説明

飛翔体監視装置、飛翔体監視訓練装置、飛翔体監視装置用データベース更新装置

【課題】飛翔体の飛行条件や衛星からの飛翔体観測条件が様々に変化した場合でもより可能性の高い飛翔体モデルを高い確度で選択することが可能な飛翔体監視装置を提供する。
【解決手段】地表上を飛ぶ飛翔体の上方の衛星からの観測方位を入力し該飛翔体の推定軌道(高度、速度:飛行条件、位置:観測条件)を出力する軌道推定装置6、飛翔体のハードウェアに関する情報からなる複数の飛翔体モデルを記録した飛翔体データベース7、各飛翔体モデルに対し推定軌道で表される飛行条件に応じた予測光源スペクトルを求める光源スペクトル算出手段8、各予測光源スペクトルに対して推定軌道で表される観測条件に応じた予測観測スペクトルを求める観測スペクトル算出手段9、実測の観測スペクトルと予測観測スペクトルを比較してスペクトル誤差を計算し、飛翔体データベースの中で最も可能性の高い飛翔体モデルを選択する比較装置10を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、衛星に搭載した光学センサで地表付近を飛翔するロケット等の飛翔体を探知、類別する飛翔体監視装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のこの種の飛翔体監視装置では、光学センサで観測したスペクトル(背景のみ、又は背景とロケット)と、テンプレートデータベース(各種ロケットのスペクトルと背景のスペクトルから成る)との相関を計算することにより、ロケットの存在判定(探知)やロケットの機種判定(類別)を行っていた(例えば下記特許文献1参照)。
また、大気中を飛翔するロケットの赤外線強度の高度との関係が下記非特許文献1に示されている。
なお、ロケットプルーム(排気)のスペクトルのことを略してロケットのスペクトルと記すことにする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第2547948号明細書
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】F. S. Simmons 著、”Rocket Exhaust Plume Phenomenology”、The Aerospace Press 刊、ISBN 1-884989-08-X、p.26、2000年
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の装置では、例えば、画像センサ、観測スペクトル出力手段、テンプレートデータベース、相関計算手段、から構成される。画像センサで撮影した画像を元に、観測スペクトル出力手段により画素毎の観測スペクトルが計算される。その観測スペクトルは、相関計算手段においてテンプレートデータベースに収められた複数のスペクトルとの相関が計算され、画素中にロケットが存在するか否か、また存在する場合にはさらにロケット機種も判定されて出力される。
【0006】
このような飛翔体監視装置にあっては、テンプレートデータベースとして各種ロケットのスペクトルと背景のスペクトルを用いているが、これらは特定の条件で観測されたスペクトルに過ぎない。一般的に、ロケットの探知追尾には赤外線の波長帯が多用されるが、ロケットを特定機種に限定しても飛行条件(高度や速度)によりロケットから放射されるスペクトルが変化し、また観測条件(ロケット軌道で変化するロケットと衛星の位置関係に依存する大気透過率等)により衛星に到達する観測スペクトルは大きく変化する。
【0007】
また、背景も地球表面の状況(海、表土、植生等)、雲やエアロゾルの状況(高度、粒径等)、太陽光の状況(昼夜、季節等)に依存して時間的空間的に変化するものである。従って、特定の条件で作成されたテンプレートデータベースとの相関を計算する従来の飛翔体監視装置では、実際に起こりうる種々の飛行条件や観測条件での観測スペクトルに対して、ロケットの存在判定(探知)やロケットの機種判定(類別)が十分に機能しないという問題点があった。
【0008】
この発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、飛翔体の飛行条件や衛星からの飛翔体観測条件が様々に変化した場合でも、より可能性の高い飛翔体モデルを高い確度で選択することが可能な飛翔体監視装置等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明は、地表面上を飛翔する飛翔体を上方の衛星から監視する飛翔体監視装置であって、前記飛翔体の前記衛星からの観測方位を入力として該飛翔体の推定軌道を出力する軌道推定装置と、飛翔体のハードウェアにより定まる情報からなる複数の飛翔体モデルを記録した飛翔体データベースと、前記飛翔体データベースに記録された前記各飛翔体モデルに対して前記推定軌道で表される飛行条件に応じた予測光源スペクトルを求める光源スペクトル算出手段と、前記各予測光源スペクトルに対して前記推定軌道で表される観測条件に応じた予測観測スペクトルを求める観測スペクトル算出手段と、実測の観測スペクトルと前記予測観測スペクトルを比較してスペクトル誤差を計算し、前記飛翔体データベースの中で最も可能性の高い飛翔体モデルを選択する比較装置と、を備えたことを特徴とする飛翔体監視装置等にある。
【発明の効果】
【0010】
この発明では、飛翔体の飛行条件や衛星からの飛翔体観測条件が様々に変化した場合でも、より可能性の高い飛翔体モデルを高い確度で選択することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】この発明の実施の形態1による飛翔体監視装置の構成(類別運用時の構成)を示すブロック図である。
【図2】この発明の飛翔体監視装置の運用概念を説明するための図である。
【図3】この発明の実施の形態2による飛翔体監視訓練装置の構成(訓練運用時の構成)を示すブロック図である。
【図4】この発明の実施の形態3による飛翔体監視装置用データベース更新装置の構成(データベース更新運用時の構成)を示すブロック図である。
【図5】この発明による飛翔体監視装置の変形例の構成を示すブロック図である。
【図6】この発明による飛翔体監視装置用データベース更新装置の変形例の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
この発明に係わる飛翔体監視装置は、飛翔体のテンプレートとして飛翔体の推薬やエンジン仕様を情報とする飛翔体モデルを格納したテンプレートデータベース(飛翔体データベース)、飛行条件に依存する光源スペクトルを計算する流体/燃焼計算装置(光源スペクトル算出手段)、観測条件に依存する観測スペクトル(大気減衰率)を推定する大気減衰推定装置(観測スペクトル算出手段)、上記飛行条件や観測条件である飛翔体の高度、速度、および位置を知るための軌道推定装置、を備える。
テンプレートデータベースとして飛翔体の推薬やエンジン仕様といったハードウェアで決まる固定的な情報を用いており、飛翔体の飛行条件や観測条件の影響を受けない。飛翔体の飛行条件、観測条件は軌道推定装置で計算し、飛行条件の影響は流体/燃焼計算装置で、観測条件の影響は大気減衰推定装置で、それぞれ計算し、観測スペクトルを得る。従って、実観測時の個別の飛行条件や観測条件の変化に影響されずに飛翔体の機種判定を高い確度で行うことができる。
【0013】
またこの発明に係わる飛翔体監視訓練装置は、背景画像のスペクトルを記録した背景データベースまたは背景画像を得るための画像センサ、仮想軌道を飛行する飛翔体に対して計算された予測観測スペクトルと背景画像を合成する模擬画像生成装置、を備える。
任意の飛翔体軌道に対して観測スペクトルを計算することができるので、実背景やデータベースの背景と合成することでオペレータ訓練用の模擬画像を生成することができる。
【0014】
またこの発明に係わる飛翔体監視装置用データベース更新装置は、データベースの更新のために、観測スペクトルの実測値と予測値のスペクトル誤差を計算する比較装置、スペクトル誤差を用いてテンプレートデータベースの中の飛翔体モデルを修正する学習部、を備え得る。
テンプレートデータベースに固定的な情報を用い、スペクトルの実測値と予測値の比較装置と学習部を備えているので、飛行条件や観測条件に影響されることなくテンプレートデータベースの情報を効率良く修正することができる。
なお、データベースの更新のために、上記飛翔体監視装置に学習部を設け、類別(監視)モードとデータ更新モードとで切り換えるように構成してもよい。
【0015】
以下、この発明による装置を各実施の形態に従って図面を用いて説明する。なお、各実施の形態において、同一もしくは相当部分は同一符号で示し、重複する説明は省略する。また、以下の説明では飛翔体がロケットの場合を例に挙げて説明するが、この発明はこれに限定されない。
【0016】
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1による飛翔体監視装置の構成(類別運用時の構成)を示すブロック図である。また図2はこの発明の飛翔体監視装置の運用概念を説明するための図である。例えば飛翔体監視装置を搭載した衛星Aの画像センサ1では、大気Eに覆われた地球Dおよび目視線F方向の地表面上を飛翔するロケットBのプルームCが撮影される。背景除去装置2では、画像センサ1で得られた観測画像から背景が除去され、得られた観測画像はスペクトル計算装置3に送られる。スペクトル計算装置3では、背景を除去した観測画像から観測スペクトルが算出されて探知装置4と比較装置10へ送られる。
【0017】
探知装置4では、ロケットBのプルームCが探知された場合には存在画素情報を方位計算装置5へ出力する。方位計算装置5では、存在画素情報から衛星Aから見たロケットBのプルームCへの観測方位が計算されて軌道推定装置6に送られる。軌道推定装置6では、方位からロケットBの推定軌道(飛行条件:高度,速度、観測条件:位置)が計算される。
【0018】
テンプレートデータベースであるロケットデータベース7には、飛翔体のハードウェアにより定まる固定的な情報からなる複数のロケットモデル情報(推薬の種類、エンジン仕様等を含む)が予め記録されている。光源スペクトル算出手段である流体/燃焼計算装置8では、ロケットデータベース7の複数のロケットモデル情報(飛翔体モデル)それぞれに対して、軌道推定装置6で計算されたロケットBの推定軌道中の飛行条件である高度や速度を用いて光源スペクトルの予測値が計算される。観測スペクトル算出手段である大気減衰推定装置9では、流体/燃焼計算装置8で求めた予測光源スペクトルと軌道推定装置6で計算された推定軌道中の観測条件である位置を元に大気減衰率が計算され、さらにこの大気減衰率を用いて観測スペクトルの予測値が計算される。
【0019】
比較装置10では、スペクトル計算装置3で計算された観測スペクトルの実測値と、大気減衰推定装置9を通して計算された観測スペクトルの予測値とを比較して誤差スペクトルを計算し、ロケットデータベース7に記録された複数のロケットモデル情報の中で誤差スペクトルが小さく最も可能性の高い最尤ロケットモデルが選択される。
【0020】
ここで軌道推定装置6における軌道推定計算では例えば、衛星Aの画像センサ1等で観測されたロケットの方向(方位角と仰角等)の時刻歴を入力とし、仮定したロケット運動モデルを用いて最小二乗法等によりロケットの位置や速度等を推定する処理が行われる。
【0021】
ロケットデータベース7のロケットモデル情報は、流体/燃焼計算装置8で必要となる、ロケット推薬の種類やロケットの性能パラメータ(特にノズル膨張比や燃焼室圧力:ノズル形状,エンジン仕様に係る)で構成される。
【0022】
流体/燃焼計算装置8に関し、流体/燃焼計算は例えば、数値流体力学等で扱われる対象であり、与えられたロケット推薬やノズル形状に対してナビエ・ストークスの方程式等を解いてロケット排気の速度分布,温度分布,構成分子モル比率等を得る一般的な計算手法である。構成分子のモル比率とその温度が分かれば、光源であるロケット排気が放射する赤外放射スペクトルを計算することが可能となる。そして光源スペクトル算出手段は、ロケットデータベース7の類薬やノズルの性能パラメータを入力として、流体/燃焼計算により得られる流体としてのロケット排気の組成分布や温度分布、更にその結果から計算される赤外線分光放射強度(輝度)を求めることを意味する。なお流体計算に関して、ロケットの飛行高度や飛行速度が大きく影響する。
【0023】
大気減衰推定装置9に関し、大気減衰計算は例えば、地表面上を飛翔する飛翔体を上方の衛星から監視する衛星システムでは、地表からの赤外放射を抑制する(大気透過率の低い)特定の波長帯を利用するため、ロケット光源の赤外放射を推定するには大気減衰の影響を補正する必要がある。赤外線の大気の分光透過率に関しては代表的なMODTRAN等の様々な推算式が存在する。ロケット排気スペクトル(光源スペクトル)と、ロケットBと衛星Aの位置関係(観測条件)で決まる大気減衰とから、衛星Aの画像センサ1で受けるスペクトル(観測スペクトル)を計算することができる。そして観測スペクトル算出手段は、得られた赤外画像から光源としてのロケットBのスペクトルに対し、衛星Aからの観測条件に依存する大気減衰を考慮して観測した場合のスペクトルを計算する。比較装置10で推算値と実測値を比較する条件を同一(衛星センサが受ける赤外放射スペクトル)にするために必要である。
【0024】
以上の構成により、ロケットデータベース7に記録される複数ロケットモデル情報は、ロケットBの飛行条件(高度や速度)および衛星AからロケットBのプルームCを観測する観測条件に依存しない情報になっている。その依存しない情報を元に流体/燃焼計算装置8で予測光源スペクトルを、更に大気減衰推定装置9で予測観測スペクトルを計算するので、最も可能性の高いロケットモデルを、飛行条件や観測条件や背景に依存すること無くロケットデータベース7から選択する類別機能を高い確度で実現することができる。
【0025】
実施の形態2.
図3はこの発明の実施の形態2による飛翔体監視訓練装置の構成(訓練運用時の構成)を示すブロック図である。図3の(a)は第1の実施例の構成、(b)は第2の実施例の構成、をそれぞれ示し、両者の違いは後述する、背景画像を画像センサ1から実測画像を得るか、背景データベース11から選択するかの違いである。
【0026】
図3の(a)の場合、衛星Aに搭載された画像センサ1で地球Dを撮影し、背景画像を得る。訓練教官により入力部15から入力された仮想軌道(飛行条件:高度,速度、観測条件:位置を含む)、さらにロケットデータベース7に記録された複数のロケットモデル情報(推薬の種類、エンジン仕様等を含む)の中から訓練教官により入力部15からの入力により選択されたロケットモデル情報を元に、選択されたロケットモデル情報に関して仮想軌道の高度や速度を用いて流体/燃焼計算装置8で予測光源スペクトルが計算される。大気減衰推定装置9では、流体/燃焼計算装置8で求めた予測光源スペクトルと仮想軌道の位置を元に大気減衰率が計算され、さらにこの大気減衰率を用いて観測スペクトルの予測値が計算される。模擬画像生成装置12では、背景画像に、仮想軌道の位置と予測観測スペクトルから計算されたロケットBの観測画像を合成し、模擬観測画像を得る。なお、図3の(a)の場合、画像センサ1で撮影された背景画像を使用しているのに対し、図3の(b)の場合、予め撮影して背景データベース11に記録した背景画像を使用している。
【0027】
ここで背景データベース11は、ロケットが存在しない時の赤外画像である。リアルタイムに撮影された画像ではなく、背景となる陸(都市部、砂漠、森林等)や水面、昼夜、四季により変化する実測画像を予め複数保存しておき、オペレータ訓練用として例えば入力部15からの入力指定された季節や時刻や場所の模擬画像を適宜生成するためのものである。
【0028】
また模擬画像生成装置12は、ロケットBが存在しない背景画像の中に、ロケットデータベース7に登録されたロケットBが仮想軌道を飛翔したと仮定したロケット像を加算(ロケットの赤外放射のエネルギー相当分画素値をロケットが存在する画素に加算)するものである。
【0029】
この構成によれば、訓練教官が与えた任意の仮想軌道に対して模擬画像を生成することができるので、この発明で対象とする飛翔体監視装置のオペレータを訓練する訓練機能をもたせることができる。
【0030】
実施の形態3.
図4はこの発明の実施の形態3による飛翔体監視装置用データベース更新装置の構成(データベース更新運用時の構成)を示すブロック図である。実施の形態1の類別機能と同様に最も可能性の高い最尤ロケットモデルが選択された後、予測観測スペクトルと画像センサ1での観測から得られた観測スペクトルとを比較装置10で比較してスペクトル誤差を計算する。そしてスペクトル誤差を減少させるように学習部13でロケットモデル修正量を計算し、ロケットデータベース7に記録されている最も可能性の高いロケットモデルの情報を修正する。
【0031】
ここで学習部13は、観測スペクトルの実測値と予測値の誤差を入力として、スペクトル誤差が小さくなるようにロケットデータベース7の中の該当ロケットモデルを記述する推薬(例えば燃料と酸化剤の比率)やロケットノズル膨張比を修正するものである。例えば燃料と酸化剤の比率を変化させて予測観測スペクトルを計算し、実測値との誤差が小さくなる方向に燃料と酸化剤の比率を変更するものである。
【0032】
この構成によれば、ロケットBの飛行条件や衛星AとロケットBの観測条件に依存せずにロケットデータベース7の中の選択されたロケットモデル情報を修正することができるので、さまざまな飛行条件や観測条件での観測結果を使って選択されたロケットモデル情報を効率よく修正するデータベース更新機能(学習機能)をもたせることができる。
【0033】
なお、図1の飛翔体監視装置において、実施の形態1で説明した類別モードと上記説明によるデータベース更新モード(学習モード)を切り換えて実行する構成にしてもよく、その場合の構成は図1に破線で示す構成となる。類別モードではロケットデータベース7に記録された複数のロケットモデル情報の中で誤差スペクトルが小さく最も可能性の高い最尤ロケットモデルが選択され、データベース更新モードでは、スペクトル誤差を減少させるように学習部13でロケットモデル修正量を計算し、ロケットデータベース7に記録されている最も可能性の高いロケットモデルの情報を修正する。これらはそれぞれ別々の独立したモードとして処理される。
【0034】
また、上述の実施の形態1,3に関する図1、図4の構成では、背景除去装置2の出力する背景除去された観測画像に対してスペクトル計算装置3で観測スペクトルを求めていたが、それぞれ図5,図6に示すように探知装置4のロケットBのプルームCが探知された存在画素情報に対してスペクトル計算装置3で観測スペクトルを求めるようにしてもよい。これにより処理の効率が向上する。
【0035】
また、上記各実施の形態の構成において、画像センサ1以外の構成については、衛星搭載計算機等の処理能力に応じて一部または全部を地上設置とし、地上処理に必要な情報は衛星から地上に通信手段(図示省略)で転送するようにしてもよい。
【0036】
なお、この発明は上記各実施の形態に限定されるものではなく、各実施の形態の特徴の可能な組み合わせを全て含むことは云うまでもない。
【符号の説明】
【0037】
1 画像センサ、2 背景除去装置、3 スペクトル計算装置、4 探知装置、5 方位計算装置、6 軌道推定装置、7 ロケットデータベース(飛翔体データベース)、8 光源スペクトル算出手段(流体/燃焼計算装置)、9 観測スペクトル算出手段(大気減衰推定装置)、10 比較装置、11 背景データベース、12 模擬画像生成装置、13 学習部、15 入力部、A 衛星、B ロケット、C プルーム、D 地球、E 大気、F 目視線。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地表面上を飛翔する飛翔体を上方の衛星から監視する飛翔体監視装置であって、
前記飛翔体の前記衛星からの観測方位を入力として該飛翔体の推定軌道を出力する軌道推定装置と、
飛翔体のハードウェアにより定まる情報からなる複数の飛翔体モデルを記録した飛翔体データベースと、
前記飛翔体データベースに記録された前記各飛翔体モデルに対して前記推定軌道で表される飛行条件に応じた予測光源スペクトルを求める光源スペクトル算出手段と、
前記各予測光源スペクトルに対して前記推定軌道で表される観測条件に応じた予測観測スペクトルを求める観測スペクトル算出手段と、
実測の観測スペクトルと前記予測観測スペクトルを比較してスペクトル誤差を計算し、前記飛翔体データベースの中で最も可能性の高い飛翔体モデルを選択する比較装置と、
を備えたことを特徴とする飛翔体監視装置。
【請求項2】
前記スペクトル誤差に従い前記飛翔体データベースの中の前記飛翔体モデルの修正量を求めて修正を行う学習部を備えたことを特徴とする請求項1に記載の飛翔体監視装置。
【請求項3】
地表面上を飛翔する飛翔体を上方から監視する飛翔体監視のための飛翔体監視訓練装置であって、
前記飛翔体の上方から観測される情報に係る飛翔体のハードウェアにより定まる情報を含む飛翔体モデルを記録した飛翔体データベースと、
前記飛翔体データベースに記録された前記飛翔体モデルに、入力される仮想軌道で表される飛行条件に応じた予測光源スペクトルを求める光源スペクトル算出手段と、
前記予測光源スペクトルに対して前記仮想軌道で表される観測条件に応じた予測観測スペクトルを求める観測スペクトル算出手段と、
前記仮想軌道を飛行する飛翔体に対応する前記予測観測スペクトルと背景画像を合成して模擬観測画像を生成する模擬画像生成装置と、
を備えたことを特徴とする飛翔体監視訓練装置。
【請求項4】
地表面上を飛翔する飛翔体を上方の衛星から監視する飛翔体監視装置のためのデータベース更新装置であって、
前記飛翔体の前記衛星からの観測方位を入力として該飛翔体の推定軌道を出力する軌道推定装置と、
飛翔体のハードウェアにより定まる情報からなる飛翔体モデルを記録した飛翔体データベースと、
前記飛翔体データベースに記録された前記飛翔体モデルに対して前記推定軌道で表される飛行条件に応じた予測光源スペクトルを求める光源スペクトル算出手段と、
前記予測光源スペクトルに対して前記推定軌道で表される観測条件に応じた予測観測スペクトルを求める観測スペクトル算出手段と、
実測の観測スペクトルと前記予測観測スペクトルを比較してスペクトル誤差を求める誤比較装置と、
前記スペクトル誤差に従い前記飛翔体データベースの中の前記飛翔体モデルの修正量を求めて修正を行う学習部と、
を備えたことを特徴とする飛翔体監視装置用データベース更新装置。
【請求項5】
前記飛翔体モデルが飛翔体の推薬の種類、エンジン仕様を含むことを特徴とする請求項1から4までのいずれか1項に記載の装置。
【請求項6】
前記推定軌道または仮想軌道が、飛翔体の飛行条件である高度と速度および観測条件である位置を含むことを特徴とする請求項1から5までのいずれか1項に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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