説明

風力発電機支持塔の建設用プレキャストコンクリートパネルを成形するための工場

本願発明は、風力発電機支持塔の建設用プレキャストコンクリートパネルを成形するための工場、工場での成形によって製造されたコンクリートパネル、工場での成形によって製造されたコンクリートパネルによって少なくとも部分的に建設された風力発電機支持塔、および、工場の操業方法に関する。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、風力発電機支持塔の建設用プレキャストコンクリート楔状パネル(voussoirs:せり石)(楔状パネル)(以降、voussoirsを「パネル」と訳す。)を成形するための工場、工場での成形によって製造されたコンクリートパネル、工場での成形によって製造されたコンクリートパネルによって少なくとも部分的に建設された風力発電機支持塔、および、工場の操業方法に関する。
【背景技術】
【0002】
金属部品の替わりにプレキャストコンクリートパネルを用いて風力発電機支持塔の少なくとも一部を建設することが知られるようになったのは比較的最近のことである。
【0003】
この方法によれば、より機械的な強度特性が向上した風力発電機支持塔が得られる。しかし、実用設計上の理由により、風力発電機支持塔の建設用プレキャストコンクリートパネルの少なくとも一部は、非常に大きくて重いものとなってしまう。
【0004】
前述のように、風力発電機支持塔の少なくとも一部を建設するために、金属部品の替わりにプレキャストコンクリートパネルを用いる方法は比較的新しいため、このタイプの部品を製造するための工場が実際には存在しない。このタイプではなく他の部品を製造する、独自の特徴を持った大きなプレキャスト施設は存在するが、たとえ最先端であっても、このタイプの部品を適宜修正して製造できる可能性があるというものである。これらの大きな施設は、基本的に製造ライン全体に沿って延びており、部品を保管する保管領域に原材料に続いてプレキャスト部品を移動させる、積載量が大きなガントリクレーンや橋型クレーンを有している。橋型クレーンまたはガントリクレーンは、結局、施設の屋根の支持柱またはクレーン自身の支持柱の土台の上にそれぞれ支持されている。
【0005】
したがって、本願発明の技術分野において最先端というと一般的に、恒久的な現場を前提にして建設されたという意味で本質的に固定された、大きくて高価な施設を指しているため、施設の建設と解体には、同等のコストや手間がかかるということに加えて、建設によって立地範囲には、回復不能でないにしても、解体後でさえ回復が非常に困難な構造変化、すなわち、大きな環境影響が生じる。
【0006】
さらに、もし部品が風力発電機支持塔の少なくとも一部を建設するためのプレキャストコンクリートパネルであれば、パネルを施設においてプレキャストした時点で、大きくて重いパネルを運搬するという点で明らかな欠点が生じる。
【0007】
例えば、施設から関連する塔の建設地まで大きなパネルを道路輸送することは、高いコストを伴うと共に、ある種の危険を常に伴う面倒な作業であり、特に、大型部品の道路輸送に関して非常に厳しい規則がある地域では問題を伴う。例として、特にスペインでは、20メートル以上の長さのパネルを搬送することは、実際には多くの付加的な法的要件を伴うため、製造業者は通常、製造するパネルの長さをちょうど20メートルに制限している。同様に、実際には製造業者は通常、同様の理由で、製造するパネルの横幅を5メートルに制限している。さらに、これらは重量物であるため事態をより複雑にしている。
【0008】
その他の国では、規則がさらに厳しく、パネルの寸法がより小さなものに限定されるか、許可や認可がさらに必要になることもある。当然、規則や許可の問題に加え、道路システムが遅れている発展途上国では、克服できないかもしれない実際の道路の問題が生じることもある。
【0009】
そのため、製造されたパネルが大きい場合、正確には、その大きさや重さおよび環境影響を制限しない場合にも、製造されたパネルの運搬により生じる欠点を減らすように、風力発電機支持塔の建設用プレキャストコンクリートパネルを成形するためのシステムを改善する必要がある。
【発明の概要】
【0010】
したがって、本願発明の目的は、大きさや重さを正確に制限したり、環境影響を制限することなく、製造されたパネルが大きくて重い場合にも製造されたパネルの運搬により生じる欠点を減らすことができる風力発電機支持塔の建設用プレキャストコンクリートパネルを成形するための工場を提供することである。
【0011】
さらに具体的に言うと、本願発明の第1の実施形態は、風力発電機支持塔の建設用プレキャストコンクリートパネルを成形するのための工場であって、風力発電機支持塔は、シースやコンクリートや仕上げ付属品の有無によらず、パッシブ(プレストレスをかけない)な鋼材または鉄筋状要素を使用する上に、アクティブ(プレストレスをかける)なプレストレス鋼材を使用しており、工場は、ホイスト手段やコンクリート打設手段を含み、また、工場は、
かごと呼ばれる鉄筋要素のコアを準備するための、少なくとも1つの支持構造体を備える、少なくとも1つの補強ステーションと、
型枠の中へかごのひとつを取り付け、型枠にコンクリートを打設し、型枠の中のコンクリートを硬化し、型枠から硬化部品(半製品パネル)を取り出すための、主要型枠体と該主要型枠体に対向するもう一方の型枠(counter mold)と蒸気硬化キャンバスとを含む、少なくとも1つの蒸気硬化型枠を備える、少なくとも1つのコンクリート打設ステーションと、
半製品パネルの仕上げ加工のため、および/または、半製品パネルに仕上げ付属品を付けるための、少なくとも1つの調整ステーションと、
製品パネルの保管のための少なくとも1つの保管場所と、を含み、
補強ステーション、コンクリート打設ステーションおよび調整ステーションの底部は、圧縮された土地に直接形成された、すなわち、圧縮された土地に対する基礎やアンカー等がないコンクリートスラブを含み、ホイスト手段は、土台がないホイスト手段であり、型枠体は、固定手段によって互いに連結された、少なくとも2つの部品に分けられ、前記型枠体に対向するもう一方の型枠は、固定手段によって互いに連結された、少なくとも2つの部品に分けられる。
【0012】
そのため、工場は、風力発電機支持塔の建設用プレキャストコンクリートパネルを成形するために提供され、製造されるパネルよりも小さな初期ユニットに分解された状態で製造現場に工場を置けるようにする構造的な特徴を持ち、製造されるパネルの搬送や組立の場所に近い建設現場へ初期ユニットを搬送し、建設現場で初期ユニットを組み立てて工場にし、組み立てられた工場によって適当なパネルを製造し、製品パネルよりも小さな最終ユニットに分解された状態になるまで工場を建設現場で分解し、仕向地へ最終ユニットを搬送し、建設現場を工場の組み立て前と基本的に同じ状態、すなわち、実質的に環境影響がないままにしておく。
【0013】
仕向地は、理屈の上では最初から建設現場でも、他の建設現場でもよい。
【0014】
そのため、パネルが製造できる建設現場は、パネルの運搬や組立の場所に非常に近いため、大きくて重いパネルの運搬により生じる欠点をかなり減らすことができる。
【0015】
実際に、パネルの搬送や組立の場所が非常に近いため、道路輸送の必要がない建設現場で製造が可能であり、前述の欠点のように、製造されるパネルの寸法はホイスト手段の積載量によって制限されるが、一般的にこれは通常使用される最先端の道路輸送手段の積載量よりも大きい。
【0016】
さらに、工場は、(プレテンション補強用および/またはポストテンション補強用)プレストレス実行手段を組み入れることでき、この手段は、コンクリート打設ステーションまたは調整ステーションの中に配置されるのが望ましい。
【0017】
土台を持たないホイスト手段、および/または、コンクリート打設手段の全部または一部は、必要に応じて可動式であってもよい。例えば、ホイスト手段は、1つまたは複数のブームクレーントラックまたは1つまたは複数の車輪走行型(必要に応じて、自走式)ガントリを有していてもよい。および/または、コンクリート打設手段は、1つまたは複数のコンクリートミキサートラック、または、1つまたは複数のポンプ装置などのコンクリート分配装置を有していてもよい。
【0018】
コンクリートスラブは、単体で現場に形成されることが望ましい。
【0019】
いずれの場合も、コンクリートスラブは、少なくとも15cm、多くとも25cmの厚みがあることが望ましい。
【0020】
本願発明の第2の実施形態は、工場で製造された、風力発電機支持塔の建設用コンクリートパネルである。
【0021】
最後に、本願発明の第3の実施形態は、工場で製造されたコンクリートパネルによって少なくとも部分的に建設された風力発電機支持塔である。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本願発明による風力発電機支持塔の建設用プレキャストコンクリートパネルを成形するための工場の第1の実施形態の見取図を概略的に示す。
【図2】図1の正面図を概略的に示す。
【図3】本願発明による風力発電機支持塔の建設用プレキャストコンクリートパネルを成形するための工場の第2の実施形態の見取図を概略的に示す。
【図4】図3の正面図を概略的に示す。
【本願発明の特定の実施形態】
【0023】
図1および2を参照すると、これら図面は、本願発明による建設現場において風力発電機支持塔の建設用プレキャストコンクリートパネルを成形するための工場10の第1の実施形態を示している。
【0024】
工場10は、一端に鉄筋状要素のための入口12を有し、その後には、補強ステーション14、コンクリート打設ステーション16、調整ステーション18および保管ステーション20が順番に基本的に直線的に続いている。
【0025】
補強ステーション14において、5つの支持構造体22が、製造ラインの方向に縦向きで、2つの支持構造体22からなる二列と1つの支持構造体22からなる一列が互いに平行に並べられている。支持構造体22は、鉄筋状要素を入口12から受け取る。それから、鉄筋状要素を結合してかごにする。さらに、補強ステーション14は、鉄筋状要素を互いに結合するための溶接手段を任意で有してもよい。しかし、かごは、公知の方法で鉄筋状要素を互いに結束して作るのが好ましい。
【0026】
コンクリート打設ステーション16において、6つの蒸気硬化型枠24は、それぞれ3つの型枠24が二列になって製造ラインの方向に縦向きに並べられている。型枠24は、(図示されていない)固定手段によって互いに連結された4つの部品に分けられる。
【0027】
型枠24は、補強ステーション14で作成されたかごを中に入れて、続いて、型枠24の中へコンクリートを流し込み、流し込まれたコンクリートを固めるためにそのままにしておき、最後に、固められた部品38(この場合、風力発電機支持塔の建設用半製品パネル)を型枠24から取り出す。
【0028】
また、コンクリートを型枠24に流し込むとコンクリートの中に予め決められた方法で埋め込まれる、次のパネルの組立に適した波形シースを、補強ステーション14またはコンクリート打設ステーション16に任意に準備してもよい。
【0029】
当該技術分野において公知の方法で、コンクリート打設ステーション16は、コンクリートを流し込んで固める前に型枠の中に配置されて引っ張られるプレストレステンドンや、プレストレステンドンを引っ張るプレストレス実行手段などのプレテンション補強用プレストレス手段を任意に備えていてもよい。
【0030】
成形のため、各型枠24は、主要型枠体、該主要型枠体に対向するもう一方の型枠および蒸気硬化キャンバスを含んでいる(最先端の部品であるため、図にも発明の詳細な説明にも記載されていない。)。
【0031】
コンクリート打設手段は、以前に組み立てられた、コンクリート打設ステーション16に対して横方向に固定された状態で並べられたコンクリートミキサー26を含んでいる(コンクリートミキサー26は、実際のコンクリート打設ステーション16の中に設けられ、その一部であってもよい。)。そうすれば、この実施形態において、好ましくは、コンクリート打設手段の一部でもある自走式分配台車40によって、各型枠24の中にコンクリートミキサー26からコンクリートを流し込むことができる。分配台車40の代替手段または補完手段として、(図示されていない)管状または半管状コンジットを用いることができる。
【0032】
調整ステーション18は、以前に型枠24から取り出されて、コンクリート打設ステーション16から運ばれた4つの半製品パネル38と共に示されている。
【0033】
調整ステーション18において、半製品パネル38は、最終加工(研磨および/または塗装および/またはラッカー塗装等)を受けてもよい。さらに、調整ステーション18において、半製品パネル38は、例えば、アイボルトまたは他のパネルへの他の取り付け手段等の適切な仕上げ付属品を備えていてもよい。最終加工に必要な材料は、工場10に対して横方向に調整ステーション18に入る。
【0034】
補強ステーション14、コンクリート打設ステーション16及び調整ステーション18は、工場10の運転セクションを構成している。運転セクション14、16、18は、厚さ20cmのコンクリートスラブ28の上に建てられている。
【0035】
最後に、保管ステーション20は、配送のために複数の製品パネル32を規則的な方法で保管する。
【0036】
工場10は、コンクリートスラブ28に対して直接固定された軌条42上を走行する2つのガントリ30と、5つの車輪走行型自走式ガントリ30’とで構成されているホイスト手段を有する。
【0037】
さらに、当該実施形態において、アスファルト舗装領域34は、運転セクション14、16、18に対して横方向に連続して設けられている。さらに、工場10は、操作者の職場環境を容易に改善するため、全運転セクション14、16、18と一部のアスファルト舗装領域34の上に延びる折り畳み式か、モジュール式の天蓋、または、固定屋根36を有する。
【0038】
ここで、図3および4を参照すると、本願発明によれば、これら図面は、建設現場における風力発電機支持塔の建設用プレキャストコンクリートパネルを成形するための工場100の第2の実施形態を示している。
【0039】
工場100は、2つの補強ステーション114と1つのコンクリート打設ステーション116を有し、両者は製造ラインの方向に細長く、互いに平行であり、その後に調整ステーション118と保管ステーション120が順に基本的に直線状に続いている。
【0040】
各補強ステーション114には、3つの支持構造体122が製造ラインの方向に縦に並んでいる。支持構造体122は、工場100に対して横方向に鉄筋状要素を受け取る。それから、鉄筋状要素を結合してかごにする。さらに、補強ステーション114は、鉄筋状要素を互いに結合するための溶接手段を任意で有してもよい。しかし、かごは、公知の最先端の方法で鉄筋状要素を互いに結束して作るのが好ましい。
【0041】
コンクリート打設ステーション116には、6つの蒸気硬化型枠124が、それぞれ3つの型枠24が二列になって製造ラインの方向に縦に設置されている。型枠124は、(図示されていない)固定手段によって互いに連結された4つの部品に分解される。
【0042】
型枠124は、補強ステーション114で作成されたかごを受け取って、続いて、型枠124の中にコンクリートを流し込み、流し込まれたコンクリートを固まるまで放置して、最後に、固まった部品138(この場合、風力発電機支持塔の建設用の半製品パネル)を型枠124から取り出す。
【0043】
成形のため、各型枠124は、主要型枠体、該主要型枠体に対向するもう一方の型枠および蒸気硬化キャンバスを含んでいる(最先端の部品であるため、図にも発明の詳細な説明にも記載されていない。)。
【0044】
図3および4に示すように、かかる実施形態において、補強ステーション114は、補強ステーション114の間に配置されたコンクリート打設ステーション116と平行である。
【0045】
かかる工場100は、完全に移動可能なコンクリート打設手段、具体的に言うと、補強ステーション114に対して横方向に移動する2台のコンクリートミキサートラック126からなるものを備える。そうすれば、コンクリートミキサートラック126から各型枠124にコンクリートを直接流し込むことができる。
【0046】
また、コンクリートを型枠124に流し込むとコンクリートの中に予め決められた方法で埋め込まれる、次のパネルの組立に適した波形シースを、補強ステーション114またはコンクリート打設ステーション116に任意に準備してもよい。
【0047】
当該技術分野において公知の方法で、補強ステーション114またはコンクリート打設ステーション116は、コンクリートを流し込んで固める前に型枠の中に配置され、コンクリートを流し込んで固めると引っ張られる、シースに入れられたプレストレステンドンや該プレストレステンドンを引っ張るプレストレス実行手段などのプレテンション補強用プレストレス手段を任意に備えていてもよい。
【0048】
調整ステーション118は、以前に型枠124から取り出されてコンクリート打設ステーション116から運ばれた2つの半製品パネル138と共に示されている。
【0049】
調整ステーション118において、半製品パネル138は、最終加工(研磨および/または塗装および/またはラッカー塗装等)を受けてもよい。さらに、調整ステーション118において、半製品パネル138は、例えば、アイボルトまたは他のパネルへの他の取り付け手段等の適切な仕上げ付属品を備えていてもよい。最終加工に必要な材料は、工場100に対して横方向に調整ステーション118に入る。
【0050】
上述の代わりに、プレストレス実行手段は、調整ステーション118の中に設けることが好ましい。
【0051】
補強ステーション114、コンクリート打設ステーション116及び調整ステーション118は、工場100の運転セクションを構成している。運転セクション114、116、118は、厚さ20cmのコンクリートスラブ128の上に建てられている。
【0052】
最後に、保管ステーション120は、配送や次の組立のために規則的な方法で複数の製品パネル132を保管する。
【0053】
工場100は、運転セクション114、116、118に対して横方向に移動する2本のブームクレーントラック130で構成されているホイスト手段を有する。
【0054】
加えて、当該実施形態において、工場100は、操作者の職場環境を容易に改善する2つの可動屋根136を有する。可動屋根136は、運転セクション114、116、118がそれぞれ一直線になって隣接する平行な経路で製造ラインの方向に、コンクリートスラブ128に直接的に形成された軌条134上をスライドする。当該実施形態において、各可動屋根136は、型枠124と実質的に同じ長さを持つ軌条134の方向に延びている。
【0055】
当然、本願発明の本質が同じであれば、実施形態の詳細は、本願において限定しない例によって簡単に説明され、図示されたものについて、添付された特許請求の範囲によって定義された保護範囲から逸脱することなく、大幅に変更可能である。
【0056】
基本的に、補強ステーション、コンクリート打設ステーション、調整ステーションおよび保管ステーションは、好ましくは、工場の輪郭が建設現場における使用可能な面に適応するように、所定の方向および相対的位置に配置することが可能である。同様に、補強ステーションにおける支持構造体、コンクリート打設ステーションにおける型枠、調整ステーションにおける半製品パネルおよび保管ステーションにおける製品パネルは、好ましくは、工場の輪郭が建設現場における利用可能な面に適応するように、所定の個数を所定の方向へ所定の場所に配置することが可能である。さらに、補強ステーションにおける支持構造体およびコンクリート打設ステーションにおける型枠は、得られた製品に適合する寸法(幅、長さ、曲線等)を備えている。これは全て、事前に決められた生産量の要求を満たすように明らかに実行される。
【0057】
同様に、工場が1つまたは複数の屋根を有する場合、これらの屋根は、固定または可動のいずれかによらず、工場の形態に合うような所定の方法で寸法を決めて配置することができる。
【0058】
当然ながら、本願発明による2つまたはそれ以上の工場は、それによって本願発明の範囲から逸脱することなく、単一の製造ユニットを形成するように組み合わせることが可能である。
【0059】
さらに、例えば鉄筋状要素などの供給品および調整材料は、同様に工場の形態に最も適した方法で工場に入れることができる。例えば、本願発明による互いに組み合わされた複数の工場により形成された上述の製造ユニットの場合、工場が製造ラインの方向におおむね細長ければ、ほとんどの供給品は製造ラインの始めと終わりにある入り口を通して入れるのが適切な場合もある。
【0060】
最後に、当然のことであるが、ここで使用されている「鉄筋状要素」という用語は、引張応力に対して特性を向上させるためにコンクリート部分に埋め込まれるような、当該技術分野で使用されている、所定の中実の鉄筋状体、補強、鉄筋、平滑棒鋼、波形棒鋼、スチールコード、ストランド等を意味することが意図されている。
【符号の説明】
【0061】
10、100 工場、12 入り口、14、114 補強ステーション、16、116 コンクリート打設ステーション、18、118 調整ステーション、20、120 保管ステーション、22、122 支持構造体、24、124 蒸気硬化型枠 26、126 コンクリート打設手段、28、128 コンクリートスラブ、30、30’、130 ホイスト手段、32、132 製品パネル、34 アスファルト舗装領域、134 軌条、36 折り畳み式、モジュール式天蓋または固定屋根、136 可動屋根、38、138 半製品パネル、40 分配台車、42 軌条

【特許請求の範囲】
【請求項1】
風力発電機支持塔の建設用プレキャストコンクリートパネルを成形するのための工場(10、100)であって、
前記風力発電機支持塔は、シースやコンクリートや仕上げ付属品の有無によらず、パッシブな鋼材または鉄筋状要素を使用する上に、アクティブなプレストレス鋼材を使用しており、
前記工場(10、100)は、ホイスト手段(30、30’、130)やコンクリート打設手段(26、126)を含み、
また、前記工場(10、100)は、
かごを作成するための少なくとも1つの支持構造体(22、122)を備える、少なくとも1つの補強ステーション(14、114)と、
前記型枠(24、124)の中への前記かごのひとつを取り付け、前記型枠(24、124)にコンクリートを打設し、前記型枠(24、124)の中の前記コンクリートを硬化し、前記型枠から硬化部品(半製品パネル)(38、138)を取り出すための、主要型枠体と該主要型枠体に対向するもう一方の型枠と蒸気硬化キャンバスとを含む、少なくとも1つの蒸気硬化型枠を備える、少なくとも1つのコンクリート打設ステーション(16、116)と、
前記半製品パネル(38、138)の仕上げ加工のため、および/または、前記半製品パネルに仕上げ付属品を付けるための、少なくとも1つの調整ステーション(18、118)と、
製品パネル(32、132)の保管のための少なくとも1つの保管場所と、
を含み、
前記補強ステーション(14、114)、前記コンクリート打設ステーション(16、116)および前記調整ステーション(18、118)の底部は、圧縮された土地に直接形成された、すなわち、圧縮された土地に対する基礎やアンカー等がないコンクリートスラブ(28、128)を含み、
前記ホイスト手段(30、30’、130)は、土台がないホイスト手段であり、
前記型枠体は、固定手段によって互いに連結された、少なくとも2つの部品に分けられ、
前記反型枠は、固定手段によって互いに連結された、少なくとも2つの部品に分けられる
ことを特徴とする工場。
【請求項2】
さらに、プレストレス実行手段やプレストレステンドンなどのプレストレス手段を有する
ことを特徴とする請求項1に記載の工場。
【請求項3】
前記プレストレス実行手段は、プレテンション補強の場合には前記コンクリート打設ステーション(16、116)の中に、また、ポストテンション補強の場合には前記調整ステーション(18、118)の中に設けられる
ことを特徴とする請求項2に記載の工場。
【請求項4】
土台がない前記ホイスト手段(30、30’、130)の全部または一部は可動であり、および/または、前記コンクリート打設手段の全部または一部は可動である
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の工場。
【請求項5】
前記ホイスト手段は、1つまたは複数のブームクレーントラック(130)、および/または、1つまたは複数の軌条(42)走行型ガントリ(30)、および/または、1つまたは複数の車輪走行型ガントリ(30’)を含む
ことを特徴とする請求項4に記載の工場。
【請求項6】
少なくとも1つの前記軌条(42)走行型ガントリ(30)、および/または、少なくとも1つの前記車輪走行型ガントリ(30’)は、自走式である
ことを特徴とする請求項5に記載の工場。
【請求項7】
前記コンクリート打設手段は、1つまたは複数のコンクリートミキサートラック(126)、または、ポンプ装置などの複数のコンクリート分配装置を含む
ことを特徴とする請求項4に記載の工場。
【請求項8】
前記コンクリートスラブ(28、128)は、現場で単一の部品に形成されている
ことを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の工場。
【請求項9】
前記コンクリートスラブ(28、128)は、好ましくは、少なくとも15cm、多くとも25cmの厚みを有する
ことを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の工場。
【請求項10】
さらに、前記補強ステーション(14、114)および/または前記コンクリート打設ステーション(16、116)および/または前記調整ステーション(18、118)を少なくとも部分的に覆う、折畳み式またはモジュール式天蓋または固定屋根(36)を少なくとも1つ有する
ことを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載の工場。
【請求項11】
さらに、前記補強ステーション(14、114)、前記コンクリート打設ステーション(16、116)および前記調整ステーション(18、118)を少なくとも部分的に覆う可動式屋根(136)を少なくとも1つ有する
ことを特徴とする請求項1から10のいずれか1項に記載の工場。
【請求項12】
前記可動屋根(136)は、前記コンクリートスラブ(128)に直接的に形成された軌条(134)上を製造ラインの方向にスライドして、前記軌条(134)の方向に実質的に型枠(124)と同じ長さまで伸びる
ことを特徴とする請求項11に記載の工場。
【請求項13】
請求項1から12のいずれか1項に記載の風力発電機支持塔の建設用プレキャストコンクリートパネルを成形するための工場を操業する方法であり、
前記方法は、
前記工場を製造される前記パネルよりも小さな初期ユニットに分解した状態で製造現場に置く工程と、
前記初期ユニットを製造される前記パネルの前記搬送場所に近い建設現場へ運ぶ工程と、
前記建設現場で前記初期ユニットを組み立てて前記工場にする工程と、
組み立てられた前記工場によって前記適当なパネルを製造する工程と、
前記製品パネルよりも小さな最終ユニットに分解された状態になるまで工場を前記建設現場で分解する工程と、
仕向地へ前記最終ユニットを搬送して前記建設現場を工場の組み立て前と基本的に同じ状態にしておく工程と、
を有することを特徴とする方法。
【請求項14】
前記仕向地は、前記製造現場である
ことを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記仕向地は、他の建設現場である
ことを特徴とする請求項13に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2013−512132(P2013−512132A)
【公表日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−541341(P2012−541341)
【出願日】平成22年11月29日(2010.11.29)
【国際出願番号】PCT/EP2010/007225
【国際公開番号】WO2011/063983
【国際公開日】平成23年6月3日(2011.6.3)
【出願人】(512141655)イネオ・トーレス・ソシエダッド・リミターダ (1)
【氏名又は名称原語表記】INNEO TORRES,S.L.
【Fターム(参考)】