説明

頭部保護パッドおよび自動車用子供座席

【課題】 遮光機能のみならず、明るさ調節機能をも併せ持つ育児器具用の頭部保護パッドを提供する。
【解決手段】 頭部保護パッド10は、子供の両側頭部に沿って位置する1対の側壁パッド部21,22および子供の頭頂部に沿って位置する上壁パッド部23を有するパッド本体20と、パッド本体20の上端から上方に立ち上がって延びる幌部材30とを備える。幌部材30は、内側幌布31と外側幌布32とからなる2重構造を有している。内側幌布31と外側幌布32とは、材質が異なる。外側幌布32は、内側幌布31の全領域を覆う閉鎖位置から、内側幌布の全領域を開放する開放位置にまで畳むことができるようにされている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、自動車用子供座席、乳母車、ベビーラック等の育児器具の座席に取付けられる頭部保護パッドに関するものである。
【背景技術】
【0002】
本願と同一の出願人は、乳幼児の頭部を守るための頭部保護パッドを備えた育児器具の一例として、例えば特開平10−226252号公報(特許文献1)に自動車用子供座席を開示した。
【0003】
上記公報に開示された頭部保護パッドは、その外面が自動車用子供座席の1対の側壁および頭頂部壁の内面に沿う形状を有している。また、頭部保護パッドの内面は、子供の頭部を囲むような形状となっている。従って、頭部保護パッドは、全体的に、逆U字状の平面形状を有している。
【特許文献1】特開平10−226252号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
自動車用子供座席は車の座席に設置される。紫外線を含んだ太陽光が車の窓を通過して自動車用子供座席内の子供の顔に照射されるのは好ましくない。そのため、自動車用子供座席において、太陽光が子供の顔に当たらないようにすることが望まれる。
【0005】
また、日中に自動車用子供座席内の子供が眠っているときには、子供の顔の周囲が明るすぎるのは好ましくない。
【0006】
上記のような状況は、乳母車内の子供や、ベビーラック内の子供に対してもあてはまる。
【0007】
この発明の目的は、遮光機能のみならず、明るさ調節機能をも併せ持つ育児器具用の頭部保護パッドを提供することである。
【0008】
この発明の他の目的は、遮光機能のみならず、明るさ調節機能をも併せ持つ自動車用子供座席を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明に従った頭部保護パッドは、子供の頭部を保護するために育児器具の座席の背もたれ部上に配置されるものであって、次の特徴を備える。すなわち、頭部保護パッドは、子供の両側頭部に沿って位置する1対の側壁パッド部および子供の頭頂部に沿って位置する上壁パッド部を有するパッド本体と、パッド本体の上端から上方に立ち上がって延びる幌部材とを備える。幌部材は、内側幌布と外側幌布とからなる2重構造を有している。内側幌布と前記外側幌布とは、材質が異なる。外側幌布は、内側幌布の全領域を覆う閉鎖位置から、内側幌布の全領域を開放する開放位置にまで畳むことができるようにされている。
【0010】
上記構成の本発明によれば、少なくとも次の3状態を実現できる。
【0011】
(1)第1の状態
内側幌布および外側幌布の2重構造で子供の頭部上方空間を覆う状態であり、光遮蔽効果が高い。
【0012】
(2)第2の状態
外側幌布を開放位置にまで畳み、内側幌布のみで子供の頭部上方空間を覆う状態であり、光の強さを緩和し、明るさを緩和する効果がある。
【0013】
(3)第3の状態
内側幌布および外側幌布の両者を開放位置にまで畳み、子供の頭部上方空間を開放する状態である。
【0014】
この発明の一実施形態では、内側幌布は、目の細かいメッシュ地で形成され、外側幌布は、光反射性素材で形成されている。
【0015】
好ましくは、内側幌布は、パッド本体の外側面に沿う位置にまで折畳み可能である。
【0016】
幌部材は、例えば、パッド本体に取外し可能に取付けられている。
【0017】
この発明に従った自動車用子供座席は、子供の両側頭部に沿って位置する1対の側壁および子供の頭頂部に沿って位置する頭頂部壁を有する座席本体と、座席本体の上端から上方に立ち上がって延びる幌部材とを備える。幌部材は、内側幌布と外側幌布とからなる2重構造を有している。内側幌布と外側幌布とは、材質が異なる。外側幌布は、内側幌布の全領域を覆う閉鎖位置から、内側幌布の全領域を開放する開放位置にまで畳むことができるようにされている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
図1および図2は、この発明の一実施形態に係る頭部保護パッドの使用状態を示している。また、図3〜図6は、頭部保護パッドを示している。図1および図2に示すように、頭部保護パッド10は、子供の頭部を保護するために、自動車用子供座席1の背もたれ部上に配置されている。自動車用子供座席1の座席本体は、子供の両側頭部に沿って位置する1対の側壁2,3および子供の頭頂部に沿って位置する頭頂部壁4を有する。
【0019】
図2〜図4から明らかなように、頭部保護パッド10は、パッド本体20と、このパッド本体20に、例えば止めボタン33を介して、取外し可能に取付けられた幌部材30とを備える。パッド本体20は、子供の両側頭部と1対の側壁2、3との間に位置する1対の側壁パッド部21,22と、子供の頭頂部と頭頂部壁4との間に位置する上壁パッド部23とを有する。頭部保護パッド10のパッド本体20は、逆U字状の平面形状を有している。
【0020】
幌部材30は、パッド本体20の上端から上方に立ち上がって延びており、内側幌布31と、その上に重なるように配置された外側幌布32とからなる2重構造を有している。内側幌布31と外側幌布32とは、材質が異なる。例えば、内側幌布31は、目の細かいメッシュ地で形成され、外側幌布32は、光反射性部材で形成されている。内側幌布31の起立状態を安定に維持するために、内側幌布31の前端縁に沿って幅方向に延びる補強線を取付けるようにしてもよい。
【0021】
外側幌布32は、図4に示す内側幌布31の全領域を覆う閉鎖位置から、図5に示す内側幌布31の全領域を開放する開放位置にまで畳むことができるようにされている。好ましくは、外側幌布32は柔らかい素材で形成されているので、図5に示すように反転して折り返すことができる。
【0022】
図5に示す状態から、内側幌布31を反転して折り返し、パッド本体20の外側面に沿う位置にまで折畳むと、図6に示すように子供の顔の上方空間は完全に開放される。
【0023】
幌部材30の役割は、光が子供の顔に照射するのを防ぐということのみならず、子供の顔の周囲の明るさを適度に調節するという機能も併せ持つ。このような明るさ調節機能は、幌部材30が内側幌布31と外側幌布32とからなる2重構造を有していることによって実現可能となるものである。
【0024】
図1〜図6に示した実施形態によれば、以下の状態を実現できる。
【0025】
(1)第1の状態
内側幌布31および外側幌布32の2重構造で子供の顔の上方空間を覆う状態であり、光遮断効果が高い。この第1の状態は、図3および図4に示す状態である。
【0026】
(2)第2の状態
外側幌布32を開放位置にまで畳み、内側幌布31のみで子供の顔の上方空間を覆う状態であり、光の強さを緩和し、適度な明るさとする機能を発揮する。この第2の状態は、図5に示す状態である。
【0027】
(3)第3の状態
内側幌布31および外側幌布32の両者を開放位置にまで畳み、子供の顔の上方空間を完全に開放する状態である。この第3の状態は、図6に示す状態である。
【0028】
図1〜図6に示した頭部保護パッド20は、自動車用子供座席の背もたれ部に配置されるものであったが、乳母車や、ベビーラック等の座席付き育児器具の背もたれ部に取付けられる頭部保護パッドに対しても上記と同様の構造を採用できる。
【0029】
他の実施形態として、自動車用子供座席自体に、上記と同様な構造の幌部材を設けてもよい。具体的には、自動車用子供座席は、子供の両側頭部に沿って位置する1対の側壁および子供の頭頂部に沿って位置する頭頂部壁を有する座席本体と、座席本体の上端から上方に立ち上がって延びる幌部材とを備える。幌部材は、内側幌布と外側幌布とからなる2重構造を有している。内側幌布と外側幌布とは、材質が異なる。外側幌布は、内側幌布の全領域を覆う閉鎖位置から、内側幌布の全領域を開放する開放位置にまで畳むことができるようにされている。
【0030】
以上、図面を参照してこの発明の実施形態を説明したが、この発明は、図示した実施形態のものに限定されない。図示した実施形態に対して、この発明と同一の範囲内において、あるいは均等の範囲内において、種々の修正や変形を加えることが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0031】
この発明は、育児器具の座席に配置される頭部保護パッドおよび自動車用子供座席に有利に利用され得る。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】この発明の一実施形態に係る頭部保護パッドの使用状態を示す斜視図である。
【図2】この発明の一実施形態に係る頭部保護パッドの使用状態を示す平面図である。
【図3】頭部保護パッドの側面図である。
【図4】側方から見た頭部保護パッドの縦断面図である。
【図5】外側幌布を開放位置にまで畳んだ状態の側面図である。
【図6】内側幌布を開放位置にまで畳んだ状態の側面図である。
【符号の説明】
【0033】
1 自動車用子供座席、2,3 側壁、4 頭頂部壁、10 頭部保護パッド、20 パッド本体、21,22 側壁パッド部、23 上壁パッド部、30 幌部材、31 内側幌布、32 外側幌布、33 止めボタン。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
子供の頭部を保護するために自動車用子供座席の背もたれ部上に配置される頭部保護パッドであって、
子供の両側頭部に沿って位置する1対の側壁パッド部および子供の頭頂部に沿って位置する上壁パッド部を有するパッド本体と、
前記パッド本体の上端から上方に立ち上がって延びる幌部材とを備え、
前記幌部材は、内側幌布と外側幌布とからなる2重構造を有しており、
前記内側幌布と前記外側幌布とは、材質が異なり、
前記外側幌布は、前記内側幌布の全領域を覆う閉鎖位置から、前記内側幌布の全領域を開放する開放位置にまで畳むことができるようにされている、頭部保護パッド。
【請求項2】
前記内側幌布は、目の細かいメッシュ地で形成され、
前記外側幌布は、光反射性素材で形成されている、請求項1に記載の頭部保護パッド。
【請求項3】
前記内側幌布は、前記パッド本体の外側面に沿う位置にまで折畳み可能である、請求項1または2に記載の頭部保護パッド。
【請求項4】
前記幌部材は、前記パッド本体に取外し可能に取付けられている、請求項1〜3のいずれかに記載の頭部保護パッド。
【請求項5】
子供の両側頭部に沿って位置する1対の側壁および子供の頭頂部に沿って位置する頭頂部壁を有する座席本体と、
前記座席本体の上端から上方に立ち上がって延びる幌部材とを備え、
前記幌部材は、内側幌布と外側幌布とからなる2重構造を有しており、
前記内側幌布と前記外側幌布とは、材質が異なり、
前記外側幌布は、前記内側幌布の全領域を覆う閉鎖位置から、前記内側幌布の全領域を開放する開放位置にまで畳むことができるようにされている、自動車用子供座席。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2006−273256(P2006−273256A)
【公開日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−99004(P2005−99004)
【出願日】平成17年3月30日(2005.3.30)
【出願人】(390006231)アップリカ育児研究会アップリカ▲葛▼西株式会社 (97)
【Fターム(参考)】