説明

顕微鏡標本用プレート

【課題】空気を巻き込み難く、液体試料が漏出しにくく、取り扱い易く、周囲を汚染しない顕微鏡標本用プレートを提供する。
【解決手段】ガラス板2の表面に、内側凹状溝3a及び外側凹状溝3bにより囲まれた液体塗沫部4を設けたことを特徴とする。液体塗沫部4の尿沈渣等の液体試料が塗沫されるが、液体試料は内側凹状溝3aで堰止められ、内側凹状溝3aで堰止められない液体試料は外側凹状溝3bで堰止められ、周囲への漏出、汚染が防止される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は顕微鏡標本用プレートに関し、更に詳しくは、液体試料が洩出し難く、且つ空気を巻き込み難い、臨床検査で用いられる顕微鏡標本用プレートに関する。
【背景技術】
【0002】
尿検査は個々の健康状態を把握する上で基本的且つ重要な臨床検査の指標の一つであり、健康診断や病気の際には必ずと云ってよい程尿検査が行われている。このように尿検査は体調を示す重要な指標の一つである。
尿の検査には、尿のpH、蛋白、潜血反応等を検査する尿定性検査と、尿中の有形成分を検査する尿沈渣検査等がある。
尿沈渣の成分は、主に泌尿器系に由来する各種円柱、結晶体、赤血球、白血球、上皮細胞、その他細菌等である。
【0003】
尿沈渣用標本は、採取した尿を遠心し、上清を取り除き、残った沈渣成分を染色しその染色沈渣成分をスライドグラス上に適量滴下した後、カバーグラスをかけることにより作成され、顕微鏡で観察される。
【0004】
このような標本に関して、スライドグラス上にスクリン印刷により所定の厚さの囲み枠で囲われた滞留面を形成し、この滞留面に予め尿沈渣染色液を塗布したプレパラート作製用プレートが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平7−113731
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記プレパラート作製用プレートは囲み枠をスクリン印刷して滞留面を形成しているため、滞留面はスライドグラス上に囲み枠により微小高さを有する空間部として形成される。従って、このようにして形成された滞留面は空間部に空気を巻き込み易く、また、滞留面に上下2方向が開放されているため、尿沈渣がこの開放部から漏出し、周囲を汚染するという問題がある。
【0006】
一方、開放部がなく全周が囲み枠で囲まれた滞留面を形成したものも実用化されているが、この場合、上記のような開放部からの漏出は無い代わりに、微小高さの囲み枠を乗り越えて洩れ出し、隣接する滞留面に混入してコンタミネーションを引き起こし、検査の精度を低下させるという問題をはらんでいる。
【0007】
本発明はかかる実情に鑑み、上記従来技術の問題点を解消し、空気を巻き込み難いばかりでなく、液体試料が漏出し難く、衛生的で作業性に優れた顕微鏡標本用プレートを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するための本発明の請求項1は、ガラス板の表面に、凹状溝により囲まれた液体試料塗沫部を設けたことを特徴とする顕微鏡標本用プレートを内容とする。
【0009】
本発明の請求項2は、凹状溝が2重の凹状溝からなる請求項1記載の顕微鏡標本用プレートを内容とする。
【0010】
本発明の請求項3は、内側の凹状溝が幅0.3〜1.0mm、深さ0.3〜1.0mm、外側の凹状溝が幅0.5〜1.5mm、深さ0.5〜1.5mmからなる請求項2記載の顕微鏡標本用プレートを内容とする。
【0011】
本発明の請求項4は、液体試料塗沫部をガラス板の表面よりも僅かに低い位置に設けた請求項1〜3のいずれか1項に記載の顕微鏡標本用プレートを内容とする。
【0012】
本発明の請求項5は、液体試料塗沫部をガラス板の表面よりも0.1〜0.3mm低い位置に設けた請求項1〜4のいずれか1項に記載の顕微鏡標本用プレートを内容とする。
【0013】
本発明の請求項6は、液体試料塗沫部の外周の一部又は全部に堰止部を設けた請求項1〜5のいずれか1項に記載の顕微鏡標本用プレートを内容とする。
【0014】
本発明の請求項7は、液体試料塗沫部の近傍に記録部を設けた請求項1〜6のいずれか1項に記載の顕微鏡標本用プレートを内容とする。
【0015】
本発明の請求項8は、臨床検査用である請求項1〜7のいずれか1項に記載の顕微鏡標本用プレートを内容とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明の顕微鏡標本用プレートは、ガラス板の表面に凹状溝により囲まれた液体試料塗沫部を設けたことにより、空気を巻き込み難く、また余分の液体試料が凹状溝に溜まり堰止められ、衛生的で作業性が良好である。
【0017】
凹状溝を2重の凹状溝とすることにより、万一、内側の凹状溝で堰止められなかった液体試料を外側の凹状溝で堰止めることができるので、周囲を汚染することが一層効果的に防止される。
【0018】
液体試料塗沫部をガラス板の表面よりも僅かに低い位置に、好ましくは0.1〜0.3mm程度低い位置に設けることにより、塗沫量の多い場合に対応が容易となる。
【0019】
また、液体試料塗沫部の外周の一部又は全部に堰止部を設けることにより、万一、最外の凹状溝より溢出した液体試料も堰止部で堰止められ、プレート外に漏出することが防止される。
【0020】
また、液体試料塗沫部の近傍に記録部を設けることにより、液体試料提供者の氏名、番号、記号等が記載でき、検査の作業性及び信頼性を高めることができる。
【0021】
また本発明の顕微鏡標本用プレートは臨床検査用、特に尿沈渣観察用として有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明の顕微鏡標本用プレートは、ガラス板の表面に、凹状溝により囲まれた液体試料塗沫部を設けたことを特徴とする。
【0023】
液体試料塗沫部は矩形、円形、楕円形、多角形等のいずれでもよく、そのサイズも特に制限されないが、通常、矩形の場合は一辺が、また円形の場合は直径が、8〜15mm程度のものが好ましい。これよりも小さい場合は液体試料の塗沫が困難であり、一方、これよりも大きくても意味がなく、却って、取り扱い性が悪くなるとともに、材料費が大きくなり不経済である。
【0024】
凹状溝は液体試料塗沫部を画成するとともに、液体試料が塗沫部から洩れ出さないように堰止めるもので、少なくとも1個設けられる。上限は特に制限されないが、実用性の面からは3個(3重)程度が好ましく、より好ましくは2個(2重)である。
【0025】
凹状溝は幅0.3〜1.5mm程度、深さ0.5〜1.5mm程度のものが好ましい。液体試料の漏出を、より確実に防止するには、内側の凹状溝と外側の凹状溝とからなる2重又は内側の凹状溝と中間の凹状溝と外側の凹状溝とからなる3重の構造とするのが好ましい。例えば、2重の凹状溝の場合は、内側の凹状溝は幅0.3〜1.0mm、深さ0.3〜1.0mm、外側の凹状溝は幅0.5〜1.5mm、深さ0.5〜1.5mm程度が好ましい。また内側の凹状溝より洩れ出た液体試料を外側の凹状溝で堰止めるために、内側の凹状溝よりも外側の凹状溝を大きく又は深く設計することが好ましい。3重の凹状溝を設ける場合も、内側、中間、外側と凹状溝が大きく又は深くなるように設計するのが好ましい。
【0026】
液体試料塗沫部は、塗沫量が多い液体試料に対処するためには、ガラス板の表面よりも僅かに低い位置に、好ましくは0.1〜0.3mm程度、より好ましくは0.1mm程度低い位置に設けるのが好ましい。0.3mmを越えて低い位置に設けると、空気を巻き込み易くなり、また、例えば赤血球が動きやすくなり不都合となる傾向がある。
【0027】
ガラス板は、作業性や取り扱い性の面から一辺が50〜100mm程度の矩形が好ましく、厚さは1〜3mm程度が好ましい。
ガラス板には、液体試料塗沫部が少なくとも1個設けられるが、作業性や効率面から複数個設けるのが好ましく、5個以上設けるのがより好ましい。上限は特に制限されないが、余り多くなると合成樹脂シートのサイズも大きくならざるを得ず、作業性や取り扱い性が低下するので20個程度が好ましい。
【0028】
液体試料塗沫部の外周の一部又は全部に堰止部を設けることにより、万一、液体試料が最も外側の凹状溝より溢出した場合にも、この液体試料を堰止めることができ、プレート外への漏出を防ぐことができる。このような堰止部としては、例えば、凸状筋や凹状溝を外周の一部又は全部(全周)に設けたり、また、外周全体を少し高くした隆起部とすることが挙げられる。
【0029】
液体試料塗沫部の近傍に、液体試料提供者の氏名や番号、記号等を記録するための記録部を設けることにより、作業性や依頼性を高めることができる。記録部は、例えば表面を荒らしたり、梨地状とすることにより設けられる。また、予めガラス板の液体試料塗沫部の近傍に、番号や記号を成形時に刻印したり、印刷等により設けておくことも可能である。
更に、顕微鏡標本用プレートの上下を区別できるようにガラス板の角部の丸み(アール)を変える、目印をつける、等のマーキングを施し、標本作成の作業性及び検査の信頼性を高めることも可能である。
【0030】
本発明の顕微鏡標本用プレートには、必要に応じ、合成樹脂製カバーフィルムを設けることができる。カバーフィルムは液体試料の蒸発を防ぐ、埃の混入を防ぐ等の効果があり、また、カバーグラスを兼ねさせることもできる。従って、カバーフィルムは少なくとも液体試料塗沫部を覆うに十分なサイズのものが必要である。カバーフィルムは顕微鏡標本用プレートに密着する接着性を有し、水分を透過させない水分バリヤー性及び透明性を有する合成樹脂フィルムが好ましく、このようなフィルムとしては、ポリエチレン、2軸延伸ポリプロピレン、防湿セロファン、ポリエステル、ポリアミド、エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂、塩化ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂等が挙げられる。カバーフィルムの厚みは特に制限されないが、50〜300μm程度のものが好ましい。
【0031】
カバーフィルムはカバーフィルムの両端を顕微鏡標本用プレートに接着剤、粘着剤で仮(弱)接着して着脱自在に接着してもよく、また、一端を顕微鏡標本用プレートの左右いずれか一端にヒートシールや接着剤、粘着剤によりヒンジ状に接着しカバーフィルムの他端を開閉自在としてもよい。この場合、接着剤又は粘着剤及び離型紙の順に積層し、接着又は仮接着したい場合には、該離型紙を剥し取り、露出した接着剤又は粘着剤により接着又は仮接着することもできる。
また、ガラス板の端部を一部切り欠いて、その部分はカバーフィルムのみとしてカバーフィルムを指で摘み易くしておくことにより、カバーフィルムの開閉を容易にすることができる。
【0032】
本発明の顕微鏡標本プレートは、上記フィルムに代えて、ガラスや合成樹脂からなり、ある程度の剛性を有するカバープレートを用いることもできる。カバープレートの素材であるガラスはカバーグラスとして通常用いられているガラスが挙げられ、また、合成樹脂としては、前記したカバーフィルムの素材として掲げた合成樹脂が挙げられる。
【0033】
上記の如き本発明の顕微鏡標本用プレートは、臨床検査、特に尿沈渣、唾液、血液等の液体試料の顕微鏡検査に有用であるが、なかんずく、尿沈渣の顕微鏡検査に好適である。
【実施例】
【0034】
以下、実施例を示す図面に基づいて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はかかる実施例のみに限定されるものではない。
【0035】
実施例1
図1〜図3は、本実施例を示すもので、図1は顕微鏡標本用プレートの上面図、図2はA−A断面図、図3は凹状溝により囲まれた液体試料塗沫部の拡大図である。
これらの図において、顕微鏡標本用プレート1はガラス板2の表面に、凹状溝3により囲まれた液体試料塗沫部4が上段及び下段にそれぞれ5個ずつ形成されている。
【0036】
ガラス板2は50mm×85mm×2mmで、凹状溝からなる内側凹状溝3aは幅0.5mm、深さ0.5mm、内側の一辺8mm、凹状溝からなる外側凹状溝3bは幅1mm、深さ1mm、内側の一辺11mmからなり、これらの内側凹状溝3a及び外側凹状溝3bにより囲まれた液体試料塗沫部(8mm×8mm)4が形成されている。
尚、ガラス板2の左上の角部2aは、他の3つの角部よりも大きなアールに設計されているが、これは顕微鏡標本用プレート1の上下を容易に区別し、標本作成の作業性及び検査の信頼性を高めるためのものである。
【0037】
上記の顕微鏡標本用プレート1を用いて顕微鏡標本を作成するには、尿を採取し、これを遠心して上清を除去し、残った沈渣を該プレート1の液体試料塗沫部4に塗沫し、染色試薬で染色した後、通常は、以下に述べるように、カバーフィルム又はカバープレートを被着して標本とし、顕微鏡検査に供される。
【0038】
実施例2
本実施例の顕微鏡標本プレート1は、図4及び図5に示すように、ガラス板2の表面にカバーフィルム5が被着されている。カバーフィルム5の一端(図では左側端部)はヒートシール6によりガラス板2に接着されている。
尚、図4において、ガラス板2の右側端部の略中央に切り欠き7が設けられているが、これはカバーフィルム5を開閉する場合に、この切り欠き7の部分はカバーフィルム5だけとなっているので、カバーフィルム5を容易に指で把持して開閉できるように配慮したものである。また、カバーフィルム5の左側端部をヒートシールとか接着剤で接着することにより、該接着部7がヒンジの役割を果たし、カバーフィルム5の開閉がし易くなる。
【0039】
実施例3
本実施例の顕微鏡標本用プレート1は、図6に示すように、内側凹状溝3a、外側凹状溝3bにより囲まれた液体試料塗沫部4の上部に梨地からなる記録部8を設けた他は実施例2の場合と同様である。
このように、記録部8を設けることにより、尿沈渣提供者の氏名や番号、記号等を記録することができるので、作業性及び信頼性が高められる。
【0040】
実施例4
本実施例の顕微鏡標本用プレート1は、図7に示すように、ガラス板2の液体試料塗沫部4の近傍(本例では、上段では上部、下段では下部)に番号10を設けるとともに、左側端部にヒートシールに代えて接着剤(粘着剤)によりカバーフィルム5をガラス板2に接着し、該接着部9をヒンジ部とした他は実施例2の場合と同様である。
【0041】
実施例5
本実施例の顕微鏡標本用プレート1は、図8に示すように、ガラス板2の液体試料塗沫部4の近傍(本例では、上段では上部、下段では下部)に番号10を設けた他は実施例2の場合と同様である。尚、本例では、実施例4の場合と異なり、番号は上段も下段も左から右に付けられている。
【0042】
実施例6
本実施例の顕微鏡標本用プレート1は、図9に示すように、ガラス板2の表面に、カバーフィルム5を左右の端部付近で粘着剤により仮(弱)接着して着脱自在に粘着させた他は実施例2の場合と同様である。図中、11a、11bは粘着部である。
この場合、粘着部11bの代わりに、実施例2のように、ヒートシール又は接着剤を用い、ヒンジ部としてもよい。
【0043】
実施例7
本実施例の顕微鏡標本用プレート1は、図10に示すように、内側凹状溝3aの深さを0.4mm、外側凹状溝3bの深さを0.7mmとし、液体試料塗沫部4をガラス板2の表面よりも0.1mm低い位置に設けた他は実施例1と同じである。本実施例の顕微鏡標本プレート1は塗沫量が多い液体試料の場合に適している。
【0044】
実施例8
本実施例の顕微鏡標本用プレート1は、図11及び図12に示すように、ガラス板2の縦、横の比率を変更し、液体試料塗沫部4を長方形とし、液体試料塗沫部4の近傍に番号10を設けるとともに、プレート1の右側に、凹状溝からなる堰止部12を設けた他は実施例1の場合と同様である。液体試料が万一外側凹状溝3bから洩れ出したとしても、プレート1を右側に傾けることにより堰止部12の凹状溝に溜まり、プレート外への漏出が防止される。
【0045】
実施例9
本実施例の顕微鏡標本用プレート1は、図13及び図14に示すように、プレート1の周縁に沿って、凹状溝からなる堰止部13aを周設した他は実施例8の場合と同様である。液体試料が万一外側凹状溝3bから洩れ出したとしても、プレート1を左右上下いずれかの方に傾けることにより堰止部13aの凹状溝に溜まり、プレート外への漏出が防止され、その効果は、堰止部12を部分的に設けた実施例8のプレートよりも大である。
【0046】
実施例10
本実施例の顕微鏡標本用プレート1は、図15及び図16に示すように、液体試料塗沫部4を5個とした他は実施例8の場合と同様である。
【0047】
実施例11
本実施例の顕微鏡標本用プレート1は、図17及び図18に示すように、液体試料塗沫部4を5個とした他は実施例9の場合と同様である。
【0048】
実施例12
本実施例の顕微鏡標本用プレート1は、図19及び図20に示すように、凹状溝からなる堰止部13aを凸状筋からなる堰止部13bとした他は実施例9の場合と同様である。液体試料が万一外側凹状溝3bから洩れ出したとしても、凸状筋からなる堰止部13bにより堰止められ、プレート外への漏出が防止される。
【0049】
実施例13
本実施例の顕微鏡標本用プレート1は、図21及び図22に示すように、凹状溝からなる堰止部13aを隆起部からなる堰止部13cとした他は実施例9の場合と同様である。液体試料が万一外側凹状溝3bから洩れ出したとしても、隆起部からなる堰止部13cにより堰止められ、プレート外への漏出が防止される。
【0050】
実施例14
本実施例の顕微鏡標本用プレート1は、図23に示すように、少なくとも液体試料塗沫部を覆うようにカバープレート14を被着した他は実施例8の場合と同様である。
【0051】
実施例15
本実施例の顕微鏡標本用プレート1は、図24に示すように、少なくとも液体試料塗沫部を覆うようにカバープレート14を被着した他は実施例9の場合と同様である。
【0052】
実施例16
本実施例の顕微鏡標本用プレート1は、図25に示すように、少なくとも液体試料塗沫部を覆うようにカバープレート14を被着した他は実施例10の場合と同様である。
【0053】
実施例17
本実施例の顕微鏡標本用プレート1は、図26に示すように、少なくとも液体試料塗沫部を覆うようにカバープレート14を被着した他は実施例11の場合と同様である。
【産業上の利用可能性】
【0054】
叙上のとおり、本発明の顕微鏡標本用プレートは、凹状溝により囲まれた液体塗沫部を設けたことにより、空気を巻き込み難く、且つ液体試料の漏出を効果的に防止することができるので、取り扱い易く、また周囲を汚染することが殆どない。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】実施例1の顕微鏡標本用プレートを示す上面図である。
【図2】図1のA−A断面図である。
【図3】内側凹状溝及び外側凹状溝により囲まれた液体試料塗沫部の拡大図である。
【図4】実施例2の顕微鏡標本用プレートを示す上面図である。
【図5】同B−B断面図である。
【図6】実施例3の顕微鏡標本用プレートを示す上面図である。
【図7】実施例4の顕微鏡標本用プレートを示す上面図である。
【図8】実施例5の顕微鏡標本用プレートを示す上面図である。
【図9】実施例6の顕微鏡標本用プレートを示す上面図である。
【図10】実施例7の顕微鏡標本用プレートを示す要部断面図である。
【図11】実施例8の顕微鏡標本用プレートを示す上面図である。
【図12】同C−C断面図である。
【図13】実施例9の顕微鏡標本用プレートを示す上面図である。
【図14】同D−D断面図である。
【図15】実施例10の顕微鏡標本用プレートを示す上面図である。
【図16】同E−E断面図である。
【図17】実施例11の顕微鏡標本用プレートを示す上面図である。
【図18】同F−F断面図である。
【図19】実施例12の顕微鏡標本用プレートを示す上面図である。
【図20】同G−G断面図である。
【図21】実施例13の顕微鏡標本用プレートを示す上面図である。
【図22】同H−H断面図である。
【図23】実施例14の顕微鏡標本用プレートを示す上面図である。
【図24】実施例15の顕微鏡標本用プレートを示す上面図である。
【図25】実施例16の顕微鏡標本用プレートを示す上面図である。
【図26】実施例17の顕微鏡標本用プレートを示す上面図である。
【符号の説明】
【0056】
1 顕微鏡標本用プレート
2 ガラス板
3a 内側凹状溝
3b 外側凹状溝
4 液体試料塗沫部
5 カバーフィルム
6 ヒートシール
7 切り欠き
8 記録部
9 接着部
10 番号
11a、11b 粘着部
12 堰止部(凹状溝)
13a 堰止部(凹状溝)
13b 堰止部(凸状筋)
13c 堰止部(隆起部)
14 カバープレート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス板の表面に、凹状溝により囲まれた液体試料塗沫部を設けたことを特徴とする顕微鏡標本用プレート。
【請求項2】
凹状溝が2重の凹状溝からなる請求項1記載の顕微鏡標本用プレート。
【請求項3】
内側の凹状溝が幅0.3〜1.0mm、深さ0.3〜1.0mm、外側の凹状溝が幅0.5〜1.5mm、深さ0.5〜1.5mmからなる請求項2記載の顕微鏡標本用プレート。
【請求項4】
液体試料塗沫部をガラス板の表面よりも僅かに低い位置に設けた請求項1〜3のいずれか1項に記載の顕微鏡標本用プレート。
【請求項5】
液体試料塗沫部をガラス板の表面よりも0.1〜0.3mm低い位置に設けた請求項1〜4のいずれか1項に記載の顕微鏡標本用プレート。
【請求項6】
液体試料塗沫部の外周の一部又は全部に堰止部を設けた請求項1〜5のいずれか1項に記載の顕微鏡標本用プレート。
【請求項7】
液体試料塗沫部の近傍に記録部を設けた請求項1〜6のいずれか1項に記載の顕微鏡標本用プレート。
【請求項8】
臨床検査用である請求項1〜7のいずれか1項に記載の顕微鏡標本用プレート。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【公開番号】特開2006−177875(P2006−177875A)
【公開日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−373395(P2004−373395)
【出願日】平成16年12月24日(2004.12.24)
【出願人】(591242450)村角工業株式会社 (38)
【Fターム(参考)】