説明

顔料含有溶液性組成物の増粘に適した流動学的液体添加剤

本発明はチキソトロピー性付与組成物に関する。この組成物は、少なくとも2つの水酸基部分を有する一種以上のポリオールと少なくとも2つのカルボン酸部分を有する一種以上のポリカルボン酸とから得られる一種以上のポリエステルと、一種以上の塩基性化合物との反応生成物を有し、前記ポリエステルが末端基として少なくとも2つの活性カルボン酸部分を有し、該カルボン酸部分の少なくとも一部分がカルボキシレートアニオンの形態にある。この組成物は一種以上の希釈剤をさらに含有していてもよい。また、この組成物は液体状態であってもよい。この組成物は、非水組成物において、一種以上の粒子状材料と組み合わせて流動学的添加剤として使用することができ、この流動学的添加剤が非水組成物にチキソトロピー性を与える。本発明は、別のチキソトロピー性付与組成物にも関する。該組成物は、少なくとも2つの水酸基部分を有する一種以上のポリオールと少なくとも2つのカルボン酸部分を有する一種以上のポリカルボン酸とから得られる一種以上のポリエステルの反応生成物を含有し、該ポリエステルが末端基として少なくとも2つの活性カルボン酸部分を有する。この組成物は一種以上の希釈剤をさらに含有してもよい。また、組成物は液体として存在してもよい。この組成物は、非水組成物において、一種以上の粒子状材料と組み合わせて流動学的添加剤として使用することができ、この流動学的添加剤が非水組成物にチキソトロピー性を与える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塗料、被膜剤、接着剤、シーラント、インク、ワニス、掘削泥水等の非水組成物用の、流動学的添加剤としての性能が向上したポリエステル組成物に関する。
【発明の開示】
【発明の要旨】
【0002】
一態様において、本発明は、少なくとも2つの水酸基部分を有する一種以上のポリオールと少なくとも2つのカルボン酸部分を有する一種以上のポリカルボン酸とから得られる一種以上のポリエステルと、一種以上の塩基性化合物との反応生成物を有し、前記ポリエステルが末端基として少なくとも2つの活性カルボン酸部分を有し、該カルボン酸部分の少なくとも一部分がカルボキシレートアニオンの形態にあることを特徴とする、チキソトロピー性付与組成物を提供する。一態様において、この組成物は一種以上の希釈剤をさらに含有することもできる。一態様において、この組成物は、さらに液体状態であってもよい。
【0003】
第二の態様において、本発明は、少なくとも2つの水酸基部分を有する一種以上のポリオールと少なくとも2つのカルボン酸部分を有する一種以上のポリカルボン酸との反応生成物を含む一種以上のポリエステルと、一種以上の塩基性化合物とを含有すると共に、前記ポリエステルが末端基として少なくとも2つの活性カルボン酸部分を有し、該カルボン酸部分の少なくとも一部分がカルボキシレートアニオンの形態である流動学的添加剤と、一種以上の粒子状材料とを含む非水流体組成物であって、前記流動学的添加剤が該非水流体組成物にチキソトロピー性を与えることを特徴とする非水流体組成物をさらに提供する。一態様において、この発明の流動学的添加剤は一種以上の希釈剤をさらに含有してもよい。
【0004】
また別の態様において、本発明は、少なくとも2つの水酸基部分を有する一種以上のポリオールと少なくとも2つのカルボン酸部分を有する一種以上のポリカルボン酸とから得られる一種以上のポリエステルの反応生成物を含有し、該ポリエステルが末端基として少なくとも2つの活性カルボン酸部分を有する、チキソトロピー性付与組成物を提供する。一態様において、カルボン酸部分はカルボキシレートアニオンの形態にある。一態様において、チキソトロピー性付与組成物は一種以上の希釈剤をさらに含有してもよい。一態様において、組成物はさらに液体として存在してもよい。
【0005】
さらにまた別の態様において、本発明は、少なくとも2つの水酸基部分を有する一種以上のポリオールと少なくとも2つのカルボン酸部分を有する一種以上のポリカルボン酸との反応生成物を含む一種以上のポリエステルを含有すると共に、該ポリエステルが末端基として少なくとも2つの活性カルボン酸部分を有する流動学的添加剤と、一種以上の粒子状材料とを含む非水流体組成物であって、前記流動学的添加剤が該非水流体組成物にチキソトロピー性を与えることを特徴とする非水流体組成物をさらに提供する。一態様において、カルボン酸部分はカルボキシレートアニオンの形態にある。一態様において、この発明の流動学的添加剤は一種以上の希釈剤をさらに含有してもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明をよりよく理解するために含まれ、この明細書に取り入れられてその一部をなす添付の図面は、本発明の一態様を示し、明細書の記載と共に本発明の基本的事項を説明するのに役立つ。
【0007】
本発明の実施態様について詳細に記載する。本発明の組成物は、様々な材料を用いて、この明細書に記載されている、又は当業者には明らかな様々な方法によって作ることができる。出願人は、以下の記載によってこのような組成物の材料又は製造方法を制限することを意図していない。
【0008】
本発明は、流動学的添加剤として使用することのできるポリエステル組成物について記載している。このポリエステル組成物は、周囲温度で流し込むことができ、非水組成物において低レベルで使用すると効果的で効率のよいチキソトロピー性を与えることができる。従来技術の添加剤とは異なり、この流動学的添加剤はほぼ完全に流動学的に活性であって効率的であり、液体状態を維持するのに希釈剤を必要としない。本発明は、このような流動学的添加剤を含有する、改良型の有機組成物及び溶媒組成物にも及ぶ。非水組成物という用語は、この明細書では、溶媒を含む組成物と溶媒を含まない組成物との両方を含んで使用される。
【0009】
図1を参照すると、本発明のポリエステル組成物は、好適な合成経路AとBとによって合成することができる。好適な合成経路Aにおいては、ポリカルボン酸110、ポリオール112及び塩基性化合物が、昇温下で行われる縮合反応において相互に反応する。一態様において、ポリオールの水酸基部分とポリカルボン酸部分との化学量論比が、反応混合物が広範囲に亘って架橋しないように、そしてゲルの形成を防ぐように定められる。この化学量論比は、実験によって決定することもできるし、より好ましくは、例えば、カロザースの式又はその変形等を用いて理論的に決定することもできる。一態様において、ポリオールの水酸基部分とカルボン酸部分との比は、好ましくは1.5:1.0〜3.0:1.0であり、より好ましくは、2.1;1.0〜2.7:1.0であり、最も好ましくは2.45:1.0〜2.65:1.0である。反応経路Aにおいては、塩基性化合物が反応の開始時点で添加される。理論には束縛されないが、塩基性化合物は、広範囲に亘る架橋と高分子量重合体の生成との両方を防ぐと考えられている。一態様において、合成経路Aを経て作られるポリエステルの分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィーによって測定すると、1,000〜30,000ダルトンの範囲、特に1,000〜15,000ダルトンの範囲にある。一態様において、合成経路Aを経て作られるポリエステル組成物122は、23℃で500,000〜600,000 cPの粘度を有する濃厚な液体として得られる。
【0010】
好適な合成経路Bにおいては、ポリオールは、まず、ポリカルボン酸110と反応して酸で末端を終了したポリエステル120を作る。このポリエステルは、その各々の末端がカルボン酸部分で終端している。このようにして得られるポリエステルは、引き続いて液体の界面活性剤と混合してその粘度を低下させてもよいし、及び/又は塩基性化合物によって中和してもよい。一態様において、カルボン酸部分と水酸基部分との好ましい比は、2:1〜18:17である。一態様において、二官能基の反応体については、カルボン酸部分と水酸基部分との比は、約6:5である。一態様において、より多数の官能基を有する反応体については、カルボン酸部分と水酸基部分との比は、結果として得られるポリマーが未反応のカルボン酸分子部分を含み、不溶であって扱いにくい塊にならないように、選択される。一態様において、この開示の組成物用の分子量は、2000〜10,000ダルトンの範囲内であり、好ましくは4000〜8000ダルトンの範囲内である。一態様において、合成経路Bを経て作られたポリエステル組成物の粘度は、23℃で40,000〜80,000 cPである。
【0011】
本発明の組成物において使用されるポリオールとしては、2つ以上の水酸基部分を有する直鎖ポリオール、分岐ポリオール、及びこれらの混合物を挙げることができる。好適な一態様においては、2〜6の水酸基部分を有するポリオール、及びそれらの混合物であるのが好ましい。最も好ましい態様としては、2〜3の水酸基部分を有するポリオールか、それらの混合物であるのがよい。好適なポリオールとしては、グリセロール、ソルビトール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,6-ヘキサンジオール、C36ダイマージオール、ユニケマ(Uniqema)のプリプラスト(Priplast)等のポリエステルジオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール、ポリ(THF)、及びアクゾ・ケミカル社(Akzo Chemical Company)のエソミンC15(Ethomeen C15)等のエトキシル化アミンを挙げることができる。一態様においては、ポリオールは、エピクロロヒドリン等のポリオール同等物、及びポリ酸と反応してエステル結合を形成するシェル・ケミカルズ株式会社(Shell Chemicals, Ltd.)のエポン樹脂(Epon resins)等のポリエポキシド樹脂を含む。好ましい態様においては、ポリオールはグリセロールを含む。別の好ましい態様においては、ポリオールは1,6-ヘキサンジオールを含む。
【0012】
一態様において、本発明の組成物に使用することのできるポリカルボン酸は、炭素数が18〜54である多塩基酸とこのような酸の混合物とを含むことができる。一態様において、ポリカルボン酸は、1分子当たり少なくとも2個、最大6個までのカルボン酸部分を有する。好ましい態様において、ポリカルボン酸は、2〜3のカルボン酸部分を有するC16〜C18脂肪酸の二量体及び三量体を含む。本発明においては、ポリカルボン酸の混合物も使用することができる。「ポリカルボン酸」という用語は、低級アルコールとポリカルボン酸とのエステル(但し、このようなエステルはポリオールとエステル交換反応を行って所望のポリエステルを形成する。)等のポリカルボン酸同等物、並びにポリオールと反応して所望のポリエステルを形成する酸ハライド及び酸無水物の使用も含むものとして用いられる。ある態様においては、ポリ酸成分はスルホコハク酸を含み、該スルホコハク酸はポリエステル組成物の30%未満、好ましくは20%未満、最も好ましくは10%未満を占める。
【0013】
一態様において、本発明の好ましい二量体及び三量体ポリカルボン酸は炭素数が16〜18である。このような材料の混合物も使用することができる。二量体酸はコグニス(Cognis)からエムポール・ダイマー・アシッド(Empol Dimer Acids)の商品名で、ユニケマ・インターナショナル(Uniqema, International)からプリポール・ダイマー・アシッド(Pripol Dimer Acids)の商品名で市販されている。使用に適した二量体酸の実例としてはエムポール(Empol)1004、エムポール(Empol)1008、エムポール(Empol)1018及びエムポール(Empol)1016等を挙げることができる。
【0014】
一態様において、本発明の組成物に使用することのできる塩基性化合物としては、液体ポリエステルのカルボン酸又はカルボン酸同等物と反応して塩を形成する、あらゆる金属塩、アンモニウムイオン、ホスホニウムイオン、及びこれらの混合物を挙げることができる。好ましい態様において、塩基性化合物は、リチウム、ナトリウム、カリウム、セシウム、カルシウム、マグネシウム等のアルカリ金属(I族)及びアルカリ土類金属(II族)、並びにこれらの金属塩よりなる群から選択される。より好ましい態様において、本発明において好適に使用することのできる塩基性化合物は、アルカリ金属塩である。最も好ましい態様において、本発明で好適に使用することのできる塩基性化合物は、カリウム塩及びセシウム塩、並びにこれらの混合物である。
【0015】
一態様において、塩基性化合物のアニオン部分は、本発明におけるポリエステルのカルボン酸部分と反応して金属塩を形成する、あらゆるアニオンから選択することができる。ある態様においては、アニオン部分として、炭酸塩、アルコキシル塩、カルボキシル塩、二炭酸塩、水素化合物及び水酸塩、並びにこれらの混合物を挙げることができる。一態様において、金属元素がカルボン酸部分と反応するのに十分なほど活性であれば、塩基性金属カチオン源は元素の形態をしていてもよい。
【0016】
一態様において、反応開始時点のカルボン酸部分1当量に対して、アルカリ金属塩などの金属塩が0.05〜0.8当量使用される。好ましい態様においては、反応開始時点のカルボン酸部分1当量に対して、アルカリ金属塩が0.1〜0.5当量使用される。最も好ましい態様においては、反応開始時点のカルボン酸部分1当量に対して、アルカリ金属塩が0.2〜0.4当量使用される。この文脈において、アルカリとはカルボン酸部分と反応して塩を形成する材料を意味する。一態様において、本発明において好適に使用することのできる好ましい塩基性化合物源としては、水酸化カリウム及び水酸化セシウムである。
【0017】
一態様において、本発明の組成物は希釈剤によって希釈して、23℃で粘度が約20,000である、注ぐことのできる液体生成物にすることができる。ある態様において、希釈剤としては、有機溶剤、非イオン性界面活性剤、トリグリセリド及び他の油、並びに高沸点アルコールを挙げることができる。本発明で使用することのできる好適な有機溶剤としては、トルエン、キシレン、トルエン、ブチルカルビトール、N-メチルピロリドン、ブチルアセテート、メチルエチルケトン及びブタノール、並びにこれらの混合物を挙げることができる。本発明で使用することのできる好適な非イオン性界面活性剤としては、ポリエチレンオキシド、C6〜C22直鎖状及び分岐状、飽和及び不飽和アルキル基のモノエーテル、アルキルフェノール及びポリアリールフェノールのポリエチレンオキシドモノエーテル、トリグリセリド、並びに他の油を挙げることができる。石油系溶剤の代表的な例としては、マジー・ブラザーズ(Magie Bros.)によって販売されているマジーソル52(Magiesol 52)、サン・インコーポレイテッド(Sun Inc.)によって市販されているサンプリントHP 750(Sunprint HP 750)、及びエクソン・ケミカル・カンパニー(Exxon Chemical Company)によって販売されているエクスプリント705(Exprint 705)を挙げることができる。植物油の実例としては、大豆油、ナタネ油、キャノーラ油、パーム油、米ぬか油等を挙げることができるが、これらに限定されない。本発明で使用することのできる好適な高沸点アルコールとしては、ゲルベアルコールを挙げることができる。一態様において、希釈剤は、製造物の揮発性有機物含有量に大きく影響しないのが好ましい。
【0018】
本発明の一態様において、チキソトロピー性付与組成物は、少なくとも2つの水酸基を有する一種以上のポリオールと、少なくとも2つのカルボン酸部分を有する一種以上のポリカルボン酸とから得られるポリエステルと、一種以上の塩基性化合物との反応生成物を有し、前記ポリエステルが末端基として少なくとも2つの活性カルボン酸部分を有し、該カルボン酸部分の少なくとも一部分がカルボキシレートアニオンの形態にある。一態様において、チキソトロピー性付与組成物はさらに一種以上の希釈液を含んでもよい。一態様において、チキソトロピー性付与組成物は液体を含んでいてもよい。好ましい態様において、ポリオールはグリセロールを含んでいる。別の好ましい態様において、塩基性化合物は水酸化カリウムを含む。別の好ましい態様において、塩基性化合物は水酸化セシウムを含む。
【0019】
本発明のまた別の態様においては、本発明によるチキソトロピー性付与組成物は、少なくとも2つの水酸基を有する一種以上のポリオールと、少なくとも2つのカルボン酸部分を有する一種以上のポリカルボン酸とから得られるポリエステルの反応生成物を有し、前記ポリエステルが末端基として少なくとも2つの活性カルボン酸部分を有している。一態様において、チキソトロピー性付与組成物はさらに一種以上の希釈液を含んでもよい。一態様において、チキソトロピー性付与組成物は液体を含んでいてもよい。好ましい態様において、ポリオールは1,6-ヘキサンジオールを含んでいる。この組成物は、希釈剤をさらに含んでいてもよい。
【0020】
本発明の一態様において、チキソトロピー性付与組成物はポリエステルと塩基性化合物とを含み、前記ポリエステルは末端基として少なくとも2つの活性カルボン酸部分を有し、該カルボン酸部分の少なくとも一部分がカルボキシレートアニオンの形態にある。また別の態様において、ポリエステルは固体状で存在する。好ましい態様において、ポリエステルは、液体状で存在する。
【0021】
本発明のまた別の態様においては、チキソトロピー性付与組成物は、末端基として少なくとも2つの活性カルボン酸部分を有し、該カルボン酸部分の少なくとも一部分がカリウムカチオンを対イオンとするカルボキシレートアニオンの形態にあるグリセロールの二量体酸ポリエステル組成物を含有する。別の態様においては、このポリエステルは液体状である。
【0022】
本発明のさらに別の態様において、非水流体組成物は、末端基として少なくとも2つの活性カルボン酸部分を有すると共に該カルボン酸基の少なくとも一部分がカルボキシレートアニオンの形態であるグリセロール−二量体酸ポリエステル組成物を含有する流動学的添加剤と、一種以上の粒子状材料とを含み、前記グリセロール−二量体酸ポリエステル組成物含有流動学的添加剤が非水流体組成物にチキソトロピー性を与える。好ましい態様において、前記ポリエステルは末端基として少なくとも2つの活性カルボン酸部分を有する。また別の態様において、流動学的添加剤は固体状である。好ましい態様においては、流動学的添加剤は液体状である。
【0023】
本発明のさらにまた別の態様において、チキソトロピー性付与組成物は、末端基として少なくとも2つの活性カルボン酸部分を有する1,6-ヘキサンジオール−二量体酸組成物を含有する。別の態様において、このポリエステル組成物は固体状である。好ましい態様においては、このポリエステル組成物は液体状である。
【0024】
本発明の別の態様において、非水流体組成物は、末端基として少なくとも2つの活性カルボン酸部分を有する1,6-ヘキサンジオール−二量体酸組成物を含有する流動学的添加剤と、一種以上の粒子状材料とを含み、このポリエステル流動学的添加剤が非水流体組成物にチキソトロピー性を与える。
【0025】
一態様において、本発明のポリエステル組成物は、該組成物が配合される組成物にチキソトロピー性を与えるために使用することができる。本発明の一態様において、非水流体組成物は、少なくとも2つの水酸基部分を有する一種以上のポリオールと少なくとも2つのカルボン酸部分を有する一種以上のポリカルボン酸との反応生成物を含む一種以上のポリエステルと、一種以上の塩基性化合物とを含有すると共に、前記ポリエステルが末端基として少なくとも2つの活性カルボン酸部分を有し、該カルボン酸部分の少なくとも一部分がカルボキシレートアニオンの形態である流動学的添加剤と、一種以上の粒子状材料とを含み、前記流動学的添加剤が該非水流体組成物にチキソトロピー性を与える。好ましい一態様において、前記ポリオールはグリセロールを含む。好ましい他の態様において、前記塩基性化合物は水酸化カリウムを含む。他の好ましい態様において、塩基性化合物は水酸化セシウムを含む。さらに別の態様において、本発明のポリエステル組成物はさらに希釈剤を含んでいてもよい。
【0026】
本発明の別の態様において、非水流体組成物は、少なくとも2つの水酸基部分を有する一種以上のポリオールと少なくとも2つのカルボン酸部分を有する一種以上のポリカルボン酸との反応生成物を含む一種以上のポリエステルを含有し、該ポリエステルが末端基として少なくとも2つの活性カルボン酸部分を有する流動学的添加剤と、一種以上の粒子状材料とを含み、前記流動学的添加剤が該非水流体組成物にチキソトロピー性を与える。別の態様において、前記ポリエステル含有流動学的添加剤の未反応カルボン酸部分を塩基性化合物で中和してもよい。好ましい態様において、前記ポリオールは1,6-ヘキサンジオールを含む。他の態様において、本発明のポリエステル組成物はさらに希釈剤を含むことができる。
【0027】
ある態様において、粒子状材料としては、様々な材料を挙げることができる。本発明で使用することのできる好適な粒子状材料としては、二酸化チタン、炭酸カルシウム、タルク、アルミナ、層状シリケート、ヒュームドシリケート、典型的には塗膜に使用される様々な顔料材料、及びこれらの混合物を挙げることができる。
【0028】
理論に拘束はされないが、流動学的添加剤の官能基が粒子の表面に付着し、ネットワークの形成と制御された凝集によってレオロジーの増加に至ると考えられている。
【0029】
本発明の流動学的添加剤によって、ある種の効果及び/又は公知の添加剤への改良を得ることができる。本発明の流動学的添加剤の性質は、公知の固体状チキソトロープに少なくとも匹敵する。一態様において、使用に際して、本発明の添加剤は溶剤を全く含んでいなくてもよく、あるいは、任意に、大幅に低減した量の溶媒を含んでいてもよい。一態様において、製造又は使用において便利であるのであれば、有機溶剤又は他の溶剤を約10〜25重量%よりも少ない量で使用することができる。一態様において、本発明の流動学的添加剤は公知の添加剤よりも大幅に向上した特性を有している。ある種の粒子型の流動学的添加剤に比較して、本発明の流動学的添加剤は優れた流動性とレベリング性、さらには優れた効率と易分散性とを有している。この分野において開示されている最近の固体流動学的添加剤と比較して、本発明の流動学的添加剤は流動学的液体として組成物に混合することができる。
【0030】
ある態様において、本発明の液体流動学的添加剤は、様々な有機組成物及び溶剤を含む組成物を増粘するのに使用することができる。一態様において、本発明の流動学的添加剤は、溶媒を含まない組成物にも使用することができる。ある態様において、本発明の流動学的添加剤は、例えば、ミネラルスピリットを溶媒とするアルキド溶液、非水媒体へのポリマーの分散液(非水分散液と呼ばれる)、及び非水塗料等の非水ポリマー溶液を含む非水溶剤において使用することができ、また、塗料リムーバー、接着剤、インク、シーラント、マスチックス、コークス材、顔料分散液、及び印刷用練り顔料は本発明によって効果的に増粘することができる。ある態様においては、例えば、溶剤を含む脂肪族及び芳香族組成物を増粘するのに本発明の流動学的添加剤は特に有用であり、極性溶剤(ケトン、アルコール、エステル)を含む組成物にも使用することができる。ある態様において、本発明による流動学的添加剤は、例えば、「仲間競売」塗料、ワニス、エポキシ基材の塗料、ポリエステル、変性アルキド基材の塗料等の脂肪族アルキド塗料;標準品質の工業用塗料等のアルキド、ポリエステル、及びアクリル焼付エナメル;ある種のシーラント;並びに不飽和ポリエステル樹脂塗料等の熱硬化組成物を含む有機組成物において使用することができる。ある態様において、本発明による流動学的添加剤は、例えば、器具エナメル(appliance enamels)及び機器エナメル(equipment enamels)を含むアルキド/メラミン、アクリル/メラミン、及びポリエステル/メラミン組成物を主材料とする組成物を含有する高固形分芳香族焼付エナメルに使用することができる。さらに、流動学的添加剤をアルキド及び変性アルキド調合物を主成分とする高固形分空気乾燥エナメルにも使用することができる。
【0031】
脂肪族及び芳香族溶媒を基材とする組成物に加えて、本発明の流動学的添加剤は、石油を基材とする組成物及び植物油を基材とする組成物においても使用することができる。石油系溶剤の代表的な例としては、マジー・ブラザーズ(Magie Bros.)によって販売されているマジーソル52(Magiesol 52)、サン・インコーポレイテッド(Sun Inc.)によって市販されているサンプリントHP 750(Sunprint HP 750)、及びエクソン・ケミカル・カンパニー(Exxon Chemical Company)によって販売されているエクスプリント705(Exprint 705)を挙げることができる。植物油の実例としては、大豆油、ナタネ油、キャノーラ油、パーム油、米ぬか油等を挙げることができるが、これらに限定されない。一態様において、本発明の流動学的添加剤を有機組成物に分散させて、粘度特性を向上させることができる。一態様において、その製造において通常採用されているいかなる温度においても、流動学的添加剤を組成物中に分散させることができる。
【0032】
個々の例において使用される流動学的添加剤の量は、有機溶剤を基材とする被増粘組成物のタイプ及び所望の増粘度を含む数多くの因子によって決定される。流動学的添加剤の量は、重量ベースで、塗料組成物の通常約0.1〜約1重量%、好ましくは約0.1〜約0.7重量%、より好ましくは約0.25〜約0.5重量%である。本発明の流動学的添加剤を他の流動学的添加剤と共に使用することもできる。例の表13に示されているように、液体の流動学的添加剤は非常に効率がよく、今日市販されている現在の流動学的添加剤の大部分よりも、少ない添加量で使用することができる。
【0033】
本発明の流動学的添加剤は、様々な有機塗膜組成物において重要な効果を示すことができる。本発明の一態様において、液体の流動学的添加剤は、注ぐことができ、ポンプで扱うことのできる液体であり、それ故に、取り扱い/モニタが容易である。液体の流動学的添加剤は、粉状の製造物(例えば、微粉)に関連する安全性の問題を被ることがなく、非イオン性界面活性剤等の低揮発性有機液体に容易に溶解乃至分散することができて揮発性有機化合物を与えることがなく、添加剤が配合される製剤の引火点を下げることがない。一態様において、後に記載の例によって示されているように、液体の流動学的添加剤は、その調製の様々な段階で様々な組成物に非常に容易に配合することができる。一態様において、液体の流動学的添加剤は、また、工程の開始時、工程の最中など、製剤工程のいかなる段階においても添加することができ、後から添加する成分としても使用することができる。
【0034】
一態様において、本発明の液体流動学的添加剤は、高固形分非水塗料にも容易に配合される。これは、粉末であって混合時間の最初に溶剤を必要とする従来技術のキャスターワックスとポリアミド添加剤と対照的である。混合の初期に溶剤を必要とするのは、添加剤の粒子を柔らかく膨潤させて、効率的で完全な分散をさせるためである。この過程を経ないと、キャスターワックス粉末とポリアミド粉末とはブツを生じてしまう。これに対して、液体流動学的添加剤はブツを生じることがない。
【0035】
一態様において、キャスターワックス及びポリアミド粉末とは異なり、液体流動学的添加剤は顔料粉砕物中で非常に素早く分散し、高固形物系においても長時間に亘る予備混合や高温を必要としない。一態様において、より優れた流動性故に、液体流動学的添加剤は多くの塗料製剤においてより優れた表面特性を与えるようである。
【0036】
以下に記載の例において示されているように、120°Fで7日間に亘って行われた老化試験の結果によると、液体流動学的添加剤は高温での貯蔵においてより安定している。液体流動学的添加剤を用いて調製された最終的な塗料組成物は。高温で送り出すことができる。このことは、攪拌下で時間のかかる冷却を行うことを必要とする従来技術のキャスターワックス及びポリアミドと異なる点である。
【0037】
焼付塗膜という点からすると、液体流動学的添加剤は温度感受性を示さず、焼付サイクルの間垂れの制御と辺縁の被覆を維持することが期待される。これが、従来技術のキャスターワックスを基材とする製品であるチキサトロール・マックス(THIXATROL MAX)や焼付コーティング(OEM型)で使用することのできない有機粘土との相違点である。
【0038】
本発明の組成物に見込まれる他の用途としては、塗料及び塗膜、インク、不飽和ポリエステル樹脂、インバートオイル掘削泥を含む油を基材とする掘削泥水、注封材料、接着剤、並びにシーラント等を挙げることができる。
【0039】
(例)
以下の例において、本発明をさらに説明する。例においては、特に断らない場合は全ての部及び%は重量に基づいている。これらの例は本発明の好ましい態様を示すが、説明のためのみに記述される。前記記載とこれらの例とから、当業者であれば本発明の本質的な特徴を突き止めることができ、本発明の精神及び範囲から離れることなく、本発明を様々に変化・変更して様々な使用法に条件に適合させることができる。
【0040】
<工程A−グリセロールを主材料とするポリエステル石鹸の典型的な製造方法>
間接攪拌機、還流コンデンサを有する側腕、及び温度計の付いた窒素導入口を備えた1リットルの四つ首丸底フラスコに、エムポール1008二量体酸(297.4 g, 512.3 mmol)、グリセロール(80.2 g, 871.0 mmol)、及び45重量%水酸化カリウム水溶液を仕込んだ。この混合物を撹拌して、粘度の高い泡立った素材が形成された(23→32℃に昇温。)。この混合物を加熱して、窒素ガス流下、200℃で撹拌した。反応の進行は、酸価を測定することによって追跡した。全反応時間4〜5時間の後、酸価は114から3に低下した。混合物を80℃まで冷却し、トゥイーン85(Tween 85)(370.6 g)とブレンドした。得られた混合物を80℃で0.5時間撹拌して32オンスのガラス製の広口瓶に排出し、次の使用まで保存した。生成物は、次の性質を有する均一で透明な琥珀色の液体として得られた。酸価:2、アミン価:16.9、η(ブルックフィールド粘度計、モデルRVTD、21℃、スピンドル7、20 rpmで30秒):9,800 cP。
【0041】
【表1】

【0042】
【表2】

【0043】
<工程B−ヘキサンジオールを主材料とするポリエステル石鹸の典型的な製造方法>
間接攪拌機、還流コンデンサを有する側腕、及び温度計の付いた窒素導入口を備えた1リットルの四つ首丸底フラスコに、エムポール1008二量体酸(312.0 g, 537.5 mmol)、1,6-ヘキサンジオール(52.9 g, 448.0 mmol)、及び2滴(0.1 mL)の85重量%リン酸水溶液を仕込んだ。この混合物を、窒素ガス流下、200℃で撹拌した。反応の進行は、酸価を測定することによって追跡した。全反応時間6時間の後、酸価は165から36に低下した。混合物を80℃まで冷却し、トマドール23-1(Tomadol 23-1)(347.5 g)とブレンドして、80℃で0.5時間撹拌した。得られた混合物をさらに40℃まで冷却し、引き続いて45%水酸化カリウム水溶液(26.8 g, 215.3 mmol)で(部分的に)中和した。得られた混合物を1時間撹拌して32オンスのガラス製の広口瓶に排出し、次の使用まで保存した。生成物は、次の性質を有する均一で透明な無色の液体として得られた。酸価:2、アミン価:17、η(ブルックフィールド粘度計、モデルRVTD、22℃、スピンドル7、20 rpmで30秒):2,000 cP。
【0044】
【表3】

【0045】
3. 33重量%でトルエンに混合
4. 30重量%でイソフォール16(Isofol 16)(サソル(Sasol)が販売するC16ゲルベアルコール)に混合
5. 50重量%でトマドール23-1(トーマー・プロダクツ(Tomah Products)が販売している非イオン性界面活性剤)に混合
6. 25重量%でトルエンに混合
7. 50重量%でエクサール13(Exxal 13)(エクソンが販売するC13アルコール)に混合
8. 50重量%でトマドール23-1(トーマー・プロダクツが販売する非イオン性界面活性剤)に混合
9. 50重量%でサードックスNOG200(Serdox NOG200)(エレメンティス・スペシャルティーズ・インコーポレイテッドが販売する非イオン性界面活性剤)に混合
10. 50重量%でヌオスパースFN260(Nuosperse FN260)(エレメンティス・スペシャルティーズ・インコーポレイテッドが販売する非イオン性界面活性剤)に混合
11. 50重量%でヌオスパースFN265(Nuosperse FN260)(エレメンティス・スペシャルティーズ・インコーポレイテッドが販売する非イオン性界面活性剤)に混合
12. 50重量%でサードックスNOG440(Serdox NOG440)(エレメンティス・スペシャルティーズ・インコーポレイテッドが販売する非イオン性界面活性剤)に混合
13. 50重量%でトマドール23-5(トーマー・プロダクツが販売する非イオン性界面活性剤)に混合
【0046】
【表4】

【0047】
【表5】

【0048】
【表6】

【0049】
塗料が作られた後に、該塗料を室温で一晩平衡させた。そして、以下に記載するようにして塗料の性質を測定した。
(1) 10 RPMでのブルックフィールド粘度は、ブルックフィールド型式RVT粘度計を用いてASTM D2196-81に従って測定した。
(2) 垂れ下がり抵抗は、レネタ・サグ・マルチノッチアプリケータ(Leneta Sag multi notch applicator)を用いて、室温で、ASTM D4400-84に従って、ミル単位で測定された。
老化についての評価は、試料を7日間120°Fで老化させた後に行った。
【0050】
【表7】

【0051】
表7は、本発明のグリセロールを主材料とするポリエステル塩(例25と25b)が効率のよい増粘剤であり、流動学的性質と垂れ性とを向上させ、老化を経ても、二量体脂肪酸石鹸(例21〜24)と比べて垂れ性/粘度の変動を小さくすることを示している。
【0052】
表8は、本発明のある種の添加剤の流動学的性質を示している。製剤Aにおいて、添加剤は二量体酸源から比較的独立している。より極性度の高い製剤B(表9)においては、例14において示されている、プリポール1015(Pripol 1015)(約20%の三量体酸を含有)で作られた材料は流動学的性質を示している。全ての添加剤が増粘性を与えている。
【0053】
【表8】

【0054】
【表9】

【0055】
表10は、前記ポリエステルの有効性が組成物に依存することを示している。この表は、ジオールを主材料とするポリエステル(例28, 34及び35)が製剤Bにおいては効力を発揮するもののグリセロールを主材料とする例4では効力を示さないことを示している。ヘキサンジオールを主材料とする材料は製造方法に関わらず効力を示す(例28と例34とを比較されたい。)ことに注意されたい。
【0056】
【表10】

【0057】
グリセロール/二量体酸の試料である、アリゾナ・ケミカル(Arizona Chemical)から得られるジメチルエステルである(DADM)/K2CO3ポリエステルをイソプロピルアルコール(IPA)を溶解し、真空状態で濃縮して81%の固形状材料を得た。グリセロール/DADM/K2CO3ポリエステルをIPAに溶解し、真空状態で濃縮する前にIPAに溶解した0.1NのHCl溶液で中和して、固形分88%の試料を得た。中和で生成したKClは、試料を濃縮する前に濾過によって除去した。製剤Aに使用して試験した組成物の物理的性質を表11に示す。表12は、グリセロールを主材料とするポリエステル添加剤のカルボン酸カリウム基の重要性を示している。このカルボン酸カリウム基がHClで中和されると、流動学的性能は失われてしまう。
【0058】
【表11】

【0059】
【表12】

【0060】
【表13】

【0061】
表13は、0.1重量%(不揮発分)程度の低い添加レベルであっても、ポリエステルを主成分とする材料の効力が向上していることを示している。
【0062】
表14は、グリセロールを主材料とするポリエステル組成物の性能に対して、様々な塩基性化合物が与える影響を示している。例においては製剤Aに使用した場合の評価が示されており、カルシウム、カリウム及びセシウムの塩が、本発明の流動学的添加剤の効率を増加させるのに特に効果的であることを明確に示している。
【0063】
【表14】

【0064】
表14は、塩基の性質が塗料製剤に配合された添加剤の最終的な性能を定めるのに重要な役割を果たしていることを示している。カリウムとセシウムとは良好な流動学的性能を示している。それに対して、アルミニウム、ナトリウム、マグネシウム及びリチウムは性能が劣ってはいるが、流動学的添加剤としては依然として作用しており、増粘性を示している。この表は、ステアリン酸カリウム(例15)等の塩基を塩基として使用することができ、グリセロールが1.7当量から1.4当量に減少することによって流動学的性能がさらに増加することも示している(例13を参照されたい。)。さらに、ポリエステル基材の添加剤が老化よる流動学的性能の低下を示すのに対して、THIXATROL(R)MAXは老化させると流動学的性能が向上することも理解される。概して、本発明のポリエステル誘導体は、THIXATROL(R)MAXを用いた比較例よりも、老化による粘度の変動が小さい。
【0065】
表15は、製剤Bに配合して試験した場合の、1,6-ヘキサンジオール/二量体酸を主材料とするポリエステル組成物の性能に対する、KOH/COOHモル比の影響を示している。
【0066】
【表15】

【0067】
表15は、ヘキサンジオールを主材料とするポリエステルを含有する流動学的添加剤について、好ましい流動学的性能が得られるある特定の分子量(ゲル透過クロマトグラフィー(GPC)によって測定)があることを示している(ポリエステルを含有する添加剤の分子量は2:1<6:5<18:17と増加している。この試験における好ましい分子量は、二量体酸のジオールに対する比が6:5の場合のものであるように思われる。)。中和の程度(残存しているカルボキシル基に対して0〜0.15〜0.6〜1.0当量のKOH)によって、本発明のある種の添加剤の流動学的性能はわずかに向上するようである。このように、ヘキサンジオールを主材料とするポリエステルを含有する流動学的添加剤の場合は、流動学的性能という観点からは中和は必要ではない。但し、中和を行うと、使用される非イオン性の希釈剤と添加剤との相溶性が向上する。
【0068】
表16は、様々な希釈剤が、1,6-ヘキサンジオール/二量体酸を主材料とするポリエステル組成物の性能に与える効果を示している。例では製剤Bに添加して評価を行った。これらの評価から、希釈剤の選択によって添加剤の効率に一定の影響を与えることはあるが、非イオン性界面活性剤の希釈剤であれば、全て、有効な添加剤を製造することができることを示している。
【0069】
【表16】

【0070】
本発明は、発明の精神又はその本質的な特質から離れることなく、他の具体的な形態に具現化することができる。したがって、発明の範囲に関しては、以上の明細書よりも添付の請求項を参照するのがよい。ここまでの記載は発明の好ましい態様に関するが、他の変更や変形は当業者には明らかであり、本発明の精神又は範囲を離れることなく、そのような変更等を行うことができることを指摘しておく。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】図1は、本発明の組成物を合成するのに用いることのできる合成経路を示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2つの水酸基部分を有する一種以上のポリオールと、少なくとも2つのカルボン酸部分を有する一種以上のポリカルボン酸とから得られる一種以上のポリエステルと、
一種以上の塩基性化合物と
の反応生成物を有し、前記ポリエステルが末端基として少なくとも2つの活性カルボン酸部分を有し、該カルボン酸部分の少なくとも一部分がカルボキシレートアニオンの形態にあることを特徴とする、チキソトロピー性付与組成物。
【請求項2】
前記塩基性化合物が、アルカリ金属塩基、アルカリ土類金属塩基、及びアミンよりなる群から選択されることを特徴とする、請求項1に記載のチキソトロピー性付与組成物。
【請求項3】
前記ポリオールがグリセロールを含むことを特徴とする、請求項1に記載のチキソトロピー性付与組成物。
【請求項4】
前記ポリカルボン酸が、炭素数18〜54のポリカルボン酸を含むことを特徴とする、請求項1に記載のチキソトロピー性付与組成物。
【請求項5】
前記ポリカルボン酸が、炭素数32〜36の二量体酸、炭素数48〜54の三量体酸、又はその混合物であることを特徴とする、請求項1に記載のチキソトロピー性付与組成物。
【請求項6】
前記ポリカルボン酸が2〜6個のカルボン酸部分を有していることを特徴とする、請求項1に記載のチキソトロピー性付与組成物。
【請求項7】
前記ポリエステルにおいて、水酸基部分のカルボン酸部分に対する割合が1.8:1〜3.0:1であることを特徴とする、請求項1に記載のチキソトロピー性付与組成物。
【請求項8】
前記チキソトロピー性付与組成物が液体の希釈剤をさらに含有することを特徴とする、請求項1に記載のチキソトロピー性付与組成物。
【請求項9】
前記一種以上の塩基性化合物が水酸化カリウムを含有していることを特徴とする、請求項2に記載のチキソトロピー性付与組成物。
【請求項10】
少なくとも2つの水酸基部分を有する一種以上のポリオールと、少なくとも2つのカルボン酸部分を有する一種以上のポリカルボン酸との反応生成物を有する一種以上のポリエステルと、
一種以上の塩基性化合物と、さらに
一種以上の希釈剤と
を有し、前記ポリエステルが末端基として少なくとも2つの活性カルボン酸部分を有し、該カルボン酸部分の少なくとも一部分がカルボキシレートアニオンの形態にあることを特徴とする、チキソトロピー性付与組成物。
【請求項11】
前記塩基性化合物が、アルカリ金属塩基、アルカリ土類金属塩基、及びアミンよりなる群から選択されることを特徴とする、請求項10に記載のチキソトロピー性付与組成物。
【請求項12】
前記ポリオールがグリセロールを含むことを特徴とする、請求項10に記載のチキソトロピー性付与組成物。
【請求項13】
前記ポリカルボン酸が、炭素数18〜54のポリカルボン酸を含むことを特徴とする、請求項10に記載のチキソトロピー性付与組成物。
【請求項14】
前記ポリカルボン酸が、炭素数32〜36の二量体酸、炭素数48〜54の三量体酸、又はその混合物であることを特徴とする、請求項10に記載のチキソトロピー性付与組成物。
【請求項15】
前記ポリカルボン酸が2〜6個のカルボン酸部分を有していることを特徴とする、請求項10に記載のチキソトロピー性付与組成物。
【請求項16】
前記ポリエステルにおいて、水酸基部分のカルボン酸部分に対する割合が1.8:1〜3.0:1であることを特徴とする、請求項11に記載のチキソトロピー性付与組成物。
【請求項17】
前記一種以上の塩基性化合物が水酸化カリウムを含有していることを特徴とする、請求項10に記載のチキソトロピー性付与組成物。
【請求項18】
前記希釈剤が、トルエン、キシレン、ブチルカルビトール、ブチルトリグリコール、ヘキシルカルビトール、ヘキシルトリグリコール、N-メチルピロリドン、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルエチルケトン、ブタノール、ポリエチレンオキシドモノエーテル、ポリエチレンオキシドモノエステル、トリグリセリド、油、高沸点アルコール、及び非イオン性界面活性剤よりなる群から選択されることを特徴とする、請求項10に記載のチキソトロピー性付与組成物。
【請求項19】
少なくとも2つの水酸基部分を有する一種以上のポリオールと少なくとも2つのカルボン酸部分を有する一種以上のポリカルボン酸との反応生成物を含む一種以上のポリエステルを含有し、該ポリエステルが末端基として少なくとも2つの活性カルボン酸部分を有すると共に、前記カルボン酸部分の少なくとも一部分がカルボキシレートアニオンの形態にある流動学的添加剤と、
一種以上の塩基性化合物と、
一種以上の粒子状材料と
を含む非水流体組成物であって、
前記ポリエステルを含有する流動学的添加剤が該非水流体組成物にチキソトロピー性を与えることを特徴とする非水流体組成物。
【請求項20】
前記塩基性化合物が、アルカリ金属塩基、アルカリ土類金属塩基、及びアミンよりなる群から選択されることを特徴とする、請求項19に記載の非水流体組成物。
【請求項21】
前記ポリオールがグリセロールを含むことを特徴とする、請求項19に記載の非水流体組成物。
【請求項22】
前記ポリカルボン酸が、炭素数18〜54のポリカルボン酸を含むことを特徴とする、請求項19に記載の非水流体組成物。
【請求項23】
前記ポリカルボン酸が、炭素数32〜36の二量体酸、炭素数48〜54の三量体酸、又はその混合物であることを特徴とする、請求項19に記載の非水流体組成物。
【請求項24】
前記ポリカルボン酸が2〜6個のカルボン酸部分を有していることを特徴とする、請求項19に記載の非水流体組成物。
【請求項25】
前記ポリエステルにおいて、水酸基部分のカルボン酸部分に対する割合が1.8:1〜3.0:1であることを特徴とする、請求項19に記載の非水流体組成物。
【請求項26】
前記チキソトロピー性付与組成物が液体の希釈剤をさらに含有することを特徴とする、請求項19に記載の非水流体組成物。
【請求項27】
前記一種以上の塩基性化合物が水酸化カリウムを含有していることを特徴とする、請求項20に記載の非水流体組成物。
【請求項28】
前記希釈剤が、トルエン、キシレン、ブチルカルビトール、ブチルトリグリコール、ヘキシルカルビトール、ヘキシルトリグリコール、N-メチルピロリドン、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルエチルケトン、ブタノール、ポリエチレンオキシドモノエーテル、ポリエチレンオキシドモノエステル、トリグリセリド、油、高沸点アルコール、非イオン性界面活性剤、及びこれらの混合物よりなる群から選択されることを特徴とする、請求項26に記載の非水流体組成物。
【請求項29】
前記粒子状材料が、二酸化チタン、炭酸カルシウム、タルク、アルミナ、層状シリケート、ヒュームドシリケート、顔料、及びこれらの混合物よりなる群から選択される一種であることを特徴とする、請求項19に記載の非水流体組成物。
【請求項30】
少なくとも2つの水酸基部分を有する一種以上のポリオールと、少なくとも2つのカルボン酸部分を有する一種以上のポリカルボン酸とを含有する一種以上のポリエステルを有し、
前記ポリエステルにおいて、前記ポリエステルが末端基として少なくとも2つの活性カルボン酸部分を有していることを特徴とするチキソトロピー性付与組成物。
【請求項31】
アルカリ金属塩基、アルカリ土類金属塩基、及びアミンよりなる群から選択される一種以上の塩基性化合物と反応して、前記カルボン酸部分の一部がカルボキシレートアニオン部分に変換されていることを特徴とする、請求項30に記載のチキソトロピー性付与組成物。
【請求項32】
ポリオールが1,6-ヘキサンジオールを含むことを特徴とする、請求項30に記載のチキソトロピー性付与組成物。
【請求項33】
ポリカルボン酸が18〜54個の炭素原子を含むことを特徴とする、請求項30に記載のチキソトロピー性付与組成物。
【請求項34】
ポリカルボン酸が、炭素数32〜36の二量体酸、炭素数48〜54の三量体酸、及びその混合物の1つを含むことを特徴とする、請求項30に記載のチキソトロピー性付与組成物。
【請求項35】
前記ポリカルボン酸が2〜6個のカルボン酸部分を有していることを特徴とする、請求項30に記載のチキソトロピー性付与組成物。
【請求項36】
前記ポリエステルにおいて、水酸基部分のカルボン酸部分に対する割合が0.5:1〜0.9:1であることを特徴とする、請求項30に記載のチキソトロピー性付与組成物。
【請求項37】
前記チキソトロピー性付与組成物が液体の希釈剤をさらに含有することを特徴とする、請求項30に記載のチキソトロピー性付与組成物。
【請求項38】
前記一種以上の塩基性化合物が水酸化カリウムを含有していることを特徴とする、請求項31に記載のチキソトロピー性付与組成物。
【請求項39】
少なくとも2つの水酸基部分を有する一種以上のポリオールと、少なくとも2つのカルボン酸部分を有する一種以上のポリカルボン酸とを有する一種以上のポリエステルと、
一種以上の希釈剤と
を有し、前記ポリエステルが末端基として少なくとも2つの活性カルボン酸部分を有することを特徴とする、チキソトロピー性付与組成物。
【請求項40】
アルカリ金属塩基、アルカリ土類金属塩基、及びアミンよりなる群から選択される一種以上の塩基性化合物と反応して、前記カルボン酸部分の一部がカルボキシレートアニオン部分に変換されていることを特徴とする、請求項39に記載のチキソトロピー性付与組成物。
【請求項41】
ポリオールが1,6-ヘキサンジオールを含むことを特徴とする、請求項39に記載のチキソトロピー性付与組成物。
【請求項42】
ポリカルボン酸が18〜54個の炭素原子を含むことを特徴とする、請求項39に記載のチキソトロピー性付与組成物。
【請求項43】
ポリカルボン酸が、炭素数32〜36の二量体酸、炭素数48〜54の三量体酸、及びその混合物の1つを含むことを特徴とする、請求項39に記載のチキソトロピー性付与組成物。
【請求項44】
前記ポリカルボン酸が2〜6個のカルボン酸部分を有していることを特徴とする、請求項39に記載のチキソトロピー性付与組成物。
【請求項45】
前記ポリエステルにおいて、水酸基部分のカルボン酸部分に対する割合が0.5:1〜0.9:1であることを特徴とする、請求項39に記載のチキソトロピー性付与組成物。
【請求項46】
前記一種以上の塩基性化合物が水酸化カリウムを含有していることを特徴とする、請求項40に記載のチキソトロピー性付与組成物。
【請求項47】
前記希釈剤が、トルエン、キシレン、トルエン、ブチルカルビトール、N-メチルピロリドン、酢酸ブチル、メチルエチルケトン、ブタノール、ポリエチレンオキシドモノエーテル、ポリエチレンオキシドモノエーテル、トリグリセリド、油、及び高沸点アルコールよりなる群から選択される一種であることを特徴とする、請求項39に記載のチキソトロピー性付与組成物。
【請求項48】
前記粒子状材料が、二酸化チタン、炭酸カルシウム、タルク、アルミナ、層状シリケート、ヒュームドシリケート、顔料、及びこれらの混合物よりなる群から選択される一種であることを特徴とする、請求項39に記載のチキソトロピー性付与組成物。
【請求項49】
少なくとも2つの水酸基部分を有する一種以上のポリオールと少なくとも2つのカルボン酸部分を有する一種以上のポリカルボン酸とを含む一種以上のポリエステルを含有すると共に、前記ポリエステルが末端基として少なくとも2つの活性カルボン酸部分を有する流動学的添加剤と、
一種以上の粒子状材料と
を含む非水流体組成物であって、
前記流動学的添加剤が該非水流体組成物にチキソトロピー性を与えることを特徴とする非水流体組成物。
【請求項50】
アルカリ金属塩基、アルカリ土類金属塩基、及びアミンよりなる群から選択される一種以上の塩基性化合物と反応して、前記流動学的添加剤の前記カルボン酸部分の一部がカルボキシレートアニオン部分に変換されていることを特徴とする、請求項49に記載の非水流体組成物。
【請求項51】
前記ポリエステルを含有する流動学的添加剤の前記ポリオールが1,6-ヘキサンジオールを含むことを特徴とする、請求項49に記載の非水流体組成物。
【請求項52】
前記ポリエステルを含有する流動学的添加剤の前記ポリカルボン酸が18〜54個の炭素原子を含むことを特徴とする、請求項49に記載の非水流体組成物。
【請求項53】
前記ポリエステルを含有する流動学的添加剤の前記ポリカルボン酸が、炭素数32〜36の二量体酸、炭素数48〜54の三量体酸、及びその混合物の1つを含むことを特徴とする、請求項49に記載の非水流体組成物。
【請求項54】
前記ポリエステルを含有する流動学的添加剤の前記ポリカルボン酸が2〜6個のカルボン酸部分を有していることを特徴とする、請求項49に記載の非水流体組成物。
【請求項55】
前記ポリエステルを含有する流動学的添加剤の前記ポリエステルにおいて、水酸基部分のカルボン酸部分に対する割合が0.5:1〜0.9:1であることを特徴とする、請求項49に記載の非水流体組成物。
【請求項56】
前記ポリエステルを含有する流動学的添加剤が液体の希釈剤をさらに含有することを特徴とする、請求項49に記載の非水流体組成物。
【請求項57】
前記一種以上の塩基性化合物が水酸化カリウムを含有していることを特徴とする、請求項50に記載の非水流体組成物。
【請求項58】
前記希釈剤が、トルエン、キシレン、ブチルカルビトール、ブチルトリグリコール、ヘキシルカルビトール、ヘキシルトリグリコール、N-メチルピロリドン、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルエチルケトン、ブタノール、ポリエチレンオキシドモノエーテル、ポリエチレンオキシドモノエステル、トリグリセリド、油、高沸点アルコール、非イオン性界面活性剤、及びこれらの混合物よりなる群から選択されることを特徴とする、請求項56に記載の非水流体組成物。

【図1】
image rotate


【公表番号】特表2009−507127(P2009−507127A)
【公表日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−530109(P2008−530109)
【出願日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【国際出願番号】PCT/US2006/034172
【国際公開番号】WO2007/030382
【国際公開日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【出願人】(501121831)エレメンティス スペシャルティーズ,インコーポレイテッド., (4)
【住所又は居所原語表記】P.O.BOX 700,329 Wrckoffs Mill Road,Hightstown,NJ 08520 U.S.A.
【Fターム(参考)】