説明

音像定位装置

【課題】受聴者から見て上方向及び下方向に配置した音源から個別再生する音響信号の音像を、受聴者と同じ高さに配置した音源のみで再現可能な音像定位装置を提供する。
【解決手段】音像定位装置10は、受聴者より上方向に配置される上方向音源から再生するための上方向音響信号をフィルタ処理して、音像を上方向に定位させる上方向定位用補正フィルタ11と、受聴者より下方向に配置される下方向音源から再生するための下方向音響信号をフィルタ処理して、音像を下方向に定位させる下方向定位用補正フィルタ12と、フィルタ処理した上方向音響信号及び下方向音響信号の利得調整を行う利得調整部13,14と、利得調整した上方向音響信号及び下方向音響信号を加算して、受聴者と同一高さ位置に配置される音源から再生するためのダウンミックス音響信号を生成する加算処理部15とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、受聴者から見て上方向及び下方向に配置した音源から個別再生する音響信号の音像を、受聴者と同じ高さに配置した音源で再現する音像定位装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
DVD(Digital Versatile Disc)、BD(Blu−ray Disc、登録商標)等のパッケージメディア、又はデジタル放送では、5.1チャンネル音声を代表に、複数チャンネルの音響信号を使って臨場感を再現するサラウンド技術が実用化されている。このサラウンド技術では、受聴者を中心とし、その水平面上の周囲に配置された複数の音源から音響信号を再生することで臨場感を作り出している。
【0003】
将来的には、より立体的な音の空間音場を再現するために、水平面に加え、受聴者から見て上方向及び下方向にもそれぞれ音源を配置して、音を立体的に表現することも考えられる。この場合、広いスペースを持つ映画館、コンサートホール等、音源を任意に配置できるスペースがあればよいが、家庭環境では音源を任意に配置するスペースを確保することが困難であることから、少ない音源数にて立体的な空間音場を再現する技術が重要となる。
【0004】
3次元的な定位を再現できる音像定位装置として、例えば特許文献1に、ダウンミックス前チャンネル数の音響信号から、ダウンミックス前チャンネル数より少ないダウンミックス後チャンネル数の音響信号を生成するダウンミックス処理装置が提案されている。このダウンミックス処理装置では、先ず、ダウンミックス前音源の位置情報と受音点の位置情報とに基づいてダウンミックス前伝達関数を求め、これとダウンミックス前音響信号との積をダウンミックス前音響物理量ベクトルとする。次に、ダウンミックス後音源の位置情報と受音点の位置情報とに基づいてダウンミックス後伝達関数の逆関数である逆ダウンミックス後伝達関数を求め、逆ダウンミックス後伝達関数とダウンミックス前音響物理量ベクトルとの積をダウンミックス後音響信号とする。
【0005】
また、音場を制御して臨場感を再現できる音場制御装置として、例えば特許文献2に提案の装置がある。この音場制御装置では、音響信号源からの基本音の音響信号を基に初期反射音や残響音等の効果音を作成し、更に8kHz付近の成分を強調して基本音の音響信号に付加することで、受聴者に、効果音が頭上を含む全周から到来しているものと知覚させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−53624号公報
【特許文献2】実開平5−43700号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載のダウンミックス処理装置は、ダウンミックス前音源、ダウンミックス後音源及び受音点の各位置情報が必要となる他、これらの各位置を変更する毎に伝達関数を求め直す必要が生じることから、汎用性に欠けるという課題がある。
【0008】
一般的に、ダウンミックス前伝達関数及び逆ダウンミックス後伝達関数の導出には、多くの演算量を必要とする。また、導出した伝達関数をダウンミックス前音響信号に畳み込む処理も多くの演算量を必要とする。そのため、ダウンミックス処理装置の演算回路規模が大きくなってしまい、コストが増大するという課題がある。
【0009】
他方、自然界で聞く音は常に基本波と、それぞれの音に特有な高調波成分から成り立っており、高調波は音色を決める情報を含んでいる。特許文献2に記載の音場制御装置は、8kHz付近の周波数帯域を強調することで効果音の音像を受聴者の上方に定位させる構成であるため、高調波成分を多く含む8kHz付近の信号成分のみを強調することによって音色が変化し、結果として音質が劣化してしまう恐れがある。
【0010】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、ダウンミックス前音源、ダウンミックス後音源及び受聴者の各位置情報を必要とせず、また、受聴者から見て上方向及び下方向に配置した音源から個別再生する音響信号の音像を、少ない演算量にて、受聴者と同じ高さに配置した音源のみで再現可能な音像定位装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この発明に係る音像定位装置は、音響信号をフィルタ処理して、音像を上方向に定位させる上方向定位用補正フィルタと、前記音響信号とは別の音響信号をフィルタ処理して、音像を下方向に定位させる下方向定位用補正フィルタと、上方向定位用補正フィルタ及び下方向定位用補正フィルタでフィルタ処理した各音響信号の利得調整を行う利得調整部と、利得調整部で利得調整した各音響信号を加算して、受聴者と略同一高さ位置に配置される音源から再生するためのダウンミックス音響信号を生成する加算処理部とを備えるようにしたものである。
【発明の効果】
【0012】
この発明によれば、複数の音響信号をそれぞれ上下方向に定位させて、受聴者と略同一高さ位置に配置される音源から再生するためのダウンミックス音響信号を生成するようにしたので、受聴者から見て上方向及び下方向に配置した音源から個別再生する音響信号の音像を、少ない演算量にて、受聴者と同じ高さに配置した音源のみで再現可能な音像定位装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】この発明の実施の形態1に係る音像定位装置の構成を示すブロック図である。
【図2】図1に示す音像定位装置が入力に用いる上方向及び下方向音響信号を再生するための、本来の音源配置例を示す説明図である。
【図3】図1に示す音像定位装置が生成したダウンミックス音響信号を再生するための音源配置を示す説明図である。
【図4】図1に示す上方向定位用補正フィルタの設計手順を示すフローチャートである。
【図5】図1に示す上方向定位用補正フィルタの周波数特性例を示すグラフである。
【図6】図1に示す下方向定位用補正フィルタの設計手順を示すフローチャートである。
【図7】図1に示す下方向定位用補正フィルタの周波数特性例を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1に係る音像定位装置10の構成を示すブロック図である。また、図2は、実施の形態1に係る音像定位装置10が入力に用いる上方向及び下方向音響信号を再生するための、本来の音源配置例を示す説明図である。他方、図3は、実施の形態1に係る音像定位装置10が生成したダウンミックス音響信号を再生するための音源配置を示す説明図である。以降の説明では、受聴者100をxyz座標原点とし、x軸方向を受聴者100の左右方向、y軸方向を受聴者100の前後方向、z軸方向を受聴者100の上下方向とする。
【0015】
図2において、スピーカ等からなる上方向音源1は、受聴者100から見て前方上方向に配置され、上方向音響信号を再生する。また、スピーカ等からなる下方向音源2は、受聴者100から見て前方下方向に配置され、下方向音響信号を再生する。上方向音源1と下方向音源2の中間点Aは受聴者100と同じ高さになるものとし、受聴者100から中間点Aまでの距離は任意とする。
【0016】
図3において、音像定位装置10が生成したダウンミックス音響信号を再生する音源3は、中間点Aの位置に配置する。この音源3も上方向音源1及び下方向音源2と同様にスピーカ等で構成される。なお、図3に破線で示す上方向音源1及び下方向音源2は、受聴者100と音源3との位置関係を明確にするために表記したものであり、音像定位装置10構成上は不要である。本実施の形態1による音像定位装置10は、上方向音源1で再生するための上方向音響信号と、下方向音源2で再生するための下方向音響信号とをダウンミックス処理して、中間点Aに配置した1個の音源3のみで再生するためのダウンミックス音響信号を生成するためのものである。この音像定位装置10は、図1に示すように、上方向音響信号を入力として用い、音像を上方向に定位させる上方向定位用補正フィルタ11と、下方向音響信号を入力として用い、音像を下方向に定位させる下方向定位用補正フィルタ12と、上方向定位用補正フィルタ11及び下方向定位用補正フィルタ12でフィルタ処理された各音響信号の利得を調整する利得調整部13,14と、利得調整部13,14で利得調整された音響信号を加算してダウンミックス音響信号を出力する加算処理部15とを備える。
【0017】
次に、ダウンミックス音響信号を生成する方法を説明する。
音像定位装置10において、上方向音響信号は、上方向定位用補正フィルタ11に入力されて音像を上方向に定位させるフィルタ処理がされ、更に利得調整部13において1/√2倍に利得調整がされ、加算処理部15へ入力される。
下方向音響信号は、下方向定位用補正フィルタ12に入力されて音像を下方向に定位させるフィルタ処理がされ、更に利得調整部14において1/√2倍に利得調整がされ、加算処理部15へ入力される。
【0018】
加算処理部15では、利得調整部13及び利得調整部14にて利得調整された2個の音響信号の加算処理を行い、この信号をダウンミックス音響信号として音源3へ出力する。
なお、上述の説明においては、利得調整部13,14における利得調整値を1/√2倍としたが、この値に限定するものではなく、上方向定位用補正フィルタ11及び下方向定位用補正フィルタ12のフィルタ特性に応じて値を変更してもよいことを付け加えておく。
【0019】
次に、上方向定位用補正フィルタ11及び下方向定位用補正フィルタ12のフィルタ設計手順を説明する。本実施の形態1に係る上方向定位用補正フィルタ11及び下方向定位用補正フィルタ12は、3種類の周波数を強調又は抑圧することで、音響信号の音像を上方向又は下方向に定位させる。なお、以下に説明するフィルタ設計処理は、フィルタ設計部(図1では図示を省略)が行うものとし、このフィルタ設計部は音像定位装置10外部に備えるように構成してもよいし、音像定位装置10内部に備えるように構成してもよい。
【0020】
先ず、上方向定位用補正フィルタ11のフィルタ設計手順を説明する。図4は、上方向定位用補正フィルタ11の設計手順を示すフローチャートである。フィルタ設計部は、ステップST1において、4〜7kHzの周波数範囲から強調する周波数を決め、これを周波数Nとする。この4〜7kHzの周波数は、音響信号の音像を上方向又は下方向に定位させるのに最も効果のある帯域にあたり、上方向定位用補正フィルタ11がこの周波数成分を強調することで音像の上方移動を可能とする。
【0021】
ステップST2以降は、レベルの補正に関する処理となる。フィルタ設計部は、ステップST2において周波数NのレベルをXdB上げ、ステップST3において周波数Nの半分の周波数、即ち周波数N/2のレベルをX/2dB上げ、ステップST4において周波数Nの2倍の周波数、即ち周波数2NのレベルをX/2dB上げる。
【0022】
ステップST3において、周波数N/2のレベルを上げる構成とした理由は、高調波成分を含む周波数帯域において、ある1点の周波数(ここでは周波数Nを指す)のみを強調した場合に生じる音質劣化を避けるためである。また、その補正量については、聴感上のバランスを考えた場合、周波数Nの補正量の半分以下の補正量とするのがよい。
【0023】
また、ステップST4において、周波数2Nのレベルを上げる構成とした理由は、高調波成分を含む周波数帯域の補正により縮退する恐れのある明瞭度を改善するためである。また、その補正量については、聴感上のバランスを考えた場合、周波数Nの補正量の半分以下の補正量とするのがよい。
【0024】
図4に示すフィルタ設計手順に従って作成した、上方向定位用補正フィルタ11の周波数特性例を図5に示す。図5は、上方向定位用補正フィルタ11として使用する、音像を上方向に定位させるフィルタの周波数特性の一例を示したグラフであり、横軸は対数スケールの周波数(Hz)、縦軸はレベル(dB)である。グラフでは、周波数Nを4kHz、その補正レベルを3.0dBとした場合のフィルタ周波数特性を例示しており、この場合は、2kHzを1.5dB、4kHzを3.0dB、8kHzを1.5dB強調する特性となる。
【0025】
上方向定位用補正フィルタ11は、フィルタ設計部が設計した周波数特性を、直列に接続した3個のイコライザ11a,11b,11cにより実現する(図1)。イコライザは、特定の周波数を強調又は抑圧するために用いる装置であり、演算量の少ない2次のIIR(Infinite Impulse Response)フィルタを用いて容易に実現できる。図5に示す特性の上方向定位用補正フィルタ11を実現するために、フィルタ設計部が、第1イコライザ11aのフィルタは2kHzを1.5dB上げる特性にし、第2イコライザ11bのフィルタは4kHzを3.0dB上げる特性にし、第3イコライザ11cのフィルタは8kHzを1.5dB上げる特性にすればよい。
【0026】
続いて、下方向定位用補正フィルタ12のフィルタ設計手順を説明する。図6は、下方向定位用補正フィルタ12の設計手順を示すフローチャートである。フィルタ設計部は、ステップST11において、上方向定位用補正フィルタ11のフィルタ設計の際に決定した周波数Nを、抑圧する周波数Mとする。これにより、音響信号の音像を上下方向に定位させるのに最も効果のある周波数帯域の補正が、上方向定位用補正フィルタ11では強調補正、下方向定位用補正フィルタ12では抑圧補正となり、上下方向の音像定位がはっきりする。
【0027】
ステップST12以降は、レベルの補正に関する処理となる。フィルタ設計部は、ステップST12において、周波数M(即ち周波数N)のレベルをXdB下げる。なお、補正量Xの絶対量は、上方向定位用補正フィルタ11との対称性を加味して、周波数Nの補正量と同一にする。フィルタ設計部は、ステップST13において周波数Mの半分の周波数、即ち周波数M/2のレベルをX/2dB下げ、ステップST14において周波数Mの2倍の周波数、即ち周波数2MのレベルをX/2dB上げる。
【0028】
ステップST13において、周波数M/2のレベルを下げる構成とした理由は、高調波成分を含む周波数帯域において、ある1点の周波数(ここでは周波数Mを指す)のみを抑圧した場合に生じる音質劣化を避けるためである。また、その補正量については、聴感上のバランスを考えた場合、周波数Mの補正量の半分以下の補正量とするのがよい。
【0029】
また、ステップST14において、周波数2Mのレベルを上げる構成とした理由は、高調波成分を含む周波数帯域の補正により縮退する恐れのある明瞭度を改善するためである。また、その補正量については、聴感上のバランスを考えた場合、周波数Mの補正量の半分以下の補正量とするのがよい。
【0030】
図6に示すフィルタ設計手順に従って作成した、下方向定位用補正フィルタ12の周波数特性例を図7に示す。図7は、下方向定位用補正フィルタ12として使用する、音像を下方向に定位させるフィルタの周波数特性の一例を示したグラフであり、横軸は対数スケールの周波数(Hz)、縦軸はレベル(dB)である。グラフでは、周波数Mを4kHz、その補正レベルを−3.0dBとした場合のフィルタ周波数特性を例示しており、この場合は、2kHzを−1.5dB、4kHzを−3.0dB抑圧し、8kHzを1.5dB強調する特性となる。
【0031】
下方向定位用補正フィルタ12は、フィルタ設計部が設計した周波数特性を、直列に接続した3個のイコライザ12a,12b,12cにより実現する(図1)。上方向定位用補正フィルタ11と同様に、各イコライザは2次のIIRフィルタを用いて実現すればよい。図7に示す特性の下方向定位用補正フィルタ12を実現するために、フィルタ設計部が、第4イコライザ12aのフィルタは2kHzを1.5dB下げる特性にし、第5イコライザ12bのフィルタは4kHzを3.0dB下げる特性にし、第6イコライザ12cのフィルタは8kHzを1.5dB上げる特性にすればよい。
【0032】
音像定位装置10が生成したダウンミックス音響信号を、図3の音源3の位置で再生すれば、上方向音響信号相当の音像が上方向に定位され、下方向音響信号相当の音像が下方向に定位されるので、1つの音源3によって上方向音源1及び下方向音源2の音像を再現することができる。
【0033】
以上のように、この実施の形態1によれば、音像定位装置10を、受聴者100より上方向に配置される上方向音源1から再生するための上方向音響信号をフィルタ処理して、音像を上方向に定位させる上方向定位用補正フィルタ11と、受聴者100より下方向に配置される下方向音源2から再生するための下方向音響信号をフィルタ処理して、音像を下方向に定位させる下方向定位用補正フィルタ12と、フィルタ処理した上方向音響信号及び下方向音響信号の利得調整を行う利得調整部13,14と、利得調整した上方向音響信号及び下方向音響信号を加算して、受聴者100と略同一高さ位置に配置される音源3から再生するためのダウンミックス音響信号を生成する加算処理部15とを備えるように構成した。このため、受聴者より上方向に配置された音源から再生される音響信号の音増は上方向に定位させ、受聴者より下方向に配置された音源から再生される音響信号の音像は下方向に定位させることが可能な音像定位装置を実現することができる。
【0034】
また、上方向及び下方向音響信号の音像を上下方向に定位させるのに最も効果のある周波数帯域について、上方向定位用補正フィルタ11では強調、下方向定位用補正フィルタ12では抑圧するように構成したので、上下方向への音像定位をはっきりさせることができる。
更に、上方向及び下方向音響信号の音像を上下方向に定位させるのに最も効果のある周波数帯域の半分の周波数について、上方向定位用補正フィルタ11では強調、下方向定位用補正フィルタ12では抑圧すると共に、2倍の周波数について、上方向定位用補正フィルタ11及び下方向定位用補正フィルタ12とも強調するように構成した。そのため、音像定位のためのフィルタ処理による音質劣化を防止することができる。
【0035】
また、上方向定位用補正フィルタ11及び下方向定位用補正フィルタ12とも、2次のIIRフィルタ3個で実現する構成にしたので、少ない演算量にて上下方向への音像定位が可能となる。
【0036】
なお、上記実施の形態1では、受聴者正面の上下方向の音源を集約する構成にしたが、これに限定されるものではなく、正面以外の上下方向、具体的には、受聴者から見て左斜め前方・右斜め前方、左側面・右側面、左斜め後方・右斜め後方、後方上下方向に配置される音源を集約する構成にしても、上記実施の形態1と同様の効果が得られる。
【符号の説明】
【0037】
1 上方向音源、2 下方向音源、3 音源、10 音像定位装置、11 上方向定位用補正フィルタ、11a,11b,11c 第1,第2,第3イコライザ、12 下方向定位用補正フィルタ、12a,12b,12c 第4,第5,第6イコライザ、13,14 利得調整部、15 加算処理部、100 受聴者、A 中間点。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の音響信号に対して音像の定位を制御する音像定位装置において、
音響信号をフィルタ処理して、音像を上方向に定位させる上方向定位用補正フィルタと、
前記音響信号とは別の音響信号をフィルタ処理して、音像を下方向に定位させる下方向定位用補正フィルタと、
前記上方向定位用補正フィルタ及び前記下方向定位用補正フィルタでフィルタ処理した各音響信号の利得調整を行う利得調整部と、
前記利得調整部で利得調整した各音響信号を加算して、受聴者と略同一高さ位置に配置される音源から再生するためのダウンミックス音響信号を生成する加算処理部とを備える音像定位装置。
【請求項2】
受聴者より上方向に配置される上方向音源から再生するための音響信号を上方向定位用補正フィルタの入力とし、
前記受聴者より下方向に配置される下方向音源から再生するための音響信号を下方向定位用補正フィルタの入力とすることを特徴とする請求項1記載の音像定位装置。
【請求項3】
上方向定位用補正フィルタは、周波数Nを強調して音像を上方向に定位させると共に、周波数N/2及び周波数2Nを強調することを特徴とする請求項1または請求項2記載の音像定位装置。
【請求項4】
下方向定位用補正フィルタは、周波数Nを抑圧して音像を下方向に定位させると共に、周波数N/2を抑圧し、かつ、周波数2Nを強調することを特徴とする請求項1から請求項3のうちのいずれか1項記載の音像定位装置。
【請求項5】
上方向定位用補正フィルタ又は下方向定位用補正フィルタは、3個の2次のIIRフィルタで構成されることを特徴とする請求項3または請求項4記載の音像定位装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−283507(P2010−283507A)
【公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−134076(P2009−134076)
【出願日】平成21年6月3日(2009.6.3)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】