説明

音量調節操作系に特徴を有するカラオケ装置

【課題】カラオケ装置の出力音量レベルの調節操作を利用客に解放して客ごとに好みの音量設定が行える。
【解決手段】ノーマルモードでは、音量調節ツマミ22の回転範囲と電子ボリューム回路31のゲイン範囲とを対応させてゲイン制御を行い、上限設定指示信号が発生した際は、そのとき位置検出手段25が出力している位置信号に対応した上限値VUを生成して上限メモリーに記憶し、下限設定指示信号が発生した際は、そのとき位置検出手段が出力している位置信号に対応した下限値を生成して下限メモリーに記憶し、制限モードでは、電子ボリューム回路31のゲイン範囲を上限メモリーと下限メモリーに記憶された上限値と下限値に対応する範囲に制限し、その制限されたゲイン範囲と音量調節ツマミ22の回転範囲とを対応させてゲイン制御を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は音量調節操作系に特徴を有するカラオケ装置に関し、とくに、カラオケ利用客が回転操作子による手動音量調節を自由に行えるようにしたものに関する。
【背景技術】
【0002】
カラオケ装置では、伴奏音楽と歌声をミキシングした音声信号を増幅してスピーカから出力させるが、その出力音量レベルは、利用客の好みやカラオケルームの音響条件等に応じて、装置ごとに随意に調節できることが望ましい。
【0003】
この音量調節は音声信号増幅系のゲイン(増幅利得)を可変設定して行うが、その設定操作は機器操作にまったく不慣れな客でも戸惑わずに行えるよう、直感性にすぐれた手動操作方式であることがとくに望ましい。音量調節の操作方式にはいろいろあるが、直感性という点では、回転操作子の手動回転操作によってゲインの可変設定を行う方式がもっともすぐれている。
【0004】
この回転操作方式では、回転操作子を手動で左右に回転させることでゲイン調節操作が行えるとともに、その回転操作子に付加されている目印によって回転位置すなわち設定音量レベルを定量的に視認・把握することができる。
【0005】
この回転操作方式ならば、機械操作に不慣れな客でも、カラオケ店の従業員のアシストを受けずとも、好みに応じた音量レベルを自在に設定することができる。また、音量を自由に調節したい利用客の満足も得ることができる。
【0006】
回転操作方式の音量調節は、従前においては、回転操作式可変抵抗器(いわゆるボリューム素子)を用いた可変減衰器(アッテネータ)を音声信号増幅系の信号経路に直接介在させて行っていたが、近年は、外部から与えるデジタル制御データあるいはアナログ制御電圧によってゲイン操作を行う電子ボリューム回路が使用されるようになってきた(たとえば特許文献1:特開2002−221974号公報)。
【0007】
この電子ボリューム回路はIC化されて比較的低コストで市場に提供されているが、これを使うことにより、たとえば多チャンネルの音声信号増幅系のゲインも同一の制御信号でもって、チャンネル間誤差を生じることなく、精度良く連動制御できるなどの利点が得られる。
【0008】
電子ボリューム回路はカラオケ装置の音量調節にも使用されているが、この場合の音量調節についても、利用者の便宜を考慮するならば、直感性にすぐれた回転操作方式とすることが望ましい(たとえば特許文献2:特開平9−214266号公報)。
【0009】
回転操作方式の音量調節機能は、電子ボリューム回路に回転操作子と位置検出手段を組み合わせることにより構成できる。すなわち、手動で回転操作される回転操作子の回転位置に対応した位置信号を生成させ、この位置信号で電子ボリューム回路のゲインを可変制御させる。これにより、回転操作方式の音量調節を行わせることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2002−221974号公報(段落0029、図1)
【特許文献2】特開平9−214266号公報(段落0003、図6)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
カラオケ装置の音量レベルは使用者の好みに応じて可変設定されるが、そうやって設定された音量レベルが常に適切であるとは限らない。たとえばカラオケパブのような業態の店に設置されたカラオケ装置ならば、状況を熟知した店員やママさんなどによって常に適正な音量レベルが手動設定されるであろう。
【0012】
一方、カラオケボックスに設置されたカラオケ装置は、一般の利用客がそれぞれに適正と判断した音量レベルが手動設定されることになるが、その適正の判断基準は利用客によるバラツキがあって、店側が望む適正レベル範囲を逸脱した大音量レベルに手動設定してしまう利用客も少なくない。
【0013】
カラオケ装置の音量レベルは、管理者である店側によってあらかじめ適正なデフォルト値に設定はされるものの、その設定音量では物足りなく感じる客、あるいは誤操作によって、そのデフォルト値を大幅に超える過大な音量レベルが設定されてしまうことがある。
【0014】
そして、その過大音量レベルが設定されたままで部屋利用が終え、清算を済ませて帰ってしまう客も多い。店側では、たとえば音量調節の回転操作子(ツマミ)に調節範囲を指示するラベルを貼ったりして過大音量レベル設定防止の協力を客に呼びかけたりするが、効果は薄い。さらに、過大音量レベルが設定されると、次の利用客がその過大音量レベルをそのまま引き継いで使用してしまう恐れもある。
【0015】
こういった不都合を回避するために、店側は、カラオケ利用客の部屋利用が終わるごとに、音量レベルの設定をチェックして所定のデフォルト状態に設定しなおすという面倒な作業を行わなければならなかった。
【0016】
カラオケ装置の音量レベルは、過大でも困るが、過小に設定されても困る場合が多い。カラオケ利用客にはカラオケ装置の扱いに不慣れな人も多い。また、カラオケは良く利用しても、装置の音量調節操作部には触れず、デフォルトの設定状態のままで使用する客も少なくない。この場合、音量レベルがデフォルト値を大幅に下回っていると、客は、装置に不具合があると早合点して、その”不具合”の解決を店側に求めることになる。店側はその度に対応の労を強いられることになる。
【0017】
このような店側の負担を軽減させるためには、音量レベルを一定値に固定して利用客にまったく操作させないことも考えられるが、これだと、利用の状況等に応じて自由に音量調節操作を行いたいという利用客の要求を無視することになってしまう。利用客の満足を得るためには、音量の調節操作を利用客に解放させることが望ましい。
【0018】
この発明は以上のような背反する問題を解決するものであって、その目的は、カラオケ装置の出力音量レベルの調節操作を利用客に解放して客ごとに好みの音量を設定できるようにするとともに、店側の管理負担を増すことなく、その音量レベルが店側の意図する範囲内で常に適正に行われるようにしたカラオケ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0019】
第1発明に係るカラオケ装置は、つぎの事項(1)〜(10)により特定されるものである。
(1)回転操作子と、位置検出手段と、電子ボリューム回路と、上限設定操作手段と、モード切替手段と、モード表示手段と、制御手段を備えたカラオケ装置であること
(2)回転操作子は、左限位置から右限位置の範囲で手動回転可能であり、付加されている目印により回転位置を視認できること
(3)位置検出手段は、回転操作子の回転位置に対応した位置信号を出力すること
(4)電子ボリューム回路は、制御手段からのゲイン指定信号に基づいて、伴奏音楽と歌声の音声信号増幅系のゲインを可変設定すること
(5)上限設定操作手段は、所定の手動操作に応じて上限設定指示信号を発生すること
(6)モード切替手段は、ノーマルモードと、制限モードのいずれかを指定すること
(7)モード表示手段は、モード切替手段によりノーマルモードと制限モードのいずれが指定されているのかを区別できるように表示すること
(8)制御手段は、ノーマルモードにおいて、回転検出手段が出力する位置信号を初期設定関数に従ってゲイン指定信号に変換し、回転操作子の回転範囲と電子ボリューム回路のゲイン範囲とを対応させてゲイン制御を行うこと
(9)制御手段は、ノーマルモードにおいて、上限設定指示信号が発生した際、そのとき位置検出手段が出力している位置信号に対応した上限値を生成して上限メモリーに記憶すること
(10)制御手段は、制限モードにおいて、電子ボリューム回路のゲイン範囲を上限メモリーに記憶された上限値に対応する範囲に制限し、その制限されたゲイン範囲と回転操作子の回転範囲とを対応させてゲイン制御を行うこと
【0020】
第2発明に係るカラオケ装置は、つぎの事項(11)〜(22)により特定されるものである。
(11)回転操作子と、位置検出手段と、電子ボリューム回路と、上限設定操作手段と、モード切替手段と、モード表示手段と、制御手段を備えたカラオケ装置であること
(12)回転操作子は、左限位置から右限位置の範囲で手動回転可能であり、付加されている目印により回転位置を視認できること
(13)位置検出手段は、回転操作子の回転位置に対応した位置信号を出力すること
(14)電子ボリューム回路は、制御手段からのゲイン指定信号に基づいて、伴奏音楽と歌声の音声信号増幅系のゲインを可変設定すること
(15)上限設定操作手段は、所定の手動操作に応じて上限設定指示信号を発生すること
(16)下限設定操作手段は、所定の手動操作に応じて下限設定指示信号を発生すること
(17)モード切替手段は、ノーマルモードと、制限モードのいずれかを指定すること
(18)モード表示手段は、モード切替手段によりノーマルモードと制限モードのいずれが指定されているのかを区別できるように表示すること
(19)制御手段は、ノーマルモードにおいて、回転検出手段が出力する位置信号を初期設定関数に従ってゲイン指定信号に変換し、回転操作子の回転範囲と電子ボリューム回路のゲイン範囲とを対応させてゲイン制御を行うこと
(20)制御手段は、ノーマルモードにおいて、上限設定指示信号が発生した際、そのとき位置検出手段が出力している位置信号に対応した上限値を生成して上限メモリーに記憶すること
(21)制御手段は、ノーマルモードにおいて、下限設定指示信号が発生した際、そのとき位置検出手段が出力している位置信号に対応した下限値を生成して下限メモリーに記憶すること
(22)制御手段は、制限モードにおいて、電子ボリューム回路のゲイン範囲を上限メモリーと下限メモリーに記憶された上限値と下限値に対応する範囲に制限し、その制限されたゲイン範囲と回転操作子の回転範囲とを対応させてゲイン制御を行うこと
【発明の効果】
【0021】
カラオケ装置の出力音量レベルの調節操作を利用客に解放して客ごとに好みの音量を設定できるとともに、店側の管理負担を増すことなく、その音量レベルが店側の意図する範囲内で常に適正に行わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】この発明に係るカラオケ装置の概略構成を示すブロック図である。
【図2】この発明に係るカラオケ装置におけるモード切り替えの制御動作を示すフローチャートである。
【図3】この発明の第1実施例をなすカラオケ装置における上限値設定の制御手順を示すフローチャートである。
【図4】この発明の第1実施例をなすカラオケ装置のノーマルモード時における音量調節動作特性を示すグラフである。
【図5】この発明の第1実施例をなすカラオケ装置の制限モード時における音量調節動作特性を示すグラフである。
【図6】この発明の第2実施例をなすカラオケ装置における上限値/下限値設定の制御手順を示すフローチャートである。
【図7】この発明の第2実施例をなすカラオケ装置のノーマルモード時における音量調節動作特性を示すグラフである。
【図8】この発明の第2実施例をなすカラオケ装置の制限モード時における音量調節動作特性を示すグラフである。
【図9】この発明に係るカラオケ装置において音量調節範囲の上限値/下限値を設定させる部分の具体的構成例を示すブロック図である。
【図10】この発明に係るカラオケ装置において音量調節範囲の上限値/下限値を設定させる部分の別の具体的構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
===カラオケ装置の基本構成===
この発明の実施例に係るカラオケ装置の概略構成を図1に例示する。このカラオケ装置は、周知のパソコン相当のコンピュータ応用機器であって、その中核をなす中央処理装置11は、CPU・RAM・ROMを含むコンピュータ本体を形成する。
【0024】
この中央処理装置11の制御管理下に、大容量の外部記憶としてのハードディスク装置12、CD−ROMやDVD−ROMなどの光ディスク再生装置13、光通信回線などの公衆通信回線を介してカラオケホスト装置と通信する通信制御装置14、利用者からの入力と利用者に向けての応答をやりとりする利用者インタフェース装置15、MIDI形式の音楽演奏データに基づいて伴奏音楽の音響信号を生成する音楽生成装置16、伴奏音楽やマイクロホンからの音響信号を増幅してスピーカから発音する音響装置17、LCDやPDPなどを用いたディスプレイ18、このディスプレイ18に表示すべき映像データを処理する映像処理装置19などが設置されている。
【0025】
利用者インタフェース装置15には、カラオケ装置本体の操作パネル21やカラオケリモコン装置が含まれ、双方向通信が可能な短距離無線通信手段(IrDAトランシーバ・赤外線LED・赤外線受光素子)を備えている。
中央処理装置11は利用者インタフェース装置15から演奏予約コマンドを受信すると、含まれている楽曲ID(楽曲識別符号)を受け取った順に演奏予約の待ち行列に登録する。
そして待ち行列から登録順に楽曲IDを取り出して、カラオケデータベースから該当する楽曲用のカラオケデータを取りだして演奏処理に供する。
【0026】
===音量調節操作部の構成===
操作パネル21には、テンキーやファンクションキーなど入力キーとともに、回転操作子をなす音量調節ツマミ22が配置されている。この音量調節ツマミ22は、回転操作式可変抵抗器(ボリューム素子)25の操作軸(シャフト)に連結されている。
可変抵抗器25は回転位置検出手段をなすものであって、その操作軸は一定角度範囲(0〜300度)内で回転可能であり、その回転角度位置に応じた直流電圧を位置信号として出力する。
この位置信号は、音響装置17の電子ボリューム回路31にゲイン指定信号として与えられる。電子ボリューム回路31は音響装置17の音声信号増幅系に介在し、その増幅ゲインをゲイン指定信号に応じて可変制御する。これより、音量調節ツマミ22の回転操作により音量調節が行われるとともに、その回転位置に対応した音量レベルが設定されるようになっている。
【0027】
音量調節ツマミ22は、0度の左限位置(最小音量)から300度の右限位置(最大音量)の範囲で手動回転可能であるとともに、その回転位置を視認するための目印(カーソル)23が付加されていて、これにより、現在の設定音量レベルが定量的に視認できるようになっている。
なお、音量調節ツマミ22の回転範囲は可変抵抗器25の操作軸の回転範囲に依存するが、その範囲は当然、特定範囲(0〜300度)に限定されない。
【0028】
音量調節ツマミ22の近傍には、LEDなどを用いたモード表示ランプ24が配置されている。このモード表示ランプ24は後述する制限モードが設定されたときに、その状態を点灯によって表示する。
音量調節ツマミ22のような回転操作子の回転位置と音量レベルを対応させる音量調節操作方式は直感性にすぐれていて、昔から良くなじまれている方式であるが、この発明に係るカラオケ装置は、その音量の調節モードとして、ノーマルモードと制限モードの2つの音量調節モードを有し、モード切替手段によって交互に切り替え設定されるように構成されている。
【0029】
===モード切替手段===
モード切替手段は中央処理装置11によってソフトウェア的に構成され、図2に示すように、制限モードとノーマルモードの2モードを交互に切り替えて設定する。このモード切り替え設定は、カラオケ装置の管理者だけに知らされていて利用客には非公開にしている隠しコマンド入力操作、たとえば特定のファンクションキーと特定の数値キーの同時押しなどによって行われる。
制限モードを設定する隠しコマンド入力操作が発生すると、制限モードを設定するとともに、モード表示ランプ24を点灯して制限モード状態であることを表示する。
同様に、ノーマルモードを設定する隠しコマンド入力操作が発生すると、ノーマルモードを設定するとともに、モード表示ランプ24を消灯してノーマルモード状態であることを表示する。
【0030】
===第1実施例における音量の上限設定===
音量調節は音量調節ツマミ22の手動回転操作によって行われるが、ノーマルモードでは、図4に示すように、左限位置(0度)でゼロ(無出力)となり、右限位置(300度)で最大ゲイン(最大出力)となる。このゼロから最大までのフルレンジのゲイン範囲が音量調節ツマミ22の回転範囲(0〜300度)に対応させられている。
このノーマルモードのときに、図3および図4に示すように、上限設定指示信号発生の操作が行われると、そのときに検出されている音量調節ツマミ22の位置信号を上限値(VU)として上限メモリーに記憶させる。
【0031】
上限設定指示信号発生の操作は、モード切り替え操作と同様、カラオケ装置の管理者だけに知らされていて利用客には非公開にしている隠しコマンド入力操作、たとえば特定のファンクションキーと特定の数値キーの同時押しなどによって行われる。この操作が行われると、そのときに設定されているノーマルモードの音量レベルが上限値(VU)として設定される。
この設定が行われたときには、操作者の確認のために、上限値設定受付表示を行わせることが望ましいが、これはたとえばモード表示ランプ24の短時間明滅などによって行わせるとよい。
【0032】
===第1実施例における制限モード===
この制限モードでは、図5に示すように、音量調節ツマミ22による音量レベルの可変調節範囲の上限が、ノーマルモード時に設定した上限値(VU)に制限される。
ノーマルモードにおいては、音量調節ツマミ22の回転範囲(0〜300度)をゼロから最大までのフルレンジのゲイン範囲に対応させる初期設定関数に従って、位置信号をゲイン指定信号に変換するが、この制限モードにおいては、音量調節ツマミ22の回転範囲をゼロから上限値(VU)までのゲイン範囲対応させる関数に従って、位置信号をゲイン指定信号に変換する。
【0033】
この制限モードにおいて、カラオケ利用客は、音量調節ツマミ22の全回転範囲を自由に回転操作して音量調節を行うことができる。しかし、その音量調節範囲は、音量調節ツマミ22を右限位置まで回し切ったところでも、上限値(VU)によって設定される音量レベルまでである。
この制限モードでは音量調節範囲が上限値(VU)によって設定されるレベル以下に制限されるが、音量調節ツマミ22の回転操作範囲をその制限された音量調節範囲に対応させることにより、カラオケ利用客は、その上限レベルがあたかもカラオケ装置の最大音量レベルかのような感覚で音量調節の操作を行うことができる。
【0034】
すなわち、音量調節ツマミ22を右限位置まで回せば、そこが最大音量のところとなるので、利用客は制限モードであっても、そのモードによる制限をとくに感じることなく、ノーマルモード時と同じ操作感覚で音量調節を行うことができる。さらに、音量の上限レベルを定める上限値(VU)は、ノーマルモード時の音量調節位置で設定できるので、設定操作のための構成および操作手順を共に簡略化することができる。
これにより、カラオケ装置の出力音量レベルの調節操作を利用客に解放して客ごとに好みの音量を設定できるようにするとともに、店側の管理負担を増すことなく、その音量レベルが店側の意図する範囲内で常に適正に行われるようにすることができる。
【0035】
===第2実施例における音量の上限/下限設定===
第1実施例では音量調節範囲の上限値(VU)を設定するが、この第2実施例では、図6および図7に示すように、上限値(VU)と下限値(VL)がそれぞれ、ノーマルモードが設定されているときの操作パネル21への非公開入力操作によって設定される。非公開入力操作は、カラオケ装置の管理者だけに知らされていて利用客には非公開にしている隠しコマンド入力操作であって、上限設定指示信号発生用と下限設定指示信号発生用の2種類が用意されている。
【0036】
ノーマルモードのときに上限設定指示信号発生の操作が行われると、そのときに検出されている音量調節ツマミ22の位置信号を上限値(VU)として上限メモリーに記憶させる。同様に、下限設定指示信号発生の操作が行われると、そのときに検出されている音量調節ツマミ22の位置信号を下限値(VL)として下限メモリーに記憶させる。
【0037】
このとき、上限値(VU)は下限値(VL)よりも常に高レベルであるという前提の下、両値(VU,VL)のいずれか一方の設定が行われる度に両値(VU,VL)大小比較を行い、上限値(VU)>下限値(VL)という条件が成立するときだけ有効な値が設定されたとみなしてメモリー記憶および設定受付表示を行い、そうでない場合は設定を無効にして操作のやり直しを促すようにしている。設定受付表示はたとえばモード表示ランプ24の短時間明滅などによって行わせる。
【0038】
===第2実施例における制限モード===
この制限モードでは、図8に示すように、ノーマルモード時に設定された上限値(VU)と下限値(VL)が音量調節範囲を規定し、音量調節ツマミ22を右限位置(300度)へ手動移動させても音量は上限値(VU)までしか上がらず、反対に、音量調節ツマミ22を左限位置(0度)へ手動移動させても音量は下限値(VL)までしか下がらない。
【0039】
すなわち、ノーマルモードにおいては、音量調節ツマミ22の回転範囲(0〜300度)をゼロから最大までのフルレンジのゲイン範囲に対応させる初期設定関数に従って、位置信号をゲイン指定信号に変換するが、この制限モードでは、音量調節ツマミ22の回転範囲(0〜300度)を下限値(VL)から上限値(VU)までのゲイン範囲対応させる関数に従って、位置信号をゲイン指定信号に変換する。
【0040】
カラオケ利用客は、その上限値(VU)と下限値(VL)の範囲内で自由に音量調節を行うことができるが、その上限と下限の調節範囲は店側であらかじめ装置ごとに任意に設定することができる。これにより、カラオケ装置の出力音量レベルの調節操作を利用客に解放して客ごとに好みの音量を設定できるようにするとともに、店側の管理負担を増すことなく、その音量レベルが店側の意図する範囲内で常に適正に行われるようにすることができる。
【0041】
===音量レベルを制限させる部分の具体的な構成例===
図9に示すように、固定抵抗端子a,bと可変抵抗端子(スライダ)cを有する可変抵抗器25を回転位置検出手段として用いた場合、位置信号(音量制御信号)は可変抵抗端子cから出力される。
【0042】
可変抵抗端子cに現れる出力電圧は、一方の固定抵抗端子aへの印加電圧(Vmax/VU)が上限となり、他方の固定抵抗端子bへの印加電圧(Vmin/VL)が下限となる。したがって、この可変抵抗器25の操作軸に連結する音量調節ツマミ22の回転位置信号は、固定抵抗端子a,b間の印加電圧(Vmax/VU−Vmin/VL)の範囲で変化する。
【0043】
ノーマルモード時には、可変抵抗器25の一方の固定抵抗端子(右限側)aに最大音量レベルに相当する電圧(Vmax)を与え、他方の固定抵抗端子(左限側)bにゼロ音量レベルに相当する電圧(Vmin)を与えることにより、その可変抵抗器25の可変抵抗端子cから出力される位置信号の電圧範囲を最小(ゼロ音量値)から最大までのフルレンジに対応させることができる(図4、図7参照)。
【0044】
第1実施例における制限モード時には、可変抵抗器25の一方の固定抵抗端子aに上限値(VU)に相当する電圧を与え、他方の固定抵抗端子bにゼロ音量設定値に相当する電圧(Vmin)を与えることにより、可変抵抗器25から出力される位置信号の電圧範囲をそのゼロ音量値と上限値(VU)の範囲に対応させることができる(図5参照)。
【0045】
第2実施例における制限モード時には、可変抵抗器25の一方の固定抵抗端子aに上限値(VU)に相当する電圧を与え、他方の固定抵抗端子bに下限値(VL)に相当する電圧を与えることにより、可変抵抗器25から出力される位置信号の電圧範囲をその上限値(VU)と下限値(VL)の範囲に対応させることができる(図8参照)。
【0046】
上限値(VU)と下限値(VL)に相当する電圧はそれぞれ、メモリー112,113に記憶させておいた上限値(VU)と下限値(VL)のデジタルデータをそれぞれにDA変換器26,27に通すことにより得られる。
【0047】
可変抵抗器25から出力される位置信号は電子ボリューム回路31に音量制御信号として与えられるとともに、AD変換器28に入力される。ノーマルモード時に上限値(VU)の設定操作が行われると、そのAD変換器28にてデジタル変換された位置信号が上限値(VU)として上限メモリー112に記憶される。同様に、下限値(VL)の設定操作が行われると、そのAD変換器28にてデジタル変換された位置信号が下限値(VL)として下限メモリー113に記憶される。
【0048】
===音量レベルを制限させる部分の別の具体的な構成例===
可変抵抗器25から出力される位置信号とゲイン範囲を対応させるゲイン制御の関数は、図10に示すように、中央処理装置11にてソフトウェア的に生成させるようにしてもよい。同図に示す例では、可変抵抗器25の固定抵抗端子a,b間に一定の固定印加電圧(Vmax−Vmin)を与える。この可変抵抗器25の可変抵抗端子cから出力される位置信号の変化範囲と、これに対応する音量制御信号(ゲイン設定信号)の変化範囲をノーマルモード時と制御モード時とで切り替え設定させる。
【0049】
ノーマルモード時には、位置信号の最小値(左限位置)で音量制御信号が最小値(Vmin)となり、かつ位置信号の最大値(右限位置)で音量制御信号が最小値(Vmax)となるような関数を発生し、この関数にしたがって音量(ゲイン)を変化させる。
【0050】
第1実施例の制限モード時には、位置信号の最小値(左限位置)で音量制御信号が最小値(Vmin)となり、かつ位置信号の最大値(右限位置)で音量制御信号が上限値(VU)となるような関数を発生し、この関数にしたがって音量を変化させる。
【0051】
第2実施例の制限モード時には、位置信号の最小値(左限位置)で音量制御信号が下限値(VL)となり、かつ位置信号の最大値(右限位置)で音量制御信号が上限値(VU)となるような関数を発生し、この関数にしたがって音量(ゲイン)を変化させる。
【符号の説明】
【0052】
11 中央処理装置
112 上限メモリー
113 下限メモリー
12 ハードディスク装置
13 光ディスク再生装置
14 通信制御装置
15 利用者インタフェース装置
16 音楽生成装置
17 音響装置
18 ディスプレイ
19 映像処理装置
21 操作パネル
22 音量調節ツマミ(回転操作子)
22 回転操作子
23 目印
24 モード表示ランプ
25 可変抵抗器(回転位置検出手段)
26,27 DA変換器
28 AD変換器
31 電子ボリューム回路
VU 上限値
VL 下限値

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転操作子と、位置検出手段と、電子ボリューム回路と、上限設定操作手段と、モード切替手段と、モード表示手段と、制御手段を備えたカラオケ装置であって、
回転操作子は、左限位置から右限位置の範囲で手動回転可能であり、付加されている目印により回転位置を視認でき、
位置検出手段は、回転操作子の回転位置に対応した位置信号を出力し、
電子ボリューム回路は、制御手段からのゲイン指定信号に基づいて、伴奏音楽と歌声の音声信号増幅系のゲインを可変設定し、
上限設定操作手段は、所定の手動操作に応じて上限設定指示信号を発生し、
モード切替手段は、ノーマルモードと、制限モードのいずれかを指定し、
モード表示手段は、モード切替手段によりノーマルモードと制限モードのいずれが指定されているのかを区別できるように表示し、
制御手段は、ノーマルモードにおいて、回転検出手段が出力する位置信号を初期設定関数に従ってゲイン指定信号に変換し、回転操作子の回転範囲と電子ボリューム回路のゲイン範囲とを対応させてゲイン制御を行い、
制御手段は、ノーマルモードにおいて、上限設定指示信号が発生した際、そのとき位置検出手段が出力している位置信号に対応した上限値を生成して上限メモリーに記憶し、
制御手段は、制限モードにおいて、電子ボリューム回路のゲイン範囲を上限メモリーに記憶された上限値に対応する範囲に制限し、その制限されたゲイン範囲と回転操作子の回転範囲とを対応させてゲイン制御を行う
カラオケ装置。
【請求項2】
回転操作子と、位置検出手段と、電子ボリューム回路と、上限設定操作手段と、モード切替手段と、モード表示手段と、制御手段を備えたカラオケ装置であって、
回転操作子は、左限位置から右限位置の範囲で手動回転可能であり、付加されている目印により回転位置を視認でき、
位置検出手段は、回転操作子の回転位置に対応した位置信号を出力し、
電子ボリューム回路は、制御手段からのゲイン指定信号に基づいて、伴奏音楽と歌声の音声信号増幅系のゲインを可変設定し、
上限設定操作手段は、所定の手動操作に応じて上限設定指示信号を発生し、
下限設定操作手段は、所定の手動操作に応じて下限設定指示信号を発生し、
モード切替手段は、ノーマルモードと、制限モードのいずれかを指定し、
モード表示手段は、モード切替手段によりノーマルモードと制限モードのいずれが指定されているのかを区別できるように表示し、
制御手段は、ノーマルモードにおいて、回転検出手段が出力する位置信号を初期設定関数に従ってゲイン指定信号に変換し、回転操作子の回転範囲と電子ボリューム回路のゲイン範囲とを対応させてゲイン制御を行い、
制御手段は、ノーマルモードにおいて、上限設定指示信号が発生した際、そのとき位置検出手段が出力している位置信号に対応した上限値を生成して上限メモリーに記憶し、
制御手段は、ノーマルモードにおいて、下限設定指示信号が発生した際、そのとき位置検出手段が出力している位置信号に対応した下限値を生成して下限メモリーに記憶し、
制御手段は、制限モードにおいて、電子ボリューム回路のゲイン範囲を上限メモリーと下限メモリーに記憶された上限値と下限値に対応する範囲に制限し、その制限されたゲイン範囲と回転操作子の回転範囲とを対応させてゲイン制御を行う
カラオケ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−217560(P2010−217560A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−64836(P2009−64836)
【出願日】平成21年3月17日(2009.3.17)
【出願人】(390004710)株式会社第一興商 (537)
【Fターム(参考)】