説明

顔面神経刺激のためのシステムおよび方法

共同運動的な再神経支配された筋肉を有する被検者において、顔面神経を刺激するための方法は、被検者の顔面の耳辺領域に複数の接点を有する電極を提供するステップと、接点のそれぞれを別々に刺激するステップと、1つ以上の神経枝に所望の顔面筋を活性化させる複数の接点から、1つ以上の接点を識別するステップと、1つ以上の神経枝を刺激するように、識別した接点を選択するステップと、を含む。該システムは、被検者の顔面の耳辺領域に配置するための複数の接点を有する電極と、電極と通信しているプロセッサとを含む。該プロセッサは、接点のそれぞれを別々に刺激するため、1つ以上の神経枝に所望の顔面筋を活性化させる複数の接点から、1つ以上の接点を識別するため、および1つ以上の神経枝を刺激するように識別した接点を選択するためのプログラムコードを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2008年10月21日に出願された米国特許仮出願第61/107,081号に対する優先権を主張し、この出願の全内容が本明細書において参照により援用される。
【0002】
本発明は、概して、刺激システムに関し、より具体的には、本発明は、顔面神経刺激に関する。
【背景技術】
【0003】
顔面は、心の鏡であり、表情は、ヒトの言語および非言語コミュニケーションの不可欠な要素である。腫瘍または外傷等の顔面神経の変性病変は、永久的な顔面神経の損傷を引き起こし、多くの他の神経病変とは対照的に、隠すことができない。顔面神経麻痺の機能リハビリテーションは、損傷した神経部分の最適な顕微鏡下再建にもかかわらず、依然として不十分である。
【0004】
顔面神経の神経線維またはその核の片側性損傷は、末梢顔面麻痺をもたらす。これは、いわゆる中枢性顔面麻痺を引き起こす、皮質核管に沿った核上性病変とは区別される。西欧および米国において、末梢顔面麻痺の発生率は、住民100,000あたり約20−35人である。末梢顔面麻痺の最も多い原因は、突発性顔面麻痺(症例の3分の2、広範な診断にもかかわらず、原因を見出すことができない)、側頭骨錐体部の骨折または顔面損傷に続く外傷性麻痺、慢性耳感染を伴う炎症性麻痺、および腫瘍による神経の破壊である。中枢性顔面麻痺の発生率は、住民100,000あたり200人であり、中枢性顔面麻痺の最も多い原因、すなわち、頻繁に顔面麻痺を引き起こす脳卒中の発生率は、住民100,000あたり250人である。脳出血、脳炎、および脳腫瘍は、中枢型の原因としては多くない。
【0005】
したがって、顔面麻痺は、一般的な疾患である。多くの場合、原因に応じて、末梢麻痺は、非変性麻痺(Seddonによるところのニューラプラキシー)を示すため、症例の80%は、適切な治療下で、神経変性を示す。中枢性顔面麻痺の症例の95%は、再生を示す。神経線維の破壊によってもたらされる変性麻痺(Seddonによるところの軸索断裂、神経断裂、混合型)の場合、持続性欠損が治癒後に認められる。治癒後の持続性欠損の程度は、神経病変の程度および適用される治療によって異なる。顔面神経の小さい末梢枝のみが罹患している場合は、表情筋が極めて局所的な欠損を示すに過ぎない。末梢顔面神経の完全な喪失は、顔面の罹患した半分における筋緊張の喪失および顔面の軟組織のたるみをもたらす。自発的運動が喪失し、表情筋を動かすことができなくなる。瞼を閉じることができないことにより、涙が出て炎症が起こり得るため、間接的に視覚障害をもたらす。口の動きの欠損は、発話および摂食を制限する。
【0006】
近代社会において、表情は、言語および非言語コミュニケーションの不可欠な要素である。他の麻痺とは反対に、顔面麻痺は、隠すことができない。患者は、恥ずかしいと感じ、公衆から引きこもり、二次的な精神疾患、例えば、鬱病を発症することが多い。患者の生活の質は、著しく制限される。治癒後の持続的な欠損は、神経切離および神経細胞移植による欠陥の架橋における、神経の同時再生または最適かつ広範な外科的再建の場合においても認められる。再生している軸索の発芽は、神経連続性の再建後も病変部位において認められる。同時に、筋肉まで及ぶ神経の全罹患部分のウォラー変性は、Bungnerの帯域のみが、Schwann細胞導電構造として残るまでに完了する。発芽している軸索を有する再生中のニューロンは、個別の神経枝のこれらの帯域の中へ偶発的に成長し、末梢表情筋に配向される。個別の軸索は消滅して末梢に到達せず、一部は偶然にそれらの本来の標的筋肉に到達するが、その他は、完全に異なる標的筋肉に達する。軸索の側副発芽に起因して、最も頻繁に認められる影響は、図1Aおよび1Bに示されるような、複数の標的筋肉に対する同時発芽である。
【0007】
これは、臨床的に、複数の標的筋肉の同時運動(共同運動と呼ばれる状態)をもたらす。患者は、口を動かしている間、例えば、摂食時の不随意の瞼閉合を訴える場合が多い。拮抗筋の同時運動は、筋力が相互に打ち消し合い、神経支配されるにもかかわらず、臨床的に運動が認められない、自動麻痺症候群をもたらす。新しい研究は、側副発芽のみならず、神経筋肉終板において再生している軸索の(図2Aおよび2Bに示されるような)末端発芽が、非協調性の筋肉機能を引き起こすことを示している。これは、神経の外科手術的再建後も、なぜ患者の生活の質が著しく制限されるかを説明する。病変が極めて広範である場合、顔面神経の残りの末梢部分は十分でないか、またはBungnerの帯域は、再神経支配の失敗に起因して線維化し、筋肉は、3〜5年を超える長期の除神経に起因して萎縮し、患者は、神経移植を受けることができなくなる。
【0008】
可能な治療には、動的筋移植、自由神経筋肉移植、上瞼への重りの埋め込み、または静的懸垂が挙げられる。これらの二次的処置の機能結果は、上述の神経移植よりもさらに不十分である。これらの処置は、良くても筋緊張を回復し得るに過ぎず、表情は、依然として極めて仮面のようであり、動的な筋肉の懸垂は、わずかな極めて機械的な運動ベクトルを再生できるに過ぎない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一実施形態に従って、共同運動的な再神経支配された筋肉を伴う被検者において、顔面神経を刺激する方法は、被検者の顔面の耳辺領域中に、複数の接点を有する電極を提供するステップを含む。方法は、複数の接点のそれぞれを別々に刺激するステップと、1つ以上の接点を、1つ以上の神経枝に所望の顔面筋を活性化させる複数の接点触から、1つ以上の接点を識別するステップと、識別した接点を選択して、1つ以上の神経枝を刺激するステップも含む。
【0010】
関連実施形態に従って、電極は、アレイ電極および/または棒電極であり得る。顔面筋は、眼輪筋、口輪筋、後頭前頭筋、鼻根筋、鼻筋、鼻中隔下制筋、皺眉筋、眉毛下制筋、耳介筋(前方、上方、後方)、口角下制筋、笑筋、大頬骨筋、小頬骨筋、上唇挙筋、上唇鼻翼挙筋、下唇下制筋、口角挙筋、頬筋、および/または頤筋であり得る。電極は、1つ以上の神経枝の動作可能距離内に埋め込まれてもよく、例えば、1つ以上の神経枝の下に埋め込まれ得るか、または神経枝と被検者の皮膚との間にある神経枝の上に埋め込まれ得る。1つ以上の神経枝の刺激は、感知信号に基づいて誘起され得、例えば、EMGセンサおよび/または加速センサを使用して測定され得る。感知信号は、被検者の顔面の損傷側および/または正常側の耳辺領域における記録電極から記録され得る。記録電極は、複数の接点を有し得る。感知信号は、被検者の皮膚の上または下に配置されたセンサから記録され得る。方法は、他の顔面筋の活性化を阻止するように、1つ以上の接点を選択して、神経枝を刺激するステップをさらに含み得る。方法は、第1の顔面筋の活性化を引き起こす1つ以上の第1の接点と、第2の顔面筋の活性化を引き起こす1つ以上の第2の接点とを識別し得る。次に、方法は、識別した第1および第2の接点を選択し得る。
【0011】
本発明の別の実施形態に従って、被検者の顔面神経を刺激するためのシステムは、複数の接点を有する電極と、電極と通信しているプロセッサとを含む。プロセッサは、複数の接点のそれぞれを別々に刺激するため、1つ以上の神経枝に所望の顔面筋を活性化させる複数の接点から、1つ以上の接点を識別するため、および1つ以上の神経枝を刺激するように識別した接点触を選択するためのプログラムコードを有する。
【0012】
関連実施形態に従って、電極は、アレイ電極および/または棒電極であり得る。システムは、プロセッサと通信している1つ以上のセンサをさらに含み得る。センサは、1つ以上の接点触を識別するためのプログラムコードとともに使用するための、顔面運動情報をプロセッサに提供するように構成され得る。センサは、EMGセンサおよび/または加速センサであり得る。識別した接点を選択するためのプログラムコードは、片側麻痺した顔面の損傷側を維持または回復させるように、1つ以上の神経枝を連続的に刺激し得る。
【0013】
本発明の別の実施形態に従って、顔面麻痺がある被験者において、顔面神経を刺激する方法は、被験者の顔面の耳辺領域中に、複数の接点を有する電極を提供するステップを含む。方法は、複数の接点のそれぞれを別々に刺激するステップと、1つ以上の接点を、1つ以上の神経枝に所望の顔面筋を活性化させる複数の接点から識別するステップと、1つ以上の神経枝を連続的に刺激するように、識別した接点を選択するステップも含む。
【0014】
関連実施形態に従って、電極は、アレイ電極および/または棒電極であり得る。電極は、1つ以上の神経枝の動作可能距離内に埋め込まれてもよく、例えば、1つ以上の神経枝の下に埋め込まれ得るか、または神経枝と被検者の皮膚との間にある神経枝の上に埋め込まれ得る。1つ以上の神経枝の刺激は、感知信号に基づいて誘起され得、例えば、EMGセンサおよび/または加速センサを使用して測定され得る。記録電極は、複数の接点を有し得る。感知信号は、被験者の皮膚の上または下に配置されたセンサから記録され得る。方法は、第1の顔面筋の活性化を引き起こす1つ以上の第1の接点と、第2の顔面筋の活性化を引き起こす1つ以上の第2の接点とを識別し得る。次に、方法は、識別した第1および第2の接点を選択し得る。
【図面の簡単な説明】
【0015】
本発明の前記利点は、添付の図面を参照して、その以下のさらなる説明からさらに完全に理解されるであろう。
【図1】図1Aは、顔面神経支配の正常な体性機能の局在機構の図を示し、図1Bは、顔面神経の病変後の状態を示す。
【図2】図2Aは、筋線維上の正常な終板領域の図を示し、図2Bは、末端発芽に起因する複数の軸によって活性化される、終板領域の図を示す。
【図3】図3は、本発明の実施形態に従って、顔面神経を活性化させるプロセスを示す。
【図4】図4は、本発明の実施形態に従って、顔面神経を活性化させるシステムを示す。
【図5】図5は、本発明の実施形態に従って、顔面神経の枝との関連で、耳辺領域中のアレイ電極を示す。
【図6】図6は、本発明の実施形態に従って、神経枝を刺激している1つの接点を示す。
【図7】図7は、本発明の実施形態に従って、神経枝を同時に刺激している複数の接点を示す。
【図8A】図8Aおよび8Bは、損傷した右側と、健常な左側を有する片側麻痺した顔面の図を示す。
【図8B】図8Aおよび8Bは、損傷した右側と、健常な左側を有する片側麻痺した顔面の図を示す。
【図9】図9は、本発明の実施形態に従って、顔面神経の耳辺領域中の2つの棒電極を示す。
【図10】図10は、本発明の実施形態に従って、神経枝を刺激している1つの接点を示す。
【図11】図11は、本発明の実施形態に従って、神経枝を同時に刺激している複数の接点を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
例示的実施形態の説明
本発明の様々な実施形態は、片側麻痺した顔面を回復または部分的に回復するための神経プロテーゼを提供する。リハビリテーションの対象となる筋肉は、共同運動的な(すなわち、誤って)再神経支配された筋肉であり、除神経筋ではない。実施形態は、被験者の顔面の損傷側で、適切な顔面神経を刺激するように、所定の方法および位置において、電気刺激を引加する。これは、所望の顔面筋を活性化するように、被験者の顔面の損傷側の耳辺領域中に電極を配置し、適切な神経枝を刺激することによって達成される。活性化した表情筋の合計活動電位は、EMGおよび/または加速センサ等の医療機器を用いて記録され得る。次に、このインパルスを使用して、顔面の損傷側の所望の表情筋を活性化するように、どの神経枝を続いて刺激するかを決定し得る。これは、健側と対応する損傷側の両方の顔面筋を同調して動かす可能性がある。例示的な実施形態の詳細を以下に論じる。
【0017】
詳細な説明は、ここで開示される主題の複数の実施形態を列挙し、多くの場合、これらの実施形態の変型および置換を列挙する。本説明は、多数の様々な実施形態に関する単なる典型例である。所定の実施形態の1つ以上の代表的な特徴に関する記述も同様に典型例である。そのような実施形態は、通常、言及される1つまたは複数の特徴の有無にかかわらず存在し得、同様に、それらの特徴は、本明細書で列挙されるか否かにかかわらず、ここで開示される主題の他の実施形態に適用され得る。過剰な反復を避けるため、本説明は、そのような特徴のあらゆる可能な組み合わせを列挙または示唆しない。
【0018】
特に定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術的および科学的用語は、ここで開示される主題が属する技術分野において、通常の技術を有する者に一般的に理解されるものと同一の意味を有する。本明細書で説明されるものに類似するか、または相当する任意の方法、機器、および材料は、ここで開示される主題の実施または試験に使用することができるが、ここでは代表的な方法、機器、および材料を説明する。
【0019】
長年の特許法条約に従って、「a」、「an」、および「the」という用語は、請求項を含む本出願において使用される場合、「1つ以上」を意味する。したがって、例えば、「1つの筋肉(a muscle)」(例えば、「1つのPCA筋(a PCA muscle)」に関する言及は、複数のそのような筋肉(例えば、複数のPCA筋)等を含む。
【0020】
特に明記されない限り、明細書および請求項で使用される材料、反応条件、電気測定等の量を表すすべての数字は、すべての例において、「約」という語によって修飾されるものとして理解されたい。したがって、反対の記載がない限り、本明細書および添付の請求項に記載される数値パラメータは、ここで開示される主題によって得られることが求められる所望の特性に応じて異なり得る近似値である。
【0021】
本明細書で使用されるように、「約」という語は、値、または質量を言及する場合、重量、時間、数量、容量、電流、濃度、またはパーセンテージは、一部の実施形態において、特定の値から+/−20%、一部の実施形態において+/−10%、一部の実施形態において+/−5%、一部の実施形態において+/−1%、一部の実施形態において+/−0.5%、一部の実施形態において+/−0.1%の変化を包含することを意味し、そのような変化は適切である。
【0022】
「被験者」および「患者」という語は、本明細書において同義的に使用され、それぞれの語は、好ましくは、脊椎動物被験者または患者を意味する。代表的な脊椎動物は、温血であり、代表的な温血動物は、哺乳類である。代表的な哺乳類はヒトである。本明細書で使用される、「被験者」および「患者」という語は、ヒトおよび動物被験者の両方を含む。したがって、動物用治療用途は、ここで開示される主題に従って提供される。そのようにして、ここで開示される主題は、ヒト等の哺乳類、ならびにシベリアトラ等の絶滅危惧種であることにより重要な哺乳類、ヒトが消費するために農場で飼育される動物等の経済的に重要な哺乳類、および/またはペットとして飼育される動物または動物園で飼育される動物等のヒトにとって社会的に重要な動物の治療を提供する。そのような動物の例には、ネコおよびイヌ等の肉食動物、ブタ、イボイノシシおよびイノシシを含むイノシシ科動物、反すう動物および/またはウシ、雄牛、ヒツジ、キリン、シカ、ヤギ、バイソン、およびラクダ等の有蹄動物、およびウマが挙げられるが、これらに限定されない。鳥類の治療、絶滅危惧種および/または動物園で飼育されている鳥類、ならびに、鶏および具体的には家禽、例えば、七面鳥、鶏、アヒル、ガチョウ、ホロホロチョウ等の家禽も、ヒトにとって経済的に重要であるため、それらの種の鳥類の治療も提供される。したがって、家畜ブタ、反すう動物、有蹄動物、およびウマ(競走馬およびショー用馬を含む)、家禽等を含むが、これらに限定されない家畜の治療も提供される。
【0023】
対側部位を電気的に刺激することによって、イヌの麻痺した喉頭筋を刺激することに初めて成功したZealearおよびDedo(1977)の研究に基づいて、RothsteinおよびBerlingerは、1986年、対側健常部位を通じた麻痺顔面の電気蘇生の概念を発展させた。彼らは、ウサギの顔面筋を埋め込まれたスチール電極で刺激し、2週間の除神経後に顔面運動を引き起こすことに成功した第一人者である。彼らのグループは、さらなる調査を行わなかった。2週間の除神経期間後、8チャネルの電極を使用し、良好な閉眼でイヌの眼輪筋を刺激する。これは、1チャネルの電極では不可能であった。ウサギにおいて、新たに除神経された眼輪筋の電気刺激の30日後に、2つの1チャネルの電極を用いて(心臓ペースメーカから)、上瞼および下瞼において、閉眼を再構築することができた。Broniatowskiの研究グループは、異なるアプローチである神経再生を使用した。ウサギの片側除神経された舌骨下筋(本来は舌下神経によって神経支配される)を、除神経された筋肉に縫合された対側部位の神経筋肉移植によって再神経支配した。20週間後、圧縮電極を健常な顔面筋に挿入した。
【0024】
顔面運動は、電極の圧縮をもたらし、したがって、刺激をもたらした。信号は外部に増幅され、刺激電極は刺激した。刺激電極は、カフ電極として、神経筋移植の断端神経の周囲に配置した。ウサギの顔面運動は、最初から除神経された頸筋肉の収縮をもたらした。第2のステップにおいて、同一の手技は、主に、健常側の同一筋肉の信号を使用して、ウサギの除神経された眼輪筋の電気刺激を可能にした。公開文献は、記録および刺激パラメータについて詳述していない。また実験の期間も依然として不明である。剖検は、同一の神経筋移植を、ヒトの顔面における神経再生に使用できることを示した。実験は、イヌにおいて最後にもう一度繰り返した。初めて、平行記録および関連刺激を2つの筋肉、眼輪筋および口輪筋から同時に行った。追加の連続刺激も初めて使用して、筋緊張を複製した。制限因子、すなわち、健常側の筋肉運動は、動物の正常な自発的活動に起因しないが、麻酔下の動物の健常側の露出した顔面神経の直接電気刺激に起因したことを述べるべきである。長期実験は行われなかった。
【0025】
除神経された顔面筋の萎縮を回避するために、神経が神経移植片で再建された3人の患者を、埋め込まれたパルス発生器(Medtronic Implantable Pulse Generator(R)、IPG)で一時的に刺激し、鎖骨上パウチに埋め込んだ。刺激電極は、眼窩周囲、経鼻的、および口囲に、筋肉内に埋め込まれた。合併症は発生しなかった。1つの移植片は、体内に304日間放置した。他の2つの移植片に関する情報はなく、刺激パラメータも提供されていない。機能的結果は記述されていない。研究グループは、それ以上の論文を出版していない。
ENT医療の別の領域、すなわち、喉頭学において、声帯不全麻痺の場合の電気刺激に関する研究は、顔面神経麻痺の場合における適用に関する研究よりもはるかに進んでいる。その一方で、上で引用される多くの研究グループは、この主題のみを研究している。Zealearを中心とする研究グループは、1996年に、既にヒトの声帯筋を一時的に電気刺激することに成功している。結果として、完全に埋め込み可能なシステム(Medtronic ITREL II System(R)、慢性痛状態における脊椎の刺激に対して承認)は、7人の患者において試験した。半咽頭の機能的に十分な開口は、4人の患者において達成することができた。刺激は、センサによる誘起なしに固定リズムで発生した。部分的に、筋肉のみならず、付近の神経および筋肉も刺激された。これは、望ましくない筋肉の共同運動をもたらした。電極は、陽極において劣化した。これは、2人の患者において機能不全をもたらした。2チャネルシステムのみを使用することができた。これは、電極障害の場合、または機能適合中に制限をもたらした。過剰に高い刺激の増幅(8.5mAより大)が疼痛を引き起こした。
【0026】
Werner Lindenthalerは、咽頭ペースメーカのさらなる開発について研究した。例えば、参照することによりその全体が本明細書に組み込まれる、米国特許第7,069,082号を参照されたい。可撓性の高い多電極および侵襲性が最も低い適用技術を使用して、周囲筋肉の外科手術による外傷を大幅に減少させた。例えば、米国特許出願公開第2008/0091247号、第2008/0071230号、第2008/0071245号、第2008/0071244号、第2008/0071231号を参照されたい。自動麻痺性の再神経支配された喉頭筋および多チャネル電極に焦点を当てることで、極めて低い電流強度による所望の声門運動の刺激、および内部スキャンシステムを用いた声門の誘導運動の測定を可能にした。長期麻痺の後であっても、声門刺激を妨げ得る、関節の強直は発生しなかった。Zealearらによって考慮されていなかった声門刺激と呼吸、嚥下、および発声の同期は、咽頭ペースメーカの概念に組み込まれ、EMG信号分析が行われた。
【0027】
ENT医療における電気刺激の領域で最も広範な実験は、蝸牛移植に関して存在する。世界で60,000人を超える患者が、蝸牛移植を受けた。蝸牛移植は、最も高度に開発された電気刺激移植である。それらは、12〜24のチャネル(心臓ペースメーカは1、疼痛ペースメーカは4〜8)で、チャネルあたり最大20,000パルス/秒(心臓ペースメーカは1、疼痛ペースメーカは最大190)、最大50,000Hzの刺激を与える。それらは、入力信号を、様々な増幅範囲および最大20,000Hzの周波数で処理する(現在は、EMG信号記録を用いる心臓ペースメーカおよび外部ヒールスイッチを用いる下垂足移植のみが、承認された市販のセンサ付きシステムである)。その一方で、蝸牛移植は、中耳の誘発電位を測定することもできる。電極は、心臓ペースメーカ電極、疼痛、パーキンソン、振戦等のペースメーカ電極よりも薄く、可撓性が高いが、それらは、極めて多くの記録および刺激接点を有する。高い刺激率に起因して、心臓ペースメーカのバッテリは、約17日間しか続かないため、蝸牛移植は、依然として、誘導結合されたシステムであり、すなわち、エネルギーおよび信号は、高周波により、皮膚を通じて埋め込まれた刺激装置に伝送される。
【0028】
身体の他の部分の機能的電気刺激は、過去40年に渡って、著しく進展した。麻痺した手を制御し、腸および膀胱機能を制御するか、または横隔膜を動作させることによって呼吸を制御するFDA承認の神経プロテーゼは、米国において入手可能である。刺激システムは、罹患した体表面上に配置されるか(例えば、Handmaster(R),Ness Ltd,IsraelまたはBioNess Inc,Spain)、または埋め込まれるかのいずれかである(例えば、FESMate(R),NEC,JapanまたはFreehand(R),CWRU,USA、膀胱用:Finetech−Brindley Bladder System,United Kingdom、または横隔膜:Avery Mark IV,Avery,USAおよびMedlmplant,Austria)。第1世代の装置は、外部トリガを介して排他的に動作したが、新しい装置は、センサを使用して、筋肉または関節の位置、あるいは付近の正常な筋肉のEMG信号を検出し、インパルスの制御を向上させる。これらの進展は、電極の向上(故障リスクの低減、多チャネルシステム)および刺激装置の向上(小型化、移植可能性)をもたらした。
【0029】
筋肉内電極および移植可能な筋表面電極(筋外膜電極)に加えて、カフ電極等の神経外電極、神経鞘および維管束間電極も開発された。これらの電極は、被包された神経の選択的刺激を高めるという利点を有するが、侵襲性の高い移植という代償を払うことになる。
【0030】
近年では、遠隔制御によって除神経された筋肉を活性化することが可能であることが示された。例えば、ラットにおいて、除神経された腓腹筋は、遠隔高周波システムを使用して、第2の健常な動物の同一筋肉から、EMGトリガを介して、良好に収縮した。
【0031】
図1Aおよび1Bは、それぞれ顔面神経支配の正常な体性機能の局在機構、および顔面神経の病変後の機構を示す。図1Aに示されるように、通常、たった1つの軸索10は、筋線維12上の1つの終板に突出する。顔面の異なる筋肉群14のそれぞれは、核の副核の運動ニューロンプールによって活性化される。図1Bに示されるように、顔面神経の切離および最適な再建にもかかわらず、再生している軸索10は、病変部位において、側副発芽し得る。軸索10は、任意の筋線維12に対して単なる偶然に発芽する。体部位順序は失われる。臨床結果は、共同運動である。
【0032】
図2Aおよび2Bは、それぞれ、筋線維12上の正常な終板領域および末端発芽に起因して、複数の軸索10によって活性化される終板領域の図を示す。図2Aに示されるように、通常、たった1つの軸索10は、筋線維12上の1つの終板に突出する。しかしながら、切離および外科手術的再建後、側副発芽に加えて、末端発芽が発生し得る(例えば、図2Bに示される)。この場合において、個別の終板は、複数の軸索10によって活性化され得る。したがって、これらの問題のある被験者において、被験者の顔面の損傷側の神経枝を刺激することは、対応する顔面筋を活性化せず、まったく異なる予想外の顔面筋または筋肉を活性化し得るため、所望の顔面筋を活性化することは、相当の困難を伴い得る。
【0033】
本発明の様々な実施形態は、共同運動的な再神経支配された筋肉を伴う被験者において、適切な顔面神経を刺激することによって、所望の顔面筋を活性化するシステムおよび方法を提供する。図3は、顔面神経を刺激するプロセスを示し、図4は、本発明の実施形態に従って、顔面神経を刺激するためのシステムを示す。プロセスは、ステップ100から始まり、電極16は、図5に示されるように、被験者の顔面の耳辺領域において提供される。電極16は、複数の接点18を有し、行および列で構成され得るか(例えば、図5〜7に示されるようなアレイ電極20)、または1つ以上の行(例えば、図9〜11に示されるような1つ以上の棒電極22)で構成され得る。接点18は、神経枝24を刺激するか、または神経枝24からの神経インパルスまたは電位を記録するように使用され得る。電極16は、電極16の刺激および/または記録を制御するために、接点18の周囲に絶縁電極パッド26および電極16をプロセッサ30に電気的に接続している電極リード28を有し得る。プロセッサ30は、刺激および/または記録信号情報に対する信号処理能力も提供し得る。
【0034】
電極16は、顔面神経の遠位部分の枝24を刺激する動作可能距離内の耳辺領域に埋め込まれる。電極16をこの領域に配置する利点は、顔面神経が、既に別々の神経枝24に分裂しているため、顔面の異なる領域(例えば、図5〜7および9〜11において、a、b、c、およびdと示される)および機能を別々に神経支配できるようになることである。例えば、顔面神経の2つの機能は、眼輪筋(MOC)を通じて、瞼を閉じることと、口輪筋(MOR)を通じて、唇を窄めることとを含む。他の顔面筋、例えば、眼輪筋、口輪筋、後頭前頭筋、鼻根筋、鼻筋、鼻中隔下制筋、皺眉筋、眉毛下制筋、耳介筋(前方、上方、後方)、口角下制筋、笑筋、大頬骨筋、小頬骨筋、上唇挙筋、上唇鼻翼挙筋、下唇下制筋、口角挙筋、頬筋、および/または頤筋も神経支配され得る。電極16は、神経と皮膚との間の顔面神経の上、または顔面神経の下に埋め込まれ得る。様々な接点18は、刺激または記録を連続的または同時に、以下に詳述されるような所定の方法で提供し得る(あるいは刺激または記録を提供しない)。
【0035】
ステップ110において、電極16における接点18のそれぞれは、どの神経枝24がどの顔面筋を活性化するかを決定するために、別々に刺激される。様々な顔面筋の運動は、皮膚上に配置されるか、または皮膚の下に埋め込まれるセンサ32によって測定され得る。センサ32は、電気筋運動記録(EMG)センサ、加速センサ、または当業者によく知られているような筋肉運動を効果的に測定し得る、他のセンサであり得る。センサ32は、プロセッサ30と通信して、接点刺激情報を、測定された筋肉運動情報と関連付けて、最終的にどの接点18がどの顔面筋肉を活性化するかを決定できるようにする。接点18は、連続様式(例えば、第1行、第1列における第1の接点、次に第1行、第2列における第2の接点等)、または任意の順序あるいはパターンで刺激され得、一度に1つの接点18が刺激される限り、所望の情報を提供する。図6は、刺激されている1つの接点を示すが(例えば、星パターンは、刺激された接点18aを示す)、残りの接点は、刺激されない(例えば、単純な丸は、刺激されていない接点18bを示す)。
【0036】
この初期評価は、共同運動的な再神経支配された筋肉を伴う被験者において特に重要である。例えば、顔面神経支配の正常な体性機能の局在機構を有する被験者において、眼の神経枝は、眼の顔面筋を活性化し、口の神経枝は、口の顔面筋を活性化する。しかしながら、共同運動的な再神経支配された筋肉を伴う被験者において、眼の神経枝は、他の顔面筋を活性化し得る(例えば、口の顔面筋または口および眼の顔面筋)。したがって、電極16の各接点18を別々に刺激して試験することにより、特定の顔面筋、例えば、眼を閉じることに関与する筋線維を活性化する神経枝を刺激する、1つ以上の接点18が(ステップ120において)識別される。他の神経枝の共活性化が許容できないレベルで起こった場合、次に、1つ以上の接点18を使用して、他の神経枝を遮断してもよい。例えば、1つの接点が神経枝a+bを刺激する場合、別の接点は、枝bを刺激し、枝a+bの近位刺激と組み合わされる枝bの遠位遮断刺激は、枝aのみを選択的に刺激し得る。神経遮断は、神経衝突遮断、陽極遮断、高周波遮断等の多数の方法で達成され得る。
【0037】
ステップ130において、識別した接点18は、所望の顔面筋を活性化するために、適切な神経枝を刺激するように選択される。プロセッサ30は、測定された筋肉運動情報に基づいて、どの神経枝が適切な枝であるかを決定し得る。プロセッサは、次に、識別した接点18を選択および刺激し得る。図7に示されるように、1つ以上の接点18aは、1つの顔面筋を活性化するように、同時に刺激され得る。2つ以上の接点18aのセットを一緒に刺激して、複数の顔面筋を活性化してもよい。例えば、1つ以上の接点を識別して、第1の顔面筋を活性化し、1つ以上の接点を識別して、第2の顔面筋を活性化した後、第1および第2の接点のセットを同時に選択して、両方の顔面筋を活性化してもよい。2つの接点のセットは、被験者の初期評価に応じて、一部の接点を共通して有し得、完全に異なる接点であり得るか、または同一の接点であってもよい。
【0038】
所定の状況、例えば、顔面麻痺のある被験者において、プロセッサ30は、固定刺激プロトコルを用いて、さらなるセンサ入力、例えば、顔面の健常側からのトリガ信号なしに、識別した接点18を連続的に刺激し得る。安静状態にある顔面の非対称性は、通常、他の人々の関心を惹きつける最も顕著な兆候であるため、この連続刺激は、神経機能が、片側麻痺した顔面の残存する正常状態を維持または回復を可能にする。
【0039】
被験者の顔面の損傷側からの初期評価は、顔面の健常側からの顔面運動情報と併せて使用され得る。初期評価は、健常側で感知された運動が、損傷側の適切な筋肉を誘起することを保証する。例えば、図8Aおよび8Bは、2つの片側麻痺した顔面の図を示し、いずれも右側が損傷し、左側が健常である。図8Aにおいて、MOCを通じて瞼を閉じるシステムが示され、図8Bにおいて、MOCを通じて瞼を閉じ、MORを通じて唇を窄めるシステムが示される。初期評価が決定された後、顔面の健常側の顔面運動は、1つ以上のセンサ34を使用して測定または記録され得る。図8Aに示されるように、顔面運動情報は、任意で、プロセッサ30と通信し得る刺激装置36において、信号の増幅および/または変調を経てもよい。プロセッサ30は、どの筋肉を顔面の健常側で動かすかを記録または決定し、適切な神経枝を刺激するために顔面の損傷側でどの接点18を選択するかを決定し、次にそれらの接点18を選択し得る。
【0040】
例えば、初期評価は、眼の神経枝が、正常に対応する眼の顔面筋ではなく、口の顔面筋を実際に活性化し得ること、および口の神経枝が、眼の顔面筋を活性化し得ることを決定し得る。眼の顔面筋が顔面の健常側に移動したことをセンサ34が測定すると、プロセッサ30は、損傷側の口の神経枝を刺激する接点18を選択し、順に、眼の顔面筋を活性化する。以前に、先行技術において、健常側の運動は、通常、損傷側の同一の対応する筋肉を誘起するに過ぎず、この例では、顔面の損傷側の所望の眼筋ではなく、口筋を移動させた。初期評価を決定した後、電極接点18のうちの1つ以上を使用して、顔面の損傷側の顔面運動を代替として測定または記録してもよい。顔面運動情報は、任意で、プロセッサ30と通信し得る刺激装置36において、信号の増幅および/または変調を経てもよい。プロセッサ30は、顔面の適切な誤神経枝信号を記録することによって、損傷側のどの筋肉を動かすべきかを記録または決定し、適切な誤神経枝を刺激するために、顔面の損傷側でどの接点18を選択するかを決定し、次に、それらの接点18を選択してもよい。これは、図6における接点18aが、神経枝cによって神経支配された筋肉の活性化のための情報を健常側で伝達する、誤神経線維からの情報を測定または記録していることを意味する。顔面運動情報は、任意で、プロセッサ30と通信し得る刺激装置36において、信号の増幅および/または変調を経てもよい。プロセッサ30は、損傷側でどの筋肉を動かすべきかを決定し、適切な誤神経枝を刺激するために、顔面の損傷側でどの接点18を選択するかを決定し、次に、図7におけるそれらの接点18aを選択してもよい。
【0041】
図8Bに示されるように、顔面の健常側からの顔面運動情報は、追加のセンサ34を使用して、複数の筋肉系に提供され得る。図8Bにおいて、2つの別々の刺激装置36(S1、S2)を任意で使用して、センサ34により測定される信号を増幅および/または変調し得る。図8Aおよび8Bは、それぞれ1つおよび2つの筋肉系を示すが、2つより多くの筋肉系または示されるもの以外の他の筋肉系を使用してもよい。同様に、1つまたは2つの刺激装置が示されるが、刺激装置を使用しないか、または2つより多くの刺激装置を使用してもよく、あるいは、1つの刺激装置を2つ以上の筋肉系に使用してもよい。
【0042】
アレイ電極20は、図5〜7において図示および説明されたが、電極16の他の様々な形状を使用してもよい。例えば、図9〜11は、本発明の他の実施形態に従って、耳辺領域に埋め込まれた棒電極を示す。図示されるように、行に接点18を有する2つの棒電極22が被験者に埋め込まれ得るが、1つの棒電極または2つより多くの棒電極を使用してもよい。2つの棒電極が平行方向に示されるが、良好な刺激の結果をもたらす、2つ以上の棒電極に対する他の構成を使用してもよい。
【0043】
プロセッサ30の一部の実施形態は、ハードウェア、ソフトウェア(例えば、コンピュータプログラム製品)、またはソフトウェアとハードウェア両方の組み合わせとして埋め込まれてもよい。例えば、実施形態は、コンピュータシステムとともに使用するためのコンピュータプログラム製品として埋め込まれてもよい。そのような埋め込みは、有形的表現媒体、例えば、コンピュータ可読媒体(例えば、ディスク、CD−ROM、ROM、または固定ディスク)上に固定されるか、またはモデムまたは他のインターフェイス装置、例えば、媒体上のネットワークに接続される通信アダプタを介して、コンピュータシステムに伝送可能であるかのいずれかである、一連のコンピュータ命令を含み得る。媒体は、有形的表現媒体(例えば、光学またはアナログ通信線)または無線技術(例えば、電磁波、赤外線または他の伝送技術)により埋め込まれた媒体であり得る。一連のコンピュータ命令は、プロセッサに関して、本明細書で前述した機能のすべてまたは一部を具体化し得る。当業者は、そのようなコンピュータ命令が、多くのコンピュータアーキテクチャまたはオペレーティングシステムとともに使用するために、多数のプログラミング言語で書き込まれ得ることを理解するであろう。さらに、そのような命令は、半導体、磁気、光学、または他の記憶装置等の任意の記憶装置に保存され得、光学、赤外線、電磁波、または他の伝送技術等の任意の通信技術を使用して伝送され得る。そのようなコンピュータプログラム製品は、添付の印刷または電子文書(例えば、市販ソフトウェア)とともに取り外し可能な媒体として流通され得るか、コンピュータシステムとともに(例えば、システムROMまたは固定ディスク上に)プリインストールされ得るか、またはネットワーク上のサーバまたは電子掲示板(例えば、インターネットまたはワールドワイドウェブ)から流通され得ることが期待される。
【0044】
上記は、本発明の様々な典型的実施形態を開示するが、当然のことながら、当業者であれば、様々な修正を行うことができ、本発明の真の範囲から逸脱することなく、本発明の利点の一部を達成することは明らかである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
共同運動的な再神経支配された筋肉を伴う被検者において、顔面神経を刺激する方法であって、
前記被検者の顔面の耳辺領域に電極を提供するステップであって、前記電極は、複数の接点を有する、ステップと、
前記複数の接点のそれぞれを別々に刺激するステップと、
1つ以上の神経枝に所望の顔面筋を活性化させる前記複数の接点から、1つ以上の接点を識別するステップと、
前記1つ以上の神経枝を刺激するように、前記識別した接点を選択するステップと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記電極は、アレイ電極である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記電極は、棒電極である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記顔面筋は、眼輪筋、口輪筋、後頭前頭筋、鼻根筋、鼻筋、鼻中隔下制筋、皺眉筋、眉毛下制筋、耳介筋、口角下制筋、笑筋、大頬骨筋、小頬骨筋、上唇挙筋、上唇鼻翼挙筋、下唇下制筋、口角挙筋、頬筋、および頤筋のうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記電極を提供するステップは、前記1つ以上の神経枝の動作可能距離内に前記電極を埋め込むステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
他の顔面筋の活性化を阻害するために、神経枝を刺激するように1つ以上の接点を選択するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記1つ以上の神経枝の刺激は、感知信号に基づいて誘起される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記感知信号は、前記被検者の顔面の損傷側の前記耳辺領域中の記録電極から記録され、前記記録電極は、複数の接点を有する、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記感知信号は、前記被検者の顔面の正常側の前記耳辺領域中の記録電極から記録され、前記記録電極は、複数の接点を有する、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記感知信号は、前記被検者の皮膚の上または下に配置されたセンサから記録される、請求項7に記載の方法。
【請求項11】
1つ以上の接点を識別するステップは、第1の顔面筋の活性化を引き起こす1つ以上の第1の接点と、第2の顔面筋の活性化を引き起こす1つ以上の第2の接点とを含み、
前記識別した接点を選択するステップは、前記識別した第1および第2の接点を選択するステップを含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項12】
被検者において顔面神経を刺激するためのシステムであって、
前記被検者の顔面の耳辺領域に配置するための複数の接点を有する電極と、
前記電極と通信しているプロセッサであって、前記複数の接点のそれぞれを別々に刺激するため、1つ以上の神経枝に所望の顔面筋を活性化させる前記複数の接点から、1つ以上の接点を識別するため、および前記1つ以上の神経枝を刺激するように前記識別した接点を選択するためのプログラムコードを有する、プロセッサと、
を備える、システム。
【請求項13】
前記電極は、アレイ電極である、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記電極は、棒電極である、請求項12に記載のシステム。
【請求項15】
前記プロセッサと通信している1つ以上のセンサをさらに備え、前記センサは、1つ以上の接点を識別するための前記プログラムコードとともに使用するための顔面運動情報を前記プロセッサに提供するように構成される、請求項12に記載のシステム。
【請求項16】
前記センサは、EMGセンサおよび/または加速度センサであってもよい、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記識別した接点を選択するための前記プログラムコードは、片側麻痺した顔面の損傷側を維持または回復させるように、前記1つ以上の神経枝を連続的に刺激する、請求項12に記載のシステム。
【請求項18】
顔面麻痺がある被検者において、顔面神経を刺激する方法であって、
前記被検者の顔面の耳辺領域に電極を提供するステップであって、前記電極は、複数の接点を有する、ステップと、
前記複数の接点を別々に刺激するステップと、
1つ以上の神経枝に所望の顔面筋を活性化させる前記複数の接点から、1つ以上の接点を識別するステップと、
前記1つ以上の神経枝を連続的に刺激するように、前記識別した接点を選択するステップと、
を含む、方法。
【請求項19】
前記電極は、アレイ電極である、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記電極は、棒電極である、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
前記電極を提供するステップは、前記1つ以上の神経枝の動作可能距離内に前記電極を埋め込むステップを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項22】
前記1つ以上の神経枝の刺激は、感知信号に基づいて誘起される、請求項18に記載の方法。
【請求項23】
前記感知信号は、前記被検者の皮膚の上または下に配置されたセンサから記録される、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
1つ以上の接点を識別するステップは、第1の顔面筋の活性化を引き起こす1つ以上の第1の接点と、第2の顔面筋の活性化をもたらす1つ以上の第2の接点とを含み、
前記識別した接点を選択するステップは、前記識別した第1および第2の接点を選択するステップを含む、請求項18に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公表番号】特表2012−506262(P2012−506262A)
【公表日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−532345(P2011−532345)
【出願日】平成21年10月21日(2009.10.21)
【国際出願番号】PCT/US2009/061441
【国際公開番号】WO2010/048261
【国際公開日】平成22年4月29日(2010.4.29)
【出願人】(507417101)メド−エル エレクトロメディジニシェ ゲラテ ゲーエムベーハー (26)
【Fターム(参考)】