説明

鞍乗型車両

【課題】部品点数の少ないフロントフォーク取付構造を備えた鞍乗型車両を提供する。
【解決手段】前輪110を回動自在に支持するフロントフォーク11の取付構造50を備えた鞍乗型車両100である。フロントフォークの取付構造50は、フロントフォーク11を通すクランプ孔25を有するブラケット10と、フロントフォーク11をブラケット10に締結する締結部材20とを備え、ブラケット10は、ブラケット本体部11Aと、クランプ孔25に一端29aが繋がり且つ他端29bが外部に繋がる切り割り溝29と、ネジ部材穴27とを備える。フロントフォーク11のうちネジ部材穴27が位置する部位には凹部形状の逃げ溝12が形成され、ネジ部材穴27は、切り割り溝29及び逃げ溝12が位置する箇所のクランプ孔25に繋がっている。締結部材20は、逃げ溝12の表面に当接されるテーパー部23を持った接触部材21と、その接触部材21をブラケット本体部11Aに固定する固定部材22とから構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フロントフォークの取付構造を備えた鞍乗型車両に関する。特に、ブラケットによってフロントフォークを締結する取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばスクータ型車両などの自動二輪車においては、アウターチューブ内にインナーチューブを摺動自在に嵌合したフロントフォークをブラケットに取り付けた構造のフロントフォーク取付構造が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平6−298148号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来のフロントフォーク取付構造は、フロントフォークをブラケットに取り付ける上で多くの部品が必要であった。もちろん、フロントフォークをブラケットを介して固定する上で部品点数が多くなってしまうのは仕方ないのであるが、本願発明者は、従来とは異なる視点でフロントフォーク取付構造を見直し、フロントフォーク取付構造の部品点数を減らすことを試みた。
【0004】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その主な目的は、部品点数の少ないフロントフォーク取付構造およびそれを備えた鞍乗型車両を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る鞍乗型車両は、前輪を回動自在に支持するフロントフォークの取付構造を備えた鞍乗型車両であり、 前記フロントフォークの取付構造は、前記フロントフォークを通すクランプ孔を有するブラケットと、前記クランプ孔に通された前記フロントフォークを前記ブラケットに締結する締結部材とを備え、前記ブラケットは、前記クランプ孔が形成されたブラケット本体部と、前記ブラケット本体部に形成され、前記クランプ孔に通された前記フロントフォークに一端が繋がり且つ他端が外部に繋がる切り割り溝と、前記ブラケット本体部に形成され、前記フロントフォークの長手方向に対して直角に延びたネジ部材穴とを備え、前記フロントフォークのうち前記ネジ部材穴が位置する部位には、凹部形状の逃げ溝が形成されており、前記ネジ部材穴は、前記切り割り溝、および、前記逃げ溝が位置する箇所の前記クランプ孔に繋がっており、前記締結部材は、前記ネジ部材穴に挿入され、前記フロントフォークの前記逃げ溝の表面に当接されるテーパー部を持った接触部材と、前記ネジ部材穴に挿入された接触部材を、前記ブラケット本体部に固定する固定部材とから構成されている。
【0006】
本発明に係る締結構造は、締結部材と被締結部材とを互いに締結する締結構造であり、円柱又は円筒形状の第1部材を通す孔を有する第2部材と、前記孔に通された前記第1部材を前記第2部材に締結する第3部材とを備え、前記第2部材は、前記孔が形成された本体部と、前記本体部に形成され、前記孔に通された前記第1部材に一端が繋がり且つ他端が外部に繋がる切り割り溝と、前記本体部に形成され、前記第1部材の長手方向に対して直角に延びたネジ部材穴とを備え、前記第1部材のうち前記ネジ部材穴が位置する部位には、凹部形状の逃げ溝が形成されており、前記ネジ部材穴は、前記切り割り溝、および、前記逃げ溝が位置する箇所の前記孔に繋がっており、前記第3部材は、前記ネジ部材穴に挿入され、前記第1部材の前記逃げ溝の表面に当接されるテーパー部を持った接触部材と、前記ネジ部材穴に挿入された接触部材を、前記本体部に固定する固定部材とから構成されている。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、フロントフォークを通すクランプ孔を有するブラケットは、クランプ孔に一端が繋がり且つ他端が外部に繋がる切り割り溝と、フロントフォークの長手方向に対して直角に延びたネジ部材穴とを備え、フロントフォークのうちネジ部材穴が位置する部位には、凹部形状の逃げ溝が形成されている。そして、ネジ部材穴は、切り割り溝、および、逃げ溝が位置する箇所の前記クランプ孔に繋がっている。さらに、フロントフォークをブラケットに締結する締結部材は、フロントフォークの逃げ溝の表面に当接されるテーパー部を持った接触部材と、その接触部材をブラケット本体部に固定する固定部材とから構成されている。したがって、部品点数の少ないフロントフォーク取付構造を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、図面を参照しながら、本発明による実施の形態を説明する。以下の図面においては、説明の簡潔化のため、実質的に同一の機能を有する構成要素を同一の参照符号で示す。なお、本発明は以下の実施形態に限定されない。
【0009】
図1から図4を参照しながら、本発明の実施形態に係る鞍乗型車両100、および、フロントフォークの取付構造50について説明する。
【0010】
図1は、本実施形態に係るフロントフォークの取付構造50を備えた鞍乗型車両100の全体側面図である。
【0011】
図2(a)から(c)は、それぞれ、フロントフォーク11の構成を説明するための上面図、正面図、側面図である。図3及び図4は、フロントフォークの取付構造50の構成を説明するために一部を切り欠いた要部拡大断面図であり、それぞれ、図2(a)及び図2(b)に対応した構成を表している。
【0012】
図1に示すように、本実施形態の鞍乗型車両100は、アンダーボーン型の自動二輪車である。本実施形態の自動二輪車100は、前輪110と、後輪120と、前輪110と後輪120との間に設けられた駆動源(エンジン)130とから構成されている。前輪110は、フロントフォーク11によって回動自在に支持されている。フロントフォーク11は、ブラケット10に締結されている。このフロントフォーク11の取付構造50の構成については後に詳しく説明する。
【0013】
さらに、ブラケット10には、ステアリングシャフト13が締結されており、そして、ステアリングシャフト13には、ハンドル140が取り付けられている。また、ステアリングシャフト13には、車体100の骨格となるフレーム(メインフレーム)142が取り付けられている。ハンドル140の後方には、ライダーが着座するシート144が設けられており、シート144の下方(又は後ろ斜め下)には後輪(駆動輪)120が位置している。
【0014】
図2に示すように、本実施形態のフロントフォークの取付構造50は、フロントフォーク11を通すクランプ孔25を有するブラケット10と、クランプ孔25に通されたフロントフォーク11をブラケット10に締結する締結部材20から構成されている。
【0015】
特に図3に示すように、ブラケット10は、クランプ孔25が形成されたブラケット本体部10Aと、ブラケット本体部10Aに形成された切り割り溝29と、ブラケット本体部10Aに形成されたネジ部材穴27とを備えている。切り割り溝29の一端29aは、フロントフォーク11が通るクランプ孔25に繋がり、一方、切り割り溝29の他端29bは、外部に繋がっている。また、ネジ部材穴27は、フロントフォーク11の長手方向11Dに対して直角に延びている。
【0016】
本実施形態では、フロントフォーク11の長手方向11Dに対して直角に延びる方向は、車両100の前後方向70である。正確には、本実施形態においてフロントフォーク11は、上下方向に対して斜めに延びているので、フロントフォーク11の長手方向11Dに対して直角に延びる方向は車両100の前後方向70のベクトルを含む方向ということになるが、一般的には車両100の前後方向70と称することができる。
【0017】
また、本実施形態の構成においては、特に図4に示すように、フロントフォーク11のうちネジ部材穴27が位置する部位には、凹部形状の逃げ溝12が形成されている。さらに、ネジ部材穴27は、切り割り溝29、および、逃げ溝12が位置する箇所のクランプ孔25に繋がっている。そして、ネジ部材穴27には締結部材20が位置する。
【0018】
締結部材20は、接触部材21と固定部材22とから構成されている。締結部材20の接触部材21は、ネジ部材穴27に挿入され、フロントフォーク11の逃げ溝12の表面に当接されるテーパー部23を持っている。締結部材20の固定部材22は、ネジ部材穴27に挿入された接触部材21をブラケット本体部10Aに固定する部材である。
【0019】
図3及び図4に示した例においては、接触部材21は、ネジ部材穴27に挿入され、内面に雌ネジが形成された筒形状のカラー28である。カラー28の外面の一部には、テーパー部23が形成されている。カラー28の中心部には、固定部材22を収納する中空部28Bが形成されている。具体的には、中空部28Bの内面に雌ネジが形成されている。一方、固定部材22は、雄ネジが形成された軸部26Aと、軸部26Aの一端に位置する頭部26Bとからなるボルト26である。ボルト26の軸部26Aは、ネジ部材穴27に挿入されるとともに、カラー28内(詳細には、カラー28の中空部28B)に勘合されている。ボルト26の頭部26Bは、ネジ部材穴27の一端の周囲におけるブラケット本体部10Aに着座している。
【0020】
固定部材22の雄ネジと接触部材21の雌ネジとの両者を締めていくと、ブラケット本体部10Aに形成された切り割り溝29の間隔が狭まって、接触部材21のテーパー部23とフロントフォーク11の逃げ溝12とが当接し、それによって、ブラケット10とフロントフォーク11との両者が確実に締結される。また、本実施形態においては、ブラケット10に外力が加わった場合にクランプ孔25に通されたフロントフォーク11に回転トルク40が発生するとき、テーパー部23は、回転トルクの回転方向40に対向する方向にてフロントフォーク11の逃げ溝12の表面に当接され、したがって、回転トルク(図3中の矢印40参照)が発生してもブラケット10とフロントフォーク11との両者間の締結力は弱くならない。
【0021】
本実施形態のフロントフォーク11の取付構造50によれば、上述したように、ブラケット10の本体部10Aに切り割り溝29とネジ部材穴27とが形成され、フロントフォーク11のうちネジ部材穴27が位置する部位に凹部形状の逃げ溝12が形成されている。そして、ネジ部材穴27は、切り割り溝29、および、逃げ溝12が位置する箇所のクランプ孔25に繋がっている。さらに、締結部材20は、フロントフォーク11の逃げ溝12の表面に当接されるテーパー部23を持った接触部材21と、その接触部材21をブラケット本体部10Aに固定する固定部材22とから構成されている。したがって、非常に少ない部品にてフロントフォーク11をブラケット10にて固定することができ、その結果、部品点数の少ないフロントフォーク取付構造を実現することができる。具体的には、必要な部品として、テーパー部23を持った接触部材21と、ネジ部材穴27に挿入された接触部材21をブラケット本体部10Aに固定する固定部材22との組み合わせからなる締結部材20を用いればよい。
【0022】
この取付構造50を用いれば、フロントフォーク11のうちネジ部材穴27が位置する部位に逃げ溝12が形成されているので、組み立ての際、締結部材20の接触部材21の取り付けによって、自動的に(セルフアラインにて)フロントフォーク11を長手方向11D(軸方向)での位置合わせ(矢印42参照)をすることができる。
【0023】
また、テーパー部23でフロントフォーク11に当接させるので、高度な加工精度によって当接部位を形成しなくても、締結部材20のネジ締めの際にテーパー部23における適切な位置で当接がなされるので、その点でもメリットが大きい。
【0024】
さらに、テーパー部23を有する接触部材21、その接触部材21を固定する固定部材22と、ブラケット本体部10Aのネジ部材穴27と、フロントフォーク11の逃げ溝12との組み合わせによって、フロントフォーク11の長手方向11D(軸方向)のガタツキを抑制することができ、さらに、この取付構造50では、締結力(クランプ力)が不足しても、フロントフォーク11の長手方向11D(軸方向)の位置ズレを効果的に抑制することができる。
【0025】
加えて、例えば車両100の走行時にブラケット10に外力が加わることによってフロントフォーク11に回転トルク(図3の矢印40参照)が発生した場合でも、接触部材21のテーパー部23は、回転トルク40の逆方向に対して当接するので、フロントフォーク11の回り止めを行うことができる。換言すると、本実施形態の構成によれば、所謂「くさび効果」が得られる。
【0026】
なお、この例では、図2(b)(c)及び図4に示すように、締結部材20とは別に、フロントフォーク11と当接しない他の締結部材(ボルト)24も用いられている。また、フロントフォーク11は、アウターチューブ11aと、インナーチューブ11bとからなり、アウターチューブ11a内にインナーチューブ11bを摺動自在に嵌合することができる。本実施形態では、インナーチューブ11bに逃げ溝12が形成され、そして、インナーチューブ11bがブラケット10に固定される。また、本実施形態のブラケット10は、アンダーブラケットと称されるものであり、加えて、本実施形態の車両100は、ブラケット10は一つだけ使用した構成である。ブラケット10を1つだけ用いた構成のものは、軽量タイプの車両に好適に用いられる。
【0027】
上述した実施形態では、締結部材20の固定部材をボルト26(26A、26B)とし、接触部材21をカラー28として構成したが、締結部材20の構成はそれに限らず、他の構成のものを使用することができる。図5及び図6は、本実施形態の取付構造50の改変例を示している。図5及び図6は、それぞれ、上記実施形態の図3及び図4に対応している。
【0028】
この例の取付構造50では、締結部材20の接触部材21はロッド部材であり、締結部材20の固定部材22はナット26Cである。接触部材であるロッド部材21は、ネジ部材穴27に挿入されており、ロッド部材21の一端は、ネジ部材穴27の外まで突出した突出部31を有している。そして、ロッド部材21の外面の一部に、テーパー部23が形成されている。ここで、ロッド部材21の突出部31には、雄ネジが形成されており、さらに、その突出部31には、雌ネジが形成されたナット26Cが接続されている。そして、ナット26Cは、ネジ部材穴27の一端の周囲におけるブラケット本体部10Aに着座している。
【0029】
このように締結部材20の組み合わせは、1つに限定されない。また、本発明の実施形態に係る構成は、フロントフォークの取付構造50に限らず、広く、締結部材と被締結部材とを互いに締結する締結構造に適用することができる。
【0030】
そのような締結構造として、具体的には、円柱又は円筒形状の第1部材11を通す孔25を有する第2部材10と、孔25に通された第1部材11を第2部材10に締結する第3部材20とを備えたものを挙げることができる。なお、符号は上述したものと関連した符号のものを使用した。ここで、第2部材10は、孔25が形成された本体部10Aと、本体部10Aに形成され、孔25に通された第1部材11に一端29aが繋がり且つ他端29bが外部に繋がる切り割り溝29と、本体部10Aに形成され、第1部材11の長手方向11Dに対して直角に延びたネジ部材穴27とを備えている。また、第1部材11のうちネジ部材穴27が位置する部位には、凹部形状の逃げ溝12が形成されており、ネジ部材穴27は、切り割り溝29、および、逃げ溝12が位置する箇所の孔25に繋がっている。そして、第3部材20は、ネジ部材穴27に挿入され、第1部材11の逃げ溝12の表面に当接されるテーパー部23を持った接触部材21と、ネジ部材穴27に挿入された接触部材21を本体部10Aに固定する固定部材22とから構成されている。
【0031】
図7及び図8は、本発明の実施形態に係る締結構造をハンドルバーに適用した例を示している。図7は、本実施形態のハンドルバーを含むハンドル140の構成を示す上面図であり、図8は、図7中の線VIII−VIIIに沿った断面図である。この例において第1部材11は、ハンドルバー部材141である。そして、締結構造50における他の部材関係は上述の通りである。なお、図8に示した例では、図3と同様に、第3部材(締結部材)20の固定部材をボルト26(26A、26B)とし、接触部材21をカラー28として構成したが、図5に示した組み合わせを採用することも可能である。
【0032】
また、図9及び図10は、本発明の実施形態に係る締結構造をフロントフォーク底部の車軸締めに適用した例を示している。図9は、本実施形態のフロントフォーク底部150の構成を示す側面図であり、図10は、図9中の線X−Xに沿った断面図である。この例において第1部材11は、車軸151である。締結構造50における他の部材関係は上述の通りである。なお、図10に示した例では、図5と同様な締結構造50にしたが、この例でも、図3に示した締結構造50にすることも可能である。
【0033】
なお、図1に示した車両1000は、自動二輪車であるが、自動二輪車に限らず、本発明の効果を利用できる他の車両にも適用でき、例えば、自動二輪車以外に、四輪バギー(ATV:All Terrain Vehicle(全地形型車両))や、スノーモービルを含む、いわゆる鞍乗型車両に適用することができる。なお、本願明細書における「自動二輪車」は、原動機付自転車(モーターバイク)、スクータを含み、具体的には、車体を傾動させて旋回可能な車両のことをいう。したがって、前輪および後輪の少なくとも一方を2輪以上にして、タイヤの数のカウントで三輪車・四輪車(またはそれ以上)としても、それは「自動二輪車」に含まれ得る。さらに、上述したように、本実施形態の構成を適用できるものであれば、他の車両や装置に広く適用することが可能である。
【0034】
以上、本発明を好適な実施形態により説明してきたが、こうした記述は限定事項ではなく、勿論、種々の改変が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明によれば、部品点数の少ないフロントフォーク取付構造およびそれを備えた鞍乗型車両を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の実施形態に係る鞍乗型車両100の構成を模式的に示す側面図である。
【図2】(a)から(c)は、それぞれ、フロントフォーク11の構成を説明するための上面図、正面図、側面図である。
【図3】フロントフォークの取付構造50の構成を説明するために一部を切り欠いた要部拡大断面図である。
【図4】フロントフォークの取付構造50の構成を説明するために一部を切り欠いた要部拡大断面図である。
【図5】フロントフォークの取付構造50の改変例を説明するために一部を切り欠いた要部拡大断面図である。
【図6】フロントフォークの取付構造50の改変例を説明するために一部を切り欠いた要部拡大断面図である。
【図7】ハンドルバー141を含むハンドル140の構成を示す上面図である。
【図8】図7中の線VIII−VIIIに沿った断面図である。
【図9】フロントフォーク底部の構成を示す側面図である。
【図10】図9中の線X−Xに沿った断面図である。
【符号の説明】
【0037】
10 ブラケット
10A ブラケット本体部
11 フロントフォーク
11a アウターチューブ
11b インナーチューブ
12 逃げ溝
13 ステアリングシャフト
20 締結部材
21 接触部材
22 固定部材
23 テーパー部
25 クランプ孔
26 ボルト
26A ボルトの軸部
26B ボルトの頭部
26C ナット
27 ネジ部材穴
28 カラー
29 切り割り溝
29a 一端
29b 他端
31 突出部
40 回転トルク
50 フロントフォークの取付構造
100 鞍乗型車両(自動二輪車)
110 前輪
120 後輪
140 ハンドル
141 ハンドルバー
144 シート
150 フロントフォーク底部
151 車軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前輪を回動自在に支持するフロントフォークの取付構造を備えた鞍乗型車両であって、
前記フロントフォークの取付構造は、
前記フロントフォークを通すクランプ孔を有するブラケットと、
前記クランプ孔に通された前記フロントフォークを前記ブラケットに締結する締結部材と
を備え、
前記ブラケットは、
前記クランプ孔が形成されたブラケット本体部と、
前記ブラケット本体部に形成され、前記フロントフォークが通るクランプ孔に一端が繋がり且つ他端が外部に繋がる切り割り溝と、
前記ブラケット本体部に形成され、前記フロントフォークの長手方向に対して直角に延びたネジ部材穴と
を備え、
前記フロントフォークのうち前記ネジ部材穴が位置する部位には、凹部形状の逃げ溝が形成されており、
前記ネジ部材穴は、前記切り割り溝、および、前記逃げ溝が位置する箇所の前記クランプ孔に繋がっており、
前記締結部材は、
前記ネジ部材穴に挿入され、前記フロントフォークの前記逃げ溝の表面に当接されるテーパー部を持った接触部材と、
前記ネジ部材穴に挿入された接触部材を、前記ブラケット本体部に固定する固定部材と
から構成されていることを特徴とする、鞍乗型車両。
【請求項2】
前記ネジ部材穴は、車両の前後方向に延びていることを特徴とする、請求項1に記載の鞍乗型車両。
【請求項3】
前記接触部材は、前記ネジ部材穴に挿入され、内面に雌ネジが形成された筒形状のカラーであり、
前記カラーの外面の一部には、前記テーパー部が形成されており、
前記固定部材は、雄ネジが形成された軸部と、当該軸部の一端に位置する頭部とからなるボルトであり、
前記ボルトの軸部は、前記ネジ部材穴に挿入されるとともに、前記カラー内に嵌合されており、
前記ボルトの頭部は、前記ネジ部材穴の一端の周囲における前記ブラケット本体部に着座していることを特徴とする、請求項1に記載の鞍乗型車両。
【請求項4】
前記接触部材は、前記ネジ部材穴に挿入され、一端が当該ネジ部材穴の外まで突出した突出部を有するロッド部材であり、
前記ロッド部材の外面の一部には、前記テーパー部が形成されており、
前記ロッド部材の前記突出部には、雄ネジが形成されており、
前記固定部材は、雌ネジが形成されたナットであり、
前記ロッド部材の前記突出部には、前記ナットが嵌合されており、
前記ナットは、前記ネジ部材穴の一端の周囲における前記ブラケット本体部に着座していることを特徴とする、請求項1に記載の鞍乗型車両。
【請求項5】
前記ブラケットに外力が加わった場合に前記クランプ孔に通された前記フロントフォークに回転トルクが発生するとき、前記テーパー部は、前記回転トルクの回転方向に対向する方向にて前記フロントフォークの前記逃げ溝の表面に当接されることを特徴とする、請求項1に記載の鞍乗型車両。
【請求項6】
前記ブラケットは、アンダーブラケットであることを特徴とする、請求項1に記載の鞍乗型車両。
【請求項7】
締結部材と被締結部材とを互いに締結する締結構造であって、
円柱又は円筒形状の第1部材を通す孔を有する第2部材と、
前記孔に通された前記第1部材を前記第2部材に締結する第3部材と
を備え、
前記第2部材は、
前記孔が形成された本体部と、
前記本体部に形成され、前記孔に通された前記第1部材に一端が繋がり且つ他端が外部に繋がる切り割り溝と、
前記本体部に形成され、前記第1部材の長手方向に対して直角に延びたネジ部材穴と
を備え、
前記第1部材のうち前記ネジ部材穴が位置する部位には、凹部形状の逃げ溝が形成されており、
前記ネジ部材穴は、前記切り割り溝、および、前記逃げ溝が位置する箇所の前記孔に繋がっており、
前記第3部材は、
前記ネジ部材穴に挿入され、前記第1部材の前記逃げ溝の表面に当接されるテーパー部を持った接触部材と、
前記ネジ部材穴に挿入された接触部材を、前記本体部に固定する固定部材と
から構成されていることを特徴とする、締結構造。
【請求項8】
前記第1部材は、ハンドルバー部材、または、車軸を固定する部材であることを特徴とする、請求項7に記載の締結構造。
【請求項9】
請求項7または8に記載の締結構造を備えたことを特徴とする、鞍乗型車両。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−101904(P2009−101904A)
【公開日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−276196(P2007−276196)
【出願日】平成19年10月24日(2007.10.24)
【出願人】(000010076)ヤマハ発動機株式会社 (3,045)
【Fターム(参考)】