説明

風力回転コマ用の回転補助具

【課題】風力回転コマに息を吹き掛けて回す際に、スムーズにしっかりと回る様に補助し、また使い勝手も良い回転補助具の提供。
【解決手段】風力回転コマ1の回転軸3よりひとまわり大きく、且つ回転軸3を挿入時に回転体2が水平状より15度以上傾かない様に保持出来る深さの挿入穴7を設けた回転補助具6により解決した。図2は、円柱状の棒状物8の上端部のフラット面に挿入穴7を設けて回転補助具6を形成し、その挿入穴7にコマ1の回転軸3を挿入セットした正面図である。この様にセット後、上方の矢印方向から、コマ1に息を吹き掛けるとコマ1はスムーズに回り始め、しっかりと回り続ける。この回転補助具6を手で持ち、回転中のコマ1を軽く上方へポンと放り投げ上げると、コマ1は回転補助具6から飛び出しテーブル面等へ落下移動する。移動後もコマ1は回り続ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、息等の風を吹き掛け回す風力回転コマにおいて、その風力回転コマをスムーズに回転させるための補助具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
日本には子供から大人まで親しまれているコマ(独楽)が古くからある。そのコマを回す方法としては手や紐類などが一般的であるが、最近では特許文献1や特許文献2の様な、息吹きかけ等の風の力を利用し回転させるものも提案されている。その際、その回転を補助する用具として特許文献2では保持フレームやスタンドなどが提案されている。本発明は、それらの補助具よりもさらに使い易い簡便な補助具の提供を目的としたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第3102085号
【特許文献2】特願2009−122527
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
静止している風力回転コマに息を吹き掛けただけではなかなかスムーズには回り始めない。そうした場合、回転補助具、例えば特許文献2で提案されている保持フレームやスタンドなどを使うとスムーズに回す事が出来る。しかし、保持フレームの場合、構造はシンプルで使い易いが、その保持フレームに風力回転コマの心棒をセットする時に、或いはセットして息を吹き掛ける時に、保持がうまくいかずにスムーズに回転しない時がある。
【0005】
また、スタンドの方は、安定的に保持されるので息吹き掛けでスムーズに回転するが、その回転中のコマをスタンドからテーブル等の面へ移動させるにはやはり慣れが必要であるとか、コマの心棒の長さが違った場合等にはスタンドにセット出来なかったり、テーブル等への移動がスムーズに出来ない場合がある等の問題点がある。
【0006】
そこで本発明では、現在提案されている方法よりも息吹き掛けでよりスムーズにコマが回転を始め、更にその回転中のコマのテーブル等への移動も容易に行う事の出来る回転補助具の提供を目的とした。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は上記課題を、棒状物8や球状物9、板状物11、錐状物12、或いはそれらの組合せ形状物等に、風力回転コマ1の回転軸3を挿入する為の挿入穴7を設け回転補助具6を形成するに際し、その挿入穴7として、回転軸3の直径よりひとまわり大きく、且つ回転軸3を挿入時に回転体2の傾き角度αが15度以下に保持出来る深さの挿入穴7を設ける事により解決した。
【発明の効果】
【0008】
上記課題を解決する為に、穴の大きさや深さを工夫した挿入穴を設けた結果、特許文献2等で提案されている保持フレームやスタンド等よりもスムーズに回し始める事が出来、回転自体もしっかりとし、長く回り続け、且つその回転中のコマをテーブル等の面へ移動する事も容易に行う事が出来る簡便な回転補助具が得られた。
【0009】
この回転補助具は、大変シンプルな構造であるので制作コストが安価な上に、取り扱いも簡明で大変使い易いというメリットもある。また、テーブル等への移動も、軽く上方へポンと放り出す感じで出来るし、その時コマの回転はしっかり維持されるので、他のコマにぶつけて遊ぶけんかコマ遊び等も今まで以上に楽しく行う事が出来る。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】棒状物の端部フラット面に挿入穴を設けた本発明の回転補助具等の斜視図。
【図2】同上回転補助具へ風力回転コマをセットした状態の正面図。
【図3】棒状物の側面の曲面部に挿入穴を設けた本発明の回転補助具。
【図4】球状物に挿入穴を設けた本発明の回転補助具。
【図5】楕円形状物に挿入穴を設けた本発明の回転補助具。
【図6】本発明回転補助具へ風力回転コマをセット時の回転体の傾き角度αの図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
特許文献2で提案されているもの等よりも使い易い回転補助具について検討した結果、風力回転コマ1の回転軸3が挿入できる挿入穴7を設け、そこに回転軸3を挿入保持し回転させるという簡便な方法により目的を達成するに至った。即ち、棒状物8や球状物9、板状物11、錐状物12、或いはそれらの組合せ形状物等に、回転軸3を挿入する為の穴を挿入穴7として設け、その挿入穴7に回転軸3を挿入保持させ、その上方から息を吹き掛け回転させる方法である。
【0012】
挿入穴7は、そこに回転軸3を挿入し回すので、その回転がスムーズに出来る大きさや深さの挿入用の穴を設ける必要がある。大きさとしては、回転軸3より小さいとか同じ位では、回転軸3を挿入出来ないとか、挿入出来ても軸と穴の面とが擦れ合って回らないというトラブルがある為、両者の間には遊び(隙間)が必要である。しかし、その遊びが大き過ぎると回転軸がぶれて回転が不安定となり好ましくない。したがって、小さくはないが大き過ぎでもない事、即ちひとまわり大きいものである事が肝要である。
【0013】
また、挿入穴7の深さも肝要で、回転軸3の長さより少し浅くし、回転体2の下部面とそれと対面する挿入穴7の面との間に隙間が出来る位の深さが好ましい。しかし、挿入穴7の深さが浅過ぎると回転軸3の挿入が不十分となり、回転体2が浮き上がり傾いてしまい、息を吹き掛けた時にバランスを崩したりぶれたりしスムーズに回転しない。
【0014】
したがって、スムーズな回転の為の挿入穴7の深さについて種々検討の結果、挿入穴7を垂直状に保持し回転軸3をそこに挿入した時に回転体2が水平状から15度より大きく傾かない深さ、即ち回転軸3を挿入穴7に挿入時の回転体2の水平状からの傾き角度α(図6で、棒状物8の上端面と回転体2の下部面とが成す角度α)が15度以下に保持可能な深さであれば目的を達成する事が出来た。なお、傾き角度αは、挿入穴7の深さが浅いと大きくなり、深いと小さくなる。
【0015】
挿入穴7の深さが回転軸3の長さより深い場合には、回転軸3はすっぽりと挿入穴7の中に納まり、回転体2の下部面と挿入穴7の面とが接し擦れ合いスムーズに回転しない時があるが、この場合には、その擦れ合う面をペーパー等で綺麗に仕上げたり或いは塗装したり、平滑なシート状物を貼ったり、滑り改善用のスプレー類等を吹き付けたりなどすれば、スムーズな回転が得られるので、深くて擦れ合っても回転には特に支障はない。
以下、実施例にもとづき本発明について更に説明する。
【実施例1】
【0016】
本実施例は、回転軸3用の挿入穴7を棒状物8の上端部のフラットな面に設けた実施例で、図1と図2にその実施例図を示す。図1は回転補助具6に風力回転コマ1をセットする前の斜視図を、図2はセット後の正面図を示す。なお、本実施例で使用の風力回転コマ1としては、図1や図2に示す様に、円板状の回転体2の下面中央部に先端部を丸状に形成の円柱状の回転軸3を垂直状に設け、上面部に4枚の羽根4と心棒5とを設けたものを使用した。但し、本発明の回転補助具で使用可能なコマは本実施例のコマに限定されるものではない。
【0017】
回転補助具6は、図1に示す様に、棒状物8を垂直状にし、その上端部のフラットな面に円形状の挿入穴7を垂直状に穿ち設け、それを板状物11の上面部に装着し形成した。挿入穴7は、その大きさ(径)を回転軸3の直径よりひとまわり大きくした。また、深さは回転軸3の長さより少し浅くした。なお、棒状物8や板状物11には木を使用したが、材料としてはコマの回転等に支障を生じない剛性を有する樹脂や金属、セラミック等や複合材類等も使用する事が出来る。
【0018】
こうして形成の回転補助具6の挿入穴7へ、風力回転コマ1の回転軸3を、図1の矢印の様に上方から挿入し、図2に示す様にセットする。挿入穴7は回転軸3よりひとまわり大きく形成しているので、挿入穴7と回転軸3との間には適度な隙間の遊びが出来た状態で納まる。ひとまわり大きい径の例としては、例えば、回転軸3の直径が4.0mmの場合には、挿入穴7は径が4.2〜4.4mm程度のもの、即ち0.2〜0.4mm程度大きい穴にしておけば回転も移動も大変スムーズに行う事が出来る。
【0019】
また、挿入穴7の深さは、回転軸3の長さより少し浅くしているので、棒状物8の上端部のフラットな面と回転体2の下面部との間は密着状態ではなく少し浮いた状態でほぼ水平状に納まる。この様に少し浮いた状態にセット出来れば、棒状物8の上端部と回転体2の下面部とが擦れ合う事もなく、また回転軸3は挿入穴7に十分挿入されるので傾き角度αも極めて小さく、大変スムーズな回転が得られる。
【0020】
この様にセットされた状態の風力回転コマ1に、図2に示す様に、上方矢印方向から息を吹き掛けると風力回転コマ1はスムーズに回り、息を吹き掛け続けると回り続ける。このまま、この回転補助具6に保持し回し続けても良いが、他の回転面上へ、例えばテーブル面等へ、回転している状態で移動させる事も出来る。勿論、移動先の回転面上でも回り続ける。
【0021】
例えば、図2に示す様に、風力回転コマ1がセットされた状態の回転補助具6を手で持ち、その風力回転コマ1を回転させ、その回転中の風力回転コマ1を垂直状に放り出す要領で上方へ投げ上げると、風力回転コマ1は回転補助具6から飛び出しテーブル面等へ落下移動する。この投げ上げは、軽く上方へポンと放り出す要領で行う。勿論、移動後もテーブル面上等で回り続ける。回転が弱くなったら、また息を吹き掛けると元気に回り続ける。移動後も回り続けるので、放り出す時に他のコマにぶつける事も出来、けんかコマとしての遊び等も楽しむ事も出来る。
【0022】
以上の様に、回転軸3用の挿入穴7を設けただけのシンプルな構造の回転補助具6であるが、大変容易に回す事が出来、しかもその回転はスムーズで安定しており、その上テーブル面等への移動も容易に行う事が出来、大変使い易い。なお、挿入穴7はテーブル等の大きなものの面に設けても回転補助具として使用出来る。その場合、そこでの回転を楽しむ事は出来るが他の面への移動は難しい。
【0023】
本実施例の回転補助具6では、挿入穴7を設けた棒状物8は板状物11の上面部に装着した形状としたが、この様な形は棒状物8のみよりも見栄えが良いし、また手で持った時に持ち易く、使用しない時の保管や紛失防止、さらには幼児や子供が誤って口に入れたりする事の防止にも有効である。なお、棒状物8としては円柱状のものを使用したが、楕円形や多角形、錐形、それらの組合せ形等であっても、挿入穴7を設ける事が出来る形状のものであれば支障ない。
【実施例2】
【0024】
実施例1では棒状物8の上端部のフラットな面に挿入穴7を設けた例を示したが、本実施例では曲面部等に設けた事例を示す。図3〜図5にその実施例図を示す。図3は棒状物8の側面部に設けた例で、図3の(イ)は斜視図を、(ロ)は正面図を示す。図4は球状物9に設けた例で、図4の(イ)は正面図を、(ロ)は平面図を示す。図5は楕円形状物10に設けた例で、斜視図である。
【0025】
図3は、棒状物8の側面の曲面部分に、実施例1と同様な大きさや深さの挿入穴7を設けて形成の回転補助具6を示す。その挿入穴7に実施例1と同様に回転軸3を挿入セットし、上方から息を吹き掛けると風力回転コマ1はスムーズに回転する。挿入穴7を側面部に設けたので、この回転補助具6は図3に示す様に水平状に横にした形で使用する。テーブル等へのコマの移動も、実施例1と同じ要領で行うとスムーズに出来る。この様に挿入穴7を曲面部に設けても、形成された回転補助具は実施例1と同様に支障なく使用する事が出来る。
【0026】
図4は、両端に大小の球状物9を付けたダンベル状のものを使用し、その左側の球状物9に挿入穴7を設けて形成の回転補助具6の例である。これも、図3の棒状物8の回転補助具6と同様な要領で使用すれば、スムーズに回転し、移動も出来る。
【0027】
図5は、楕円形状物10の上端部に挿入穴7を設け、その下方部には棒状物8、円形の錐状物12、板状物11を装着し支え部を構成し形成の回転補助具6の例である。この支え部の所を手で持ち、挿入穴7に回転軸3を挿入セットし息を吹きかければ、セットされた風力回転コマ1は実施例1と同様にスムーズに回転するし、移動も出来る。
【0028】
なお、収納穴13を、図5に示す様に、支え部を構成している円形の錐状物12の側面部に設けた。この穴は、回転補助用の挿入穴7ではなく、コマを使用しない時等にここに回転軸3を差し込み保持し、コマの保管や紛失防止用等の為に使用する収納用の穴である。したがって、収納穴13の大きさは回転軸3の直径とほぼ同じ大きさとし、回転軸3と嵌め合い可能で、容易に脱離しないが着脱は可能な大きさの穴としておく。コマ保管用には大変便利なものである。設ける場所は錐状物12に限定されるものではなく、コマの回転に支障がなく、収納に便利な所であれば特に制限はない。
【符号の説明】
【0029】
1、風力回転コマ
2、回転体
3、回転軸
4、羽根
5、心棒
6、回転補助具
7、挿入穴
8、棒状物
9、球状物
10、楕円形状物
11、板状物
12、錐状物
13、収納穴
α、傾き角度

【特許請求の範囲】
【請求項1】
棒状物8や球状物9、板状物11、錐状物12、或いはそれらの組合せ形状物等に、風力回転コマ1の回転軸3を挿入する為の挿入穴7を設け回転補助具6を形成するに際し、その挿入穴7として、回転軸3の直径よりひとまわり大きく、且つ回転軸3を挿入時に回転体2の傾き角度αが15度以下に保持可能な深さの挿入穴7を設ける事を特徴とした風力回転コマ用の回転補助具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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