説明

【課題】 硬質の合成樹脂補強板に布帛を添着して布帛を介して合成樹脂補強板にアッパ−を接着した靴を提供することである。
【解決手段】 硬質の合成樹脂補強板3の少なくとも下側面または上下両側面に不織布で構成された起毛した布帛6が添着されている。
起毛した布帛6には上下両側面に起毛6aが形成されている。
硬質の合成樹脂補強板3に起毛した布帛6が添着される時は、硬質の合成樹脂補強板3の側面が加熱することで溶融されて溶融した溶融樹脂3aが布帛6の起毛6aの繊維の間に含浸して硬化することで布帛6を添着する。
アッパ−2の外装材と硬質の合成樹脂補強板3が接着される時は、アッパ−2の外装材と起毛した布帛6の起毛6aの繊維の間に接着材7を含浸して接着される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アッパ−の内側底部の上に合成樹脂補強板を介在させた靴に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から靴の底部には特許文献1のように比較的硬質の素材からなるインソ−ル材が介在されている。
この特許文献1にはアウトソ−ル上や胛被上にインソ−ル材がどのように積層固定されるのか説明されていないが、比較的硬質の素材からなるインソ−ル材にアウトソ−ルや胛被を接着することは歩く時に底部が歪むため難しく、確実に強固に固定することが出来ない欠点がある。
【特許文献1】特開2002−282010号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
解決しようとする問題点は、硬質の素材からなるインソ−ル材にアウトソ−ルや胛被を接着することは歩く時に底部が歪むため難しく、確実に強固に固定することが出来ないことである。
【0004】
本発明の目的は前記欠点に鑑み、硬質の合成樹脂補強板に布帛を添着して布帛を介して合成樹脂補強板にアッパ−を接着した靴を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の請求項1は、アッパ−の底部に合成樹脂補強板を介在させた靴において、前記合成樹脂補強板に起毛した布帛を添着して布帛を介して合成樹脂補強板をアッパ−に接着したことを要旨とするものである。
本発明の請求項2は、合成樹脂補強板に該補強板を溶融した樹脂を布帛の繊維の間に含浸して布帛を添着したことを要旨とするものである。
本発明の請求項3は、布帛は、不織布であることを要旨とするものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明の請求項1により、合成樹脂補強板に添着した布帛の起毛を介してアッパ−を強固に接着することができる。
また、本願の請求項2により、合成樹脂補強板に起毛した布帛を、合成樹脂補強板を加熱することで溶融されて溶融した溶融樹脂を布帛の起毛の繊維の間に含浸して硬化することで布帛を確実に添着することができる。
請求項3により、アッパ−の外装材と合成樹脂補強板は、合成樹脂補強板に添着した不織布の布帛の起毛の繊維の間に十分に接着材を含浸して接着することができ、アッパ−の外装材を合成樹脂補強板に接着することが容易に、確実に強固に固定することが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
硬質の合成樹脂補強板3の少なくとも下側面または上下両側面に不織布で構成された起毛した布帛6が添着されている。
図3のように起毛した布帛6には上下両側面に起毛6aが形成されている。
硬質の合成樹脂補強板3に起毛した布帛6が添着される時は、硬質の合成樹脂補強板3の側面が加熱することで溶融されて溶融した溶融樹脂3aが布帛6の起毛6aの繊維の間に含浸して硬化することで布帛6を添着する。
アッパ−2の外装材と硬質の合成樹脂補強板3が接着される時は、アッパ−2の外装材と起毛した布帛6の起毛6aの繊維の間に接着材7を含浸して接着される。
【実施例1】
【0008】
以下、図示の一実施例によって本発明を説明すると、図1は靴の断面側面図、図2は靴の縦断面背面図、図3は図2の一部拡大断面背面図ある。
【0009】
靴は、ソ−ル1の上にアッパ−2が接着固定され、アッパ−2の内側底部2aの上に、起毛した布帛を少なくとも下側面または上下両側面に添着した合成樹脂補強板3が接着固定され、合成樹脂補強板3の上に受け板4が固定されてその上に中敷5が固定されている。
ソ−ル1はゴム、ウレタンなどの合成樹脂で形成されている。
アッパ−2は布や革などの外装材で底部2aと甲部2bで足形に合った袋状に形成されている。
合成樹脂補強板3は、アッパ−2の底部2aを形成する他の材料よりも硬質でその少なくとも下側面または上下両側面に起毛した布帛6が添着されている。
布帛6は不織布で構成されている。
図3のように起毛した布帛6には上下両側面に起毛6aが形成されている。
起毛6aは布帛6から布帛6の繊維が立ち上がった状態であり、繊維の端部が布帛6から突出していてもよいし、ル−プ状の繊維が突出したものでもよい。
硬質の合成樹脂補強板3に起毛した布帛6が添着固定される時は、合成樹脂補強板3に布帛6を添えて硬質の合成樹脂補強板3を加熱することで溶融されて溶融した溶融樹脂3aが布帛6の繊維の間に含浸して硬化することで布帛6を添着し、この時、起毛6aには溶融樹脂3aは含浸しない。
アッパ−2の外装材と硬質の合成樹脂補強板3が接着される時は、アッパ−2の外装材と起毛した布帛6の起毛6aの繊維の間に接着材7を含浸して接着される。
【0010】
前記のように靴が構成されていると、硬質の合成樹脂補強板3に直接布や革などの外装材で形成されたアッパ−2を接着することは難しく、従来は確実に強固に固定することが出来なかったが、硬質の合成樹脂補強板3に起毛した布帛6を、合成樹脂補強板3を加熱することで溶融されて溶融した溶融樹脂3aを布帛6の起毛6aの繊維の間に含浸して硬化することで布帛6を添着することができ、アッパ−2の外装材と合成樹脂補強板3は、合成樹脂補強板3に添着した布帛6の起毛6aの繊維の間に接着材7を含浸して接着することで、アッパ−2の外装材を合成樹脂補強板3に接着することが容易に、確実に強固に固定することが出来る。
【産業上の利用可能性】
【0011】
本発明は靴全般に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】靴の断面側面図である。
【図2】靴の縦断面背面図である。
【図3】図2の一部拡大断面背面図である。
【符号の説明】
【0013】
2 アッパ−
2a 底部
3 合成樹脂補強板
3a 溶融樹脂
6 布帛
6a 起毛

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アッパ−の底部に合成樹脂補強板を介在させた靴において、前記合成樹脂補強板に起毛した布帛を添着して布帛を介して合成樹脂補強板をアッパ−に接着したことを特徴とする靴。
【請求項2】
合成樹脂補強板に該補強板を溶融した樹脂を布帛の繊維の間に含浸して布帛を添着したことを特徴とする請求項1に記載の靴。
【請求項3】
布帛は、不織布であることを特徴とする請求項1又は2に記載の靴。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−154882(P2010−154882A)
【公開日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−333463(P2008−333463)
【出願日】平成20年12月26日(2008.12.26)
【出願人】(000002495)グローブライド株式会社 (1,394)
【Fターム(参考)】