説明

音情報付き芳香装置

【課題】音と、香りとを、任意且つ選択的に利用できるようにし、利用者の好みに応じた音と香りの共演を楽しむことのできる音情報付き芳香装置の提供を目的としている。
【解決手段】本発明の音情報付き芳香装置は、音情報を選択できる音響装置2と、香りを選択できる芳香装置6とを有している。また音情報及び香りの二つを組み合わせたモードの複数を記憶すると共に、指定したモードの内容の音情報及び香りを選択するための指令信号を各装置2及び6に発する制御装置10を有している。制御装置10のスイッチを操作することにより、音と、香りとを任意且つ選択的に利用でき、利用する個人がリラックスできる環境を瞬時に整えることが可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、音楽やラジオ放送などの音情報と、複数種類の香りのそれぞれを好みに応じて選択して単独で使用したり、または組み合わせて使用することにより、快適且つ健康的な生活空間の利用ができるようにした音情報付き芳香装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載された発明は、化粧品等の陳列棚において、サンプル台のテストサンプルに顧客が手を差し出すと、これを感知手段が感知して当該テストサンプルに関する映像を表示し、同時に映像に連動した商品の説明をスピーカーから音声によって発し、またテストサンプルに対応した製品の香りを芳香装置から発生させるようにしている。
これにより需要者は、商品の正確な情報を直接、見て、聞いて、香りを嗅いで確認することができ、商品選択のために数多くのテストサンプルを実際に使用する必要がないようにしている。
【0003】
また特許文献2に記載された発明にあっては、芳香成分エキスを混入した芳香液が貯留される貯留容器と、該容器の上部側にされる圧電振動子とで芳香発生器を構成している。そして、前記圧電振動子は、多孔質の圧電素子の両面側に電極を配設したものであり、両電極間に電圧を印加すると、圧電素子が振動し、芳香液がキャビテーションにより気化して貯留容器内の圧力が高くなり、圧電素子の多孔質通路を通じて外部へ芳香が拡散されるようになっている。
【特許文献1】特開平11−76016号公報
【特許文献2】特公平6−24581号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、前記特許文献1の発明にあっては、サンプルを指定すると、これに関する映像及び音声による説明と、指定したサンプルと同じ香り説明が行われるものであって、これらはサンプルに連動して一義的に決定される。従って、利用者の好みに併せた選択や使用態様は得られなかった。
【0005】
また特許文献2の発明にあっては、圧電素子の両電極間に印加する電圧を制御することにより、香りの発生をコントロールするようにし、芳香の長寿命化の実現及び優れた応答性を確保するようにしている。ところが、この芳香発生装置では、香り単独での使用が可能となるだけであり、音との共演による快適な使用が得られないでいた。
【0006】
本発明は従来の前記課題に鑑みてこれを改良除去したものであって、音と、香りとを、任意且つ選択的に利用できるようにし、利用者の好みに応じた音と香りの共演を楽しむことができるようにした音情報付き芳香装置を提供せんとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
而して、前記課題を解決するために本発明が採用した請求項1の手段は、振動発生素子と、振動発生素子の発する振動を受けて香りを発生させる芳香装置と、振動発生素子の発する振動を受けて発音する振動板と、振動発生素子に音情報信号を出力する出力装置とを備えたことを特徴とする音情報付き芳香装置である。
【0008】
本発明が採用した請求項2の手段は、複数の前記芳香装置と、前記出力装置へ入力する音情報のチャンネルを選択する音情報選択装置と、前記振動発生素子と各芳香装置の間に設けられ、前記振動発生素子の発する振動を音情報選択装置で選択されたチャンネルに対応する芳香装置へ伝達させる振動伝達切換装置とを備えている請求項1に記載の音情報付き芳香装置である。
【発明の効果】
【0009】
請求項1の発明にあっては、振動発生素子により音情報を発生させると同時に、該振動発生素子の振動により香りを発生させることができるので、音楽やラジオ放送などの音情報と、芳香との組み合わせを楽しむことが可能である。
【0010】
請求項2の発明にあっては、複数種類の香り及び音情報の任意な組み合わせが可能であり、例えば、振動伝達切換装置に複数のモードで記憶させておき、これを季節感や朝,昼,晩などのシチューエーションに応じて適宜選択使用することが可能である。従って、個人の嗜好性に適応した快適な利用が可能であり、また健康的にも好ましい利用が可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下に、本発明の構成を図面に示す発明の実施の形態に基づいて説明すると次の通りである。図1は本発明を洗面化粧台1へ適用した場合のものであり、図(A)は正面図、図(B)は側面図である。同図に示す如く、この実施の形態にあっては、音響装置2の音発生具として例えば、超磁歪素子や圧電素子などの振動発生素子を利用した振動出力用アクチュエータ3(図3参照)を用い、これを洗面キャビネット4の前扉4Aの背面側及び照明カバー5の裏面側に取り付けている。振動出力用アクチュエータ3は、前扉4Aの背面側の表面材及び照明カバー5自体をを振動させて音を発生させるものであり、キャビネット内及び照明器具設置用の空間と共振して特定の周波数の振動が増幅され、かなりの大きな音を発生させることが可能である。このように本実施の形態にあっては、前扉4Aの表面材と照明カバー5自体を振動板として利用するようにしている。
【0012】
なお、洗面化粧台1の音響装置2は、アクチュエータ3で振動させる前扉4Aの表面材や照明カバー5自体などの材質の固さを選択することで、振動させることのできる周波数域を適宜選択できる。例えば、固い樹脂製の照明カバー5自体やミラーキャビネットの樹脂部分からなる振動部材では、高音域を出すことができ、逆に柔らかい木製の前扉4Aの表面材からなる振動部材では、低音域を出すことができる。固さの異なる材質からなる複数の振動部材を異なるアクチュエータ3で振動させることで、低音域から高音域までの広い音域にわたって音を出す音響装置2とすることが可能である。
【0013】
またこの実施の形態にあっては、香りを選択できる芳香装置6がミラーキャビネット7の下端面に設置している。ミラーキャビネット7は、洗面化粧台1を利用する者に対して身体の中間部(お腹に相当)に位置し、発散する香りを自然に感じることができるようになされている。而して、芳香装置6はその内部が複数に区画された領域を有し、各区画内に複数種類の芳香剤がそれぞれ収納されている。これらの芳香剤は、加熱されると芳香を発生するものであり、各区画内のヒータをON/OFFすることで各芳香剤の発香をコントロールするようにしている。
【0014】
前記音響装置2及び芳香装置6は、制御部10によってコントロールされるようになっている。この制御部10は、内部に中央演算処理装置(CPU)及び記憶部を有し、スイッチ11の押しボタンを操作することによって任意に音又は香りの選択及びその組み合わせの種類別により選択モードの設定ができるように又は記憶できるようになされている。また制御部10は、そのUSBポートへメモリースティックタイプの多機能デジタルオーディオプレーヤーを接続することにより、AMラジオ、FMラジオ、MP3などの音情報並びにメモリー部に記憶していた音楽情報や漫才、落語、講演、外国語教材その他の言語による情報をチャンネルを選択して入力することが可能である。つまり、制御部10は、アクチュエータ3へ音情報信号を出力する出力装置及び音情報の選択装置として機能し、また音情報の選択及び香りの種類の選択の切換装置としての機能とを有している。
【0015】
次に、このように構成された洗面化粧台1の使用態様を説明する。先ず、利用者は、好みの香り、聞きたい音情報を選択してこれらを単独で利用するか若しくは組み合わせて利用する。選択は、スイッチ11を操作して行えばよい。これにより、例えば、朝のさわやかなマリンの香りを選択し、ニュース若しくはクラシック音楽などの音情報をチャンネルを選択して流すようにすれば、洗面化粧台1での洗顔や歯磨きなどの動作を快適に行うことができ、心身のリフレッシュが行われ、健康的にも優れたものとなる。またこれらの香り及び音情報の選択は、予め設定しておいたモードをCPUの記憶部から読み出してきて実現するようにしてもよい。
【0016】
図2は本発明の第2の実施の形態に係るものであり、アッパーキャビネット12及びサイドキャビネット13を有する洗面化粧台14へ適用したものである。同図の図(A)は正面図、図(B)は側面図である。同図に示す如く、この実施の形態にあっては、第1の実施の形態の照明カバー5の背面側に設置した音発生具としての振動出力用アクチュエータ3を、アッパーキャビネット12の前面扉12Aの背面側に設置している。また制御部10と、スイッチ11とをサイドキャビネット13の中に設置している。スイッチ13は、操作性を考慮すれば、サイドキャビネット13の前面扉13Aの外表面側へ設置するようにしてもよい。その他の構成並びに基本的な作用効果は、前記第1の実施の形態の場合と同じである。
【0017】
図3は本発明の第3の実施の形態に係るものであり、音発生具としての振動出力用アクチュエータ3と、芳香装置15とを同一の板材(キャビネットの開閉扉など)16の裏面側に取り付けている。この場合の芳香装置15は、音を発生させるに際し、振動出力用アクチュエータ3が板材16を振動させることにより、芳香装置15自体も振動し、この振動によって芳香剤を攪拌して芳香成分が活発に発散するようにしている。複数の香りを楽しむ場合には、芳香装置15と振動出力用アクチュエータ3との組み合わせを多数設けて振動が干渉しないように別々のキャビネット扉などへ設置し、音情報選択装置で選択されたチャンネルに対応する芳香装置15へ振動を伝達させるべく、振動伝達切換装置で選択するアクチュエータ3を切り換えて音情報を出力するようにすることも可能である。
その他の基本的な構成については、第1及び第2の実施の形態と同じにすればよい。
【0018】
図4は本発明の第4の実施の形態に係るものであり、トイレ室へ適用した場合を示す正面図である。洋風大便器17は、便器本体の後部上面に洗浄水タンク18が設置されており、該洗浄タンク18を覆い隠すが如く、カウンター19及び収納ボックス20が設置されている。そして、収納ボックス20の前面扉20Aの背面側に音発生具としての振動出力用アクチュエータ3を取り付けている。また収納ボックス20の内部に制御部10を設置し、前面扉20Aの外表面側にスイッチ11を設置し、更には収納ボックス20の下端面側に芳香装置6を設置している。
【0019】
便器使用者は、便座へ着座する前にスイッチ11を操作して好みの音情報及び香りが得られるように、制御部10に指令を送り、該制御部10で音響装置2と芳香装置6を制御している。例えば、音情報としては、FMラジオ音楽の情報を振動信号に変換してこれを振動出力用アクチュエータ3へ出力し、前面扉20Aを振動させてFMラジオ音楽を流すようにしている。また香り情報としては、複数に区画された領域に異なる種類の芳香剤がそれぞれ収納されているので、領域を指定してこれを加熱することにより、選択した種類の芳香剤を加熱し、希望する芳香を発生させるようにしている。芳香剤の加熱は、各区画内のヒータをON/OFFすることで行っている。
【0020】
従って、便器使用者は、好みの音情報を聞きながら、また好みの芳香を楽しみながら用を足すことができ、快適な使用が可能である。
なお、このトイレ室にあっては、温水便器洗浄装置9の本体9A内に、音響装置2、芳香装置6、制御部10及びスイッチ11を設置することも可能である。
【0021】
図5は本発明の第5の実施の形態に係るものであり、浴室へ適用した場合を示す斜視図である。浴室では音響装置2及び芳香装置6に水がかからないように設置する必要があり、この実施の形態では、浴槽21の奥部と壁面との間に設置されたカウンター22の前面板22Aの背面側に、音響装置2の振動出力用アクチュエータ3を取り付け、収納ボックス23内に制御部10及びスイッチ11(いずれも図示せず)を設置し、棚板24の下端面側に芳香装置6を設置している。スイッチ11を操作して好みの音情報及び香りが得られるように、制御部10に指令を送り、該制御部10で音響装置2と芳香装置6を制御することは、前記第4の実施の形態の場合と同じである。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る洗面化粧台を示すものであり、図(A)は同化粧台の正面図、図(B)は側面図である。
【図2】本発明の第2の実施の形態に係る洗面化粧台を示すものであり、図(A)は同化粧台の正面図、図(B)は側面図である。
【図3】本発明の第3の実施の形態に係るものであり、振動出力用アクチュエータと芳香装置とを同一の板材へ取り付けた場合を示す平面図である。
【図4】本発明の第4の実施の形態に係るものであり、洋風大便器を正面側から見たトイレ室の正面図である。
【図5】本発明の第5の実施の形態に係るものであり、浴室の全体斜視図である。
【符号の説明】
【0023】
1…洗面化粧台、2…音響装置、3…振動出力用アクチュエータ、4…洗面キャビネッ ト、4A…洗面キャビネットの前板、5…照明カバー、6…芳香装置、8…照明装置、 9…発光ダイオード、10…制御部、11…スイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
振動発生素子と、振動発生素子の発する振動を受けて香りを発生させる芳香装置と、振動発生素子の発する振動を受けて発音する振動板と、振動発生素子に音情報信号を出力する出力装置とを備えたことを特徴とする音情報付き芳香装置。
【請求項2】
複数の前記芳香装置と、前記出力装置へ入力する音情報のチャンネルを選択する音情報選択装置と、前記振動発生素子と各芳香装置の間に設けられ、前記振動発生素子の発する振動を音情報選択装置で選択されたチャンネルに対応する芳香装置へ伝達させる振動伝達切換装置とを備えている請求項1に記載の音情報付き芳香装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−55302(P2006−55302A)
【公開日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−239017(P2004−239017)
【出願日】平成16年8月19日(2004.8.19)
【出願人】(000000479)株式会社INAX (1,429)
【Fターム(参考)】