説明

風力選別装置

【課題】 軽質廃棄物と重質廃棄物との選別能力の高い風力選別装置を提供する。
【解決手段】 ホッパー部10から投入された廃棄物は、落下して傾斜板19に衝突してほぐされ、重質廃棄物は重力によりベルトコンベア18上に転がり落ち、ほぐされた廃棄物の内、軽質廃棄物は、噴射ノズル42から噴出した圧縮空気により傾斜板19上から軽質廃棄物排出口21に吹き込まれる。さらに、ベルトコンベア18上に転がり落ちた重質廃棄物に付着しているビニール、プラスチック、紙等の軽質廃棄物は、噴射ノズル43から噴出した圧縮空気により、傾斜板19方向に吹き飛ばされて、軽質廃棄物排出口21に向けて吹き込まれ、第2選別室3内で、風力により土、砂等が除去される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、風力選別装置に関し、詳細には、廃棄物を可燃物を主体とする軽質廃棄物と、それ以外の重質廃棄物とに選別する風力選別装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、廃棄物中に混在する、紙、繊維、プラスチック類、ビニール類等の可燃物を主体とする軽質廃棄物とそれ以外の重質廃棄物(例えば、コンクリート、比較的大きな木片、金属類、硝子ビン等)とを風力で選別する風力選別機が提案されている(例えば、特許文献1乃至3)。これらの従来の風力選別装置では、落下する廃棄物に空気を吹き付けて、遠くに飛ばされる軽質廃棄物と、直下に落下する重質廃棄物とを選別するようになっていた。
【特許文献1】特開平8−309286号公報
【特許文献2】特開平10−249282号公報
【特許文献4】特開平10−286525号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上述のような風力選別装置では、ビニール、プラスチック、紙等の軽質廃棄物と、コンクリート、硝子ビン、岩石、金属、土、砂等の重質廃棄物とが単に混在しているだけなら、選別することも可能であるが、軽質廃棄物が重質廃棄物に絡みついている場合や、これらが混合した廃棄物が土中に埋められていて、軽質廃棄物に土や砂等が付着している場合には、軽質廃棄物だけをきれいに選別できないという問題点があった。この場合には、軽質廃棄物をきれいに選別できないので、軽質廃棄物も最終処分場に埋めざるをえないという問題点があった。
【0004】
本発明は、上述の問題点を解決するためになされたものであり、軽質廃棄物と重質廃棄物との選別能力が高い風力選別装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の風力選別装置は、廃棄物を投入する投入口を備え、風力により前記廃棄物を可燃物を主体とする軽質廃棄物と、それ以外の重質廃棄物とに選別する第1選別室と、当該第1選別室に接続され当該第1選別室で選別された軽質廃棄物に付着した土又は砂を主体とした付着物を当該軽質廃棄物から除去する第2選別室とを備えた風力選別装置であって、前記投入口は前記第1選別室の上部の前記第2選別室近傍の部分に設けられ、さらに、前記第1選別室は、当該第1選別室の前記第2選別室側の壁部に設けられ、前記軽質廃棄物を前記第2選別室に投入する軽質廃棄物排出口と、当該第1選別室内の底部側に設けられ、落下した前記重質廃棄物を前記軽質廃棄物排出口側方向と反対側方向に搬送して当該第1選別室外に搬送する重質廃棄物搬送手段と、前記投入口の直下に設けられ、上端部が前記軽質廃棄物排出口まで延設され且つ下端部が前記重質廃棄物搬送手段上まで延設され、且つ、落下してくる廃棄物が衝突する傾斜板と、当該傾斜板に向けて、前記軽質廃棄物排出口と反対方向から圧縮空気を噴射する第1圧縮空気噴射手段と、前記重質廃棄物搬送手段により搬送される廃棄物に対して、前記軽質廃棄物排出口と反対方向から圧縮空気を噴射する第2圧縮空気噴射手段と、前記投入口の近傍に設けられ、前記軽質廃棄物排出口方向に空気を送風する吹出防止送風手段とを備え、前記第2選別室は、前記第1選別室の軽質廃棄物排出口から前記軽質廃棄物を受け入れる軽質廃棄物受入口と、前記軽質廃棄物受入口から受け入れられた前記軽質廃棄物から前記付着物を風力により除去する付着物除去手段と、前記軽質廃棄物を前記軽質廃棄物受入口と反対方向に搬送して当該第2選別室外に搬送する軽質廃棄物搬送手段とを備えている。
【0006】
請求項2に記載の風力選別装置は、請求項1に記載の発明の構成に加え、前記付着物除去手段は、前記軽質廃棄物受入口と前記軽質廃棄物搬送手段との間に設けられ、多数の開口が形成された網板と、当該網板の下方に設けられ、当該網板上を通過する前記軽質廃棄物に対して送風する付着物除去送風手段とから構成されている。
【0007】
請求項3に記載の風力選別装置は、請求項2に記載の発明の構成に加え、前記軽質廃棄物搬送手段の搬送方向下流側の前記第2選別室の上部には、当該第2選別室の内部の空気を外部に排出するための第2選別室排気口が設けられ、当該第2選別室排気口には、排出される空気を前記付着物除去送風手段に送るための第1ダクトが設けられている。
【0008】
請求項4に記載の風力選別装置は、請求項1乃至3の何れかに記載の発明の構成に加え、前記軽質廃棄物搬送手段は、ベルトコンベアから構成され、当該ベルトコンベアは、前記第2選別室外にその搬送方向下流側の一部分をはみ出して設けられ、前記第2選別室外に出た前記ベルトコンベアの一部分には、防塵カバーが設けられ、当該防塵カバーには、当該防塵カバー内の空気を外部に排出するための防塵カバー排気口が設けられ、当該防塵カバー排気口には、排出される空気を前記吹出防止送風手段に送るための第2ダクトが設けられていることを特徴とする。
【0009】
請求項5に記載の風力選別装置は、請求項1乃至4の何れかに記載の発明の構成に加え、前記軽質廃棄物搬送手段の下方に、前記第2選別室の底板と所定間隔を空け、且つ、多数の開口が形成された敷板を備えている。
【0010】
請求項6に記載の風力選別装置は、請求項1乃至5の何れかに記載の発明の構成に加え、 前記傾斜板の下方の前記第1選別室の側壁部には、第1選別室下部排気口が設けられ、当該第1選別室下部排気口には、排出される空気を前記吹出防止送風手段に送るための第3ダクトが設けられている。
【0011】
請求項7に記載の風力選別装置は、廃棄物を投入する投入口を選別室に備え、風力により前記廃棄物を可燃物を主体とする軽質廃棄物と、それ以外の重質廃棄物とに選別し、前記選別室の側壁部の上部側に設けた軽質廃棄物排出口から軽質廃棄物を排出する風力選別装置であって、前記投入口は前記選別室の上部の前記軽質廃棄物排出口近傍の部分に設けられ、当該選別室内の底部側に設けられ、落下した前記重質廃棄物を前記軽質廃棄物排出口側方向と反対側方向に搬送して当該選別室外に搬送する重質廃棄物搬送手段と、前記投入口の直下に設けられ、上端部が前記軽質廃棄物排出口まで延設され且つ下端部が前記重質廃棄物搬送手段上まで延設され、落下してくる廃棄物が衝突する傾斜板と、当該傾斜板に向けて、前記軽質廃棄物排出口と反対方向から圧縮空気を噴射する第1圧縮空気噴射手段と、前記重質廃棄物搬送手段により搬送される廃棄物に対して、前記軽質廃棄物排出口と反対方向から圧縮空気を噴射する第2圧縮空気噴射手段と、前記投入口の近傍に設けられ、前記軽質廃棄物排出口方向に空気を送風する吹出防止送風手段とを備えている。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に記載の風力選別装置では、投入口から投入された廃棄物は落下して、傾斜板に衝突する。この衝突のエネルギーにより廃棄物は、ほぐされることになる。そして、第1圧縮空気噴射手段から噴射される圧縮空気により、軽質廃棄物は傾斜板上から軽質廃棄物排出口まで吹き飛ばされる。また、重質廃棄物は重力により傾斜板上から重質廃棄物搬送手段上に落ちて、重質廃棄物搬送手段により軽質廃棄物排出口側方向と反対側方向に搬送されるが、その重質廃棄物搬送手段上の重質廃棄物に対して、第2圧縮空気噴射手段が軽質廃棄物排出口と反対方向から圧縮空気を噴射するので、重質廃棄物搬送手段上の重質廃棄物に付着している軽質廃棄物は、軽質廃棄物排出口方向に吹き飛ばされる。また、吹出防止送風手段により、投入口から外に軽質廃棄物が吹き出されるのを防止できる。そして、軽質廃棄物排出口から第2選別室の軽質廃棄物受入口を介して、受け入れられた軽質廃棄物から付着物除去手段が付着物を風力により除去し、その軽質廃棄物を軽質廃棄物搬送手段が軽質廃棄物受入口と反対方向に搬送して当該第2選別室外に搬送する。従って、軽質廃棄物が重質廃棄物に絡みついている場合や、これらが混合した廃棄物が土中に埋められていて、軽質廃棄物に土や砂等が付着している場合でも、軽質廃棄物と重質廃棄物と選別能力を高くできるという効果を奏する。このように、軽質廃棄物と重質廃棄物とを確実に選別できれば、軽質廃棄物は焼却処分にし、重質廃棄物は、さらに振動式風力選別装置等で、コンクリート、石、土、砂等に選別して資源化を図ることも可能となる。従って、廃棄物を最終処分場に埋め立てる必要も無くなるし、また、最終処分場に埋め立てられている廃棄物を掘り出して、軽質廃棄物を選別して焼却処分及び重質廃棄物の資源化を図ることも可能になる。
【0013】
また、請求項2に記載の風力選別装置では、請求項1に記載の発明の効果に加え、軽質廃棄物受入口と軽質廃棄物搬送手段との間に設けられ、多数の開口が形成された網板の下方に設けられた付着物除去送風手段から当該網板上を通過する軽質廃棄物に対して送風して、当該軽質廃棄物に付着した土や砂等の付着物を除去することができる。従って、簡単な構造で、第1選別室で一旦選別された軽量廃棄物から土や砂等の付着物を除去することができる。
【0014】
また、請求項3に記載の風力選別装置では、請求項2に記載の発明の効果に加え、軽質廃棄物搬送手段の搬送方向下流側の第2選別室の上部には、第2選別室の内部の空気を外部に排出するための第2選別室排気口が設けられ、第2選別室排気口には、排出される空気を付着物除去送風手段に送るための第1ダクトが設けられているので、第2選別室内の空気は、循環されて、空気中に放出されることがないので、風力選別装置の周りの環境を埃等で汚染することがない。
【0015】
また、請求項4に記載の風力選別装置では、請求項1乃至3の何れかに記載の発明の効果に加え、軽質廃棄物搬送手段としてのベルトコンベアは、第2選別室外にその搬送方向下流側の一部分をはみ出して設けられているが、この第2選別室外に出たベルトコンベアの一部分には、防塵カバーが設けられ、当該防塵カバーには防塵カバー内の空気を外部に排出するための防塵カバー排気口が設けられ、当該防塵カバー排気口には、排出される空気を吹出防止送風手段に送るための第2ダクトが設けられているので、軽質廃棄物搬送手段から埃や、土や、砂等が空気中に放出されて風力選別装置の周りの環境を汚染することがない。
【0016】
また、請求項5に記載の風力選別装置では、請求項1乃至4の何れかに記載の発明の効果に加え、軽質廃棄物搬送手段の下方に設けられ、第2選別室の底板と所定間隔を空け、且つ、多数の開口が形成された敷板から、土や砂は落下して、第2選別室の底部に集められる。従って、付着物だった土や砂を容易に取り除くことができる。
【0017】
また、請求項6に記載の風力選別装置では、請求項1乃至5の何れかに記載の発明の効果に加え、傾斜板の下方の第1選別室の側壁部には、第1選別室下部排気口が設けられ、第1選別室下部排気口には、排出される空気を前記吹出防止送風手段に送るための第3ダクトが設けられているので、傾斜板の下方の第1選別室内の空気は第1選別室内に循環される。
【0018】
また、請求項7に記載の風力選別装置では、投入口から投入された廃棄物は落下して、傾斜板に衝突する。この衝突のエネルギーにより廃棄物は、ほぐされることになる。そして、第1圧縮空気噴射手段から噴射される圧縮空気により、軽質廃棄物は傾斜板上から軽質廃棄物排出口まで吹き飛ばされる。また、重質廃棄物は重力により傾斜板上から重質廃棄物搬送手段上に落ちて、重質廃棄物搬送手段により軽質廃棄物排出口側方向と反対側方向に搬送されるが、その重質廃棄物搬送手段上の重質廃棄物に対して、第2圧縮空気噴射手段が軽質廃棄物排出口と反対方向から圧縮空気を噴射するので、重質廃棄物搬送手段上の重質廃棄物に付着している軽質廃棄物は、軽質廃棄物排出口方向に吹き飛ばされる。また、吹出防止送風手段により、投入口から外に軽質廃棄物が吹き出されるのを防止できる。従って、軽質廃棄物が重質廃棄物に絡みついている場合や、これらが混合した廃棄物が土中に埋められていて、軽質廃棄物に土や砂等が付着している場合でも、軽質廃棄物と重質廃棄物とを確実に選別できるという効果を奏する。このように、軽質廃棄物と重質廃棄物とを確実に選別できれば、軽質廃棄物は焼却処分にし、重質廃棄物は、さらに振動式風力選別装置等で、コンクリート、石、土、砂等に選別して資源化を図ることも可能となる。従って、廃棄物を最終処分場に埋め立てる必要も無くなるし、また、最終処分場に埋め立てられている廃棄物を掘り出して、選別して焼却処分及び資源化を図ることも可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の一実施の形態である風力選別装置1について、図面を参照して説明する。尚、風力選別装置1は、廃棄物中に混在する、紙、繊維、廃プラスチック類、ビニール類等の可燃物を主体とする軽質廃棄物とそれ以外の重質廃棄物(例えば、コンクリート、石、比較的大きな木片、金属類、硝子ビン、土、砂等)とを風力で選別する風力選別機である。以下、図1乃至図8を参照して、風力選別装置1の詳細を説明する。ここで、図1は、風力選別装置1の全体構成を示す正面図であり、図2は、風力選別装置1の縦断面図であり、図3は、第1選別室2の平面図であり、図4は、第1選別室2の左側面図であり、図5は、第1選別室2の右側面図であり、図6は、第2選別室3の平面図であり、図7は、第2選別室3の左側面図であり、図8は、第2選別室3の右側面図である。
【0020】
まず、図1及び図2を参照して、風力選別装置1の全体構成を説明する。この風力選別装置1は、軽質廃棄物と重質廃棄物とが混在した廃棄物が最初に投入されて、圧縮空気により軽質廃棄物と重質廃棄物とに選別される第1選別室2と、当該第1選別室2で選別された軽質廃棄物に付着した土や砂等の付着物を風力により除去する第2選別室3とから構成されている。なお、第1選別室2で選別された重質廃棄物は、図1に示す磁選機4で、磁力により鉄系の金属が選別され、その後、図示外の傾斜した振動する金網の上に重質廃棄物が上部から流されて、土や砂と、コンクリートや石等とが選別される振動式選別装置により選別が行われるようになっている。また、第2選別室3で付着物が風力により除去された軽質廃棄物は、図示外の水洗装置により水洗されて汚れが除去されるようになっている。また、図1及び図2に示すように、風力選別装置1では、第1選別室2と第2選別室3とは、一直線に配置され、軽質廃棄物が第1選別室2から排出される軽質廃棄物排出口21のダクト22が第2選別室3の軽質廃棄物受入口31に嵌合している。そして、図1において、重質廃棄物は、左側へ、軽質廃棄物は、右側へ排出されるようになっている。
【0021】
次に、図1乃至図5を参照して、第1選別室2の構造の詳細を説明する。この第1選別室2は、本体が鋼板製の一部切り欠きを有する略直方体形状で、その上部の第2選別室3側に、廃棄物が最初に投入される投入口であるホッパー部10が設けられている。そして、第1選別室2の図1に示す右側に第2選別室3が接続されるようになっている。
【0022】
このホッパー部10は、図1乃至図2に示すように、上下が開放された直方体から成る基部11にホッパー12が固着され、その上部には正面に開口部14を有し、下部が開放された略直方体の鋼板製の防塵カバー13が設けられ、防塵カバー13の開口部14には、ゴム製のすだれ14Aが設けられ、図4に示すように、廃棄物をホッパー部10に運搬するベルトコンベア15の先端が防塵カバーの開口部14に挿入された場合に、廃棄物が外部に出ないようになっている。また、この防塵カバー13は、ホッパー12に着脱可能に図示外のボルトで固定されており、防塵カバー13を外せば、ホッパー12の上部からパワーシャベル等による廃棄物の投入も可能となっている。
【0023】
また、図3に示すように、ホッパー部10の基部11には、ホッパー12に投入された廃棄物の内、軽質廃棄物が第1選別室2内から外へ吹き戻されるのを防止する吹出防止送風ファン16,17が設けられている。この吹出防止送風ファン16,17は、ホッパー12の下部近傍に設けられ軽質廃棄物排出口21に向けて斜め下に送風している。従って、軽質廃棄物が第1選別室2内で浮き上がっても、軽質廃棄物排出口21に向けて吹出防止送風ファン16,17が送風しているので、軽質廃棄物は、軽質廃棄物排出口21に向かいホッパー12から外に吹き戻されることがない。
【0024】
次に、第1選別室2の内部構造について図1及び図2を参照して説明する。図1及び図2に示すように、第1選別室2の底部には、重質廃棄物搬送手段としてのベルトコンベア18が設けられ、その搬送方向上流側18Aに落下した重質廃棄物がベルトコンベア18上を搬送されて、第1選別室2外の搬送方向下流側18Bに搬送されて、磁選機4により、鉄系の金属が除去されるようになっている。尚、図4及び図5に示すように、第1選別室2内には、重質廃棄物をベルトコンベア18上に向かって落下させる傾斜した鋼板製の傾斜板23,24がベルトコンベア18に沿って設けられている。この傾斜板23,24により、重質廃棄物は、確実にベルトコンベア50上に案内されることになる。
【0025】
ホッパー12の直下には、ホッパー12から落下する廃棄物が衝突する強度の十分ある鋼板製平板の傾斜板19が設けられている。この傾斜板19は、軽質廃棄物排出口21の下端部からベルトコンベア18の搬送方向上流側18Aまで延設されており、ホッパー12から落下する廃棄物が傾斜板19に衝突してほぐされて、重質廃棄物は、ベルトコンベア18上に重力により転がり落ちるようになっている。また、傾斜板19の裏側には、風力選別装置1内の傾斜板19裏の空気を吹出防止送風ファン16に送るための排気口61が設けられ、排気口61と吹出防止送風ファン16との間は、ダクト85により接続されている。
【0026】
また、図1に示すように、風力選別装置1の正面には、内部を覗くためと、明かり取りのための覗窓25が設けられ、図4に示すように、風力選別装置1の左側面には、内部を覗くための覗窓26が設けられている。
【0027】
また、第1選別室2の内部には、傾斜板19に向けて、軽質廃棄物排出口と反対方向、即ち、重質廃棄物の排出方向側から(図1及び図2に示す左側から)圧縮空気を噴射する第1圧縮空気噴射手段として、水平に一対配置された噴射ノズル42,42が設けられている。この噴射ノズル42,42の先端は、傾斜板19に向かっている。従って、噴射ノズル42,42から噴出した圧縮空気は、傾斜板19に向かって噴射され、傾斜板19に衝突してほぐされた廃棄物中から軽質廃棄物を軽質廃棄物排出口21に向けて吹き込むようになっている。
【0028】
さらに、第1選別室2の内部には、ベルトコンベア18上に向けて、軽質廃棄物排出口と反対方向、即ち、重質廃棄物の排出方向側から(図1及び図2に示す左側から)圧縮空気を噴射する第2圧縮空気噴射手段として、水平に一対配置された噴射ノズル43,43が設けられている。この噴射ノズル43,43の先端は、ベルトコンベア18上に向かっている。従って、噴射ノズル43,43から噴出した圧縮空気は、ベルトコンベア18により運搬される重質廃棄物に向かって噴射され、重質廃棄物に付着しているビニール、プラスチック、紙等の軽質廃棄物を傾斜板19方向に吹き飛ばすことができる。傾斜板19方向に吹き飛ばされた軽質廃棄物は、噴射ノズル42,42から傾斜板19に向けて噴射される圧縮空気により、軽質廃棄物排出口21に向けて吹き込まれるようになっている。尚、噴射ノズル43,43の先端の方向は、手動操作により一定範囲で変更可能となっている。
【0029】
また、図1及び図4に示すように、第1選別室2の上部には、圧縮空気を供給するパイプ42A,43A等が接続された圧縮空気供給部40が設けられ、圧縮空気供給部40には、パイプ42A,43Aを支えるパイプ保持部41が設けられている。尚、圧縮空気供給部40には、図示外のコンプレッサーから圧縮空気が供給されるようになっている。
【0030】
従って、第1選別室2では、ホッパー部10から投入された廃棄物は、落下して傾斜板19に衝突して、その衝突のエネルギーでほぐされ、重質廃棄物は重力によりベルトコンベア18上に転がり落ちる。また、傾斜板19に衝突してほぐされた廃棄物の内、軽質廃棄物は、噴射ノズル42,42から噴出した圧縮空気により傾斜板19上から軽質廃棄物排出口21に吹き込まれる。さらに、ベルトコンベア18上に転がり落ちた重質廃棄物に付着しているビニール、プラスチック、紙等の軽質廃棄物は、噴射ノズル43,43から噴出した圧縮空気により、傾斜板19方向に吹き飛ばされて、軽質廃棄物排出口21に向けて吹き込まれることになる。
【0031】
尚、第1選別室2の上面部の一部は、蝶番27,27により回動可能に保持されて、開閉可能となっている。
【0032】
次に、図1、図2、図6、図7及び図8を参照して、第2選別室3の構造の詳細について説明する。第2選別室3は、略直方体の鋼板製の箱形状に形成され、その正面部には、蝶番により観音開きに開閉可能な開閉扉32,33が設けられ、開閉扉32には、覗窓32A,32Bが設けられ、開閉扉33には、覗窓33A,33Bが設けられている。また、開閉扉32,33の下方には、内部に堆積した土や砂を取り出すための着脱可能な扉34,35が設けられている。さらに、図2に示すように、第2選別室3内で下から略1/3の高さの位置に土や砂が通過可能な開口部である網目を多数有した十分な強度を有する鉄製の網板から構成された敷板53が水平に固定されている。
【0033】
さらに、図2及び図7に示すように、第2選別室3の第1選別室2側の側面(左側面)には、軽質廃棄物受入口31が形成され、第1選別室2のダクト22が嵌合している。従って、第1選別室2の軽質廃棄物排出口21、ダクト22及び第2選別室3の軽質廃棄物受入口31を介して、軽質廃棄物が第1選別室2から第2選別室3に送り込まれるようになっている。
【0034】
また、第2選別室3には、軽質廃棄物搬送手段としてのベルトコンベア50が設けられている。このベルトコンベア50の搬送方向上流側50Aの底部は、敷板53に接しており、ベルトコンベア50の搬送方向下流側50Bは、第2選別室3の右側面の上部に設けられた軽質廃棄物排出口75から第2選別室3外にはみ出ている。そして、そのはみ出したベルトコンベア50の搬送方向下流側50Bは、第2選別室3の右側面の上部から延設された防塵カバー39により覆われている。そして、ベルトコンベア50で搬送された軽質廃棄物は、防塵カバー39の下部開口39Aから図示外の水洗装置内に落下して、水洗されるようになっている。
【0035】
軽質廃棄物受入口31の下端部とベルトコンベア50の搬送方向上流側50Aの上部との間には、多数の開口を有し、十分な強度を有する鉄製の網の板から構成された網板51が架設されている。図2において、この網板51の斜め左下(第1選別室側斜め下)には、網板51上を通過する軽質廃棄物に送風して、軽質廃棄物に付着した土や砂等を落とすための付着物除去ファン52が設けられている。この付着物除去ファン52は、図7に示すように、52A,52Bの一対設けられている。また、図7に示すように、第2選別室3内には、軽質廃棄物をベルトコンベア50上に向かって落下させ、土や砂は通過させる開口部を多数有し、傾斜した網板71,72がベルトコンベア50に沿って設けられている。網板71,72により、軽質廃棄物は、確実にベルトコンベア50上に案内されることになる。また、土や砂等の付着物は、網板51及び網板71,72の網目を通過して落下し、敷板53の網目を通過して、第2選別室3の底部に設けられた付着物回収部54に貯まる。尚、付着物回収部54に貯まった土や砂等の付着物は、扉34,35を取り外して、回収できる。
【0036】
また、図1及び図2に示すように、第2選別室3の上面部には、第2選別室3内の空気を排出する第2選別室排気口36,37が設けられ、防塵カバー39の上面部にも、防塵カバー39内の空気を排出する防塵カバー排気口38が設けられている。図6に示すように、第2選別室排気口36には、ダクト81が接続され、そのダクト81の先端部は付着物除去ファン52Bに接続されている。また、第2選別室排気口37には、ダクト82が接続され、そのダクト82の先端部は付着物除去ファン52Aに接続されている。従って、第2選別室3内の空気は、外部に排出されることなく、循環されて、環境を埃等で汚染することがない。
【0037】
さらに、図6に示すように、防塵カバー排気口38には、ダクト83が接続され、図3に示すように、そのダクト83の先端部は吹出防止送風ファン17に接続されている。従って、防塵カバー第2選別室3内の空気は、外部に排出されることなく、第1選別室2内に戻されて、環境を埃等で汚染することがない。
【0038】
また、第2選別室3の開閉扉33には、梯子70が設けられ、第2選別室3の上面に上れるようになっている。さらに、第2選別室3の上面には、滑り止めの縞鋼板76が貼られている。この縞鋼板76の貼り付け箇所は、上部全面でも、必要な箇所だけでも良い。
【0039】
以上説明したように本実施の形態の風力選別装置1では、第1選別室2内で、傾斜板19に衝突することによって廃棄物がほぐされて、そこに圧縮空気が噴射されて軽質廃棄物は、第2選別室3に吹き込まれる。また、ベルトコンベア18で搬送される重質廃棄物にも圧縮空気が噴射され、予め重質廃棄物に付着していたり、絡んでいた軽質廃棄物は、第2選別室3方向へ吹き飛ばされる。従って、従来の単純な風力選別に比べて、軽質廃棄物と重質廃棄物との選別能力が高く、土中に埋められていた様な廃棄物でも確実に軽質廃棄物と重質廃棄物とに選別できる。また、第2選別室3では、風力により、軽質廃棄物に付着した土や砂等の付着物を除去するようにしているので、軽質廃棄物をよりきれいな状態にできる。
【0040】
さらに、本実施の形態の風力選別装置1では、ダクト81,82,83,85を用いて、第1選別室2、第2選別室3、及び防塵カバー39内の空気を外部に排出せず、循環するようにしているので、風力選別装置1が設置された場所の周囲の環境を汚染することがない。さらに、第1選別室2と、第2選別室3とは、互いにダクト22部分で、切り離し可能と成っているので、第1選別室2及び第2選別室3を、各々、その上部角に設けたフックにワイヤーを掛けてつり上げて、移動可能となっている。
【0041】
尚、本発明は、上記実施の形態に限られず、各種の変形が可能である。例えば、吹出防止送風ファン16,17や、付着物除去ファン52A,52Bは、一対設けているが必ずしも一対に限られず、1つ又は3個以上でも良い。尚、第1選別室2内や第2選別室3内には、照明を設けても良い。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】風力選別装置1の全体構成を示す正面図である。
【図2】風力選別装置1の縦断面図である。
【図3】第1選別室2の平面図である。
【図4】第1選別室2の左側面図である。
【図5】第1選別室2の右側面図である。
【図6】第2選別室3の平面図である。
【図7】第2選別室3の左側面図である。
【図8】第2選別室3の右側面図である。
【符号の説明】
【0043】
1 風力選別装置
2 第1選別室
3 第2選別室
4 磁選機
10 ホッパー部
12 ホッパー
13 防塵カバー
16 吹出防止送風ファン
17 吹出防止送風ファン
18 ベルトコンベア
18A 搬送方向上流側
18B 搬送方向下流側
19 傾斜板
21 軽質廃棄物排出口
31 軽質廃棄物受入口
36 選別室排気口
37 選別室排気口
38 防塵カバー排気口
39 防塵カバー
40 圧縮空気供給部
41 パイプ保持部
42 噴射ノズル
43 噴射ノズル
50 ベルトコンベア
50A 搬送方向上流側
50B 搬送方向下流側
51 網板
52A 付着物除去ファン
52B 付着物除去ファン
53 敷板
61 排気口
75 軽質廃棄物排出口
81 ダクト
82 ダクト
83 ダクト
85 ダクト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
廃棄物を投入する投入口を備え、風力により前記廃棄物を可燃物を主体とする軽質廃棄物と、それ以外の重質廃棄物とに選別する第1選別室と、当該第1選別室に接続され当該第1選別室で選別された軽質廃棄物に付着した土又は砂を主体とした付着物を当該軽質廃棄物から除去する第2選別室とを備えた風力選別装置であって、
前記投入口は前記第1選別室の上部の前記第2選別室近傍の部分に設けられ、
さらに、前記第1選別室は、
当該第1選別室の前記第2選別室側の壁部に設けられ、前記軽質廃棄物を前記第2選別室に投入する軽質廃棄物排出口と、
当該第1選別室内の底部側に設けられ、落下した前記重質廃棄物を前記軽質廃棄物排出口側方向と反対側方向に搬送して当該第1選別室外に搬送する重質廃棄物搬送手段と、
前記投入口の直下に設けられ、上端部が前記軽質廃棄物排出口まで延設され且つ下端部が前記重質廃棄物搬送手段上まで延設され、且つ、落下してくる廃棄物が衝突する傾斜板と、
当該傾斜板に向けて、前記軽質廃棄物排出口と反対方向から圧縮空気を噴射する第1圧縮空気噴射手段と、
前記重質廃棄物搬送手段により搬送される廃棄物に対して、前記軽質廃棄物排出口と反対方向から圧縮空気を噴射する第2圧縮空気噴射手段と、
前記投入口の近傍に設けられ、前記軽質廃棄物排出口方向に空気を送風する吹出防止送風手段とを備え、
前記第2選別室は、
前記第1選別室の軽質廃棄物排出口から前記軽質廃棄物を受け入れる軽質廃棄物受入口と、
前記軽質廃棄物受入口から受け入れられた前記軽質廃棄物から前記付着物を風力により除去する付着物除去手段と、
前記軽質廃棄物を前記軽質廃棄物受入口と反対方向に搬送して当該第2選別室外に搬送する軽質廃棄物搬送手段と
を備えたことを特徴とする風力選別装置。
【請求項2】
前記付着物除去手段は、
前記軽質廃棄物受入口と前記軽質廃棄物搬送手段との間に設けられ、多数の開口が形成された網板と、
当該網板の下方に設けられ、当該網板上を通過する前記軽質廃棄物に対して送風する付着物除去送風手段とから構成されていることを特徴とする請求項1に記載の風力選別装置。
【請求項3】
前記軽質廃棄物搬送手段の搬送方向下流側の前記第2選別室の上部には、当該第2選別室の内部の空気を外部に排出するための第2選別室排気口が設けられ、
当該第2選別室排気口には、排出される空気を前記付着物除去送風手段に送るための第1ダクトが設けられていることを特徴とする請求項2に記載の風力選別装置。
【請求項4】
前記軽質廃棄物搬送手段は、ベルトコンベアから構成され、
当該ベルトコンベアは、前記第2選別室外にその搬送方向下流側の一部分をはみ出して設けられ、
前記第2選別室外に出た前記ベルトコンベアの一部分には、防塵カバーが設けられ、
当該防塵カバーには、当該防塵カバー内の空気を外部に排出するための防塵カバー排気口が設けられ、
当該防塵カバー排気口には、排出される空気を前記吹出防止送風手段に送るための第2ダクトが設けられていることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の風力選別装置。
【請求項5】
前記軽質廃棄物搬送手段の下方に、前記第2選別室の底板と所定間隔を空け、且つ、多数の開口が形成された敷板を備えたことを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の風力選別装置。
【請求項6】
前記傾斜板の下方の前記第1選別室の側壁部には、第1選別室下部排気口が設けられ、
当該第1選別室下部排気口には、排出される空気を前記吹出防止送風手段に送るための第3ダクトが設けられていることを特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載の風力選別装置。
【請求項7】
廃棄物を投入する投入口を選別室に備え、風力により前記廃棄物を可燃物を主体とする軽質廃棄物と、それ以外の重質廃棄物とに選別し、前記選別室の側壁部の上部側に設けた軽質廃棄物排出口から軽質廃棄物を排出する風力選別装置であって、
前記投入口は前記選別室の上部の前記軽質廃棄物排出口近傍の部分に設けられ、
当該選別室内の底部側に設けられ、落下した前記重質廃棄物を前記軽質廃棄物排出口側方向と反対側方向に搬送して当該選別室外に搬送する重質廃棄物搬送手段と、
前記投入口の直下に設けられ、上端部が前記軽質廃棄物排出口まで延設され且つ下端部が前記重質廃棄物搬送手段上まで延設され、落下してくる廃棄物が衝突する傾斜板と、
当該傾斜板に向けて、前記軽質廃棄物排出口と反対方向から圧縮空気を噴射する第1圧縮空気噴射手段と、
前記重質廃棄物搬送手段により搬送される廃棄物に対して、前記軽質廃棄物排出口と反対方向から圧縮空気を噴射する第2圧縮空気噴射手段と、
前記投入口の近傍に設けられ、前記軽質廃棄物排出口方向に空気を送風する吹出防止送風手段とを備えたことを特徴とする風力選別装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−68605(P2006−68605A)
【公開日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−253118(P2004−253118)
【出願日】平成16年8月31日(2004.8.31)
【出願人】(597118278)
【Fターム(参考)】