説明

顔料誘導体および表面活性添加剤を含有する固体の顔料調製物

本質的な成分として、(A)少なくとも1種の有機顔料60〜85質量%、(B)一般式I[式中、変項は次の意味を有する:Pは、有機顔料の基幹の基であり、T、Tは、相互に無関係に化学結合、−CONR−または−SONR−であり、B、Bは、相互に無関係に化学結合、C〜C−アルキレンまたはフェニレンであり、X、Yは、相互に無関係に同一の、もしくは異なった基−SOKaまたは−COOKaであり、m、nは、0〜3の有理数であり、その際1≦m+n≦4であり、Kaは、H、Li、Na、K、Nまたはこれらのカチオンの混合物であり、Rは、水素、C〜C−アルキル、そのつどC〜C18−アルキルにより置換されていてもよいフェニルまたはナフチルであり、R、R、R、Rは、相互に無関係に水素、C〜C30−アルキル、C〜C30−アルケニル、C〜C24−アルキルにより置換されていてもよいC〜C−シクロアルキル、そのつどC〜C24−アルキルまたはC〜C24−アルケニルにより置換されていてもよいフェニルまたはナフチル、式−[CHR−CHR−O]−Rの基であり、その際、繰り返し単位−[CHR−CHR−O]は、x>1に関して変化することができ、R、R、Rは、相互に無関係に水素またはC〜C−アルキルであり、xは、≧1の整数である]の少なくとも1種の顔料誘導体0.1〜15質量%および(C)非イオン性の、第一アミノ基を有していないポリエーテル、該エーテルの酸性のリン酸エステル、ホスホン酸エステル、硫酸エステルおよび/またはスルホン酸エステル、これらのエステルの塩およびアルキル−およびアルキルアリールスルホン酸、その塩およびこれらとホルムアルデヒドとの縮合生成物の群からの少なくとも1種の表面活性添加剤14.9〜39.9質量%を含有する、固体の顔料調製物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、本質的な成分として、
(A)少なくとも1種の有機顔料60〜85質量%、
(B)一般式I
【0002】
【化1】

[式中、変項は次の意味を有する:
Pは、有機顔料の基幹の基であり、
、Tは、相互に無関係に化学結合、−CONR−または−SONR−であり、
、Bは、相互に無関係に化学結合、C〜C−アルキレンまたはフェニレンであり、
X、Yは、相互に無関係に同一の、もしくは異なった基−SOKaまたは−COOKaであり、
m、nは、0〜3の有理数であり、その際1≦m+n≦4であり、
Kaは、H、Li、Na、K、Nまたはこれらのカチオンの混合物であり、
は、水素、C〜C−アルキル、そのつどC〜C18−アルキルにより置換されていてもよいフェニルまたはナフチルであり、
、R、R、Rは、相互に無関係に水素、C〜C30−アルキル、C〜C30−アルケニル、C〜C24−アルキルにより置換されていてもよいC〜C−シクロアルキル、そのつどC〜C24−アルキルまたはC〜C24−アルケニルにより置換されていてもよいフェニルまたはナフチル、式−[CHR−CHR−O]−Rの基であり、その際、繰り返し単位−[CHR−CHR−O]は、x>1に関して変化することができ、
、R、Rは、相互に無関係に水素またはC〜C−アルキルであり、
xは、≧1の整数である]の少なくとも1種の顔料誘導体0.1〜15質量%および
(C)非イオン性の、第一アミノ基を有していないポリエーテル、該エーテルの酸性のリン酸エステル、ホスホン酸エステル、硫酸エステルおよび/またはスルホン酸エステル、これらのエステルの塩およびアルキル−およびアルキルアリールスルホン酸、その塩およびこれらとホルムアルデヒドとの縮合生成物の群からの少なくとも1種の表面活性添加剤14.9〜39.9質量%
を含有する、固体の顔料調製物に関する。
【0003】
本発明はさらに、該顔料調製物の製造および高分子の有機および無機材料ならびにプラスチックを着色するためのその使用に関する。
【0004】
液体系、たとえば、被覆、塗料、エマルション塗料および印刷インクを顔料着色するために通常は、水、有機溶剤またはこれらの混合物を含有する顔料調製物を使用する。アニオン性、カチオン性、非イオン性もしくは両性の分散剤以外に、前記の顔料調製物には通常、その他の助剤、たとえば乾燥防止剤、凍結安定性を高めるための薬剤、増粘剤および皮張り防止剤が安定化のために添加されている。
【0005】
その色彩特性および分散性において、液状の調製物に匹敵するが、しかし前記の添加剤を必要とせず、かつ容易に取り扱うことができる新規の顔料調製物に対する要求が生じた。しかし液状の調製物を単に乾燥することにより、比較可能な適用特性を有する固体の顔料調製物を得ることはできない。
【0006】
プラスチックの着色は、最大の色の濃さおよび色彩効果を得るために、プラスチック中での顔料の完全な分散を必要とする。通常使用される粉末顔料の場合、このような分散にとって、相応するノウハウおよび剪断エネルギーの高い入力が必要であり、従って費用がかかる。プラスチック加工業者がこのノウハウならびに必要とされる、複雑で、高価な分散装置を有していない場合、着色されたプラスチックはしばしば、いわゆる顔料むら、つまり完全に分散してない顔料凝集物を有し、これは紡糸が困難であるか、かつ/または高い圧力フィルター値(Druckfilterwerte)を有する。従ってしばしば、いわゆるマスターバッチが使用される。これは通常、溶融可能な、室温で固体のプラスチックマトリックス中の固体の、濃縮された顔料調製物であり、この中に粉末状の顔料が完全に分散しており、ひいては微分散して存在している、つまり粉末顔料の分散のために必要なエネルギーがすでにマスターバッチの製造の際に適用された。
【0007】
一連の固体の顔料調製物、特に、銅フタロシアニン顔料(CuPc顔料)をベースとする固体の顔料調製物が公知であり、これは顔料以外に、顔料の誘導体を含有している。しかしこれらはその幅広い組成に基づいて本発明による顔料調製物とは異なっている。
【0008】
たとえばWO−A−02/40596およびJP−A−323166/1999に記載されているCuPc顔料調製物は遊離の、つまりCuPc−顔料誘導体の塩として存在していない非イオン性の表面活性添加剤を含有していないか、または付加的なアニオン性表面活性添加剤を含有していない。
【0009】
DE−A−4214868およびWO−A−02/48268から公知のCuPc顔料調製物ならびにジケトピロロピロール−およびインダントロン顔料調製物は非イオン性もしくはアニオン性の表面活性剤を含有せず、顔料誘導体と反応しているカチオン性の表面活性剤のみを含有する。
【0010】
EP−A−621319からのCuPc顔料調製物は実質的な成分として無機塩もしくは有機塩を含有しており、表面活性剤は存在してない。
【0011】
US−A−4726847に記載されているCuPc顔料調製物の場合、CuPc顔料誘導体および含有されているアニオン性界面活性剤をレーキ化してバリウム塩にしている。
【0012】
EP−A−761770から公知のCuPc顔料調製物は単にカチオン性の表面活性剤ならびに付加的な本質的な成分として樹脂酸アルミニウムを含有している。
【0013】
WO−A−02/64680には種々の有機顔料の調製物が開示されているが、しかしこれらは表面活性剤を含有していない。このことはEP−A−504922およびDE−A−3926564に開示されているジオキサジンもしくはペリレン顔料の調製物に関しても該当する。
【0014】
EP−A−636666およびDE−A−4321693にはペリレンもしくはジアミノアントラキノン誘導体を顔料誘導体として含有し、ならびに非イオン性表面活性添加剤を含有するペリレンおよびインダントロン顔料調製物が記載されている。しかし、使用される添加剤の全含有率は明らかに本発明による顔料調製物よりも少ない。
【0015】
これらの公知の全ての顔料調製物は、液状の適用媒体中に単に撹拌導入(ステアイン)することによって分散することはできないという欠点を有する。
【0016】
さらに未公開のDE−A−10227657、10228199および10233081には顆粒状の固体の顔料調製物が記載されており、これはたしかに非イオン性および/またはアニオン性の表面活性剤を含有しているが、しかし顔料誘導体を含有していない。
【0017】
本発明の根底には、総じて有利な適用特性、特に高い色の濃さおよび特に種々の適用媒体中での容易な分散性、とりわけ液状の適用媒体中へのステアイン挙動により優れている固体の顔料調製物を提供するという課題が存在する。
【0018】
これに応じて、本質的な成分として、
(A)少なくとも1種の有機顔料60〜85質量%、
(B)一般式I
【0019】
【化2】

[式中、変項は次の意味を有する:
Pは、有機顔料の基幹の基であり、
、Tは、相互に無関係に化学結合、−CONR−または−SONR−であり、
、Bは、相互に無関係に化学結合、C〜C−アルキレンまたはフェニレンであり、
X、Yは、相互に無関係に同一の、もしくは異なった基−SOKaまたは−COOKaであり、
m、nは、0〜3の有理数であり、その際1≦m+n≦4であり、
Kaは、H、Li、Na、K、Nまたはこれらのカチオンの混合物であり、
は、水素、C〜C−アルキル、そのつどC〜C18−アルキルにより置換されていてもよいフェニルまたはナフチルであり、
、R、R、Rは、相互に無関係に水素、C〜C30−アルキル、C〜C30−アルケニル、C〜C24−アルキルにより置換されていてもよいC〜C−シクロアルキル、そのつどC〜C24−アルキルまたはC〜C24−アルケニルにより置換されていてもよいフェニルまたはナフチル、式−[CHR−CHR−O]−Rの基であり、その際、繰り返し単位−[CHR−CHR−O]は、x>1に関して変化することができ、
、R、Rは、相互に無関係に水素またはC〜C−アルキルであり、
xは、≧1の整数である]の少なくとも1種の顔料誘導体0.1〜15質量%および
(C)非イオン性の、第一アミノ基を有していないポリエーテル、該エーテルの酸性のリン酸エステル、ホスホン酸エステル、硫酸エステルおよび/またはスルホン酸エステル、これらのエステルの塩およびアルキル−およびアルキルアリールスルホン酸、その塩およびこれらとホルムアルデヒドとの縮合生成物の群からの少なくとも1種の表面活性添加剤14.9〜39.9質量%
を含有する固体の顔料調製物が判明した。
【0020】
さらに、顔料(A)をまず水性の、少なくとも添加剤(C)の一部を含有する懸濁液中で、所望の場合には顔料誘導体(B)の一部または全量を添加し、ならびに所望の場合には予めまたは後から該懸濁液を塩基により中和した後で、湿式粉砕し、かつ該懸濁液を次いで、場合により顔料誘導体(B)および添加剤(C)の残りの量を添加した後で乾燥させることを特徴とする顔料調製物の製造方法が判明した。
【0021】
さらに、顔料調製物を撹拌導入または振とうすることによって該材料中に導入することを特徴とする、高分子の有機および無機材料を着色するための方法が判明した。
【0022】
最後に、顔料調製物を押出、ロール練り、混練またはミリングによりプラスチック中に混合することを特徴とする、プラスチックを着色するための方法が判明した。
【0023】
本発明による顔料調製物は本質的な成分として顔料(A)、顔料誘導体(B)および水溶性の表面活性添加剤(C)を含有する。
【0024】
成分(A)として本発明による顔料調製物は少なくとも1種の有機顔料を含有している。当然のことながら、種々の有機顔料の混合物が含有されていてもよい。原則として有機顔料と無機顔料との、特に無機白色顔料またはフィラーとの混合物もまた含有されていてよい。
【0025】
顔料(A)は微粒子状で存在している。該顔料は相応して一般に0.01〜5μm、特に0.05〜3μmの平均粒径を有する。
【0026】
有機顔料は通常、有機の有彩顔料および黒色顔料(着色顔料)である。無機顔料は同様に着色顔料ならびに光沢顔料であってもよく、かつ通常フィラーとして使用される無機顔料であってもよい。
【0027】
以下に適切な有機着色顔料のための例として次のものを挙げる:
− モノアゾ顔料:C.I.ピグメントブラウン25;C.I.ピグメントオレンジ5、13、36、38、64および67;C.I.ピグメントレッド1、2、3、4、5、8、9、12、17、22、23、31、48:1、48:2、48:3、48:4、49、49:1、51:1、52:2、53、53:1、53:3、57:1、58:2、58:4、63、112、146、148、170、175、184、185、187、191:1、208、210、245、247および251;C.I.ピグメントイエロー1、3、62、65、73、74、97、120、151、154、168、181、183および191;C.I.ピグメントバイオレット32;
− ジスアゾ顔料:C.I.ピグメントオレンジ16、34、44および72;C.I.ピグメントイエロー12、13、14、16、17、81、83、106、113、126、127、155、174、176、180および188;
− ジスアゾ縮合顔料:C.I.ピグメントイエロー93、95および128;C.I.ピグメントレッド144、166、214、220、221、242および262;C.I.ピグメントブラウン23および41;
− アンタントロン顔料:C.I.ピグメントレッド168;
− アントラキノン顔料:C.I.ピグメントイエロー147、177および199;C.I.ピグメントバイオレット31;
− アントラピリミジン顔料:C.I.ピグメントイエロー108;
− キナクリドン顔料:C.I.ピグメントオレンジ48および49;C.I.ピグメントレッド122、202、206および209;C.I.ピグメントバイオレット19;
− キノフタロン顔料:C.I.ピグメントイエロー138;
− ジケトピロロピロール顔料:C.I.ピグメントオレンジ71、73および81;C.I.ピグメントレッド254、255、264、270および272;
− ジオキサジン顔料:C.I.ピグメントバイオレット23および37;C.I.ピグメントブルー80;
− フラバントロン顔料:C.I.ピグメントイエロー24;
− インダントロン顔料:C.I.ピグメントブルー60および64;
− イソインドリン顔料:C.I.ピグメントオレンジ61および69;C.I.ピグメントレッド260;C.I.ピグメントイエロー139および185;
− イソインドリノン顔料:C.I.ピグメントイエロー109、110および173;
− イソビオラントロン顔料:C.I.ピグメントバイオレット31;
− 金属錯体顔料:C.I.ピグメントレッド257;C.I.ピグメントイエロー117、129、150、153および177;C.I.ピグメントグリーン8;
− ペリノン顔料:C.I.ピグメントオレンジ43;C.I.ピグメントレッド194;
− ペリレン顔料:C.I.ピグメントブラック31および32;C.I.ピグメントレッド123、149、178、179、190および224;C.I.ピグメントバイオレット29;
− フタロシアニン顔料:C.I.ピグメントブルー15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6および16;C.I.ピグメントグリーン7および36;
− ピラントロン顔料:C.I.ピグメントオレンジ51;C.I.ピグメントレッド216;
− ピラゾロキナゾロン顔料:C.I.ピグメントオレンジ67;C.I.ピグメントレッド251;
− チオインジゴ顔料:C.I.ピグメントレッド88および181;C.I.ピグメントバイオレット38;
− トリアリールカルボニウム顔料:C.I.ピグメントブルー1、61および62;C.I.ピグメントグリーン1;C.I.ピグメントレッド81、81:1および169;C.I.ピグメントバイオレット1、2、3および27;
− C.I.ピグメントブラック1(アニリンブラック);
− C.I.ピグメントイエロー101(アルダジンイエロー);
− C.I.ピグメントブラウン22。
【0028】
適切な無機着色顔料はたとえば次のものである:
− 白色顔料:二酸化チタン(C.I.ピグメントホワイト6)、亜鉛白、顔料グレードの酸化亜鉛;硫化亜鉛、リトポン;
− 黒色顔料:酸化鉄黒(C.I.ピグメントブラック)、鉄−マンガン−黒(C.I.ピグメントブラック27);カーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7);
− 有彩顔料:酸化クロム、酸化クロム水和物グリーン;クロムグリーン(C.I.ピグメントグリーン48);コバルトグリーン(C.I.ピグメントグリーン50);ウルトラマリングリーン;コバルトブルー(C.I.ピグメントブルー28および26;C.I.ピグメントブルー72);ウルトラマリンブルー;マンガンブルー;ウルトラマリンバイオレット;コバルトバイオレットおよびマンガンバイオレット;酸化鉄赤(C.I.ピグメントレッド101);カドミウムスルホセレニド(C.I.ピグメントレッド108);硫化セリウム(C.I.ピグメントレッド265);モリブデン酸塩レッド(C.I.ピグメントレッド104);ウルトラマリンレッド;酸化鉄茶(C.I.ピグメントブラウン6および7)、ミックスブラウン、スピネルおよびコランダム相(C.I.ピグメントブラウン29、31、33、34、35、37、39および40)、クロムチタンイエロー(C.I.ピグメントブラウン24)、クロムオレンジ;硫化セリウム(C.I.ピグメントオレンジ75);酸化鉄黄(C.I.ピグメントイエロー42);ニッケルチタンイエロー(C.I.ピグメントイエロー53;C.I.ピグメントイエロー157、158、159、160、161、162、163、164および189);クロムチタンイエロー、スピネル相(C.I.ピグメントイエロー119);硫化カドミウムおよび硫化亜鉛カドミウム(C.I.ピグメントイエロー37および35);クロムイエロー(C.I.ピグメントイエロー34);ビスマスバナジン酸塩(C.I.ピグメントイエロー184)。
【0029】
通常、フィラーとして使用される無機顔料のための例として透明な二酸化ケイ素、石英粉、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、天然の雲母、天然もしくは沈降白亜および硫酸バリウムが挙げられる。
【0030】
光沢顔料は、その遊色(Farbenspiel)が干渉、反射及び吸収の現象との相互作用により顕著である単相もしくは多相で構成されたフレーク状の顔料である。例としてアルミニウムフレークおよび1回もしくは複数回、特に金属酸化物により被覆されたアルミニウム、酸化鉄および雲母のフレークが挙げられる。
【0031】
本発明による顔料調製物は顔料(A)を60〜85質量%、有利には70〜85質量%含有する。
【0032】
成分(B)として本発明による固体の顔料調製物は、冒頭に定義した式I
【0033】
【化3】

の顔料誘導体を含有している。
【0034】
顔料誘導体Iは、スルホン酸基および/またはカルボン酸基により官能化されており、該基が直接または橋かけ成分を介して基幹に結合している有機顔料の基幹Pを基礎としている。この場合、基幹の概念は顔料自体ならびにその前駆物質であると理解すべきである。顔料前駆物質は特に多環式顔料が考えられる。これらは顔料の環構造を有しているが、しかし顔料の置換パターンは完全に存在していないか、かつ/または機能化されていない。例としてペリレン−3,4−ジカルボン酸イミドがペリレン−3,4,9,10−テトラカルボン酸およびそのジイミドをベースとするペリレン顔料の前駆物質として挙げられる。
【0035】
そのつどの顔料調製物中で成分(B)として使用される顔料誘導体Iは有機顔料(A)と同一の顔料基幹Pを有している。その際、組合せの可能性は、着色顔料誘導体(B)が適用媒体中で顔料(A)の色彩の印象に不所望の影響を与えるべきでないことによって制限される。
【0036】
基本的に顔料誘導体Iに関して、アントラキノン、キナクリドン、キノフタロン、ジケトピロロピロール、ジオキサジン、フラバントロン、インダントロン、イソインドリン、イソインドリノン、イソビオラントロン、ペリノン、ペリレン、フタロシアニン、ピラントロン、ピラゾロキナゾロンおよびチオインジゴ顔料の群からの顔料の基幹が有利である。この場合、これらの幅広い使用可能性に基づいてキノフタロン、ペリレンおよびフタロシアニン顔料の群からの顔料基幹が特に有利である。これらの中でふたたびキノフタロンおよびフタロシアニン顔料の群からの顔料基幹が特に有利である。キノフタロンベースの顔料誘導体I(特に以下に詳細に記載する顔料誘導体Ia)は、特に黄色、オレンジ色および赤色の顔料との組合せのために適切であり、フタロシアニンベースの顔料誘導体I(特に以下に同様に詳細に記載する顔料誘導体Ib)は特に青色、緑色、紫色および黒色の顔料との組合せのために適切である。
【0037】
有利には顔料誘導体Iは、顔料基幹Pに直接結合したスルホン酸基および/またはカルボン酸基XもしくはYを有している。つまりTおよびBならびにTおよびBは全て有利には化学結合を表す。
【0038】
しかしTおよびTは式−CONR−または−SONR−(R:水素;C〜C−アルキル;C〜C18−アルキルにより置換されていてもよいが、しかし有利には非置換であるナフチルまたは特にフェニル)の橋かけ成分を表していてもよい。特に適切な橋かけ成分TおよびTのための例は−CONH−、−SONH−、−CON(CH)−および−SON(CH)−である。
【0039】
同様にBおよびBは非分枝鎖状もしくは分枝鎖状のC〜C−アルキレン基またはフェニレン基を表してもよい。例として次のものが挙げられる:メチレン、1,1−および1,2−エチレン、1,1−、1,2−および1,3−プロピレンおよび1,4−、1,3−および1,2−フェニレン。
【0040】
橋かけ成分TおよびBの適切な組合せはたとえば−CONH−CH−、−CON(CH)−CH−、−CONH−C−、−CONH−CH(CH)−、−SONH−CH−、−SON(CH)−CH−、−SONH−C−、−SONH−CH(CH)−、−CONH−1,4−C−および−SONH−1,4−C−である。
【0041】
スルホン酸基および/またはカルボン酸基XまたはYは遊離酸として、または塩(Ka:Li、Na、KまたはNR)として存在していてもよい。
【0042】
この場合、アンモニウム塩は非置換のアンモニウムイオンから形成されることができるが、しかし有利には基R、R、RおよびRの少なくとも1つは水素以外である。
【0043】
適切な脂肪族基R、R、RおよびRはこの場合、非分枝鎖状もしくは分枝鎖状であってよいC〜C30−アルキル基およびC〜C30−アルケニル基、およびC〜C24−アルキル、有利にはC〜C18−アルキルにより置換されていてもよいC〜C−シクロアルキル基である。芳香族基としてそのつどC〜C24−アルキルにより、またはC〜C24−アルケニル、特にC〜C18−アルキルまたはC−C18−アルケニルにより置換されていてもよいフェニルおよびナフチルが適切である。さらに基R、R、RおよびRは式−[CHR−CHR−O]−R(R、RおよびRは相互に無関係に水素、C〜C−アルキル、x≧1)のポリアルキレンオキシ基であってもよい。x>1の場合、これはホモポリマーの基である、つまり純粋なポリエチレンオキシ基または純粋なポリプロピレンオキシ基であるか、あるいはコポリマーの、種々のアルキレンオキシ単位が特にブロック状に、またはランダムに含有されている基、たとえばポリエチレンオキシ/ポリプロピレンオキシ基であってよい。
【0044】
芳香族および特に有利には非環式の脂肪族基R、R、RおよびRが有利である。
【0045】
特に適切なアンモニウム塩はモノ−C〜C30−アルキル−もしくは−アルケニルアンモニウム塩、たとえばラウリル−、ステアリル−、オレイル−および獣脂アルキルアンモニウム塩、ならびに合計して24〜42個の炭素原子を含有し、その際、少なくとも1つ、有利には2つのアルキル基および/またはアルケニル基は少なくとも8個、有利には12個、特に有利には12〜20個の炭素原子を有する四級化されたアンモニウム塩、たとえばジメチルジドデシル−、ジメチルジオレイル−およびジメチルジステアリル−アンモニウム塩である。
【0046】
有利にはスルホン酸基および/またはカルボン酸基XまたはYは顔料誘導体I中で遊離ではない形で存在している。これらがすでに最初から反応して塩となっていない場合、塩の形成、特にナトリウム塩の形成は通常、この場合には有利には中和工程を包含する本発明による顔料調製物を製造する際に行う。塩の形成が行われないか、または不完全に行われるにすぎない場合、酸基は、塩基性の中心、たとえば窒素原子を有する非イオン性の表面活性添加剤(C)の使用の際に、当然のことながらこれらの添加剤と反応して塩を形成する。しかし本発明による顔料調製物はこの場合にも遊離の添加剤(C)をなお、有利には遊離の添加剤(C)を少なくとも5質量%含有する。添加剤(C)が塩を形成することができない場合、スルホン酸基および/またはカルボン酸基は遊離酸として存在していてもよい。
【0047】
しばしば種々の塩の混合物もまた存在している。この場合には有利なナトリウム塩および/またはアンモニウム塩(特に上記に明示的に挙げたアンモニウム塩)はこれらの混合物の少なくとも高い割合を占めるべきである。
【0048】
顔料誘導体Iは酸基を1〜4個有していてもよい。顔料基幹Pに依存して、たとえばフタロシアニン基Pの場合、顔料誘導体Iは著しく異なって置換された分子のランダムな混合物であってもよく、従ってm+nの合計の平均値は分数であってもよい。
【0049】
有利には顔料誘導体Iはスルホン酸基のみを有する。この場合、1〜3、特に1〜2の置換度(m+n)は特に有利であることが判明した。スルホン酸基がアンモニウム塩(m)および場合によりナトリウム塩の形で、または遊離酸(n)として存在している場合、mは有利には1〜1.8であり、かつnは0〜0.2である。
【0050】
特に適切な顔料誘導体Iのための例として次のものが挙げられる:
式Iaのキノフタロンスルホン酸
【0051】
【化4】

【0052】
式Ibの銅フタロシアニンスルホン酸
【0053】
【化5】

【0054】
式Icのペリレンスルホン酸
【0055】
【化6】

【0056】
変項Kaおよびm+nはこの場合、冒頭で定義したものを表し、その際、Kaは有利にはNaまたはN(特に上記の有利なR〜Rの組合せ)を表す。m+nの合計は化合物IaおよびIcの場合、特に1であり、その際、スルホン酸基は化合物Iaでは有利には6位であり、かつ化合物Icでは有利には9位である。
【0057】
式Ia中の環AおよびA′は同一であるか、または異なっていてよく、かつそのつど1〜4個の塩素原子および/またはフッ素原子により置換されていてもよい。有利には両方の環は4個の塩素原子を有する。
【0058】
変項Dは−O−または−NR−を表し、その際、Rは水素、C〜C−アルキルあるいはC〜C−アルキル、C〜C−アルコキシおよび/またはフェニルアゾにより置換されていてもよいフェニルを表す。有利にはRは水素、メチル、4−エトキシフェニル、3,5−ジメチルフェニルまたは4−フェニルアゾフェニルを表す。
【0059】
とりわけ有利な成分(B)は変項の有利であるとして記載された意味を有する顔料誘導体IaおよびIbであり、その際、顔料誘導体Iaは有利にはナトリウム塩として存在しており、かつ顔料誘導体Ibはナトリウム塩として存在していても、アンモニウム塩として存在していてもよい。
【0060】
顔料誘導体Iは公知であり、かつ公知の方法により製造することができる。
【0061】
本発明による顔料調製物は成分(B)を0.1〜15質量%、特に0.5〜10質量%含有する。成分(B)が顔料誘導体Iaである場合、その割合は有利には0.1〜5質量%、特に0.5〜4質量%である。顔料誘導体Ibの場合、2〜10質量%、特に3〜8質量%の量が有利である。顔料誘導体Icの含有率は有利には0.1〜5質量%、特に0.5〜3質量%である。
【0062】
成分(C)として本発明による顔料調製物は少なくとも1種の表面活性添加剤を含有する。これはポリエーテルをベースとし、第一アミノ基を有していない非イオン性添加剤であるか、または前記のポリエーテルの酸性のリン酸エステル、ホスホン酸エステル、硫酸エステルおよび/またはスルホン酸エステルおよび前記のエステルの塩ならびにアルキルスルホン酸およびアルキルアリールスルホン酸、これらの塩およびこれらとホルムアルデヒドとの縮合生成物をベースとするアニオン性添加剤である。当然のことながら、種々の非イオン性表面活性添加剤の混合物、種々のアニオン性表面活性添加剤の混合物あるいはまた非イオン性およびアニオン性の表面活性添加剤の混合物が本発明による顔料調製物中に含有されていてもよい。
【0063】
特に水性の適用媒体中での使用のために、水溶性の添加剤(C)が特に適切である。その際、少なくとも5質量%の、特に少なくとも10質量%の水溶液を製造することができる添加剤(C)は有利である。
【0064】
添加剤(C)のベースとなっているポリエーテルは、特にポリアルキレンオキシド、特にアルキレンオキシドブロックコポリマーであるか、またはアルキレンオキシドとアルコール、アミン、脂肪族カルボン酸およびカルボン酸アミドとの反応生成物である。この場合、本発明によればアルキレンオキシドの概念はアリール置換されたアルキレンオキシド、特にフェニル置換されたエチレンオキシドであると理解すべきである。
【0065】
混合されてないポリアルキレンオキシド、有利にはC〜C−アルキレンオキシドおよびフェニル置換されたC〜C−アルキレンオキシド、特にポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシドおよびポリ(フェニルエチレンオキシド)以外に、特にブロックコポリマー、とりわけポリプロピレンオキシドブロックおよびポリエチレンオキシドブロックまたはポリ(フェニルエチレンオキシド)−およびポリエチレンオキシドブロックを有するポリマー、およびこれらのアルキレンオキシドのランダムコポリマーが適切である。
【0066】
これらのポリアルキレンオキシドはアルキレンオキシドを出発分子へ、たとえば飽和もしくは不飽和の脂肪族および芳香族アルコール、飽和もしくは不飽和の脂肪族および芳香族アミン、飽和もしくは不飽和の脂肪族カルボン酸およびカルボン酸アミドへ重付加することにより製造することができる。通常、出発分子1モルあたり、1〜300モル、有利には3〜150モルのアルキレンオキシドを使用する。
【0067】
この場合、適切な脂肪族アルコールは通常、6〜26個の炭素原子、有利には8〜18個の炭素原子を有しており、かつ非分枝鎖状、分枝鎖状もしくは環式に構成されていてもよい。例としてオクタノール、ノナノール、デカノール、イソデカノール、ウンデカノール、ドデカノール、2−ブチルオクタノール、トリデカノール、イソトリデカノール、テトラデカノール、ペンタデカノール、ヘキサデカノール(セチルアルコール)、2−ヘキシルデカノール、ヘプタデカノール、オクタデカノール(ステアリルアルコール)、2−ヘプチルウンデカノール、2−オクチルデカノール、2−ノニルトリデカノール、2−デシルテトラデカノール、オレイルアルコールおよび9−オクタデセノールならびにこれらのアルコールの混合物、たとえばC/C10−、C13/C15−およびC16/C18−アルコール、およびシクロペンタノールおよびシクロヘキサノールが挙げられる。特に興味深いのは、脂肪の分解および還元により天然の原料から得られる飽和および不飽和の脂肪アルコール、およびオキソ合成からの合成脂肪アルコールである。これらのアルコールへのアルキレンオキシド付加物は通常、200〜5000の平均分子量Mを有する。
【0068】
上記の芳香族アルコールのための例として、α−およびβ−ナフトールおよびこれらのC〜C−アルキル誘導体以外に、特にフェノール、そのC〜C12−アルキル誘導体、たとえばヘキシルフェノール、ヘプチルフェノール、オクチルフェノール、ノニルフェノール、イソノニルフェノール、ウンデシルフェノール、ドデシルフェノール、ジブチルフェノールおよびトリブチルフェノールおよびジノニルフェノール、およびこれらのアリールアルキル誘導体、特にそのヒドロキシフェニルメチル誘導体が挙げられ、これらのメチル基は2つのC〜C−アルキル基により置換されていてもよいが、しかし有利には2つのメチル基を有する(ビスフェノールA)。
【0069】
適切な脂肪族アミンは上記の脂肪族アルコールに相応する。ここでも、有利に14〜20個の炭素原子を有する飽和および不飽和の脂肪アミンが特別な意味を有する。芳香族アミンとしてたとえばアニリンおよびその誘導体が挙げられる。
【0070】
脂肪族カルボン酸として特に、有利に14〜20個の炭素原子を有する飽和および不飽和の脂肪酸、および水素化された、部分的に水素化された、および水素化されていない樹脂酸ならびに多価のカルボン酸、たとえばジカルボン酸、たとえばマレイン酸が適切である。
【0071】
適切なカルボン酸アミドはこれらのカルボン酸から誘導される。
【0072】
一価のアルコールおよびアミンへのアルキレンオキシド付加物以外に、少なくとも二官能価のアミンおよびアルコールへのアルキレンオキシド付加物はとりわけ重要である。
【0073】
少なくとも二官能価のアミンとして、特に式HN−(R10−NR11−H(R10:C〜C−アルキレン;R11:水素またはC〜C−アルキル;p:1〜5)に相応する2価〜5価のアミンが有利である。具体的にはたとえば次のものが挙げられる:エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、プロピレンジアミン−1,3、ジプロピレントリアミン、3−アミノ−1−エチレンアミノプロパン、ヘキサメチレンジアミン、ジヘキサメチレントリアミン、1,6−ビス−(3−アミノプロピルアミノ)ヘキサンおよびN−メチルジプロピレントリアミン、その際、ヘキサメチレンジアミンおよびジエチレントリアミンは特に有利であり、かつエチレンジアミンがとりわけ有利である。
【0074】
有利にはこれらのアミンをまずプロピレンオキシドと、および引き続きエチレンオキシドと反応させる。ブロックコポリマーのエチレンオキシド含有率は通常、約10〜90質量%である。
【0075】
多価のアミンをベースとするブロックコポリマーは通常、1000〜40000、有利には1500〜30000の平均分子量Mを有する。
【0076】
少なくとも二官能価のアルコールとして、2価〜4価のアルコールが有利である。たとえばC〜C−アルキレングリコールおよび相応するジ−およびポリアルキレングリコール、たとえばエチレングリコール、プロピレングリコール−1,2および−1,3、ブチレングリコール−1,2および−1,4、ヘキシレングリコール−1,6、ジプロピレングリコールおよびポリエチレングリコール、グリセリンおよびペンタエリトリットが挙げられ、その際、エチレングリコールおよびポリエチレングリコールが特に有利であり、かつプロピレングリコールおよびジプロピレングリコールがとりわけ有利である。
【0077】
少なくとも二官能価のアルコールへの特に有利なアルキレンオキシド付加物は中心のポリプロピレンオキシドブロックを有する。つまりプロピレングリコールまたはポリプロピレングリコールから出発し、これをまず別のプロピレンオキシドと、および次いでエチレンオキシドと反応させる。ブロックコポリマーのエチレンオキシド含有率は通常、10〜90質量%である。
【0078】
多価アルコールをベースとするブロックコポリマーは一般に、1000〜20000、有利には1000〜15000の平均分子量Mを有する。
【0079】
このようなアルキレンオキシドブロックコポリマーは公知であり、かつたとえばTetronic (R)およびPluronic (R)(BASF)の名称で市販されている。
【0080】
非イオン性ポリエーテルのホスフェート、ホスホネート、スルフェートおよびスルホネートは、アニオン性表面活性添加剤(C)の重要な1群を形成し、その際、ホスフェートおよびスルフェートが有利である。
【0081】
これらはリン酸、五酸化リンおよびホスホン酸もしくは硫酸およびスルホン酸との反応によりリン酸モノ−もしくは−ジエステルおよびホスホン酸エステルもしくは硫酸モノエステルおよびスルホン酸エステルへと変換することができる。これらの酸性のエステルは有利には水溶性の塩の形で、特にアルカリ金属塩、特にナトリウム塩およびアンモニウム塩として存在しているが、しかし遊離酸の形でも使用することができる。
【0082】
有利なホスフェートおよびホスホネートは特にアルコキシル化した、特にエトキシル化した脂肪アルコールおよびオキソアルコール、アルキルフェノール、脂肪アミン、脂肪酸および樹脂酸から誘導され、有利にはスルフェートおよびスルホネートは特にアルコキシル化した、とりわけエトキシル化した脂肪アルコール、アルキルフェノールおよびアミン、および多価アミンをベースとする。
【0083】
芳香族スルホネート、たとえばp−C〜C20−アルキルベンゼンスルホネート、ジ−(C〜C−アルキル)ナフタリンスルホネートおよびナフタリンスルホン酸とホルムアルデヒドとの縮合生成物、および脂肪族スルホネート、たとえばC12〜C18−アルカンスルホネート、α−スルホ脂肪酸−C〜C−アルキルエステル、スルホコハク酸エステルおよびアルコキシ−、アシルオキシ−およびアシルアミノアルカンスルホネートはアニオン性表面活性添加剤(C)のもう1つの重要な群を形成し、これらは同様に有利にはその水溶性ナトリウム塩の形で使用される。
【0084】
この場合、有利であるのはアリールスルホネートであり、その際、ジ−(C〜C−アルキル)ナフタリンスルホネートが特に有利である。とりわけ有利であるのは、ジイソブチル−およびジイソプロピルナフタリンスルホネートである。
【0085】
このようなアニオン性表面活性添加剤は公知であり、かつたとえばCrodafos (R) (Croda)、Rhodafac (R)(Rhodia)、Maphos (R)(BASF)、Texapon (R)(Cognis)、Empicol (R)(Albright & Wilson)、Matexil (R)(ICI)、Soprophor (R)(Rhodia)、Lutensit (R)(BASF)、Nekal (R)(BASF)およびTamol (R)(BASF)の名称で市販されている。
【0086】
本発明による顔料調製物は表面活性添加剤(C)を14.9〜34.9質量%、有利には17〜25質量%含有する。すでに記載したように、塩を形成することができる塩基性中心を有する非イオン性添加剤(C)は、中和されていない顔料誘導体(B)と反応して塩が生じる。この場合、顔料調製物がなお遊離の添加剤(非イオン性および/またはアニオン性添加剤(C))を含有することに注意しなくてはならない。有利には添加剤(C)の少なくとも5質量%が遊離の形で存在する。
【0087】
本発明による顔料調製物は非イオン性添加剤(C)のみ、アニオン性添加剤(C)のみ、または非イオン性およびアニオン性添加剤(C)の混合物を含有していてもよい。たとえば非イオン性ポリエーテルの有利なリン酸エステルおよび硫酸エステルをベースとするアニオン性添加剤を純粋な形で、または非イオン性および/または別のアニオン性添加剤(C)との混合物として使用することができる。この場合、これらの混合物におけるエステルの割合は5〜90質量%であってよい。アリールスルホネートをベースとするアニオン性添加剤(C)は有利には非イオン性および/または別のアニオン性添加剤(C)との混合物として使用され、その際、該混合物におけるその割合は通常、5〜20質量%である。
【0088】
本発明による顔料調製物は有利には、顔料(A)をまず水性の、添加剤(C)の少なくとも部分量、しかし有利には全量を含有する懸濁液中で湿式粉砕し、かつ該懸濁液を次いで、場合により添加剤(C)の残りの量を添加した後で、乾燥させることにより、同様に本発明による製造方法により得ることができる。
【0089】
この場合、顔料誘導体(B)を湿式粉砕の前、その間またはその後で、所望の場合には異なった時点で部分量として懸濁液に添加することができる。有利には少なくとも部分量を、しかし有利には顔料誘導体(B)の全量を湿式粉砕の前に添加する。顔料(A)の懸濁液に顔料誘導体(B)を添加し、顔料誘導体(B)により被覆された顔料を濾別し、かつ湿ったプレスケーキを、場合により部分的に、または完全に乾燥した後で、湿式粉砕に供給して行うこともできる。
【0090】
顔料(A)は本発明による方法の場合、乾燥した粉末として、またはプレスケーキの形で使用することができる。使用される顔料(A)は有利には完成した生成物、つまり顔料の一次粒子はすでに適用のために所望される値に調節されている。顔料誘導体(B)の存在下でも実施することができるこの顔料の仕上げは特に有機顔料において実施することができる。というのも、顔料合成の際に生じる粗原料は適用のために適切ではないからである。仕上げをした顔料(A)は乾燥の際に、またはフィルター装置上でふたたび再凝集するので、水性懸濁液中で湿式粉砕、たとえば撹拌ビーズミル中で粉砕する。
【0091】
湿式粉砕は種々のpH値で実施することができる。しかし該懸濁液は乾燥のために、ほぼ7のpH値を有しているべきである、つまり中和されているべきである。通常(特に顔料誘導体(B)を遊離酸の形で使用する場合)、このために湿式粉砕の前または後で、塩基、特に水酸化ナトリウム溶液の添加が必要となる。しかし有利には湿式粉砕の前に塩基を添加する。
【0092】
選択した乾燥方法、噴霧造粒および流動層乾燥、噴霧乾燥、櫂型乾燥器(Schaufeltrockner)中での乾燥、蒸発および引き続き粉砕に依存して、本発明による顔料調製物の粒径を適切に制御することができる。その際、空気中でも不活性ガス、有利には窒素中でも作業することができる。
【0093】
噴霧造粒および流動層造粒の場合、50〜5000μm、特に100〜1000μmの平均粒径を有する粗粒状の粒状物が得られる。噴霧乾燥により通常、<20μmの平均粒径を有する顆粒が得られる。微粒子状の調製物が櫂型乾燥器中での乾燥の際に、および蒸発およびその後の粉砕の際に得られる。しかし有利には本発明による顔料調製物は顆粒の形で存在する。
【0094】
噴霧造粒は有利には1流体ノズルを有する噴霧塔中で実施する。懸濁液をここで比較的大きな液滴として噴霧し、その際、水が蒸発する。添加剤(C)は乾燥温度で溶融し、かつ特に平滑な表面を有するほぼ球形の顆粒(通常、15m/g以下、特に10m/g以下のBET値)が形成される。
【0095】
噴霧塔中の気体入口温度は一般に180〜300℃であり、有利には150〜300℃である。気体出口温度は通常、70〜150℃、有利には70〜130℃である。
【0096】
得られる顔料顆粒の残留水分は有利には2質量%未満である。
【0097】
本発明による顔料調製物は適用の際に、その優れた、液状の顔料調製物に匹敵する色彩特性、特にその色の濃さおよび明度、その色相およびその隠蔽力により、および特にそのステアイン挙動により優れており、つまりこれらは極めてわずかなエネルギー入力によって簡単に撹拌または振とうすることにより適用媒体中に分散させることができる。このことは特に本発明による顔料調製物の有利な実施態様である粗粒状の顔料顆粒に該当する。
【0098】
液状の顔料調製物と比較して本発明による顔料調製物はさらに、次の利点を有する:本発明による顔料調製物は比較的高い顔料含有率を有する。液状の調製物は貯蔵の際に粘度が変化する傾向があり、かつ保存剤および凍結および/または乾燥安定性を高めるための薬剤を添加しなくてはならない一方で、本発明による顔料調製物は極めて良好な貯蔵安定性を有する。本発明による顔料調製物は包装、貯蔵および輸送に関して経済的であり、かつ生態学的に有利である。本発明による顔料調製物は溶剤不含であるので、適用において比較的高い柔軟性を有する。
【0099】
顆粒の形の本発明による顔料調製物は優れた耐摩耗性、わずかな圧縮傾向もしくは凝集傾向、均一な粒径分布、良好な振とう性、流動性および供給性ならびに取り扱いおよび適用の際のダストが発生しないことにより優れている。
【0100】
本発明による顔料調製物は、あらゆる種類の高分子の有機および無機材料の着色のために好適である。この場合、液状の適用媒体は純粋に水性であってもよく、水と有機溶剤、たとえばアルコールとの混合物を含有していても、または有機溶剤、たとえばアルコール、グリコールエーテル、ケトン、たとえばメチルエチルケトン、アミド、たとえばN−メチルピロリドンおよびジメチルホルムアミド、エステル、たとえば酢酸エチルエステルおよび酢酸ブチルエステルおよびメトキシプロピルアセテート、芳香族もしくは脂肪族炭化水素、たとえばキシレン、鉱油およびベンジンのみをベースとしていてもよい。
【0101】
所望の場合には、該調製物をまずそのつどの適用媒体中で相容性の溶剤中に撹拌導入し、その際、これはふたたび極めてわずかなエネルギー入力によって可能であり、かつ次いで、この適用媒体中に導入することができる。従って水性の系のために調整された顔料調製物を、炭化水素ベースの系またはニトロセルロースベースの系と相容性にするために、たとえばグリコールまたはその他の、塗料工業において通例の溶剤、たとえばメトキシプロピルアセテート中の顔料調製物のスラリーを使用することができる。
【0102】
本発明による顔料調製物により着色することができる材料のための例として、次のものが挙げられる:塗料、たとえば建築用塗料、工業用塗料、車両用塗料、放射線硬化性塗料;建築物外部および内部の範囲のための被覆剤、たとえば木材用被覆剤、鉱物性塗料、水性塗料、エマルション塗料;印刷インク、たとえばオフセット印刷インク、フレキソ印刷インク、トルエングラビア印刷インク、捺染インク、放射線硬化性印刷インク;インク、インクジェットインキ;カラーフィルター、建築材料(通常は建材および顔料顆粒を乾式混合した後で初めて水を添加する)、たとえばケイ酸塩しっくい系、セメント、コンクリート、モルタル、石膏;アスファルト、シーラント;セルロースを含有する材料、たとえば紙、厚紙、ボール紙、塗装されているか、またはその他の方法で被覆されていてもよい木材および木材加工材料;接着剤、被膜形成ポリマー保護コロイド、たとえば医薬品工業において使用されるもの;化粧品;洗剤。
【0103】
特に有利には本発明による顔料調製物を混色系または調色系における混合成分として使用することができる。この場合、そのステアイン挙動に基づいて固体として直接使用することができる。しかし所望の場合にはまず色味剤(高い固体含有率を有する着色剤、「HSカラー」)に、またはさらに高く顔料着色された色味ペーストとし、これが次いで混合系の成分となる。所望の色相の調節ひいては色成分の混合は、カラースタンダード、たとえばRAL、BSおよびNCSに基づいた、できる限り多くの色相段階のカラーチャートのシステムにより目視によって行うことができるか、または有利にはコンピューター制御によって実施することができ、このことによって無限の数の色相が得られる(「コンピューターカラーマッチング」)。
【0104】
本発明による顔料調製物はプラスチックの着色のためにも好適である。たとえばここでは次のプラスチックの種類およびプラスチックのタイプが挙げられる:
− 変性した天然素材:
熱硬化性プラスチック(Duroplast)、たとえばカゼインプラスチック;熱可塑性プラスチック、たとえば硝酸セルロース、酢酸セルロース、セルロース混合エステルおよびセルロースエーテル;
− 合成プラスチック:
重縮合物:熱硬化性プラスチック、たとえばフェノール樹脂、尿素樹脂、チオ尿素樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アリル樹脂、シリコーン、ポリイミドおよびポリベンズイミダゾール;熱可塑性プラスチック、たとえばポリアミド、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリフェニレンオキシド、ポリスルホンおよびポリビニルアセタール;
ポリマー:熱可塑性プラスチック、たとえばポリオレフィン、たとえばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ−1−ブテンおよびポリ−4−メチル−1−ペンテン、イオノマー、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリルニトリル、ポリスチレン、ポリアセタール、フルオロプラスチック、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセテートおよびポリ−p−キシリレンならびにコポリマー、たとえばエチレン/ビニルアセテートコポリマー、スチレン/アクリロニトリルコポリマー、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレンコポリマー、ポリエチレングリコールテレフタレートおよびポリブチレングリコールテレフタレート;
重付加物:熱硬化性プラスチック、たとえばエポキシ樹脂および架橋したポリウレタン;熱可塑性プラスチック、たとえば線状ポリウレタンおよび塩素化したポリエーテル。
【0105】
プラスチックは有利にはわずかなエネルギー入力下で、たとえば同時押出(有利には一軸もしくは二軸スクリュー押出機により)、ロール練り、混練またはミリングにより、本発明による顔料調製物を用いて着色することができる。その際、これらは可塑性の組成物または溶融液として存在していてもよく、かつプラスチック成形体、シートまたは繊維へと加工することができる。
【0106】
本発明による顔料調製物はプラスチックの着色の際にも総じて有利な適用特性、特に該調製物を用いて着色したプラスチックの色彩特性、特に高い色の濃さおよび明度、および良好なレオロジー特性、特に低い圧力フィルター値(高いフィルター寿命)および良好な紡糸性により優れている。
【0107】
実施例
顆粒の形での本発明による顔料調製物の製造および試験
水150kg中の、完成した顔料(A)xkg、顔料誘導体(B)ykgおよび場合により複数の添加剤(C)zkgの懸濁液を、必要な場合には25質量%の水酸化ナトリウム溶液の添加によりpH値7に調節して、ビーズミル中で<1μmのd50値に粉砕し、かつ次いで噴霧塔中、1流体ノズルを用いて(気体入口温度165℃、気体出口温度70℃)噴霧造粒することによって、顔料調製物の製造を行った。
【0108】
例39〜41において、顔料(A)をまず水性懸濁液中、pH値8で顔料誘導体(B)により被覆し、被覆した顔料を濾別し、かつプレスケーキを次いで(例41では予め乾燥した後に)添加剤(C)の存在下に粉砕に供給した。
【0109】
顔料顆粒の色の濃さの測定は比色法により白色の減少(Weissaufhellung)(色等価性(Faerbeaequivalente)FAEの表示、DIN55986)において、水性のエマルション塗料中で行った。このために、そのつど16.4質量%の白色顔料(TiO、Kronos 2043)含有率を有する、顔料顆粒1.25gおよびスチレン/アクリレートベースの水性の試験バインダー50gの混合物を150mlのプラスチック容器中で高速撹拌機を用いて1500回転/分で3分間、均質化した。次いで得られた色を100μmのスパイラルナイフ(Spiralrakel)を用いて黒/白の試験紙上に塗布し、かつ30分間乾燥させた。
【0110】
市販の顔料の白色の調製物を用いて製造したそのつど類似のエマルション塗料をFAE値100(標準)に分類した。100未満のFAE値は標準よりも高い色の濃さを意味し、100を上回るFAEは相応してより低い色の濃さを意味する。
【0111】
得られた顔料顆粒は優れた貯蔵安定性を有していた。
【0112】
以下の表では製造した顔料調製物の組成ならびにそのつど得られたFAE値が記載されている。
【0113】
顔料誘導体(B)としてこの場合、次のものを使用した:
B1:キノフタロンスルホン酸(Ia)(WO−A−02/00643、例1)
B2:置換度約1.4を有するCuPc−スルホン酸(Ib)
B3:置換度約1.7を有するCuPc−スルホン酸(Ib)
B4:置換度約1.4を有するCuPc−スルホン酸(Ib)のモノラウリルアンモニウム塩(GB−A−1508576、薬剤Aに類似)
B5:置換度約1.4を有するCuPc−スルホン酸(Ib)のジメチルジステアリルアンモニウム塩(GB−A−1508576、薬剤Bに類似)
B6:置換度約1.7を有するCuPc−スルホン酸とラウリルアンモニウムクロリド0.6モルとの反応生成物
B7:ペリレン−3,4−ジカルボン酸イミド−9−スルホン酸(EP−A−636666、誘導体b2)
この場合、添加剤(C)として次のものを使用した:
C1:平均エトキシル化度30を有するエトキシル化されたC13/C15−オキソアルコール
C2:平均エトキシル化度25を有するエトキシル化された線状の飽和C16/C18−脂肪アルコール
C3:平均エトキシル化度50を有するエトキシル化された線状の飽和C16/C18−脂肪アルコール
C4:エチレンオキシド含有率40質量%および平均分子量M 12000を有するエチレンジアミン/プロピレンオキシド/エチレンオキシドをベースとするブロックコポリマー
C5:エチレンオキシド含有率40質量%および平均分子量M 6700を有するエチレンジアミン/プロピレンオキシド/エチレンオキシドをベースとするブロックコポリマー
C6:平均エトキシル化度20を有するエトキシル化された飽和イソトリデシルアルコール
C7:中心のポリプロピレンオキシドブロック、エチレンオキシド含有率50質量%および平均分子量M 6500を有するプロピレンオキシド/エチレンオキシドコポリマー
C8:平均エトキシル化度7を有するエトキシル化されたビスフェノールA
C9:半スルフェート化され、エトキシル化されたテトラフェニルエチル置換されたビスフェノールAのナトリウム塩(70モル EO/モル ビスフェノール)(US−A−4218218、分散剤13)
C10:最初にプロポキシル化され、かつ次いでエトキシル化されたC/C10−オキソアルコールをベースとする酸性のリン酸エステル(12モル POおよび6モル EO/モル オキソアルコール)
C11:ジイソブチルナフタリンスルホ酸のナトリウム塩
【0114】
【表1】

【0115】
【表2】

【0116】
【表3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
本質的な成分として、
(A)少なくとも1種の有機顔料60〜85質量%、
(B)一般式I
【化1】

[式中、変項は次の意味を有する:
Pは、有機顔料の基幹の基であり、
、Tは、相互に無関係に化学結合、−CONR−または−SONR−であり、
、Bは、相互に無関係に化学結合、C〜C−アルキレンまたはフェニレンであり、
X、Yは、相互に無関係に同一の、もしくは異なった基−SOKaまたは−COOKaであり、
m、nは、0〜3の有理数であり、その際1≦m+n≦4であり、
Kaは、H、Li、Na、K、Nまたはこれらのカチオンの混合物であり、
は、水素、C〜C−アルキル、そのつどC〜C18−アルキルにより置換されていてもよいフェニルまたはナフチルであり、
、R、R、Rは、相互に無関係に水素、C〜C30−アルキル、C〜C30−アルケニル、C〜C24−アルキルにより置換されていてもよいC〜C−シクロアルキル、そのつどC〜C24−アルキルまたはC〜C24−アルケニルにより置換されていてもよいフェニルまたはナフチル、式−[CHR−CHR−O]−Rの基であり、その際、繰り返し単位−[CHR−CHR−O]は、x>1に関して変化することができ、
、R、Rは、相互に無関係に水素またはC〜C−アルキルであり、
xは、≧1の整数である]の少なくとも1種の顔料誘導体0.1〜15質量%および
(C)非イオン性の、第一アミノ基を有していないポリエーテル、該エーテルの酸性のリン酸エステル、ホスホン酸エステル、硫酸エステルおよび/またはスルホン酸エステル、これらのエステルの塩およびアルキル−およびアルキルアリールスルホン酸、その塩およびこれらとホルムアルデヒドとの縮合生成物の群からの少なくとも1種の表面活性添加剤14.9〜39.9質量%
を含有する、固体の顔料調製物。
【請求項2】
50〜5000μmの平均粒径および≦15m/gのBET表面積を有する顆粒の形の請求項1記載の顔料調製物。
【請求項3】
成分(B)として、式中でPが、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、キノフタロン顔料、ジケトピロロピロール顔料、ジオキサジン顔料、フラバントロン顔料、インダントロン顔料、イソインドリン顔料、イソインドリノン顔料、イソビオラトロン顔料、ペリノン顔料、ペリレン顔料、フタロシアニン顔料、ピラントロン顔料、ピラゾロキナゾロン顔料およびチオインジゴ顔料の群からの有機顔料の基幹の基を表す式Iの顔料誘導体を少なくとも1種含有する、請求項1または2記載の顔料調製物。
【請求項4】
成分(C)として、アルキレンオキシドブロックコポリマー、アルキレンオキシドとアルコール、アミン、脂肪族カルボン酸もしくはカルボン酸アミドとの反応生成物、これらのアルキレンオキシド化合物の酸性のリン酸エステル、ホスホン酸エステル、硫酸エステルおよびスルホン酸エステル、これらのエステルの塩およびアルキルフェニル−およびアルキルナフタリンスルホン酸、その塩およびこれらとホルムアルデヒドとの縮合生成物の群からの添加剤を少なくとも1種含有する、請求項1から3までのいずれか1項記載の顔料調製物。
【請求項5】
請求項1から4までのいずれか1項記載の顔料調製物の製造方法において、顔料(A)をまず、添加剤(C)の少なくとも一部を含有する水性懸濁液中で、所望の場合には、顔料誘導体(B)の一部もしくは全量を添加し、ならびに所望の場合には予め、もしくは後から該懸濁液を塩基により中和した後で、湿式粉砕し、かつ該懸濁液を次いで、場合により顔料誘導体(B)および添加剤(C)の残りの量を添加した後で乾燥させることを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項記載の顔料調製物の製造方法。
【請求項6】
高分子の有機および無機材料を着色する方法において、請求項1から4までのいずれか1項記載の顔料調製物を撹拌または振とうによりこれらの材料中に混合することを特徴とする、高分子の有機および無機材料を着色する方法。
【請求項7】
液相として水、有機溶剤または水と有機溶剤との混合物を含有する、ラッカー、塗料、印刷インク、インクおよび被覆系を着色することを特徴とする、請求項6記載の方法。
【請求項8】
混色系を使用して高分子の有機および無機材料を着色する方法において、請求項1から4までのいずれか1項記載の顔料調製物を混合成分として使用することを特徴とする、混色系を使用して高分子の有機および無機材料を着色する方法。
【請求項9】
プラスチックを着色する方法において、請求項1から4までのいずれか1項記載の顔料調製物を押出、ロール練り、混練またはミリングによりプラスチック中に混合することを特徴とする、プラスチックを着色する方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本質的な成分として、
(A)少なくとも1種の有機顔料60〜85質量%、
(B)一般式I
【化1】

[式中、変項は次の意味を有する:
Pは、キノフタロン顔料およびフタロシアニン顔料の群からの有機顔料の基幹の基であり、
、Tは、相互に無関係に化学結合、−CONR−または−SONR−であり、
、Bは、相互に無関係に化学結合、C〜C−アルキレンまたはフェニレンであり、
X、Yは、相互に無関係に同一の、もしくは異なった基−SOKaまたは−COOKaであり、
m、nは、0〜3の有理数であり、その際1≦m+n≦4であり、
Kaは、H、Li、Na、K、Nまたはこれらのカチオンの混合物であり、
は、水素、C〜C−アルキル、そのつどC〜C18−アルキルにより置換されていてもよいフェニルまたはナフチルであり、
、R、R、Rは、相互に無関係に水素、C〜C30−アルキル、C〜C30−アルケニル、C〜C24−アルキルにより置換されていてもよいC〜C−シクロアルキル、そのつどC〜C24−アルキルまたはC〜C24−アルケニルにより置換されていてもよいフェニルまたはナフチル、式−[CHR−CHR−O]−Rの基であり、その際、繰り返し単位−[CHR−CHR−O]は、x>1に関して変化することができ、
、R、Rは、相互に無関係に水素またはC〜C−アルキルであり、
xは、≧1の整数である]の少なくとも1種の顔料誘導体0.1〜15質量%および
(C)非イオン性の、第一アミノ基を有していないポリエーテル、該エーテルの酸性のリン酸エステル、ホスホン酸エステル、硫酸エステルおよび/またはスルホン酸エステル、これらのエステルの塩およびアルキル−およびアルキルアリールスルホン酸、その塩およびこれらとホルムアルデヒドとの縮合生成物の群からの少なくとも1種の表面活性添加剤14.9〜39.9質量%
を含有する、固体の顔料調製物。
【請求項2】
50〜5000μmの平均粒径および≦15m/gのBET表面積を有する顆粒の形の請求項1記載の顔料調製物。
【請求項3】
成分(C)として、アルキレンオキシドブロックコポリマー、アルキレンオキシドとアルコール、アミン、脂肪族カルボン酸もしくはカルボン酸アミドとの反応生成物、これらのアルキレンオキシド化合物の酸性のリン酸エステル、ホスホン酸エステル、硫酸エステルおよびスルホン酸エステル、これらのエステルの塩およびアルキルフェニル−およびアルキルナフタリンスルホン酸、その塩およびこれらとホルムアルデヒドとの縮合生成物の群からの添加剤を少なくとも1種含有する、請求項1または2記載の顔料調製物。
【請求項4】
請求項1から3までのいずれか1項記載の顔料調製物の製造方法において、顔料(A)をまず、添加剤(C)の少なくとも一部を含有する水性懸濁液中で、所望の場合には、顔料誘導体(B)の一部もしくは全量を添加し、ならびに所望の場合には予め、もしくは後から該懸濁液を塩基により中和した後で、湿式粉砕し、かつ該懸濁液を次いで、場合により顔料誘導体(B)および添加剤(C)の残りの量を添加した後で乾燥させることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項記載の顔料調製物の製造方法。
【請求項5】
高分子の有機および無機材料を着色する方法において、請求項1から3までのいずれか1項記載の顔料調製物を撹拌または振とうによりこれらの材料中に混合することを特徴とする、高分子の有機および無機材料を着色する方法。
【請求項6】
液相として水、有機溶剤または水と有機溶剤との混合物を含有する、ラッカー、塗料、印刷インク、インクおよび被覆系を着色することを特徴とする、請求項5記載の方法。
【請求項7】
混色系を使用して高分子の有機および無機材料を着色する方法において、請求項1から3までのいずれか1項記載の顔料調製物を混合成分として使用することを特徴とする、混色系を使用して高分子の有機および無機材料を着色する方法。
【請求項8】
プラスチックを着色する方法において、請求項1から3までのいずれか1項記載の顔料調製物を押出、ロール練り、混練またはミリングによりプラスチック中に混合することを特徴とする、プラスチックを着色する方法。

【公表番号】特表2006−508222(P2006−508222A)
【公表日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−556228(P2004−556228)
【出願日】平成15年11月28日(2003.11.28)
【国際出願番号】PCT/EP2003/013464
【国際公開番号】WO2004/050770
【国際公開日】平成16年6月17日(2004.6.17)
【出願人】(595123069)ビーエーエスエフ アクチェンゲゼルシャフト (847)
【氏名又は名称原語表記】BASF Aktiengesellschaft
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】