説明

顕微鏡

【課題】使用していない他の接眼レンズ、マイクロメータ等の諸機器を顕微鏡本体と共に保管でき、また、不使用時ではコンパクトに効率的に整列させて保管収納できる。
【解決手段】基台11に立設した支柱2に、顕微鏡観察する光学系(4,5,6)を設けた顕微鏡において、基台11には、基台11の左右側方に引き出し自在な脚片20、基台11の前方に引き出し自在な収納ボックス30を設ける。脚片20は、基台11底部の左右部に区画形成してある脚片収納部12に水平面で揺動自在に軸支し、脚片20の軸支位置は基台11の前部側に設定して構成する。収納ボックス30は、基台11の前部に形成した案内部によって基台11の前後方向に沿ってスライドし、案内部は、基台11の左右側部で基台11の底壁、上壁相互間で配した側部ガイドと、基台11の中央側に位置させて基台11の上壁から垂配した左右の補助ガイドとを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は顕微鏡、特に学校教材用として好適な顕微鏡に係り、例えば理科実験・観察その他に際し教室等で使用された後、これを教材棚、保管庫その他で格納するとき、コンパクトに縮小した状態とすることで狭い保管場所であっても多数で保管格納でき、また、顕微鏡と共に使用される接眼レンズ等をその顕微鏡それぞれと個別に纒めて保管できるようにした顕微鏡に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、学校その他で使用される教材用の顕微鏡は、授業・実験・観察等の進行に伴い生徒達がほぼ同時に、また常時観察等をするためにその生徒数に対応した所定数量で一度で使用されることが多く、また、使用しないときには多量のそれらを教材棚、保管庫その他に格納している。また、顕微鏡自体は精密機器であるから、その取扱い、保管その他も慎重に取り扱うことが要請される。
【0003】
そのため、顕微鏡自体には観察時の支持安定性、対物レンズ・接眼レンズその他のレンズを交換・着脱するための作業容易性、また着脱される部材がある場合の顕微鏡本体との一体性、非使用時における全体のコンパクトな格納性等が要求される。
【0004】
こうした観点から従来では、学校教育現場における観察者である子供・生徒達の負担軽減を図るため例えば特許文献1に示される顕微鏡、また被写体を目視しながらの作業疲労の低減を図るため特許文献2に示される光学機器用外装体等が提案されている。特許文献1の顕微鏡は、ベースに立設した支柱に設けた光学系における対物レンズと対向する位置に可動ステージを設け、この可動ステージを対物レンズの光軸と略直交する方向のあらゆる方向に移動自在、回転自在にすることで構成して成る。また、特許文献2の外装体は、対物レンズの視野内に被写体を載置する載置台上で、被写体を載置する載置領域の近傍に木材を圧縮成形した圧縮木材を配設して成る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−338418号公報
【特許文献2】特開2007−171397号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ただこのような従来の顕微鏡、外装体において、特許文献1の顕微鏡では、使用する子供・生徒達による操作性を向上させるにすぎず、例えば顕微鏡観察後でこれを格納するときには、そのベースは操作時の安定性を図るためにも左右に拡がっている状態のままであるから、多量の顕微鏡を格納するには広いスペースを必要とする。特許文献2の外装体では、木材の素材によるリラクゼーション効果によって観察時の目の疲労を軽減し、人間工学的にも好ましい効果が得られるとしても、これを多量に保管格納するには同様な不都合がある。
【0007】
また、従来の顕微鏡では、例えば接眼レンズを交換可能にしていても、使用していない他方の交換レンズを一時的にでも収納しておく場所がなく、これを紛失してしまう虞がある。そればかりでなく、電源ケーブル、出力用の例えばUSBケーブル等の接続コード類を取り外し、収納するとしても個々の顕微鏡それぞれに関連付けて個別に対応した収納形態とすることができず、これらを一括して纏めた状態で保管した後では、次回の使用時にこれを組合せ使用するのに少なからずの混乱を生じているのが現状である。
【0008】
そこで本発明は叙上のような従来存した諸事情に鑑み創出されたもので、その目的は例えば教材用として同時的に多数で使用され、それが纏めて保管収納されるとき、基台自体を狭幅となるようにコンパクトにすることで効率的に整列させて保管収納でき、また、使用していない他の接眼レンズ、マイクロメータ等の観察・計測機器類、更には接続コード類等をそれぞれの顕微鏡自体に関連付けて収納でき、次回の使用時でも混乱を生じることなく、円滑に使用できるようにした顕微鏡を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決するため、本発明にあっては、載置面に載置セットされる基台11に立設させた支柱2に、顕微鏡観察する光学系(3,4,5,6)を設けてある顕微鏡において、基台11には、基台11の左右側方に引き出し自在な脚片20、あるいは基台11の前方に引き出し自在な収納ボックス30の少なくともいずれか一方を備えていることを特徴とする。
脚片20は、基台11底部の左右部に区画形成してある脚片収納部12に水平面で揺動自在に軸支することで、また、脚片20の軸支位置は基台11の前部側に設定することで構成することができる。
脚片20は、引き出し時、格納時それぞれの所定位置に位置決め固定させる固定手段25を備えていて、この固定手段25は、脚片20を引き出した位置、格納した位置それぞれで脚片収納部12の所定位置で嵌るようにした位置決め部27を先端に設けた弾発性ある規制固定片26と、脚片20を引き出した所定の位置で基台11の左右縁部内側面に当接する突部状の引出停止部28とを備えて構成することができる。
収納ボックス30は、基台11の前部に形成されている案内部17によって基台11の前後方向に沿ってスライドされ、この案内部17は、基台11の左右側部で基台11の底壁、上壁それぞれに連結して相互間に立脚状に配した側部ガイド18と、この側部ガイド18の基台11の中央側に位置させて基台11の上壁から垂下状に配した左右の補助ガイド19とを備えて構成することができる。
収納ボックス30の底側壁には、側部ガイド18に嵌め合わせられるようスライド方向に沿って長孔状に開穿された規制案内開口35と、補助ガイド19の両側に位置する左右側部を備えて補助ガイド19に嵌め合わせられる案内溝37とを設けて構成することができる。
【0010】
以上のように構成された本発明に係る顕微鏡にあって、基台11の左右側方に引き出された脚片20は、顕微鏡本体1を所定の載置面に載置したときの載置安定性を確保させ、顕微鏡観察時の観察対象物に対する揺れその他を防止し、精密な観察を可能にさせる。また、脚片20を脚片収納部12内に格納したときには、基台11のみの幅員となって例えば左右方向に沿って多数で整列させて保管収納するとき、その占有面積を最小にしてコンパクトに纏めさせる。
脚片20は、基台11の前部側にその軸支位置を設定して揺動自在にしてあることで、基台11の後部である支柱2側が拡開して載置時の安定性を一層向上させ、また、拡開時、収納時それぞれの位置を固定手段25によって固定維持させる。
基台11の前部に設けた収納ボックス30は、顕微鏡本体1に関連して使用される諸機器M例えば組合せ交換使用される他の接眼レンズ、計測用のマイクロメーター等を収納保持させ、使用時・保管時の便宜性を向上させる。
基台11の前部に設けた案内部17は、基台11の前部で収納ボックス30をスムーズに引き出し、押し込ませて収納ボックス30の開閉操作を容易にさせ、案内部17の側部ガイド18に嵌め合わせた収納ボックス30の規制案内開口35は、収納ボックス30のスライド案内と同時にスライド範囲を規制し、収納ボックス30の過度の引き出し、押し込みを阻止させる。
【発明の効果】
【0011】
本発明は以上説明したように構成されているため、例えば教材用として同時的に多数で使用され、それが纏めて保管収納されるとき、基台11内に脚片20を収納して狭幅となして占有面積をコンパクトにすることで例えば理科実験室等における教材棚、保管庫その他の狭い場所であっても効率的に整列させて保管収納でき、また、顕微鏡観察の使用時では脚片20を引き出し拡開することで安定した状態で載置面にセットできる。一方、基台11の前部に設けた収納ボックス30によって、その顕微鏡それぞれ自体で関連使用される他の接眼レンズ、マイクロメータ等の諸機器Mを収納保管でき、使用勝手を大きく向上できる。
【0012】
すなわちこれは本発明において、顕微鏡観察の光学系を設けてある基台11には、基台11の左右側方に引き出し自在な脚片20、あるいは基台11の前方に引き出し自在な収納ボックス30の少なくともいずれか一方を備えているからであり、不使用・保管時のコンパクトな整列格納、顕微鏡本体1と共に関連使用される諸機器Mの各別収納等を可能にする。
【0013】
また、脚片20は、基台11底部の左右部に区画形成してある脚片収納部12に水平面で揺動自在に軸支してあるから、基台11を拡張すべく引き出すことで、狭幅に構成された基台11であってもその支持載置面積を拡大でき、顕微鏡観察を安定して、しかも安全に行うことができる。この引き出し、収納される脚片20の軸支位置を基台11の前部側に設定してあることで、脚片20を引き出したときには基台11の後部側が拡張し、通常は光学系を支持している支柱2がある基台11の後部の載置安定性を一層向上できる。
【0014】
引き出し時、格納時のいずれであっても、脚片20は引き出し位置、格納位置それぞれで固定手段25によって位置決めされており、引き出し位置、格納位置それぞれでは弾発性ある規制固定片26によって固定維持されるから、格納位置からの引き出しあるいは格納位置への押し込み操作を無理なく行える。脚片20の引き出し位置では、引出停止部28が基台11の左右縁部内側面に当接するから、脚片20の過度の引き出しを規制し、安定した位置で脚片20の引き出しを停止させる。
【0015】
一方、収納ボックス30には、顕微鏡本体1による顕微鏡観察に関連して使用される、例えばその顕微鏡本体1において交換使用される接眼レンズ、計測用のマイクロメーター等の諸機器Mを収納保管できる。そのため、例えば理科実験等の教材用として使用されるとき、多数の生徒等が同時に多数で使用しても、それらの間で諸機器Mが紛れたり、混乱を生じたり、紛失したりすることもなく、整理された状態で個別に紛れることなく使用できる利便性がある。
【0016】
また、基台11の前部に引き出し自在に設けた収納ボックス30は、基台11に形成してある案内部17によってスムーズに引き出され、また逆に押し込まれる。すなわち、案内部17は、基台11の左右側部に立脚状に配した側部ガイド18、基台11の中央側に垂設した補助ガイド19を備えており、収納ボックス30には側部ガイド18に嵌め合わせられる規制案内開口35、補助ガイド19に嵌め合わせられる案内溝37を備えているから、収納ボックス30の引き出し範囲は規制案内開口35によって規制され、過度な引き出しが阻止されており、また、案内溝37と補助ガイド19との嵌め合いとも相俟ち、収納ボックス30は基台11の前部でがたつくことなく、スムーズなスライド操作で引き出し開放、押し込み閉鎖を行なうことができる。
【0017】
尚、上記の課題を解決するための手段、発明の効果の項それぞれにおいて付記した符号は、図面中に記載した構成各部を示す部分との参照を容易にするために付した。本発明は、これらの記載、図面中の符号等によって示された構造・形状等に限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明を実施するための一形態を示す斜視図である。
【図2】同じく基台に設けた脚片収納部の一部切欠の要部分解斜視図である。
【図3】同じく脚片収納部位置における基台の断面図である。
【図4】同じく基台の底面図である。
【図5】同じく基台前部における収納ボックスの引き出し時の要部斜視図である。
【図6】同じく収納ボックス位置における基台の要部断面図である。
【図7】同じく多数台で並べて収納整列したときの背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して本発明を実施するための一形態を説明すると、図において示される符号1は顕微鏡本体であり、この顕微鏡本体1は、机上面その他の所定の載置面にセット載置させる基台11、この基台11の後部上に立設された支柱2、支柱2の下部で基台11面と所定の間隔を隔てて支柱2前方に向けて配置されていて、観察物を載置セットさせるステージ3、支柱2の上部でステージ3面上方でステージ3に対向するよう設けられた鏡胴4、この鏡胴4下部で回転自在に設けられて、倍率が異なる複数の対物レンズを配して選択回転させる対物レンズ部5、鏡胴4上部に配した接眼レンズ部6等を備えて、顕微鏡観察する光学系が構成されて成る(図1参照)。
【0020】
基台11は、平面から見て図示のように前後方向に沿って長いほぼ矩形状を呈し、基台11の左右縁に、左右方向に引き出されることで基台11による載置面積を増大させるウイング状の左右の脚片20が水平面方向で引き出し、あるいは収納されるように出没自在にして設けられている。
【0021】
脚片20は左右で対称的に設けられ、図示のように、基台11底部の左右部に区画形成した脚片収納部12に、この脚片収納部12においての基台の前部側に設けた軸支部13を支点として基台11の後部における左右部が拡開されるように揺動自在に軸支されることで、脚片収納部12から引き出され、逆に格納されるようにしてある。
【0022】
脚片収納部12は、基台11底部における後部側の左右縁に、基台11の前後方向に沿って平面から見て細長矩形状を呈するように底面側から窪ませることで区画形成されている。また図4に示すように、この脚片収納部12には、前部側に設けられる軸支部13の基台11側の前方に、脚片20を揺動させるときの安定性、拡開時の過剰拡開の阻止性等を考慮して、脚片20の後部に形成してある後述のストッパー部23が当接されるようにした窪み状の規制部14と、軸支部13によって水平面で揺動自在となって支承される脚片20における後述の支承部21の平面円形状の軸支部分の一部を基台11の中心側に突出配置させるよう切り欠いた切欠部15とを形成してある。
【0023】
脚片20は、軸支部13に揺動自在に嵌め合わせるよう脚片20自体の基部に支承部21を形成し、先端には脚足部22を脚片20自体の底面から所定の高さを設定させて突出状にして設けてあり、この脚足部22の底部である載置面位置は、基台11の前部左右に配置した基台脚足部16の底部と同一高さ位置となるようにしてある。こうすることで、脚片20自体の引き出し時、逆の格納時のいずれでも基台11自体を、ひいては顕微鏡自体を同一平面上の水平高さに保持できるようにしている。また、この脚片20の支承部21後方には、前記規制部14内で揺動するストッパー部23が延設されていて、脚片20自体の揺動操作の円滑性を図り、また過度な引き出しを停止させるようにしてある。
【0024】
脚片20を脚片収納部1内で揺動自在とする軸支部13の軸支構造は、図2乃至図4に示すように、脚片20自体の基部に設けた支承部21における円形孔に、底部にフランジを有するハット形の軸体13Aを脚片20の裏面側から嵌め入れ、この軸体13Aを脚片収納部12における軸支位置に例えば軸体13Aの空洞部分内でねじ止め13B固定することで構成してある。こうすることで、固定された軸体13Aを軸部として脚片20が揺動自在となって、基台11の底部左右で出没される。尚、脚片20の先端縁面には脚片20の引き出し方向を示した矢印状の引出方向表示を、また、脚片20の先端上面には脚片20の格納方向を示した矢印状の格納方向表示をそれぞれ形成してある(図2参照)。
【0025】
また、この脚片20には、引き出し時、格納時それぞれの所定位置に位置決め固定させる固定手段25を備えている。この固定手段25は、図2乃至図4に示すように、脚片20自体の長さ方向に沿って配置される弾発性ある例えばバネ鋼板製で、基部が脚片20裏面に形成してある位置決め突起24に嵌め合わせられている規制固定片26を、脚片20における例えばその奥部側の辺部のほぼ半ば位置で脚片20の裏面にねじ止めすると共に、脚片20の引き出し位置、格納位置それぞれで嵌るようにした突部状の位置決め部27を規制固定片26の先端に設け、脚片20を引き出した所定の位置で基台11の左右縁部内側面に当接する突部状の引出停止部28を脚片20の上面に形成して成る。
【0026】
規制固定片26先端の位置決め部27は、基台11における脚片収納部12面における引き出し位置である開口側に形成してある引き出し位置固定凹部27A、格納位置である奥部側に形成してある格納位置固定凹部27Bに嵌り込む突部状に形成されていて、規制固定片26自体の弾発性によって、脚片20の引き出し時、格納時では嵌め合いが強制的に解除され、引き出し位置、格納位置では嵌め合わせられるようになっている。
【0027】
図示にあっての引出停止部28は、規制固定片26を脚片20の奥部側の辺部で固定するとき、固定するための例えばネジ部材を脚片20の裏面側から脚片20の上面に配したナット材にねじ止め(29)するに際し、そのナット材を囲繞固定する囲繞部として構成されたものとして兼用されている。これによって、脚片収納部12に格納されている脚片20を引き出したとき、引出停止部28が基台11の左右縁部内側面に当接し、当接後では脚片20のそれ以上の引き出しを停止させ、脚片20の引き出し状態を維持する。
【0028】
尚、脚片20は基台11の前部側を軸支点として揺動開閉式にすることで基台11から引き出し、格納できるものとして説明したが、図示を省略したが、脚片20全体が基台11の側方にほぼ平行して引き出されるように構成することもできる。
【0029】
一方、基台11の前部には、顕微鏡本体1に関連して使用されるも、使用していないときの例えば接眼レンズ、マイクロメーター等の諸機器Mを格納する収納ボックス30を前方に引き出しスライド可能にして設けてある。この収納ボックス30は、図5、図6に示すように基台11前部における前壁を前側壁とし、この前壁に連続する前部側左右壁の一部を左右側壁とし、これらの前側壁、左右側壁に連続する底側壁とによって上方開口の平面から見てほぼコ字状を呈するボックス状に形成されている。そして、基台11前部において前後方向に沿って形成されている案内部17によって、基台11の前方側で所定の引き出し長さ範囲内で前後方向にスライドするようになっている。
【0030】
また、この収納ボックス30においては、基台11の前部を基台11の後方側に比し前端に至るに伴い次第に高く(厚く)することで、収納容積が大きくなるように配慮してあるも、これに限定されない。この収納ボックス30の底側壁の一部、例えば前部側中央部位置で、基台11の左右方向に沿って長くなって平面矩形状に窪ませた収納凹部31を形成し、収納する例えば接眼レンズ(M)がその一部でも収納凹部31にしっくりと嵌ることで、収納ボックス30内部で移動、がたつかずに安定した状態で保持されるようにしてある。尚、この収納凹部31内に嵌る接眼レンズ(M)の一部は、収納ボックス30の底側壁が基台11によって載置させる載置面との間に基台脚足部16、脚足部22によって若干の間隙が生じていることで、収納凹部31の底部外側面が載置面には当接しないようになっている。
【0031】
収納ボックス30の前側壁自体は、内部区画部分と前面傾斜部分との前後の二重構造となっていて、前面傾斜部分は下方に至るに伴い次第に前方側に出張るようになっている傾斜部分の下縁が取っ手部32として形成されている。
【0032】
この収納ボックス30を基台11の前方にスライドさせて引き出し、逆に格納するときには、基台11の前部に形成されている案内部17によってスムーズにスライドされるようにしている。図示の案内部17は、基台11の底壁と、同じく基台11の上壁との間で立脚状に形成されており、基台11の左右側部で基台11の底壁、上壁それぞれに連結して相互間に配した側部ガイド18と、この側部ガイド18の基台11の中央側に位置させて基台11の上壁から垂下状に配した左右の補助ガイド19とを備えている。
【0033】
案内部17の側部ガイド18は、基台11の中央側部分で基台11の底壁、上壁相互間に、例えば基台11の上壁から垂設されていて、基台11の底壁下方からの例えば基台脚足部16を固定する固定ネジのねじ込みによって連結固定されており(図6参照)、基台11の左右外側部分の下部にガイド溝18Aを形成してある。補助ガイド19は、基台11の前後方向に沿って配された適宜肉厚の板片状を呈し、基台11の上壁から垂下されていることで、その下端縁は収納ボックス30の底側壁の肉厚に比し小さくはない間隙を基台11の底壁との間で形成している。
【0034】
そして、収納ボックス30においては、基台11に設けた案内部17といわば噛み合うようにした底側壁構造とすることで収納ボックス30が案内部17に案内されてスムーズにスライドする。そのため、収納ボックス30の底側壁には、図示のように側部ガイド18の連結部分に嵌め合わせられるようスライド方向に沿って長孔状に開穿された規制案内開口35と、側部ガイド18のガイド溝18Aに嵌め合わせられる案内突条36と、補助ガイド19の両側に位置する左右側部を備えて緩やかに補助ガイド19に嵌め合わせられる案内溝37とが設けられている。尚、前記収納凹部31は、左右の案内溝37における収納ボックス30の中央側の側部相互間で形成される底壁面部に設けられている。図中符号38は、収納ボックス30が基台11内に格納されたとき、収納ボックス30を位置決め固定するストッパーであり、基台11の底壁に穿設されている係止孔にやや強制的に嵌り込むようになっている。
【0035】
このような収納ボックス30によると、収納ボックス30を基台11前方に例えば取っ手部32によって引き出すとき、基台11の案内部17によって収納ボックス30はがたつくことなくスライドされ、規制案内開口35の後縁が側部ガイド18に当接することで収納ボックス30の引き出しが停止される。この収納ボックス30に収納してある例えば接眼レンズあるいはマイクロメーター等の諸機器Mを取り出し、また交換等して顕微鏡観察、計測等に使用する。また、収納ボックス30を押し込むことで基台11に格納でき、ストッパー38がやや強制的にでも係止孔に嵌り込むことで、格納状態が維持される。
【0036】
尚、顕微鏡本体1自体は、繊細なピント調整が可能な一軸粗微動装置41を搭載してあり、光源は急速充電可能な高輝度白色LED、本体一体型の反射鏡ユニット42の両方が使用可能としてある。また、顕微鏡管理や照明ユニット取り付けに役立つナンバリングスペース43、他機器への電源供給に役立つサービスコンセント44等を有している。更には、支柱2の背部には、図示を省略したが、開閉自在な開閉蓋45によって施蓋されるケーブル収納部46を形成してあって、電源ケーブル、USBケーブル等を纏めて収納できるようにしてある。
【0037】
次にこれの使用の一例を説明すると、例えば顕微鏡自体を収納保管している保管場所から取り出し、机上その他の所定の載置面に載置するに際し、脚片20を脚片収納部12からウイング状に引き出し、脚片20を拡げた安定した状態でセットし、接続した電源ケーブルにて電源を投入し、観察する。顕微鏡観察時に接眼レンズ(M)を交換等する場合には収納ボックス30を引き出し、収納してあった接眼レンズ(M)を取り出し、交換、接続する。使用後に格納するときには、電源ケーブル等を収納し、諸機器Mを収納ボックス30に収納して基台11内に押し込み格納する一方、脚片20を脚片収納部12内に収納することで基台11の幅員を実質的に狭め、多数台であっても左右方向に沿って並べることで格納場所においてはコンパクトな整列した状態で保管する(図7参照)。
【符号の説明】
【0038】
M…諸機器
1…顕微鏡本体 2…支柱
3…ステージ 4…鏡胴
5…対物レンズ部 6…接眼レンズ部
11…基台 12…脚片収納部
13…軸支部 13A…軸体
13B…ねじ止め 14…規制部
15…切欠部 16…基台脚足部
17…案内部 18…側部ガイド
18A…ガイド溝 19…補助ガイド
20…脚片 21…支承部
22…脚足部 23…ストッパー部
24…位置決め突起 25…固定手段
26…規制固定片 27…位置決め部
27A…引き出し位置固定凹部 27B…格納位置固定凹部
28…引出停止部 29…ねじ止め
30…収納ボックス 31…収納凹部
32…取っ手部 35…規制案内開口
36…案内突条 37…案内溝
38…ストッパー
41…一軸粗微動装置 42…反射鏡ユニット
43…ナンバリングスペース 44…サービスコンセント
45…開閉蓋 46…ケーブル収納部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
載置面に載置セットされる基台に立設させた支柱に、顕微鏡観察する光学系を設けてある顕微鏡において、基台には、基台の左右側方に引き出し自在な脚片、あるいは基台の前方に引き出し自在な収納ボックスの少なくともいずれか一方を備えていることを特徴とする顕微鏡。
【請求項2】
脚片は、基台底部の左右部に区画形成してある脚片収納部に水平面で揺動自在に軸支してある請求項1に記載の顕微鏡。
【請求項3】
脚片の軸支位置は基台の前部側に設定してある請求項2に記載の顕微鏡。
【請求項4】
脚片は、引き出し時、格納時それぞれの所定位置に位置決め固定させる固定手段を備えていて、この固定手段は、脚片を引き出した位置、格納した位置それぞれで脚片収納部の所定位置で嵌るようにした位置決め部を先端に設けた弾発性ある規制固定片と、脚片を引き出した所定の位置で基台の左右縁部内側面に当接する突部状の引出停止部とを備えている請求項1乃至3のいずれかに記載の顕微鏡。
【請求項5】
収納ボックスは、基台の前部に形成されている案内部によって基台の前後方向に沿ってスライドされ、この案内部は、基台の左右側部で基台の底壁、上壁それぞれに連結して相互間に立脚状に配した側部ガイドと、この側部ガイドの基台の中央側に位置させて基台の上壁から垂下状に配した左右の補助ガイドとを備えている請求項1乃至4のいずれかに記載の顕微鏡。
【請求項6】
収納ボックスの底側壁には、側部ガイドに嵌め合わせられるようスライド方向に沿って長孔状に開穿された規制案内開口と、補助ガイドの両側に位置する左右側部を備えて補助ガイドに嵌め合わせられる案内溝とを設けてある請求項5に記載の顕微鏡。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−198450(P2012−198450A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−63858(P2011−63858)
【出願日】平成23年3月23日(2011.3.23)
【出願人】(500230392)株式会社ナリカ (2)
【Fターム(参考)】