説明

音声対話装置及び音声対話プログラム

【課題】ユーザ発話の誤認識や不認識を低減して、検索効率の高い音声対話装置及びプログラムを提供する。
【解決手段】音声対話装置は、音声コマンドである語とそれを示す分類との対からなる音声コマンドリストと、検索対象データベースの検索キーワードである語とそれを示す分類との対からなる検索キーワードリストと、音声コマンドでも検索キーワードでもなく検索対象外ワードである語とそれを示す分類との対からなる対象外ワードリストと、を有する音声認識辞書16と、ユーザにより入力された音声データを音声認識して、音声認識辞書16に含まれる語とその分類を抽出する音声認識部17と、抽出された語の分類が検索対象外ワードである場合には、抽出された語が対象外ワードであることを示す応答を生成する対話制御部18と、対話制御部18により生成された応答を提示する提示部20と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、音声で情報を検索するための音声対話に係り、検索効率の高い音声対話装置及び音声対話プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ユーザが発生した音声を認識し、その認識結果に基いて情報検索を行う技術が知られており、カーナビゲーション装置における施設検索などに用いられている。
【0003】
このような技術を利用したものとして、例えば、施設特定情報データベースに登録されたキーワードを元に音声認識キーワード辞書を拡張し、該キーワードを音声認識できた場合にはこれをキーワードとして利用して検索を行う施設検索装置(例えば、特許文献1参照。)やナビゲーション装置(例えば、特許文献2参照。)が提案されている。ここで、施設特定情報は、特許文献1の施設検索装置では、施設に関する道路名、施設が存在する町名、施設の建物名、施設のサービス内容であり、特許文献2のナビゲーション装置では、施設名、大ジャンル、小ジャンル、住所、位置、営業日、特徴、ユーザ評価などである。
【特許文献1】特開2006−139203号公報
【特許文献2】特開2007−163226号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の施設検索装置や特許文献2のナビゲーション装置では、ユーザは装置が受付け可能なすべての検索キーワードを事前に知ることはできない。このため、ユーザが思いついた検索キーワードが、登録された全施設の属性情報に含まれないと、ユーザ発話の音声認識結果は誤認識あるいは不認識となってしまう。このような場合、ユーザは同じキーワードをもう一度言えば認識されるのか、そもそも無効なキーワードであるのかが分からずに、何度も音声入力を繰り返してしまう結果、検索効率が低下するという問題点がある。
【0005】
また、以前は検索キーワードとして音声入力できたキーワードが、施設情報の更新時に該当ずる施設が閉店などの理由で施設情報から削除されてしまった場合、ユーザはシステムが受付可能な検索キーワードが変更されたことを知ることができない。このため、ユーザは音声入力できるものと思い、何度も音声入力を繰り返してしまうという問題点もある。
【0006】
本発明は、上記問題点を解決するために成されたものであり、ユーザ発話の誤認識や不認識を低減して、検索効率の高い音声対話装置及び音声対話プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、請求項1記載の音声対話装置は、音声コマンドである語と音声コマンドであることを示す分類との対からなる音声コマンドリストと、検索対象データベースの検索キーワードである語と検索キーワードであることを示す分類との対からなる検索キーワードリストと、前記音声コマンドでも前記検索キーワードでもなく検索対象外ワードである語と検索対象外ワードであることを示す分類との対からなる対象外ワードリストと、を有する音声認識辞書を記憶する音声認識辞書記憶手段と、ユーザにより入力された音声データを音声認識して、前記音声認識辞書記憶手段に記憶された音声認識辞書に含まれる語及びその分類を抽出する音声認識手段と、前記音声認識手段により抽出された語の分類が、前記音声コマンド、前記検索キーワード及び前記対象外ワードの何れであるかを判定し、前記抽出された語の分類が検索対象外ワードである場合には、前記抽出された語が対象外ワードであることを示す応答を生成する対話制御手段と、前記対話制御手段により生成された応答を提示する提示手段と、を備えている。
【0008】
請求項1記載の発明によれば、検索対象外ワードが入力された場合には、該ワードが検索対象外であることを提示し、ユーザに自分が発話したワードでは検索できないことを知らせることができる。
請求項2記載の音声対話装置は、請求項1記載の音声対話装置において、音声コマンドである語を記憶した音声コマンド辞書と、複数の語を記憶した複数語辞書と、検索対象となる要素項目の情報を示す語を記憶した前記検索対象データベース、を用いて、前記音声コマンド辞書に記憶された語と音声コマンドであることを示す分類とを対応付けることで前記音声コマンドリストを生成し、前記検索対象データベースに記憶された語と検索キーワードであることを示す分類とを対応付けることで前記検索キーワードリストを生成し、前記複数語辞書に記憶され且つ前記音声コマンド辞書にも前記検索対象データベースにも記憶されていない語と検索対象外ワードであることを示す分類とを対応付けることで前記対象外ワードリストを生成し、該生成した前記音声コマンドリスト、前記検索キーワードリスト及び前記対象外ワードリストを登録することによって前記音声認識辞書を生成する音声認識辞書生成手段を更に備えている。
【0009】
請求項2記載の発明によれば、音声コマンド辞書と、検索対象データベースと、複数語辞書とに基づいて、音声認識辞書を生成することができる。
【0010】
請求項3記載の音声対話装置は、請求項1又は請求項2記載の音声対話装置において、前記対話制御手段は、前記抽出された語の分類が音声コマンドを含む場合には、該音声コマンドに対応する処理を実行する。
【0011】
請求項3記載の発明によれば、音声コマンドが入力された場合には、コマンドに対応する処理を実行することができる。
【0012】
請求項4記載の音声対話装置は、請求項1から請求項3の何れか1項記載の音声対話装置において、前記対話制御手段は、前記抽出された語の分類が音声コマンドを含まず、かつ、検索キーワードを含む場合には、該分類が検索キーワードである語に基づいて前記検索対象データベースを検索し、前記提示手段は、前記対話制御手段により検索された検索結果を提示する。
【0013】
請求項4記載の発明によれば、検索キーワードが入力された場合には、検索キーワードに基づいて検索対象データベースを検索し、検索結果を提示することができる。
【0014】
請求項5記載の音声対話プログラムは、コンピュータを、請求項1から請求項4記載の音声対話置を構成する各手段として機能させる。
【0015】
請求項5記載の発明によれば、検索対象外ワードが入力された場合には、該ワードが検索対象外であることを提示し、ユーザに自分が発話したワードでは検索できないことを知らせることができる。
【0016】
請求項6記載の音声対話プログラムは、コンピュータを、音声コマンドである語と音声コマンドであることを示す分類との対からなる音声コマンドリストと、検索対象データベースの検索キーワードである語と検索キーワードであることを示す分類との対からなる検索キーワードリストと、前記音声コマンドでも前記検索キーワードでもなく検索対象外ワードである語と検索対象外ワードであることを示す分類との対からなる対象外ワードリストと、を有する音声認識辞書を記憶する音声認識辞書記憶手段、ユーザにより入力された音声データを音声認識して、前記音声認識辞書記憶手段に記憶された音声認識辞書に含まれる語及びその分類を抽出する音声認識手段と、前記音声認識手段により抽出された語の分類が、前記音声コマンド、前記検索キーワード及び前記対象外ワードの何れであるかを判定し、前記抽出された語の分類が検索対象外ワードである場合には、前記抽出された語が検索対象外ワードであることを示す応答を生成する対話制御手段、及び前記対話制御手段により生成された応答を提示する提示手段、として機能させる。
【0017】
請求項6記載の発明によれば、検索対象外ワードが入力された場合には、該ワードが検索対象外であることを提示し、ユーザに自分が発話したワードでは検索できないことを知らせることができる。
【発明の効果】
【0018】
以上説明したように、本発明によれば、ユーザ発話の誤認識や不認識を低減して、音声対話装置の利便性を向上することができるという効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。本実施の形態では、音声認識機能を持つ車両用カーナビゲーションシステム(以下、「ナビ」という。)における施設検索に本発明に係る音声対話装置を用いた場合の対話制御に関して説明する。
【0020】
図1は、本発明の実施の形態に係る音声対話装置の構成を示すブロック図である。同図に示すように、音声対話装置は、音声データ入力部11と、音声コマンド辞書12と、オプション語辞書13と、検索対象データベース14と、音声認識辞書生成部15と、音声認識辞書16と、音声認識部17と、対話制御部18と、情報検索部19と、提示部20と、を備えている。
【0021】
音声データ入力部11は、マイクを含んで構成され、音声コマンドの実行や検索対象データベースの検索を行うために入力されるユーザの音声データを受理する。
【0022】
音声コマンド辞書12は、音声操作が可能なコマンドの名称を格納した辞書であり、音声コマンドを音声認識辞書16に登録するために用いられる。図2は、音声コマンド辞書12の構成例を示す。
【0023】
オプション語辞書13は、情報検索を行う際にユーザがオプション的に使う可能性が高いキーワードを格納する。例えば、大勢の一般ユーザに「施設検索を行う際に、エリアとジャンル以外にオプション的に使うキーワードは何ですか?」というアンケート調査を行い、得られた結果から施設の属性に関するキーワードを抽出し、オプション語辞書に格納するとよい。オプション語辞書13は、音声コマンド辞書12にも検索対象データベース14に含まれていないキーワードをユーザが発話しても音声認識できるように、音声認識辞書16を補填するために利用される。図3は、オプション語辞書13の構成例を示す。
【0024】
検索対象データベース14は、検索対象となる要素項目の様々な情報を格納したデータベースである。本実施の形態では音声対話装置をナビの施設検索に応用するので、要素項目は施設である。従って、検索対象データベース14は、施設の「名称」、「エリア」、「ジャンル」等の基本的な情報に加えて、施設の「属性」に関わる複数のキーワードを格納する。施設の属性に関わるキーワードは、例えば、施設の経営者などからアンケートによって収集した自己PRの内容を元に抽出するとよい。さらに、第三者へのアンケートやインターネット上の評判や口コミに関する情報を元にキーワードを抽出してもよいし、ユーザ自身が自由なキーワードを登録できるようにしてもよい。図4は、検索対象データベース14の構成例を示す。
【0025】
音声認識辞書生成部15は、音声コマンド辞書12、オプション語辞書13、および検索対象データベース14を元に、音声認識辞書16を生成する。音声認識辞書生成部15は、各キーワードに「音声コマンド」、「検索有効語彙」、「検索無効語彙」の分類情報を併せて格納する。
【0026】
音声認識辞書16は、音声認識時に音声認識部17により参照される辞書である。複数のキーワードを含み、各キーワードには、「音声コマンド」、「検索有効語彙」、「検索無効語彙」の分類が付与されている。
【0027】
音声認識部17は、音声データ入力部11により入力された音声データを音声認識辞書16を用いて音声認識する。認識した語には、「音声コマンド」、「検索有効語彙」、「検索無効語彙」の分類を付与して出力する。
【0028】
対話制御部18は、音声認識部17により認識されたキーワードを元に、ユーザとの対話処理を行う。具体的には、対話制御部18は、音声認識部17による認識結果を示すための応答を生成したり、検索対象データベース14の検索を行うように情報検索部19を制御する。
【0029】
情報検索部19は、音声認識部17により認識されたキーワードを検索条件にして検索対象データベース14を検索し、検索結果を対話制御部18に返す。
【0030】
提示部20は、スピーカやディスプレイを含んで構成され、ユーザへの応答内容を音声や文字によって提示する。具体的には、提示部20は、対話制御部18により生成された応答や情報検索部19による検索結果を提示する。
【0031】
以上のように構成された音声対話装置は、音声認識辞書16を生成し、生成した音声認識辞書16に基づいてユーザにより入力された音声データを認識して検索対象データベース14の情報検索などの処理を行う。図5は、音声認識辞書16の生成時の音声対話装置の作用の流れを示すフローチャートである。
【0032】
まず、ステップ100では、音声認識辞書生成部15が、音声認識辞書16を初期化する。
【0033】
ステップ102では、音声認識辞書生成部15が、図2に示す音声コマンド辞書12に格納された各キーワードに“音声コマンド”の分類を付与して音声コマンド語彙リストを作成する。
【0034】
ステップ104では、音声認識辞書生成部15が、作成した音声コマンド語彙リストを音声認識辞書16に登録する。ここで、音声コマンドの音声認識辞書16への登録は、音声コマンド辞書12に格納された全てのキーワードを登録してもよいし、あるいは、ユーザに現在提示している画面や応答メッセージの内容に合わせて、次にユーザが発話可能なキーワードのみに絞り込んでから登録してもよい。キーワードを絞り込んでからと登録することにより、音声認識の精度向上を図ることができる。
【0035】
ステップ106では、音声認識辞書生成部15が、検索対象データベース14から検索条件となるキーワードを抽出する。音声認識辞書生成部15は、キーワードの抽出に際して、図4に示すエリア、ジャンル、属性情報をフィールドとして格納した検索対象データベース14を用いる場合、「エリア:都道府県」、「エリア:市区町村」、「ジャンル」、「属性情報(1)〜(5)」の各フィールドに含まれるキーワードを互いに重複することなく抽出する。
【0036】
ステップ108では、音声認識辞書生成部15が、検索対象データベース14より抽出した各キーワードに“検索有効語彙”分類を付与して検索有効語彙リスト作成する。この際、現在地周辺における施設検索ができるように、キーワード「現在地周辺」を検索有効語彙リストに追加するとよい。図6は、検索有効語彙リストの構成例を示す。
【0037】
ステップ110では、音声認識辞書生成部15が、作成した検索有効語彙リストを音声認識辞書16に登録する。
【0038】
ステップ112では、音声認識辞書生成部15が、図3に示すオプション語辞書13のキーワードから、前述の音声コマンド語彙リストまたは検索有効語彙リストに含まれるキーワードを削除した後、各キーワードに“検索無効語彙”の分類を付与して検索無効語彙リストを作成する。例えば、図3に示すオプション語辞書13を用いる場合、図6の検索有効語彙リストに含まれるキーワード「安い」、「宴会ができる」、「穴場的」が削除され、「すいている」「ランチがある」、「駐車場がある」、「美味しい」というキーワードが得られる。音声認識辞書生成部15は、これらのキーワードに分類が付与して検索無効語彙リストを作成する。
【0039】
図7は、このようにして最終的に得られる音声認識辞書16の生成例を示す。
【0040】
次に、音声対話による情報検索について説明する。図8は、情報検索時の音声対話装置の作用の流れを示すフローチャートである。
【0041】
まず、ステップ200では、前述のようにして音声認識辞書生成部15が、音声認識辞書16を生成する。本実施の形態では、情報検索を行う毎に音声認識辞書16を生成することとしているが、音声認識辞書16を生成するタイミングはこれに限定するものではない。例えば、音声コマンド辞書12、オプション語辞書13、検索対象データベース14の何れかが更新されたタイミングに合わせて実行してもよい。その他にも、自車位置などから検索対象データベース14内の検索対象範囲を限定する機能を有するシステムに応用する場合には、検索対象範囲が変更されたタイミングに合わせて音声認識辞書16を生成してもよい。
【0042】
ステップ202では、音声データ入力部11が、ユーザがナビによる情報検索のために発した音声データを受理する。
【0043】
ステップ204では、音声認識部17が、ユーザにより入力された音声データを、音声認識辞書16を用いて音声認識する。音声認識部17は、音声認識の結果として得られたキーワードと音声認識辞書16内の同じキーワード項目を探し、対応する分類と併せて結果を出力する。例えば、認識結果が「居酒屋」であった場合には、図7の音声認識辞書内の同じキーワードに付与された分類“検索有効語彙”と共に「居酒屋(検索有効語彙)」などの様式を用いて出力する。ユーザ1回の発話に複数のキーワードが認識された場合は、結果リストとして出力する。
【0044】
音声認識部17による音声認識は、公知の如何なる方法を用いてもよいが、例えば、次の方法によって行う。まず、音声データの音声特徴量の時系列データから音響モデルを参照して音素リストの候補を複数生成し、この音素リスト候補から音声認識辞書16に登録されている単語の組み合わせによって表現可能な音素リスト候補を抽出する。次に、音声特徴量の時系列データと音素リストから音響的な尤度を算出し、尤度の高い順に上位N個を抽出する。そして、音素リストを該当する音声認識辞書16の分類付きの認識ワードに置き換え、認識結果候補リストとする。この認識結果候補リストから文法的に成立する候補のみを抽出し、抽出された候補のうち最上位の候補を認識結果として出力する。文法的に成立する候補がない場合は、認識結果なしとする。
【0045】
ステップ206では、対話制御部18が、音声認識部17により認識されたキーワードの分類が音声コマンドか否かを判定し、音声コマンドの場合はステップ208に進み、音声コマンド尚場合にはステップ214に進む。
【0046】
ステップ208では、対話制御部18が音声認識部17により認識された音声コマンドに対応する処理を実行し、提示部20が実行結果を提示する。
【0047】
ステップ210では、対話制御部18が、音声コマンドが検索を終了するコマンドか否かを判定する。例えば、「目的地に設定する」など検索の次の段階の操作に移行する音声コマンドであった場合は、対話制御部18は、情報検索を終了する。また、音声コマンドが「戻る」など検索の操作を継続する音声コマンドの場合は、ステップ212に進む。
【0048】
ステップ212では、対話制御部18が次の入力を促すメッセージを生成し、提示部20がメッセージを提示した後、ステップ202に戻る。
【0049】
ステップ214では、対話制御部18が、音声認識部17により認識されたキーワードが検索有効語彙を1つ以上含むか否かを判定し、検索有効語彙を1つ以上含む場合にはステップ216に進み、含まない場合にはステップ222に進む。
【0050】
ステップ216では、対話制御部18が、認識されたキーワード毎に検索有効語彙か検索無効語彙かが分かるようにメッセージを生成し、提示部20がメッセージを提示する。
【0051】
ステップ218では、情報検索部19が、認識されたキーワードのうちの検索有効語彙であるキーワードを検索条件として検索対象データベース14の検索を行う。
【0052】
ステップ220では、提示部20が情報検索部19による検索結果を提示する。また、対話制御部18が次の入力を促すメッセージを生成し、提示部20がメッセージを提示した後、ステップ202に戻る。
【0053】
情報検索部19による情報検索は、次のように行う。例えば、音声認識部17が、「現在地周辺でランチがあるレストラン」というユーザの発話から、「現在地周辺(検索有効語彙)」、「ランチがある(検索無効語彙)」、「レストラン(検索有効語彙)」という3つのキーワードを認識したとする。この場合、対話制御部18が、「“ランチがある”は、検索に無効なキーワードです。現在地周辺のレストランを条件として検索します。」のようにキーワードが有効か無効かを示すメッセージを生成し、提示部20がこれを提示する。その後、「現在地周辺」と「レストラン」という2つの条件で検索対象データベース14を検索した結果から、対話制御部18が、例えば、「5件見つかりました。」のようなメッセージを生成し、提示部20がこれを提示する。また、併せて、対話制御部18が、「一番近いのはレストラン○○です。目的地に設定しますか?次を提示しますか?」のように次の入力を促すメッセージを生成し、提示部20がこれを提示する。
【0054】
ステップ222では、対話制御部18が、認識されたキーワードが検索無効語彙であることを示すメッセージ、及び「もう一度言ってください。」など別の入力を促すメッセージを生成し、提示部20がこれらを提示した後、ステップ202に戻る。
【0055】
以上のように、本実施の形態に係る音声対話装置は、音声認識辞書16を生成する際に、音声コマンド辞書12にも検索対象データベース14にも含まれないキーワードを、オプション語辞書13を用いて補填し、検索キーワードとして有効か無効かを分類しておく。これにより、ユーザが情報検索時に使う可能性が高いキーワードの音声認識に対応することができる。また、認識したキーワードが検索に有効であるかどうかを即座にユーザに知らせることが可能となり、ユーザは無効なキーワードを何度も繰り返して音声入力することがなくなり、結果として情報検索を効率よく行うことができる。
【0056】
なお、本発明は、上述の実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された範囲内で設計上の変更をされたものにも適用可能である。例えば、楽曲検索などにも応用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明の実施の形態に係る音声対話装置の構成を示すブロック図である
【図2】音声コマンド辞書の構成例を示す図である。
【図3】オプション語辞書の構成例を示す図である。
【図4】検索対象データベースの構成例を示す図である。
【図5】本実施の形態に係る音声対話装置の音声認識辞書生成時の作用の流れを示すフローチャートである。
【図6】検索有効語彙リストの構成例を示す図である。
【図7】音声認識辞書の構成例を示す図である。
【図8】本実施の形態に係る音声対話装置の情報検索時の作用の流れを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0058】
11 音声データ入力部
12 音声コマンド辞書
13 オプション語辞書
14 検索対象データベース
15 音声認識辞書生成部
16 音声認識辞書
17 音声認識部
18 対話制御部
19 情報検索部
20 提示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
音声コマンドである語と音声コマンドであることを示す分類との対からなる音声コマンドリストと、検索対象データベースの検索キーワードである語と検索キーワードであることを示す分類との対からなる検索キーワードリストと、前記音声コマンドでも前記検索キーワードでもなく検索対象外ワードである語と検索対象外ワードであることを示す分類との対からなる対象外ワードリストと、を有する音声認識辞書を記憶する音声認識辞書記憶手段と、
ユーザにより入力された音声データを音声認識して、前記音声認識辞書記憶手段に記憶された音声認識辞書に含まれる語及びその分類を抽出する音声認識手段と、
前記音声認識手段により抽出された語の分類が、前記音声コマンド、前記検索キーワード及び前記対象外ワードの何れであるかを判定し、前記抽出された語の分類が検索対象外ワードである場合には、前記抽出された語が対象外ワードであることを示す応答を生成する対話制御手段と、
前記対話制御手段により生成された応答を提示する提示手段と、
を備えた音声対話装置。
【請求項2】
音声コマンドである語を記憶した音声コマンド辞書と、複数の語を記憶した複数語辞書と、検索対象となる要素項目の情報を示す語を記憶した前記検索対象データベース、を用いて、前記音声コマンド辞書に記憶された語と音声コマンドであることを示す分類とを対応付けることで前記音声コマンドリストを生成し、前記検索対象データベースに記憶された語と検索キーワードであることを示す分類とを対応付けることで前記検索キーワードリストを生成し、前記複数語辞書に記憶され且つ前記音声コマンド辞書にも前記検索対象データベースにも記憶されていない語と検索対象外ワードであることを示す分類とを対応付けることで前記対象外ワードリストを生成し、該生成した前記音声コマンドリスト、前記検索キーワードリスト及び前記対象外ワードリストを登録することによって前記音声認識辞書を生成する音声認識辞書生成手段を更に備えた請求項1記載の音声対話装置。
【請求項3】
前記対話制御手段は、前記抽出された語の分類が音声コマンドを含む場合には、該音声コマンドに対応する処理を実行する請求項1又は請求項2記載の音声対話装置。
【請求項4】
前記対話制御手段は、前記抽出された語の分類が音声コマンドを含まず、かつ、検索キーワードを含む場合には、該分類が検索キーワードである語に基づいて前記検索対象データベースを検索し、
前記提示手段は、前記対話制御手段により検索された検索結果を提示する請求項1から請求項3の何れか1項記載の音声対話装置。
【請求項5】
コンピュータを、請求項1から請求項4記載の音声対話置を構成する各手段として機能させるための音声対話プログラム。
【請求項6】
コンピュータを、
音声コマンドである語と音声コマンドであることを示す分類との対からなる音声コマンドリストと、検索対象データベースの検索キーワードである語と検索キーワードであることを示す分類との対からなる検索キーワードリストと、前記音声コマンドでも前記検索キーワードでもなく検索対象外ワードである語と検索対象外ワードであることを示す分類との対からなる対象外ワードリストと、を有する音声認識辞書を記憶する音声認識辞書記憶手段、
ユーザにより入力された音声データを音声認識して、前記音声認識辞書記憶手段に記憶された音声認識辞書に含まれる語及びその分類を抽出する音声認識手段と、
前記音声認識手段により抽出された語の分類が、前記音声コマンド、前記検索キーワード及び前記対象外ワードの何れであるかを判定し、前記抽出された語の分類が検索対象外ワードである場合には、前記抽出された語が検索対象外ワードであることを示す応答を生成する対話制御手段、及び
前記対話制御手段により生成された応答を提示する提示手段、
として機能させる音声対話プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−39185(P2011−39185A)
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−184946(P2009−184946)
【出願日】平成21年8月7日(2009.8.7)
【出願人】(000003609)株式会社豊田中央研究所 (4,200)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【出願人】(000237592)富士通テン株式会社 (3,383)
【Fターム(参考)】