説明

飛行時間情報を用いて画像化スキャンにおける動き検出及び補正をする方法と装置

本発明の一態様では、飛行時間情報を利用してPET画像化取得などの医療用画像化取得中の動きを検出する方法と装置を提供する。本発明の他の態様では、PET画像などの医療用画像中の呼吸運動や心臓の動きを検出して補正する方法と装置を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は概して画像化技術に関する。本発明は、より具体的には、飛行時間情報を用いて、陽電子放出断層撮影(PET)画像化取得などの医療画像化取得中に起こる動きを検出する方法と装置を提供する。本願は、PET画像における呼吸及び心臓による動きを補正する方法と装置も提供する。本願の主題は、少なくともPET画像化で利用でき、それを具体的に参照して説明する。しかし、本願の主題は、SPECT画像化やCT画像化など、より一般的に他の画像化方法及び他の技術に適用できる。
【背景技術】
【0002】
医療画像化取得中に生じる動きは、画質の低下につながり、得られる画像データの臨床的有用性が犠牲となるので、問題となり得る。呼吸運動、心臓の動き、患者の全体的動作(gross patient motion)などいろいろな動きの結果、動きアーティファクトが生じ得る。呼吸運動は呼吸サイクル中の肺の膨張と収縮により生じる動きである。心臓の動きは心臓サイクル中の心臓の膨張と収縮により生じる動きである。患者の全体的動作は、胸、腕、脚などの人体部分の随意的又は不随意的な筋肉の運動により生じる動きである。この種の動きが問題となる可能性はPET画像化取得において高くなる。PET画像化取得時間は一般的に長く、数分から数十分のオーダーだからである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
飛行時間情報を用いてPET画像化取得中に動きを検出する方法と装置を提供することが望まれる。また、PET画像中の呼吸運動や心臓の動きをディフェクト(defect)し補正する方法と装置を提供することも望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の態様により、これらの課題などを解決できる。本発明の一態様では、飛行時間情報を用いてPET画像化取得中に動きを検出する方法と装置を提供する。
【0005】
本発明の一態様では、PET画像中の呼吸運動と心臓の動きを検出し、補正する方法と装置を提供する。
【0006】
本発明のさらに別の態様は、以下の詳細な説明を読んで理解すれば当業者には明らかになるであろう。好ましい実施形態の下記の詳細な説明を読めば、本技術分野の当業者には、別の多数の利点と利益が明らかになるであろう。
【0007】
本発明は、いろいろなコンポーネントとコンポーネントの配置との形をなし、また、いろいろなプロセス動作や方法ステップとプロセス動作や方法ステップの構成との形をとる。図面は好ましい実施形態を例示することのみを目的とし、本発明を限定するものと解してはならない。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】PET画像化システムの一例を示す図である。
【図2】飛行時間情報を用いて動きを検出する方法の一例を示す図である。
【図3】動き特性評価及び補正方法の一例を示す図である。
【図4】心電図(ECG)信号記録の一例を示す図である。
【図5】呼吸波形の一例を示す図である。
【図6】動き特性評価及び補正方法の他の一例を示す図である。
【図7】図3と図6の方法の結果を組み合わせる方法の一例を示す図である。
【図8】図3と図6の方法の結果を組み合わせる反復プロセスの一例を示す図である。
【図9】時間に対する血流量を表す曲線の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
I.飛行時間PET技術
飛行時間PET画像化システム100の一例を図1に示す。飛行時間PET画像化システム100はPET画像化スキャナ102を含む。患者又は画像化対象104は、PET画像化スキャナ102のガントリ106内に入れられる。図示したPET画像化システム100の実施形態のガントリ106は、患者104の周りのリング108に配置され、陽電子・電子対消滅110により放射される同時光子対を検出する複数の光子検出器を含む。図1にはかかる2つの検出器AとBを示した。実際のPET画像化スキャナ102では、検出器リング108は一般的には複数の検出器を有し、一般的には並べて設定された多数の検出器がある。簡単のため、図1は2次元システムを示す。しかし、図示したコンセプトは3次元システムにも同様に当てはまる。PET画像化システム100の別の実施形態では、ガントリが含む検出器は、2つの対向面検出器のように、リング状に構成されていなくてもよい。
【0010】
対象104のPET画像を得るため、最初に対象104に放射性医薬品を注射する。放射性医薬品は、患者体内のグルコース代謝などの関心のある分子やプロセスとインターラクトする標的アスペクト(targeting aspect)を含む。また、放射性医薬品は陽電子放射核種を含む。放射された陽電子は近くの原子の電子と衝突し、陽電子と電子が対消滅する。対消滅の結果として、反応線112に沿った実質的に反対の方向に2つの光子が放射される。2つの光子は、両方とも同じ速さで、すなわち通過する媒体でインデックスされた光速で進む。検出器のリング108はこれらの光子を、それに関連する各光子が検出された時間などのPET画像化データとともに記録する。
【0011】
PET画像化スキャナ102は、検出器AとBなどの検出器のリング108により記録されたPET画像化データを、通信リンク122を介して、PET画像化・処理・表示システム120に送る。ここでは例示を目的としてPET画像化スキャナ102とPET画像化・処理・表示システム120とを別のシステムとして図示し説明するが、他の実施形態では、1つのシステムの部分であってもよい。PET画像化データは画像プロセッサ124に行き、メモリ126に記憶される。画像プロセッサ124は、PET画像化データを電子的に処理して、画像化される患者その他の対象104の画像を生成する。画像プロセッサ124は、付随するディスプレイ128に、得られた画像を表示できる。キーボード及び/又はマウスなどのユーザ入力部130が設けられ、ユーザはプロセッサ124を制御できる。
【0012】
検出器Aなどの検出器は、付随する電子回路を含み、光子を検出した時間を非常に正確に特定できる。図1の検出器AとBなどの2つの検出器がそれぞれある同じ期間内に光子を記録すると、光子対が陽電子・電子対消滅110などの対消滅の結果発生したと考えられる。具体的に、図1に示した、反応線と呼ばれる検出器AとBを結ぶ直線に沿ったどこかで、対消滅110が起こったと考えられる。このような検出イベントのペアすなわち「同時発生」がPET画像化スキャナ102により記録される。飛行時間PET画像化システム100は、画像プロセッサ124により実行される画像再構成アルゴリズムを用いて、かかる同時発生イベントを用いて、患者内の放射性医薬品の分布を決定できる。この分布を用いてPET画像を生成する。
【0013】
飛行時間PET画像化では、同時発生イベントは検出器AとBなどの2つの検出器で取得されるが、2つの同時発生光子の到着時間は異なる。2つの同時発生光子は両方とも実質的に同じ速さで進むため、到着時間の差は、対消滅点110から同時検出する検出器AとBまでの飛行時間に直接相関する。そのため、システム120は、対消滅110が発生した反応線112に沿った位置を概略計算でき、PET画像再構成の解像度を高めることができる。このように、飛行時間モジュール132は、この目的等のために利用される。図1に示したように、飛行時間モジュール132は、PET画像化・処理・表示システム120内にある。別の実施形態では、飛行時間モジュール132は、PET画像化スキャナ102内にあってもよいし、PET画像化システム100とは離れたところにあってもよい。飛行時間モジュール132はハードウェア又はソフトウェアで実施できる。
【0014】
II.飛行時間情報を利用した画像化取得における動きの検出
本発明の一態様は、概して、飛行時間情報を用いて、画像化取得における患者の全体的動作及び/又は呼吸運動などの動きを検出する方法と装置に関する。このように、本発明のこの態様は、PET画像化取得で特に有用であるが、より広い態様では、他種の画像化取得に関して用いることもできる。外部デバイスの使用を必要とせずに、また再構成された画像データを分析せずに、ここに説明する方法と装置の例を用いて、画像取得中の動きを検出できるが、この方法と装置の例は、外部デバイスを使用し、又は再構成された画像データを分析する方法とも用いることができる。
【0015】
過去、患者の全体的動作(gross patient motion)は、一般的に、画像化取得を複数回繰り返すことにより、又は一組の画像化取得データを再処理することにより、解決していた。前者の方法では、患者と医療スタッフの両方の放射線被曝量が大きくなることが多く、後者の方法では、必要となる画像処理時間が長くなる。したがって、医療画像化取得中に患者の全体的動作をほぼリアルタイムで検出し、画像化手順を繰り返して臨床時の画質を改善する必要が少ない装置と方法を提供するのが望ましい。画像化取得が完了するまで待って全体的動作を検出するのに対して、画像化手順中に患者の全体的動作を検出すれば、その時にそれに対処できる。
【0016】
呼吸運動に関して、その大きさは患者の全体的動作と比較して一般的には小さいが、多くの呼吸サイクルにわたってデータを時間平均すると、かかる動作により最も影響を受けるエリアでは画像が空間的に劣化することがある。過去、下記のトランスデューサのような動きトランスデューサを利用して、データ取得中の胸部や腹部の物理的な動きを測定してきた。かかる動きトランスデューサにより得られる情報を呼吸ゲーティング(respiratory gating)で用いて、患者の呼吸運動を補正しようとして、ビデオカメラの利用などその他の方法を用いて、呼吸運動をモニタし、呼吸ゲーティング用の情報を取得している。しかし、かかる方法には高価な機器を利用しなければならず、かかる機器を用いて作成された画像化データの臨床的有用性は最適なものとは言えない。
【0017】
したがって、外部トランスデューサ、ビデオカメラ、その他の機器を必要とせずに、呼吸運動を検出して特性を明らかにする装置と方法を提供することが望まれる。かかる機器を使わないので、システムの全体的コスト、手順や臨床的コスト、及び時間ベース又は振幅ベースの呼吸ゲーティングの複雑性及びエラーの起こりやすさを低減できる。
【0018】
本発明の一態様による動き検出方法200の一例を図2に示した。方法200の例は、飛行時間情報を利用して画像化手順中の患者の全体的動作及び/又は呼吸運動を検出する。
【0019】
ステップ202で、システム100などのPET画像化システムを利用して、光子同時発生イベントを検出し、かかる同時発生に関する飛行時間などの関連画像化データを収集する。かかる画像化データはリストモード204でメモリ128に記憶される。いろいろな実施形態では、リストモード204は全画像化手順からのすべての画像化データを含む。別の実施形態では、リストモード204は、画像手順の時間セグメントに対応する全画像化データの一部のみを含む。画像化データの記憶は進行中の過程であり、別のデータを収集しつつ、画像化手順の一部から得られた画像化データを分析及び/又は操作してもよい。データ204の飛行時間情報に基づき、ガントリ106中の対消滅110の概略的位置を決定し、データ204に追加できる。これは、各光子同時発生イベントを反応線112に沿った、例えば5mm間隔を表すビン(bin)にローカライズする擬似連続空間で行ってもよい。
【0020】
ステップ206では、リストモードデータ204から飛行時間差を集め又は総計して、総計飛行時間差データ208を生成する。リストモード204に関して上記したように、飛行時間データ208は全画像化手順に対して生成しても、移行プロセス中の画像化手順の部分に対して別々に生成してもよい。総計飛行時間データ208は、単に、十分大きくて信頼性のあるデータサンプルを提供できるリストモードデータ204全体から選択する。図1を再び参照して、総計飛行時間データ208は、例えば、飛行時間モジュール132により生成される。例えば、総計飛行時間データ208はヒストグラムに蓄積される。総計208は、好ましくは、1乃至2秒の画像化時間であり、数百万の光子同時発生イベントのオーダーであるが、意味のあるデータサンプルが取れる時間であればその長さは問わない。
【0021】
任意的に、リストモードデータ204の収集206と総計208は、動きが予測されるデータ204の一部に限定してもよい。例えば、画像化対象104が、典型的に、ガントリ106中に、台の上に仰向け又はうつぶせで横たわっている場合、対象104の呼吸運動は主にガントリ106内の対象の胸の垂直な動きとなる。このように、リストもモードデータ204の収集206と総計208は、ガントリ106内の反応線112に限定してもよいし、それに向けて重み付けしてもよい。
【0022】
他の典型的な一例は、画像化スキャン中に患者の腕や脚の全体的動作が予想される場合である。その場合、リストもモードデータ204の収集206と総計208は、ガントリ106内の極端に水平な位置で起こる対消滅イベントに限定してもよいし、重み付けしてもよい。
【0023】
方法200の例の様々な実施形態では、リストモードデータ204の収集206と総計208は、図1のディテクタAとBなどの一組のディテクタに限定してもよいし、このような組になったディテクタのうちの限定的なものに限定してもよい。さらに別の実施形態では、収集206又は総計208されるデータ204は、特定の反応線112に限定しても、リング108に対する角度又は軸角度の、ある角度レンジにある反応線112に限定してもよい。さらに別の実施形態では、集められるデータ204はすべて収集206され、総計208される。
【0024】
ステップ210で、飛行時間データの総計208を分析し、位置の尺度212に変換する。位置尺度212は、時間的な飛行時間データの動きを反映し、そのため、時間的な画像化対象104の動きを反映する。この位置尺度212は、リアルタイム又はほぼリアルタムで、PET画像化システムのオペレータに表示される。
【0025】
方法200の一例として、飛行時間データ208の総計を、呼吸波位置尺度214に変換する。呼吸波位置尺度214は、例えば、呼吸運動の検出に役立つ従来の呼吸波に平均化又は変換される。総計飛行時間データ208を呼吸波位置尺度214に変換するため、総計飛行時間データ208の分析に基づいて、呼吸運動に対応する最大位置と最小位置を最初に特定する。例えば、画像化対象104の長さ方向のすなわち「z」軸に沿って選択された画像化スライスにおける対象の前後方向の動きを、例えば5秒や10秒などある時間にわたってモニタして、呼吸運動の振幅に関する信号を生成する。その振幅データを用いて、総計飛行時間データ208の従来の呼吸波との相関を取り、呼吸波位置尺度214を生成する。いろいろな実施形態では、従来の呼吸波は測定信号又は予め生成した典型的な呼吸信号であり得る。任意的に、最適化を目的として、呼吸波位置尺度214にデータ処理や平滑化を適用してもよい。
【0026】
呼吸波位置尺度214の変わりに、又はそれに加えて、総計飛行時間データ208はいろいろな実施形態において全体的動作位置尺度216に変換される。総計飛行時間データ208を全体的動作位置尺度216に変換するため、総計飛行時間データ208を利用してアクティビティ中心に関する情報を取得する。対消滅アクティビティ中心は、例えば、画像化対象104全体に対して、又は画像化対象104の一部のみに対して決定できる。さらに他の例として、全体的動作位置尺度216は、画像化データ204の軸方向スライスにおける光子対消滅の2次元中心を反映する。様々な組み合わせが可能である。
【0027】
ステップ218で、位置尺度212の不変性を時間的にモニタし、記録し、分析する。次に一尺度を用いて最終位置尺度220を生成する。位置尺度212は、呼吸波位置尺度214であるとき、画像再構成に用いる最終呼吸波形220の生成に用いることができる。例えば、最終呼吸波形220は、呼吸ゲーティング(respiratory gating)に用いられ、又はリストモードデータ204の時間シーケンスの分類に用いられる。このように、呼吸ゲーティングは、ベローズトランスデューサやビデオカメラなどの外部デバイスを必要とせずに、方法200を用いて実現できる。方法200のいろいろな実施形態では、最終呼吸波形220を用いてゲーティング信号を生成する。ゲーティング信号はリストモードデータ204に挿入され、リストモードデータの時間ベースの呼吸フレーミングをマークする。別の実施形態では、最終呼吸波形220を利用して、フレキシブルな振幅ベースゲーティングに用いる呼吸振幅を生成する。例えば、放射線治療計画において、かかる呼吸ゲーティングを用いてもよい。さらに別の実施形態では、画像化取得においてほぼリアルタイムで最終呼吸波形220を分析して、対象の呼吸動作が予め設定した閾値を越えているか判断し、閾値を越えているとき、画像化オペレータに警告信号を送る。
【0028】
位置尺度は、全体的動作位置尺度であるとき、画像再構成に用いる最終全体的動作位置尺度の生成に用いることができる。位置尺度212は、全体的動作位置尺度216であるとき、ステップ218でモニタでき、予め選択した動き閾値と比較され、その閾値を越えると、患者の全体的動作が起こったことを、PET画像化システム100のオペレータに警告する。方法200のいろいろな実施形態では、PET画像化システム100のオペレータに提供される警告には、全体的動作が生じたと疑われる画像化対象104の領域に関する情報が伴う。さらに別の実施形態では、全体的動作の方向及び/又は大きさに関する情報をオペレータに提供する。疑われる全体的動作に関する情報を用いて、再構成画像の解釈をガイドすることができ、画像化取得をサイド開始する基礎とすることもできる。方法200のいろいろな実施形態では、全体的動作タイムフラグをリストモードデータ204に入れて、画像データを全体的動作の前の画像と全体的動作の後の画像とに分け、又はその他の診察目的に用いる。
【0029】
III.PET画像における呼吸動作と心臓の動きの補正
前述の通り、医療画像化取得中に生じる動きは、画質の低下につながり、得られる画像データの臨床的有用性が犠牲となるので、問題となり得る。医療画像化手順における動きの元は、呼吸運動と心臓の動きである。呼吸運動と心臓の動きは両方とも得られる画像の画質を劣化させ、動きアーティファクトを生じる。
【0030】
過去、データを一連の心臓によりゲーティングされた窓に分割又はゲーティングすることにより、PET画像における呼吸運動と心臓の動きを両方とも補正する試みがなされてきた。心臓ゲーティングは、ゲーティングされる窓と心臓サイクルとの相関を取る心電計(ECG)デバイスを補助的に用いて行われてきた。前述の通り、呼吸ゲーティングは、ゲーティングされた窓と呼吸サイクルとの相関を取るベローズトランスデューサ、ビデオカメラ、その他の機器などの外部デバイスにより集められた呼吸情報を用いて最もよく行われている。ゲーティングされた窓のデータを再構成して、再構成された画像の空間的レジストレーションをする数学的アルゴリズムを用いて、画像を形成する。
【0031】
医療画像から呼吸運動と心臓の動きの両方の特性を明らかにし、除去する装置と方法を提供することが望ましい。本発明の一態様は、概して、PET画像における呼吸運動と心臓の動きを補正する方法と装置に関する。ここに説明する方法と装置は、呼吸運動に関する情報を集める外部デバイスを必要とせずに、呼吸運動と心臓の動きの両方の特性を明らかにし、補正するのに有用である。しかし、ある実施形態では、この方法をかかるデバイスと共に用いてもよい。
【0032】
本発明の一態様による動き特性化及び補正方法300の一例を図3に示した。方法300は、心臓PET画像中の呼吸運動と心臓の動きを両方とも補正する。方法300は心臓PET画像に関するものであるが、この方法の別の実施形態は、CTやSPECTなどの、又はPET/CTやSPECT/CT画像化などの組み合わせ画像化モダリティなどの他のタイプのPET画像化や他の画像化モダリティに適用できる。
【0033】
ステップ302で、システム100などのPET画像化システムを利用して、心臓PET画像取得を行い、画像化対象104の心臓のエリアで生じる対消滅イベント110により生じる光子同時発生を検出する。心臓PET画像取得からの情報は、リストモードデータ304に集められ、メモリ128に記憶される。
【0034】
ステップ306で、画像化対象104の心筋収縮のデジタル信号を、心電計(ECG)308の形式で、心臓PET画像取得302と同時に取得する。心電計(ECG)記録の一例を図4に示した。ECGの水平軸は時間の経過を示し、プロットした曲線は、その軸に沿った各時点における電気的アクティビティを、それゆえ患者の心臓のフェーズを反映している。このように、例えば、ECGは、心臓が繰り返し拡張・収縮をするときの心臓サイクルの開始と終了とを示す。
【0035】
ステップ310で、心電計(ECG)308のタイムスタンプを、取得したリストモードデータ304と同期させ、心臓ゲーティングされたリストモードデータ312を生成する。より具体的に、取得されたリストモードデータ304は、複数の心拍すなわち心臓サイクルに渡り取られる。リストモードデータ304は、各光子同時発生を検出した時間を含む。次に、心電計(ECG)308は、その時点における患者の心臓サイクル中の心臓のフェーズを提供する。心臓サイクルは、一例として、8乃至16窓などの、一連の心臓のゲーティングされた窓に分割できる。次に、心電計(ECG)308データに基づき、心臓サイクルの心臓ゲーティングされた窓で、リストモードデータ304中の検出された各光子同時発生を識別する。このように、あるゲーティングされた窓の、心臓ゲーティングされたリストもモードデータ312は、その窓のフェーズのみに対応し、しかし画像化取得時間全体にわたり心臓サイクルの異なる繰り返し中に取られたデータを有する。
【0036】
ステップ314で、心臓ゲーティングされた窓の各々の中のリストモードデータ312は、別々に再構成され、心臓の画像を形成する。これにより、一連の心臓ゲーティングされた心臓画像316ができ、各画像は心臓サイクル全体のゲーティングされた窓の一つに対応する。心臓サイクルを16個のゲーティングされた窓に分割した場合、16個のゲーティングされた心臓画像316が得られる。
【0037】
ここで、呼吸サイクルを考える。一般的にPET取得は数分から数十分のオーダーの時間がかかるので、複数の呼吸サイクルにわたるデータを含んでいる。例えば、ある心臓PET取得に5分間かかり、呼吸サイクルの平均的長さが(例えば)4秒であるとすると、画像化対象はPET取得中の呼吸サイクルは約75回である。呼吸波すなわち呼吸サイクルの例を図5に示す。心臓ゲーティングされた各心臓画像316は、これらの呼吸サイクルにより生じる心臓の動きによりぼやけてしまう。言い換えると、リストモードデータ304の光子同時発生は、対象の肺の収縮拡張により生じる心臓の動きにより、空間的に広がる。その呼吸運動により、画像化される対象の心臓は、PET画像取得中に、上下、左右、前後に動き、ねじれ運動により回転することもある。したがって、呼吸運動により心臓ゲーティングされた心臓画像316に生じるぼけ(blurring)と動きアーティファクトは、都合よく除去できる。
【0038】
心臓サイクルの心臓ゲーティングされた窓の数は、ゲーティングされた窓内で、心臓の動きがほとんど又はまったくないと期待できるように、選択する。結果として、ゲーティングされた各窓中の対消滅データは、心臓の動きではなく、呼吸運動によりほぼ生じている。このように、呼吸による心臓の運動を、心臓の動き(心拍動)と切り離し、心臓ゲーティングされた窓内の心臓の動きにより近似できる。
【0039】
このように、ステップ318で呼吸運動を抽出するために、心臓ゲーティングされた画像316を画定する心臓ゲーティングされた窓を、さらに小期間に分割する。心臓サイクルのゲーティングされた窓に対応する、心臓ゲーティングされた心臓画像316の各々に対して、心電計(ECG)308をガイドとして用いて、リストモードデータ304を心臓ゲーティングされた窓内の適当な小期間に割り当てる。各小期間に割り当てられたリストモードデータ304は、呼吸ゲーティングされた心臓画像320を表す。この目的に用いる小期間の数はいくつでもよい。
【0040】
一例として、心臓PET取得の全体が5分間の取得時間中に150百万回の光子同時発生を検出し、ゲーティングされたリストモードデータ316を20個のゲーティングされた窓に分割すると仮定する。心臓ゲーティングされた各画像316では、約7.5百万回の光子同時発生が検出される(150百万回/20=7.5百万回)。さらに、用いる小期間の長さは0.1秒であるとする。この時、リストモードデータセット304全体には全部で3000個の呼吸ゲーティングされた心臓画像320がある。または、心臓サイクルの心臓ゲーティングされた窓20個の各々には150個の呼吸ゲーティングされた心臓画像320がある。3000個の呼吸ゲーティングされた心臓画像320の各々は、2500個の光子同時発生が検出される(7.5百万回/3000=2500)。
【0041】
ステップ322で、呼吸ゲーティングされた心臓画像320のそれぞれに対して、アクティビティ中心を計算する。上記の通り、そのアクティビティ中心の動きは、心臓の動きとは切り離された呼吸運動を表す。それゆえ、同じ心臓ゲーティングされた窓内の呼吸ゲーティングされた心臓画像のアクティビティ中心の差は、心臓の動きではなく、呼吸運動を示す。このように、かかる差を用いて、呼吸運動ベクトル324を生成し、このベクトルを用いて、画像再構成において、呼吸運動に対してリストモードデータ204を補正してもよい。
【0042】
図6を参照して、動き特性の明確化と補正をする他の方法600を示す。ステップ302で、システム100などのPET画像化システムを利用して、心臓PET画像取得を行い、画像化対象104の心臓のエリアで生じる対消滅イベント110により生じる光子同時発生を検出する。心臓PET画像取得302からの情報は、リストモードデータ304に集められ、メモリ128に記憶される。
【0043】
ステップ306で、画像化対象104の心筋収縮のデジタル信号を、心電計(ECG)308の形式で、心臓PET画像取得302と同時に取得する。心電計(ECG)記録の一例を図4に示した。ECGの水平軸は時間の経過を示し、プロットした曲線は、その軸に沿った各時点における電気的アクティビティを、それゆえ患者の心臓のフェーズを反映している。このように、例えば、ECGは、心臓が繰り返し拡張・収縮をするときの心臓サイクルの開始と終了とを示す。
【0044】
ステップ610で、心電計(ECG)308のタイムスタンプを、取得したリストモードデータ304と同期させ、心臓サイクルデータ612を生成する。より具体的に、取得されたリストモードデータ304は、複数の心拍すなわち心臓サイクルに渡り取られる。リストモードデータ304は、各光子同時発生を検出した時間を含む。次に、心電計(ECG)308は、どの心拍が、すなわち第1のサイクル、第2のサイクル等が、その時点に対応するか示す。一例として、5分間の画像化取得時間には、心臓サイクルが300回繰り返される。次に、心電計(ECG)308データに基づき、画像取得期間中の心臓サイクルの繰り返しで、リストモードデータ304中の検出された各光子同時発生を識別する。このように、心臓サイクルの繰り返しの心臓サイクルデータ612は、心臓サイクルのその繰り返しのみに対応するデータを含む。
【0045】
ステップ614で、各心臓サイクルの心臓サイクルデータ612は別々に再構成され、心臓の画像を形成する。これにより一連の心臓サイクル画像が生成され、各画像は1つの心臓サイクルの全体に対応する。
【0046】
ステップ618で、心臓サイクル画像616のそれぞれに対して、対消滅アクティビティ中心を計算する。心臓の動きは、各画像616が心臓サイクル全体に対応するので、対消滅中心の位置には無視できるほどの影響しか与えない。このように、これらの画像中の画像ごとの光子対消滅アクティビティ中心の動きは、心臓の動きではなく呼吸運動から生じる。このように、心臓の呼吸による動きは、心臓の動き(心拍動)から切り離しできる。心臓サイクル画像616間の対消滅アクティビティ中心における差を用いて、画像再構成において呼吸運動を補正するときに用いる呼吸運動ベクトル620を生成してもよい。
【0047】
各心臓サイクル画像616は、画像616により表される心臓サイクルのアクティビティ中心を計算するのに十分な数の光子同時発生カウントを含む。例として、5分間のPET画像取得には、心臓サイクルが1秒であると仮定して、約300心臓サイクルが含まれる。例えば、5分間の心臓PET画像取得に150百万回の光子同時発生カウントが含まれるとすると、その取得では、心臓サイクル画像616ごとに500000光子同時発生カウントがある。
【0048】
動き補正方法300と600は両方とも、同じPET画像取得中に生じる同じ呼吸運動を推定するが、異なる方法で行う。したがって、第1の方法300により求めた呼吸運動ベクトル324と、第2の方法600により求めた呼吸運動ベクトル620とは、両方とも同じ呼吸運動の推定を表す。
【0049】
本発明の実施形態では、動き補正方法300又は600は、呼吸運動を補正するために個別に用いることができる。別の実施形態では、呼吸運動ベクトル324と呼吸運動ベクトル620は両方とも、平均などにより結合して、結合呼吸運動ベクトルを生成することができる。ここで図7を参照して、方法300と方法600による呼吸運動推定を結合する方法800を示す。
【0050】
ステップ702で、呼吸運動ベクトル324を呼吸運動ベクトル620と結合して、結合呼吸運動ベクトル704を生成する。呼吸運動ベクトル324を呼吸運動ベクトル620と適切に組み合わせて、最も確からしい呼吸推定を生成することが望ましい。方法700のいろいろな実施形態では、いろいろな異なる方法で、呼吸運動ベクトル324は、呼吸運動ベクトル620と組み合わせられる。例えば、重み付け最小二乗法を利用できる。重み付け最小二乗法ではいろいろなファクタを利用できる。例えば、重み付け最小二乗法は、緩和ファクタ、光子同時発生カウントの総数、呼吸の振幅、呼吸運動の規則性、ノイズ、信号対ノイズ比、心電計からのサイクルの規則性、その他の適切な変数に基づくものであってもよい。ステップ706で、結合した呼吸運動ベクトル704を用いて、PET心臓取得データを再構成し、呼吸運動の影響を受けない心臓画像708を生成する。
【0051】
別のいろいろな実施形態で、繰り返しプロセスを用いて、呼吸運動ベクトル324、620を結合する。図8を参照して、呼吸運動ベクトル324、620を結合する繰り返し方法800を示した。この方法では、ステップ802において、方法300又は600で求めた呼吸運動ベクトル324、620のセットの1つをそれ自体で利用して、呼吸運動を補正する。ステップ804で、このように呼吸運動を処理すると、PET取得データを再構成して、第1の動き補正された再構成PET画像806を求める。ステップ808で、新しい再構成806を用いて、ステップ802で用いられなかった動き推定方法300又は600を用いて、呼吸運動を推定する。ステップ810で、動き補正したPET取得データを再構成して、第2の動き補正した再構成PET画像812を求める。呼吸運動の補正に必要な方法800の各繰り返しに対して、動き補正方法300又は600を用いて、繰り返し方法800のステップを繰り返す。
【0052】
心臓PET画像から呼吸運動を除去すると、心臓PETに残る動きの主要部分は、心臓の動きによるものである。PET取得データから呼吸運動を除去してから、心臓の動きを推定し除去できる。いろいろな実施形態では、この方法を左心室全体に適用する。別のいろいろな実施形態では、この方法を心臓の17のセグメントのそれぞれに独立に適用する。 別のいろいろな実施形態では、この方法を心臓の左心室の各画素に適用する。別の実施形態では、別のいろいろな心臓の空間的分解も利用できる。
【0053】
前述の通り、心臓PET画像から呼吸運動を除去すると、心臓PETに残る動きの主要部分は、心臓の動きによるものである。心臓全体を処理するとき、残りの動きは心臓全体で同じである。心臓を17セグメントとして分析する場合、残りの動きはセグメントごとに異なる。しかし、言うまでもなく、心臓の空間分解の粒度は、領域ごとのカウント密度に依存する。
【0054】
いろいろな実施形態では、最初に呼吸運動を推定し、元のPET心臓データから除去する。次に、心臓の動きを推定し、呼吸運動を補正したPET心臓データから除去する。本発明の別のいろいろな実施形態では、PETデータからの呼吸運動と心臓の動きの推定と除去は、呼吸運動の推定と除去、及び心臓の動きの推定と除去を繰り返すことにより、繰り返しプロセスにより実行される。このように、呼吸運動推定と心臓の動き推定の交差汚染(cross-contamination)を最小化する。
【0055】
本発明のいろいろな実施形態で、呼吸運動及び心臓の動きの補正を画像空間で行っている。しかし、本発明の別の実施形態では、呼吸運動及び/又は心臓の動きの補正を反応線112のレベルで行ってもよい。かかる実施形態では、呼吸運動及び/又は心臓の動きの推定を用いて、元のリストモードデータを修正し、再構成を行う。
【0056】
本発明のいろいろな実施形態で、呼吸運動及び心臓の動きの推定は、心臓領域全体で行っている。別の実施形態では、呼吸運動と心臓の動きの推定は、左心室のみにフォーカスして行う。さらに別の実施形態では、心臓の17個のセグメントのそれぞれに対して、独立に推定を行う。さらに別の実施形態では、呼吸運動と心臓の動きの推定に用いる方法を、左心室の各画素に、又は心臓の他の領域の各画素に適用する。
【0057】
しかし、言うまでもなく、画像化される心臓の領域から得られる光子同時発生の数には特有の制限がある。例えば、心臓のある領域が小さすぎるとき、データの計算に利用できる光子同時発生カウントの数によっては、呼吸運動や心臓の動きの正確な推定ができない。心臓の空間的分解の粒度は、領域ごとの光子同時発生カウントの密度に依存する。前述の通り、説明した方法は心臓のPET画像化に関するものであるが、開示の方法は他のタイプのPET画像化にも適用でき、CTやSPECTなど他の画像化モダリティにも適用できる。開示の方法は、リストモードフォーマットでデータを提供する画像化モダリティに適用できる。
【0058】
前に説明した動きの特性明確化(characterization)と補正の方法は、様々に利用でき利益がある。例えば、ここに説明した方法は、ゲーティングされたPET画像の鮮明化と、ゲーティングされたPET画像の再構成の改善とに役立つ。また、ここに説明した動き補正方法を用いて、動的PET再構成を改善してもよい。
【0059】
ここに説明した動き補正方法の別の潜在的な利用方法は、心臓の駆出率の決定である。血流量を時間的に表す曲線900を図9に示した。駆出率は広く使われている心臓の健康の尺度であり、次のように計算する。収縮直前の心室中の血液量は拡張末期容積として知られている。収縮の終わりの心室中の血液量は収縮末期容積として知られている。拡張末期容積と収縮末期容積の差は1回排出量、すなわち各心拍で心室から排出される血液量である。駆出率は各心拍で排出される拡張末期容積の割合、すなわち、次式のように、1回排出量(SV)を拡張末期容積(EDV)で割ったものである:
1回排出量=SV/EDV=(EDV−ESV)/EDV。
ここに説明した動き補正を用いて、絶対血流測定を改良し、基礎となるPET画像化データに基づく他の機能を実行することもできる。
【0060】
上記の機能は、例えば、スキャンの開始及び/又は終了、所望のスキャン又は再構成プロトコルの選択、容積データの操作などを含むが、これをソフトウェアロジックとして実行できる。ここで「ロジック」とは、機能や動作を実行し、及び/又は他のコンポーネントに機能や動作を実行させるハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、及び/又はこれらの組み合わせを含むが、それらに限定されない。例えば、所望のアプリケーションやニーズに基づき、ロジックは、ソフトウェア制御のマイクロプロセッサ、特定用途集積回路(ASIC)などのディスクリートロジック、又はその他のプログラムされたロジックデバイスを含み得る。ロジックはソフトウェアとして実現されてもよい。
【0061】
ここで、「ソフトウェア」は、コンピュータ又はその他の電子デバイスに機能や動作を実行させ、及び/又は所望の方法で振る舞わせるコンピュータ読み取り可能及び/又は実行可能命令を含むが、これに限定されない。かかる命令は、アプリケーションやダイナミックリンクドライブラリのコードを含むルーチン、アルゴリズム、モジュール、又はプログラムなどのいろいろな形式で実現できる。ソフトウェアは、スタンドアロンプログラム、ファンクションコール、サーブレット、アプレット、メモリに記憶された命令、オペレーティングシステムの一部、他のタイプの実行可能命令などのいろいろな形式で実施することもできる。当業者には言うまでもなく、ソフトウェアの形式は、例えば、所望のアプリケーションによる必要性、実行される環境、及び/又はデザイナやプログラマの希望などに依存する。
【0062】
ここに説明したシステムと方法は、例えばネットワーク接続された制御システムやスタンドアロンの制御システムなどを含むいろいろなプラットフォームで実現できる。また、ここに図示、説明したロジック、データベース、又はテーブルは、好ましくはコンピュータ読み取り可能媒体中に、又はその上にある。コンピュータ読み取り可能媒体の例には、フラッシュメモリ、リードオンリメモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、プログラマブルリードオンリメモリ(PROM)、電気的プログラマブルリードオンリメモリ(EPROM)、電気的消去可能プログラマブルリードオンリメモリ(EEPROM)、磁気ディスク又はテープ、CD−ROMやDVD−ROMを含む光学的読み取り可能媒体、その他が含まれる。さらに、ここに説明したプロセスとロジックは、1つの大きなプロセスフローに一体化しても、多くのサブプロセスフローに分割してもよい。ここでプロセスフローを説明した順序は重要ではなく、再構成しても同じ結果を得ることができる。実際、ここに説明したプロセスフローは、当然の結果として、又は希望に応じて、実施時に再構成、連結、及び/又は再組織化できる。
【0063】
本発明を好ましい実施形態を参照して説明した。前述の詳細な説明を読んで理解すれば、修正と変更に想到することができる。本発明は、添付した請求項とその均等の範囲内に入るこのような修正案及び代替案をすべて含むものと解釈しなければならない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療画像化システムにおける画像化取得中に生じる動きを検出する方法であって:
画像化システムで画像化対象の画像化取得を行い、飛行時間データを含む画像取得データを生成するステップと;
前記飛行時間データを分析して、前記画像化取得中に生じる前記画像化対象の動きを検出するステップと
を有する方法。
【請求項2】
前記画像化取得中に前記飛行時間データをモニタするステップをさらに有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記飛行時間データを予め選択した閾値と比較するステップと;
前記飛行時間データが前記予め選択した閾値を越えたとき、前記画像化システムのオペレータに警告を発するステップと
をさらに有する、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記画像取得データはリストモードデータである、請求項1乃至3いずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記飛行時間データを、前記画像化取得中に生じた前記画像化対象の動きを表す位置尺度に変換するステップをさらに有する、請求項1乃至4いずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記位置尺度は前記画像化取得中に生じた呼吸運動を表す呼吸波位置尺度である、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記呼吸波位置尺度を利用して、前記取得データの呼吸フレーミングをするゲーティング信号を生成するステップをさらに有する、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記位置尺度は前記画像化取得中に生じた前記画像化対象の全体的動作を表す全体的動作位置尺度である、請求項5に記載の方法。
【請求項9】
前記全体的動作位置尺度を予め選択した閾値と比較するステップと;
前記全体的動作位置尺度が前記予め選択した閾値を越えたとき、前記画像化システムのオペレータに警告を発するステップと
をさらに有する、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
画像化対象の画像化取得中に生じる動きを検出するように構成された医療用画像化システムであって:
前記画像化対象が放射した放射を検出する少なくとも1つのディテクタと;
ロジックを含むコンピュータ読み取り可能媒体と
を有し、前記ロジックは:
前記画像化対象の画像化取得を行って、飛行時間データを含む画像取得データを生成し;
前記飛行時間データを分析して、前記画像化取得中に生じる前記画像化対象の動きを検出する、医療用画像化システム。
【請求項11】
前記ロジックは、さらに前記画像化取得中に前記飛行時間データをモニタする、請求項10に記載の医療用画像化システム。
【請求項12】
前記医療用画像化システムはPET画像化システムである、請求項10又は11に記載の医療用画像化システム。
【請求項13】
前記画像取得データはリストモードの形式である、請求項10乃至12いずれか一項に記載の医療用画像化システム。
【請求項14】
前記ロジックは、さらに前記飛行時間データを、前記画像化取得中に生じた前記画像化対象の動きを表す位置尺度に変換する、請求項10乃至13いずれか一項に記載の医療用画像化システム。
【請求項15】
前記位置尺度は前記画像化取得中に生じた呼吸運動を表す呼吸波位置尺度である、請求項14に記載の医療用画像化システム。
【請求項16】
前記ロジックは、さらに前記呼吸波位置尺度を利用して、前記取得データの呼吸フレーミングをするゲーティング信号を生成する、請求項15に記載の医療用画像化システム。
【請求項17】
前記位置尺度は前記画像化取得中に生じた前記画像化対象の全体的動作を表す全体的動作位置尺度である、請求項14に記載の医療用画像化システム。
【請求項18】
前記ロジックは、さらに前記全体的動作位置尺度を予め選択した閾値と比較し、前記全体的動作位置尺度が前記予め選択した閾値を越えたとき、前記画像化システムのオペレータに警告を発する、請求項17に記載の医療用画像化システム。
【請求項19】
医療用画像化取得データ中の呼吸運動を推定する方法であって:
画像化対象の医療用画像化取得を行って、飛行時間画像化取得データを生成するステップと;
前記医療用画像化取得中に前記画像化対象の心電図を取得するステップと;
前記心電図を利用して、前記画像化取得データをゲーティングして、心臓ゲーティングされた取得データを生成するステップと;
前記心臓ゲーティングされた取得データを小期間に分割して、呼吸ゲーティングされた心臓画像を求めるステップと;
前記呼吸ゲーティングされた心臓画像中のアクティビティ中心を決定するステップと;
異なる呼吸ゲーティングされた心臓画像のアクティビティ中心を比較して、呼吸運動ベクトルを生成するステップと
を有する方法。
【請求項20】
前記画像化取得データはリストモードデータである、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記呼吸運動ベクトルを用いて、前記画像化取得データを補正して、呼吸運動の影響がない心臓画像を生成するステップをさらに有する、請求項19または20に記載の方法。
【請求項22】
前記呼吸運動の影響がない心臓画像から心臓の動きを除去するステップをさらに有する、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
医療用画像化取得データ中の呼吸運動を推定する方法であって:
画像化対象の医療用画像化取得を行って、飛行時間画像化取得データを生成するステップと;
前記医療用画像化取得中に前記画像化対象の心電図を取得するステップと;
前記心電図を利用して、前記画像化取得データを心臓サイクルに分割するステップと;
前記心臓サイクル中のアクティビティ中心を決定するステップと;
異なる心臓サイクル中の前記アクティビティ中心を比較して、呼吸運動ベクトルを生成するステップと
を有する方法。
【請求項24】
前記画像化取得データはリストモードデータである、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記呼吸運動ベクトルを用いて、前記画像化取得データを補正して、呼吸運動の影響がない心臓画像を生成するステップをさらに有する、請求項23または24に記載の方法。
【請求項26】
前記呼吸運動の影響がない心臓画像から心臓の動きを除去するステップをさらに有する、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記心電図を利用して、前記画像化取得データを心臓サイクルに分割するステップと;
前記心臓サイクル中のアクティビティ中心を決定するステップと;
異なる心臓サイクル中の前記アクティビティ中心を比較して、呼吸運動ベクトルの第2のセットを生成するステップと
をさらに有する、請求項23に記載の方法。
【請求項28】
前記呼吸運動ベクトルの第1のセットを前記呼吸運動ベクトルの第2のセットと結合して、結合した呼吸運動ベクトルのセットを生成するステップをさらに有する、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
重み付け最小二乗法で、又は繰り返しプロセスで、前記呼吸運動ベクトルの第1のセットを前記呼吸運動ベクトルの第2のセットと結合する、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記飛行時間画像化取得データを、前記画像化取得中に生じた呼吸運動を表す呼吸運動位置尺度に変換するステップと;
前記呼吸運動ベクトルの第1のセットと前記呼吸運動ベクトルの第2のセットのうち少なくとも一方を、前記呼吸波位置尺度と結合して、結合した呼吸運動ベクトルのセットを生成するステップと
をさらに有する、請求項27に記載の方法。
【請求項31】
前記方法を利用して心臓の駆出率を決定する、請求項28乃至30いずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
心臓全体について前記呼吸運動ベクトルを決定する、請求項28乃至30いずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
心臓の左心室について前記呼吸運動ベクトルを決定する、請求項28乃至30いずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
心臓の少なくとも2つのセグメントについて前記呼吸運動ベクトルを決定する、請求項28乃至30いずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
心臓の一セグメントの各画素について前記呼吸運動ベクトルを決定する、請求項28乃至30いずれか一項に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2013−513792(P2013−513792A)
【公表日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−542645(P2012−542645)
【出願日】平成22年11月17日(2010.11.17)
【国際出願番号】PCT/IB2010/055248
【国際公開番号】WO2011/070465
【国際公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】