図である。
【図3】靴下類のためのダブルシリンダ円形編機によって構成された、本発明に係る編機の第2実施形態を示し、接続要素の移動可能なヒールが非作動位置にある編機のニードルシリンダの一部を示す軸方向概略断面図である。
【図4】靴下類のためのダブルシリンダ円形編機によって構成された、本発明に係る編機の第2実施形態を示し、接続要素の移動可能なヒールが作動位置にある編機のニードルシリンダの一部を示す軸方向概略断面図である。
【図5】編機のフィード又はドロップで、針作動要素及び任意には針のヒールがたどる可能な経路を表し、シングルシリンダ円形編機のニードルシリンダ又はダブルシリンダ円形編機の下部ニードルシリンダの方に向いたその側部から見た投影面であり、針作動要素及び任意には針の一組の作動カムの可能な実施形態を示す図である。
【図6】編機のフィード又はドロップで、針作動要素及び任意には針のヒールがたどる別の可能な経路を表し、図5に示された、針作動要素及び任意には針の一組の作動カムの同一の実施形態を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
垂直軸と、その側面に、針及び針作動要素を夫々収容する複数の軸スロットとを有する少なくとも1つのニードルシリンダを備える靴下類等のための円形編機において、
前記作動要素は、ニードルシリンダの外部に向いた側部に少なくとも1つの移動可能なヒールを有する少なくとも1つの接続要素を含み、
該接続要素は、ニードルシリンダの側面に面し、作動位置での、接続要素作動カムに対するニードルシリンダの自軸回りの回転動作による作動の結果として、前記移動可能なヒールがたどり得る経路を定める前記対応する接続要素作動カムと係合するように、前記移動可能なヒールがニードルシリンダの対応する軸スロットからラジアル方向に突出する前記作動位置から、前記接続要素作動カムと係合しないように、前記移動可能なヒールがニードルシリンダの前記軸スロットに収容される非作動位置への、及びその逆への前記移動可能なヒールの移動のために、ニードルシリンダのラジアル面で揺動可能であり、
前記接続要素作動カムは、少なくとも1つの引出しカム又は引込みカムを有し、該引出しカム又は引込みカムは、ニードルシリンダの軸に垂直な仮想面に対して傾斜した外形である部分を有し、作動位置で前記移動可能なヒールによって係合されることが可能であり、
接続要素の移動可能なヒールを前記非作動位置から前記作動位置に移動させて、接続要素の前記移動可能なヒールを、引出しカム又は引込みカムの前記部分の略延長部全体に前記作動位置に保持するために、前記接続要素に作用する引出し手段が備えられている
ことを特徴とする編機。
【請求項2】
前記針作動要素は、前記接続要素と該接続要素が収容されるニードルシリンダの軸スロットの底部との間に位置する部分を有するセレクタを含み、該セレクタは、接続要素の前記移動可能なヒールの前記非作動位置から前記作動位置への移動を生み出すために、ニードルシリンダのラジアル面で揺動可能であり、前記引出し手段は、前記接続要素の前記移動可能なヒールを前記非作動位置から前記作動位置へ移動させるための、前記ラジアル面でのセレクタの揺動のために前記セレクタに指令により作用することを特徴とする請求項1に記載の編機。
【請求項3】
前記セレクタは、編機の動作の間、前記接続要素が取り得る任意の位置で、前記接続要素と該接続要素が収容されるニードルシリンダの軸スロットの底部との間にセレクタの前記部分を有するように位置することを特徴とする請求項1又は2に記載の編機。
【請求項4】
前記引出し手段は、引出し要素を含み、該引出し要素は、ニードルシリンダの側面に面し、引出しカム又は引込みカムの前記部分の略延長部全体に沿って前記作動位置に接続要素の前記移動可能なヒールを保持するために、前記セレクタによって前記接続要素に作用することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の編機。
【請求項5】
前記引出し要素は、少なくとも1つのプレッサを有し、該プレッサは、ニードルシリンダの側面に面し、接続要素の前記移動可能なヒールの作動位置に相当する位置での、セレクタの移動又は保持のために前記セレクタと係合可能であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の編機。
【請求項6】
前記プレッサは、該プレッサが前記セレクタに干渉する作動化位置から、前記プレッサが前記セレクタに干渉しない非作動化位置へ通過するために、ニードルシリンダに対して指令により移動可能であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の編機。
【請求項7】
前記プレッサは、前記作動化位置から前記非作動化位置へ通過するために、ニードルシリンダに対してラジアル方向に指令により移動可能であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の編機。
【請求項8】
前記接続要素は、前記ラジアル面に垂直である回転軸回りに、針の先端又はヘッドの反対側に位置する針の長手方向端部に枢支され、前記接続要素は、前記移動可能なヒールの前記作動位置から前記非作動位置への、又はその逆への移動のために、前記針に対して前記回転軸回りに揺動可能であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の編機。
【請求項9】
前記針は、長手方向延長部の中間領域に固定ヒールを有し、該固定ヒールは、ニードルシリンダの対応する軸スロットからラジアル方向に突出し、ニードルシリンダの側面に面し、前記ニードル作動カムに対するニードルシリンダの自軸回りの回転動作による作動の結果として、前記固定ヒールがたどり得る経路を定めるニードル作動カムと係合可能であることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の編機。
【請求項10】
前記針作動要素は、ニードルシリンダの同一の軸スロットに配置された前記接続要素と針との間に配置された中間要素を含み、前記接続要素は、前記ラジアル面に垂直である回転軸回りに、前記中間要素に枢支され、前記接続要素は、前記移動可能なヒールの前記作動位置から前記非作動位置への、又はその逆への移動のために、前記中間要素に対して前記回転軸回りに揺動可能であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の編機。
【請求項11】
前記針又は中間要素と前記接続要素との間の枢支は、針又は中間要素が収容されるニードルシリンダの軸スロットの底部から離れる方向に向いた前記針又は前記中間要素の側部に位置する突部と、該突部を回転可能に収容し、前記接続要素に形成された座部とによって構成されていることを特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載の編機。
【請求項12】
前記接続要素は、前記針又は前記中間要素に接続された端部に、ニードルシリンダの外部に向いてラジアル方向に突出する第2ヒールを有することを特徴とする請求項1乃至11のいずれかに記載の編機。
【請求項13】
下部ニードルシリンダと、該下部ニードルシリンダより上方で、前記下部ニードルシリンダと同軸上に配置された上部ニードルシリンダとを備えるダブルシリンダ編機によって構成され、相互に一列に並んだ複数の軸スロットが、下部ニードルシリンダの側面及び上部ニードルシリンダの側面に形成され、針作動要素が下部ニードルシリンダ及び上部ニードルシリンダの各軸スロットに収容され、前記針作動要素は、少なくとも下部ニードルシリンダについて、
−前記中間要素を構成し、その長手方向端部の内の一方に隣接して、針のヘッドと係合する手段を有するスライダと、
−前記スライダの、針と係合可能な端部の反対側に位置する長手方向端部に枢支される前記接続要素と、
−前記接続要素と該接続要素が収容されるニードルシリンダの軸スロットの底部との間に、編機の動作の間、前記接続要素が取り得る任意の位置で突出する部分を有し、接続要素の前記移動可能なヒールを前記非作動位置から前記作動位置へ移動させるために、ニードルシリンダのラジアル面で揺動可能である前記セレクタと
を備えることを特徴とする請求項1乃至12のいずれかに記載の編機。
【請求項14】
前記スライダは、長手方向延長部の中間領域に固定ヒールを有し、該固定ヒールは、ニードルシリンダの対応する軸スロットからラジアル方向に突出し、ニードルシリンダの側面に面し、前記スライダ作動カムに対するニードルシリンダの自軸回りの回転動作による作動の結果として、前記固定ヒールがたどり得る経路を形成するスライダ作動カムと係合可能であることを特徴とする請求項1乃至13のいずれかに記載の編機。
【請求項15】
上部ニードルシリンダの軸スロットに配置された針の作動要素は、下部ニードルシリンダの軸スロットに配置された針の作動要素と略同様に備えられていることを特徴とする請求項1乃至14のいずれかに記載に編機。
【請求項16】
前記スライダは、前記接続要素に接続された長手方向端部の反対側に位置する長手方向端部による針のヘッドの係合又は針のヘッドの離脱のために、ニードルシリンダのラジアル面で揺動可能であることを特徴とする請求項1乃至15のいずれかに記載の編機。
【請求項17】
接続要素の前記第2ヒールは、針の方に向いたスライダの長手方向端部をスライダが収容されるニードルシリンダの軸スロットの底部から離れるように移動させる方向への、前記ラジアル面での前記スライダの揺動を生み出すために、軸スロットの底部に向けて押されることが可能であることを特徴とする請求項1乃至16のいずれかに記載の編機。
【請求項18】
前記セレクタは、該セレクタの揺動を引き起こし、結果的に、接続要素の前記移動可能なヒールの非作動位置から作動位置への移動を引き起こすために、セレクタが収容される軸スロットの底部と前記接続要素との間に介在するセレクタの一部分から間隔を置いて配置される長手方向延長部の領域に、軸スロットの底部へ向けて押されることが可能な少なくとも1つの領域を有することを特徴とする請求項1乃至17のいずれかに記載の編機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2009−531559(P2009−531559A)
【公表日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−502250(P2009−502250)
【出願日】平成19年3月27日(2007.3.27)
【国際出願番号】PCT/IB2007/000891
【国際公開番号】WO2007/113662
【国際公開日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【出願人】(597009471)
【Fターム(参考)】