説明

音楽データを再生可能な電子機器。

【課題】 音楽データの中からユーザの所望の演奏部分のみ取り出して再生したり格納することが可能な電子機器を提供する。
【解決手段】 まず、再生中の音楽データから切出開始地点を指定する(図4(b))。具体的には、ユーザが切出開始地点を指定すると、手のアイコン310が音楽データの切出開始地点を指示する(図4(b))。続いて、ユーザが切出終了地点を指定すると、手のアイコン320が音楽データの切出終了地点を指示する(図4(c))。このアイコン320が示す切出開始地点と切出終了地点との間の音楽データを1つの音楽データとしてメモリに格納可能であり、又、着信メロディとして設定可能でもある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、音楽データを再生可能な電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年では、音楽データの圧縮技術が向上した為に、様々な装置で音楽データを再生し楽しむことが可能になってきている。例えば、携帯電話装置のような電子機器にも音楽を再生する機能が搭載されており、ユーザは、携帯電話装置にイヤホンを装着し、簡単な操作でお好みの音楽を聴くことができる。又、その音質もポータブルCDプレーヤやMDプレーヤに劣らない程の高音質で聞くことが可能である。
【0003】
又、携帯電話装置では、装置に記憶した音楽データを着信メロディに設定することが可能である。更に、このような携帯電話装置に関する技術も数多く提案されており、例えば、特許文献1には、登録されている着信メロディの内から任意に選択した複数の曲を任意の順番でメドレーの形で再生する技術が記載されている。
【特許文献1】特開2001−94635号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1記載の技術では、携帯電話装置に記憶されている音楽データから、ユーザが取り出したい部分のみを取り出し、着信メロディにすることができなかった。又、ユーザが好きな楽器による演奏部分のみを取り出し、再生又は着信メロディとすることができなかった。
可能であれば、音楽データの内、ユーザの所望の演奏部分のみを取り出して1つの音楽データとすることが可能であることが好ましい。このようなことが可能であれば、ユーザがお好みの演奏箇所だけを再生して聞いたり、繰り返し再生して聞きながら演奏の練習を行ったり、着信メロディにする等、ユーザが音楽を楽しむ自由度が増す。
更に、ユーザの所望の楽器の演奏部分のみを取り出して1つの音楽データとすることが可能であることが好ましい。このようなことが可能であれば、ユーザがお好みの楽器の演奏箇所だけを再生して聞いたり、繰り返し再生して聞きながら演奏の練習を行ったり、着信メロディにする等、ユーザが音楽を楽しむ自由度が増す。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明はこのような課題を解決する為のものであり、音楽データの内、ユーザの所望の演奏部分のみを取り出し(切り出し)て1つの音楽データにすることが可能であり、又、ユーザの所望の楽器の演奏部分のみを取り出し(切り出し)て1つの音楽データにすることが可能な電子機器を提供するものである。
請求項1に記載の音楽データを再生可能な電子機器は、音楽データを再生する第1ステップと、当該第1ステップで再生された音楽データから指定された部分のみを取り出す第2ステップと、当該第2ステップで取り出した部分の音楽データを格納する第3ステップ、 により音楽データを生成可能であることを特徴とする。
【0006】
請求項2に記載の音楽データを再生可能な電子機器は、音楽データを再生する第1ステップと、当該第1ステップで再生された音楽データから指定された楽器の演奏部分のみを取り出す第2ステップと、当該第2ステップで取り出した部分の音楽データを格納する第3ステップ、により音楽データを生成可能であることを特徴とする。
請求項3に記載の音楽データを再生可能な電子機器は、音楽データを格納する格納手段と、当該格納手段に格納された音楽データを再生する再生手段と、入力手段と、前記再生手段により音楽データが再生されている際に、前記入力手段から、再生されている音楽データから音楽データを取り出す操作があると判定すると、指定された範囲の音楽データを取り出すよう制御する制御手段と、を有することを特徴とする。
請求項4に記載の音楽データを再生可能な電子機器は、音楽データを格納する格納手段と、当該格納手段に格納された音楽データの再生範囲を表示可能な表示手段と、入力手段と、前記入力手段から、前記表示手段に表示されている音楽データの再生範囲から、所定の範囲の音楽データの選択があると、選択された範囲の音楽データを取り出すよう制御する制御手段と、を有することを特徴とする。
請求項5に記載の音楽データを再生可能な電子機器は、音楽データを格納する格納手段と、当該格納手段に格納された音楽データを再生する再生手段と、入力手段と、前記再生手段により音楽データが再生されている際に、前記入力手段から、再生されている音楽データから指定した楽器の音楽データを取り出す操作があると判定すると、指定された楽器の音楽データを取り出すよう制御する制御手段と、を有することを特徴とする。
請求項6に記載の音楽データを再生可能な電子機器は、音楽データを格納する格納手段と、当該格納手段に格納された音楽データを周波数成分に変換する周波数変換手段と、入力手段と、前記再生手段により音楽データが再生されている際に、前記入力手段から、再生されている音楽データから指定された楽器の音楽データを取り出す操作があると判定すると、再生されている音楽データを前記周波数変換手段で周波数データに変換させ、変換された周波数データから前記指定された楽器の音楽データに対応する周波数データのみを取り出し、当該取り出した周波数データに対応する音楽データを前記格納手段に格納するよう制御する制御手段と、を有することを特徴とする。
請求項7に記載の音楽データを再生可能な電子機器は、音楽データを格納する格納手段と、当該格納手段に格納された音楽データをスペクトル成分に変換するスペクトル変換手段と、入力手段と、前記再生手段により音楽データが再生されている際に、前記入力手段から、再生されている音楽データから指定された楽器の音楽データを取り出す操作があると判定すると、再生されている音楽データを前記スペクトル変換手段でスペクトルデータに変換させ、変換されたスペクトルデータから前記指定された楽器の音楽データに対応するスペクトルデータのみを取り出し、当該取り出したスペクトルデータに対応する音楽データを前記格納手段に格納するよう制御する制御手段と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明では、音楽データの中からユーザの所望の部分(範囲)の音楽データのみを取り出すことが可能である為、ユーザのお好みの部分の音楽データのみを保存したり再生することが可能である。
【0008】
又、本発明では、音楽データの中からユーザが所望する楽器の演奏部分の音楽データのみを取り出すことが可能である為、ユーザのお好みの楽器の音楽データのみを保存したり再生することが可能である。
【実施例】
【0009】
図1は、本発明を適用してなる実施例装置(例えば、携帯電話機)の概略構成を示すブロック図である。図1に示すように、携帯電話機は、アンテナ14と接続された通信部13を備えている。この通信部13は、後述のベースバンド部10と接続されており、ベースバンド部10からの信号を、アンテナ14を介して基地局へ発信し、あるいはアンテナ14を介して基地局からの電波を受信する。
【0010】
ベースバンド部10は、CDMA処理回路11と、音声コーデック12と、を有している。ここで、CDMA処理回路11は、符号分割多元接続、スクランブル、誤り制御、タイミング検出を行う。また、音声コーデック12は、音声を圧縮(符号化)、伸張(復号化)したり、アナログとデジタルの変換を行ったり、内部の増幅回路(図示省略)により受話音量やマイクロホンの感度を変更する。
【0011】
また、ベースバンド部10には、切替回路20が接続されている。この切替回路20には、増幅回路21を介して第1スピーカ22が接続されている。この第1スピーカ22は、増幅回路21で増幅されたベースバンド部10の電気信号を音声に変換する。この第1スピーカ22は、ユーザの耳にあてて通話に使用される。
【0012】
また、切替回路20には、増幅回路23を介してマイクロホン24が接続されている。このマイクロホン24は、通話に使用され、音声を電気信号に変換する。マイクロホン24により入力された電気信号は、増幅回路23で増幅されてベースバンド部10に出力される。
【0013】
また、切替回路20には、増幅回路25を介して第2スピーカ26が接続されている。この第2スピーカ26は、増幅回路25で増幅されたベースバンド部10の電気信号を音声に変換する。この第2スピーカ26は、受話音を周囲の人にも聞かせるための拡声用のスピーカである。また、第2スピーカ26は、着信報知の鳴動も行う。なお、これらの3つの増幅回路21,23,25は、ゲインを固定しており、第1スピーカ22及び第2スピーカ26の音量やマイクロホン24の感度を変更することはできないようになっている。
【0014】
この切替回路20は、ベースバンド部10との接続を、第1スピーカ22用の増幅回路21とマイクロホン24用の増幅回路23側にするか、あるいは拡声用の第2スピーカ26用の増幅回路25とマイクロホン24用の増幅回路23側にするかを切り替える。
【0015】
また、通信部13、ベースバンド部10、切替回路20は、それぞれ制御回路100に接続されている。制御回路100には、ROM31,RAM32が接続されており、ROM31には、制御回路100を動作させるためのシステムプログラムが格納され、RAM32は、制御回路100の動作に必要な各種情報が記憶される。
RAM(Randum Access Memory)32には、圧縮された音楽データが格納されている。例えば、MPEG4−AAC(Advanced Audio Coding)方式や、HE−AAC(High Efficiency−Advanced Audio Coding)方式で圧縮された音楽データが格納されている。この圧縮された音楽データには、曲名(タイトル)、曲の長さ(再生時間)、歌詞等の情報も対応付けて格納されている。又、RAM32では、格納されている音楽データから所定の部分を取り出した音楽データや、所定の楽器の演奏部分のみ取り出した音楽データ等も格納されている。更に、これら取り出した音楽データを着信メロディとして設定する情報も格納可能である。例えば、取り出した音楽データと発呼側の電話番号(或いは氏名)とを対応付けて格納可能である。尚、RAMの代わりにフラッシュメモリ等を用いても良い。
制御回路100は、携帯電話装置内部の各ブロックを制御するだけでなく、以下に説明する機能も有している。
制御回路100内のバッファメモリ110は、RAM32に格納されている音楽データを一時的に格納する他、RAM32に格納された音楽データのうち、ユーザの操作に応じて取り出した音楽データ等も一時的に格納する。尚、バッファメモリ110は、例えば書き換え可能なフラッシュメモリが用いられる。
周波数変換部120は、バッファメモリ110に格納された圧縮された音楽データを周波数データに変換する。
スペクトル変換部130は、バッファメモリ110に格納された音楽データをスペクトルデータ(例えば、音の振幅を縦軸に、周波数軸を横軸としたグラフ上で表現される振幅―周波数特性のデータや、音の位相を縦軸に、周波数軸を横軸としたグラフ上で表現される、位相―周波数特性のデータ)に変換する。
制御部140は、これらバッファメモリ110、周波数変換部120、スペクトル変換部130、制御部140等を制御する。
音声コーデック150は、音声信号の圧縮、伸張を行い、例えば、MPEG4−AAC(Advanced Audio Coding)方式や、HE−AAC(High Efficiency−Advanced Audio Coding)方式での音声信号の圧縮、伸張を行う。
次に本実施例装置について説明する。まず、本発明を適用してなる第1実施例では、音楽データの内、ユーザが所望する部分を切り取り、その音楽データを再生、格納、或いは着信メロディとすることが可能である。
【0016】
第1実施例装置は、以下のような使用形態が考えられる。例えば、ユーザがクラシック音楽、一例を挙げると、パガニーニのバイオリン協奏曲第1番のカデンツァ(独奏楽器がオーケストラの演奏を伴わずに自由に演奏をする部分)の部分を着信メロディにしたい場合には、その部分のみを取り出し、着信メロディにできることができる。
【0017】
次に第1実施例装置の動作について以下に説明する。
【0018】
図2は第1実施例装置の動作を示すフロー図であり、図3はRAM32に格納されている音楽データのリストを表示する際の、ディスプレイ60の表示形態を示す図であり、図4は、図2の動作を実行した際のディスプレイ60の表示形態を示す図である。
【0019】
まず、図2のフロー図は、ユーザの所定の操作に基づいて、RAM32に格納されている音楽データを読み込み、再生し、再生している音楽データから、ユーザの操作に応じて所望の部分を切り取り、RAM32に格納する際の動作を示すフロー図である。
【0020】
図2のS1ステップにおいて、制御回路100は、入力部40から音楽データの再生を指示する操作があると、RAM32から圧縮された音楽データを読み込み、音声コーデック150で伸張させてスピーカ26から出力させる。尚、S1ステップでディスプレイ60にRAM32に格納されている音楽データのリストを表示させ(図3)、ユーザがカーソル200を移動させることにより、所望の音楽データを選択、再生することが可能である。
【0021】
また、音楽データの再生が開始されると、ディスプレイ60は、図4(a)に示す表示画面になる。例えば、ユーザがパガニーニのバイオリン協奏曲第1番の第1楽章を選択し、再生したとすると、ディスプレイ60には、図4(a)に示すように、再生している曲のタイトル、再生中という文字、再生時間とどこまで再生しているかを示すグラフ300が表示される。音楽データを再生すると、グラフ300の斜線部分が左側から右側に順に増えてゆき、グラフ300が全て斜線で埋まると音楽データの再生が完了したことを示し、グラフ300が空白であると音楽データの再生が未だ行われていないことを示している。
【0022】
S2ステップでは、制御回路100は、入力部40から、切り取りたい音楽データの開始地点を指示する操作があると、S3ステップへ処理を進み、そうでなければ、S6ステップへ処理を進める。
S3ステップでは、制御回路100は、S2ステップで指示された切り取り開始地点の情報をバッファメモリ110に格納する。
尚、S2ステップとS3ステップの動作を図4を用いて説明すると、例えばユーザが音楽を聴きながらこの地点で切り取りを開始したいと判断すると、ユーザが切り取り開始指示を入力部40から行う。この入力操作に応じて、グラフ300の切り取り開始地点には、アイコン310(人差し指で切り取り開始地点がどこかを示しているアイコンである)が表示される(図4(b))。
【0023】
続くS4ステップでは、制御回路100は、入力部40から音楽データの切り取りの終了地点の指示を示す入力があると判定すると、S5ステップへ処理を進め、そうでなければ、S9ステップへ処理を進める。
【0024】
S5ステップでは、制御回路100は、S4ステップで指示された切り取り終了地点の情報をバッファメモリ110に格納する。
尚、S4ステップとS5ステップの動作を図4を用いて説明すると、例えばユーザが音楽を聴きながらこの地点で切り取りを終了したいと判断すると、ユーザが切り取り終了指示を入力部40から行う。この入力操作に応じて、グラフ300の切り取り終了地点には、アイコン320(人差し指で切り取り終了地点がどこかを示しているアイコンである)が表示される(図4(c))。
【0025】
S6ステップでは、制御回路100は、入力部40から音楽データの再生終了指示があるか或いは、1曲の音楽データを全て再生し終わったと判定すると、S7ステップへ処理を進め、そうでなければ、S2ステップへ処理を戻す。
【0026】
S7ステップでは、制御回路100は、バッファメモリ110に、切り取りの開始地点と終了地点のデータが格納されていると判定すると、S8ステップへ処理を進め、そうでなければ、バッファメモリ110をクリアし、処理を終了する。
【0027】
S8ステップでは、制御回路100は、バッファメモリ110に格納されている切り取りの開始地点と終了地点のデータに基づいて、RAM32に格納されている音楽データから、前記開始地点と終了地点のデータが示す範囲の音楽データを切出、RAM32に格納する。尚、このRAM32に取り出した音楽データを格納する際に、ユーザが音楽データに対応付けてタイトルを入力し、音楽データとタイトルとをRAM32に格納可能としても良い。
【0028】
S9ステップでは、制御回路100は、入力部40から音楽データの再生終了指示があるか或いは、1曲の音楽データを全て再生し終わったと判定すると、処理を終了し、そうでなければ、S4ステップへ処理を戻す。
【0029】
以上説明したように、第1実施例装置では、音楽データの内ユーザが所望する演奏部分のみを取り出すことが可能である。
次に本発明を適用してなる第2実施例について説明する。第2実施例では、音楽データの内、ユーザが所望する楽器が奏でるメロディのみを切り取り、その音楽データを着信メロディとすることが可能である。又、その切り取る区間をユーザが自由に選択できるというものである。
【0030】
第2実施例装置は、以下のような使用形態が考えられる。例えば、ユーザがモーツアルトのピアノ協奏曲からピアノのメロディのみを取り出したい場合には、音楽データの中から他の楽器(例えば、バイオリン、チェロ、ヴィオラ、フルート、クラリネット、オーボエ、ファゴット、トランペット等)のメロディを削除し、ピアノのメロディのみを取り出すことが可能である。ピアノ協奏曲の場合、ピアノとバイオリンやオーボエ等の音との調和により音楽の美しさが引き立つものであるが、ユーザが特にピアノの演奏部分を聞いて練習をしたい場合や、ピアノの音色が好きなので、ピアノの演奏部分のみを取り出して着信メロディにしたいと考える場合には、第2実施例装置は顕著な効果を奏するものである。
【0031】
次に、第2実施例装置の動作について図5のフロー図を用いて説明する。まず、第1実施例装置と同様に、ユーザが取り出したい部分を選択する。尚、この取り出す操作に関しては第1実施例と同様である為に説明を省略する。又、第2実施例装置では、RAM32には、楽器毎の周波数データや、楽器毎のスペクトルデータ(例えば、音の振幅を縦軸に、周波数軸を横軸としたグラフ上で表現される振幅―周波数特性のデータや、音の位相を縦軸に、周波数軸を横軸としたグラフ上で表現される、位相―周波数特性のデータ)が格納されている。
【0032】
図5のフロー図のS10ステップにおいて、制御回路100は、図6に示すような楽器のリストを表示する。例えば、ピアノ、オーボエ、クラリネット、チェロ等を表示し、続くS11ステップでユーザがカーソル400を移動させることにより、所望の楽器を選択することが可能である。
【0033】
S11ステップでは、制御回路100は、入力部40からカーソル400を移動し決定する操作があると、S12ステップへ処理を進める。
【0034】
S12ステップでは、制御回路100は、S12ステップで選択された楽器の演奏部分のみを音楽データから取り出す。
【0035】
具体的には、2つの方法が挙げられる。まず、1つめの方法は、周波数の一致を見て取り出す方法である。
詳細に説明すると、制御部140は、RAM32に格納されている音楽データ(前記S10ステップの前に、例えば図2のフロー図に示す動作で抜きとりRAM32に格納した音楽データ)を読み出し、バッファメモリ110に格納し、格納した音楽データを周波数変換部で周波数データに変換し、当該変換した周波数データとRAM32に格納されている楽器毎の周波数データとを比較し、前記S11ステップで選択された楽器の周波数データと一致する周波数データのみをバッファメモリ110に残し、のこりの周波数データはバッファメモリ110から消去する。続いて、バッファメモリ110に残っている周波数データは周波数変換部120で、周波数データから圧縮データ(或いは伸張後のデータ)に変換し、バッファメモリ110に格納される。このようにして、S12ステップで選択された楽器の演奏部分のみの音楽データがバッファメモリ110に格納される。
次に2つめの方法である。2つめの方法では、音楽データをスペクトルデータ(例えば、音の振幅を縦軸に、周波数軸を横軸としたグラフ上で表現される振幅―周波数特性のデータや、音の位相を縦軸に、周波数軸を横軸としたグラフ上で表現される、位相―周波数特性のデータ)に変換する。そして、ユーザが指定した楽器のスペクトルの音楽データのみを残すものである。
詳細に説明すると、制御部140は、RAM32に格納されている音楽データ(前記S10ステップの前に、例えば図2のフロー図に示す動作で抜きとりRAM32に格納した音楽データ)を読み出し、バッファメモリ110に格納し、格納した音楽データをスペクトル変換部130で例えば振幅−周波数特性データに変換し、当該変換した振幅−周波数特性データとRAM32に格納されている楽器毎の振幅−周波数特性データとを比較し、前記S11ステップで選択された楽器の振幅−周波数特性データと一致する振幅−周波数特性データのみをバッファメモリ110に残し、残りの振幅−周波数特性データはバッファメモリ110から消去する。続いて、バッファメモリ110に残っている振幅−周波数特性データはスペクトル変換部130で、振幅−周波数特性データから圧縮データ(或いは伸張後のデータ)に変換し、バッファメモリ110に格納される。このようにして、S12ステップで選択された楽器の演奏部分のみの音楽データがバッファメモリ110に格納される
続くS13ステップでは、S12ステップでバッファメモリ110に格納された音楽データを、RAM32に格納する。尚、RAM32に音楽データを格納する際に、ユーザの入力部40からの操作に基づいて、タイトルを入力し、音楽データとタイトルとを対応付けてRAM32に格納しても良い。
【0036】
尚、第1実施例装置や第2実施例装置で取り出した音楽データを、着信メロディとして登録可能としても良いし、更に、特定の相手先からの着信があると取り出した音楽データを再生して着信メロディとする構成としても良い。これら着信メロディとして登録する機能は既存の技術を持いれば良いため、説明を省略する。
【0037】
以上説明したように、本実施例装置では、ユーザの所望の演奏部分を取り出したり、所望の楽器の演奏のみを取り出すことが可能である為、交響曲といった複数の楽器により演奏する音楽から、ユーザの好きな部分のみを取り出して聞いたり、ユーザの好きな楽器の演奏部分のみを取り出して聞くことが可能である。又、これら取り出した音楽データを着信メロディとして設定することも可能である為、ユーザの好きな着信音で着信を報知することが可能である。
【0038】
尚、本実施例では携帯電話装置において実施したが、音楽データを再生可能な電子機器であれば、他の電子機器においても本発明を適用可能である。
【0039】
又、本実施例装置では、所望の楽器の音楽データを取り出す構成があるが、取り出した音楽データを複数組み合わせ、再生、格納可能としても良い。換言すれば、取り出した特定の楽器の音楽データを複数個組合せ、どの楽器で演奏するかをユーザが選択可能としても良い。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の一実施例にかかる携帯電話装置のブロック図である。
【図2】本発明を適用してなる第1実施例装置のフロー図である。
【図3】ディスプレイ60の表示形態を示す図である。
【図4】ディスプレイ60の表示形態を示す図である。
【図5】本発明を適用してなる第2実施例装置のフロー図である。
【図6】ディスプレイ60の表示形態を示す図である。
【符号の説明】
【0041】
30・・・・制御回路
32・・・・RAM
40・・・・入力部
60・・・・ディスプレイ
100・・・制御回路
110・・・バッファメモリ
120・・・周波数変換部
130・・・スペクトル変換部
140・・・制御部
150・・・音声コーデック

【特許請求の範囲】
【請求項1】
音楽データを再生する第1ステップと、
当該第1ステップで再生された音楽データから指定された部分のみを取り出す第2ステップと、
当該第2ステップで取り出した部分の音楽データを格納する第3ステップ、
により音楽データを生成可能であることを特徴とする音楽データを再生可能な電子機器。
【請求項2】
音楽データを再生する第1ステップと、
当該第1ステップで再生された音楽データから指定された楽器の演奏部分のみを取り出す第2ステップと、
当該第2ステップで取り出した部分の音楽データを格納する第3ステップ、
により音楽データを生成可能であることを特徴とする音楽データを再生可能な電子機器。
【請求項3】
音楽データを格納する格納手段と、当該格納手段に格納された音楽データを再生する再生手段と、入力手段と、
前記再生手段により音楽データが再生されている際に、前記入力手段から、再生されている音楽データから音楽データを取り出す操作があると判定すると、指定された範囲の音楽データを取り出すよう制御する制御手段と、を有することを特徴とする音楽データを再生可能な電子機器。
【請求項4】
音楽データを格納する格納手段と、当該格納手段に格納された音楽データの再生範囲を表示可能な表示手段と、入力手段と、
前記入力手段から、前記表示手段に表示されている音楽データの再生範囲から、所定の範囲の音楽データの選択があると、選択された範囲の音楽データを取り出すよう制御する制御手段と、を有することを特徴とする音楽データを再生可能な電子機器。
【請求項5】
音楽データを格納する格納手段と、当該格納手段に格納された音楽データを再生する再生手段と、入力手段と、
前記再生手段により音楽データが再生されている際に、前記入力手段から、再生されている音楽データから指定した楽器の音楽データを取り出す操作があると判定すると、指定された楽器の音楽データを取り出すよう制御する制御手段と、を有することを特徴とする音楽データを再生可能な電子機器。
【請求項6】
音楽データを格納する格納手段と、当該格納手段に格納された音楽データを周波数成分に変換する周波数変換手段と、入力手段と、
前記再生手段により音楽データが再生されている際に、前記入力手段から、再生されている音楽データから指定された楽器の音楽データを取り出す操作があると判定すると、再生されている音楽データを前記周波数変換手段で周波数データに変換させ、変換された周波数データから前記指定された楽器の音楽データに対応する周波数データのみを取り出し、当該取り出した周波数データに対応する音楽データを前記格納手段に格納するよう制御する制御手段と、を有することを特徴とする音楽データを再生可能な電子機器。
【請求項7】
音楽データを格納する格納手段と、当該格納手段に格納された音楽データをスペクトル成分に変換するスペクトル変換手段と、入力手段と、
前記再生手段により音楽データが再生されている際に、前記入力手段から、再生されている音楽データから指定された楽器の音楽データを取り出す操作があると判定すると、再生されている音楽データを前記スペクトル変換手段でスペクトルデータに変換させ、変換されたスペクトルデータから前記指定された楽器の音楽データに対応するスペクトルデータのみを取り出し、当該取り出したスペクトルデータに対応する音楽データを前記格納手段に格納するよう制御する制御手段と、を有することを特徴とする音楽データを再生可能な電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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