説明

風力発電設備を目立たせるための装置

本発明は風力発電設備、特に風力発電設備用の航空障害物マーカーに関する。本発明の目的は、容易に改変可能であり、かつ色で目立つようにされたブレードの不都合を排除する簡便な日中マーカーを提供することである。本発明はまた、風力発電設備の一時的なシグナルマーキングのための装置に関する。当該装置は、規定の色彩デザインを有する外皮、および風力発電設備のローターブレードに外皮を取り外し可能に固定するための着脱式固定手段を具備してなり、外皮は取り付けられた際、少なくとも部分的にローターブレードを包み込む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は風力発電設備に関し、特に飛行障害物としての風力発電設備の識別手段に関する。
【背景技術】
【0002】
そうした識別手段に関しては以前から言及されており、それは基本的に日中識別および夜間識別に基づいて区分されている。夜間識別手段は常に赤色で点灯しているのに対して、日中識別手段は、白色光を用いて、あるいはその代わりにローターブレード上の着色(赤/白)マーキングを用いて選択的に実施可能である。これらカラーマーキング(シグナルマーキング)は、目下の建築要件によれば、通常、ローターブレードチップを起点として赤色‐白色‐赤色と続くものであり、しかもこれらの部分のそれぞれは約6メートル以上の長さである必要がある。
【0003】
設備が主ネットワークから電力を供給できない構築中でさえ、日中に充電されるエネルギー貯蔵装置によって夜間識別を確実なものとすることができるが、それは不釣合いに高度の複雑さと高額の出費を伴うだけで白色ライトを用いた日中識別に関しても可能である。さらに言えば、それにも関わらず、赤色‐白色‐赤色で識別されたブレードを取り付けることは、明らかに、白色ライトを用いた日中識別手段を時代遅れのものとするであろうが、それは、ローターブレードの製造に関する費用が著しく増大することを意味する。
【0004】
一般的な従来技術に関しては、特許文献1および特許文献2を参照されたい。
【特許文献1】独国特許出願公開2004 006 595号明細書(DE2004 006 595 U1)
【特許文献2】独国特許発明第101 60 360号明細書(DE 101 60 360 B4)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、容易に改変することができ、しかもカラーマーキングによって識別されるブレードに係る不都合を回避する、簡便な日中識別手段を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、上記目的は請求項1に記載の特徴を有する装置によって達成される。有利な発展は従属請求項において言及されている。
【0007】
本発明は、風力発電設備のローターブレードの一時的カラーマーキング識別手段を提案するものである。
【0008】
この点に関して、本発明は、ローターブレードの着色マーキングによる日中識別手段は(一時的に必要なだけで)明らかに電気エネルギーを要さずに行えるという知見に基づくものである。それゆえ、適当に着色された形態のシースをローターブレードの上に引っ張って被せ、そしてこうしたシースを、風力発電設備が運転状態となったときあるいは風力発電設備用の電源が完成した後に再び外せば足りる。
【0009】
上記シースは好ましくは、その着色形態が、飛行障害物のための識別要件を既に満たしているように設計される。
【0010】
本発明の好ましい実施形態ではケーブルが固定手段として使用され、それはシースの開口部からローターブレード根部までの間隔に掛け渡すことができ、しかもそれは、ローターブレード根部の領域における、あるいはたとえばハブフェアリングに対する確実な固定状態をもたらすのに十分な長さを有する。
【0011】
シースの開口部の縁部が特別な抗断裂特性を有するものでありかつ少なくとも一つの特別な抗断裂固定手段がそれに取り付けられるので、他の固定手段が破損した場合でさえ、シースの望ましくない離脱を阻止でき、したがってそれが制御不能に落下したり吹き飛ばされたりすること(これはほとんど不可避的にシースの損失を伴う)を阻止できる。
【0012】
本発明の特に好ましい展開に関して、シースの内面には、ローターブレード表面よりも軟質な素材を具備してなる詰め物(クッション)が設けられる。これによって、ローターブレード表面がシースによって傷むのを確実に防止できる。さらに、シースは予め地上でローターブレードに引っ張って被着させることができ、しかもローターブレードを取り扱う際には保護シースとして既に機能できる。この場合、シースには、特にたとえばクレーンによってローターブレードが支持される位置において、特別に補強された状態でクッションを設けることができる。
【0013】
この目的のために、シースは、特に好ましくは実質的にローターブレードの全長にわたって延在するものであってもよい。こうすることで、ローターブレードの運搬に先行するかあるいはその後の付加的クッションの取り付けあるいは取り外しを排することができ、したがって作業を簡素化できる。その結果、たとえばクレーンハーネスによる損傷からローターブレードを保護するための適当な詰め物がもたらされる。
【0014】
シースの外側端部、すなわちローターブレードチップに存在する部分は常に赤色であるので、シースは、路上輸送に先立って、予めローターブレードに引っ張って被着させておくことができ、したがって輸送の間は付加的なあるいはまた必須の安全手段として機能させることができる。この場合、シースはまた、その閉塞端部において一つ以上のループ、あるいは反射体および/または照明装置を受けるための他の適当な保持手段(これを用いることで突出したローターブレード端部を輸送中にはっきりと目立たせることができる)を有していてもよいことが分かるであろう。
【0015】
本発明の有利な展開は従属請求項において言及されている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、図面を参照して本発明について詳しく説明する。
【0017】
図1に関して、同図に示すローターブレード10は、左側にローターブレードチップを、そして逆端に固定ボルト12を有する。ローターブレードは、この固定ボルト12を用いて、風力発電設備のハブに対して固定される。
【0018】
図2には本発明によるシース20を示す。ローターブレードチップを起点として、シース20は赤色部21、白色部22、そして再び赤色部21を有する。最後に言及した赤色部21においてシースは開放されており、そしてケーブル24,25の形態の固定手段が、開口周りで延在する縁部29に対して取り付けられている。
【0019】
シース20を確実に固定できるようにするため、ケーブル24,25は、それをシース20の縁部29とローターブレード根部との間の距離にわたって掛け渡すことができ、しかも確実な固定状態をもたらすことができるような長さとなっている。この場合、別のケーブル24が損傷したときでさえシースは必ず依然としてローターブレードに対してしっかりと保持され、したがってそれが制御不能に吹き飛び、ことによると周囲領域を危険にさらすことが確実に阻止されるよう、ケーブルの一方25を強化でき、しかもシースの開口部の縁部29を強化された特性を有するものとすることができる。
【0020】
図3には本発明によるシース20の代替実施形態を示す。この代替実施形態では、やはり、ローターブレードチップを起点として、赤色部21、白色部22、そして再び赤色部21が存在しており、これは、図2に示すシース20の第1実施形態がまさにそうであるが、日中識別に関する要件を満たすものである。
【0021】
だが、第2実施形態では、隣接した位置関係で、さらなる領域23が存在するが、その色付けは必ずしも規定されない。当該領域23はたとえば白色であってもよいが、透明にすることもできる。当該領域23には、例えばロゴあるいは風力発電設備および/またはローターブレードの製造業者に対するその他の参照事項を付与することさえ可能である。
【0022】
シース20の第2実施形態もまた一端において開放されており、しかもやはりケーブル24,25が固定手段として開放端部の縁部29に対して取り付けられていて、このケーブルによって、たとえばローターブレード根部の領域において、ハブに対してあるいはハブフェアリングに対してシース20を固定することが可能となることが分かるであろう。
【0023】
縁部29もまたやはり特別に強化でき、しかも特に丈夫なケーブル25を、別のケーブル24が破損した場合でさえ、シース20がローターブレードから離脱するのを確実に阻止するために設けることができることが分かるであろう。
【0024】
同図は、シース20の、白色領域22内の詰め物26および領域23内のさらなる詰め物27を示している。これら領域26,27は、例として、ローターブレードシース20の特別に強化された詰め物を示しているが、これは、シース20の完全な内部詰め物(図示せず)よりも大きくかつ丈夫である。この点に関して、これら強化領域26,27は、シース20がローターブレードに引っ張って被着させられた際に、ローターブレードがクレーンを用いて持ち上げられる位置、あるいはローターブレードを取り扱うためにブレード周りでクレーンハーネスが設けられる位置に正確に配置されるように設けられている。
【0025】
したがって、その運搬時にブレードを保護するために必然的に求められる作業工程、すなわちローターブレードに対するクッションの取り付けあるいはローターブレードからのクッションの取り外しを排することができ、作業手順がさらに合理化される。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】ローターブレードの概略図である。
【図2】本発明によるシースの第1実施形態の概略図である。
【図3】本発明によるシースの第2実施形態の概略図である。
【符号の説明】
【0027】
10 ローターブレード
12 固定ボルト
20 シース
21 赤色部
22 白色部
24,25 ケーブル
26,27 詰め物
29 縁部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
風力発電設備の一時的なシグナル識別のための装置であって、
所定の色が着けられた様態(21,22)を有するシース(20)を具備してなると共に、さらに前記シースを前記風力発電設備のローターブレードに対して取り外し可能に固定するための着脱式固定手段(24,25)を有しており、
固定時、前記シースは、少なくとも部分的に前記ローターブレードを包み込むようになっていることを特徴とする装置。
【請求項2】
前記シース(20)は交互に配置された赤色部分(21)および白色部分(22)を具備してなり、各部分(21,22)は所定の長さを有するものであることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記固定手段(24,25)はケーブルの形態であり、その長さは、前記ケーブルが前記シースの開放端部から前記ローターブレード根部までの距離にわたって延在し、さらに前記ローターブレード根部の領域における固定を可能とするようなものであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記シース(20)の開放端部における縁部(29)であって、特別な抗断裂特性を有する縁部(29)と、
前記縁部(29)に対して取り付けられた、少なくとも一つの特別な抗断裂固定手段(25)と、を具備してなることを特徴とする請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記ローターブレード(10)の表面よりも軟らかい素材を具備してなる詰め物を、前記シースの内部に備えることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の装置。
【請求項6】
輸送のために取り扱い手段が前記ローターブレード(10)に対して取り付けられる前記シースの位置に、特別に強化された詰め物(26,27)を具備してなることを特徴とする請求項4に記載の装置。
【請求項7】
前記シースの長さが前記ローターブレード(10)の長さに実質的に対応するものであることを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の装置。
【請求項8】
請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載の装置を具備してなることを特徴とする風力発電設備。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2008−510923(P2008−510923A)
【公表日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−528856(P2007−528856)
【出願日】平成17年8月25日(2005.8.25)
【国際出願番号】PCT/EP2005/054177
【国際公開番号】WO2006/029955
【国際公開日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【出願人】(500017944)アロイス・ヴォベン (107)
【Fターム(参考)】