音響センサ
【課題】センサ感度をあまり低下させることなく、対向電極板の側から振動電極板の振動特性などを計測することのできる音響センサを提供する。
【解決手段】音圧に感応する振動電極板24が対向電極板25に対向し、静電容量型の音響センサを構成する。対向電極板25には、振動を通過させるための音響孔が開口している。対向電極板25に開口された音響孔は、比較的開口面積の小さな複数個の音響孔31と、比較的開口面積の大きな1個の音響孔36とからなり、音響孔31、36は等間隔で格子状に配置されている。また、ダイアフラム28の幅をLとするとき、開口面積の大きな音響孔36は、対向電極板25においてダイアフラム28の中心と対向する位置を中心とする半径r=L/4の円形領域aの内部に設けている。
【解決手段】音圧に感応する振動電極板24が対向電極板25に対向し、静電容量型の音響センサを構成する。対向電極板25には、振動を通過させるための音響孔が開口している。対向電極板25に開口された音響孔は、比較的開口面積の小さな複数個の音響孔31と、比較的開口面積の大きな1個の音響孔36とからなり、音響孔31、36は等間隔で格子状に配置されている。また、ダイアフラム28の幅をLとするとき、開口面積の大きな音響孔36は、対向電極板25においてダイアフラム28の中心と対向する位置を中心とする半径r=L/4の円形領域aの内部に設けている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は音響センサに関し、特に気体や液体中を伝搬する音圧すなわち音響振動を検出するための音響センサに関するものである。
【背景技術】
【0002】
音響センサとしては、特表2004−506394号公報(特許文献1)や特開2005−171763号公報(特許文献2)に開示されたものがある。
【0003】
図1は従来の音響センサ11の構造を模式的に表わした平面図である。この音響センサ11においては、振動電極板12(可動電極)と対向電極板13(固定電極)とが、基板上で微小ギャップ(空隙)を隔てて対向している。対向電極板13は基板上で外部に露出しており、振動電極板12は対向電極板13に覆われている。対向電極板13には、複数の音響孔14(アコースティックホール)が均一な開口面積で開口し、均等な間隔で配置されている。
【0004】
振動電極板12は薄膜によって構成されているので、対向電極板13の音響孔14を通過した音圧(音響振動)が振動電極板12に達すると、振動電極板12はその振動に感応して微小振動する。そして、振動電極板12が振動すると振動電極板12と対向電極板13とのギャップ距離が変化し、そのときの振動電極板12と対向電極板13の間の静電容量の変化を検出することにより音響センサ11で音響振動が検出される。
【0005】
上記音響センサでは、対向電極板に音響孔が設けられているが、この音響孔は音圧を通過させて振動電極板を振動させる以外にも、以下のような種々の機能を担っている。
(1) 音圧を音響孔から逃がして、対向電極板に音圧が印加されないようにする。
(2) 微小ギャップ中の空気を音響孔から逃がすことにより、空気による振動電極板のダンピングを防止する。
(3) マイクロマシニング(半導体微細加工)技術を利用して振動電極板と対向電極板の間の微小ギャップを作製する際に、エッチングホールとなる。
【0006】
【特許文献1】特表2004−506394号公報
【特許文献2】特開2005−171763号公報
【特許文献3】特開2004−128957号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
(検査工程における問題)
このような音響センサの製造後の検査工程においては、振動電極板と対向電極板の間のギャップ距離や振動電極板の振動特性などを計測することにより、音響センサの検査を行なうことが望まれる。しかしながら、特許文献1や特許文献2に記載されている音響センサでは、振動電極板が対向電極板で覆われているので、表面側から直接振動電極板を検査することはできない。また、振動電極板と対向電極板の間の微小ギャップは、裏面側では振動電極板により覆われているので、音響センサの裏面側から検査を行なうこともできない。
【0008】
対向電極板には音響孔が開口しているので、この音響孔を通してキャップ距離や振動電極板の振動特性などを計測することも考えられる。しかし、特許文献1や特許文献2の音響センサでは、音響孔は対向電極板に均一な開口径で設けられ、また対向電極板のほぼ全体に均等に配列されているので、音響孔の開口径を大きくすることはできず、通常は直径が数μm程度である。よって、このように小さな音響孔を通しては、振動電極板の振動等を検査することは困難である。
【0009】
一方、音響孔の開口径を充分に大きくしたり、音響孔を高い密度で配置すれば、振動電極板の観察が可能になると考えられる。しかし、対向電極板のほぼ全体に開口径の大きな音響孔を設けたり、対向電極板のほぼ全体に高い密度で音響孔を開口したりすれば、対向電極板の実質的な電極面積が小さくなり、また対向電極板の剛性が低下し、音響センサの感度が低下する。
【0010】
よって、従来においては、センサ感度をあまり低下させることなく、ギャップ距離や振動電極板の特性を計測できるような音響センサは存在していなかった。
【0011】
また、特開2004−128957号公報(特許文献3)には、対向電極板の外周部において、音響孔の開口径を中心部に位置する音響孔よりも大きくしたり、音響孔の配置密度を中心部より大きくしたりした音響センサが開示されている。しかし、特許文献3において外周部の音響孔を大きくしているのは、振動電極板と対向電極板の間の寄生容量を小さくためである。
【0012】
振動電極板は、その可動部分の中央が最も大きく振動するので、振動電極板の振動特性を計測するには、振動電極板の中央部を観察する必要がある。これに対し、特許文献3の音響センサでは、開口径の大きな音響孔によっては振動電極板の外周縁(固定部分の近傍)しか観察することができず、振動電極板の振動特性を効率的に観察することはできなかった。
【0013】
(振動電極板のスティック)
また、静電容量型の音響センサの場合には、その製造工程や使用中において、図2に示すように振動電極板12が対向電極板13に固着することがある(以下、振動電極板の一部又はほぼ全体が対向電極板に固着してギャップがなくなった状態、あるいはその現象をスティックと呼ぶ。)。こうして振動電極板12が対向電極板13にスティックすると、振動電極板12の振動が妨げられるので、音響センサ11によって音響振動を検出することができなくなる。
【0014】
図3(a)及び図3(b)は、音響センサ11にスティックが発生する原因を説明するための概略図であって、図2のX部に相当する部分を拡大して表わしている。音響センサ11は、マイクロマシニング技術を利用して製造されるので、例えばエッチング後の洗浄工程において振動電極板12と対向電極板13との間に水wが浸入する。また、音響センサ11の使用中においても、振動電極板12と対向電極板13との間に湿気が溜まったり、音響センサ11が水に濡れたりする場合がある。
【0015】
一方、音響センサ11は微小構造物であるため、振動電極板12と対向電極板13の間のギャップ距離は数μmしかない。しかも、音響センサ11の感度を高くするために、振動電極板12の膜厚は1μm程度に薄くなっており、振動電極板12のバネ性はかなり弱い。
【0016】
そのため、この音響センサ11では、たとえば以下に説明するように2段階の過程を経てスティックが起きることがある。第1段階においては、図3(a)に示す、振動電極板12と対向電極板13との間に水wが浸入したとき、その水wによる毛細管力P1ないし表面張力によって振動電極板12が対向電極板13に引き付けられる。
【0017】
そして、第2段階においては、振動電極板12と対向電極板13の間の水wが蒸発した後、図3(b)に示すように振動電極板12が対向電極板13にくっついて、その状態が保持される。水wが蒸発した後も振動電極板12を対向電極板13に固着させて保持する力P2としては、振動電極板12表面と対向電極板13表面との間に働く分子間力、表面間力、静電気力などがある。その結果、振動電極板12は対向電極板13にくっついた状態に保持され、音響センサ11が機能しなくなる。
【0018】
(エアダンピングの問題)
また、従来の音響センサでは、音響孔が小さいので、振動電極板が振動したときに振動電極板と対向電極板の間の微小ギャップ内の空気がスムーズに音響孔から出入りできない。そのため、振動電極板は微小ギャップ内の空気によって振動をダンピング(エアダンピング)され、音響センサの感度を低下させる原因となっていた。
【0019】
本発明は、このような技術的課題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、センサ感度をあまり低下させることなく、対向電極板の側から振動電極板の振動特性などを計測することのできる音響センサを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0020】
このような目的を達成するために、本発明の音響センサは、基板と、前記基板上に固定され、複数の音響孔を開口された対向電極板と、前記基板と前記対向電極板との間で、前記対向電極板と空隙をあけて設けられた、音圧に感応する振動電極板とを有する音響センサにおいて、前記音響孔は、複数の第1の音響孔と、前記第1の音響孔よりも開口面積の大きな第2の音響孔とからなり、前記第2の音響孔は、前記対向電極板において、前記振動電極板の可動部分の中央部に対向する領域に配置されていることを特徴としている。
【0021】
本発明の音響センサにあっては、開口面積の大きな第2の音響孔を振動電極板の可動部分の中央部に対向する領域に設けているので、対向電極板の第2の音響孔を通して振動電極板と対向電極板との間のギャップ距離や振動電極板の振動特性等を計測することができる。しかも、第2の音響孔を通して振動電極板の中央部を計測することができるので、振動電極板の振動特性を精度よく計測することができる。
【0022】
また、この音響センサにあっては、他の音響孔(第1の音響孔)よりも開口面積の大きな音響孔(第2の音響孔)が対向電極板に設けられているので、第2の音響孔を画像認識のためのマーカーとして利用することができ、画像認識精度が向上する。
【0023】
また、この音響センサにあっては、対向電極板に比較的開口面積の大きな第2の音響孔が設けられているので、振動電極板と対向電極板との間に水が浸入していても第2の音響孔から速やかに蒸発させることができる。さらに、第2の音響孔を開口したことによって対向電極板の電極面積を小さくできるので、電圧を印加されている振動電極板と対向電極板との静電力も小さくなる。よって、振動電極板と対向電極板の間の毛細管力を小さくして振動電極膜のスティックを低減させることができる。
【0024】
本発明の音響センサのある実施態様は、前記振動電極板の前記可動部分の幅をLとするとき、前記第2の音響孔が、前記対向電極板において、前記可動部分の中心に対向する位置を中心とする半径がL/4の円形の領域の内部に設けられたことを特徴としている。振動電極板は、その中心を中心とする半径がL/4の円形領域よりも外側では撓みや振動が小さく、当該円形領域よりも外側では振動電極膜等の検査精度が得にくい。従って、対向電極板の、振動電極板の中心に対向する点を中心とする半径L/4の円形領域の内側に第2の音響孔を設けることにより、第2の音響孔を通して振動電極板の撓みや振動の大きな箇所を計測することができる。
【0025】
本発明の音響センサの別な実施態様は、前記第2の音響孔を唯一つ有することを特徴としている。かかる実施態様では、開口面積の大きな第2の音響孔を最小限の数にしているので、対向電極板の電極面積減少を最小にでき、音響センサの感度低下を小さくできる。
【0026】
さらに、この実施態様における前記第2の音響孔が、前記対向電極板において、前記振動電極板の前記可動部分の中心に対向する位置に設けてあれば、第2の電極孔を通して振動電極板の最も振動や撓みの大きな中心を計測することができ、計測精度を向上させることができる。
【0027】
本発明の音響センサのさらに別な実施態様は、前記第2の音響孔を複数有することを特徴としている。かかる実施態様にあっては、開口面積の大きな第2の音響孔を対向電極板に複数設けているので、第2の音響孔から振動電極板と対向電極板の間に浸入した水をより速やかに蒸発させることができる。また、対向電極板の電極面積もより小さくなり、振動電極板と対向電極板の間の静電力を小さくできる。よって、この実施形態によれば、振動電極板のスティックをより効果的に低減できる。
【0028】
本発明の音響センサのさらに別な実施態様における前記第1の音響孔は、前記対向電極板において、前記振動電極板の前記可動部分の中央部に対向する領域で、その外側の領域よりも密に配置されていることを特徴としている。かかる実施態様にあっては、振動電極板の可動部分の中央部に対向する領域で、その外側の領域よりも密に第1の音響孔を配置しているので、密集した第1の音響孔から振動電極板と対向電極板の間に浸入した水をより速やかに蒸発させることができる。また、対向電極板の電極面積もより小さくなり、振動電極板と対向電極板の間の静電力を小さくできる。よって、この実施形態によれば、振動電極板のスティックをより効果的に低減できる。
【0029】
なお、本発明における前記課題を解決するための手段は、以上説明した構成要素を適宜組み合せた特徴を有するものであり、本発明はかかる構成要素の組合せによる多くのバリエーションを可能とするものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態を説明する。なお、本発明は、本発明の発明概念を逸脱しない限り、以下の実施形態に限定されるものではない。
【0031】
(実施形態1)
以下、図4〜図9を参照して本発明の第1の実施形態を説明する。図4は第1の実施形態による音響センサ21を示す斜視図であり、図5はその分解斜視図である。また、図6は図4のY−Y線に沿った断面図である。
【0032】
この音響センサ21は静電容量型のセンサであり、シリコン基板22の上面に絶縁被膜23を介して振動電極板24を設け、その上に微小ギャップ(空隙)を介して対向電極板25を設けたものである。
【0033】
シリコン基板22には、角柱状の貫通孔26もしくは角錐台状の凹部が設けられている。図では角柱状の貫通孔26を示している。シリコン基板22のサイズは、平面視で1〜1.5mm角(これよりも小さくすることも可能である。)であり、シリコン基板22の厚みが400〜500μm程度である。シリコン基板22の上面には酸化膜等からなる絶縁被膜23が形成されている。
【0034】
振動電極板24は、膜厚が1μm程度のポリシリコン薄膜によって形成されている。振動電極板24はほぼ矩形状の薄膜であって、その四隅部分には対角方向外側に向けて固定部27が延出している。振動電極板24は、貫通孔26又は凹部の上面開口を覆うようにしてシリコン基板22の上面に配置され、各固定部27を絶縁被膜23の上に固定されている。振動電極板24のうち貫通孔26又は凹部の上方で宙空に支持された部分(この実施形態では、固定部27以外の部分)はダイアフラム28(可動部分)となっており、音圧に感応して振動する。
【0035】
対向電極板25は、窒化膜からなる絶縁性支持層29の上面に金属製薄膜からなる固定電極30を設けたものである。対向電極板25は、振動電極板24の上に配置され、ダイアフラム28と対向する領域の外側においては、酸化膜等からなる絶縁被膜33を介してシリコン基板22の上面に固定されている。対向電極板25は、ダイアフラム28と対向する領域においては3μm程度の微小ギャップをあけてダイアフラム28を覆っている。また、固定電極30及び支持層29には、上面から下面に貫通するようにして、音圧(振動)を通過させるための音響孔(アコースティックホール)が穿孔されている。なお、振動電極板24は、音圧に共鳴して振動するものであるから、1μm程度の薄膜となっているが、対向電極板25は音圧によって励振されない電極であるので、その厚みは例えば2μm以上というように厚くなっている。
【0036】
図7は音響センサ21を模式的に表した平面図である。対向電極板25に開口された音響孔は、比較的開口面積の小さな複数個の音響孔31(第1の音響孔)と、比較的開口面積の大きな1個の音響孔36(第2の音響孔)とからなり、音響孔31、36は等間隔で格子状に配置されている。ダイアフラム28の幅(図示しないが、円形のダイアフラム28の場合には直径)をLとするとき、開口面積の大きな音響孔36は、対向電極板25においてダイアフラム28の中心と対向する位置を中心とする半径r=L/4の円形領域aの内部に納まっている。特に好ましくは、音響孔36は、対向電極板25においてダイアフラム28の中心と対向する位置に設けている。具体的な数値を挙げれば、ダイアフラム28の幅Lが800μm、対向電極板25の幅Wが1000μmとなっている。各音響孔31は直径dが10μmの円形となっており、音響孔36は直径Dが20μmの円形となっており、音響孔31、36はp=50μmのピッチで配列している。
【0037】
対向電極板25の端部には、固定電極30に導通した電極パッド32を備えている。また、支持層29にあけられた開口34からは固定部27から延出した延出部27aが露出しており、支持層29の端部上面に設けられた電極パッド35は、開口34を通して延出部27aに導通している。よって、振動電極板24と対向電極板25とは電気的に絶縁されており、振動電極板24と固定電極30によってキャパシタを構成している。
【0038】
しかして、第1の実施形態の音響センサ21にあっては、表面側から音響振動(空気の疎密波)が到達すると、この音響振動は対向電極板25の音響孔31を通過してダイアフラム28に達し、ダイアフラム28を振動させる。ダイアフラム28が振動すると、ダイアフラム28と対向電極板25との間のギャップ距離が変化するので、それによってダイアフラム28と固定電極30の間の静電容量が変化する。よって、電極パッド32、35間に直流電圧を印加しておき、この静電容量の変化を電気的な信号として取り出すようにすれば、音の振動を電気的な信号に変換して検出することができる。
【0039】
この音響センサ21にあっては、図7に示すように、音響センサ21の中央部に他の音響孔31よりも大きな音響孔36が位置しているので、画像の認識性が良好となり、アライメント精度が向上する。例えば、この音響センサ21は、マイクロマシニング(半導体微細加工)技術を用いて製造され、数mm角の微小構造物であるため、回路基板などに実装する際には、撮像カメラで撮像して画像認識し、チップマウンタなどを用いて自動実装する。このとき、中央部の音響孔36が他の音響孔31とサイズが異なっているので、画像認識用の明瞭なマーカーとなり、撮像カメラで撮影した画像の認識性が良好となり、音響センサ21をチップマウンタで精度良くピックアップできるようになる。
【0040】
また、音響センサ21の製造後の検査工程においては、音響孔36を利用して振動電極板24のさまざまな検査や計測が行えるようになる。例えば、図8に示すように、音響孔36を通過させたレーザー光αを振動電極板24に照射し、振動電極板24で反射して戻ってきたレーザー光αを受光することで、レーザードップラ測定計などにより、振動電極板24の振動量や固有周波数などを計測することができる。レーザー光を用いた検査を行うには、音響孔36の直径Dは10μm以上であることが望ましい。音響孔36の直径Dが10μmよりも小さいと、レーザー光αが音響孔36を通過して振動電極板24に照射されたとしても、反射したレーザー光αが音響孔36の縁に当たって戻りにくくなるためである。
【0041】
また、光学式三次元計測計や測長レーザー計を用いれば、音響孔36を通して対向電極板25と振動電極板24との間のギャップ距離を計測することができる。音響センサ21では、振動電極板24と対向電極板25の間のギャップ距離は特性上重要であるが、これらの干渉計を用いれば、振動電極板24や対向電極板25の初期撓みなどによるギャップ距離の異常を検知することができる。このような干渉計を用いた検査を行うためには、音響孔36の直径Dは20μm以上であることが望ましい。
【0042】
振動電極板24は、ダイアフラム28の中心を中心とする半径がL/4の円形領域aよりも外側では撓みや振動が小さく、円形領域aよりも外側では検査精度が得にくい。従って、上記のような検査を行うためには、音響孔36はダイアフラム28の中心に対向する点を中心とする半径r=L/4の円形領域aの内側に設けることが望ましい。特に、振動電極板24はダイアフラム28の中央部で振動量が最大になることが多いので、振動電極板24の測定を行う場合には、音響孔36はダイアフラム28の中心に対向する位置に設けるのが望ましい。
【0043】
また、この音響センサ21によれば、振動電極板24のスティックを軽減することができる。例えば、音響センサ21の製造工程における水洗で振動電極板24と対向電極板25との間の微小ギャップに水wが充満したとしても、その後の乾燥処理では、図9(a)に示すように、開口径の大きな音響孔36では他の音響孔31よりも素早く乾燥が始まる。そして、乾燥処理時間の経過により、図9(b)に示すように、音響孔36の部分では水wがなくなり、他の音響孔31でも水wの蒸発が進行する。このように最もスティックしやすいダイアフラム28の中央部で水が速やかに蒸発するので、ダイアフラム28の中央部における毛細管力が弱くなり、振動電極板24のスティックが軽減される。
【0044】
(実施形態2)
図10は本発明の第2の実施形態による音響センサ41を模式的に表した平面図である。この音響センサ41にあっては、対向電極板25に複数個の音響孔36を設けている。音響孔36は音響孔31と同じピッチで設けてあり、音響孔36、31は均等に配列されている。これはエッチングにより音響孔31及び36を開口する際に、均等にエッチングを行えるようにするためである。
【0045】
この音響センサ41でも、第1の実施形態の場合と同様に、複数個の音響孔36が画像認識用のマーカーとなり、音響センサ41の画像認識を高精度で行える。また、これらの音響孔36を通して、レーザードップラ測定計や光学式三次元計測計、測長レーザー計などを用いて振動電極板24の計測を行うことができる。特に複数個の音響孔36が開口されているので、より広い範囲にわたって振動電極板24の振動状態などの計測を行うことができる。さらに、この音響センサ41の場合も、第1の実施形態の場合と同様な理由から、各音響孔36は、ダイアフラム28の中心に対向する点を中心とする半径r=L/4の円形領域aの内側に設けることが望ましい。なお、円形領域aの半径r=L/4は、ダイアフラム28の幅Lを800μmとすれば、200μmとなる。
【0046】
さらに、この音響センサ41では、第1の実施形態の場合よりも対向電極板25の開口面積が大きくなるので、図11に示すように対向電極板25を空気が通過し易くなる。よって、振動電極板24が振動するとき、振動電極板24と対向電極板25の間の空気が音響孔36、31を通じて出入りし易くなる。そのため、振動電極板24と対向電極板25の間の空気によって振動電極板24の振動が抑制されるエアダンピングが起こりにくくなり、音響センサ41の周波数特性(特に、高周波側における特性)が平坦になり、周波数特性が良好になる。
【0047】
また、この音響センサ41によれば、対向電極板25に複数個の音響孔36が開口していて対向電極板25の開口面積が大きくなっているので、第1の実施形態の場合と同様に(図9参照)、振動電極板24のスティックが軽減する。すなわち、音響センサ41の製造工程における水洗で濡れても、振動電極板24と対向電極板25の間に溜まった水は音響孔36から速やかに蒸発するので、ダイアフラム28の中央部が速やかに乾燥して毛細管力が小さくなり、振動電極板24のスティックが軽減される。さらに、この音響センサ41の場合には、複数個の音響孔36をダイアフラム28の中央部に対向させて設けているので、図12に示すように、振動電極板24の変位(撓み)の大きな中央部で対向電極板25の電極面積を減らすことができる。その結果、ダイアフラム28の中央部と対向電極板25との間に働く静電引力が小さくなり、より一層スティックを軽減できると共にPull-in電圧を下げることができる。
【0048】
(実施形態3)
図13は本発明の第3の実施形態による音響センサ51を模式的に表した平面図である。この音響センサ51にあっては、対向電極板25において、ダイアフラム28の中心と対向する位置に開口径の大きな音響孔36を設けている。また、対向電極板25において、ダイアフラム28の中心と対向する点を中心とする円形領域a内には、円形領域a外における音響孔31と同じ開口径で、かつ、円形領域a外における音響孔31のピッチよりも小さなピッチで、音響孔31を密に設けている。この円形領域aの半径rは、第1の実施形態の場合と同様な理由から、r=L/4とすることが望ましい。例えば、円形領域aの外側では第1の実施形態の場合と同様に音響孔31のピッチを50μmとしているとすると、円形領域aの内部では、音響孔31のピッチは25μmとなっている。
【0049】
この音響センサ51でも、第1の実施形態の場合と同様に、音響孔36が画像認識用のマーカーとなり、音響センサ51の画像認識を高精度で行える。また、この音響孔36を通して、レーザードップラ測定計や光学式三次元計測計、測長レーザー計などを用いて振動電極板24の計測を行うことができる。
【0050】
さらに、この音響センサ51では、第2の実施形態の場合と同様に、対向電極板25の開口面積が大きくなるので、対向電極板25を空気が通過し易くなる。よって、振動電極板24の振動が空気によってダンピングされにくくなり、音響センサ51の周波数特性(特に、高周波側における特性)が平坦になり、周波数特性が良好になる。
【0051】
また、この音響センサ51によれば、対向電極板25のダイアフラム28中央部に対向する領域に、開口径の大きな音響孔36と密に配置された音響孔31を設けて対向電極板25の開口面積を大きくしているので、第1の実施形態の場合と同様に(図9参照)、振動電極板24のスティックが軽減する。すなわち、音響センサ51の製造工程における水洗で濡れても、振動電極板24と対向電極板25の間に溜まった水は音響孔36及び中央部の音響孔31から速やかに蒸発するので、ダイアフラム28の中央部が速やかに乾燥して毛細管力が小さくなり、振動電極板24のスティックが軽減される。さらに、この音響センサ51の場合にも、音響孔36と密に配置された音響孔31をダイアフラム28の中央部に対向させて設けているので、振動電極板24の変位(撓み)の大きな中央部で対向電極板25の電極面積を減らすことができる。その結果、ダイアフラム28の中央部と対向電極板25との間に働く静電引力が小さくなり、より一層スティックを軽減できると共にPull-in電圧を下げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】図1は、従来の音響センサの構造を模式的に表わした平面図である。
【図2】図2は、従来の音響センサにおいて、振動電極板が対向電極板にスティックした様子を示す概略断面図である。
【図3】図3(a)及び図3(b)は、従来の音響センサにおいてスティックが発生する原因を説明する図である。
【図4】図4は、本発明の第1の実施形態による音響センサを示す斜視図である。
【図5】図5は、第1の実施形態による音響センサの分解斜視図である。
【図6】図6は、図4のY−Y線に沿った断面図である。
【図7】図7は、第1の実施形態による音響センサを模式的に表した平面図である。
【図8】図8は、第1の実施形態の音響センサを検査している様子を説明する概略断面図である。
【図9】図9(a)及び図9(b)は、第1の実施形態の音響センサで振動電極板のスティックを軽減できる理由を説明する図である。
【図10】図10は、本発明の第2の実施形態による音響センサを模式的に表した平面図である。
【図11】図11は、第2の実施形態の音響センサで振動電極板のエアダンピングを軽減できる理由を説明する図である。
【図12】図12は、第2の実施形態の音響センサでPull-in電圧を低減できる理由を説明する図である。
【図13】図13は、本発明の第3の実施形態による音響センサ51を模式的に表した平面図である。
【符号の説明】
【0053】
21 音響センサ
22 シリコン基板
24 振動電極板
25 対向電極板
28 ダイアフラム
30 固定電極
31 音響孔
36 音響孔
41 音響センサ
51 音響センサ
w 水
【技術分野】
【0001】
本発明は音響センサに関し、特に気体や液体中を伝搬する音圧すなわち音響振動を検出するための音響センサに関するものである。
【背景技術】
【0002】
音響センサとしては、特表2004−506394号公報(特許文献1)や特開2005−171763号公報(特許文献2)に開示されたものがある。
【0003】
図1は従来の音響センサ11の構造を模式的に表わした平面図である。この音響センサ11においては、振動電極板12(可動電極)と対向電極板13(固定電極)とが、基板上で微小ギャップ(空隙)を隔てて対向している。対向電極板13は基板上で外部に露出しており、振動電極板12は対向電極板13に覆われている。対向電極板13には、複数の音響孔14(アコースティックホール)が均一な開口面積で開口し、均等な間隔で配置されている。
【0004】
振動電極板12は薄膜によって構成されているので、対向電極板13の音響孔14を通過した音圧(音響振動)が振動電極板12に達すると、振動電極板12はその振動に感応して微小振動する。そして、振動電極板12が振動すると振動電極板12と対向電極板13とのギャップ距離が変化し、そのときの振動電極板12と対向電極板13の間の静電容量の変化を検出することにより音響センサ11で音響振動が検出される。
【0005】
上記音響センサでは、対向電極板に音響孔が設けられているが、この音響孔は音圧を通過させて振動電極板を振動させる以外にも、以下のような種々の機能を担っている。
(1) 音圧を音響孔から逃がして、対向電極板に音圧が印加されないようにする。
(2) 微小ギャップ中の空気を音響孔から逃がすことにより、空気による振動電極板のダンピングを防止する。
(3) マイクロマシニング(半導体微細加工)技術を利用して振動電極板と対向電極板の間の微小ギャップを作製する際に、エッチングホールとなる。
【0006】
【特許文献1】特表2004−506394号公報
【特許文献2】特開2005−171763号公報
【特許文献3】特開2004−128957号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
(検査工程における問題)
このような音響センサの製造後の検査工程においては、振動電極板と対向電極板の間のギャップ距離や振動電極板の振動特性などを計測することにより、音響センサの検査を行なうことが望まれる。しかしながら、特許文献1や特許文献2に記載されている音響センサでは、振動電極板が対向電極板で覆われているので、表面側から直接振動電極板を検査することはできない。また、振動電極板と対向電極板の間の微小ギャップは、裏面側では振動電極板により覆われているので、音響センサの裏面側から検査を行なうこともできない。
【0008】
対向電極板には音響孔が開口しているので、この音響孔を通してキャップ距離や振動電極板の振動特性などを計測することも考えられる。しかし、特許文献1や特許文献2の音響センサでは、音響孔は対向電極板に均一な開口径で設けられ、また対向電極板のほぼ全体に均等に配列されているので、音響孔の開口径を大きくすることはできず、通常は直径が数μm程度である。よって、このように小さな音響孔を通しては、振動電極板の振動等を検査することは困難である。
【0009】
一方、音響孔の開口径を充分に大きくしたり、音響孔を高い密度で配置すれば、振動電極板の観察が可能になると考えられる。しかし、対向電極板のほぼ全体に開口径の大きな音響孔を設けたり、対向電極板のほぼ全体に高い密度で音響孔を開口したりすれば、対向電極板の実質的な電極面積が小さくなり、また対向電極板の剛性が低下し、音響センサの感度が低下する。
【0010】
よって、従来においては、センサ感度をあまり低下させることなく、ギャップ距離や振動電極板の特性を計測できるような音響センサは存在していなかった。
【0011】
また、特開2004−128957号公報(特許文献3)には、対向電極板の外周部において、音響孔の開口径を中心部に位置する音響孔よりも大きくしたり、音響孔の配置密度を中心部より大きくしたりした音響センサが開示されている。しかし、特許文献3において外周部の音響孔を大きくしているのは、振動電極板と対向電極板の間の寄生容量を小さくためである。
【0012】
振動電極板は、その可動部分の中央が最も大きく振動するので、振動電極板の振動特性を計測するには、振動電極板の中央部を観察する必要がある。これに対し、特許文献3の音響センサでは、開口径の大きな音響孔によっては振動電極板の外周縁(固定部分の近傍)しか観察することができず、振動電極板の振動特性を効率的に観察することはできなかった。
【0013】
(振動電極板のスティック)
また、静電容量型の音響センサの場合には、その製造工程や使用中において、図2に示すように振動電極板12が対向電極板13に固着することがある(以下、振動電極板の一部又はほぼ全体が対向電極板に固着してギャップがなくなった状態、あるいはその現象をスティックと呼ぶ。)。こうして振動電極板12が対向電極板13にスティックすると、振動電極板12の振動が妨げられるので、音響センサ11によって音響振動を検出することができなくなる。
【0014】
図3(a)及び図3(b)は、音響センサ11にスティックが発生する原因を説明するための概略図であって、図2のX部に相当する部分を拡大して表わしている。音響センサ11は、マイクロマシニング技術を利用して製造されるので、例えばエッチング後の洗浄工程において振動電極板12と対向電極板13との間に水wが浸入する。また、音響センサ11の使用中においても、振動電極板12と対向電極板13との間に湿気が溜まったり、音響センサ11が水に濡れたりする場合がある。
【0015】
一方、音響センサ11は微小構造物であるため、振動電極板12と対向電極板13の間のギャップ距離は数μmしかない。しかも、音響センサ11の感度を高くするために、振動電極板12の膜厚は1μm程度に薄くなっており、振動電極板12のバネ性はかなり弱い。
【0016】
そのため、この音響センサ11では、たとえば以下に説明するように2段階の過程を経てスティックが起きることがある。第1段階においては、図3(a)に示す、振動電極板12と対向電極板13との間に水wが浸入したとき、その水wによる毛細管力P1ないし表面張力によって振動電極板12が対向電極板13に引き付けられる。
【0017】
そして、第2段階においては、振動電極板12と対向電極板13の間の水wが蒸発した後、図3(b)に示すように振動電極板12が対向電極板13にくっついて、その状態が保持される。水wが蒸発した後も振動電極板12を対向電極板13に固着させて保持する力P2としては、振動電極板12表面と対向電極板13表面との間に働く分子間力、表面間力、静電気力などがある。その結果、振動電極板12は対向電極板13にくっついた状態に保持され、音響センサ11が機能しなくなる。
【0018】
(エアダンピングの問題)
また、従来の音響センサでは、音響孔が小さいので、振動電極板が振動したときに振動電極板と対向電極板の間の微小ギャップ内の空気がスムーズに音響孔から出入りできない。そのため、振動電極板は微小ギャップ内の空気によって振動をダンピング(エアダンピング)され、音響センサの感度を低下させる原因となっていた。
【0019】
本発明は、このような技術的課題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、センサ感度をあまり低下させることなく、対向電極板の側から振動電極板の振動特性などを計測することのできる音響センサを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0020】
このような目的を達成するために、本発明の音響センサは、基板と、前記基板上に固定され、複数の音響孔を開口された対向電極板と、前記基板と前記対向電極板との間で、前記対向電極板と空隙をあけて設けられた、音圧に感応する振動電極板とを有する音響センサにおいて、前記音響孔は、複数の第1の音響孔と、前記第1の音響孔よりも開口面積の大きな第2の音響孔とからなり、前記第2の音響孔は、前記対向電極板において、前記振動電極板の可動部分の中央部に対向する領域に配置されていることを特徴としている。
【0021】
本発明の音響センサにあっては、開口面積の大きな第2の音響孔を振動電極板の可動部分の中央部に対向する領域に設けているので、対向電極板の第2の音響孔を通して振動電極板と対向電極板との間のギャップ距離や振動電極板の振動特性等を計測することができる。しかも、第2の音響孔を通して振動電極板の中央部を計測することができるので、振動電極板の振動特性を精度よく計測することができる。
【0022】
また、この音響センサにあっては、他の音響孔(第1の音響孔)よりも開口面積の大きな音響孔(第2の音響孔)が対向電極板に設けられているので、第2の音響孔を画像認識のためのマーカーとして利用することができ、画像認識精度が向上する。
【0023】
また、この音響センサにあっては、対向電極板に比較的開口面積の大きな第2の音響孔が設けられているので、振動電極板と対向電極板との間に水が浸入していても第2の音響孔から速やかに蒸発させることができる。さらに、第2の音響孔を開口したことによって対向電極板の電極面積を小さくできるので、電圧を印加されている振動電極板と対向電極板との静電力も小さくなる。よって、振動電極板と対向電極板の間の毛細管力を小さくして振動電極膜のスティックを低減させることができる。
【0024】
本発明の音響センサのある実施態様は、前記振動電極板の前記可動部分の幅をLとするとき、前記第2の音響孔が、前記対向電極板において、前記可動部分の中心に対向する位置を中心とする半径がL/4の円形の領域の内部に設けられたことを特徴としている。振動電極板は、その中心を中心とする半径がL/4の円形領域よりも外側では撓みや振動が小さく、当該円形領域よりも外側では振動電極膜等の検査精度が得にくい。従って、対向電極板の、振動電極板の中心に対向する点を中心とする半径L/4の円形領域の内側に第2の音響孔を設けることにより、第2の音響孔を通して振動電極板の撓みや振動の大きな箇所を計測することができる。
【0025】
本発明の音響センサの別な実施態様は、前記第2の音響孔を唯一つ有することを特徴としている。かかる実施態様では、開口面積の大きな第2の音響孔を最小限の数にしているので、対向電極板の電極面積減少を最小にでき、音響センサの感度低下を小さくできる。
【0026】
さらに、この実施態様における前記第2の音響孔が、前記対向電極板において、前記振動電極板の前記可動部分の中心に対向する位置に設けてあれば、第2の電極孔を通して振動電極板の最も振動や撓みの大きな中心を計測することができ、計測精度を向上させることができる。
【0027】
本発明の音響センサのさらに別な実施態様は、前記第2の音響孔を複数有することを特徴としている。かかる実施態様にあっては、開口面積の大きな第2の音響孔を対向電極板に複数設けているので、第2の音響孔から振動電極板と対向電極板の間に浸入した水をより速やかに蒸発させることができる。また、対向電極板の電極面積もより小さくなり、振動電極板と対向電極板の間の静電力を小さくできる。よって、この実施形態によれば、振動電極板のスティックをより効果的に低減できる。
【0028】
本発明の音響センサのさらに別な実施態様における前記第1の音響孔は、前記対向電極板において、前記振動電極板の前記可動部分の中央部に対向する領域で、その外側の領域よりも密に配置されていることを特徴としている。かかる実施態様にあっては、振動電極板の可動部分の中央部に対向する領域で、その外側の領域よりも密に第1の音響孔を配置しているので、密集した第1の音響孔から振動電極板と対向電極板の間に浸入した水をより速やかに蒸発させることができる。また、対向電極板の電極面積もより小さくなり、振動電極板と対向電極板の間の静電力を小さくできる。よって、この実施形態によれば、振動電極板のスティックをより効果的に低減できる。
【0029】
なお、本発明における前記課題を解決するための手段は、以上説明した構成要素を適宜組み合せた特徴を有するものであり、本発明はかかる構成要素の組合せによる多くのバリエーションを可能とするものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態を説明する。なお、本発明は、本発明の発明概念を逸脱しない限り、以下の実施形態に限定されるものではない。
【0031】
(実施形態1)
以下、図4〜図9を参照して本発明の第1の実施形態を説明する。図4は第1の実施形態による音響センサ21を示す斜視図であり、図5はその分解斜視図である。また、図6は図4のY−Y線に沿った断面図である。
【0032】
この音響センサ21は静電容量型のセンサであり、シリコン基板22の上面に絶縁被膜23を介して振動電極板24を設け、その上に微小ギャップ(空隙)を介して対向電極板25を設けたものである。
【0033】
シリコン基板22には、角柱状の貫通孔26もしくは角錐台状の凹部が設けられている。図では角柱状の貫通孔26を示している。シリコン基板22のサイズは、平面視で1〜1.5mm角(これよりも小さくすることも可能である。)であり、シリコン基板22の厚みが400〜500μm程度である。シリコン基板22の上面には酸化膜等からなる絶縁被膜23が形成されている。
【0034】
振動電極板24は、膜厚が1μm程度のポリシリコン薄膜によって形成されている。振動電極板24はほぼ矩形状の薄膜であって、その四隅部分には対角方向外側に向けて固定部27が延出している。振動電極板24は、貫通孔26又は凹部の上面開口を覆うようにしてシリコン基板22の上面に配置され、各固定部27を絶縁被膜23の上に固定されている。振動電極板24のうち貫通孔26又は凹部の上方で宙空に支持された部分(この実施形態では、固定部27以外の部分)はダイアフラム28(可動部分)となっており、音圧に感応して振動する。
【0035】
対向電極板25は、窒化膜からなる絶縁性支持層29の上面に金属製薄膜からなる固定電極30を設けたものである。対向電極板25は、振動電極板24の上に配置され、ダイアフラム28と対向する領域の外側においては、酸化膜等からなる絶縁被膜33を介してシリコン基板22の上面に固定されている。対向電極板25は、ダイアフラム28と対向する領域においては3μm程度の微小ギャップをあけてダイアフラム28を覆っている。また、固定電極30及び支持層29には、上面から下面に貫通するようにして、音圧(振動)を通過させるための音響孔(アコースティックホール)が穿孔されている。なお、振動電極板24は、音圧に共鳴して振動するものであるから、1μm程度の薄膜となっているが、対向電極板25は音圧によって励振されない電極であるので、その厚みは例えば2μm以上というように厚くなっている。
【0036】
図7は音響センサ21を模式的に表した平面図である。対向電極板25に開口された音響孔は、比較的開口面積の小さな複数個の音響孔31(第1の音響孔)と、比較的開口面積の大きな1個の音響孔36(第2の音響孔)とからなり、音響孔31、36は等間隔で格子状に配置されている。ダイアフラム28の幅(図示しないが、円形のダイアフラム28の場合には直径)をLとするとき、開口面積の大きな音響孔36は、対向電極板25においてダイアフラム28の中心と対向する位置を中心とする半径r=L/4の円形領域aの内部に納まっている。特に好ましくは、音響孔36は、対向電極板25においてダイアフラム28の中心と対向する位置に設けている。具体的な数値を挙げれば、ダイアフラム28の幅Lが800μm、対向電極板25の幅Wが1000μmとなっている。各音響孔31は直径dが10μmの円形となっており、音響孔36は直径Dが20μmの円形となっており、音響孔31、36はp=50μmのピッチで配列している。
【0037】
対向電極板25の端部には、固定電極30に導通した電極パッド32を備えている。また、支持層29にあけられた開口34からは固定部27から延出した延出部27aが露出しており、支持層29の端部上面に設けられた電極パッド35は、開口34を通して延出部27aに導通している。よって、振動電極板24と対向電極板25とは電気的に絶縁されており、振動電極板24と固定電極30によってキャパシタを構成している。
【0038】
しかして、第1の実施形態の音響センサ21にあっては、表面側から音響振動(空気の疎密波)が到達すると、この音響振動は対向電極板25の音響孔31を通過してダイアフラム28に達し、ダイアフラム28を振動させる。ダイアフラム28が振動すると、ダイアフラム28と対向電極板25との間のギャップ距離が変化するので、それによってダイアフラム28と固定電極30の間の静電容量が変化する。よって、電極パッド32、35間に直流電圧を印加しておき、この静電容量の変化を電気的な信号として取り出すようにすれば、音の振動を電気的な信号に変換して検出することができる。
【0039】
この音響センサ21にあっては、図7に示すように、音響センサ21の中央部に他の音響孔31よりも大きな音響孔36が位置しているので、画像の認識性が良好となり、アライメント精度が向上する。例えば、この音響センサ21は、マイクロマシニング(半導体微細加工)技術を用いて製造され、数mm角の微小構造物であるため、回路基板などに実装する際には、撮像カメラで撮像して画像認識し、チップマウンタなどを用いて自動実装する。このとき、中央部の音響孔36が他の音響孔31とサイズが異なっているので、画像認識用の明瞭なマーカーとなり、撮像カメラで撮影した画像の認識性が良好となり、音響センサ21をチップマウンタで精度良くピックアップできるようになる。
【0040】
また、音響センサ21の製造後の検査工程においては、音響孔36を利用して振動電極板24のさまざまな検査や計測が行えるようになる。例えば、図8に示すように、音響孔36を通過させたレーザー光αを振動電極板24に照射し、振動電極板24で反射して戻ってきたレーザー光αを受光することで、レーザードップラ測定計などにより、振動電極板24の振動量や固有周波数などを計測することができる。レーザー光を用いた検査を行うには、音響孔36の直径Dは10μm以上であることが望ましい。音響孔36の直径Dが10μmよりも小さいと、レーザー光αが音響孔36を通過して振動電極板24に照射されたとしても、反射したレーザー光αが音響孔36の縁に当たって戻りにくくなるためである。
【0041】
また、光学式三次元計測計や測長レーザー計を用いれば、音響孔36を通して対向電極板25と振動電極板24との間のギャップ距離を計測することができる。音響センサ21では、振動電極板24と対向電極板25の間のギャップ距離は特性上重要であるが、これらの干渉計を用いれば、振動電極板24や対向電極板25の初期撓みなどによるギャップ距離の異常を検知することができる。このような干渉計を用いた検査を行うためには、音響孔36の直径Dは20μm以上であることが望ましい。
【0042】
振動電極板24は、ダイアフラム28の中心を中心とする半径がL/4の円形領域aよりも外側では撓みや振動が小さく、円形領域aよりも外側では検査精度が得にくい。従って、上記のような検査を行うためには、音響孔36はダイアフラム28の中心に対向する点を中心とする半径r=L/4の円形領域aの内側に設けることが望ましい。特に、振動電極板24はダイアフラム28の中央部で振動量が最大になることが多いので、振動電極板24の測定を行う場合には、音響孔36はダイアフラム28の中心に対向する位置に設けるのが望ましい。
【0043】
また、この音響センサ21によれば、振動電極板24のスティックを軽減することができる。例えば、音響センサ21の製造工程における水洗で振動電極板24と対向電極板25との間の微小ギャップに水wが充満したとしても、その後の乾燥処理では、図9(a)に示すように、開口径の大きな音響孔36では他の音響孔31よりも素早く乾燥が始まる。そして、乾燥処理時間の経過により、図9(b)に示すように、音響孔36の部分では水wがなくなり、他の音響孔31でも水wの蒸発が進行する。このように最もスティックしやすいダイアフラム28の中央部で水が速やかに蒸発するので、ダイアフラム28の中央部における毛細管力が弱くなり、振動電極板24のスティックが軽減される。
【0044】
(実施形態2)
図10は本発明の第2の実施形態による音響センサ41を模式的に表した平面図である。この音響センサ41にあっては、対向電極板25に複数個の音響孔36を設けている。音響孔36は音響孔31と同じピッチで設けてあり、音響孔36、31は均等に配列されている。これはエッチングにより音響孔31及び36を開口する際に、均等にエッチングを行えるようにするためである。
【0045】
この音響センサ41でも、第1の実施形態の場合と同様に、複数個の音響孔36が画像認識用のマーカーとなり、音響センサ41の画像認識を高精度で行える。また、これらの音響孔36を通して、レーザードップラ測定計や光学式三次元計測計、測長レーザー計などを用いて振動電極板24の計測を行うことができる。特に複数個の音響孔36が開口されているので、より広い範囲にわたって振動電極板24の振動状態などの計測を行うことができる。さらに、この音響センサ41の場合も、第1の実施形態の場合と同様な理由から、各音響孔36は、ダイアフラム28の中心に対向する点を中心とする半径r=L/4の円形領域aの内側に設けることが望ましい。なお、円形領域aの半径r=L/4は、ダイアフラム28の幅Lを800μmとすれば、200μmとなる。
【0046】
さらに、この音響センサ41では、第1の実施形態の場合よりも対向電極板25の開口面積が大きくなるので、図11に示すように対向電極板25を空気が通過し易くなる。よって、振動電極板24が振動するとき、振動電極板24と対向電極板25の間の空気が音響孔36、31を通じて出入りし易くなる。そのため、振動電極板24と対向電極板25の間の空気によって振動電極板24の振動が抑制されるエアダンピングが起こりにくくなり、音響センサ41の周波数特性(特に、高周波側における特性)が平坦になり、周波数特性が良好になる。
【0047】
また、この音響センサ41によれば、対向電極板25に複数個の音響孔36が開口していて対向電極板25の開口面積が大きくなっているので、第1の実施形態の場合と同様に(図9参照)、振動電極板24のスティックが軽減する。すなわち、音響センサ41の製造工程における水洗で濡れても、振動電極板24と対向電極板25の間に溜まった水は音響孔36から速やかに蒸発するので、ダイアフラム28の中央部が速やかに乾燥して毛細管力が小さくなり、振動電極板24のスティックが軽減される。さらに、この音響センサ41の場合には、複数個の音響孔36をダイアフラム28の中央部に対向させて設けているので、図12に示すように、振動電極板24の変位(撓み)の大きな中央部で対向電極板25の電極面積を減らすことができる。その結果、ダイアフラム28の中央部と対向電極板25との間に働く静電引力が小さくなり、より一層スティックを軽減できると共にPull-in電圧を下げることができる。
【0048】
(実施形態3)
図13は本発明の第3の実施形態による音響センサ51を模式的に表した平面図である。この音響センサ51にあっては、対向電極板25において、ダイアフラム28の中心と対向する位置に開口径の大きな音響孔36を設けている。また、対向電極板25において、ダイアフラム28の中心と対向する点を中心とする円形領域a内には、円形領域a外における音響孔31と同じ開口径で、かつ、円形領域a外における音響孔31のピッチよりも小さなピッチで、音響孔31を密に設けている。この円形領域aの半径rは、第1の実施形態の場合と同様な理由から、r=L/4とすることが望ましい。例えば、円形領域aの外側では第1の実施形態の場合と同様に音響孔31のピッチを50μmとしているとすると、円形領域aの内部では、音響孔31のピッチは25μmとなっている。
【0049】
この音響センサ51でも、第1の実施形態の場合と同様に、音響孔36が画像認識用のマーカーとなり、音響センサ51の画像認識を高精度で行える。また、この音響孔36を通して、レーザードップラ測定計や光学式三次元計測計、測長レーザー計などを用いて振動電極板24の計測を行うことができる。
【0050】
さらに、この音響センサ51では、第2の実施形態の場合と同様に、対向電極板25の開口面積が大きくなるので、対向電極板25を空気が通過し易くなる。よって、振動電極板24の振動が空気によってダンピングされにくくなり、音響センサ51の周波数特性(特に、高周波側における特性)が平坦になり、周波数特性が良好になる。
【0051】
また、この音響センサ51によれば、対向電極板25のダイアフラム28中央部に対向する領域に、開口径の大きな音響孔36と密に配置された音響孔31を設けて対向電極板25の開口面積を大きくしているので、第1の実施形態の場合と同様に(図9参照)、振動電極板24のスティックが軽減する。すなわち、音響センサ51の製造工程における水洗で濡れても、振動電極板24と対向電極板25の間に溜まった水は音響孔36及び中央部の音響孔31から速やかに蒸発するので、ダイアフラム28の中央部が速やかに乾燥して毛細管力が小さくなり、振動電極板24のスティックが軽減される。さらに、この音響センサ51の場合にも、音響孔36と密に配置された音響孔31をダイアフラム28の中央部に対向させて設けているので、振動電極板24の変位(撓み)の大きな中央部で対向電極板25の電極面積を減らすことができる。その結果、ダイアフラム28の中央部と対向電極板25との間に働く静電引力が小さくなり、より一層スティックを軽減できると共にPull-in電圧を下げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】図1は、従来の音響センサの構造を模式的に表わした平面図である。
【図2】図2は、従来の音響センサにおいて、振動電極板が対向電極板にスティックした様子を示す概略断面図である。
【図3】図3(a)及び図3(b)は、従来の音響センサにおいてスティックが発生する原因を説明する図である。
【図4】図4は、本発明の第1の実施形態による音響センサを示す斜視図である。
【図5】図5は、第1の実施形態による音響センサの分解斜視図である。
【図6】図6は、図4のY−Y線に沿った断面図である。
【図7】図7は、第1の実施形態による音響センサを模式的に表した平面図である。
【図8】図8は、第1の実施形態の音響センサを検査している様子を説明する概略断面図である。
【図9】図9(a)及び図9(b)は、第1の実施形態の音響センサで振動電極板のスティックを軽減できる理由を説明する図である。
【図10】図10は、本発明の第2の実施形態による音響センサを模式的に表した平面図である。
【図11】図11は、第2の実施形態の音響センサで振動電極板のエアダンピングを軽減できる理由を説明する図である。
【図12】図12は、第2の実施形態の音響センサでPull-in電圧を低減できる理由を説明する図である。
【図13】図13は、本発明の第3の実施形態による音響センサ51を模式的に表した平面図である。
【符号の説明】
【0053】
21 音響センサ
22 シリコン基板
24 振動電極板
25 対向電極板
28 ダイアフラム
30 固定電極
31 音響孔
36 音響孔
41 音響センサ
51 音響センサ
w 水
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板上に固定され、複数の音響孔を開口された対向電極板と、
前記基板と前記対向電極板との間で、前記対向電極板と空隙をあけて設けられた、音圧に感応する振動電極板と、
を有する音響センサにおいて、
前記音響孔は、複数の第1の音響孔と、前記第1の音響孔よりも開口面積の大きな第2の音響孔とからなり、
前記第2の音響孔は、前記対向電極板において、前記振動電極板の可動部分の中央部に対向する領域に配置されていることを特徴とする音響センサ。
【請求項2】
前記振動電極板の前記可動部分の幅をLとするとき、
前記第2の音響孔は、前記対向電極板において、前記可動部分の中心に対向する位置を中心とする半径がL/4の円形の領域の内部に設けられていることを特徴とする、請求項1に記載の音響センサ。
【請求項3】
前記第2の音響孔を唯一つ有することを特徴とする、請求項1に記載の音響センサ。
【請求項4】
前記第2の音響孔は、前記対向電極板において、前記振動電極板の前記可動部分の中心に対向する位置に設けられていることを特徴とする、請求項3に記載の音響センサ。
【請求項5】
前記第2の音響孔を複数有することを特徴とする、請求項1に記載の音響センサ。
【請求項6】
前記第1の音響孔は、前記対向電極板において、前記振動電極板の前記可動部分の中央部に対向する領域で、その外側の領域よりも密に配置されていることを特徴とする、請求項1に記載の音響センサ。
【請求項1】
基板と、
前記基板上に固定され、複数の音響孔を開口された対向電極板と、
前記基板と前記対向電極板との間で、前記対向電極板と空隙をあけて設けられた、音圧に感応する振動電極板と、
を有する音響センサにおいて、
前記音響孔は、複数の第1の音響孔と、前記第1の音響孔よりも開口面積の大きな第2の音響孔とからなり、
前記第2の音響孔は、前記対向電極板において、前記振動電極板の可動部分の中央部に対向する領域に配置されていることを特徴とする音響センサ。
【請求項2】
前記振動電極板の前記可動部分の幅をLとするとき、
前記第2の音響孔は、前記対向電極板において、前記可動部分の中心に対向する位置を中心とする半径がL/4の円形の領域の内部に設けられていることを特徴とする、請求項1に記載の音響センサ。
【請求項3】
前記第2の音響孔を唯一つ有することを特徴とする、請求項1に記載の音響センサ。
【請求項4】
前記第2の音響孔は、前記対向電極板において、前記振動電極板の前記可動部分の中心に対向する位置に設けられていることを特徴とする、請求項3に記載の音響センサ。
【請求項5】
前記第2の音響孔を複数有することを特徴とする、請求項1に記載の音響センサ。
【請求項6】
前記第1の音響孔は、前記対向電極板において、前記振動電極板の前記可動部分の中央部に対向する領域で、その外側の領域よりも密に配置されていることを特徴とする、請求項1に記載の音響センサ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2008−301434(P2008−301434A)
【公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−148476(P2007−148476)
【出願日】平成19年6月4日(2007.6.4)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年6月4日(2007.6.4)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】
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