説明

音楽およびオーディオ再生システム

【課題】操作者(通例、ディスク・ジョッキー)が種々のエフェクトを加えることを可能にする再生エンジンを有する音楽およびオーディオの再生システムを提供する。
【解決手段】本システムは、1つ以上のスナップショット、または再生エンジンによって適用される複数の制御に対する設定の組み合わせを格納することができる。スナップショットに格納することができる設定は、エフェクト、デッキ制御、および/または混合設定のためとすることができる。これらのスナップショットは、エフェクトに対する設定を変更し、ミキシングおよび再生を素早く行うことを可能にする。サンプラ・モジュールは、ユーザに1つ以上のサンプルを指定させ、これらを再生のためにトリガすることができる。最も頻繁に用いられたサンプルは、スクラッチング・ファイルに指定することができ、ボタン(またはその他の制御器)の押下によって素早く活性化することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、35USC§119(e)に基づいて、2006年7月13日に出願した、前出願仮特許出願第60/830,870号の優先権およびその利益を主張する。
【背景技術】
【0002】
音楽演奏の一種では、記録された音楽およびサウンドを、新しい「混合」(mix)で再生することを伴う。演奏者のことを一般にディスク・ジョッキーまたはDJと呼ぶ。
【0003】
ディスク・ジョッキーは、音楽演奏を創造するために、多くのツールに頼っている。例えば、種々のサウンド・エフェクトを作成するために、多数のターンテーブル上において、ビニール・レコード(vinyl record)を操作することができ、または多数のコンパクト・ディスクを操作することもできる。ディスク・ジョッキーは、再生の速度、ピッチ、方向、および順序を様々に変化させることができ、再生する音楽に種々のエフェクトを加えることもできる。
【0004】
最近になって、ディスク・ジョッキーは、コンピュータ上のデータ・ファイルに格納されているオーディオ・データを操作するツールを用いている。これらのツールの一部は、通常ターンテーブルやビニール・レコードおよびCDプレーヤで行うことをコンピュータ化するという考えに基づいて開発された。しかしながら、コンピュータの柔軟性により、音楽演奏に用いるために、新たなツールや技法を活用することが可能となる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
音楽およびオーディオ再生システムをコンピュータ上に実装し、再生エンジンによって、操作者、通例では、ディスク・ジョッキーが種々のエフェクトを加えることを可能にする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
例えば、一実施形態では、再生用制御情報をスナップショットとして格納することができる。スナップショットとは、再生エンジンによって適用される複数の制御に対する設定の組み合わせのことである。スナップショットに格納することができる設定は、エフェクト、デッキ制御、および/または混合設定のためとすることができる。利用可能なスナップショットに関する情報は、ユーザ・インターフェースを通じて供給することができ、適用すべき1つ以上のスナップショットをユーザに選択させ、いずれの選択したスナップショットでも、ユーザに活性化または不活性化させる。スナップショットを活性化すると、その選択された設定が制御に適用される。各スナップショットは、キーボード上のMIDI音符またはキー(key)のような制御器に割り当てることができ、それを素早く活性化させることができる。このような割り当ては、ユーザが定義することができる。これらのスナップショットは、エフェクトに対する設定を変更し、ミキシングおよび再生を素早く行うことを可能にするが、これらの一部は通常では実行するのが困難である。一度に1つよりも多いスナップショットを活性化することができる。そのようにするとき、最後にトリガされたスナップショットが、他のスナップショットがアクティブであっても、これらに対して優先される。ユーザ・インターフェースが、スナップショットを管理する際に補助するために設けられている。
【0007】
別の実施形態では、本システムは、ユーザに1つ以上のサンプルを指定させ、これらを再生のためにトリガすることができるサンプラ・モジュールを含む。サンプルとは、ディスク・ジョッキーが演奏に付加するために用いることが多い短いオーディオ・サンプルを含む、オーディオ・ファイル、またはオーディオ・ファイルの一部である。これらのサンプルが再生のために選択されると、これらはミキサの制御を迂回するようになっており、直接ミキサ出力と配合される。最も頻繁に用いられたサンプルは、スクラッチング・ファイルに指定することができ、ボタン(またはその他の制御器)の押下によって素早く活性化することができる。再生速度およびボリュームならびにループ設定というようなスクラッチング・ファイル(複数のファイル)の再生のためのパラメータは、当該スクラッチング・ファイルに付随するユーザ定義可能な設定として既定することができる。このように、システムは、ボタンの押下時に、外部制御レコードおよびCD、または「スクラッチング」を模擬するMIDI回転コントローラを用いて、サンプルの再生の直接制御を可能にする。
【0008】
別の実施形態では、波形ディスプレイは、現再生時刻を中心としてオーディオ・サンプルの窓を表す。2つのトラックを再生しているときは、各波形の半分のみを示す。即ち、上位にある波形の下半分と、下位にある波形の上半分とを示す。窓は、再生期間に関して定義することができるので、波形は、再生テンポの速度が低下または上昇した場合、伸張および種々区する。再生中、この波形は、オーディオ・データを再生するに連れてスクロールし、ユーザはいつ歌の中で休止および拍子が発生するかユーザが見ることができる。ビート・マーカを波形上に表示すると、2つの歌が同じテンポを有し同相である場合、ビート・マーカが上下に並ぶことになる。何らかのエフェクトを加えている間、この波形ディスプレイは、元のオーディオがその正規のテンポで順方向に再生し続けているかのように、更新することができる。このようなエフェクトは、スクラッチング・ファイルの再生への切り換え、または反復、逆転、および制動エフェクトを含むことができるが、これらに限定されるのではない。その結果、操作者は波形ディスプレイを監視し、現オーディオ・ファイルの再生を所望の時点で復元できるように、いつエフェクトを加えるのを終了すべきか知ることができる。
【0009】
別の実施形態では、逆転、反復、または制動エフェクトのような、現オーディオ・ファイルの再生に作用するある種のエフェクトは、挿入エフェクトとして実行する。その結果、エフェクトを実行している間、そのエフェクトを現オーディオ・ファイルにおけるオーディオ・データに加えても、現オーディオ・ファイルにおける現再生位置は進み続ける。波形ディスプレイは、オーディオ・ファイルにおいて連続的に更新する現再生位置に基づいて、更新し続ける。その結果、操作者は、波形ディスプレイを監視し、現オーディオ・ファイルの再生を所望の時点で復元できるように、いつエフェクトを加えるのを終了すべきか知ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
図1は、音楽およびオーディオ再生システム100の一例のデータ・フロー図である。このシステムでは、オーディオ・ファイルの再生を制御している個人が、ユーザ・インターフェース102を通じて、システムとの双方向処理を行う。ユーザ・インターフェースは、通例、ディスプレイのような、1つ以上の出力デバイスを含み、これを通じて、再生システムについてのステータス情報をユーザに伝達することができる。ユーザ・インターフェースは、1つ以上の入力デバイスも含み、ユーザは、これを通じて入力を供給することができる。制御エレメントをディスプレイ上に表示してもよく、種々のコンピュータ入力デバイスを通じて、ユーザによって操作し、制御情報を再生システムに供給することができる。ディスク・ジョッキー用再生システムでは、ユーザ・インターフェースは、ビニール・レコード、CD、ディジタル回転制御器(ジョグ・ホイール)、またはユーザが再生の方向および速度を素早く変化させることを可能にするその他のデバイスのような、「スクラッチ」操作を実行する入力デバイスを含むとよい。一般に、ステータス・データのような表示情報104は、再生エンジン108からユーザ・インターフェース102に供給され、制御情報106は、ユーザ・インターフェース102から再生エンジン108に供給される。
【0011】
再生エンジンは、1つ以上のオーディオ・ファイル112からのオーディオ・データ110の再生を制御して、出力オーディオ信号114(ディジタルまたはアナログのいずれの形態でもよい)を作成する。2つ以上のオーディオ・ファイルからのオーディオ・データを一緒に混合してオーディオ信号を発生することもでき、更には、1つ以上のエフェクトをオーディオ・データに加えることもできる。オーディオ・ファイルに関する情報116をユーザ・インターフェース102に供給すれば、ユーザが、再生すべき1つ以上のオーディオ・ファイルを選択することが可能になる。制御情報106は、このような選択の指示を含むこともできる。
【0012】
再生エンジンのための制御情報の一部は、スナップショット・モジュール118によって、スナップショットとして格納することもできる。スナップショットとは、再生エンジンによって適用される複数の制御に対する設定の組み合わせである。スナップショットに格納するとよい設定は、エフェクト、デッキ制御、および/または混合設定のためとすることができる。
【0013】
このシステムに合わせたユーザ・インターフェースの一例の概要について、図2と関連付けてこれより説明する。これらの図面に示すように、描写を容易にするために、色を逆にしている。図において白で示す部分は黒であり、図面において灰色または黒で示す部分は、ある色の陰影または白である。
【0014】
ユーザ・インターフェースは、2つのデッキ・モジュールを含む。これらは、図2では200で示されており、図3と関連付けて更に詳しく説明する。これらのデッキ・モジュールを通じて、ユーザはオーディオ・ファイルの再生を制御することができる。通例、演奏を行うには、第1デッキ・モジュールを通じて第1オーディオ・ファイルの再生を制御し、続いて、第2デッキ・モジュールを通じて第2オーディオ・ファイルの再生を制御する。2つよりも多いデッキを用いることもでき、例えば、ユーザに2つよりも多いトラックを同時に混合させることができる。
【0015】
図2において202で示す、ユーザ・インターフェースの波形モジュールは、各デッキに対応する波形を示すディスプレイであり、その動作については図5と関連付けて更に詳細に説明する。波形モジュールは、ユーザ・インターフェース内において、2つのデッキ・モジュールの間に配置してもよい。左デッキに対する波形を波形ディスプレイの上位に示すことができ、右デッキの波形を波形ディスプレイの下位に示すことができる。波形の上に「現在」ライン203が重畳されており、(対応するデッキ・モジュールから供給された)対応するオーディオ内における現再生位置を示す。ビート・マーカ205も設けて、1分毎の拍子、およびオーディオ・データの位相を示すこともできる。
【0016】
波形は、現在ラインの前後2.5秒というように、「現在」ラインを中心としたオーディオ・サンプルの窓を表す。再生の間、この波形は、オーディオ・データを再生するに連れてスクロールし、歌の中でいつ休止(break)および拍子(beat)が発生するかユーザが見ることができる。スクロールが右から左に行われる場合、「現在」ラインの左側にある波形の部分は、既に再生されたオーディオ・データを表し、一方「現在」ラインの右側にある波形の部分は、これから再生するオーディオ・データを表す。ビート・マーカを用いると、2つの歌が同じテンポを有し同相である場合、ビート・マーカが上下に並ぶことになる。
【0017】
波形モジュールでは、各波形の半分のみが示されている。即ち、上位の波形(例えば、左デッキ・モジュールに対応する)の下半分、および下位の波形(例えば、右デッキ・モジュールに対応する)の上半分が示されている。上位の波形では、いくつかの方法で、オーディオ・データの波形全体から、波形の下半分を発生することができる。例えば、波形の負の部分のみを示すこともできる。波形の極性を最初に逆転させ、次いでこの反転波形の負の部分を示すことができる。また、波形を整流することもでき(極性を取り除く絶対値関数を用いて)、次いで整流波形を逆転させて示すこともできる。下位の波形については、その波形の上半分をいくつかの方法で発生することができる。例えば、波形の正の部分のみを示すことができ、あるいは整流波形を示すこともできる。
【0018】
図2において204で示すエフェクト・ラック・モジュールは、デッキ・モジュール毎に設けられている。これについては、以下で図6と関連付けて説明する。一般に、エフェクト・ラック・モジュールは、ユーザに1つ以上のエフェクトを指定させ、それに連動するデッキ・モジュールが制御するオーディオの再生によって発生する信号にこれらのエフェクトを加える。加えることができるエフェクトは、いずれの種類のオーディオ・エフェクトでも可能であり、例えば、外部プラグイン、および挿入または送出型エフェクトを含むが、これらに限定されるのではない。
【0019】
図2において206で示すミキサ・モジュールは、デッキ・モジュールによる再生によって発生したオーディオ信号と、外部音源からのオーディオ信号とを配合して、1つのステレオ・ストリーム(マスタ)を作成する際に、その制御をユーザに行わせる。ミキサ・モジュールについては、図7と関連付けて以下で更に詳細に説明する。このインターフェースの例では、ミキサ・モジュールは、エフェクト・ラック・モジュールの間で、波形モジュールの下にある。
【0020】
図2において208で示すクロスフェーダ・モジュールは、ユーザが、ミキサの2つのチャネル間におけるフェーディング(fading)を制御することを可能にする。クロスフェーダが左にある場合、左デッキ・モジュールによって制御される信号が聞こえる。クロスフェーダが右にある場合、右デッキ・モジュールによって制御される信号が聞こえる。クロスフェーダを中間に配置すると、両デッキ・モジュールによって制御される信号の配合が得られる。
【0021】
図2において210で示すサンプラ・モジュールは、ユーザに、1つ以上のオーディオ・ファイル(またはオーディオ・ファイルの一部)を指定させ、これらを再生のためにトリガさせることを可能にする。サンプラ・モジュールによって、ユーザはディスクから短いオーディオ・サンプルをロードすること、またはオーディオ・サンプルを記録することをリアル・タイムで行うことができる。これらのサンプルを選択し再生する場合、これらはミキサの制御を迂回するようにして、直接ミキサ出力と配合される。
【0022】
各サンプル・スロットには番号が付けられており、1つ以上のボタンを有し、サンプル・スロットは、デッキ・モジュールの一方を通じてスクラッチングに用いることができるスクラッチング・ファイルを参照することを示す。利用可能なボタンの数は、指定することができるスクラッチング・ファイルの数によって左右される。全てのサンプル・ショットの内、1つのサンプルだけがその第1ボタンを活性化することができ、同様に、全てのサンプル・スロットの内、1つのサンプル・スロットのみがその第2ボタンを活性化することができる。サンプル・スロットにおけるボタンが、その対応するスクラッチング・ファイルの再生中に、デッキ・モジュールによって不活性化された場合、デッキ・モジュールが再生していた元のオーディオ・ファイルの再生を復元する。デッキ・モジュールがスクラッチング・ファイルを用いている間に、サンプル・スロットのスクラッチングへの指定が、サンプラを通じてユーザによって変更された場合、再生は元のスクラッチング・ファイルから、新たに選択されたスクラッチング・ファイルに切り替わる。
【0023】
各サンプル・スロットはトリガ・ボタン250を有する。ユーザは、このボタンを押下して、随伴するサンプルを再生させることができる。ボリューム・ノブ256は、ユーザがサンプルの再生ボリュームを制御することを可能にする。速度ノブ258は、ユーザがサンプルの再生速度を制御することを可能にする。ループ・ボタン262は、ユーザがサンプルをループ・サンプルであると指定することを可能にする。サンプル名ウィンドウ260は、スロット内にロードされたサンプル・ファイルの名称を表示する。加えて、このウィンドウの背景を、例えば、サンプルをどれくらい再生したかを示す進展メータとして用いることもできる。サンプル名ウィンドウ、またはその他のエレメントは、メニューを活性化するために用いることもでき、このメニューにより、ユーザはサンプルをスロットにロードし、スロットからサンプルを保存し、サンプルのバンクをロードおよび保存することが可能になる。
【0024】
記録ボタン252は、ユーザがサンプルを記録することを可能にする。記録プロセスは、最初にサンプル源を選択することを含む。例えば、ユーザは、ミキサ・モジュールにおいてキュー・ボタンを選択することによりサンプル源を指定することができる。ユーザが記録ボタンを押下した後、新たなサンプルが記録され、そのスロットと関連付けられる。記録ボタンを再度押下すると、記録が停止する。ループを記録するには、シフト・キーのような追加のキーを、記録ボタンの押下と合わせて押下する。直ちに記録を開始する代わりに、記録は、音源素材におけるダウンビート(downbeat)を待つ。ダウンビートは、しかるべき拍子検出処理を用いれば検出することができる。一旦記録したなら、記録ボタンをクリックしても、記録は直ぐには停止しない。代わりに、次の小節の終点まで記録は継続する。一旦小節の終点に達したなら、記録が停止し、こうしてルーピングのための完全なサンプルを作成する。
【0025】
図2において212で示す音楽データベース・モジュールも、この実施形態では、ユーザ・インターフェースの下に設けることができる。これによって、ユーザはファイル・システムおよび/またはデータベースを探索し、オーディオ・ファイルを突き止めることができる。オーディオ・ファイルにインデックスを付け探索するためには、種々の探索パラメータを用いることができ、分毎の拍子(BPM)範囲、様式、キー、レーティング(rating)、コメント、アーティスト、歌名、アルバム名等がある。
【0026】
また、スナップショット・モジュール(図2には示されていない)も設けることができ、音楽データベースと同じ空間を占める。音楽データベースおよびスナップショット・モジュール間の表示切替は、例えば、ユーザが「タブ」キーのようなキーを押下することに応答して行わせるとよい。このモジュールの目的は、種々の制御に対する設定の組み合わせを格納すること、および演奏中にこれらの瞬時呼び出しを可能にすることである。このような設定は、エフェクト・ラック・モジュール内に設定されているエフェクト、デッキ・モジュール内に設定されているデッキ制御、および/またはミキサ・モジュール内に設定されている混合制御に対するパラメータとすることができる。例えば、スナップショットはEQ設定を収容することができ、電話機を通じて歌が再生されているかの如く聞こえるようにする。別のスナップショットは歪みをトラックに追加することができるエフェクト・ルーティング設定を収容することもできる。これらのスナップショットは、このインターフェースを通じて、コンピュータ・キーボード上におけるMIDI音符(note)即ちキーに割り当て、管理することができる。スナップショット・モジュールの一例については、図8と関連付けて更に詳細に説明する。
【0027】
その他にも種々の制御を設けることができる。別の例では、マスタ・ボリューム制御(例えば、スライダおよび活性化ボタンによって実施する)が、ユーザにマスタ信号のボリュームを制御させる。また、マスタ信号を記録することもでき、このような記録の制御は、ユーザ・インターフェースにおける活性化ボタンを通じて行われる。
【0028】
グローバル・テンポ(global tempo)を調節するために、別の制御を設けることができる。グローバル・テンポとは、デッキ・モジュールやサンプラ・モジュールを同期させることができるテンポである。グローバル・テンポを用いると、デッキ・モジュールを互いに同期させる問題が回避され、オーディオの再生を同期させるグローバル・テンポを、外部入力が制御することが可能となる。
【0029】
ここで図3を参照して、デッキ・モジュールの一例についてこれより更に詳細に説明する。
【0030】
デッキ・モジュールは、当該デッキ・モジュールに再生のために割り当てられたオーディオ・ファイルに関する種々の情報300を表示する。このような情報は、例えば、歌の名称およびアーティスト名(ファイルのID3タグから取り込むことができる)、またはオーディオ・ファイルのファイル名を含むことができる。再生中、ステータス情報302も示すとよい。このようなステータス情報は、例えば、オーディオ・ファイル内における現在のキューまたは再生位置、およびオーディオ・ファイルからの残り時間を含むことができるが、これらに限定されるのではない。残り時間は、オーディオ・ファイルの分から現在の時刻を差し引いた期間である。時間は、適したフォーマットであれば、時間、分、秒、およびフレームのように、いずれで表現してもよい(例えば、毎秒30フレーム)。このような場合、現再生位置がオーディオ・ファイルの先頭であると、現時刻は0:0:0.0となり、残り時間はオーディオ・ファイルの期間となる。
【0031】
デッキ・モジュールを通じて利用可能な制御機能の1つによって、操作者は、デッキ・モジュールを通じて、現在再生されている歌を素早く置き換えることが可能となり、サンプルの選択はサンプラ・モジュールを通じて管理される。例えば、スクラッチングにおいて用いられることが多い「Aaaah」および「Fresh」のような、共通のサウンドがいくつかある。音楽データベース全体を探索してこのようなサウンドを発見する代わりに、前述のように、サンプラ・モジュール(図2における210)を用いて、これらをスクラッチング・ファイルとして識別することができる。デッキ・モジュール毎に、1つ以上のスクラッチング・ボタン306を設けることができる。これらのボタンは、サンプラ・モジュールを通じて設定したスクラッチング・ファイルとして選択したオーディオ・ファイルに対応する。操作者は、デッキ・モジュールにおいて対応するスクラッチング・ボタン306を押下することにより、サンプラ・モジュールにおいて識別されたスクラッチング・ファイルを選択する。デッキ・モジュールは、再生されている現在のオーディオ・ファイルにおける位置を格納し、次いで選択されたスクラッチング・ファイルを代わりに再生する。スクラッチング・ファイルの再生が解除されたとき、例えば、スクラッチング・ボタンが再度押下されたとき、元のオーディオ・ファイルの再生がその最後の位置まで復元する。あるいは、元のオーディオ・ファイルにおける再生位置は、スクラッチング・ファイルが再生されている間も、進み続けることもできる。波形ディスプレイは、元のオーディオ・ファイルが続いて再生されていたかのように振る舞うことができる。このような実現例について、図4と関連付けて更に詳細に説明する。
【0032】
304において、何らかのルーピング制御器が設けられている。例えば、オーディオ・ファイルにおける現再生位置で「ループ・イン・マーカ」(Loop In Marker)をユーザに挿入させるために、ループ・イン・ボタンを設ける。同様に、オーディオ・ファイルにおける現在の再生位置で「ループ・アウト・マーカ」(loop Out Marker)をユーザに挿入させるために、ループ・アウト・ボタンも設けることができる。これは、ループ・アウト・マーカが設定されるときにループ再生に入り、再生をループ・イン・マーカまで一気に戻すように実施することができる。このボタンが押下されたときに、オーディオ・ファイルにおける異なる位置にいずれかのマーカがそのときにある場合、マーカを新しい位置に移動する。デフォルト位置として、ループ・イン・マーカは、オーディオ・ファイルの先頭に設定するとよく、一方ループ・アウト・マーカはオーディオ・ファイルの終点に設定するとよい。これらのマーカは、オーディオ・データにおける最も近い中間状態(transient)の先頭に配置してもよい。ループ・ボタンは、例えば、ルーピングをオンおよびオフに切り換えるトグル・ボタンのように設けることができる。ルーピングがアクティブである場合、現再生位置は、再生がループ・アウト・マーカに達したときにはいつでも、ループ・イン・マーカまで一気に戻る。ルーピングがアクティブでない場合、再生中ループ・マーカは無効にされる。現再生位置がループ・イン・マーカとループ・アウト・マーカとの間にないときにループ・ボタンが活性化された場合、再生は一気にループ・イン・ポイントまで戻る。
【0033】
ボタンに番号を付けることにより(1、2、4、および8)、DJはボタンを1回押すだけで、予め設定されているファイルの長さだけ瞬時にループすることが可能になる。デフォルトでは、4つのボタンの各々が小節長を表す。操作者が[1]ボタンを押下すると、ループ・イン・マーカが現在の再生位置に配置され、次いで1小節後にループ・アウト・マーカが配置される。[ループ]ボタンをオンに切り替え、[ループ]ボタンが押下されてオフとなるまで、オーディオの再生がループされる。各ボタンが表す時間長(1小節または1拍子)は、ユーザが定義することができる。ループを取り込んでいる間に、同じループ・ボタンを再度押下すると、ループ長が半分に削減される。ループを取り込んでいる間に、シフト・キーのような他のキーと同時に同じループ・ボタンを再度押下すると、ループ長が2倍となる。「プレ・ルーピング」機能は、オーディオ・ファイルに向かって逆方向に進むループを作成するが、同様に実施することができる。例えば、操作者が[シフト]キーおよび[1]ボタンを押下すると、ループ・イン・マーカよりも1小節だけ先立つ、現再生位置に、ループ・アウト・マーカが配置される。プレ・ループを作成すると、再生は直ちにループ開始点まで一気に戻る。
【0034】
同期ボタン308も設けて、ユーザがオーディオ・ファイルの再生を他のデッキまたは外部サービスによる再生と同期させることを可能にすることもできる。例えば、第1デッキ・モジュールは、他のデッキによるオーディオ・ファイルの再生のために、分毎の拍子回数や位相の情報を受信することができる。次いで、第1デッキ・モジュールは、その分毎の拍子および位相情報を、他のデッキ・モジュールのそれらと照合する。このモードにある間、第2デッキ・モジュールに対するいずれの速度変化であっても、第1デッキ・モジュールによって合わせられる。外部デバイスに対する同期は、例えば、Propellerhead社からの「ReWire」技術を用いて実施することができる。ReWire技術を用いて、グローバル・テンポを、ReWireホストから受信する拍子およびテンポ情報に設定する。次いで、デッキ・モジュールは、それら自体をグローバル・テンポに同期させる。
【0035】
開始および停止ボタン、順方向および逆方向シーク・ボタン、ならびにキュー・ボタンというような、ユーザに再生制御を行わせるための典型的な再生誘導またはトランスポート・ボタン310がいくつかある。キュー・ボタンは、デッキ・モジュールの現再生状態に応じて2つの機能を有する。再生を一時中止する場合、キュー・ボタンを押下して放すと、現再生位置にキュー・ポイントが設定される。オーディオ・データが再生している場合、キュー・ボタンを押下して放すと、再生が一時中止し、再生位置をキュー・ポイントまで戻す。
【0036】
ナッジ・ボタン(nudge button)およびオフセット・ボタン314と呼ばれる再生速度制御ボタンも設けることができる。ナッジ・ボタンは、DJ CDプレーヤ上にあるピッチ・ベンド・ボタン(pitch bend button)と同様に作用する。これらのボタンは、再生速度を一時的に変化させて、DJがその歌を別の歌と合わせることができるようにする。オフセット・ボタンは、現在の再生位置を1拍子長だけ前または後ろにジャンプさせる。デッキが再生するオーディオのキーまたはピッチを調節するため、および/またはピッチ・シフト/時間ストレッチ処理を可能または不能にするために、更に別の制御器312も設けることができる。
【0037】
また、ディスプレイは拍子/分ディスプレイおよび制御器316も含むことができる。このディスプレイは、当初記録した分毎の拍子とは異なっていても、現在再生されている分毎の拍子を示す。ユーザが、元のテンポの指定割合以内で再生テンポを調節できるように、スライダを設ける。スライダのテンポ調節範囲を、スライダの隣に示す。この範囲は、ユーザが定義することができる。
【0038】
これより図4を参照して、図3に示したスクラッチング・ボタン306の選択によって呼び出される、スクラッチング機能の動作について、データ・フロー図を通じてここで更に詳細に説明する。この例では、再生エンジン400は、デッキ・モジュールが再生している現オーディオ・ファイル402からのオーディオ・データ、および選択されたスクラッチング・ファイル404からのオーディオ・ファイルを受信する。再生エンジンは、現オーディオ・ファイルから再生しながら、その現再生位置406を増分する。一実施形態では、ユーザがスクラッチング・ファイルの再生を活性化すると、再生エンジンは、スクラッチング・ファイルからのオーディオ・データの読み取りに切り換えるが、別個に現再生位置406を増分し続ける。再生エンジンは、スクラッチング・ファイルを再生しつつ、現オーディオ・ファイル402に基づいた波形表示も発生するために、現再生位置を波形表示発生器408に供給し続ける。スクラッチング・ファイルの再生は、ユーザがスクラッチング再生モードを不能にするまで(デッキ・モジュール上のスクラッチング・ボタン306を不活性化することにより)継続する。次いで、再生エンジンは、更新された現再生位置を用いて、現オーディオ・ファイルの再生に切り換える。このように継続して波形表示を更新することにより、操作者は波形ディスプレイを監視し、現オーディオ・ファイルの再生を所望の時点で復元できるように、いつエフェクトを加えるのを終了すべきか知ることができる。また、この技法は、以下で説明する繰り返し、逆転、および制動(brake)エフェクトのような何らかのエフェクトを加えている最中に用いることもできる。あるいは、再生エンジンが、スクラッチ・ファイルの再生またはエフェクトの適用中に現再生位置を増分し続けていない場合、現オーディオ・ファイルの格納した最後の再生位置を用いてもよい。
【0039】
これより図5を参照して、波形表示発生器の実現例の一例を示すデータ・フロー図についてこれより説明する。波形表示発生器500は、デッキ・モジュールの再生エンジン(図示せず)から現再生位置502を受信する。デッキ・モジュールが再生している現オーディオ・ファイル(スクラッチング・ファイルではない)のオーディオ・データ508から、現再生位置の前後2.5秒というような、現再生位置を中心としたオーディオ・サンプル504の窓に、窓選択部506がアクセスする。この窓は再生時間量に基づくので、テンポ情報512を用いて、窓のサイズを決定する。再生を遅くすると波形が伸び、再生を速くすると、波形が縮む。このオーディオ・サンプルの窓は、前述のように、波形発生510によって処理され、デッキ・モジュール毎に半波形を発生する。テンポ情報512に基づいて、波形上にビート・マーカを配置し(重畳514によって)表示データ516を供給する。この表示データは、現再生位置を示す「現在」ラインを中心として、表示される。
【0040】
これより図6から図8を参照して、エフェクト・ラック・モジュール、混合モジュール、およびスナップショット・モジュールについてここで更に詳細に説明する。
【0041】
図6を参照すると、エフェクト・ラック・モジュールは、内部で定義したエフェクト、およびプラグイン・アーキテクチャを通じて定義したエフェクトにアクセスすること、およびエフェクトを1つのステレオ・オーディオ・ストリームに加えるために、これらの中から選択することをユーザに可能にする。各デッキ・モジュールは、連動するエフェクト・ラック・モジュールを有し、各デッキ・モジュールを通じて制御されるオーディオ・データを独特のエフェクトによって処理することを可能にする。エフェクト・ラック・モジュールは、ビルトイン・エフェクトの集合体から、いくつかのエフェクトを利用可能にすることができる。加えて、DJは、VSTプラグインのような、プラグイン・アーキテクチャを通じてアクセスした、外部定義エフェクトの中から選択することができる。図6に示す実現例では、エフェクト・ラック・モジュールは3つのスロットを有し、その各々が1つの内部・エフェクト、および外部定義エフェクトを表す1つのスロットをホストする。
【0042】
一般に、エフェクトは、2つの方法の内一方、即ち、挿入エフェクトまたは送出エフェクトとして加える。挿入エフェクトは、オーディオ信号の全てを処理し、エフェクトによって発生した新しい信号と置き換えることを特徴とする。このため、デッキ・モジュールからのオーディオの全て、および挿入エフェクトの前におけるエフェクトの連鎖の中にあるいずれのエフェクトも、挿入エフェクトの出力によって置き換えられる。一方、送出エフェクトは、元のオーディオ信号をそのまま残し、エフェクトによって発生した新しい信号とこれを混合する。エフェクトが挿入または送出エフェクトのいずれであっても、スロット毎に個々に選択可能なように実施することができる。
【0043】
エフェクト・ラック・モジュールは、多数のスロット600を含む上位部分を有し、スロットの各々はビルトイン・エフェクトを表す。下位部分は、プラグイン・エフェクトを表すスロット606を含む。各スロット(ビルトイン・エフェクトまたはプラグインのいずれであっても)、イネーブル・ボタン602があり、ユーザが当該エフェクトの使用を可能または不能にすることができる。バイパス・ボタン616は、エフェクト・ラック全体を可能または不能にする。ルーティング・ボタン603は、ユーザが、エフェクトが挿入エフェクトまたは送出エフェクトのどちらかを指定することを可能にする。
【0044】
混合ノブ604の機能は、エフェクトの種類によって異なる。挿入エフェクトに対しては、混合ノブは、エフェクトの混合を調節するために用いられる。ノブを最大限反時計回り方向に回した場合、エフェクトを迂回したかのように、元のオーディオ信号のみが聞こえる。ノブを最大限時計回り方向に回した場合、エフェクトの出力のみが聞こえるので、完全な挿入エフェクトとなる。ノブが12時の位置にある場合、原音およびエフェクトの同量の混合が得られる。送出エフェクトに対しては、ノブは送出量を定義する。最大限時計回り方向に回すと、最大入力信号がエフェクトの入力に供給される。最大限反時計回り方向に回すと、エフェクト入力を供給する信号は無音となる。
【0045】
各エフェクト・スロットも、1つ以上の割り当て可能なパラメータ・ノブ608、および1つ以上の割り当て可能なパラメータ・ノブ610を有する。ノブは、ある範囲の値を有するエフェクト・パラメータの1つを制御するために用いることができる。ボタンは、エフェクトにおけるボタン型制御器を制御するために用いることができる。保存ボタン612は、ユーザが予め設定したファイルを保存することを可能にする。ロード・ボタン614は、ユーザが予め設定したファイルの検索を要求することを可能にする。
【0046】
これより図7を参照すると、ミキサ・モジュールは、1つのミキサであり、1つ以上のデッキ・モジュールおよび任意の外部オーディオ源からの信号を混合するために用いられる。ミキサは、アクティブなデッキ・モジュール毎に1つのブロックを収容する。ミキサは、利得ノブおよびボタン702、高、中間、および低ノブおよびボタン704(EQノブおよびEQキル・ボタンと呼ぶ)をデッキ毎に含む。EQ用のボタンは、関連する周波数範囲を出力から除去する。
【0047】
チャネル・ボリューム・フェーダ706は、縦型フェーダであり、連動するチャネルの出力ボリュームを調節するために用いられる。ライン入力セレクタ707は、ユーザに、デッキ・モジュールの代わりに、外部オーディオを選択させる。キュー・ボタン708は、ユーザに関連するチャネルをヘッドフォン出力への入力源として選択させるために設けられている。一般に、キュー・ボタンは、相互に排他的であり、一方のボタンを押下すると、他方が不活性化する。したがって、ヘッドフォン・キュー音源としては一度に1つのチャネルだけしか選択することはできないが、この挙動はユーザが制御可能とすることもできる。
【0048】
グラフィック・ボリューム・メータ710も、個々のチャネルの信号レベルを示すために設けられている。クロスフェーダ割り当てボタン712も、チャネル毎に設けられている。デッキ・モジュールが2つのみの実現例では、ボタンを押下すると、デッキ・モジュールの割り当てを、クロスフェーダの左または右入力に切り換える。デフォルトでは、左のデッキ・モジュールがクロスフェーダの左入力に適用され、右のデッキ・モジュールがクロスフェーダの右入力に適用される。デッキ・モジュールが1つよりも多い場合、1つのデッキ・モジュールは、オフか、あるいはクロスフェーダの左チャネルまたはクロスフェーダの右チャネルのいずれかに適用することができる。ユーザが2つのデッキ・モジュールをクロスフェーダの同じ入力に適用しようとした場合、最後に選択されたデッキがクロスフェーダに適用され、他のデッキ・モジュールはオフに設定される。
【0049】
これより図8を参照すると、スナップショット・モジュールは、現在の設定の「スナップショット」を、エフェクト・ラック・モジュール、デッキ・モジュール、およびミキサ内に保存すること、これらを修正すること、またはそれ以外の方法でこれらにアクセスすることを、ユーザに可能にする。スナップショット・モジュールは、ユーザ・インターフェースにおいて、音楽データベース・モジュールと同じ空間を占める。ユーザは、既定の入力を用いて、2つのビュー間で切り換えることができる。スナップショットは、コンピュータのキーボードまたは外部のMIDI制御器を通じてトリガすることができる。これらのスナップショットは、エフェクトの設定を変更し、ミキシングおよび再生を素早く行うことを可能にする。これらの一部は、通常では行うのが困難である。
【0050】
スナップショットには、種々のエフェクト・パラメータを保存することができ、例えば、EQキル、EQノブ、FXノブ、FXプラグイン、キー調節、クロスフェーダ、およびミキサ・ボリュームがあるが、これらに限定されるのではない。しかしながら、スナップショットは、プログラムにおけるあらゆる設定を無効にすることが常に望ましい。DJは、プログラムのカップル・エレメント(couple element)を変更したいだけの場合がある。したがって、スナップショット・モジュールは、各スナップショットを行として表し、列は各設定を表す。その結果得られた各ボックスは、ユーザが活性化または不活性化することができるチェック・ボックスを有する。これらのチェック・ボックスは、スナップショットがトリガされたときに、スナップショットのどのエレメントを用いるかを示す。したがって、X−フェーダ列のみをチェックした場合、例えば、スナップショットがトリガされたときに、クロスフェーダの設定のみが変化する。他の全てのエレメントには触れないままである。
【0051】
更に、一度に1つよりも多いスナップショットを活性化することができる。このようにする場合、最後にトリガされたスナップショットは、他のスナップショットがアクティブであっても、これらに対して優先される。例えば、最初にトリガされたスナップショットがEQキルおよびキー双方にチェックされているとする。2番目のスナップショットでは、キーのみにチェックされているとする。この場合、ユーザが最初のスナップショットをトリガし、次いで2番目のスナップショットをトリガした場合、最初のスナップショットからのEQキル設定、および2番目のスナップショットからのキー設定が用いられる。ユーザは、望むだけのスナップショットを同時にトリガすることができるが、最後にチェックした設定のみが用いられる。
【0052】
ユーザ・インターフェースにおけるこの優先規則を簡単に強調するために、アクティブなスナップショットのチェック・マークを、明るい緑のような、異なる色に替える。別のスナップショットがトリガされ、このスナップショットの内容を無効にするエレメントを有する場合、無効にされたチェック・ボックスは、赤のような、別の色に変わる。したがって、多数のスナップショットがアクティブな場合、ユーザは、どのスナップショット・エレメントが使用中であり、どれが無効にされているか見分けることができる。
【0053】
図8におけるスナップショット・リストの例では、このリストは、保存されているスナップショットを表示している。リストにおける各項目802を列に分解する。スナップショット列804は、ユーザが定義した、当該スナップショットの名称を含む。割り当て列805は、スナップショットに現在リンクされているキーまたはMIDI割り当てを示す。キーもユーザが定義することができる。スナップショットは、ラッチ列807がチェックされている場合は除いて、割り当てられたキーが保持されているときはいつでもアクティブであり、キーを解放すると不活性となる。ラッチ列がチェックされている場合、割り当てられたキーが2回押下されるまで、スナップショットはアクティブである。
【0054】
デッキ列806は、スナップショットが作用するデッキ、およびそれに付随する構成要素を示す。キー列808は、デッキに対するキー調節設定が、スナップショット内部の設定によって無効にされるか否かを示す。FX列810は、FXモジュールにおけるノブおよびボタンが、スナップショットがアクティブになったときにこれによって無効にされるか否かを示す。EQキル列812は、スナップショットがアクティブのときに、スナップショットのEQキル状態が現行のEQキル状態を無効にするか否かを示す。EQノブ列814は、スナップショットに格納されているEQノブの状態が現行の設定を無効にするか否かを示す。Xフェーダ列816は、クロスフェーダ・モジュールの設定(クロスフェーダの位置、クロスフェーダの曲線、および変換ボタン)が、スナップショットに格納されている設定によって無効にされるか否かを示す。最後に、ボリューム列818は、ミキサ・モジュール内部のデッキのレベルが、スナップショットに保存されている設定によって無効にされるか否かを示す。他の制御ボタン820は、ユーザに新たなスナップショットを作成させ、既存のスナップショットを複製させ、あるいはスナップショットを削除させる。
【0055】
エフェクト・モジュールは、数個の既定のエフェクトを含んでいてもよく、ユーザはそれらを選択し、エフェクト・ラック・モジュール内のスロットに入力する。このようなエフェクトは、限定ではないが、遅延、残響、フランジャ(flanger)、フェーザ(phaser)、デュアル・フィルタ、歪み、およびストロボを含むことができる。3つの特定的なエフェクト例、逆転、反復、制動、シャッフル、およびドラマー(drummer)について、これより更に詳細に説明する。
【0056】
逆転は、ビニール・レコードやCDでは慣行的な再ミキシング技法であり、歌の再生を逆転させることである。これは、歌の新しい部分を導入するために用いられる場合が多い。望ましいのは、歌のコーラスの前にある時間、例えば、1小節だけ再生を逆転させ、次いでコーラスを再生することである。しかしながら、ビニール・レコードまたはCDでは、単純に再生方向を逆転させ、次いで順方向の再生に戻しても、所望の結果が得られない。その理由は、逆転再生の後、単純に再生方向を変更すると、順方向再生が再開されるときに、歌が間違った位置に入るからである。例えば、コーラスの1小節前に逆転に入った場合、次いで逆転を解除すると、このとき歌はコーラスよりも2小節前に来てしまい、望ましくない。
【0057】
この望ましくない挙動は、デッキ・モジュールによる順方向移送を維持しつつ、歌を逆方向に再生することにより防止することができる。即ち、ユーザが逆転エフェクトに入ると、関連するファイルは逆に再生される。しかしながら、デッキ・モジュールおよび波形ディスプレイは、再生が順方向であるかのように振る舞う。ユーザが逆転エフェクトを解除すると、再生は、順方向で現在の再生位置において、デッキ・モジュールから再開する。つまり、逆転動作中におけるデッキ・モジュール、現在の再生位置、および波形モジュールの挙動は、スクラッチング・ファイルの再生中における挙動と同様である。このため、先の例を用いると、ユーザがコーラスの1小節前に逆転エフェクトに入ると、1小節の間ファイルは逆に再生され、その間デッキ・モジュールは同じ時間量だけ順方向にカウントする。次いで、1小節後に逆転を解除すると、再生位置は、このときには、コーラスの2小節前ではなく、コーラスのダウンビートとなる。
【0058】
逆転エフェクトがアクティブのときは、デッキ・モジュールは依然としてスクラッチ操作に応答する。しかしながら、オーディオが逆転するので、スクラッチは逆方向となる。即ち、順方向のスクラッチでは、オーディオが逆方向に移動し、一方逆方向のスクラッチでは、オーディオを順方向に移動させる。逆転エフェクトは、挿入エフェクトとして実施する。エフェクト・ラック・モジュールのその他の制御は、エフェクトをオンおよびオフに切り換えるパラメータ・ボタン以外には、逆転の間何の機能も有さない。
【0059】
制動は、別の再混合技法であり、順方向再生の速度を落として行き、ある時間期間の後完全に停止させる。制動エフェクトのパラメータは、再生速度を低下させていく期間である。制動エフェクトをオフにすると、デッキ・モジュールは、継続して再生していたかのように、再生を再開する。このように、制動エフェクト中におけるデッキ・モジュール、現再生位置、および波形モジュールの挙動は、スクラッチング・ファイルの再生中における挙動と同様である。制動エフェクトは、挿入エフェクトとして実施する。エフェクト・ラック・モジュールにおけるイネーブル・ボタンおよび混合ノブは、機能を有さない。パラメータ・ノブは、制動を行う速度を設定する。このノブを最大限反時計方向に回転させると、制動速度は素早くなり、歌が完全な停止に達するまでにかかる時間量は短くなる。ノブを時計回り方向に回転させると、制動時間は増大する。パラメータ・ボタンは、制動エフェクトを活性化および不活性化するために用いられる。
【0060】
反復は、別の再混合技法であり、デッキ・モジュールにおいて再生が進行しつつも、オーディオの小さな区間を繰り返すことから成る。したがって、このエフェクトは、オーディオの区間をサンプリングしそれを反復するのではなく、デッキ・モジュールが通常通り音楽時間をカウントし続けつつ実際にファイル内の再生位置を制御することによって作用する。これによって、ファイルの一部のみを反復しつつ、音楽時間が進むことが可能となる。このように、反復動作中におけるデッキ・モジュール、現再生位置、および波形モジュールの挙動は、スクラッチング・ファイルの再生中における挙動と同様である。反復エフェクトは、挿入エフェクトとして実施する。イネーブル・ボタンは、このエフェクトを活性化および不活性化するために用いられる。混合ノブは、元の(ドライ)信号と反復(ウェット)信号との間の混合を設定するために用いられる。パラメータ・ノブは、反復するオーディオ・スライスのサイズを設定する。例えば、このノブを最大限反時計回り方向に回転した場合、スライス・サイズを2小節のサイズにするとよい。ノブを最大限時計回り方向に回転した場合、スライス・サイズを1/256音符とするとよい。ノブを最少から最大に回転すると、スライス・サイズが変化し、ユーザがエフェクトをオフにして再度瞬時にオンに切り換えたかのように、反復エフェクトを「再シード」(re-seed)する。このボタンを押下すると、デッキ上で反復のために、歌の現区間が取り込まれる。
【0061】
ドラマーは、デッキ・モジュールにおいて再生が正常に進行している間に、ファイルにおける再生位置を変更することによって作用する別のエフェクトである。このエフェクトは、徐々に(16分音符または8分音符の刻み幅等)現再生位置をずらしていくことによって作用し、DJは元の歌から新しいリズムを作成することが可能となる。音楽の1旋律(measure)を16ステップに分解することを考えると、DJは1、4、3、3、15、16、7、8、7、8、4、11、13、1、12、9という再生パターンとなる一連のステップで再生することができる。デッキは、このエフェクトを使用している間、通常通りに順方向に再生し続けるので、このエフェクトを不能にすると、音楽はその適正な位置まで前方に飛び移り、再生を継続する。
【0062】
シャッフル・エフェクトは、旋律を小さなステップに分解することにより、音楽の旋律の再生順序を並び替えるという点において、前述のドラマー・エフェクトと同様である。ドラマー・エフェクトとは対照的に、シャッフル・エフェクトは、予め設定されているオフセット・パターンを音楽に強制するのであり、ドラマー・エフェクトのようにリアル・タイムで再生するのではない。シャッフル・エフェクトは、予め設定されている多数のパターンを内蔵し、ユーザがこれらを選択し返照して活性化するようにするとよい。パターンは、付随するデッキのテンポまたはグローバル・テンポと同期を取ったテンポで再生する。
【0063】
ビニール・レコードを用いてコントローラを実施するときに用いるために設けることができる別の特徴に、スキップ保護がある。スキップ保護は、針がレコード上で跳んだ場合に、オーディオ・ギャップ(audio gap)および/またはグリッチ(glitch)が発生するのを防止する。システムは継続的にレコードの速度を監視する。速度が瞬時に0まで低下した場合、システムは、針がレコードから外れたと推論する。システムは、0.5秒というような一定時間期間、最後に用いた再生速度でオーディオを再生し続ける。その時間期間内に針がレコードと接触すれば(監視する再生速度によって判定する)、ビニール・レコードの再生制御を継続する。このようにして、オーディオ・ギャップまたはグリッチを最小限に抑える。
【0064】
ここに記載するシステムの種々の構成要素は、汎用コンピュータを用いて、コンピュータ・プログラムとして実現することができる。このようなコンピュータ・システムは、通例、ユーザに情報を表示する出力デバイスと、ユーザからの入力を受ける入力デバイスの双方に接続された主ユニットを含む。主ユニットは、一般に、相互接続機構を通じてメモリ・システムに接続されているプロセッサを含む。入力デバイスおよび出力デバイスも、相互接続機構を通じて、プロセッサおよびメモリ・システムに接続されている。
【0065】
1つ以上の出力デバイスをコンピュータ・システムに接続することもできる。出力デバイスの例には、陰極線管ディスプレイ(CRT)、液晶ディスプレイ(LCD)、およびその他のビデオ出力デバイス、プリンタ、モデムのような通信デバイス、ならびにディスクまたはテープのような記憶装置が含まれるが、これらに限定する訳ではない。1つ以上の入力デバイスをコンピュータ・システムに接続することもできる。入力デバイスの例には、キーボード、キーパッド、トラック・ボール、マウス、ペンおよびタブレット、通信デバイス、ならびにデータ入力デバイスが含まれるが、これらに限定する訳ではない。DJの用途では、入力デバイスは、MIDIコントローラ、ビニール・レコードまたはCDを用いたスクラッチング・コントローラ、および通例オーディオ・コンソールにおいて見られるその他の入力デバイスを含むことができる。本発明は、コンピュータ・システムと組み合わせて用いられる特定の入力または出力デバイスにも、ここに記載したものにも限定されることはない。
【0066】
コンピュータ・システムは、コンピュータ・プログラミング言語を用いてプログラム可能な、汎用コンピュータ・システムとすることができる。また、コンピュータ・システムは、特別にプログラムされた、特殊目的ハードウェアとすることもできる。汎用コンピュータ・システムでは、プロセッサは、通例、市販のプロセッサである。また、汎用コンピュータは、通例、オペレーティング・システムを含み、オペレーティング・システムが、他のコンピュータ・プログラムの実行を制御し、スケジューリング、デバッグ、入力/出力制御、アカウンティング、コンパイル、ストレージの割り当て、データ管理、およびメモリ管理、ならびに通信制御および関係するサービスを行う。
【0067】
メモリ・システムは、通例、コンピュータ読み取り可能媒体を含む。この媒体は、揮発性または不揮発性、書き込み可能または書き込み不可能、および/または書き換え可能または書き換え不可能な場合がある。メモリ・システムは、通例、二進形式でデータを格納する。このようなデータは、マイクロプロセッサが実行するアプリケーション・プログラム、またはディスク上に格納されアプリケーション・プログラムが処理する情報を定義することができる。本発明は、特定のメモリ・システムに限定されることはない。
【0068】
ここに記載するようなシステムは、ソフトウェアまたはハードウェアまたはファームウェア、あるいはこれら3つの組み合わせで実施することができる。システムの種々のエレメントは、個別であれ組み合わせであれ、コンピュータによる実行のためにコンピュータ読み取り可能媒体上にコンピュータ・プログラム命令が格納されている、1つ以上のコンピュータ・プログラム生産物として実施することができる。プロセスの種々のステップは、このようなコンピュータ・プログラム命令を実行するコンピュータによって、行うことができる。コンピュータ・システムは、マルチプロセッサ・コンピュータ・システムでもよく、あるいはコンピュータ・ネットワークを通じて接続されている多数のコンピュータを含むこともできる。図1に示した構成要素は、コンピュータ・プログラムの別個のモジュールでもよく、または別個のコンピュータ上で動作可能な、別個のコンピュータ・プログラムでもよい。これらの構成要素によって生成されるデータは、メモリ・システムに格納するか、またはコンピュータ・システム間で送信することができる。
【0069】
以上実施形態の一例について説明したが、前述したことは単なる例示であり限定ではなく、一例として提示したにすぎないことは、当業者には明白なはずである。多数の変更やその他の実施形態も、当技術分野における通常技術の1つの範囲内にあり、本発明の範囲内に該当することを意図している。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】図1は、音楽およびオーディオ再生システムの一例を示すデータ・フロー図である。
【図2】図2は、音楽再生システム用のグラフィカル・ユーザ・インターフェースの一例の図である。
【図3】図3は、図2におけるデッキ・モジュールの更に詳細な図である。
【図4】図4は、スクラッチング・ファイルを処理する実現例の一例を示すデータ・フロー図である。
【図5】図5は、図2の波形表示を発生する実現例の一例を示すデータ・フロー図である。
【図6】図6は、図2におけるエフェクト・ラック・モジュールの更に詳細な図である。
【図7】図7は、図2におけるミキサ・モジュールの更に詳細な図である。
【図8】図8は、スナップショット・モジュールの一例の図である。
【符号の説明】
【0071】
100 音楽およびオーディオ再生システム
102 ユーザ・インターフェース
108 再生エンジン
112 オーディオ・ファイル
118 スナップショット・モジュール
200 デッキ・モジュール
202 波形モジュール
204 エフェクト・ラック・モジュール
206 ミキサ・モジュール
208 クロスフェーダ・モジュール
210 サンプラ・モジュール
212 音楽データベース・モジュール
250 トリガ・ボタン
252 記録ボタン
256 ボリューム・ノブ
258 速度ノブ
260 サンプル名ウィンドウ
262 ループ・ボタン
304 ルーピング制御器
306 スクラッチング・ボタン
308 同期ボタン
310 トランスポート・ボタン
314 ナッジ・ボタン/オフセット・ボタン
316 拍子/分ディスプレイおよび制御器
400 再生エンジン
402 現オーディオ・ファイル
404 スクラッチング・ファイル
408 波形表示発生器
500 波形表示発生器
506 窓選択部
602 イネーブル・ボタン
603 ルーティング・ボタン
604 混合ノブ
608 パラメータ・ノブ
610 パラメータ・ノブ
612 保存ボタン
614 ロード・ボタン
616 バイパス・ボタン
702 利得ノブおよびボタン
704 高、中間、および低ノブおよびボタン
706 チャネル・ボリューム・フェーダ
707 ライン入力セレクタ
708 キュー・ボタン
710 グラフィック・ボリューム・メータ
712 クロスフェーダ割り当てボタン
820 制御ボタン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
音楽およびオーディオの再生システムであって、
オーディオ・データを再生する手段を含む再生エンジンと、
オーディオ・データを前記再生エンジンに供給するために、現オーディオ・ファイルを選択する手段を含むデッキ・モジュールと、
1つ以上のサンプルを特定し、少なくとも1つのサンプルをスクラッチング・ファイルとして指定する手段を含むサンプラ・モジュールと、
単一制御に応答して前記スクラッチング・ファイルの再生をユーザが活性化することを可能にし、前記サンプリング・ファイルに対応するオーディオ・データを、前記現オーディオ・ファイルの代わりに再生するために、前記再生エンジンに向ける手段と、
を備えている、音楽およびオーディオ再生システム。
【請求項2】
音楽およびオーディオの再生システムであって、
制御情報にしたがってオーディオ・データを再生する手段を含む再生エンジンであって、前記制御情報は、前記オーディオの再生に作用する1つ以上のパラメータを含む、再生エンジンと、
前記1つ以上のパラメータをスナップショットとして格納する手段であって、前記スナップショットは、単一制御を活性化することによって呼び出し適用することができる、手段と、
を備えている、音楽およびオーディオ再生システム。
【請求項3】
請求項2記載の音楽およびオーディオ再生システムにおいて、
前記再生手段は、1つ以上のエフェクトをオーディオ・データに加える手段を含み、各エフェクトは、当該エフェクトを定義するパラメータを有し、
前記格納手段は、前記エフェクトを定義するパラメータを、前記スナップショットの一部として格納する、音楽およびオーディオ再生システム。
【請求項4】
請求項2記載の音楽およびオーディオ再生システムにおいて、
前記再生エンジンは、1つ以上のデッキ制御に応じてオーディオ・データを再生する手段を含み、各デッキ制御は1つ以上のパラメータによって定義されており、
前記格納手段は、前記デッキ制御のためのパラメータを、前記スナップショットの一部として格納する、音楽およびオーディオ再生システム。
【請求項5】
請求項2記載の音楽およびオーディオ再生システムにおいて、
前記再生エンジンは、更に、1つ以上のミキシング制御に応じてオーディオ・データを再生する手段を含み、各ミキシング制御は1つ以上のパラメータによって定義されており、
前記格納手段は、更に、前記1つ以上のミキシング制御のためのパラメータを、前記スナップショットの一部として格納する、音楽およびオーディオ再生システム。
【請求項6】
音楽およびオーディオの再生システムであって、
オーディオ・データの少なくとも2つのトラックを再生する手段を含む再生エンジンであって、オーディオ・データの各トラック内における現再生位置を示す現再生時間を供給する、再生エンジンと、
前記オーディオ・データの少なくとも2つのトラックの各々について、半波形を表示し、該半波形が前記現再生時間を中心とするオーディオ・サンプルの窓を表す、波形ディスプレイと、
を備えている、音楽およびオーディオ再生システム。
【請求項7】
請求項6記載の音楽およびオーディオ再生システムにおいて、
前記再生エンジンは、1つ以上のエフェクトを加えることができ、前記エフェクトを加えることは、前記オーディオ・データの少なくとも2つのトラックのうちの1つ以上のものの通常の順方向再生に取って代わり、
前記波形ディスプレイは、前記エフェクトを加えている間、前記オーディオ・データの取って代わられた1つ以上のトラックの通常の順方向再生が行われているかのように、更新を行う、音楽およびオーディオ再生システム。
【請求項8】
音楽およびオーディオの再生システムであって、
オーディオ・データを再生する手段と、1つ以上のエフェクトを加える手段とを含む再生エンジンであって、エフェクトを加えることは、前記オーディオ・データの通常の順方向再生に取って代わる、再生エンジンと、
前記再生エンジンが再生する前記オーディオ・データに対応する波形を表示する波形ディスプレイであって、前記エフェクトを加えている間、前記取って代わられたオーディオ・データの通常の順方向再生が行われているかのように、前記波形を更新する、波形ディスプレイと、
を備えている、音楽およびオーディオ再生システム。
【請求項9】
請求項8記載の音楽およびオーディオ再生システムにおいて、前記エフェクトが逆転エフェクトである、音楽およびオーディオ再生システム。
【請求項10】
請求項8記載の音楽およびオーディオ再生システムにおいて、前記エフェクトが反復エフェクトである、音楽およびオーディオ再生システム。
【請求項11】
請求項8記載の音楽およびオーディオ再生システムにおいて、前記エフェクトが制動エフェクトである、音楽およびオーディオ再生システム。
【請求項12】
請求項8記載の音楽およびオーディオ再生システムにおいて、前記エフェクトがドラマー・エフェクトである、音楽およびオーディオ再生システム。
【請求項13】
請求項8記載の音楽およびオーディオ再生システムにおいて、前記エフェクトがシャッフル・フェクトである、音楽およびオーディオ再生システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−21406(P2008−21406A)
【公開日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2007−184170(P2007−184170)
【出願日】平成19年7月13日(2007.7.13)
【出願人】(500035823)アビッド テクノロジー インコーポレイテッド (35)
【Fターム(参考)】