説明

顔料分散剤

【課題】顔料の結晶成長を抑え、顔料粒子が安定的に高度に微細化しうる顔料分散剤、及び印刷インキや塗料、とりわけインクジェットインキやカラーフィルタ用インキといった顔料粒子の微細な分散が要求される用途に好適であり、低粘度で、経時安定性が飛躍的に優れた顔料組成物を提供する。
【解決手段】下記式(1)で表されるベンズイミダゾロンジオキサジン顔料分散剤。


(式中、R1、R2は水素原子など、R3〜R6は水素原子など、R7〜R10は水素原子などを示す。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、顔料粒子の微細な分散体を容易に得られ、かつ安定な状態に保つことを可能にする顔料分散剤に関するものであり、さらに詳しくは、これを用いた印刷インキ、塗料、樹脂着色剤、インクジェットインキやカラーフィルタ用インキなどに好適に用いられる顔料組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
印刷インキ、塗料等においては、顔料を微細な状態で分散させることにより、高い着色力を発揮させ、印刷物または塗加工物の鮮明な色調、光沢等の適性を持たせている。さらに、オフセットインキ、グラビアインキ、塗料、とりわけインクジェットインキ、カラーフィルタ用インキ等においては、高い鮮明性を得るため、顔料粒子を高度に微細化する必要がある。このとき顔料粒子を微細化する方法として現在広く用いられている方法に、ソルベントソルトミリング法、乾式粉砕法等が挙げられる。しかし、顔料と無機塩や溶剤など一般的に用いられる粉砕助剤等と共に仕込んだだけでは、粉砕時に起こる発熱や、分散助剤として添加した溶剤等により、顔料粒子の成長も同時に起こってしまったり、長時間機械的に力が加わることで、顔料粒子の状態が不安定になるため、結晶転移を起こすなどの変化を起こしたりして、時間とエネルギーをかけても、安定的に十分な微細化が得られない場合がある。しかも、特に乾式粉砕のみでは顔料粒子径にばらつきが出易いため、溶剤処理による整粒を行なうと微細な顔料粒子ほど結晶成長を起こし易く、制御が難しい。
【0003】
一方、顔料をより微細化していくと、顔料粒子間の凝集力が強くなり、インキや塗料が高粘度を示す場合が多い。しかも、この分散体を製造する際に、製品の分散機からの取り出し、分散機からタンク等への移送が困難となるばかりでなく、さらに悪い場合は貯蔵中にゲル化を起こし使用困難となることがある。このような問題を解決するためには、顔料分散剤を使用し、顔料とビヒクル間の親和性を良くし、分散体の安定化を図ることが知られており、これまでに様々な顔料分散剤が開示されている。例えば、有機顔料に酸性基、塩基性基、フタルイミドメチル基等の官能基を導入した顔料誘導体や、アクリルポリマーやポリエステル樹脂の一部に酸性基や塩基性基を導入した樹脂型分散剤が開発され、単独または併用にて使用されており、効果が得られている。また、これらの一部には顔料の結晶成長防止効果を持つものもある。
【0004】
しかし、従来の顔料分散剤の顔料結晶成長防止の効果は、印刷インキ、塗料、とりわけインクジェットインキ、カラーフィルタ用インキ等、高い鮮明性を達成するのに十分な高度に微細化された顔料粒子を安定的に得るのには、必ずしも十分とはいえない。さらに、高度に微細化した顔料を含むものは、上記に示した顔料分散剤では十分な粘度低下と貯蔵安定性が得られない場合がある。その上、強固に凝集した微細な顔料粒子をほぐして、展色物にしたときに高い光沢と透明性を得るまで分散するには多大なエネルギーを必要とする。
【0005】
また、異種の顔料を混合して使用する場合、インキにしたときの安定性が悪くなり、顔料の凝集による色分かれや沈降などの現象が起こってしまうため、展色物において、色むらや著しい着色力の低下を引き起こすことがある。さらに、展色物の塗膜表面に関しては光沢の低下、レベリング不良等の状態不良を生ずることがある。そのため、顔料粒子の安定性と結晶成長防止の効果が高く、安定的に高度に微細化された顔料粒子が得られる顔料組成物、および高度に微細化された顔料粒子を分散して得られるインクジェットやカラーフィルタ用インキ等においても、高い分散性能と優れた粘度適性、及び貯蔵安定性をもつ顔料組成物が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−88269号公報
【特許文献2】特開平3−26767号公報
【特許文献3】特開平6−316676号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の第1の目的は、顔料の結晶成長を抑え、顔料粒子が安定的に高度に微細化しうる顔料分散剤を提供することである。また、本発明の第2の目的は、印刷インキや塗料、とりわけインクジェットインキやカラーフィルタ用インキといった顔料粒子の微細な分散が要求される用途に好適であり、低粘度で、経時安定性が飛躍的に優れた顔料組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
すなわち、本発明は、下記式(1)で表されるベンズイミダゾロンジオキサジン顔料分散剤に関する。
【0009】
【化1】

【0010】
(式中、R1、およびR2は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、または、下記一般式(2)で表される基を示す。
3〜R6は、それぞれ独立に、水素原子、またはアルキル基を示す。
7〜R10は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、アルキル基、アルコキシ基、ニトロ基、アミノ基、スルホン酸基、カルボン酸基、または、下記一般式(2)で表される基を示す。
ただし、R1、R2、R7〜R10のうち1〜6つは、下記一般式(2)で表される基を示す。)
【0011】
【化2】


【0012】
(一般式(2)中、
Yは、−R21−、−CONR11−R21−、−NR11−R21−、−NR11CO−R21−、−NR11SO2−R21−、−O−R21−、−S(O)m−R21−、−SO2NR11−R21−、トリアジン残基、またはこれらが2つ以上結合した連結基を表す。
Zは、−COO・M、−NR1213、フタルイミド基、−SO3・M、−SO2NR1213を表す。
11は、水素原子、アルキル基、もしくはヒドロキシアルキル基を表す。
12およびR13は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、ヒドロキシアルキル基、ハロゲン原子置換アルキル基、もしくは置換されてもよいアミノアルキル基を表す。あるいは、R12およびR13は一体となって環を形成してもよい。
21は、直接結合、炭素数1〜12の直鎖または枝分かれしたアルキレン基、アリーレン基、もしくは、2価のトリアジン残基を表す。
mは、0から3の整数を表す。
kは、Yがアルキレン基、アリーレン基もしくはトリアジン残基を含む場合は2であり、その他の場合は1を表す。
Mは、水素イオン、1〜3価の金属イオン、または、少なくとも1つがアルキル基で置換されているアンモニウムイオンを表す。)
【0013】
また、本発明は、顔料および上記顔料分散剤を含有する顔料組成物に関する。
【0014】
また、本発明は、顔料が、ジオキサジン系顔料、および/または、フタロシアニン系顔料を含むことを特徴とする上記顔料組成物に関する。
【0015】
また、本発明は、ジオキサジン系顔料が、C.I.ピグメントイエロー23、フタロシアニン系顔料がC.I.ピグメントブルー15:6である、上記顔料組成物に関する。
【発明の効果】
【0016】
本発明の顔料分散剤は、顔料粒子を微細化するための粉砕時および整粒時において、新規なベンズイミダゾロンジオキサジン誘導体の高い顔料の結晶成長防止と粒子安定性効果により、顔料粒子が高度に微細化することができる。その中でも塩基性基または酸性基を有する新規なベンズイミダゾロンジオキサジン誘導体を含む顔料分散剤は、広範な樹脂に対し優れた分散性を示すだけでなく、非集合性、非結晶性、粘度適性、塗膜光沢、鮮明性、貯蔵安定性に優れたインキ及び塗料を得ることが容易に達成でき、印刷インキ、自動車用、木材用、金属用等の各種一般塗料、磁気テープのバックコート塗料、ラジエーションキュアー型インキ、インクジェットプリンター用インキ、カラーフィルタ用インキ等の用途の顔料組成物に使用できる。特に、ジオキサジン系紫色顔料、フタロシアニン系青色顔料に代表される青色系統の顔料群を含む系で、顔料の結晶成長防止と粒子安定性効果が高く、かつ高い分散性能と優れた粘度適性、及び貯蔵安定性が得られる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
まず、本発明の顔料分散剤について説明する。本発明の顔料分散剤は上記一般式(1)で表される化合物である。
【0018】
一般式(1)において、記号および添え字は以下の意味を示す。
【0019】
1、およびR2は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、または、一般式(2)で表される基を示し、R3〜R6は、それぞれ独立に、水素原子、またはアルキル基を示す。R7〜R10は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、アルキル基、アルコキシ基、ニトロ基、アミノ基、スルホン酸基、カルボン酸基または、一般式(2)で表される基を示す。ただし、R1、R2、R7〜R10のうち1つ〜6つ、好ましくは1つ〜4つ、特に好ましくは1つまたは2つは、一般式(2)で表される基である。
【0020】
一般式(2)において、記号および添え字は以下の意味を有する。
【0021】
Yは、−R21−、−CONR11−R21−、−NR11−R21−、−NR11CO−R21−、−NR11SO2−R21−、−O−R21−、−S(O)m−R21−、−SO2NR11−R21−、トリアジン残基、またはこれらが2つ以上結合した連結基を表す。
Zは、−COO・M、−NR1213、フタルイミド基、−SO3・M、−SO2NR1213を表す。
11は、水素原子、アルキル基、もしくはヒドロキシアルキル基を表す。
21は、直接結合、炭素数1〜12の直鎖または枝分かれしたアルキレン基、アリーレン基、もしくは、2価のトリアジン残基を表す。
【0022】
本発明において、置換基としては、アルキル基、アミノ基、ニトロ基、水酸基、アルコキシ基、またはハロゲン原子が挙げられる。
【0023】
ここで、アルキル基としては、置換基を有してもよい炭素数1〜30のアルキル基が好ましく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、オクダデシル基、イソプロピル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、1−エチルペンチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、トリフルオロメチル基、2−エチルヘキシル基、フェナシル基、1−ナフトイルメチル基、2−ナフトイルメチル基、4−メチルスルファニルフェナシル基、4−フェニルスルファニルフェナシル基、4−ジメチルアミノフェナシル基、4−シアノフェナシル基4−メチルフェナシル基、2−メチルフェナシル基、3−フルオロフェナシル基、3−トリフルオロメチルフェナシル基、3−ニトロフェナシル基等が挙げられる。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
【0024】
アルコキシ基としては、置換基を有してもよい炭素数1〜30のアルコキシ基が好ましく、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、sec-ブトキシ基、tert-ブトキシ基、ペンチルオキシ基、イソペンチルオキシ基、ヘキシルオキシキ、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、デシルオキシ基、ドデシルオキシ基、オクタデシルオキシ基、エトキシカルボニルメチル基、2−エチルヘキシルオキシカルボニルメチルオキシ基、アミノカルボニルメチルオキシ基、N,N−ジブチルアミノカルボニルメチルオキシ基、N−メチルアミノカルボニルメチルオキシ基、N−エチルアミノカルボニルメチルオキシ基、N−オクチルアミノカルボニルメチルオキシ基、N−メチル−N−ベンジルアミノカルボニルメチルオキシ基、ベンジルオキシ基、シアノメチルオキシ基等が挙げられる。
【0025】
アリール基としては、置換基を有してもよい炭素数6〜30のアリール基が好ましく、例えば、フェニル基、ビフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、9−アンスリル基、9−フェナントリル基、1−ピレニル基、5−ナフタセニル基、1−インデニル基、2−アズレニル基、9−フルオレニル基、ターフェニル基、クオーターフェニル基、o−、m−、およびp−トリル基、キシリル基、o−、m−、およびp−クメニル基、メシチル基、ペンタレニル基、ビナフタレニル基、ターナフタレニル基、クオーターナフタレニル基、ヘプタレニル基、ビフェニレニル基、インダセニル基、フルオランテニル基、アセナフチレニル基、アセアントリレニル基、フェナレニル基、フルオレニル基、アントリル基、ビアントラセニル基、ターアントラセニル基、クオーターアントラセニル基、アントラキノリル基、フェナントリル基、トリフェニレニル基、ピレニル基、クリセニル基、ナフタセニル基、プレイアデニル基、ピセニル基、ペリレニル基、ペンタフェニル基、ペンタセニル基、テトラフェニレニル基、ヘキサフェニル基、ヘキサセニル基、ルビセニル基、コロネニル基、トリナフチレニル基、ヘプタフェニル基、ヘプタセニル基、ピラントレニル基、オバレニル基等が挙げられる。
アミノ基としては、置換基を有してもよい炭素数1〜30のアミノ基が好ましく、例えば、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジプロピルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、ジブチルアミノ基、ジ(sec−ブチル)アミノ基、ジ(tert−ブチル)アミノ基、ジペンチルアミノ基、ジイソペンチルアミノ基、ジネオペンチルアミノ基、ジ(tert−ペンチル)アミノ基、ジヘキシルアミノ基、ジイソヘキシルアミノ基、ジヘプチルアミノ基、ジオクチルアミノ基、ジノニルアミノ基、ジデシルアミノ基、ジウンデシルアミノ基、ジドデシルアミノ基、ジトリデシル基、ジテトラデシルアミノ基、ジペンタデシルアミノ基、ジヘキサデシルアミノ基、ジヘプタデシルアミノ基、ジオクタデシルアミノ基、ジノナデシルアミノ基、ジフェニルアミノ基、ジビフェニリルアミノ基、ビス(ターフェニリル)アミノ基、ビス(クオーターフェニリル)アミノ基、ジ(o−トリル)アミノ基、ジ(m−トリル)アミノ基、ジ(p−トリル)アミノ基、ジキシリルアミノ基、ジ(o−クメニル)アミノ基、ジ(m−トリル)アミノ基、ジ(p−クメニル)アミノ基、ジメシチルアミノ基、ジペンタレニルアミノ基、ジインデニルアミノ基、ジナフチルアミノ基、ビス(ビナフタレニル)アミノ基、ビス(ターナフタレニル)アミノ基、ビス(クオーターナフタレニル)アミノ基、ジアズレニルアミノ基、ジヘプタレニルアミノ基、ビス(ビフェニレニル)アミノ基、ジインダセニルアミノ基、ジフルオランテニルアミノ基、ジアセナフチレニルアミノ基、ビス(アセアントリレニル)アミノ基、ジフェナレニルアミノ基、ジフルオレニルアミノ基、ジアントリルアミノ基、ビス(ビアントラセニル)アミノ基、ビス(ターアントラセニル)アミノ基、ビス(クオーターアントラセニル)アミノ基、ビス(アントラキノリル)アミノ基、ジフェナントリルアミノ基、ジトリフェニレニルアミノ基、ジピレニルアミノ基、ジクリセニルアミノ基、ジナフタセニルアミノ基、ジプレイアデニルアミノ基、ジピセニルアミノ基、ジペリレニルアミノ基、ビス(ペンタフェニル)アミノ基、ジペンタセニルアミノ基、ビス(テトラフェニレニル)アミノ基、ビス(ヘキサフェニル)アミノ基、ジヘキサセニルアミノ基、ジルビセニルアミノ基、ジコロネニルアミノ基、ビス(トリナフチレニル)アミノ基、ビス(ヘプタフェニル)アミノ基、ジヘプタセニルアミノ基、ジピラントレニルアミノ基、ジオバレニルアミノ基、メチルエチルアミノ基、メチルプロピルアミノ基、メチルブチル基、メチルペンチルアミノ基、メチルヘキシルアミノ基、エチルプロピルアミノ基、エチルブチルアミノ基、エチルペンチルアミノ基、エチルヘキシルアミノ基、プロピルブチルアミノ基、プロピルペンチルアミノ基、プロピルヘキシルアミノ基、ブチルペンチルアミノ基、ブチルヘキシルアミノ基、ペンチルヘキシルアミノ基、フェニルビフェニリルアミノ基、フェニルターフェニリルアミノ基、フェニルナフチルアミノ基、フェニルアントリルアミノ基、フェニルフェナントリルアミノ基、ビフェニリルナフチルアミノ基、ビフェニリルアントリルアミノ基、ビフェニリルフェナントリルアミノ基、ビフェニリルターフェニリルアミノ基、ナフチルアントリルアミノ基、ナフチルフェナントリルアミノ基、ナフチルターフェニリルアミノ基、アントリルフェナントリルアミノ基、アントリルターフェニリルアミノ基、メチルフェニルアミノ基、メチルビフェニリルアミノ基、メチルナフチルアミノ基、メチルアントリルアミノ基、メチルフェナントリルアミノ基、メチルターフェニリルアミノ基、エチルフェニルアミノ基、エチルビフェニリルアミノ基、エチルナフチルアミノ基、エチルアントリルアミノ基、エチルフェナントリルアミノ基、エチルターフェニリルアミノ基、プロピルフェニルアミノ基、プロピルビフェニリルアミノ基、プロピルナフチルアミノ基、プロピルアントリルアミノ基、プロピルフェナントリルアミノ基、プロピルターフェニリルアミノ基、ブチルフェニルアミノ基、ブチルビフェニリルアミノ基、ブチルナフチルアミノ基、ブチルアントリルアミノ基、ブチルフェナントリルアミノ基、ブチルターフェニリルアミノ基、ペンチルフェニルアミノ基、ペンチルビフェニリルアミノ基、ペンチルナフチルアミノ基、ペンチルアントリルアミノ基、ペンチルフェナントリルアミノ基、ペンチルターフェニリルアミノ基、ヘキシルフェニルアミノ基、ヘキシルビフェニリルアミノ基、ヘキシルナフチルアミノ基、ヘキシルアントリルアミノ基、ヘキシルフェナントリルアミノ基、ヘキシルターフェニリルアミノ基、ヘプチルフェニルアミノ基、ヘプチルビフェニリルアミノ基、ヘプチルナフチルアミノ基、ヘプチルアントリルアミノ基、ヘプチルフェナントリルアミノ基、ヘプチルターフェニリルアミノ基、オクチルフェニルアミノ基、オクチルビフェニリルアミノ基、オクチルナフチルアミノ基、オクチルアントリルアミノ基、オクチルフェナントリルアミノ基、オクチルターフェニリルアミノ基、ビス[4−(α,α’−ジメチルベンジル)フェニル]アミノ基等が挙げられる。
さらに、アルキル基、アルコキシ基、アリール基およびアミノ基の水素原子はさらに他の置換基で置換されていても良い。
【0026】
そのような置換基としては、例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子、メトキシ基、エトキシ基、tert-ブトキシ基等のアルコキシ基、フェノキシ基、p-トリルオキシ基等のアリールオキシ基、メトキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、フェノキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基、アセトキシ基、プロピオニルオキシ基、ベンゾイルオキシ基等のアシルオキシ基、アセチル基、ベンゾイル基、イソブチリル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、メトキサリル基等のアシル基、メチルスルファニル基、tert-ブチルスルファニル基等のアルキルスルファニル基、フェニルスルファニル基、p-トリルスルファニル基等のアリールスルファニル基、メチルアミノ基、シクロヘキシルアミノ基等のアルキルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、モルホリノ基、ピペリジノ基等のジアルキルアミノ基、フェニルアミノ基、p-トリルアミノ基等のアリールアミノ基、メチル基、エチル基、tert-ブチル基、ドデシル基等のアルキル基、フェニル基、p-トリル基、キシリル基、クメニル基、ナフチル基、アンスリル基、フェナントリル基等のアリール基、フリル基、チエニル基等の複素環基等の他、ヒドロキシ基、カルボキシ基、ホルミル基、メルカプト基、スルホ基、メシル基、p-トルエンスルホニル基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基、トリフルオロメチル基、トリクロロメチル基、トリメチルシリル基、ホスフィニコ基、ホスホノ基、トリメチルアンモニウミル基、ジメチルスルホニウミル基、トリフェニルフェナシルホスホニウミル基等が挙げられる。
【0027】
さらに、R12とR13は、それぞれ一体となって、環を形成していてもよい。R12とR13が結合する窒素原子を含めて、形成される環としては、ピペラジン環、ピペリジン環、ピロリジン環、モルホリン環などが挙げられる。
【0028】
置換基を有してもよいフタルイミド基としては、フタルイミド基、4−ニトロフタルイミド基、4−クロロフタルイミド基、テトラクロロフタルイミド基、(4,6−ビス(フタルイミドメチルアミノ)−1,3,5−トリアジン)−2−イルアミノ基等が挙げられる。
【0029】
1〜3価の金属イオンとしては、ナトリウムイオン、カリウムイオン、カルシウムイオン、ストロンチウムイオン、バリウムイオン、アルミニウムイオン等が挙げられる。
【0030】
本発明において、Mが2つ以上の−SO3基、または、−COO基の対イオンと対を形成しうるときは、対イオンは、同種であっても、異種であってもよい。また、対イオンの一部が、−SO3基、または、−COO基以外であってもよい。
【0031】
少なくとも1つがアルキル基で置換されているアンモニウムイオンとしては、オクチルアンモニウムイオン、ドデシルアンモニウムイオン、ヘキサデシルアンモニウムイオン、オクタデシルアンモニウムイオン、ジメチルジデシルアンモニウムイオン、ジメチルジドデシルアンモニウムイオン、ジメチルジオクタデシルアンモニウムイオン、トリメチルドデシルアンモニウムイオン、トリメチルオクタデシルアンモニウムイオン等が挙げられる。
【0032】
この中で、高い結晶防止効果を持ちながら、広範な樹脂に対し優れた分散性を示すだけでなく、非集合性、非結晶性、粘度適性、塗膜光沢、鮮明性、貯蔵安定性に優れたインキ及び塗料を得ることが容易に達成できる本発明のベンズイミダゾロンジオキサジン顔料分散剤は、一般式(3)または、一般式(4)で表される置換基を有するものである。
【0033】
【化3】

【0034】
一般式(3)中、Yおよびkは、一般式(2)のそれらと同義である。
【0035】
一般式(3)で表される置換基としては、例えば、スルファモイル基、メチルアミノ基、エチルアミノ基、プロピルアミノ基、ブチルアミノ基、ヘキシルアミノ基、オクチルアミノ基、ドデシルアミノ基、オクタデシルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジブチルアミノ基、ジメチルアミノプロピルアミノ基、ジエチルアミノプロピルアミノ基、ジエチルアミノエチルアミノ基、ジブチルアミノプロピルアミノ基、ピペリジノメチル基、ジメチルアミノメチル基、ジエチルアミノメチル基、ジブチルアミノメチル基、ジメチルアミノエチルオキシ基、ジメチルアミノエチルチオ基、ジエチルアミノエチルチオ基、ジエチルアミノエチルスルフィニル基、(4,6−ビス(ジエチルアミノプロピルアミノ)−1,3,5−トリアジン)−2−イル基、ジメチルアミノプロピルアミノスルホニル基、ジエチルアミノプロピルアミノスルホニル基、ジブチルアミノプロピルアミノスルホニル基、モルホリノエチルアミノスルホニル基、4-アミノフェニルアミノスルホニル基、ピペリジノプロピルアミノスルホニル基、4−メチルピペラジノプロピルアミノスルホニル基、ジメチルアミノプロピルアミノカルボニル基、4−(ジエチルアミノプロピルアミノカルボニル)フェニルアミノカルボニル基、ジメチルアミノメチルカルボニルアミノメチル基、ジエチルアミノプロピルアミノメチルカルボニルアミノメチル基、ジブチルアミノプロピルアミノメチルカルボニルアミノメチル基などが挙げられる。
【0036】
【化4】

【0037】
一般式(4)中、Yおよびkは、一般式(2)のそれらと同義である。
【0038】
一般式(4)で表される置換基としては、例えば、スルホ基、ナトリウムスルホナト基、カルシウムスルホナト基、ストロンチウムスルホナト基、バリウムスルホナト基、アルミニウムスルホナト基、4−(アルミニウムスルホナト)フェニルカルバモイルメチル基、ドデシルアンモニオスルホナト基、オクタデシルアンモニオスルホナト基、トリメチルオクタデシルアンモニオスルホナト基、ジメチルジデシルアンモニオスルホナト基、カルボキシル基、2−アンモニウムカルボキシラト−5−ニトロベンズアミドメチル基、4−カルボキシフェニルアミノカルボニル基などが挙げられる。
【0039】
上記一般式(1)で表されるベンズイミダゾロンジオキサジン顔料分散剤の具体例を以 下に示す。
【0040】
【表1】


【0041】
【表1】

【0042】
【表1】

【0043】
【表1】

【0044】
次に、本発明の顔料組成物について説明する。本発明の顔料組成物は、顔料および本発明のベンズイミダゾロンジオキサジン顔料分散剤を含有する。
【0045】
本発明の顔料組成物に含まれる顔料としては、一般に市販されている種々の有機または無機顔料を用いることができる。有機顔料としては、例えば、アゾ系、アンサンスロン系、アンスラピリミジン系、アントラキノン系、イソインドリノン系、イソインドリン系、インダンスロン系、キナクリドン系、キノフタロン系、ジオキサジン系、ジケトピロロピロール系、チアジンインジゴ系、チオインジゴ系、ピランスロン系、フタロシアニン系、フラバンスロン系、ペリノン系、ペリレン系、ベンズイミダゾロン系などの有機顔料が挙げられる。また、無機顔料としては、例えば、カーボンブラック、酸化チタン、黄鉛、カドミウムイエロー、カドミウムレッド、弁柄、鉄黒、亜鉛華、紺青、群青等が挙げられる。これらの顔料は、併用してもかまわない。
【0046】
顔料の中では、本発明のベンズイミダゾロンジオキサジン顔料分散剤と同一または類似の化学構造を有する顔料に対して、非集合性、非結晶性、流動性等に効果が大きい。また、色相の面では紫色〜青色の顔料に使用するのが好ましい。特に、顔料自身の色味を保持し、高い鮮明性を保ちながら、本発明の顔料分散剤が優れた分散効果を発揮することから、ジオキサジン系紫色顔料、及びフタロシアニン系青色顔料に使用することが好ましい。
【0047】
本発明の顔料組成物は、顔料とベンズイミダゾロンジオキサジン顔料分散剤の混合物を、水溶性無機塩類または水溶性無機塩類および溶剤の存在下、機械的に混練すると、顔料の結晶成長防止と粒子安定性効果により、微細で整粒されたものが容易に得られる。このとき用いられる混練機としては、ニーダー、2本ロールミル、3本ロールミル、ボールミル、アトライター、サンドミル等を用いることができるが、これに限定される物ではない。また、顔料は粗粒顔料を用いてもよい。顔料とベンズイミダゾロンジオキサジン顔料分散剤の割合は、顔料100重量部に対してベンズイミダゾロンジオキサジン顔料分散剤0.1〜30重量部が効果を得る上で好ましく、0.5〜25重量部がより好ましい。
【0048】
また、機械的混練する際に用いる水溶性無機塩類としては、食塩、塩化カリウム、芒硝等が挙げられるが、これに限定される物ではない。水溶性無機塩類は、顔料100重量部に対して100〜2000重量部用いるのが好ましく、300〜1000重量部用いることがより好ましい。さらに、機械的混練する際に用いる溶剤は特に限定されないが、混練時に温度上昇し、溶剤が蒸発し易い状態になっているため、安全上の点から、高沸点の溶剤が好ましい。例としては、2−(メトキシメトキシ)エタノール、2−ブトキシエタノール、2−(イソペンチルオキシ)エタノール、2−(ヘキシルオキシ)エタノール、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコール、トリエチレングルコールモノメチルエーテル、液体ポリエチレングリコール、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール、ジプロピレングリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、低分子量ポリプロピレングリコール等を挙げることができる。溶剤は、顔料100重量部に対して10〜1000重量部用いるのが好ましく、50〜500重量部用いるのが最も好ましい。
【0049】
また、一般式(1)で表されるベンズイミダゾロンジオキサジン顔料分散剤のうち、塩基性基または酸性基を有するものは、顔料粒子の微細化時に添加しても、粘度低下効果が得られるが、これらのベンズイミダゾロンジオキサジン顔料分散剤を、微細化した顔料に、後から追加して粉末混合するとより高い効果が得られる。さらに、効果的に粘度を低下させるには、塩基性基または酸性基を有するベンズイミダゾロンジオキサジン顔料分散剤をディソルバー、ハイスピードミキサー、ホモミキサー、ニーダー、ロールミル、アトライター、サンドミル、各種粉砕機等を用いて機械的に混合するか、顔料の水または有機溶媒によるサスペンジョン系に本発明の顔料分散剤を含む溶液を添加し、顔料表面に顔料分散剤を沈着させるか、硫酸等の強い溶解力を持つ溶媒に有機顔料と顔料分散剤を共溶解して水等の貧溶媒により共沈させる方法が挙げられる。顔料の微細化時に添加するものと、微細化の後に添加するベンズイミダゾロンジオキサジン顔料分散剤の構造は、異なっていてもよい。
【0050】
また、本発明の顔料組成物に含まれるベンズイミダゾロンジオキサジン顔料分散剤は、幅広い構造で、結晶成長と粒子安定性効果、および粘度低下効果を有し、特にジオキサジン系紫色顔料、フタロシアニン系青色顔料で、高い効果が得られる。
【0051】
次に、本発明の顔料組成物を用いた着色組成物について説明する。
着色組成物は、本発明の顔料組成物と顔料担体を含有する。
顔料担体は、樹脂、その前駆体またはそれらの混合物により構成される。着色組成物を用いてカラーフィルタを製造する場合には、樹脂として、可視光領域の400〜700nmの全波長領域において透過率が80%以上、特に95%以上の透明樹脂を用いることが好ましい。
樹脂としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、および感光性樹脂等が挙げられる。樹脂の前駆体としては、放射線照射により硬化して樹脂を生成するモノマーまたはオリゴマーが挙げられ、これらを単独で、または2種以上混合して用いることができる。
【0052】
顔料担体は、着色組成物中の顔料組成物100重量部に対して、30〜700重量部、好ましくは60〜450重量部の量で用いることができる。また、樹脂とその前駆体との混合物を顔料担体として用いる場合には、樹脂は、着色組成物中の顔料組成物100重量部に対して、20〜400重量部、好ましくは50〜250重量部の量で用いることができる。また、樹脂の前駆体は、着色組成物中の顔料組成物100重量部に対して、10〜300重量部、好ましくは10〜200重量部の量で用いることができる。
【0053】
熱可塑性樹脂としては、例えば、ブチラール樹脂、スチレン−マレイン酸共重合体、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル系樹脂、アルキッド樹脂、ポリスチレン、ポリアミド樹脂、ゴム系樹脂、環化ゴム系樹脂、セルロース類、ポリエチレン、ポリブタジエン、ポリイミド樹脂等が挙げられる。
また、熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、ロジン変性フマル酸樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂等が挙げられる。
【0054】
感光性樹脂としては、水酸基、カルボキシル基、アミノ基等の反応性の置換基を有する高分子に、イソシアネート基、アルデヒド基、エポキシ基等の反応性の置換基を有する(メタ)アクリル化合物やケイヒ酸を反応させて、(メタ)アクリロイル基、スチリル基等の光架橋性基を該高分子に導入した樹脂が用いられる。また、スチレン−無水マレイン酸共重合物やα−オレフィン−無水マレイン酸共重合物等の酸無水物を含む線状高分子をヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート等の水酸基を有する(メタ)アクリル化合物によりハーフエステル化したものも用いられる。
【0055】
樹脂の前駆体であるモノマーおよびオリゴマーとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、β−カルボキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、1, 6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、エステルアクリレート、メチロール化メラミンの(メタ)アクリル酸エステル、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタンアクリレート等の各種アクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸、スチレン、酢酸ビニル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、エチレングリコールジビニルエーテル、ペンタエリスリトールトリビニルエーテル、(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ビニルホルムアミド、アクリロニトリル等が挙げられる。
【0056】
着色組成物には、顔料の顔料担体への分散性を向上させるため、適宜、界面活性剤、樹脂型顔料分散剤等の分散助剤を含有させることができる。分散助剤は、着色組成物中の顔料組成物100重量部に対して、0.1〜40重量部、好ましくは0.1〜30重量部の量で用いることができる。
【0057】
界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、スチレン−アクリル酸共重合体のアルカリ塩、アルキルナフタリンスルホン酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸モノエタノールアミン、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ラウリル硫酸アンモニウム、ステアリン酸モノエタノールアミン、ステアリン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、スチレン−アクリル酸共重合体のモノエタノールアミン、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステルなどのアニオン性界面活性剤;ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリエチレングリコールモノラウレートなどのノニオン性界面活性剤;アルキル4級アンモニウム塩やそれらのエチレンオキサイド付加物などのカオチン性界面活性剤;アルキルジメチルアミノ酢酸ベタインなどのアルキルベタイン、アルキルイミダゾリンなどの両性界面活性剤、また、フッ素系やシリコーン系の界面活性剤が挙げられる。
【0058】
樹脂型顔料分散剤は、顔料に吸着する性質を有する顔料親和性部位と、顔料担体と相溶性のある部位とを有する樹脂であり、顔料に吸着して顔料の顔料担体への分散を安定化する働きをするものである。樹脂型顔料分散剤としては、ポリエステル系、アクリル系、ウレタン系の直鎖状または櫛状の樹脂からなるものが挙げられ、直鎖状樹脂の主鎖または末端、櫛状樹脂の主鎖または側鎖に、ブロックまたはランダムに塩基性基、酸性基、芳香族基等を有するものが好ましい。
【0059】
市販の樹脂型顔料分散剤としては、例えば、ポリフローNo.75、No.90、No.95(共栄社油脂化学工業製)、メガファックF171、F172、F173(大日本インキ化学工業製)、フロラードFc430、Fc431(住友スリーエム製)、ソルスパース13240、20000、24000、26000、28000などの各種ソルスパース分散剤(アビシア製)、ディスパービック111、160、161、162、163、164、170、182、2000、2001などの各種ディスパービック分散剤(ビックケミー製)、アジスパーPB711、PB411、PB111、PB814、PB821、PB822などの各種アジスパー分散剤(味の素ファインテクノ製)、エフカ46、47などのエフカ分散剤(エフカーケミカルズ社製)などが挙げられる。
【0060】
着色組成物を紫外線等の光照射により硬化する場合には、光重合開始剤が添加される。
光重合開始剤としては、4−フェノキシジクロロアセトフェノン、4−t−ブチル−ジクロロアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン等のアセトフェノン系光重合開始剤、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンジルジメチルケタール等のベンゾイン系光重合開始剤、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、アクリル化ベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4'−メチルジフェニルサルファイド等のベンゾフェノン系光重合開始剤、チオキサンソン、2−クロルチオキサンソン、2−メチルチオキサンソン、イソプロピルチオキサンソン、2,4−ジイソプロピルチオキサンソン等のチオキサンソン系光重合開始剤、2,4,6−トリクロロ−s−トリアジン、2−フェニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−トリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−ピペロニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−スチリル−s−トリアジン、2−(ナフト−1−イル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4−トリクロロメチル−(ピペロニル)−6−トリアジン、2,4−トリクロロメチル(4'−メトキシスチリル)−6−トリアジン等のトリアジン系光重合開始剤、ボレート系光重合開始剤、カルバゾール系光重合開始剤、イミダゾール系光重合開始剤等が用いられる。光重合開始剤は、着色組成物中の顔料組成物100重量部に対して、5〜200重量部、好ましくは10〜150重量部の量で用いることができる。
【0061】
上記光重合開始剤は、単独でまたは2種以上混合して用いることができるが、増感剤として、α−アシロキシムエステル、アシルフォスフィンオキサイド、メチルフェニルグリオキシレート、ベンジル、9,10−フェナンスレンキノン、カンファーキノン、エチルアンスラキノン、4,4'−ジエチルイソフタロフェノン、3,3',4,4'−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、4,4'−ジエチルアミノベンゾフェノン等の化合物を併用することもできる。増感剤は、着色組成物中の光重合開始剤100重量部に対して、0.1〜60重量部の量で用いることができる。
【0062】
着色組成物には、顔料を充分に顔料担体中に分散させ、均一な塗膜を形成することを容易にするために、溶剤を含有させることができる。溶剤としては、例えばシクロヘキサノン、プロピレングリコールジアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、メチルイソブチルケトン、n−ブチルアルコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメブチルエーテル、プロピレングリコールフェニルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、1,3−ブチレングリコールジアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、3−メトキシブタノール、1,3−ブチレングリコール、トリアセチン、3,3,5−トリメチル−2−シクロヘキセン−1−オン、エチレングリコールモノエチルエーテル、γ−ブチロラクトン、酢酸イソアミル、3−エトキシプロピオン酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トルエン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、3−メトキシプロピオン酸メチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸プロピル等が挙げられる。これらの溶剤は、単独でもしくは混合して用いることができる。
溶剤は、着色組成物中の顔料組成物100重量部に対して、合計して800〜4000重量部、好ましくは1000〜2500重量部の量で用いることができる。
【0063】
着色組成物には、組成物の経時粘度を安定化させるために貯蔵安定剤を含有させることができる。また、基材との密着性を高めるためにシランカップリング剤等の密着向上剤を含有させることもできる。
また、着色組成物には、必要に応じて、本発明の効果を損なわない範囲で、熱重合防止剤、可塑剤、表面保護剤、平滑剤、塗布助剤、密着向上剤、塗布性向上剤又は現像改良剤などの添加剤を添加することができる。
【0064】
着色組成物は、本発明の顔料組成物を、必要に応じて上記分散助剤、上記光重合開始剤と共に、顔料担体および有機溶剤中に三本ロールミル、二本ロールミル、横型サンドミル、縦型サンドミル、アニュラー型ビーズミル、ニーダー、アトライター等の各種分散手段を用いて微細に分散して製造することができる。また、2種以上の顔料を含む着色組成物は、各顔料ごとにベンズイミダゾロンジオキサジン顔料分散剤を用いて別々に顔料担体および有機溶剤中に微細に分散したものを混合して製造することもできる。
着色組成物は、着色組成物を構成する全ての成分を混合してから分散してもよいが、初めに顔料とベンズイミダゾロンジオキサジン顔料分散剤を、樹脂および/または有機溶剤の一部で分散し、次いで、残りの成分を添加して分散することが好ましい。
【0065】
また、必要に応じて、ベンズイミダゾロンジオキサジン以外の顔料分散剤を用いることも出来る。横型サンドミル、縦型サンドミル、アニュラー型ビーズミル、アトライター等で分散を行う前に、ニーダー、三本ロールミル等の錬肉混合機を使用した前分散、二本ロールミル等による固形分散、または顔料へのベンズイミダゾロンジオキサジン顔料分散剤およびベンズイミダゾロンジオキサジン以外の顔料分散剤の処理を同時または別々に行ってもよい。また、ビーズミル等で分散した後、30〜80℃の加温状態にて数時間〜1週間保存するエージングといわれる後処理や、超音波分散機や衝突型ビーズレス分散機を用いた後処理を行うと、着色組成物の安定性に対して有効である。このほか、マイクロフルイタイザー、ハイスピードミキサー、ホモミキサー、ボールミル、ロールミル、石臼式ミル、超音波分散機等のあらゆる分散機や混合機が着色組成物を製造するために利用できる。
【0066】
着色組成物は、カラーフィルタの製造に用いられる場合には、遠心分離、焼結フィルター、メンブレンフィルター等の手段にて、5μm以上の粗大粒子、好ましくは1μm以上の粗大粒子、さらに好ましくは0.5μm以上の粗大粒子および混入した塵の除去を行うことが好ましい。
【0067】
着色組成物は、グラビアオフセット用印刷インキ、水無しオフセット印刷インキ、シルクスクリーン印刷用インキ、溶剤現像型あるいはアルカリ現像型着色レジスト材として調製することができる。
【0068】
溶剤現像型あるいはアルカリ現像型着色レジスト材は、顔料担体である熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂または感光性樹脂と、モノマーと、光重合開始剤と、溶剤とを含有する組成物中に、本発明の顔料組成物を分散させたものである。
【0069】
さらに着色組成物は、幅広い印刷インキや塗料、インクジェットインキ、さらにはプラスチックの着色においても、分散効果と経時安定性に優れ、着色力のある着色物が得られる。
【0070】
その場合、モノマーや光重合開始剤を用いず、前記の樹脂および溶剤の他に、石油樹脂、カゼイン、セラック、乾性油、合成乾性油等の樹脂、およびエチルセロソルブアセテート、ブチルセロそるブアセテート、エチルベンゼン、酢酸エチル、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、エチレングリコール、グリセリン、ジメチルホルムアミド、ソルベッソ100(エクソン化学株式会社)、スワゾール1000、石油系溶剤等の溶剤を用い、必要に応じて界面活性剤および/または樹脂型顔料分散剤を用いて、前記の方法により着色組成物を製造することができる。
【実施例】
【0071】
以下に顔料分散剤の合成例と、それを用いた実施例により本発明を説明するが、これらに限定されるものではない。なお、文中特に断らない限り、部は重量部を、%は重量%を表す。
【0072】
(合成例1)中間体(化合物(1))の合成方法
30%発煙硫酸300部中に、C.I.ピグメントブルー80(Clariant社製「Hostaperm Blue R5R VP 2548」)30部を室温で仕込み、120℃で4時間攪拌した後、2700部のメチルエチルケトン(MEK)に15分かけて滴下した。沈殿した生成物をろ過し、3000部のMEKで洗浄し、80℃で乾燥させた。これにより、45部の化合物(1)を得た。
【0073】
(合成例2)顔料分散剤A(化合物(2))の合成方法
クロロスルホン酸300部中に、化合物(1)30部を室温で仕込んだ。室温で7時間攪拌した後、1500部の氷水に15分かけて滴下した。沈殿したスルホニルクロリドをろ過し、3000部の氷水で洗浄し、プレスケーキを得た。3Lビーカーに、500部の氷と500部の水、50部のジエチルアミノエチルアミンを投入し、2〜5℃でスルホニルクロリドプレスケーキを投入した。ついで、混合物を60℃に加温し、90分間攪拌した。生成物をろ過、水で洗浄し、80℃で乾燥させた。これにより、43部の顔料分散剤A(化合物(2))を得た。
【0074】
(合成例3)顔料分散剤B(化合物(3))の合成方法
メタノール150部と蒸留水600部の混合溶液中に、化合物(1)30部を室温で仕込んだ。室温で1時間攪拌した後、45部の硫酸アルミニウム水溶液(アルミナとして8%)を20分かけて滴下し、80度で2時間攪拌した。反応溶液を室温に冷却した後、生成物をろ過、水で洗浄し、80度で乾燥させた。これにより、33部の顔料分散剤B(化合物(3))を得た。
【0075】
(合成例4)中間体(化合物(4))の合成方法
0℃に冷却した30%発煙硫酸300部中に、C.I.ピグメントブルー80(Clariant社製「Hostaperm Blue R5R VP 2548」)30部を30分以上かけてゆっくりと、20℃以下に保ちながら滴下した。さらに、α−クロルアセトアミド25部を20分以上かけて添加した後、パラホルムアルデヒド9部を20分以上かけて添加し、15〜20℃で4時間攪拌し、一晩放置した。反応液を氷750部と水1500部に注入させ、沈殿物をろ過、1000部の氷水で洗浄し、80℃で乾燥させた。これにより、41部の化合物(4)を得た。
【0076】
(合成例5)顔料分散剤C(化合物(5))の合成方法
3Lビーカーに、500部の氷と500部の水、50部の1−(2−アミノエチル)ピペラジンを投入し、0〜5℃で化合物(4)30部を投入した。ついで、混合物を60℃に加温し2時間攪拌した。生成物をろ過、水で洗浄し、80℃で乾燥させた。これによって47部の顔料分散剤C(化合物(5))を得た。
【0077】
(合成例6)顔料分散剤D(化合物(6))の合成方法
C.I.ピグメントブルー80(Clariant社製「Hostaperm Blue R5R VP 2548」)30部を30%発煙硫酸100部とクロロスルホン酸210部中に溶解させ、パラホルムアルデヒド45部加え、45℃で1時間攪拌した。そこにジエチルアミン30部を15分かけて滴下し、更に2時間攪拌した。反応液を氷750部と水1500部に注入させ、沈殿物をろ過、1000部の氷水で洗浄し、80℃で乾燥させた。これにより、38部の顔料分散剤D(化合物(6))を得た。
【0078】
(合成例7)顔料分散剤E(化合物(7))の合成方法
C.I.ピグメントブルー80(Clariant社製「Hostaperm Blue R5R VP 2548」)30部を30%発煙硫酸100部に加え、10℃以下になるように保ちながら、n-ヒドロキシフタルイミド19部を徐々に加えて、1時間攪拌後、60℃に昇温して2時間反応させた。反応混合物を水750部にあけ、濾過後、水洗し、80℃で乾燥させた。これにより、38部の顔料分散剤E(化合物(7))を得た。
【0079】
(実施例1)ジオキサジン系紫色顔料C.I.ピグメントバイオレット23(Clariant社製「Fast Violet RL」)95部と顔料分散剤Aを5部、塩化ナトリウム450部、ジエチレングリコール100部を1000容量部の双腕型ニーダーに仕込み、80℃で稠密な塊状(ドウ)に保持しながら、6時間ソルベントソルトミリング法により微細化した。この顔料を、70℃の水の中に取り出し、1時間保温攪拌後、ろ過と水洗を行い、塩化ナトリウムとジエチレングリコールを除いた後、80℃で乾燥、粉砕し、顔料組成物を得た。
【0080】
(実施例2)顔料分散剤Aのかわりに、顔料分散剤Bを用いたいこと以外は、実施例1と同様にして、顔料組成物を得た。
【0081】
(実施例3)実施例1と同様のジオキサジン系紫色顔料90部と顔料分散剤Cを10部、塩化ナトリウム450部、ジエチレングリコール100部を1000容量部の双腕型ニーダーに仕込み、実施例1と同様にしてソルベントソルトミリング法により微細化し、顔料組成物を得た
【0082】
(実施例4)顔料分散剤Cのかわりに、顔料分散剤Dを用いたいこと以外は、実施例3と同様にして、顔料組成物を得た。
【0083】
(実施例5)顔料分散剤Cのかわりに、顔料分散剤Eを用いたいこと以外は、実施例3と同様にして、顔料組成物を得た。
【0084】
(実施例6)ジオキサジン系紫色顔料のかわりに、フタロシアニン系青色顔料C.I.ピグメントブルー15:6(東洋インキ製造社製「LIONOL BLUE ES」)を用いたいこと以外は、実施例1と同様にして、顔料組成物を得た。
【0085】
(実施例7) 実施例6と同様のフタロシアニン系青色顔料92部と顔料分散剤Cを8部、塩化ナトリウム450部、ジエチレングリコール100部を1000容量部の双腕型ニーダーに仕込み、実施例1と同様にしてソルベントソルトミリング法により微細化し、顔料組成物を得た。
【0086】
(比較例1)実施例1と同様のジオキサジン系紫色顔料100部と塩化ナトリウム450部、ジエチレングリコール100部を1000容量部の双腕型ニーダーに仕込み、実施例1と同様にしてソルベントソルトミリング法により微細化し、顔料組成物を得た。
【0087】
(比較例2)ソルベントソルトミリング時間を6時間から9時間に延ばしたこと以外は、比較例1と同様にして、顔料組成物を得た。
【0088】
(比較例3)ジオキサジン系紫色顔料のかわりに、実施例6と同様のフタロシアニン系青色顔料を用いたいこと以外は、比較例1と同様にして、顔料組成物を得た。
【0089】
実施例1から7と比較例1から3で得られた顔料組成物を電子顕微鏡で観察し、平均粒子径と粒子径のばらつき範囲を求めた。結果をまとめて表2に示す。
【0090】
【表2】


【0091】
顔料を微細化する際、ベンズイミダゾロンジオキサジン顔料分散剤を用いたものは、その結晶性長防止効果と、粒子安定性効果により、容易に微細で粒度分布が狭く、顔料粒子の微細な分散が要求される分野で好適に用いることができる顔料組成物になった
【0092】
アクリル樹脂溶液の調製
温度計、冷却管、窒素ガス導入管、攪拌装置を取り付けた四つ口フラスコ中にシクロヘキサノン800部を添加し、窒素ガス注入下、100℃に加熱した。この温度において、メタクリル酸60部、メチルメタクリレート65部、ブチルメタクリレート65部、2−ヒドロキシエチルメタアクリレート60部、2,2'−アゾビスイソブチロニトリル10部の混合物を約1時間かけて滴下し、重合反応を行った。滴下終了後、更に3時間攪拌を続け、2,2'−アゾビスイソブチロニトリル2部をシクロヘキサノン50部に溶解させた溶液を添加し、更に80℃で1時間反応を続け、重量平均分子量が約40000のアクリル樹脂溶液を得た。
室温まで冷却した後、樹脂溶液約2部をサンプリングして180℃で20分間過熱乾燥して不揮発分を測定し、先に合成した樹脂溶液に不揮発分が20%となるようにシクロヘキサンを添加してアクリル樹脂溶液を調製した。
【0093】
実施例8〜16及び比較例4〜7
各種顔料組成物又は顔料とベンズイミダゾロンジオキサジン顔料分散剤、上記に示したアクリル樹脂溶液、溶剤としてシクロヘキサノン、及び必要に応じ添加剤(味の素ファインケミカル社製「アジスパーPB821」の40%アノン溶液)を、それぞれ表4に示した配合量で140mlのねじ口瓶中に秤量した。直径1.25mmのジルコニアビーズ150gを添加し、ペイントコンディショナーで8時間分散し、着色組成物を得た。
【0094】
この様にして得られた顔料分散体の粘度及びチクソトロピック・インデックス(TI値)をB型粘度計により測定した。また、顔料分散体を40℃で一週間保存した後に再び粘度を測定し、粘度増加率の結果を次に示す三段階の基準により評価した。
◎:増粘が殆ど見られない
○:若干の増粘が見られるが使用可能の範囲である
×:増粘が著しく使用不可である
【0095】
評価結果をまとめて表3に併せて示す。
【0096】
【表3】


【0097】
表3に示したように、本発明の顔料分散剤を使用したものは低粘度かつTI値が小さく、流動性に優れていることが解る。更に、経時での粘度安定性も良好な結果を示した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(1)で表されるベンズイミダゾロンジオキサジン顔料分散剤。
【化1】



(式中、R1、およびR2は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、または、下記一般式(2)で表される基を示す。
3〜R6は、それぞれ独立に、水素原子、またはアルキル基を示す。
7〜R10は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、アルキル基、アルコキシ基、ニトロ基、アミノ基、スルホン酸基、カルボン酸基、または、下記一般式(2)で表される基を示す。
ただし、R1、R2、R7〜R10のうち1〜6つは、下記一般式(2)で表される基を示す。)
【化2】



(一般式(2)中、
Yは、−R21−、−CONR11−R21−、−NR11−R21−、−NR11CO−R21−、−NR11SO2−R21−、−O−R21−、−S(O)m−R21−、−SO2NR11−R21−、トリアジン残基、またはこれらが2つ以上結合した連結基を表す。
Zは、−COO・M、−NR1213、フタルイミド基、−SO3・M、−SO2NR1213を表す。
11は、水素原子、アルキル基、もしくはヒドロキシアルキル基を表す。
12およびR13は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、ヒドロキシアルキル基、ハロゲン原子置換アルキル基、もしくは置換されてもよいアミノアルキル基を表す。あるいは、R12およびR13は一体となって環を形成してもよい。
21は、直接結合、炭素数1〜12の直鎖または枝分かれしたアルキレン基、アリーレン基、もしくは、2価のトリアジン残基を表す。
mは、0から3の整数を表す。
kは、Yがアルキレン基、アリーレン基もしくはトリアジン残基を含む場合は2であり、その他の場合は1を表す。
Mは、水素イオン、1〜3価の金属イオン、または、少なくとも1つがアルキル基で置換されているアンモニウムイオンを表す。)
【請求項2】
顔料および請求項1記載の顔料分散剤を含有する顔料組成物。
【請求項3】
顔料が、ジオキサジン系顔料、および/または、フタロシアニン系顔料を含むことを特徴とする請求項2記載の顔料組成物。
【請求項4】
ジオキサジン系顔料が、C.I.ピグメントイエロー23、フタロシアニン系顔料がC.I.ピグメントブルー15:6である、請求項3記載の顔料組成物。

【公開番号】特開2010−254835(P2010−254835A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−107581(P2009−107581)
【出願日】平成21年4月27日(2009.4.27)
【出願人】(000222118)東洋インキ製造株式会社 (2,229)
【Fターム(参考)】