説明

音声ガイダンス制御方式

【課題】
電話機の操作者に対して、何のサービスが登録されたのか又はサービスを解除する場合の解除手順を音声ガイダンスで案内して操作を確実なものにすると共に、操作時間を短縮する。
【解決手段】
電話機2からのダイヤル操作、キー操作等により構内電話交換機が有しているサービス機能を登録可能な構内自動電話交換機において、登録されたサービスを解除したい場合に、サービスの種別とサービスに対応する音声ガイダンスを送出するための音源4と、電話機2の受話器を上げた場合に、該サービスが正常に登録されているとき又は登録解除操作されたときは、音源を受話器を上げた電話機2に接続する時分割スイッチ1(接続8、9、10、11)と、電話機2からのサービスの登録状態に応じて該音源を制御し、登録を認識させる音声ガイダンス若しくは解除手順を認識させる音声ガイダンスを送出するように制御する中央制御装置5とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、構内自動電話交換機における音声ガイダンス送出制御方式に係り、特に内線電話機からのダイヤル操作等によるサービス機能の登録確認及びサービス登録中の内線電話機が受話器を上げた場合に、通話路スイッチのトーン送出用チャネルに収容した複数の音声ガイダンスをサービス種別とリンクさせ、操作を行った内線電話機とサービス種別に対応した音声ガイダンスのチャネル間で通話路を形成することによって目的とするサービスに対応した音声ガイダンスの送出制御方式に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、構内自動電話交換機に収容される端末、例えば内線電話機が受話器を上げ、発信音を聴取した後、不在案内登録を行うため、例えば登録特番12とダイヤルし正常に不在案内登録された場合は該内線電話機に対して登録確認音、例えば周波数400Hzの特殊音等を送出し、登録されたことを認識させるが、該内線電話機が22XXの内線に接続しようとして誤って、12XXとダイヤルした場合でも前記と同様に不在案内登録となり、該内線電話機には登録確認音が送出される。この場合、該内線電話機は不在案内登録の意識がなく、誤操作によって登録されたものあり、操作者は何が登録されたのか気付かない場合多い。また、前記不在案内登録を解除しようとした場合、解除特番のダイヤル番号を認識していないケースが多く、このような状態に遭遇した場合は特番を調査しなければならない等、解除操作に時間がかかり不便である。また、ユーザからクレームとして上がる恐れもあり、サービス低下になってしまうという欠点があった。
【特許文献1】特開2000−357250
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
前記した従来技術では、構内自動交換機内に収容する内線端末からの操作によってサービス機能を登録する場合、前記サービス機能の登録確認音は周波数400Hzの特殊トーン等を用いて操作者に認識させていた。しかしながら、ダイヤル等の誤操作によりサービス登録となってしまった場合には何のサービスが登録されたのか分からず、また、解除したい場合の操作手順は特番ダイヤル表など明記されものがないと解除操作に時間がかかるといった課題があった。
【0004】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、電話機の操作者に対して、何のサービスが登録されたのか、または、サービスを解除する場合の解除手順を音声ガイダンスで案内し、操作を確実なものにすると共に、操作時間を大幅に短縮する音声ガイダンス制御方式を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、構内自動交換機内の通話路スイッチのトーン送出用チャネルに内線発信音や話中音と同様に音声ガイダンスのチャネルを設け、目的とするサービス機能が登録された場合、操作者にはその内容を音声ガイダンスで知らせると共に、前記登録されたサービスを解除するための手順も音声ガイダンスで知らせ、操作者に対してのサービス登録時の内容確認及びサービス登録を解除したい場合の解除操作手順を明確にするために、トーンの代わりに音声ガイダンスを用いたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明は内線端末からのサービス機能登録操作における内容確認に音声ガイダンスを用いることで内線端末の操作者に対して登録されたサービス内容を認識させることでき、また、サービス登録中の該内線端末が受話器を上げた時はサービス解除のための操作手順を音声ガイダンスで知らせることによって操作手順を明確にすることができ、サービス低下を招くことなく運用することができる。
【0007】
また、本発明によれば、音声ガイダンス用のトーキトランクを実装せず、通話路スイッチのトーン送出用チャネルに音声ガイダンスを収容するため、ソフトウェアの制御も簡単に行え、開発コストを少量に抑えることができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
上記したように、サービス登録時の登録確認手段において、登録サービスの内容に応じた音声ガイダンスを内線端末に接続することによって目的とするサービスが正常に登録されたかどうかを認識することができ、また、該サービス登録中の内線端末が受話器を上げた時にサービス解除のための操作手順を音声ガイダンスにより知らせることで解除操作が分からない場合でも操作手順を認識することが可能するための実施の形態を以下に説明する。
【0009】
なお、本実施の形態は、構内自動電話交換機(以下「PBX」と称する。)に収容される内線電話機より発信し、不在案内サービスの登録操作及び登録解除操作における音声ガイダンスの送出制御を一例として説明する。
図1は、本発明のシステム構成を説明する中継方式図である。図1において、PBXは時分割スイッチ1を備えている。時分割スイッチ1のハイウェイには内線電話機2、2aと接続する内線電話機用ライン回路3、3a及び公衆網13と接続する局線トランク回路12、12aを収容しており、該内線電話機用ライン回路3、3aとトーンハイウェイ4間の接続及び該局線トランク回路12、12a間で自在に接続を行う。
【0010】
また、前記内線電話機2、2aは受話器を上げた時に聴取する発信音や相手話中時に聴取する話中音等、サービス目的に応じて該内線電話機2、2aに送出される各種トーンをトーン収容ハイウェイ4に収容し、入ハイウェイと出ハイウェイ間で通話路スイッチ1の接続8、9、10、11を行う。
【0011】
中央制御装置5は、通信サービス等の制御を含むPBX全体の動作の制御を行うものであり、この制御は、記憶装置6に格納されている処理手順、処理データに基づいて遂行される。PBXの各装置は、制御バス7を介して送受信される制御データにより中央制御装置5の制御下で動作している。
【0012】
図2は、PBXの記憶装置6に記憶されているデータであって、図1に示す内線電話機用ライン回路3、3a又は局線トランク12、12aに送出するためのトーン/ガイダンス選択テーブルである。該トーン/ガイダンス選択テーブルはユーザが使用するトーンまたは音声ガイダンスを選択するためのデータであり、種別によってどのトーン又は音声ガイダンスを送出するかが決定される。そして、前記種別で索引すると各種トーン又は音声ガイダンスに対応するタイムスロット番号を格納するデータで構成されている。
【0013】
図3は、図1に示すPBXのトーン収容ハイウェイ4内に実装される各種トーンの周波数、断続比又は音声ガイダンスの内容が記載された図であり、各種トーン/ガイダンスとタイムスロット番号を対応付けたものである。
【0014】
図4は、本発明の動作の流れを説明するフローチャートであり、図5は、本発明のPBXの動作状態を示す状態遷移図である。
【0015】
以下、図1、図2、図3、図4及び図5に基づいて本発明の動作を説明するが、その前に不在案内サービスについて簡単に説明する。なお、不在案内サービスとは内線電話機の使用者が出張や会議等で不在となる場合、予め該内線電話機より不在案内登録特番や不在登録キーを押す等の操作を行うと、該内線電話機に対する着信が規制され、発信者には規制音やガイダンスを流して着信できないようにするサービスである。
先ず、図1に示す内線電話機2の受話器を上げると、内線空状態(図5、500)にある内線端末Aより発呼を検出(図4、S01)し、PBXは、中央制御装置5からの指令により、発呼を検出した内線端末Aの収容位置を求める(図4、S02)。次に、該中央制御装置5は該内線端末Aに対して不在案内、キャンプオン等、サービス登録状況のチェック(図4、S03)を行い、登録がない場合には一般発信処理を決定し(図4、S05)、該発信端末Aに対して発信音を送出するための制御を行う。ここでは、該発信端末Aの収容位置と、図2に示すトーン/ガイダンス選択テーブルより、発信音(トーン種別0)で索引して抽出(図4、S06)したタイムスロット番号を基に、入ハイウェイに該当するトーン収容ハイウェイの発信音と出ハイウェイに該当する前記内線電話機2と接続する内線電話機用ライン回路3間の通話路を接続する(図4、S07)。
【0016】
このため、前記内線電話機2には図3に示すタイムスロット番号1に収容された発信音が送出され(図1に示す符号8)、ダイヤル受信準備のための処理を行う(図4、S08)と共に内線空状態よりダイヤル中の状態(図5、502及び510)に遷移させる。これにより、該内線電話機2には、図3に示す周波数400Hz、0.25秒接、0.25断の発信音が送出される。
【0017】
続いて、該内線電話機2の操作者は不在案内サービスを登録するための特番、例えば“12”をダイヤルした場合、中央制御装置5はダイヤル受信処理を行い(図4、S10)、受信したダイヤルを抽出する。次に、受信ダイヤルが何のサービス機能かを判定(図4、S11)するが、ここでは特番12が不在案内サービスに割り当てられていると仮定し、ダイヤルは正常と判断される。このため、判定処理(図4、S12及びS13)では不在登録のための処理ルートが決定される。
【0018】
次に、中央制御装置5は前記発信端末Aの収容位置を求め(図4、S14)、図2に示すトーン/ガイダンス選択テーブルを種別4の登録音又は不在登録ガイダンスの値で索引しデータを抽出する(図4、S15)と、図2に示す5:キャンプオン登録ガイダンス又は7保留音又は保留ガイダンスのデータとなるが、ここで、ユーザ選択により7と仮定した場合、不在登録ガイダンスのタイムスロット番号となる。
【0019】
次に、該発信端末Aの収容位置と該不在登録ガイダンスの収容ハイウェイ間で通話路の接続し(図4、S16)( 図1に示す符号9)および不在登録処理を行い(図4、S17)、該発信端末Aの状態をガイダンス送出状態にする(図4、S18)(図5、511、520)。これにより、該内線電話機2には音声ガイダンス“不在登録しました”が流れるため、操作者は不在案内サービスが登録されたことを認識する。
【0020】
以上、不在案内サービス録の動作を説明したが、次に、前記内線電話機2が不在案内サービス登録中に再度、受話器を上げた場合の動作について説明する。
【0021】
不在案内登録中の該内線電話機2が受話器を上げると、前記と同様に、内線空状態(図5、500)の内線端末Aより発呼を検出し(図4、S01)、PBXは、中央制御装置5からの指令により、発呼を検出した内線端末Aの収容位置を求める(図4、S02)。次に、該中央制御装置は該内線端末Aに対して不在案内、キャンプオン等のサービス登録中チェックを行い(図4、S03)、登録がない場合には前記と同様の処理ルートが決定される。今回は不在案内登録中なので不在又はキャンプオン登録中のルートで処理が実行され(図4、S04及びS20)、解除案内ガイダンス送出処理となる。
【0022】
続いて、中央制御装置5は、図2に示すトーン/ガイダンス選択テーブルの種別を6の解除案内ガイダンスの値で索引しデータを抽出すると(図4、S21)、9の値、すなわちタイムスロット番号9となる。次に、該発信端末Aの収容位置と該解除案内ガイダンスの収容ハイウェイ間で通話路の接続を行い(図4、S07)( 図1に示す符号10)、該内線端末Aの状態を内線空状態よりダイヤル中の状態(図5、501及び510)に遷移させる。これにより、該内線電話機2には音声ガイダンス“キャンプオン又は不在登録中です、解除する場合は10をダイヤルして下さい”が流れるため、操作者は不在案内か又はキャンプサービスが登録中であることを認識する。
【0023】
また、前記操作者が、例えば不在から在席に変わったので不在案内サービス登録を解除し着信を受けたい場合には、前記音声ガイダンスを聴取している状態で“10”とダイヤルすると中央制御装置5は、ダイヤル受信処理を行い(図4、S10)、受信したダイヤルを抽出する。続いて、前記と同様に受信ダイヤルが何のサービス機能かを判定するが(図4、S11)、ここでは特番10がサービス解除特番に割り当てられていると仮定し、ダイヤルは正常と判断される。このため、判定処理(図4、S12及びS13)ではサービス解除のための処理ルートが決定され不在案内解除処理(図4、S30)を行った後、一般発信と同様のルート(図4、S05及びS06)に戻り処理が実行される。
【0024】
次に、該発信端末Aの収容位置と図2に示すトーン/ガイダンス選択テーブルより、発信音(トーン種別0)で索引して抽出(図4、S06)したタイムスロット番号を基に、入ハイウェイに該当するトーン収容ハイウェイの発信音と出ハイウェイに該当する前記内線電話機2と接続する内線電話機用ライン回路3間の通話路を接続する(図4、S07 図1、8)。このため、前記内線電話機2には図3に示すタイムスロット番号1に収容された発信音が送出され、ダイヤル受信準備のための処理を行う(図4、S08)(図5、513)。これにより、該内線電話機2には、図3に示す周波数400Hz、0.25秒接、0.25断の発信音が送出される。以下、一般発信と同様の動作となる。
【0025】
以上、本実施の形態では不在案内サービス機能の登録と解除の動作について説明したが、キャンプオンの登録サービスについても本実施の形態と同様に音声ガイダンスにより“キャンプオン登録しました”と送出することで操作者に対して音声で認識させることが可能となる。
【0026】
また、不在転送サービスの場合も不在案内サービスと同等の音声ガイダンスで実現することができるが、音声ガイダンスを分けて運用したい場合には例えば“不在転送登録しました”等の音声ガイダンスの音源と種別を追加することで実現可能となる。
【0027】
また、本実施の形態ではサービス解除特番をダイヤルすることによって不在案内サービスとキャンプオンサービスを同一特番で解除する形態を例として説明しているが、解除特番が異なる場合は解除案内ガイダンスも分けて運用しても良い。
【0028】
このように、サービス登録時の登録確認手段において、登録サービスの内容に応じた音声ガイダンスを内線端末に送出することによって目的とするサービスが正常に登録されたかどうかを認識することができ、また、該サービス登録中の内線端末が受話器上げた時にサービス解除のための操作手順を音声ガイダンスにより知らせることで解除特番が分からない場合でも操作手順を認識することが可能となった。
【0029】
また、ハードウェアに関しては通常、規制ガイダンス用のトーキトランクパッケージを実装させ、該パッケージに実装されている音声ROM等の音源を目的とする内線端末やトランクが収容されるハイウェイとの間で通話路を接続することによって音声ガイダンスの送出制御を行っていたが、この場合、トーキトランクの制御ソフトウェアの追加やハードウェアに対するコストが掛かってしまい、本機能を必要とする顧客への納入台数に比例してコスト高となってしまう。
【0030】
更に、本発明におけるサービス登録ガイダンスの音源をトーンハイウェイに実装するためのコストはトーキトランクの実装するためのコストに比べて少量である。また、PBX本体のパッケージ実装スペースを減らして小型化したい時にはトーキトランクパッケージを実装しなくて済む等、メリットは大きい。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明のシステム構成を説明する中継方式図である。
【図2】本発明のガイダンス送出制御を実現するための構成テーブルを示す図である。
【図3】本発明のガイダンス送出内容を表す構成図である。
【図4】本発明の動作を説明するフローチャートである。
【図5】本発明のPBXの動作状態を示す状態遷移図である。
【符号の説明】
【0032】
1 時分割スイッチ
2 多機能電話機
3 多機能電話機用ライン回路
4 トーン収容ハイウェイ
5 中央制御装置
6 記憶装置
7 制御バス
8 通話路スイッチ1
9 通話路スイッチ2
10 通話路スイッチ3
11 局線トランク
12 公衆網

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内線端末からのダイヤル操作、キー操作等により構内電話交換機が有しているサービス機能を登録可能な構内自動電話交換機において、
登録されたサービスを解除したい場合に、該サービスの種別と該サービスに対応する音声ガイダンスを送出するための音源と、
該内線端末の受話器を上げた場合に、該サービスが正常に登録されているとき、または登録解除操作されたときは、該音源を該受話器を上げた内線端末に接続する手段と、
該内線端末からのサービスの登録状態に応じて該音源を制御し、登録を認識させる音声ガイダンス若しくは解除手順を認識させる音声ガイダンスを送出するように制御する手段と、を備えたことを特徴とする音声ガイダンス接続制御方式。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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