説明

顕微鏡

【課題】
粗動 Z 軸機構の可動部に微動 Z 軸機構が設置されている顕微鏡において、光学系全体の重量が重く、弾性支点2重平行リンクにかかる負荷が大きく、200 μm 以上のストロークを得ることが不可能であった。また、慣性力が大きいため、停止した時の振動収束に時間が掛かるため、高速で動かすことができなかった。本発明の目的は、AF の高速化及び長ストローク化を実現した顕微鏡を提供する。
【解決手段】
光学系全体を上下に駆動するのではなく、光学系の一部(対物レンズ、レボルバ、レーザ AF 機構)を上下駆動し、可動部を軽量化する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検査装置に係わり、特に検査装置に使用する顕微鏡に関わる。
【背景技術】
【0002】
検査装置等に使用される光学顕微鏡の Z 軸は、2軸あり、粗動 Z 軸機構の可動部に微動 Z 軸機構が設置されている。
粗動 Z 軸機構は、主に被測定物の厚さによって上下に駆動する。
微動 Z 軸機構は、主に被測定物に焦点を合わせるために上下させる顕微鏡のオートフォーカス(以降、AF と称する)用である。
【0003】
粗動 Z 軸機構は、主に被測定物の厚さの変化によって上下に駆動する。検査装置または顕微鏡に付属するステッピングモータによってボールネジを駆動し、クロスローラガイドで案内して可動部を 10 mm 程度上下にストロークする。
【0004】
微動 Z 軸機構の可動部には、顕微鏡 AF 用の光学系全体(対物レンズ、レボルバ、レーザ AF 機構、投光管、2分岐光学系、測定用カメラ、観察用カメラ)が搭載されており、光学系全体を上下動し、AF を行っていた。微動 Z 軸機構は、検査装置または顕微鏡に付属するステッピングモータによってボールネジを駆動し、弾性支点2重平行リンク機構で案内し、可動部を上下に約 200 μm ストロークする。
【0005】
Z 軸方向は、顕微鏡の光軸方向と平行であり、検査装置では、図示しない制御用ユニットによって、Z 軸粗動機構、Z 軸微動機構を検査のプロセスに従って動作させている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2003−294419号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述の構成では、光学系全体の重量が重く、以下の問題があった。
弾性支点2重平行リンクにかかる負荷(応力)が大きく、200 μm 以上のストロークを得ることが不可能であった。
また、慣性力が大きいため、停止した時の振動収束に時間が掛かるため、高速で動かすことができなかった。
本発明の目的は、上記のような問題を除去し、AF の高速化及び長ストローク化を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するため、本発明の顕微鏡は、光学系全体を上下に駆動するのではなく、光学系の一部(対物レンズ、レボルバ、レーザ AF 機構)を上下駆動し、可動部の軽量化を図る。
他の光学系(投光管、2分岐光学系、測定用カメラ、観察用カメラ)は、微動 Z 軸機構のベースフレームに固定する。レーザ AF 機構と投光管の間は平行光のため、測定用カメラ、観察用カメラに映る視野サイズの変化はない。
レーザ AF 機構と投光管にそれぞれ大小の筒を実装し、「入れ子」をつくり外乱光の影響を受けないようにする。
また、本発明の顕微鏡は、第1のユニット群と第2のユニット群を備える顕微鏡であって、光軸方向に上下駆動し、第1のユニット群と第2の移動機構を上下駆動する第1の移動機構と、第2のユニット群を光軸方向に上下駆動する第2の移動機構とを備える。
また本発明の顕微鏡は、望ましくは、第2のユニット群は、対物レンズとレボルバとオートフォーカス機構を少なくとも含むものである。
また本発明の顕微鏡は、望ましくは、第1のユニット群と第2のユニット群の光路上の境目が入れ子となっているものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明で、可動部の重量を約 30 %にすることができ、軽量化が達成できた。
可動部の軽量化により、弾性支点2重平行リンク機構にかかる負荷が小さくなったため、可動部のストロークを 400 μm にすることができた。
AF の速度が約 20 %向上した。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の一実施例を図1によって説明する。図1は、本発明の一実施例の顕微鏡の構成を示す図である。図1(a) は側面から見た図、図1(b) は正面から見た図である。1 は粗動 Z 軸機構、2 は粗動 Z 軸機構 1 の可動部、3 は微動 Z 軸機構、4 はステッピングモータ、5 は保持板、6 は対物レンズ、7 はレボルバ、8 はレーザ AF 機構、9 は固定板、10 は投光管、11 は2分岐光学系、12 は測定用カメラ、13 は観察用カメラ、14 は入れ子、15 は光軸である。
【0010】
図1には図示していないが、検査装置として機能するためには、顕微鏡の他に、特許文献1の図1を参照するように、寸法測定演算処理装置等の検査処理装置、試料台( Z ステージ、X ステージ、Y ステージを含む)、ステージ制御部、PC 等の制御用ユニット、モニタ、ステージ等の操作部、等、必要とユニットがあることは言うまでもない。
【0011】
図1において、粗動 Z 軸機構 1 の可動部 2 に微動 Z 軸機構 3 が搭載されている。また、粗動 Z 軸機構 1 の可動部 2 には、固定板 9 が搭載されている。
微動 Z 軸機構 3 はステッピングモータ 4 で駆動し、弾性支点2重平行リンク機構によって可動部を約 400 μm 上下に可動する。弾性支点2重平行リンク機構の可動部に取り付けられた保持板 5 は、対物レンズ 6 、レボルバ 7 、レーザ AF 機構 8 を保持している。
【0012】
また、粗動 Z 軸機構 1 のベースフレームに取り付けられた、固定板 9 には、投光管 10 、2分岐光学系 11 、測定用カメラ 12 、観察用カメラ 13 が固定されている。
微動 Z 軸機構 3 の可動部が下方に移動した場合、粗動 Z 軸機構 1 の固定部との間に隙間ができて外乱光の影響を受けないよう、レーザ AF 機構 8 と投光管 10 にそれぞれ径が大小の筒を装着し、入れ子 14 を構成している。
入れ子 14 の縦( Z 軸)方向は、微動 Z 軸機構 3 が最大で上下しても光が漏れず、かつ、外部から光が入らない長さとなっている。即ち、入れ子 14 は、試料からの反射光が対物レンズ 6 から光軸 15 に沿って、顕微鏡内を通って、2分岐光学系 11 を通り、測定用カメラ 11 、観察用カメラ 12 に至る光路上において、粗動 Z 軸機構 1 の固定部と微動 Z 軸機構 3 の可動部との境目が摺動するように構成している。
【0013】
上述の実施例では、検査装置に使用する光学顕微鏡によって説明したが、顕微鏡に用いるまたはカメラが受光する光が可視光である必要はなく、紫外光、赤外光、その他、どのようなものでも適用可能である。
また、顕微鏡に限らず、粗動、微動の複数の構成から成るものに適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施例を説明するための図。
【符号の説明】
【0015】
1:粗動 Z 軸機構、 2:可動部、 3:微動 Z 軸機構、 4:ステッピングモータ、 5:保持板、 6:対物レンズ、 7:レボルバ、 8:レーザ AF 機構、 9:固定板、 10:投光管、 11:2分岐光学系、 12:測定用カメラ、 13:観察用カメラ、 14:入れ子、 15:光軸。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のユニット群と第2のユニット群を備える顕微鏡であって、光軸方向に上下駆動し、上記第1のユニット群と第2の移動機構を上下駆動する第1の移動機構と、上記第2のユニット群を上記光軸方向に上下駆動する第2の移動機構とを備えることを特徴とする顕微鏡。
【請求項2】
請求項1記載の顕微鏡において、上記第2のユニット群は、対物レンズとレボルバとオートフォーカス機構を少なくとも含むことを特徴とする顕微鏡。
【請求項3】
請求項1または請求項2のいずれかに記載の顕微鏡において、上記第1のユニット群と上記第2のユニット群の光路上の境目が入れ子となっていることを特徴とする顕微鏡。


【図1】
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【公開番号】特開2006−71696(P2006−71696A)
【公開日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−251638(P2004−251638)
【出願日】平成16年8月31日(2004.8.31)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】