説明

風綿収集装置、繊維機械、及び、風綿収集方法

【課題】簡単な構成で風綿遮断部材に堆積した風綿を除去することができる、風綿収集装置を提供すること。
【解決手段】風綿収集装置6は、風綿収集室37と、風綿収集室37に空気を導入する導入部34と、風綿収集室37内の空気を排出する第1排出部35及び第2排出部36とを有する風綿収集ボックス31と、第1排出部35に接続されて風綿収集室37を減圧する吸引ファン32と、第1排出部35から排出される空気中の風綿を捕捉するフィルタ39を備えている。また、第2排出部36はメインブロアに接続されている。さらに、風綿収集装置6は、前記第2排出部36を開閉する開閉部材41と、導入部34の開口面積を絞る遮蔽部材40とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、繊維機械の動作によって生じる風綿を収集する風綿収集装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、糸の巻取装置等の繊維機械の分野において、機械の動作中に発生する風綿を集めて回収する装置が知られている。この装置は、一般的には、風綿の発生場所付近の空気をダクト等に吸引し、このダクト等の内部に配設されたフィルタによって吸引された空気中の風綿を捕捉するように構成されている。また、収集された風綿がフィルタに堆積していくにつれて、フィルタによる風綿収集機能が低下することから、一定時間おきにフィルタに堆積した風綿を回収する、フィルタ清掃のための構成も通常備えている。
【0003】
特許文献1には、自動ワインダの複数の巻取ユニットにおいて発生した風綿を、ダストボックスへ回収する装置が開示されている。この装置は、負圧を発生させるラインフローファンに接続された、自動ワインダの複数の巻取ユニットに共通のメインダクトと、このメインダクトから分岐して各巻取ユニット付近で開口する吸引ダクトと、メインダクト内に張架されたフィルタとを有し、各巻取ユニットの周囲に浮遊する風綿は、吸引ダクトから吸い込まれてメインダクト内のフィルタで捕捉される。さらに、フィルタの一端に設けられるとともにダストボックス内のブロアに接続された吸引ノズルと、フィルタに沿って移動するスクレーパーを備えており、スクレーパーによってフィルタ上に堆積した風綿を掻き取りつつその風綿を吸引ノズルまで運び、吸引ノズルからダストボックスへ排出することで、フィルタを清掃するように構成されている。
【0004】
特許文献2には、紡績機の風綿処理装置が開示されている。この装置は、吸引ファンによって減圧されて外部接続口から空気が吸い込まれる集綿室と、この集綿室に吸い込まれた空気中の風綿を捕捉する風綿付着用フィルタと、風綿付着用フィルタから風綿を取り除き、回収室へ送る回収手段等を備えている。尚、回収手段としては、風綿付着用フィルタの表面に沿って圧縮空気を噴出する構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8−2819号公報
【特許文献2】特開2004−308107号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の装置では、フィルタの表面を掻き取るスクレーパーや、このスクレーパーを駆動するための構成が必要となり、部品数が増えて装置構成が複雑になる。また、特許文献2の装置では、圧縮空気を別途供給するための構成や、この圧縮空気をフィルタの表面に沿って圧縮空気を噴出させるための噴射管や弁などの構成が必要であり、やはり装置構成が複雑になってしまう。
【0007】
本発明の目的は、簡単な構成によって、フィルタに堆積した風綿を除去することができる、風綿収集装置を提供することである。
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
【0008】
第1の発明の風綿収集装置は、繊維機械の動作によって生じた風綿を集める風綿収集装置であって、風綿収集室と、前記風綿を含んだ空気を前記風綿収集室に導入する導入部と、前記風綿収集室内の空気を排出する第1排出部及び第2排出部と、を有する風綿収集ボックスと、前記第1排出部に接続されて前記風綿収集室を減圧する、風綿収集負圧源と、前記風綿収集室内に設けられ、前記第1排出部から排出される空気中の風綿を捕捉する風綿遮断部材を備え、前記風綿収集ボックスの前記第2排出部は、前記風綿収集ボックスに収集された風綿を回収する、前記風綿収集負圧源とは別の風綿回収負圧源に接続され、さらに、前記第2排出部を開閉する開閉手段と、前記導入部の開口面積を絞る絞り部材とを備えていることを特徴とするものである。
【0009】
風綿収集ボックスの第1排出部に接続された風綿収集負圧源によって風綿収集室内が減圧されると、導入部から風綿収集室内に風綿を含んだ空気が導入され、この空気が風綿遮断部材を通過して第1排出部から排出される前に、空気中の風綿が風綿遮断部材によって捕捉される。一方、風綿収集ボックスに収集された風綿を回収する際には、開閉手段により、風綿回収負圧源に接続された第2排出部を開放し、さらに、絞り部材により導入部の開口面積を絞る。これにより、導入部から導入される空気の流速が上昇し、この速い気流によって風綿遮断部材の風綿を吹き飛ばして第2排出部へ排出することができる。このように、導入部の開口面積を絞るだけで、風綿回収負圧源で発生する負圧を効果的に利用して風綿遮断部材に堆積した風綿を確実に除去できることから、風綿遮断部材の清掃のための構成が非常に簡単なものとなる。
【0010】
尚、本発明において、風綿を「収集」するとは、繊維機械の周囲に漂う風綿を風綿収集装置の風綿収集ボックスに一旦集めることを言う。また、風綿を「回収」するとは、風綿収集ボックス内に収集された風綿を、風綿収集装置に接続された負圧源(風綿回収負圧源)によって回収することを言う。
【0011】
第2の発明の風綿収集装置は、前記第1の発明において、前記絞り部材は、前記導入部の開口を、その一部分を除いて遮蔽する遮蔽部材であることを特徴とするものである。
【0012】
遮蔽部材によって、導入部の開口をその一部分を除いて遮蔽することで、導入部の開口面積が絞られ、導入される空気の流速が速くなる。
【0013】
第3の発明の風綿収集装置は、前記第2の発明において、前記遮蔽部材には、前記導入部の開口を遮蔽したときに、前記導入部の開口の一部を開放させる、切り欠き又は穴が形成されていることを特徴とするものである。
【0014】
遮蔽部材によって導入部の開口を遮蔽したときに、遮蔽部材に形成された切り欠き又は穴によって、導入部の開口の一部が開放されることで、導入部の開口面積が絞られる。これによれば、風綿遮断部材を清掃する際の導入部の開口面積が、遮蔽部材の切り欠き又は穴の大きさによって決まるため、風綿遮断部材の清掃の度に、開口面積を調整(制御)する必要がない。
【0015】
第4の発明の風綿収集装置は、前記第3の発明において、前記風綿収集ボックスを形成する第1の壁部に前記第1排出部が設けられるとともに、前記第1排出部を覆うように前記第1の壁部に沿って前記風綿遮断部材が配置され、前記風綿収集ボックスの前記第1の壁部と交差する第2の壁部に、前記導入部が設けられ、前記遮蔽部材の、前記導入部の開口を遮蔽した状態において前記第1の壁部側に位置する端部に、前記切り欠き又は前記穴が形成されていることを特徴とするものである。
【0016】
風綿収集ボックスの、第1排出部が設けられた第1の壁部と交差する第2の壁部に、導入部が設けられていることから、導入部から導入された空気は、第1排出部を覆う風綿遮断部材に沿って流れる。さらに、遮蔽部材の切り欠き又は穴が、導入部を遮蔽したときの、第1の壁部側に位置する端部に形成されていることから、遮蔽部材によって絞られた、導入部の小さな開口部分が、第1排出部側に位置することになる。従って、上記開口部分から流入した流速の速い空気の流れが、第1排出部を覆う風綿遮断部材に沿って流れることとなり、風綿遮断部材に堆積した風綿を効果的に除去できる。
【0017】
第5の発明の風綿収集装置は、前記第2の発明において、前記導入部は、第1開口部と、この第1開口部よりも開口面積の小さい第2開口部を有し、前記遮蔽部材は、前記第1開口部を閉止する一方で、前記第2開口部を開放することによって、前記導入部の開口面積を絞ることを特徴とするものである。
【0018】
風綿遮断部材を清掃する際には、遮蔽部材によって、導入部の第1開口部を遮蔽する一方で、第1開口部よりも開口面積の小さな第2開口部を開放することで、導入部全体の開口面積が絞られることになる。これによれば、風綿遮断部材を清掃する際の導入部の開口面積が、第2開口部の大きさによって決まるため、風綿遮断部材の清掃の度に、開口面積を調整(制御)する必要がない。また、風綿収集用の第1開口部とは別に、風綿遮断部材の清掃用の第2開口部を、風綿遮断部材の清掃に適した位置(風綿遮断部材に効果的に気流を作用させることができる位置)に設けることができる。
【0019】
第6の発明の風綿収集装置は、前記第2の発明において、前記遮蔽部材は、前記導入部が設けられた前記風綿収集ボックスの一壁部に沿って移動可能に構成され、前記遮蔽部材を前記一壁部に沿って移動させることによって、前記導入部の開口面積を調整する駆動手段を有することを特徴とするものである。
【0020】
風綿遮断部材を清掃する際には、導入部が設けられた風綿収集ボックスの一壁部に沿って、駆動手段によって遮蔽部材を移動させ、その位置を制御することで、導入部の開口面積を調整する。これによれば、導入部の開口面積を自由に変更することができる。
【0021】
前記第6の発明において、駆動手段がステッピングモータであってもよい(第7の発明)。これによれば、ステッピングモータの駆動パルス数を調整することによって、導入部の開口面積を簡単に変更することができる。
【0022】
第8の発明の風綿収集装置は、前記第1の発明において、前記風綿遮断部材は、前記風綿収集ボックスの前記第1排出部が設けられた壁部に沿って配置され、前記導入部と前記第2排出部とを結ぶ直線が、前記第1排出部が設けられた前記風綿収集ボックスの壁部と平行となるように、前記導入部、前記第1排出部、及び、前記第2排出部がそれぞれ配置されていることを特徴とするものである。
【0023】
これによれば、導入部から風綿収集室内に導入された空気が、風綿遮断部材に沿って第2排出部へ流れるため、風綿遮断部材に堆積している風綿が剥がれやすくなり、風綿を除去しやすくなる。
【0024】
第9の発明の風綿収集装置は、前記第8の発明において、前記絞り部材は、前記導入部の開口を、その前記第1排出部側の一部分を残して遮蔽することにより、前記導入部の開口面積を絞ることを特徴とするものである。
【0025】
これによれば、導入部の開口のうち、第1排出部側の一部分のみが開放されて、この開口部分から導入された空気が、第1の壁部に沿って速い流速で流れる。従って、風綿遮断部材の第1排出部を覆う部分に、流速の速い流れが作用することになり、風綿を効果的に除去できる。
【0026】
第10の発明の風綿収集装置は、前記第8又は第9の発明において、前記風綿遮断部材は、前記導入部と前記第2排出部を繋ぐように設けられ、前記第1排出部が設けられた壁部に沿って延びる筒状フィルタであることを特徴とするものである。
【0027】
このような筒状のフィルタでは、風綿が付着する面積が大きくなることから、フィルタの目詰まりが生じにくくなる。
【0028】
第11の発明の繊維機械は、糸を処理する糸処理装置と、前記糸処理装置の動作によって生じた風綿を集める風綿収集装置と、前記風綿収集装置に接続されて、この風綿収集装置で収集された風綿を回収する風綿回収負圧源と、を有し、
前記風綿収集装置は、風綿収集室と、前記風綿を含んだ空気を前記風綿収集室に導入する導入部と、前記風綿収集室内の空気を排出する第1排出部及び第2排出部と、を有する風綿収集ボックスと、前記第1排出部に接続され、前記風綿収集室を減圧する風綿収集負圧源と、前記風綿収集室内に設けられ、前記第1排出部から排出される空気中の風綿を捕捉する風綿遮断部材を備え、前記風綿収集ボックスの前記第2排出部は前記風綿回収負圧源に接続され、
さらに、前記風綿収集装置は、前記第2排出部を開閉する開閉手段と、前記導入部の開口面積を絞る絞り部材と、を備えていることを特徴とするものである。
【0029】
本発明によれば、開閉手段で第2排出部を開放して、風綿収集室を風綿回収負圧源に連通させた状態で、絞り部材により導入部の開口面積を絞ることで、導入部から導入される空気の流速が速くなることから、この速い気流によって風綿遮断部材上の風綿を吹き飛ばして第2排出部へ排出することができる。
【0030】
第12の発明の繊維機械は、前記第11の発明において、前記風綿収集装置を複数備え、前記風綿回収負圧源は、前記複数の風綿収集装置に共通に接続されていることを特徴とするものである。
【0031】
これによれば、複数の風綿収集装置でそれぞれ収集された風綿を回収する、1つの風綿回収負圧源の負圧を利用して、個々の風綿収集装置の風綿遮断部材の清掃を行うことができる。
【0032】
第13の発明の風綿収集方法は、請求項11又は12に記載の繊維機械において風綿を収集する方法であって、前記風綿収集装置によって風綿を収集する際には、前記開閉手段により前記第2排出部を閉止し、且つ、前記絞り部材が前記導入部の開口面積を絞っていない状態で、前記風綿収集負圧源を駆動して前記導入部から前記風綿収集室内に導入した空気を前記第1排出部に排出しつつ、前記風綿遮断部材により導入された空気中の風綿を捕捉し、前記風綿収集装置に収集された風綿を前記風綿回収負圧源によって回収する際には、前記開閉手段により前記第2排出部を開放し、且つ、前記絞り部材が前記導入部の開口面積を絞ることで、開口面積が絞られた前記導入部から前記風綿収集室に導入された空気によって、前記風綿遮断部材に捕捉された風綿を前記第2排出部に排出することを特徴とするものである。
【0033】
このように、開閉手段による第2排出部の開閉動作、及び、絞り部材による導入部の開口面積の絞り動作を切り換えることによって、風綿収集室内の風綿遮断部材による風綿収集(捕捉)と、風綿遮断部材に捕捉された風綿の除去(風綿遮断部材の清掃)をそれぞれ行うことができる。
【0034】
第14の発明の風綿収集方法は、前記第13の発明において、前記風綿収集装置に収集された風綿を前記風綿回収負圧源によって回収する間も、前記風綿収集装置の前記風綿収集負圧源を駆動し続けることを特徴とするものである。
【0035】
第2排出部を開放して、風綿遮断部材に捕捉された風綿回収負圧源によって回収する間においても、第1排出部に接続された風綿収集負圧源を駆動し続けることにより、導入部から流入して第2排出部へ向かう空気の量を多くすることができる。これにより、導入部から導入された空気が第2排出部へ向かって大量に流れ、このような気流は、風綿遮断部材に付着した風綿を引き剥がすように作用するため、風綿を効果的に除去できる。また、導入部から風綿収集室内に流入した大量の空気のうち、一部が第1排出部及び第2排出部から排出されず、導入部へ戻るような旋回流が生じる。この旋回流により風綿収集室内の風綿を風綿遮断部材から引き剥がす効果がさらに高くなり、風綿収集室内に風綿を残すことなく第2排出部から回収することが可能となる。また、風綿収集負圧源を駆動し続けることで、その起動/停止の回数が減り、風綿収集負圧源の寿命(コンダクタ等の電気部品の寿命)が長くなるという効果もある。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本実施形態に係る自動ワインダの正面図である。
【図2】自動ワインダの1つの巻取ユニットの正面図である。
【図3】風綿収集装置(風綿収集時)の縦断面図である。
【図4】図3の風綿収集装置のIV-IV線断面図である。
【図5】図3の風綿収集装置のV-V線断面図である。
【図6】図3の風綿収集装置の右側面図である。
【図7】風綿収集装置(風綿回収時)の縦断面図である。
【図8】変更形態1の風綿収集装置の図4相当の断面図である。
【図9】変更形態2の風綿収集装置の図4相当の断面図である。
【図10】変更形態3の風綿収集装置の縦断面図である。
【図11】変更形態4の風綿収集装置の図4相当の断面図である。
【図12】変更形態5の風綿収集装置の縦断面図である。
【図13】変更形態6の風綿収集装置の縦断面図である。
【図14】変更形態7の風綿収集装置の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
次に、本発明の実施の形態について説明する。本実施形態は、給糸ボビンから解舒された糸を巻取管に巻取って巻取パッケージを形成する巻取ユニットを多数備えた、自動ワインダ(繊維機械)に本発明を適用した一例である。図1は本実施形態に係る自動ワインダの正面図、図2は自動ワインダの1つの巻取ユニットの正面図である。
【0038】
図1に示すように、自動ワインダ1は、図1の左右方向に列設された多数の巻取ユニット2(糸処理装置)と、これら多数の巻取ユニット2に沿ってそれらの列設方向に走行自在に設けられた玉揚装置3と、自動ワインダ1の全体制御を司る機台制御装置4とを備えている。尚、機台制御装置4は、巻取ユニット2の列設方向一端側に配置されている。
【0039】
そして、この自動ワインダ1は、機台制御装置4から各巻取ユニット2に対して指令を送り、各々の巻取ユニット2において給糸ボビンBから解舒される糸Yを巻取管に巻取ってパッケージPを形成するように構成されている。また、ある巻取ユニット2に満玉パッケージが形成されたときには、玉揚装置3がその巻取ユニット2の頭上に移動して、満玉パッケージを空の巻取管に取り替えるようになっている。また、機台制御装置4は、各巻取ユニット2の動作を制御するとともに、動作状態の監視や動作パラメータの設定記憶等を行う。
【0040】
多数の巻取ユニット2の背面側(図1の紙面向こう側)には、これらの巻取ユニット2のそれぞれの動作によって生じた風綿を収集する風綿収集装置6が複数設置されている。尚、所定数(例えば、12錘)の巻取ユニット2毎に、1つの風綿収集装置6が設けられている。また、複数の風綿収集装置6は、集綿ダクト7によって、機台制御装置4の隣に設置された風綿回収ボックス5に共通に接続されている。風綿回収ボックス5内には、メインブロア8(風綿回収負圧源)とフィルタ9が配設されており、複数の風綿収集装置6にそれぞれ収集された風綿が、メインブロア8によって風綿回収ボックス5に回収されるようになっている。風綿収集装置6の詳細構成、及び、その動作については後で詳述する。
【0041】
次に、各々の巻取ユニット2の詳細な構成について説明する。図2に示す巻取ユニット2は、給糸ボビンBから解舒される紡績糸をトラバースさせながら巻取管17に巻き付けて、所定長で所定形状のパッケージPを形成するものである。
【0042】
巻取ユニット2(糸処理装置)は、ユニット機台10と、給糸ボビンBの糸Yを解舒して供給する給糸部11と、給糸部11から供給された糸Yに対して様々な処理を行う糸処理実行部12と、糸処理実行部12で処理された糸Yを巻取管に巻取ってパッケージPを形成する巻取部13とを有する。給糸部11、糸処理実行部12、及び、巻取部13は、この順に、下から上へ並べて配置されている。また、ユニット機台10には、巻取ユニット2の各部の制御を司るユニットコントローラ、巻取ユニット2の動作状態を示す表示部、及び、ユニットコントローラへの信号入力のための入力部等が備えられている。
【0043】
給糸部11は、給糸ボビンBを保持するペグ15と、給糸ボビンBからの糸Yの解舒を補助する解舒補助装置16を有する。解舒補助装置16は、給糸ボビンBの上部において上下に移動可能な筒体を、給糸ボビンBの先端(チェス部)との間隔が略一定に保たれるように制御して、糸Yの解舒を安定させる形式のものである。
【0044】
巻取部13は、巻取管17を回転自在に把持するクレードル(図示略)と、綾振ドラム18とを備えている。綾振ドラム18の周面には螺旋状の綾振溝18aが形成されており、この綾振溝18aによって紡績糸Yをトラバースさせるように構成されている。そして、綾振ドラム18が、綾振溝18aによって紡績糸Yをトラバースさせながら、巻取管17に形成されたパッケージPに接触した状態で回転することで、綾振ドラム18との接触摩擦によってパッケージPが回転し、給糸ボビンBから解舒された糸Yが巻取管17に巻取られていくようになっている。
【0045】
糸処理実行部12は、ヤーンフィーラ19、テンション付与装置20、糸継装置21、ヤーンクリアラー22(糸欠陥検出装置)を有する。
【0046】
ヤーンフィーラ19は、解舒補助装置16とテンション付与装置20との間における紡績糸Yの有無を検出するものである。テンション付与装置20は、走行する紡績糸Yに所定のテンションを付与するものである。図2では、一例として、固定の櫛歯20aに対して可動の櫛歯20bを配置するゲート式のものが示されている。
【0047】
糸継装置21は、後述するヤーンクリアラー22により検出された糸欠陥を除去するために行われる糸切断時、または解舒中の糸切れ時などに、給糸ボビンB側の下糸Y1とパッケージP側の上糸Y2とを糸継ぎするものである。この糸継装置21の一例としては、としては、空気流を発生させて下糸Y1と上糸Y2の繊維同士を絡ませて糸継ぎをおこなう、エアスプライサを挙げることができる。
【0048】
また、糸継装置21の上下には、給糸ボビンB側の下糸Y1を捕捉して糸継装置21へ案内する下糸捕捉案内部材23と、パッケージP側の上糸Y2を捕捉して糸継装置21へ案内する上糸捕捉案内部材24が設けられている。下糸捕捉案内部材23と上糸捕捉案内部材24は、共に一端部がユニット機台10に回転自在に取り付けられており、それぞれ上下に旋回可能である。
【0049】
そして、給糸ボビンBからの解舒中における糸切れ発生時、あるいは、ヤーンクリアラー22による糸切断時には、下糸捕捉案内部材23の吸引口23aは、下糸Y1の糸端を吸引して捕捉し、下から上へと旋回して糸継装置21に下糸Y1を案内する。同時に、上糸捕捉案内部材24は、そのサクションマウス24aが、パッケージPと綾振ドラム18の接点近傍の糸端捕捉位置まで旋回し、この糸端捕捉位置においてパッケージPから上糸Y2の糸端を吸引して捕捉した後に再び下へと旋回し、糸継装置21に上糸Y2を案内するようになっている。
【0050】
ヤーンクリアラー22は、紡績糸Yの欠陥を検出するためのものであって、クリアラーからの紡績糸Yの太さに応じた信号が適宜のアナライザで処理されることで、スラブ等の糸欠陥を検出する。また、このヤーンクリアラー22には、糸欠陥を検出した時の糸切断用のカッター22aが付設されている。
【0051】
また、各巻取ユニット2には、この巻取ユニット2の動作によって生じた風綿を吸引する2本の吸引ノズル25が設けられている。尚、巻取ユニット2の動作中には、特に、給糸ボビンBからの糸解舒動作、及び、糸継装置21における糸継動作によって多くの風綿が発生することから、このような風綿を効率よく吸引できるように、2本の吸引ノズル25は、先端の吸引口が、解舒補助装置16の近傍位置、及び、糸継装置21の下方位置においてそれぞれ開口するように設置されている。
【0052】
次に、風綿収集装置6について説明する。図3は、風綿収集装置6の縦断面図、図4は図3のIV-IV線断面図、図5は図3のV-V線断面図、図6は図3の右側面図である。尚、以下の風綿収集装置6の説明においては、図3における上下左右の方向を、上下左右と定義して説明する。図3〜図6に示すように、風綿収集装置6は、外部の空気を導入する吸入ボックス30と、この吸入ボックス30に連通し、吸入ボックス30から導入された空気中の風綿を収集する風綿収集ボックス31と、風綿収集ボックス31に接続されて、風綿収集ボックス31内の風綿収集室37内を減圧する吸引ファン32(風綿収集負圧源)とを有する。
【0053】
吸入ボックス30の後壁部30a(図3の紙面向こう側の壁部)には、対応する複数の巻取ユニット2の吸引ノズル25と繋がった開口32aが形成されている。また、吸入ボックス30の右壁部30bには、風綿収集ボックス31に連通する開口32bが形成されている。
【0054】
風綿収集ボックス31は直方体形状を有し、その左壁部31aが吸入ボックス30の右壁部30bに連結されている。この風綿収集ボックス31の左壁部31a、下壁部31b、及び、右壁部31cには、それぞれ円形の開口33a,33b,33cが形成されている。
【0055】
吸入ボックス30に接する左壁部31a(第2の壁部)の開口33aは、吸入ボックス30の開口32bと連通しており、この開口33aは、巻取ユニット2の周囲の空気を、吸入ボックス30を介して風綿収集ボックス31内の風綿収集室に導入する導入部34を構成している。風綿収集ボックス31の下側には、吸引ファン32が設置されており、吸引ファン32は、排気口38aを有するカバー部材38に覆われている。そして、風綿収集ボックス31の下壁部31b(第1の壁部)の開口33bは、吸引ファン32と接続されて風綿収集室37内の空気を排出する第1排出部35を構成している。また、風綿収集ボックス31の右壁部31cの開口33cは集綿ダクト7(図1参照)に接続されている。そして、この右壁部31cの開口33cは、集綿ダクト7を介してメインブロア8(風綿回収負圧源:図1参照)に接続されることによって、風綿収集室37内の空気を排出する第2排出部36を構成している。
【0056】
さらに、風綿収集装置6は、風綿収集ボックス31の風綿収集室37内に設けられたフィルタ39(風綿遮断部材)と、導入部34を遮蔽して開口面積を絞る遮蔽部材40(絞り部材)と、第2排出部36を開閉する開閉部材41とを有する。
【0057】
図3〜図5に示すように、フィルタ39は円筒形状を有し、風綿収集ボックス31の左壁部31aに形成された導入部34の開口33aと、右壁部31cに形成された第2排出部36の開口33cを繋ぐように配設されている。また、円筒状のフィルタ39は、第1排出部35の開口33bを覆うように、風綿収集ボックス31の下壁部31bに沿って延びている。そして、導入部34から導入された空気が第1排出部35へ排出される際に、フィルタ39は、その排出される空気中に含まれる風綿を捕捉する。尚、フィルタ39が円筒状であると、フィルタ39の風綿を捕捉する面の面積が大きくなり、フィルタ39の目詰まりが生じにくいという利点がある。
【0058】
遮蔽部材40(絞り部材)は板状の部材であり、図3〜図5に示すように、吸入ボックス30の右壁部30bにおいて、軸42を中心に揺動自在に取り付けられており、吸入ボックス30の開口33b(風綿収集ボックス31の導入部34の開口33a)を遮蔽するように構成されている。また、吸入ボックス30の上面には、遮蔽部材40を揺動駆動するエアシリンダ43が設けられている。図3、図5に示すように、板状の遮蔽部材40の下端部には切り欠き40aが形成されている。そして、遮蔽部材40が導入部34の開口33aを遮蔽したときに、上記切り欠き40aにおいて、導入部34の開口33aの、下側(第1排出部35が設けられている下壁部31b側)の部分が開放された状態となる。
【0059】
図3、図5に示すように、風綿収集ボックス31の右壁部31cの外面には、集綿ダクト7(図1参照)と接続される接続部材44が固定されている。この接続部材44には開閉部材41がスライド自在に設けられており、開閉部材41がエアシリンダ45によってスライド駆動されることによって、第2排出部36の開口33cが開閉される。
【0060】
尚、本実施形態において、風綿収集装置6の吸引ファン32の動作や、遮蔽部材40や開閉部材41を駆動するエアシリンダ43,45の動作は、自動ワインダ1の機台制御装置4(図1参照)によって制御されるようになっている。
【0061】
次に、上述した風綿収集装置6の、風綿収集ボックス31への風綿収集時の動作、及び、収集した風綿をメインブロア8で回収する際の動作について説明する。
【0062】
まず、巻取ユニット2の周囲に漂う風綿を風綿収集ボックス31に収集する際には、図3に示すように、複数の風綿収集装置6のそれぞれにおいて、遮蔽部材40が導入部34の開口33aを遮蔽せず、導入部34の開口面積が絞られていない完全開放状態とされる一方で、開閉部材41によりメインブロア8に繋がる第2排出部36が閉止される。この状態で、吸引ファン32の駆動によって風綿収集室37内が減圧されると、巻取ユニット2の周囲の、風綿を含んだ空気が吸引ノズル25(図2参照)から吸引され、吸入ボックス30を介して導入部34から風綿収集室37内に導入される。さらに、導入部34から風綿収集室37内(円筒状のフィルタ39の内部)に導入された空気はフィルタ39を通過して第1排出部35へ排出されるが、その際に、その空気中に含まれている風綿50がフィルタ39で捕捉される。
【0063】
上記の風綿収集動作が続くと、フィルタ39(特に、第1排出部35を覆う部分)に風綿50が堆積していき、次第に収集機能が低下することから、所定時間(例えば、10分)が経過する毎に、風綿収集ボックス31に収集した風綿50を、メインブロア8の負圧によって風綿回収ボックス5(図1参照)へ回収する。図7は、風綿回収時における風綿収集装置6の縦断面図である。
【0064】
風綿収集ボックス31内の風綿50を回収する際には、図7に示すように、遮蔽部材40により、導入部34の開口33aが、切り欠き40aに対応する下側の一部を除いて遮蔽され、導入部34の開口面積が絞られる。一方で、開閉部材41により閉止されていた第2排出部36が開放される。これにより、風綿収集室37内に、導入部34から第2排出部36へ向かう空気の流れが生じるが、さらに、導入部34の開口面積が絞られることによって、導入部34から導入される空気の流速が上昇し、この速い気流によって風綿収集室37内のフィルタ39に堆積した風綿50が吹き飛ばされて第2排出部36へ排出される。このように、導入部34の開口面積を絞るだけで、メインブロア8で発生する負圧を効果的に利用してフィルタ39に堆積した風綿50を確実に除去できる。
【0065】
尚、フィルタ39を清掃する際の導入部34の開口面積は、遮蔽部材40の切り欠き40aの大きさによって決まり、遮蔽部材40によって導入部34を遮蔽するだけで所定の開口面積に設定される。つまり、フィルタ39の清掃の度に、導入部34の開口面積を調整(制御)する必要がない。
【0066】
また、本実施形態では、特に、風綿収集ボックス31の、第1排出部35が設けられた下壁部31bと直交する左壁部31aに導入部34が設けられ、左壁部31aと向かい合う右壁部31cの、導入部34と対向する位置に第2排出部36が設けられている。これにより、導入部34と第2排出部36とを結ぶ直線が、第1排出部35が設けられた下壁部31bと平行となっている。そのため、導入部34から風綿収集室37内に導入された空気が、第1排出部35を覆うフィルタ39に沿って流れることとなり、フィルタ39に堆積した風綿50を吹き飛ばしやすくなる。
【0067】
また、円筒状のフィルタ39のうち、第1排出部35を覆う部分(第1排出部35の直上の部分)に、最も多くの風綿50が堆積することから、この部分に強い気流を作用させることが好ましい。この点、本実施形態では、遮蔽部材40の切り欠き40aが、その下端部、即ち、第1排出部35が設けられている下壁部31b側の部分に形成されている。従って、切り欠き40aによって部分的に開放された導入部34の小さな開口部分が、第1排出部35側に位置することになり、フィルタ39の、第1排出部35を覆う部分に沿った空気の流れが速くなって、この部分の風綿を確実に除去できる。
【0068】
さらに、この風綿回収時において、風綿収集室37内の空気を第2排出部36へ排出すると同時に、風綿収集装置6の吸引ファン32を駆動し続けて、第1排出部35からの空気の排出も継続することが好ましい。これにより、導入部34から流入して第2排出部36へ向かう空気の量(単位時間当たりに流入する空気量)を多くなる。そして、導入部34から第2排出部36へ向かって流れる大量の空気流が、フィルタ39に付着した風綿を引き剥がすように作用するため、風綿を効果的に除去できる。また、図7に示すように、導入部34から風綿収集室37内に流入した大量の空気のうち、一部が第1排出部35及び第2排出部36から排出されず、導入部34へ戻るような旋回流が生じる。この旋回流により風綿収集室37内の風綿をフィルタ39から引き剥がす効果がさらに高くなり、風綿収集室37内に風綿を残すことなく第2排出部36から回収することが可能となる。また、吸引ファン32を駆動し続けることで、風綿の回収を行う度に吸引ファン32を停止させなくてすむ。従って、吸引ファン32の起動/停止の回数が減り、吸引ファン32の寿命(コンダクタ等の電気部品の寿命)が長くなるという効果もある。
【0069】
このように、本実施形態の風綿収集装置6によれば、遮蔽部材40により導入部34の開口面積を絞るだけで、メインブロア8で発生する負圧を効果的に利用してフィルタ39に堆積した風綿を除去でき、フィルタ39の清掃のための構成が非常に簡単なものとなる。
【0070】
また、本実施形態では、複数の風綿収集装置6に共通に接続されて、これら複数の風綿収集装置6から風綿を回収する1つのメインブロア8(図1参照)の負圧を利用して、複数の風綿収集装置6のフィルタ39の清掃をそれぞれ行う。
【0071】
尚、全ての風綿収集装置6の風綿回収(フィルタ39の清掃)を同時に行うと、集綿ダクト7内の負圧が弱まって、フィルタ39の清掃の効果が落ちる。さらに、風綿回収を行っている風綿収集装置6においては、風綿収集ボックス31内への空気の吸入量がかなり少なくなっており、風綿の収集がほとんどなされないことから、全ての風綿収集装置6の風綿回収を同時に行うと、その間、全ての巻取ユニット2において風綿収集がほぼ完全に停止してしまうという問題もある。そこで、メインブロア8による風綿収集装置6の風綿回収は、1つずつ順番に行うことが好ましい。
【0072】
次に、前記実施形態に種々の変更を加えた変更形態について説明する。但し、前記実施形態と同様の構成を有するものについては、同じ符号を付して適宜その説明を省略する。
【0073】
1]風綿収集ボックス31の導入部34の開口面積を絞る絞り部材は、前記実施形態の遮蔽部材40に限られるものではなく、下記に例示するように構成を適宜変更することが可能である。
【0074】
(変更形態1)
前記実施形態の遮蔽部材40の切り欠き40aの代わりに、図8に示すように、穴40bが形成されていてもよい。この構成でも、切り欠き40aと同様、穴40bの大きさだけでフィルタ39を清掃する際の導入部34の開口面積が決まる。つまり、遮蔽部材40によって導入部34を遮蔽するだけで所定の開口面積に設定される。尚、前記実施形態の切り欠き40aと同様に、この変更形態1の穴40bも、遮蔽部材40の下端側部分(遮蔽姿勢にあるときの第1排出部35側に位置する部分)に設けられることが好ましい。
【0075】
(変更形態2)
図9に示すように、切り欠き40a(又は穴40b)を有する遮蔽部材40が、導入部34が設けられた、風綿収集ボックス31の壁部31aに沿ってスライド移動可能であり、エアシリンダ46等の駆動手段によって駆動されるものであってもよい。
【0076】
(変更形態3)
図10に示すように、風綿収集ボックス31の導入部34が、第1開口部34aと、この第1開口部34aよりも開口面積の小さい第2開口部34bを有する構成とすることができる。この場合、風綿収集時には、遮蔽部材40は第1開口部34aを開放する一方で、第2開口部34bを遮蔽する(図10の二点鎖線の位置)。また、風綿回収時には、遮蔽部材40は第1開口部34aを閉止する一方で、第2開口部34bを開放し(図10の実線の位置)、これによって、風綿収集時と比べて導入部34の開口面積を絞る。この構成では、風綿収集用の第1開口部34aとは別に、フィルタ39の清掃用の第2開口部34bを、フィルタ39の清掃に適した位置(フィルタ39に効果的に気流を作用させることができる位置)に設けることができる。具体的には、図10のように、第2開口部34bを、円筒状のフィルタ39の、最も多くの風綿50が堆積する下部に近接した位置に設けることができる。また、第1開口部34aと第2開口部34bをそれぞれ開閉する2つの遮蔽部材40を有し、これら2つの遮蔽部材40により、第1開口部34aと第2開口部34bの何れか一方を選択的に開放する構成であってもよい。
【0077】
(変更形態4)
遮蔽部材40が、導入部34が設けられた、風綿収集ボックス31の壁部31aに沿ってスライド移動可能な構成である場合に、図11に示すように、適宜の駆動手段48によって遮蔽部材40の位置を調整して、導入部34の開口面積を調整する構成であってもよい。この構成では、導入部34の開口面積を自由に変更することができる。尚、駆動手段48としてステッピングモータを用いれば、ステッピングモータの駆動パルス数を調整することによって、導入部34の開口面積を簡単に変更することができる。その他、駆動手段48として、ストローク調整が可能なエアシリンダ等を採用してもよい。
【0078】
2]フィルタ39は円筒状のものには限られず、その形状は適宜変更可能である。例えば、図12に示すように、風綿収集ボックス31の第1排出部35を全面的に覆う、平らなシート状のフィルタ39であってもよい(変更形態5)。
【0079】
3]前記実施形態では、風綿収集ボックス31において、導入部34から導入された空気がフィルタ39に沿って流れるように、導入部34、第1排出部35、第2排出部36がそれぞれ配置されているが、導入部34から導入された空気がフィルタ39に衝突するような構成であってもよい(変更形態6)。例えば、図13に示すように、風綿収集ボックス31の下壁部31bに設けられた第1排出部35を覆うようにフィルタ39が配置された上で、風綿収集ボックス31の上壁部31dに、導入部34と、この導入部34の開口面積を絞る遮蔽部材40が設けられてもよい。
【0080】
4]前記実施形態では、図2、図7に示すように、風綿収集ボックス31の左壁部31aに導入部34、下壁部31bに第1排出部35、右壁部31cに第2排出部36が設けられ、導入部34から導入された空気が、第1排出部35を覆うフィルタ39に沿って第2排出部36へ流れるように構成されている。そして、この構成だけでも、上記の、導入部34から第2排出部36に向かう気流によってフィルタ39に堆積している風綿50が吹き飛ばされやすくなることから、図14に示すように、導入部34の開口面積を絞る絞り部材(遮蔽部材40)を省略してもよい(変更形態7)。
【0081】
5]以上説明した実施形態は、本発明を自動ワインダに適用した例であるが、自動ワインダ以外にも、紡績機などの、糸処理時に風綿が発生する他の繊維機械にも本発明を適用することは可能である。
【符号の説明】
【0082】
1 自動ワインダ
2 巻取ユニット
6 風綿収集装置
8 メインブロア
31 風綿収集ボックス
32 吸引ファン
34a 第1開口部
34b 第2開口部
34 導入部
35 第1排出部
36 第2排出部
37 風綿収集室
39 フィルタ
40a 切り欠き
40b 穴
40 遮蔽部材
41 開閉部材
48 駆動手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
繊維機械の動作によって生じた風綿を集める風綿収集装置であって、
風綿収集室と、前記風綿を含んだ空気を前記風綿収集室に導入する導入部と、前記風綿収集室内の空気を排出する第1排出部及び第2排出部と、を有する風綿収集ボックスと、
前記第1排出部に接続されて前記風綿収集室を減圧する、風綿収集負圧源と、
前記風綿収集室内に設けられ、前記第1排出部から排出される空気中の風綿を捕捉する風綿遮断部材を備え、
前記風綿収集ボックスの前記第2排出部は、前記風綿収集ボックスに収集された風綿を回収する、前記風綿収集負圧源とは別の、風綿回収負圧源に接続され、
さらに、前記第2排出部を開閉する開閉手段と、
前記導入部の開口面積を絞る絞り部材と、
を備えていることを特徴とする風綿収集装置。
【請求項2】
前記絞り部材は、前記導入部の開口を、その一部分を除いて遮蔽する遮蔽部材であることを特徴とする請求項1に記載の風綿収集装置。
【請求項3】
前記遮蔽部材には、前記導入部の開口を遮蔽したときに、前記導入部の開口の一部を開放させる、切り欠き又は穴が形成されていることを特徴とする請求項2に記載の風綿収集装置。
【請求項4】
前記風綿収集ボックスを形成する第1の壁部に前記第1排出部が設けられるとともに、前記第1排出部を覆うように前記第1の壁部に沿って前記風綿遮断部材が配置され、
前記風綿収集ボックスの前記第1の壁部と交差する第2の壁部に、前記導入部が設けられ、
前記遮蔽部材の、前記導入部の開口を遮蔽した状態において前記第1の壁部側に位置する端部に、前記切り欠き又は前記穴が形成されていることを特徴とする請求項3に記載の風綿収集装置。
【請求項5】
前記導入部は、第1開口部と、この第1開口部よりも開口面積の小さい第2開口部を有し、
前記遮蔽部材は、前記第1開口部を閉止する一方で、前記第2開口部を開放することによって、前記導入部の開口面積を絞ることを特徴とする請求項2に記載の風綿収集装置。
【請求項6】
前記遮蔽部材は、前記導入部が設けられた前記風綿収集ボックスの一壁部に沿って移動可能に構成され、
前記遮蔽部材を前記一壁部に沿って移動させることによって、前記導入部の開口面積を調整する駆動手段を有することを特徴とする請求項2に記載の風綿収集装置。
【請求項7】
前記駆動手段がステッピングモータであることを特徴とする請求項6に記載の風綿収集装置。
【請求項8】
前記風綿遮断部材は、前記風綿収集ボックスの前記第1排出部が設けられた壁部に沿って配置され、
前記導入部と前記第2排出部とを結ぶ直線が、前記第1排出部が設けられた前記風綿収集ボックスの壁部と平行となるように、前記導入部、前記第1排出部、及び、前記第2排出部がそれぞれ配置されていることを特徴とする請求項1に記載の風綿収集装置。
【請求項9】
前記絞り部材は、前記導入部の開口を、その前記第1排出部側の一部分を残して遮蔽することにより、前記導入部の開口面積を絞ることを特徴とする請求項8に記載の風綿収集装置。
【請求項10】
前記風綿遮断部材は、前記導入部と前記第2排出部を繋ぐように設けられ、前記第1排出部が設けられた壁部に沿って延びる、筒状フィルタであることを特徴とする請求項8又は9に記載の風綿収集装置。
【請求項11】
糸を処理する糸処理装置と、
前記糸処理装置の動作によって生じた風綿を集める風綿収集装置と、
前記風綿収集装置に接続されて、この風綿収集装置で収集された風綿を回収する風綿回収負圧源と、を有し、
前記風綿収集装置は、
風綿収集室と、前記風綿を含んだ空気を前記風綿収集室に導入する導入部と、前記風綿収集室内の空気を排出する第1排出部及び第2排出部と、を有する風綿収集ボックスと、
前記第1排出部に接続され、前記風綿収集室を減圧する風綿収集負圧源と、
前記風綿収集室内に設けられ、前記第1排出部から排出される空気中の風綿を捕捉する風綿遮断部材を備え、
前記風綿収集ボックスの前記第2排出部は前記風綿回収負圧源に接続され、
さらに、前記風綿収集装置は、
前記第2排出部を開閉する開閉手段と、
前記導入部の開口面積を絞る絞り部材と、を備えていることを特徴とする繊維機械。
【請求項12】
前記風綿収集装置を複数備え、
前記風綿回収負圧源は、前記複数の風綿収集装置に共通に接続されていることを特徴とする請求項11に記載の繊維機械。
【請求項13】
請求項11又は12に記載の繊維機械において風綿を収集する方法であって、
前記風綿収集装置によって風綿を収集する際には、前記開閉手段により前記第2排出部を閉止し、且つ、前記絞り部材が前記導入部の開口面積を絞っていない状態で、前記風綿収集負圧源を駆動して前記導入部から前記風綿収集室内に導入した空気を前記第1排出部に排出しつつ、前記風綿遮断部材により導入された空気中の風綿を捕捉し、
前記風綿収集装置に収集された風綿を前記風綿回収負圧源によって回収する際には、前記開閉手段により前記第2排出部を開放し、且つ、前記絞り部材が前記導入部の開口面積を絞ることで、開口面積が絞られた前記導入部から前記風綿収集室に導入された空気によって、前記風綿遮断部材に捕捉された風綿を前記第2排出部に排出することを特徴とする風綿収集方法。
【請求項14】
前記風綿収集装置に収集された風綿を前記風綿回収負圧源によって回収する間も、前記風綿収集装置の前記風綿収集負圧源を駆動し続けることを特徴とする請求項13に記載の風綿収集方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2013−14860(P2013−14860A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−149139(P2011−149139)
【出願日】平成23年7月5日(2011.7.5)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】