説明

風管装置およびトンネル坑内の換気装置

【課題】搬送台車や、その搭載物の耐久性の低下を抑制し、トンネル坑内を効果的に換気する換気装置の提供。
【解決手段】搬送台車1の荷台1a上に、内部に組込まれた吸引ファンによってトンネル掘削部に向けた開口から空気を吸引する吸込みダクト16bと、その吸込みダクト16bから送り込まれてくる空気中の粉塵を除去し、浄化された空気を排出する湿式集塵機11と、内部に組み込まれた換気用ファンの駆動によって湿式集塵機11の排気口30aから排出される清浄な空気を吸引してトンネル坑Aの掘削部に向けて噴射する送気ダクト40を搭載する。吸込みダクト16bの吸込み口に伸縮可能な蛇腹状の風導管70を接続する。トンネル坑Aの掘削が進むにつれ、風導管70を掘削部側の端部開口を掘削部に近づくよう調整し、掘削部の周辺の空気を風導管70内に吸引し、掘削位置から離れた位置に搬送台車1を停車させた状態で換気作業を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、風管装置およびその風管装置を用いたトンネル坑内の換気装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、ナトム工法によるトンネル掘削工法においては、ダイナマイトの爆破によって岩盤を粉砕するため、坑内に粉塵が浮遊し、作業環境が著しく悪い。その作業環境を改善するため、トンネル坑内に送気用ファンと排気用ファンとを設け、送気用ファンの駆動により坑外の外気を坑内に送り込むと共に、排気用ファンの駆動により坑内の空気を坑外に送り出すようにした換気方法が従来から採用されている。
【0003】
ところで、送気用ファンと排気用ファンを用いる従来の換気方法においては、各ファンが定置されていると、トンネル坑内を良好に換気することができないため、トンネルの掘削位置の近辺に送気用ファンおよび排気用ファンを設置し、掘削が進むと、大形の重量のある各ファンを掘削部側に位置をずらし、同時に、各ファンに対して口径が1500mm程度の風管を継ぎ足すようにしており、設置位置の変更に非常に手間がかかるという不都合がある。
【0004】
そのような不都合を解消するため、本件の出願人は、特許文献1において、トンネル坑内をきわめて効果的に換気することができると共に、位置の変更を容易に行なうことができるようにしたトンネル坑内の換気装置を既に提案している。
【0005】
上記トンネル坑内の換気装置においては、トンネル坑内において移動可能な搬送台車の荷台上に湿式集塵機、吸込みダクト、および送気ダクトを搭載し、上記吸込みダクト内に組込まれた吸引ファンの駆動によりトンネル坑の掘削部に向けて開口する吸込み口から吸込みダクト内に空気を吸込んで湿式集塵機内に送り込み、その湿式集塵機において空気中の粉塵を除去し、清浄な空気を排気口を排出するようにしている。
【0006】
また、送気ダクト内に組込まれた換気ファンの駆動によって湿式集塵機の排気口から排気される清浄な空気を送気ダクト内に吸引し、その清浄な空気を排気口からトンネルの掘削部に向けて送り込んで、トンネル坑内を換気するようにしている。
【特許文献1】特許第3546199号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、特許文献1に記載されたトンネル内の換気装置においては、トンネル坑内の換気に際して、トンネルの掘削部から離れた位置に搬送台車を停車させると、掘削部と吸込みダクトの吸込み口までの距離が長くなり、掘削部の周辺で浮遊する粉塵を吸込みダクト内に効率よく吸引することができないために換気効率が低下し、その換気効率を高めるため、搬送台車をトンネルの掘削位置に近接する位置に搬送台車を停車させて換気作業を行う必要がある。
【0008】
このとき、掘削位置から飛散する石等の飛翔物の衝突によって搬送台車や荷台上に搭載された吸込みダクト、送気ダクト等の搭載物が損傷して耐久性が低下する可能性が高くなり、その耐久性の低下を抑制するため、掘削位置から離れた位置に搬送台車を停車させて換気作業を行っているのが現状である。このため、粉塵が多量に舞い上がる掘削部の周辺の空気を吸込みダクト内に効果的に取り込むことができず、換気効率を向上させるうえにおいて改善すべき点が残されている。
【0009】
この発明は、トンネル坑内の掘削部周辺の汚れた空気を効果的に吸引排除したり、あるいは清浄な空気を掘削部周辺に導くことができるようにした風管装置を提供することを第1の課題としている。
【0010】
また、この発明は、搬送台車や、その荷台上に搭載した搭載物の耐久性の低下を抑制する状態でトンネル坑内をきわめて効果的に換気することができるようにしたトンネル坑内の換気装置を提供することを第2の課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記第1の課題を解決するために、第1の発明においては、掘削中のトンネル坑の長さ方向に間隔をおいて設けられた支保工に着脱自在に取付けられてトンネル坑の長さ方向に延びるレールと、そのレールに沿って移動自在に設けられた複数のランナと、柔軟性を有する風管の外周に前記ランナによって吊下げ支持される補強リングをほぼ一定の間隔をおいて取付けた蛇腹状の伸縮可能な風導管と、前記レールに支持され、トンネル坑の掘削部に近接する位置のランナをレールに沿って移動させて風導管を伸張させるランナ移動装置とからなる構成を採用したのである。
【0012】
上記の構成からなる風管装置においては、ランナ移動装置の駆動によってトンネル坑の掘削部に近接する位置のランナをレールに沿って移動させると、風導管が伸張し、その風導管のトンネル掘削側の端部開口をトンネル掘削部に近接する方向に位置調整することができる。
【0013】
このため、風導管のトンネル坑口側の端部開口に吸引力を付与することによって、掘削部周辺の汚れた空気を効果的に吸引排除することができると共に、風導管のトンネル坑口側の端部開口に空気を送り込むことによって、その空気を掘削部周辺に効果的に送り込むことができる。
【0014】
ここで、レールを永久磁石によって着脱自在とすることによって、レールの敷設位置の変更を容易に行うことができる。
【0015】
前記ランナ移動装置として、レールのトンネル掘削側の一端部に回転自在に支持されたヘッドプーリと、レールの他端部に支持されて駆動装置により回転駆動されるテールプーリと、その両プーリ間にかけ渡されて一部にトンネル坑の掘削部に近接する位置のランナが連結されたエンドレスの走行部材とからなるものを採用することができる。
【0016】
また、第2の課題を解決するために、第2の発明においては、トンネル坑内で移動可能な搬送台車の荷台上に、内部に組込まれた吸引ファンの駆動によってトンネル掘削位置に向けて開口する吸込み口から空気を吸引する吸込みダクトと、その吸込みダクトから送り込まれてくる空気中の粉塵を除去し、浄化された空気を排気口から排出する湿式集塵機と、内部に組み込まれた換気用ファンの駆動によって前記湿式集塵機の排気口から排出される清浄な空気を吸引してトンネル坑の掘削部に向けて噴射する送気ダクトとを搭載したトンネル坑内の換気装置において、前記吸込みダクトの吸込み口に上記第1の発明に係る風管装置における風導管のトンネル坑口側の端部を接続した構成を採用したのである。
【0017】
上記の構成からなるトンネル坑内の換気装置においては、吸引ファンの駆動によって掘削位置に向けて開口する風導管の一端の吸込み口に吸引力を付与し、その吸込み口から風導管内に吸引される空気を吸込みダクトから湿式集塵機内に送り込んで空気中の粉塵を除去し、清浄な空気を送気ダクトからトンネル坑の掘削位置に送り込んでトンネル坑内を換気する。
【0018】
トンネル坑の掘削が進むと、ランナ移動装置の駆動によりランナを移動させて風導管を伸張し、その風導管のトンネル掘削側端の吸込み口をトンネル掘削部に近づけるようにして、掘削部の周辺の空気を吸引する。
【0019】
風導管を最大に伸張させた場合は、搬送台車をトンネルの掘削部に向けて移動させて風導管を収縮し、支保工からレールを取外したのち、そのレールを掘削部側に搬送して、掘削部に近接する支保工に取付け、トンネル坑内の換気作業を継続する。
【発明の効果】
【0020】
上記のように、第1の発明においては、風導管の伸張によって一端の吸込み口をトンネル坑の掘削部に近接する位置に位置調整することができるため、トンネル坑口側の端部開口に吸引力を付与することによって、掘削部周辺の汚れた空気を効果的に吸引排除することができると共に、風導管のトンネル坑口側の端部開口に空気を送り込むことによって、その空気を掘削部の周辺に効果的に送り込むことができる。
【0021】
また、第2の発明においては、風導管のトンネル掘削側端の吸込み口をトンネル掘削部に対して位置調整することができるため、搬送台車をトンネル坑の掘削部から離れた場所に停車させた状態で換気作業を行うことができ、搬送台車や、その荷台上に搭載した搭載物の耐久性の低下を抑制する状態でトンネル坑内をきわめて効果的に換気することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、この発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1に示すように、トンネル坑内の換気装置は、空気浄化装置Xと、その空気浄化装置Xにトンネル坑の掘削部周辺の汚染空気を導く風管装置Yとからなる。
【0023】
空気浄化装置Xは、トンネル坑A内を移動可能な搬送台車1を有している。搬送台車1は大型トラックから成り、その搬送台車1は荷台1aを先にしてトンネル坑A内に運び込まれ、上記荷台1a上に湿式集塵機11が搭載されている。
【0024】
図2乃至図4に示すように、湿式集塵機11は角形の貯水槽12を有し、その貯水槽12の内部はフィルタ13の取付けによって洗浄室14と排気室15とに仕切られている。
【0025】
貯水層12の上部には2本の吸込みダクト16a、16bが設けられている。各吸込みダクト16a、16bは端部の吸込み口17がトンネル坑Aの掘削部に向くようにして並列の配置とされ、その内部それぞれに吸引ファン18と、その吸引ファン18の駆動用モータ19とが組み込まれている。上記吸込みダクト16a、16bは吸引ファン18の回転により吸込み口17から空気を吸引し、その空気を貯水槽12内に送り込むようになっている。
【0026】
洗浄室14内には貯水槽12内の貯水表面上に散水管20が設けられている。散水管20は直線状の本管20aと、その本管20aの両側の長さ方向に間隔をおいて設けられた複数の枝管20bとから成り、前記本管20aと枝管20bに圧力水を上向きに噴射する複数のノズル21が設けられている。
【0027】
また、洗浄室14内にはフィルタ13の全面に向けて圧力水を噴射する洗浄管22が設けられている。洗浄管22および前記散水管20は貯水槽12の外部に設けられたポンプ23の吐出口に接続されている。ポンプ23は貯水槽12内の貯水を吸い込んで散水管20および洗浄管22に送り込むようにしている。
【0028】
貯水槽12には給水管24が接続され、その給水管24にボールタップから成る自動給水栓25と電磁弁26が取り付けられている。自動給水栓25は貯水槽12内の貯水の水位が低下すると開放して貯水槽12内に水を供給し、貯水の水位が一定の水位に達すると閉じて給水を停止するようになっている。
【0029】
また、貯水槽12の下部には排水管27が接続され、その排水管27に排水ポンプ28が接続されている。
【0030】
貯水槽12内に設けられた排気室15の周壁上部には2本の排気筒29,30が接続されている。排気筒29,30はL形をなし、端部の排気口29a,30aが前記吸込みダクト16a、16bの吸込み口17に対して逆向きになっている。
【0031】
吸込みダクト16bの上側には送気ダクト40が設けられている。送気ダクト40は直管状をなし、吸込みダクト16bと平行する配置とされている。送気ダクト40のトンネル坑口側の端部開口は吸込み口40aとされ、その吸込み口40aは排気筒30の排気口30aのほぼ真上に位置している。この送気ダクト40の内部には、換気用ファン41と、ファン駆動用のモータ42とが組込まれている。
【0032】
送気ダクト40は換気用ファン41の回転によって湿式集塵機11における排気筒30の排気口30aから排出される清浄な空気を吸引して他端の排気口40bからトンネル坑Aの掘削位置に向けて排出されるようになっている。
【0033】
図1に示すように、トンネル坑Aの内周は、数メートル置きに配置される支保工Bによって補強されている。この支保工BはトンネルAの掘削が進むにつれて順次配置される。
【0034】
図1に示すように、風管装置Yは、レール50と、そのレール50に沿って移動自在に設けられた複数のランナ60と、そのランナ60に吊下げ部材61を介して吊下げ支持された伸縮自在の風導管70と、上記ランナ60を移動させて風導管70を伸張させるランナ移動装置80とからなる。
【0035】
図6に示すように、レール50は、断面コの字形をなし、対向する側板50aの下縁にはフランジ50bが内向きに設けられている。ランナ60は、上記レール50のフランジ50bで支持されるローラ62を両側に有し、そのローラ62の転動によって移動自在とされ、レール50から下方に位置する下端部に棒状の吊下げ部材61が接続されている。
【0036】
上記レール50は図5に示す永久磁石51により支保工Bに取付けられて、トンネル坑Aの長さ方向に延びる支持とされている。なお、レール50はクランプ金具を介して支保工Bに着脱自在に取付けるようにしてもよい。
【0037】
図2、図5および図6に示すように、風導管70は、非通気性の柔軟な材料からなる風管71と、その風管71の外周長さ方向に間隔をおいて設けられた複数の補強リング72とからなり、各補強リング72には吊下げ部73が設けられ、その吊下げ部73に対する吊下げ部材61の下端の接続によって、風導管70は吊下げ支持されている。
【0038】
風導管70は、その収縮状態で風管71が蛇腹状に変形する。この風導管70の風管71の一端部は吸込みダクト16a、16bの吸込み口17のそれぞれに接続され、他端の開口71aはトンネル坑Aの掘削部に対向している。なお、吸込みダクトを1本とし、その吸込みダクトに風導管を接続するようにしてもよい。
【0039】
図1に示すように、ランナ移動装置80は、レール50のトンネル掘削側の一端部に回転自在に支持されたヘッドプーリ81と、レール50の他端部に支持されて駆動装置82により回転駆動されるテールプーリ83と、その両プーリ81,83間にかけ渡されたエンドレスの走行部材84とからなる。
【0040】
ここで、走行部材84は、ワイヤであってもよく、ベルトであってもよい。この走行部材84の一部はトンネル坑Aの掘削部に近接する位置のランナ60に連結され、上記走行部材84が図1の矢印で示す方向に移動することにより、ランナ60がレール50に沿って移動して風導管70が伸張するようになっている。
【0041】
実施の形態で示すトンネル内の換気装置は上記の構造から成り、トンネル坑A内の換気に際しては、搬送台車1をトンネル坑の掘削位置より離れた位置に停車させておくと共に、風導管70を収縮させておくようにする。その状態において、吸込みダクト16a、16b内の吸引ファン18および送気ダクト40内の換気用ファン41を回転させると共に、ポンプ23を駆動する。
【0042】
ポンプ23の駆動によって、貯水槽12内の貯水は散水管20および洗浄管22に圧送され、散水管20に圧送された水は複数のノズル21から上向きに噴射される。一方、洗浄管22に圧送された水はフィルタ13に向けて噴射され、その噴射水によってフィルタ13は常に洗浄される。
【0043】
また、吸引ファン18の回転によって風導管70の掘削部と対向する他端の開口71aに吸引力が作用し、その吸引力によってトンネル坑A内の空気は風導管70から吸込みダクト16b内に吸引されて洗浄室14内に送り込まれる。このとき、洗浄室14内では散水管20のノズル21から上向きに圧力水が噴射されているため、洗浄室14に送り込まれた空気はノズル21からの噴射水と接触し、その接触によって空気中に浮遊する粉塵が分離除去される。
【0044】
洗浄室14内にはトンネル坑A内の空気が連続して送り込まれるため、洗浄室14内の圧力は高くなり、その洗浄室14内の空気はフィルタ13を通過して排気室15内に流入する。
【0045】
このとき、空気に含まれる粉塵はフィルタ13によって二次捕集される。このため、きわめて清浄な空気のみが排気室15内に流入することになり、その清浄な空気は排気筒29からトンネル坑A内に排気されてトンネル坑Aの坑口に向けて流れる。
【0046】
一方、排気室15から排気筒30内に送り込まれた清浄な空気は送気ダクト40内の換気ファン41の回転によってその送気ダクト40内に吸引され、その送気ダクト40の排気口40aからトンネル掘削部に向けて排出される。
【0047】
このように、トンネル坑A内の空気中に浮遊する粉塵は風導管70および吸込みダクト16a,16bから湿式集塵機11内に送り込まれて捕集され、その湿式集塵機11の排気口30aから排出される清浄な空気は送気ダクト40内に吸引されて掘削部に向けて排出されるので、トンネル坑A内はきわめて効果的に換気されることになる。また、排気筒29から排出される清浄な空気はトンネル坑Aの坑口に向けて排出されるため、トンネル坑Aは全長にわたって換気されることになる。
【0048】
トンネル坑Aの掘削が進むと、ランナ移動装置80を駆動し、走行部材84を図1の矢印の方向に移動させる。その走行部材84の移動により掘削部に近接する位置のランナ60がレール50に沿って移動し、風導管70が伸張して、他端の開口71aが掘削部に近づくよう位置調整される。
【0049】
このように、ランナ移動装置80を駆動すると風導管70が伸張し、他端の開口71aが掘削部に近接するよう位置調整されるため、粉塵が多量に舞い上がる掘削部周辺の空気を風導管70内に常に効果的に吸引することができ、トンネル坑A内を極めて効果的に換気することができる。
【0050】
また、搬送台車1をトンネル坑Aの掘削位置から離れた場所に停車させた状態で換気作業を行うことができるので、掘削部位から飛翔してくる石等の飛翔物の衝突によって搬送台車1や、その荷台1a上に搭載した搭載物が損傷するのを防止することができ、耐久性の低下を抑制する状態でトンネル坑A内を換気することができる。
【0051】
ここで、風導管70を最大に伸張させた場合は、搬送台車1の掘削部に向けての後退動により風導管70を収縮し、支保工Bからレール50を取外したのち、そのレール50を掘削部側に搬送して、掘削部に近接する支保工Bに取付け、トンネル坑内の換気作業を継続する。
【0052】
このとき、レール50は永久磁石51によって吸着支持されているため、支保工Bからレール50を簡単に着脱することができ、レール50の敷設位置を簡単に変更することができる。
【0053】
実施の形態では、送気ダクト40によって新鮮な空気を掘削部に向けて送り込むようにしたが、上記送気ダクト40によって、掘削部の周辺の空気を吸込んで、トンネル坑の坑口側に空気を送り込むようにしてもよい。
【0054】
また、吸込みダクト16bに風導管70を接続して、掘削部周辺の空気を吸込むようにしたが、上記風導管70を送気ダクト40に接続することにより、掘削部の周辺部に浄化された空気を効果的に送り込むことができる。
【0055】
ここで、送気ダクト40を2本とし、一方の送気ダクト40は掘削部に清浄な空気を送り込むようにし、他方の送気ダクト40はトンネル坑A内の空気をトンネル坑Aの坑口に向けて送り込むようにしてもよい。
【0056】
また、風管装置Yは、空気浄化装置Xと切離して単独に使用してもよい。その単独使用において、風導管70を坑口から掘削部に至る敷設状態とし、その坑口側の端部開口に送風機を接続することによって、掘削部に空気を送り込むことができ、また、坑口側の端部にブロワを接続して吸引力を付与することにより、掘削部の周辺の空気を吸引除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】この発明に係る換気装置の実施の形態を示す縦断側面図
【図2】図1に示す換気装置の湿式集塵機と送気ダクトを示す縦断正面図
【図3】図2の一部切欠平面図
【図4】図2に示す湿式集塵機の横断平面図
【図5】風管装置の位置部分を示す正面図
【図6】図5の縦断正面図
【符号の説明】
【0058】
A トンネル坑
B 支保工
1 搬送台車
1a 荷台
11 湿式集塵機
16a 吸込みダクト
16b 吸込みダクト
17 吸込み口
18 吸引ファン
29a 排気口
30a 排気口
40 送気ダクト
41 換気用ファン
50 レール
51 永久磁石
60 ランナ
70 風導管
71 風管
72 補強リング
80 ランナ移動装置
81 ヘッドプーリ
82 駆動装置
83 テールプーリ
84 走行部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
掘削中のトンネル坑の長さ方向に間隔をおいて設けられた支保工に着脱自在に取付けられてトンネル坑の長さ方向に延びるレールと、そのレールに沿って移動自在に設けられた複数のランナと、柔軟性を有する風管の外周に前記ランナによって吊下げ支持される補強リングをほぼ一定の間隔をおいて取付けた蛇腹状の伸縮可能な風導管と、前記レールに支持され、トンネル坑の掘削部に近接する位置のランナをレールに沿って移動させて風導管を伸張させるランナ移動装置とからなる風管装置。
【請求項2】
前記レールを永久磁石によって着脱自在とした請求項1に記載の風管装置。
【請求項3】
前記ランナ移動装置が、レールのトンネル掘削側の一端部に回転自在に支持されたヘッドプーリと、レールの他端部に支持されて駆動装置により回転駆動されるテールプーリと、その両プーリ間にかけ渡されて一部にトンネル坑の掘削部位に近接する位置のランナが連結されたエンドレスの走行部材とからなる請求項1又は2に記載の風管装置。
【請求項4】
トンネル坑内で移動可能な搬送台車の荷台上に、内部に組込まれた吸引ファンの駆動によってトンネル掘削位置に向けて開口する吸込み口から空気を吸引する吸込みダクトと、その吸込みダクトから送り込まれてくる空気中の粉塵を除去し、浄化された空気を排気口から排出する湿式集塵機と、内部に組み込まれた換気用ファンの駆動によって前記湿式集塵機の排気口から排出される清浄な空気を吸引してトンネル坑の掘削部に向けて噴射する送気ダクトとを搭載したトンネル坑内の換気装置において、
前記吸込みダクトの吸込み口に請求項1乃至3のいずれかに記載の風管装置における風導管のトンネル坑口側の端部を接続したことを特徴とするトンネル坑内の換気装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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