説明

音声信号出力装置

【課題】ユーザが好みの音場設定に容易に切り替えることができる音声信号出力装置を提供する。
【解決手段】リモートコントローラ15に、DSPが再現する音場を切り替えるために操作される各ユーザ専用のユーザ専用ボタン154を設ける。ユーザ専用ボタン154が操作されるたびに、予めユーザ毎に登録されている音場に順次切り替えられる。ユーザによって登録される音場の個数及び順序は、適宜設定可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、音場設定が可能な音声信号出力装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、オーディオ装置においては、例えば、図4に示すような複数の音場の中からユーザの好みに応じて音場を設定できるように、種々の提案がなされている。例えば、特許文献1には、番組のジャンルに応じて音場スキャン順序を変更するラジオ受信機が示されている。また、特許文献2には、ユーザがカテゴリを指定することでカテゴリ内の音場設定を2秒毎に順次切替える音場補正装置が示されている。また、特許文献3には、ユーザが好みの音場を設定し、登録できるようにした音場再生装置が示されている。また、特許文献4には、曲のジャンルに応じて自動的に音響補正を行うCD再生装置が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平07−284187号公報
【特許文献2】特開平06−070399号公報
【特許文献3】特開平05−041299号公報
【特許文献4】特開2000−235772号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のオーディオ装置においては、一般にリモートコントローラの音場切替ボタン(または、音場切替画面が表示中に操作される音場の切替に相当するボタン)を押下すると、図4に示すようにメーカによって予め設定された順序で音場の設定が順次切替えられる。しかしながら、ユーザの趣向は多様であるため、メーカによって予め設定された順序で音場の設定が切替えられる構成では、好みの音場に辿り着くまでに多くの操作を必要とする場合がある。例えば、図4に示した例において、ユーザの好みが音場7(ヴォーカル)である場合、この音場7に辿り着くまでに少なくとも6回の操作が必要となり、使い勝手が悪い。一方、ほとんどのユーザにとっては、好みの音場は再生するコンテンツに関わらず2つ又は3つ程度である場合が多い。ところが、図4に示した全ての音場を順次切替えていく場合、操作が煩雑な傾向となる。なお、上記いずれの特許文献に示された技術を適用しても、上記課題を解決できない。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、最小限の操作でユーザが好みの音場設定に迅速かつ容易に切り替えることができる音声信号出力装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために請求項1の発明は、予め準備された複数の音場からユーザが1又は複数の所望の音場を選択するために、ユーザによって操作される音場選択手段と、選択された音場をユーザ毎に関連づけて記憶する記憶手段と、前記音場選択手段の操作によって選択された音場に応じて、入力された音声信号にデジタル処理を施し、前記音場を再現した音声信号を出力する音声信号処理手段とを備えた音声信号出力装置において、前記音場選択手段は、ユーザが音場を選択する際にユーザを特定するために使用され、かつユーザが前記記憶手段から自己が選択した音場を読み出すために使用されるユーザ専用ボタンを有することを特徴とする。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1に記載の音声信号出力装置において、ユーザが自己の選択した音場を読み出すために前記ユーザ専用ボタンが操作されたとき、前記記憶手段に記憶された音場から操作された前記ユーザ専用ボタンに対応する特定の音場が順次選択されることを特徴とする。
【0008】
請求項3の発明は、請求項2に記載の音声信号出力装置において、前記順次選択される特定の音場の順序は、ユーザ毎に設定可能であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
請求項1の発明によれば、音場選択手段がユーザ毎に音場を選択するためのユーザ専用ボタンを有しているので、ユーザは自分用の専用ボタンを操作することにより、迅速かつ容易に音場の設定を切り替えることができ、音声信号出力装置の利便性が向上する。
【0010】
請求項2の発明によれば、ユーザ専用ボタンが操作されたとき、予め選択された1又は複数の特定の音場が順次選択されるので、コンテンツの種類等に応じて所望の音場を迅速かつ容易に選択可能となり、音声信号出力装置の利便性がより一層向上する。特に、音声信号出力装置が再現可能な音場の数が多くなっても、ユーザが所望の音場を選択するのに要する操作が増加しないため、操作性が高められる。
【0011】
請求項3の発明によれば、順次選択される特定の音場の順序は、ユーザ毎に設定可能であるので、ユーザは、所望の音場が順次切り替わるように、予め設定しておくことにより、少ない操作回数で所望の音場に設定可能となり、音声信号出力装置の利便性がより一層向上する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係る音声信号出力装置の一実施形態である光ディスク再生装置の構成を示すブロック図。
【図2】同装置のリモートコントローラの外観を示す平面図。
【図3】各ユーザに対応するユーザ専用ボタンが操作されたときに、順次切り替えられる音場を示す図。
【図4】従来のオーディオ装置において、音場切替ボタンが操作されたときに、順次切り替えられる音場を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明に係る音声信号出力装置の一実施形態による光ディスク再生装置について図面を参照して説明する。図1は光ディスク再生装置の構成を示している。光ディスク再生装置1は、光ディスク駆動装置2、DSP(Digital Signal Processor:音声信号処理手段)4、PWM(Pulse Width Modulation)プロセッサ5、スピーカ出力用アンプ6、スピーカ装置7、メモリ(記憶手段)11、電源部12、制御部13、受信部14、リモートコントローラ(音場選択手段)15等によって構成されている。
【0014】
光ディスク駆動装置2は、装填された光ディスクを回転駆動しながら光を照射し、その反射光を電気信号に変換することにより、映像信号や音声信号等を読み出す。DSP4は、光ディスク駆動装置2から入力された音声信号に各種のデジタル処理を施し、処理後の音声信号をPWMプロセッサ5に出力する。DSP4が施すデジタル処理の一例としては、音場に合わせた残響音を生成することにより音場を再現した音声信号を生成する音場再現処理がある。音場は、図4に示すように、予め複数種類準備されており(図4においては、7種類)、DSP4は、制御部13からの制御信号に応じて、各音場に合わせた残響音を生成する。
【0015】
PWMプロセッサ5は、制御部13によって制御され、PWM信号を生成する。スピーカ(SP)出力用アンプ6は、PWMプロセッサ5から出力されたPWM信号に基づいて、PWMプロセッサ5を介してDSP4から出力された音声信号を増幅し、スピーカ装置7に出力する。スピーカ装置7は、スピーカ出力用アンプ6から出力された音声信号に応じて振動板を振動させて、音声を出力する。スピーカ装置7は、光ディスク再生装置1の本体の筐体内部又は外部に配設される。
【0016】
メモリ11は、制御部13の動作に関連する各種のデータを記憶する。電源部12は、商用の交流電源に接続され、交流電力を直流電力に変換して、光ディスク再生装置1の各部に電力を供給する。なお電源部12は、近年小型化等の要請から、電源トランスからスイッチング電源に置き換えられている。制御部13は、光ディスク再生装置1の各部、すなわちDSP4、PWMプロセッサ5、スピーカ出力用アンプ6、電源部12等の制御を司る。受信部14は、リモートコントローラ15から送信された赤外線信号を受信して電気信号に変換し、制御部13に転送する。リモートコントローラ15は、ユーザによって操作され、その操作に応じた赤外線信号を発信する。例えば、ユーザは、リモートコントローラ15を操作して、光ディスクの再生状態や所望の音場を選択する。
【0017】
図2は、リモートコントローラ15の外観を示している。リモートコントローラ15は、電源ボタン151、テンキー152、音場切替設定ボタン153、複数のユーザ専用ボタン154、カーソルキー155、決定キー156等を備えている。電源ボタン151は、光ディスク再生装置1の主電源をオン/オフするために操作される。テンキー152は、数値等の制御パラメータを光ディスク再生装置1に入力するために操作される。音場切替設定ボタン153は、ユーザ毎に音場の切替を設定するために操作される。ユーザ専用ボタン154は、DSP4が再現する音場を切り替えるために操作される。図2においては、3人以下のユーザに対応するように設定されている。なお、ユーザ専用ボタン154の数は3つに限定されず4つ以上であってもよい。あるいは、ユーザ専用ボタン154として、2つ以上のボタンを併用して操作するように設定することができる。カーソルキー155及び決定キー156は、光ディスク再生装置1の各種状態を設定し、決定するために操作される。
【0018】
図3は、特定のユーザに対応するユーザ専用ボタン154が操作されたときに、順次切り替えられる音場を示している。光ディスクを再生中に、特定のユーザに対応するユーザ専用ボタン154が一度操作されると、音場が音場4(ライブハウス)に切り替えられる。さらにユーザ専用ボタン154が操作されると、音場が音場7(ヴォーカル)に切り替えられる。この状態から、さらに同じユーザ専用ボタン154が操作されると、音場が音場4(ライブハウス)に切り替えられる(以下同様)。DSP4が再現可能な音場は7種類準備されているが、ユーザの好みにより、そのユーザが実際に選択する音場は通常2又は3種類程度に限定されることが多い。そこで、本実施形態においては、ユーザ毎に所望の音場を設定しメモリ11等に登録しておくことにより、ユーザ専用ボタン154の押下のみにより、登録された特定の音場に限定して順次切り替える。
【0019】
ユーザ毎の所望の音場の選択及び登録は、例えば、音場切替設定ボタン153を操作して、音場切替設定画面をモニタ装置等に表示することによりなされる。音場切替設定画面の表示を確認しながら、ユーザはユーザ専用ボタン154、カーソルキー155、決定キー156等を適宜操作することにより、ユーザ毎の1又は複数の所望の音場が登録される。このとき、各音場の優先順位も登録可能であり、また登録する音場の数も適宜設定できる。
【0020】
以上のように、本実施形態の光ディスク再生装置1によれば、リモートコントローラ15がユーザ毎に音場を選択するための複数のユーザ専用ボタン154を有しているので、ユーザは自分に対応する専用ボタンを操作することにより、迅速かつ容易に音場の設定を切り替えることができ、光ディスク再生装置1の利便性が向上する。また、ユーザ専用ボタン154が操作されたとき、予めメモリ11に登録された特定の音場が順次選択されるので、コンテンツの種類等に応じて所望の音場を迅速かつ容易に選択可能となり、光ディスク再生装置1の利便性がより一層向上する。特に、光ディスク再生装置1が再現可能な音場の数が多くなっても、ユーザが所望の音場を選択するのに要する操作が増加しないため、操作性が高められる。また、順次選択される特定の音場の順序は、ユーザ毎に設定可能であるので、ユーザは、所望の音場が順次切り替わるように予め設定しておくことにより、少ない操作回数で所望の音場に設定可能となり、光ディスク再生装置1の利便性がより一層向上する。
【0021】
なお、本発明は上記実施形態の構成に限られることなく、少なくともユーザ毎に音場を選択するためのユーザ専用ボタン154を備えていればよい。また、本発明は種々の変形が可能であり、例えば、ユーザ専用ボタン154は、リモートコントローラ15に設けられている形態に限られることなく、光ディスク再生装置1の筐体の前面に設けられていてもよい。
【符号の説明】
【0022】
1 光ディスク再生装置
4 DSP(音声信号処理手段)
11 メモリ(記憶手段)
15 リモートコントローラ(音場選択手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
予め準備された複数の音場からユーザが1又は複数の所望の音場を選択するために、ユーザによって操作される音場選択手段と、選択された音場をユーザ毎に関連づけて記憶する記憶手段と、前記音場選択手段の操作によって選択された音場に応じて、入力された音声信号にデジタル処理を施し、前記音場を再現した音声信号を出力する音声信号処理手段とを備えた音声信号出力装置において、
前記音場選択手段は、ユーザが音場を選択する際にユーザを特定するために使用され、かつユーザが前記記憶手段から自己が選択した音場を読み出すために使用されるユーザ専用ボタンを有することを特徴とする音声信号出力装置。
【請求項2】
ユーザが自己の選択した音場を読み出すために前記ユーザ専用ボタンが操作されたとき、前記記憶手段に記憶された音場から操作された前記ユーザ専用ボタンに対応する特定の音場が順次選択されることを特徴とする請求項1に記載の音声信号出力装置。
【請求項3】
前記順次選択される特定の音場の順序は、ユーザ毎に設定可能であることを特徴とする請求項2に記載の音声信号出力装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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