食い込み式管継手、冷凍装置及び温水装置
【課題】切り子を削減して切断可能とするとともに切断感知を容易にしたフェルール一体型の食い込み式管継手及びこれを用いた冷凍装置及び温水装置を提供すること。
【解決手段】フェルール3を結合用部材2又は継手本体1に連結する薄肉部4において、エッジ状の先端41を有する切込により局部的に肉厚が薄くされた最薄肉部42を形成する。このようにすることにより、最薄肉部42に応力集中が生起され、薄肉部4の延伸量が少ない状態で最薄肉部42の部分で切断される。したがって、切り粉の発生がなく、切り粉の発生による性能低下の問題が発生し難いものとなる。また、薄肉部4の延伸量が少なくなることにより切断感覚も明瞭となるので、作業者による切断の感知が容易になる。
【解決手段】フェルール3を結合用部材2又は継手本体1に連結する薄肉部4において、エッジ状の先端41を有する切込により局部的に肉厚が薄くされた最薄肉部42を形成する。このようにすることにより、最薄肉部42に応力集中が生起され、薄肉部4の延伸量が少ない状態で最薄肉部42の部分で切断される。したがって、切り粉の発生がなく、切り粉の発生による性能低下の問題が発生し難いものとなる。また、薄肉部4の延伸量が少なくなることにより切断感覚も明瞭となるので、作業者による切断の感知が容易になる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食込み式管継手、並びに、これを応用した冷凍装置及び温水装置に関し、特に、フェルールを一体的に形成した食い込み式管継手に関する。
【背景技術】
【0002】
内部に流体を流す流体管に対し用いられる管継手は、管の劣化や流体供給管の劣化などが生じたときに交換や修理を容易に行うことができるように、取り外し可能なものが多く使われてきている。このような管継手としては、用途に応じ各種構造のものが存在する。
【0003】
例えば、流体管の中に冷媒が流れる空気調和機等の冷凍サイクル装置においては、従来、管継手としてフレア式管継手が多用されてきた。しかし、冷凍サイクル装置においては、地球環境保護のため、冷媒の変更が進められている。すなわち、冷媒は、従来のフロン冷媒から可燃性のプロパン、エタン、エチレン、nペンタン、nブタン、イソブタン等のHC冷媒や、使用圧力が高圧となる二酸化炭素などの自然冷媒に置換されつつある。このため、新しい冷媒を使用する冷凍サイクル装置においては、冷媒漏れの少ない管継手として食い込み式管継手の開発が活発に行われるようになってきている。また、このような食い込み式管継手として、従来独立のフェルールを使用するものが多く開発されているが、取り扱いの簡略化のためにフェルールを管継手を構成する結合用部材に一体化して製作したものが開発されてきている。特許文献1に記載の食い込み式管継手は、その一例である。
【0004】
この食い込み式管継手は、図10及び図11に示すように、接続すべき配管102の先端部が挿入される配管接続口101aを有する継手本体101と、中心部に接続すべき配管102を貫通させる貫通孔103aを備えた袋ナット状の結合用部材103とを備えている。また、結合用部材103の基部103bに対しては、径方向に延びる薄肉部104を介して環状のフェルール105が連結され、この薄肉部104を介して結合用部材103に対しフェルール105が一体的に形成されている。また、継手本体101の配管接続口101aの入口部には、フェルール105の先端部を配管102に食い込ませるようにガイドするカム面106が形成されている。
【0005】
そして、フェルール105から薄肉部104にかけての後端面105aに対し空間部107を介在させて、フェルール105の後端面105aを押圧するための押圧面108が形成されている。この管継手において配管102が接続されるときは、結合用部材103を締結するときの締結力により、フェルール105の先端部がカム面106に押し付けられ、その状態からさらに結合用部材103が締め付けられることにより、薄肉部104に軸方向力が作用して薄肉部104が切断され、フェルール105が独立の状態になる。そして、その後に押圧面108を介して結合用部材103の締結力がフェルール105の後端面105aにさらに加えられ、フェルール105がカム面106にさらに押し付けられる。これにより、フェルール105の先端部がカム面106に案内されて配管102に食い込み、配管102が気密に接続されるように形成されている。
【特許文献1】特表2004−526911号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来の食い込み式管継手では、薄肉部104は、結合用部材103の締結力により切断可能な厚さであって、全体に亘り厚さの変化が少ない形状に形成されている。このため、薄肉部104は図11(a)〜(c)に示すような切れ方をする。すなわち、フェルール105の先端部がカム面106に当接した状態で、フェルール105と一体に形成されている結合用部材103が締結されるため、薄肉部104が図11(a)に示すように軸方向に延伸される。そして、この延伸量は、結合用部材103の締め付けが進むにつれて大きくなり、図11(b)のように薄肉部104の中央部などの最も弱い部分で切断される。また、さらに結合用部材103の締め付けが進められると、フェルール105の後端面105aが押圧面108に当接し、押圧面108により押圧される。このとき、引き伸ばされてフェルール105の後端部に連結されたままの薄肉部104の引き伸ばされた残片が、押圧面108に押し当てられることにより、図11(c)のように外れることが予測される。これは切り子104aとなって押圧面108とフェルール105の後端面105aとの間や、フェルール105の中心部の配管102を貫通させる貫通孔105bの内周面と配管102の外周面との間に噛み込んだりして、適正な締め付け力が作用しなくなる恐れがある。また、この結果、フェルール105による良好なシール機能、配管102の保持機能が得られなくなる恐れがあった。また、記従来の食い込み式管継手によれば、切断部に応力集中が発生することもなく薄肉部104の延伸により薄肉部104が薄くなって切断されるため、切断感覚が不明瞭となり作業者が切断されたことを感知することが困難であった。そして、作業者により薄肉部104が切断されたことが感知されないと、作業者は次の作業への移行の是非を判断することができないため作業管理上不都合であった。
【0007】
なお、このような問題に対して、薄肉部104の厚さを極力薄くして延伸量を減らすようにすることが考えられるが、このようにすると、加工時に薄肉部104が変形してしまい、加工が困難となる恐れがある。また、他の対策として、薄肉部104の径方向の長さを極力短くして延伸量を減らすことも考えられるが、このようにすることは加工精度上困難であった。
【0008】
本発明は、このような背景に基づきなされたものであって、切り子の発生を削減して切断可能とするとともに切断感知を容易にしたフェルール一体型の食い込み式管継手及びこれを用いた冷凍装置及び温水装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る食い込み式管継手は、上記課題を解決するものであって、接続すべき配管を挿入する配管接続口を有する継手本体と、継手本体に締結される結合用部材と、継手本体又は結合用部材の何れか一方に径方向に延びる薄肉部を介し一体的に形成された環状のフェルールと、フェルールが形成されていない他方の継手本体又は結合用部材に、フェルールの先端部を配管に食い込ませるようにガイドするカム面とを備え、前記フェルールが形成されている継手本体又は結合用部材に、フェルールの後端面に対し空間部を挟んで対向する押圧面が形成され、前記フェルールは、継手本体と結合用部材とが連結されるときの軸方向の力により前記薄肉部が切断されて独立し、その後に、後端部が前記押圧面により押圧されて先端部がカム面のガイド作用により接続すべき配管に食い込むように形成された食い込み式管継手において、前記薄肉部には、少なくとも一方の面側にエッジ状の先端を有する切込が形成され、この切込により局部的に肉厚が薄くされた最薄肉部が形成されていることを特徴とする。
【0010】
このような構成上の特徴を有する本発明に係る食い込み式管継手によれば、フェルールを結合用部材又は継手本体に連結する薄肉部において、エッジ状の先端を有する切込により局部的に肉厚が薄くされた最薄肉部が形成されているため、この最薄肉部に応力集中が生起される。この結果、薄肉部の延伸量が少ない状態で、薄肉部が最薄肉部の個所で切断される。したがって、切り粉の発生が少なくなり、切り粉の発生による性能低下の問題を低減することができる。また、薄肉部の延伸量が少なくなることにより切断感覚も明瞭化されるので、作業者による切断の感知が容易になる。したがって、作業管理が容易になる。
【0011】
また、前記切込は、前記薄肉部におけるフェルールの先端側の面部に形成され、この切込の反対側の面部は、前記空間部を形成する平面部であることが好ましい。このようにすると、切込の加工をフェルールの先端側、つまり開放側からすることができるので、加工が容易になる。また、切込の反対側の面については、空間部の加工により形成されるので、殊更に加工工数を増加させる必要がない。
【0012】
また、この場合の切込は、薄肉部におけるフェルールの先端側の面からV字状又は3角形状に軸方向に切り込まれた切込であり、前記空間部の平面部はフェルールの軸線に対し略垂直方向に形成されているものとしてもよい。このようにすると切込の反対側の面部により形成される空間部の側面が、フェルールの軸線と直角の方向になるので、切削加工が容易である。
【0013】
また、このような構成とは別に、前記空間部の平面部は、内周側がフェルールの軸線方向における先端側に位置するように傾斜した傾斜面部として形成され、前記切込は、フェルールの外周面と前記薄肉部のフェルール先端側の面との交差により形成されているようにしてもよい。このようにすれば、空間部を形成する側面を傾斜面とすることにより、フェルールの先端側の面部に殊更の切込を形成することなく、フェルールの外周面と前記薄肉部のフェルール先端側の面との交差部によりエッジ状の先端を有する切込が形成されたことになる。したがって、切込の加工手間が削減される。なお、空間部の平面部は、切り込みの反対側の部分が前記傾斜面であればよく、例えば、前記傾斜面の内周側に軸線に対し垂直な方向に形成された平面を有するものでもよい。
【0014】
また、本発明に係る食い込み式管継手を冷媒回路や給水回路に使用した冷凍装置や、本発明に係る食い込み式管継手を給湯回路や給水回路に使用した温水装置においては、薄肉部4の切り粉による管継手の性能低下の恐れが軽減され、製品の信頼性が向上する。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る食い込み式管継手によれば、フェルールを連結する薄肉部が切断された後の切れかすである切り子の発生が削減して切り粉の発生による性能低下の問題を回避することができる。また、薄肉部の延伸量が少なくなることにより切断時の感触が明瞭になるので、作業者による切断の感知が容易になる。したがって、作業管理が容易になる。このため、この食い込み式管継手を用いた冷凍装置及び温水装置によれば、製品の信頼性が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の各実施の形態について図面に基づき説明する。なお、各図面において共通する要素には同一の符号を付し、その説明を省略又は簡略化する。
(実施の形態1)
実施の形態1に係る管継手について、図1〜図3に基づいて説明する。実施の形態1に係る管継手は、冷凍装置、ヒートポンプ式温水装置などの冷媒回路、給水回路、給湯回路などに使用される食い込み式管継手である。図1はこの食い込み式管継手の締結前の状態における部分断面図であり、図2はこの食い込み式管継手の締結前の状態における部分断面図である。また、図3にはこの食い込み式管継手におけるフェルールの周りの配管接続工程図を示す。本食い込み式管継手は、図1及び図2に示されるように被接続側機器に取り付けられる継手本体1と、継手本体1に接続すべき配管pに外装される結合用部材2と、結合用部材2に一体に形成されたフェルール3とから形成されている。なお、以下の説明において前後の方向を言うときは、継手本体1側、例えば、図1における左側を前側とし、結合用部材2側、すなわち、図1における右側を後側とする。なお、この点については、後述する各実施の形態においても同様とする。
【0017】
継手本体1は、図1〜図3に示すように、閉鎖弁、容器、配管などの被接続側機器への取付部11及び結合用部材2を締結するときに締結工具で把持するナット部12が形成された基部13と、結合用部材2を螺合する螺合部としての雌ねじ14aが内周面に形成された雌ねじ筒部14とを有する。また、継手本体1は、基部13における結合用部材2側端面から雌ねじ筒部14内に突出する軸部15を有する。そして、この軸部15から基部13にかけての軸心部には配管接続時に配管pの先端部を所定位置に差し込む配管接続口16が形成されている。またこの配管接続口16の前側には、径が異なる連通孔17、18が形成され、取付部11の外周面には雄ねじ11aが形成されている。
【0018】
配管接続口16の孔径は、接続する配管pを嵌挿するように配管pの外形寸法と略同径に形成されている。また、配管接続口16と連通孔17との間に段部(カウンターボア)16aが形成されている。段部16aは、本食い込み式管継手の組付時において、配管pの先端面を当接させて配管pの挿入位置を一定化するものである。
【0019】
また、配管接続口16の入口部にはカム面19が形成されている。カム面19は、前側において配管接続口16に連なり、後側(結合用部材2側)に向けて径が大きくなる円錐状に形成されている。なお、管継手の軸心に対するカム面19の傾斜角度は、後述するフェルール3の先端部のテーパ面32より大きく形成されている。
【0020】
結合用部材2は、図1〜図3に示すように、軸心に配管pを貫通させる貫通孔21を形成した円筒状の基部22を有し、この基部22の前側に、フェルール3の外周を保護する保護筒部23が形成され、この保護筒部23に続く基部22の外周には継手本体1と螺合する螺合部としての雄ねじ22aが形成されている。また、基部22の後部は、締結工具で把持可能とするように外形を大きくするとともに六角ナット状とした把持部24に形成されている。
【0021】
このように形成された結合用部材2には、保護筒部23内において基部22から前側へ、つまり、継手本体1側へ突出するように環状のフェルール3が形成されている。フェルール3の軸心の孔は配管pを貫通させる貫通孔31であり、その直径は、前述の配管接続口16及び基部22の軸心に設けられた貫通孔21と略同径である。このフェルール3は、図1から分かるように、環状であって、後端部において径方向に延びる薄肉部4を介し基部22に連結されて、結合用部材2と一体的に形成されている。
【0022】
フェルール3は、軸方向の断面で見ると、例えば図3(a)に示すように、後部が略一定の肉厚に形成され、前部が先端にいくに従い薄くなるように外周面がテーパ面32に形成されている。このテーパ面32の傾斜角度は前述のようにカム面19の傾斜角度よりやや小さい角度に形成されている。また、フェルール3の後端面33は、内周側から径方向外方に窪む空間部34を介して基部22に形成された押圧面25と対峙するように形成されている。空間部34は、軸方向の断面で見て外周側に尖る略V字形をなす形状に形成されている。より詳しく見ると、図3(a)〜(c)に示すように、尖端部分には僅かな直線部34aが形成されている。このような空間部34が形成されていることにより、その前面となるフェルール3の後端面33は、内周側が前方となるように傾斜して形成され、また、空間部34の後面となる押圧面25は、内周側が後方となるように傾斜して形成されている。
【0023】
一方、フェルール3の後部の外周面と薄肉部4の前面側(すなわちフェルール3の先端側)とは、図1に図示されるように軸方向の断面で見て略直角に連結されている。また、この直角部は、フェルール3から薄肉部4に跨る後端面33からなる後部側の面と、フェルール3の円筒状外周面及び薄肉部4の前面側平面で形成される前部側の面とからなる断面形状において、エッジ状の先端41を有する切込をなし、この切込により局部的に肉厚が薄くなる最薄肉部42が形成されている(図3(a)参照)。この最薄肉部42は、エッジ状の先端41を備えた切込により形成されていることになるため、結合用部材2に対し軸方向の力が作用すると、応力集中が生起される。
【0024】
なお、フェルール3の先端部の内周面には、先端部の変形を容易にするための切込部35が設けられている。この切込部35が設けられることにより、結合用部材2を手回しで締め付ける段階において、切込部35の前方に薄く形成された楔状部3aを配管pと配管接続口16との間に押し込んで配管pを仮止め可能としている。フェルール3によるシールのための配管pへの食い込みは、この切込部35の後側に形成されるエッジ部3bにより行われる。また、フェルール3の後端面33よりの内周面には、フェルール3を二分するような大きな溝部36が形成されている。この溝部36が形成されていることにより、フェルール3の前部においては先端部のエッジ部3bを配管pに食い込むように変形させることを容易にしている。また、溝部36が形成されていることにより、フェルール3の後部においては後端面33の内周側縁部を形成するエッジ部3cを配管pに食い込むように変形させている。このようにエッジ部3cを配管pに食い込むように変形させるのは、配管pの抜け止め機能を発揮させるとともに、配管pを伝達する振動がエッジ部3bに伝達されることを抑止している。これにより、エッジ部3bによる配管シール機能及び配管保持機能を高く維持している。
【0025】
以上のように構成される本食い込み式管継手による配管接続方法について説明する。
継手本体1に対し配管pを接続するに際し、継手本体1は配管、容器類、閉鎖弁等の所定の装置側機器に取り付けられているものとする。本食い込み式管継手による配管接続は、まず結合用部材2の貫通孔21に配管pを挿入して貫通させて、結合用部材2を配管pに外装する。次に、配管pの先端部をフェルール3の貫通孔31を通じて配管接続口16に挿入し、その先端面を段部16aに当接させ、結合用部材2を継手本体1に螺合する。この状態が図1である。
【0026】
次に、結合用部材2を手回しで締め付けていくと、フェルール3の楔状部3aが配管pと配管接続口16との間に押し込まれ、配管pの仮止めが行われる。この状態が図3(a)である。
【0027】
そして、その後は、フェルール3の切込部35の後側の部分がカム面19に当接するため大きな回転トルクを必要とする。したがって、この段階から後の工程では締結工具を使って結合用部材2を継手本体1に締め付ける。この締め付けにより従来例の場合と同様に、フェルール3の先端部がカム面19に押し付けられた状態で結合用部材2が締め付けられることにより、薄肉部4に軸方向前向きの力が作用する。このとき、従来のものと異なり、フェルール3の外周面と薄肉部4の前面との交差部、すなわちエッジ状の先端41(図3(a)参照)が形成されている最薄肉部42に応力集中が発生する。この結果、従来のように、薄肉部4が延びることが少なくなり、この最薄肉部42において薄肉部4が切断される。このときの切断感覚は、応力集中により延伸量が少ない状態で切断されるため明瞭に認識される。フェルール3は、薄肉部4が切断されて独立の状態になってから、結合用部材がさらに締結されることにより、後端面33の外周側端部が押圧面25に当接される(図3(b)参照)。このとき、従来のように延伸して薄くなった部分が切れやすい状態でフェルール3の後端にくっ付いているような状態にはなっていないので、切り子となるような残片くずが少なくなる。
【0028】
フェルール3は、上記のように後端面33の外周側端部が押圧面25により押圧される状態から結合用部材2がさらに締め付けられると、中心部が後方へ拡がるように傾斜する傾斜面として形成されている押圧面25により押圧されるので、溝部36を中心として前後の部分が軸心側に曲がり易くなる。したがって、フェルール3は、溝部36の前部においては、溝部36を中心にしてエッジ部3bが配管pに食い込むように傾斜し、溝部36の後部においては、溝部36を中心にして後端面33の内周側のエッジ部3cが配管pに食い込むように傾斜する(図3(c)参照)。
【0029】
このように、フェルール3の前部においては、エッジ部3bが配管pに食い込むように変形されることにより、配管pの外周面がフェルール3のエッジ部3bでシールされるとともに、配管pが保持され、さらに、カム面19に対しフェルール3のテーパ面32が押し付けられて、カム面19とフェルール3のテーパ面32との間がシールされる。また、フェルール3の後部においては、エッジ部3cの食い込みにより、この部分において配管pが保持され、配管pの抜け止め防止機能が発揮される。また、配管pを伝達する振動がこのエッジ部3cで吸収されるため、エッジ部3bの食い込み部への伝達が阻止され、エッジ部3bによるシール効果が高く維持される。
【0030】
このようにして、フェルール3の先端部におけるエッジ部3bの食い込み及びフェルール3の後端部におけるエッジ部3cの食い込みが所定量進行すると、結合用部材2を締め付けるための回転トルクが所定値に到達することになり、配管pの接続が完了する(図2参照)。
【0031】
以上のように構成された本実施の形態に係る食い込み式管継手は次のような効果を奏する。
(1)フェルール3を結合用部材2の基部22に連結する薄肉部4において、エッジ状の先端41を有する切込により局部的に肉厚が薄くされた最薄肉部42が形成されているため、この最薄肉部42に応力集中が生起される。この結果、薄肉部4の延伸量が少ない状態で、薄肉部4が最薄肉部42の部分で切断される。したがって、切り粉の発生が少なくなく、切り粉の発生による性能低下の問題を回避することができる。また、薄肉部4の延伸量が少なくなることにより切断感覚も明瞭となるので、作業者による切断の感知が容易になる。したがって、作業管理が容易になる。
【0032】
(2)エッジ状の先端41を有する切込は、薄肉部4における前面部(すなわち、フェルール3の先端側の面部)に形成され、この切込の反対側の面部は、空間部34を形成する平面部で形成されている。したがって、切込の加工をフェルール3の先端側、つまり開放側からすることができるので、加工が容易になる。また、切込の反対側の面については、空間部34の加工により形成されるので、殊更に加工工数を増加させる必要がない。
【0033】
(3)空間部34の平面部、すなわち、薄肉部4及びフェルール3に跨る後端面33は、内周側の縁部がフェルール3の軸線方向における先端側に位置するように傾斜した傾斜面部として形成されるので、前記エッジ状の先端を有する切込が、フェルール3の外周面と薄肉部4のフェルール3先端側の面との交差により形成される。したがって、空間部34を形成する側面を傾斜面とすることにより、薄肉部4の先端側の面部に殊更の切込を形成することなく、切込の加工手間が削減される。
【0034】
(4)また、最薄肉部42がフェルール3の後部の外周面の延長上に形成されるため、フェルール3を分離した後には薄肉部4の残片が殆どフェルール3側には残らない。このためフェルール3の後端面33がその後に押圧面25に当接したときに残片がフェルール3からはがれて切り子となるようなことが殆ど無い。
【0035】
(5)結合用部材2の基部22から前方に突出するフェルール3は、保護筒部23により外周周りが保護されている。このため、配管接続前の部品保管の状態において、フェルール3を傷付けるようなことが予防される。
【0036】
(6)フェルール3の先端部に切込部35が設けられていることにより、この切込部35より前の楔状部3aが変形しやすくなっている。この結果、結合用部材2を手回しで締結することにより、楔状部3aを配管接続口16と配管pの外周面との間に容易に差し込むことができ、配管pを締結工具で締結しなければならなくなる前に仮止めすることができる。これにより、その後の締結工具を使用した結合用部材2の締結作業を効率化することができる。
【0037】
(7)フェルール3の内周面側において、後端面33に近い位置に大きな溝部36が形成されているので、この溝部36を中心にしてフェルール3の前部を軸心側に傾斜させることが容易になり、エッジ部3bによる食い込みを十分に行わせることが容易となる。また、この溝部36を設けることにより、溝部36の後部がこの溝部36を中心として傾斜するので、フェルール3の後端面33の内周側のエッジ部3cを効率よく配管に食い込ませることができる。この結果、エッジ部3cによる配管保持機能により、配管pを伝達する振動がエッジ部3cにより吸収され、エッジ部3bによる配管シール機能及び配管保持機能への悪影響を防止することができる。
【0038】
(8)また、本実施の形態に係る食い込み式管継手を冷媒回路や給水回路に使用した冷凍装置や、本実施の形態に係る食い込み式管継手を給湯回路や給水回路に使用した温水装置においては、薄肉部4の切り粉による管継手の性能低下の恐れが軽減され、製品の信頼性が向上する。また、溝部36を設けたことにより、フェルール3の先端部及び後端部に形成されるエッジ部3b、3cが配管pに食い込むので、管継手のシール効果が向上するとともに耐久性が向上するので、この点からも製品の信頼性が向上する。また、フェルール3の先端部に切込部が設けられて、楔状部3aにより配管pの仮止めが行われるので、その後の締結工具を使用した配管接続作業が効率化される。
【0039】
(実施の形態2)
次に、実施の形態2について図4に基づき説明する。実施の形態2は、実施の形態1に対して、空間部の形状と薄肉部に形成される切込の形状を変更したものである。
【0040】
実施の形態2における、フェルール3は図4に示すようなものであって、基本的には実施の形態1のものと同一であるが、後方に形成される空間部34の前面側の平面部、すなわち、薄肉部4からフェルール3に跨る後端面33が軸心に対し直角となっている点で、実施の形態1と異なる。また、空間部34を形成する平面部としての後端面33の形状が軸心に対し直角となることにより、薄肉部4の前面側には、薄肉部4の前面から3角形状の切込が切り込まれている。また、この切込の下辺がフェルール3の後部の外周面の延長面上に形成されているので、最薄肉部42はフェルール3の後部の外周面の延長面上に形成されていることになる。
【0041】
実施の形態2の食い込み式管継手は、以上のように形成されたものであって、他は実施の形態1と同一である。また、実施の形態2は、以上のように構成されるので、次のような効果を奏することができる。
【0042】
(1)空間部34を形成する平面部が軸心に対し直角に形成されるので、エッジ部3cによる食い込みが、実施の形態1の場合に比しより効果的に行われる。
(2)また、実施の形態1の場合と同様に、最薄肉部42がフェルール3の後部の外周面の延長面上に形成されているため、フェルール3分離後には薄肉部4の残片が殆ど残らず、切り子が殆ど発生しない。
【0043】
(3)その他、実施の形態1における効果(1)、(2)及び(5)〜(8)の効果を奏することができる。
(実施の形態3)
次に、実施の形態3について図5に基づき説明する。実施の形態3は、実施の形態2と比較して、フェルールの内周面に形成される溝部の形状、薄肉部を形成する切込の形状及びその位置を変更したものである。
【0044】
実施の形態3におけるフェルール3は、図5に示すようなものであって、フェルール3の内周面における後端面33に近い位置に形成される溝部36は、台形状に形成したものである。この台形は、上辺の長さが短いので略V字状となっている。このように溝部36の先端部を小さくすることにより、フェルール3の前部と後部とをこの溝部36を中心として前方又は後方に傾斜させるのに都合がよくなっている。
【0045】
また、薄肉部4におけるフェルール3の先端側の面部に形成される、エッジ状の先端41を備えた切込は、薄肉部4の中央部に形成され、略V字状の形状に形成されている。したがって、最薄肉部42が薄肉部4の中央部に形成されている。なお、この実施の形態3の場合は、フェルール3が薄肉部4において分離されたときにフェルール3に付いている残片が実施の形態2の場合より多くなるが、従来のように引張られて切れたものではないので外れにくい。したがって、切り子の発生は従来に比し低減されている。
【0046】
なお、実施の形態3の食い込み式管継手は、以上のように形成されているので、実施の形態1における(1)、(2)及び(5)〜(8)の効果を奏することができる。
(実施の形態4)
次に、実施の形態4について図6及び図7に基づき説明する。実施の形態4は、実施の形態1と比較して、フェルールの内周面に形成される溝部の形状を変更するとともに、継手本体と結合用部材との螺合構造を変更したものである。以下これを具体的に説明する。
【0047】
実施の形態4におけるフェルール3は、図6及び図7に示すようなものであって、フェルール3の内周面における後端面33に近い位置に形成される溝部36は、実施の形態3の場合と同様に、上辺の長さが短い台形状であって、略V字状に形成されている。このように溝部36の尖端部を小さくすることにより、フェルール3の前部と後部とをこの溝部36を中心として前方又は後方に傾斜させるのに都合よくしたことは実施の形態3の場合と同様である。
【0048】
次に、継手本体1と結合用部材2との螺合構造の点について説明する。継手本体1においては、実施の形態1におけるような雌ねじ筒部14は形成されずに、軸部15の外周側に雄ねじ15aが形成されている。また、結合用部材2においては、保護筒部23に代わり、基部22の前方に雌ねじ筒部28が形成されている。また、基部22の外周に形成されていた雄ねじ22aは廃止され、雌ねじ筒部28の内周面には、継手本体1の雄ねじ15aに螺合される雌ねじ28aが形成されている。また、雌ねじ筒部28は、実施の形態1の場合の保護筒部23に代わりフェルール3の外周を保護することができる。
【0049】
実施の形態4の食い込み式管継手は、以上のように形成されているので、実施の形態1における(1)〜(4)、及び(6)〜(8)の効果を奏することができる。
(実施の形態5)
次に、実施の形態5について図8に基づき説明する。実施の形態5は、実施の形態1において、フェルールの内周面に形成される溝部の形状とフェルールの後方に形成される空間部の形状とを変更したものである。
【0050】
この実施の形態におけるフェルール3の内周面における後端面33に近い位置に形成される溝部36は、先の実施の形態3及び実施の形態4における溝部と同一の形状である。すなわち、この実施の形態における溝部36は、図8に示すように、実施の形態3及び実施の形態4の場合と同様に上辺の長さが短い台形状であって、略V字状に形成されている。また、このように溝部36の尖端部を小さくしたことも、実施の形態3及び実施の形態4の場合と同様に、フェルール3の前部と後部とをこの溝部36を中心として前方又は後方に傾斜させるのに都合よくするためである。
【0051】
一方、この実施の形態におけるフェルール3の後方の空間部34は、図8に示すようなものであって、空間部34の尖端部、つまり外周側部分は、実施の形態1のものと同様のV字状に形成され、空間部34の内周側部分は、前後面が軸線に垂直な平面を成すように形成されている。また、空間部34の外周側部分のV字状は、上記溝部36の形状と同一に形成されている。
【0052】
したがって、空間部34の後面となる押圧面25は、外周側部分25aが傾斜面であり、内周側部分25bは軸線に垂直な垂直面に形成されている。なお、外周側部分25aの傾斜面は、内周側が後方となるように傾斜する傾斜面であり、この点については実施の形態1の傾斜面と同様である。また、この外周側部分25aの傾斜面は、最薄肉部42で切断された後のフェルール3の後端部に当接するように構成されている。さらに、この実施の形態に係る押圧面25は、結合用部材2の締結過程における途中までは外周側部分25aでフェルール3の外周側の後端部を押圧するが、結合用部材2の締結過程における途中から後は、軸線に垂直な垂直面から成る内周側部分25bでフェルール3の外周側の後端部を押圧するように構成されている。
【0053】
一方、空間部34の前面を成す薄肉部4からフェルール3に跨る後端面33は、切込の反対側の部分を含む外周側部分33aが傾斜面であり、内周側部分33bが軸線に垂直な垂直面に形成されている。したがって、フェルール3の後部の外周面と薄肉部4の前面側との直角の連結部は、実施の形態1の場合と同様に、フェルール3から薄肉部4に跨る後端面33に対する切込を形成し、この切込の位置に最薄肉部42を形成している。また、後端面33の内周側縁部を形成するエッジ部3cが直角に形成されている。
【0054】
実施の形態5の食い込み式管継手は、以上のように形成されたものであって、他は実施の形態1と同一であるので、次のような効果を奏することができる。
(1)、空間部34の外周側部分と溝部36とが同一の形状に形成されているので、空間部34と溝部36とを同一の刃物(カッタ)で切削することができる。
【0055】
(2)また、空間部34に形成される押圧面25は、外周側部分25aを傾斜面とし、内周側部分25bを軸線に垂直な垂直面とするとともに、結合用部材2が締結される過程の途中でフェルール3の外周側の後端部を押圧する面を押圧面25の外周側部分25aから内周側部分25bへと切り換えるように構成されている。したがって、この切換のタイミングを調整することにより、エッジ部3cの食い込み量及び結合用部材2のねじ込みストロークを調整することができる。
【0056】
(3)フェルール3の後端面の内周側のエッジ部3cが直角に形成されるので、エッジ部3cによる食い込みが、実施の形態1の場合に比しより効果的に行われる。
(4)その他、実施の形態1と同様の効果を奏することができる。
【0057】
(実施の形態6)
次に、実施の形態6について図9に基づき説明する。実施の形態6は、実施の形態5における溝部の形状を変更したものである。
【0058】
すなわち、この実施の形態に係る溝部36は、その設計意図、接続する配管pの材質や寸法、フェルール3の材質や形状などの諸仕様の変更により溝部36を深く形成する必要が生じた場合に対応する形状を示す。
【0059】
この場合、溝部36は、実施の形態5の場合と同様の刃物を使用することを加味し、図9に示すように、外周側部分36a、すなわち尖端部を実施の形態4における溝部36のV字状と同一とし、内周側部分36bの前後の壁面を軸線に垂直な平面により形成したものとしている。溝部36を深く形成する必要のある場合は、このような形状で溝部36を形成することにより、実施の形態5と同様の効果を奏することができる。
【0060】
(変形例)
(1)上記各実施の形態においては、局部的に肉厚が薄くされた最薄肉部42を形成するために、エッジ状の先端41を有する切込がフェルール3の先端部が存在する前面側に形成されているが、製作の容易性を無視するならば反対側の面に形成されたものとしてもよい。
【0061】
(2)上記各実施の形態においては、フェルール3の先端部に切込部35を設けるとともに、フェルール3内周面側における後端面33に近い位置に溝部36を設けている。しかし、これらの形状については先に掲げたものに限定されるものではない。また、これら切込部35及び溝部36を設けない従来公知のものに変更してもよい。また、それらの形状についても先に掲げたものに限定されるものではない。
【0062】
(3)実施の形態1〜3、5及び6には、継手本体1側に雌ねじ14aを形成するとともに結合用部材2側に雄ねじ22aを形成している。しかし、この螺合部の構造については実施の形態4に示したように、継手本体1側に雄ねじ15aを形成するとともに結合用部材2側に雌ねじ28aを形成してもよく、その場合における具体的構造については先の例に限定されるものではない。
【0063】
(4)また、上記各実施の形態においては、フェルール3が結合用部材2に対し一体に形成され、カム面19が継手本体1に形成されている。しかし、これとは逆にフェルール3を継手本体1と一体的に形成し、カム面19を結合用部材2に形成したものとしてもよく、また、フェルール3の取付についても、結合用部材2の基部22のような位置に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明の実施の形態1に係る食い込み式管継手の部分断面図であって、締結前の組み付け状態を示す。
【図2】同食い込み式管継手の部分断面図であって、締結完了の状態を示す。
【図3】同食い込み式管継手におけるフェルールの周りの配管接続工程図であって、(a)はフェルールの先端部の楔状部により配管が仮止めされた状態図であり、(b)はフェルールが分離された後の状態図であり、(c)は締結完了の状態を示す。
【図4】本発明の実施の形態2に係る食い込み式管継手のフェルール周りの拡大断面図である。
【図5】本発明の実施の形態3に係る食い込み式管継手のフェルール周りの拡大断面図である。
【図6】本発明の実施の形態4に係る食い込み式管継手の部分断面図であって、締結前の組み付け状態を示す。
【図7】同食い込み式管継手の部分断面図であって、締結完了の状態を示す。
【図8】本発明の実施の形態5に係る食い込み式管継手のフェルール周りの拡大断面図である。
【図9】本発明の実施の形態6に係る食い込み式管継手のフェルール周りの拡大断面図である。
【図10】従来の食い込み式管継手におけるフェルール周りの拡大断面図である。
【図11】同食い込み式管継手におけるフェルールの切断工程図であって、(a)はフェルールの先端部がカム面に当接した分離前の状態図であり、(b)はフェルールを接続する薄肉部が切断されるときの状態図であり、(c)はフェルールの後端面が結合用部材の押圧面に当接したときの状態図である。
【符号の説明】
【0065】
p…配管、1…継手本体、2…結合用部材、3…フェルール、4…薄肉部、16…配管接続口、19…カム面、25…押圧面、33…後端面、34…空間部、41…(エッジ状の)先端、42…最薄肉部。
【技術分野】
【0001】
本発明は、食込み式管継手、並びに、これを応用した冷凍装置及び温水装置に関し、特に、フェルールを一体的に形成した食い込み式管継手に関する。
【背景技術】
【0002】
内部に流体を流す流体管に対し用いられる管継手は、管の劣化や流体供給管の劣化などが生じたときに交換や修理を容易に行うことができるように、取り外し可能なものが多く使われてきている。このような管継手としては、用途に応じ各種構造のものが存在する。
【0003】
例えば、流体管の中に冷媒が流れる空気調和機等の冷凍サイクル装置においては、従来、管継手としてフレア式管継手が多用されてきた。しかし、冷凍サイクル装置においては、地球環境保護のため、冷媒の変更が進められている。すなわち、冷媒は、従来のフロン冷媒から可燃性のプロパン、エタン、エチレン、nペンタン、nブタン、イソブタン等のHC冷媒や、使用圧力が高圧となる二酸化炭素などの自然冷媒に置換されつつある。このため、新しい冷媒を使用する冷凍サイクル装置においては、冷媒漏れの少ない管継手として食い込み式管継手の開発が活発に行われるようになってきている。また、このような食い込み式管継手として、従来独立のフェルールを使用するものが多く開発されているが、取り扱いの簡略化のためにフェルールを管継手を構成する結合用部材に一体化して製作したものが開発されてきている。特許文献1に記載の食い込み式管継手は、その一例である。
【0004】
この食い込み式管継手は、図10及び図11に示すように、接続すべき配管102の先端部が挿入される配管接続口101aを有する継手本体101と、中心部に接続すべき配管102を貫通させる貫通孔103aを備えた袋ナット状の結合用部材103とを備えている。また、結合用部材103の基部103bに対しては、径方向に延びる薄肉部104を介して環状のフェルール105が連結され、この薄肉部104を介して結合用部材103に対しフェルール105が一体的に形成されている。また、継手本体101の配管接続口101aの入口部には、フェルール105の先端部を配管102に食い込ませるようにガイドするカム面106が形成されている。
【0005】
そして、フェルール105から薄肉部104にかけての後端面105aに対し空間部107を介在させて、フェルール105の後端面105aを押圧するための押圧面108が形成されている。この管継手において配管102が接続されるときは、結合用部材103を締結するときの締結力により、フェルール105の先端部がカム面106に押し付けられ、その状態からさらに結合用部材103が締め付けられることにより、薄肉部104に軸方向力が作用して薄肉部104が切断され、フェルール105が独立の状態になる。そして、その後に押圧面108を介して結合用部材103の締結力がフェルール105の後端面105aにさらに加えられ、フェルール105がカム面106にさらに押し付けられる。これにより、フェルール105の先端部がカム面106に案内されて配管102に食い込み、配管102が気密に接続されるように形成されている。
【特許文献1】特表2004−526911号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来の食い込み式管継手では、薄肉部104は、結合用部材103の締結力により切断可能な厚さであって、全体に亘り厚さの変化が少ない形状に形成されている。このため、薄肉部104は図11(a)〜(c)に示すような切れ方をする。すなわち、フェルール105の先端部がカム面106に当接した状態で、フェルール105と一体に形成されている結合用部材103が締結されるため、薄肉部104が図11(a)に示すように軸方向に延伸される。そして、この延伸量は、結合用部材103の締め付けが進むにつれて大きくなり、図11(b)のように薄肉部104の中央部などの最も弱い部分で切断される。また、さらに結合用部材103の締め付けが進められると、フェルール105の後端面105aが押圧面108に当接し、押圧面108により押圧される。このとき、引き伸ばされてフェルール105の後端部に連結されたままの薄肉部104の引き伸ばされた残片が、押圧面108に押し当てられることにより、図11(c)のように外れることが予測される。これは切り子104aとなって押圧面108とフェルール105の後端面105aとの間や、フェルール105の中心部の配管102を貫通させる貫通孔105bの内周面と配管102の外周面との間に噛み込んだりして、適正な締め付け力が作用しなくなる恐れがある。また、この結果、フェルール105による良好なシール機能、配管102の保持機能が得られなくなる恐れがあった。また、記従来の食い込み式管継手によれば、切断部に応力集中が発生することもなく薄肉部104の延伸により薄肉部104が薄くなって切断されるため、切断感覚が不明瞭となり作業者が切断されたことを感知することが困難であった。そして、作業者により薄肉部104が切断されたことが感知されないと、作業者は次の作業への移行の是非を判断することができないため作業管理上不都合であった。
【0007】
なお、このような問題に対して、薄肉部104の厚さを極力薄くして延伸量を減らすようにすることが考えられるが、このようにすると、加工時に薄肉部104が変形してしまい、加工が困難となる恐れがある。また、他の対策として、薄肉部104の径方向の長さを極力短くして延伸量を減らすことも考えられるが、このようにすることは加工精度上困難であった。
【0008】
本発明は、このような背景に基づきなされたものであって、切り子の発生を削減して切断可能とするとともに切断感知を容易にしたフェルール一体型の食い込み式管継手及びこれを用いた冷凍装置及び温水装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る食い込み式管継手は、上記課題を解決するものであって、接続すべき配管を挿入する配管接続口を有する継手本体と、継手本体に締結される結合用部材と、継手本体又は結合用部材の何れか一方に径方向に延びる薄肉部を介し一体的に形成された環状のフェルールと、フェルールが形成されていない他方の継手本体又は結合用部材に、フェルールの先端部を配管に食い込ませるようにガイドするカム面とを備え、前記フェルールが形成されている継手本体又は結合用部材に、フェルールの後端面に対し空間部を挟んで対向する押圧面が形成され、前記フェルールは、継手本体と結合用部材とが連結されるときの軸方向の力により前記薄肉部が切断されて独立し、その後に、後端部が前記押圧面により押圧されて先端部がカム面のガイド作用により接続すべき配管に食い込むように形成された食い込み式管継手において、前記薄肉部には、少なくとも一方の面側にエッジ状の先端を有する切込が形成され、この切込により局部的に肉厚が薄くされた最薄肉部が形成されていることを特徴とする。
【0010】
このような構成上の特徴を有する本発明に係る食い込み式管継手によれば、フェルールを結合用部材又は継手本体に連結する薄肉部において、エッジ状の先端を有する切込により局部的に肉厚が薄くされた最薄肉部が形成されているため、この最薄肉部に応力集中が生起される。この結果、薄肉部の延伸量が少ない状態で、薄肉部が最薄肉部の個所で切断される。したがって、切り粉の発生が少なくなり、切り粉の発生による性能低下の問題を低減することができる。また、薄肉部の延伸量が少なくなることにより切断感覚も明瞭化されるので、作業者による切断の感知が容易になる。したがって、作業管理が容易になる。
【0011】
また、前記切込は、前記薄肉部におけるフェルールの先端側の面部に形成され、この切込の反対側の面部は、前記空間部を形成する平面部であることが好ましい。このようにすると、切込の加工をフェルールの先端側、つまり開放側からすることができるので、加工が容易になる。また、切込の反対側の面については、空間部の加工により形成されるので、殊更に加工工数を増加させる必要がない。
【0012】
また、この場合の切込は、薄肉部におけるフェルールの先端側の面からV字状又は3角形状に軸方向に切り込まれた切込であり、前記空間部の平面部はフェルールの軸線に対し略垂直方向に形成されているものとしてもよい。このようにすると切込の反対側の面部により形成される空間部の側面が、フェルールの軸線と直角の方向になるので、切削加工が容易である。
【0013】
また、このような構成とは別に、前記空間部の平面部は、内周側がフェルールの軸線方向における先端側に位置するように傾斜した傾斜面部として形成され、前記切込は、フェルールの外周面と前記薄肉部のフェルール先端側の面との交差により形成されているようにしてもよい。このようにすれば、空間部を形成する側面を傾斜面とすることにより、フェルールの先端側の面部に殊更の切込を形成することなく、フェルールの外周面と前記薄肉部のフェルール先端側の面との交差部によりエッジ状の先端を有する切込が形成されたことになる。したがって、切込の加工手間が削減される。なお、空間部の平面部は、切り込みの反対側の部分が前記傾斜面であればよく、例えば、前記傾斜面の内周側に軸線に対し垂直な方向に形成された平面を有するものでもよい。
【0014】
また、本発明に係る食い込み式管継手を冷媒回路や給水回路に使用した冷凍装置や、本発明に係る食い込み式管継手を給湯回路や給水回路に使用した温水装置においては、薄肉部4の切り粉による管継手の性能低下の恐れが軽減され、製品の信頼性が向上する。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る食い込み式管継手によれば、フェルールを連結する薄肉部が切断された後の切れかすである切り子の発生が削減して切り粉の発生による性能低下の問題を回避することができる。また、薄肉部の延伸量が少なくなることにより切断時の感触が明瞭になるので、作業者による切断の感知が容易になる。したがって、作業管理が容易になる。このため、この食い込み式管継手を用いた冷凍装置及び温水装置によれば、製品の信頼性が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の各実施の形態について図面に基づき説明する。なお、各図面において共通する要素には同一の符号を付し、その説明を省略又は簡略化する。
(実施の形態1)
実施の形態1に係る管継手について、図1〜図3に基づいて説明する。実施の形態1に係る管継手は、冷凍装置、ヒートポンプ式温水装置などの冷媒回路、給水回路、給湯回路などに使用される食い込み式管継手である。図1はこの食い込み式管継手の締結前の状態における部分断面図であり、図2はこの食い込み式管継手の締結前の状態における部分断面図である。また、図3にはこの食い込み式管継手におけるフェルールの周りの配管接続工程図を示す。本食い込み式管継手は、図1及び図2に示されるように被接続側機器に取り付けられる継手本体1と、継手本体1に接続すべき配管pに外装される結合用部材2と、結合用部材2に一体に形成されたフェルール3とから形成されている。なお、以下の説明において前後の方向を言うときは、継手本体1側、例えば、図1における左側を前側とし、結合用部材2側、すなわち、図1における右側を後側とする。なお、この点については、後述する各実施の形態においても同様とする。
【0017】
継手本体1は、図1〜図3に示すように、閉鎖弁、容器、配管などの被接続側機器への取付部11及び結合用部材2を締結するときに締結工具で把持するナット部12が形成された基部13と、結合用部材2を螺合する螺合部としての雌ねじ14aが内周面に形成された雌ねじ筒部14とを有する。また、継手本体1は、基部13における結合用部材2側端面から雌ねじ筒部14内に突出する軸部15を有する。そして、この軸部15から基部13にかけての軸心部には配管接続時に配管pの先端部を所定位置に差し込む配管接続口16が形成されている。またこの配管接続口16の前側には、径が異なる連通孔17、18が形成され、取付部11の外周面には雄ねじ11aが形成されている。
【0018】
配管接続口16の孔径は、接続する配管pを嵌挿するように配管pの外形寸法と略同径に形成されている。また、配管接続口16と連通孔17との間に段部(カウンターボア)16aが形成されている。段部16aは、本食い込み式管継手の組付時において、配管pの先端面を当接させて配管pの挿入位置を一定化するものである。
【0019】
また、配管接続口16の入口部にはカム面19が形成されている。カム面19は、前側において配管接続口16に連なり、後側(結合用部材2側)に向けて径が大きくなる円錐状に形成されている。なお、管継手の軸心に対するカム面19の傾斜角度は、後述するフェルール3の先端部のテーパ面32より大きく形成されている。
【0020】
結合用部材2は、図1〜図3に示すように、軸心に配管pを貫通させる貫通孔21を形成した円筒状の基部22を有し、この基部22の前側に、フェルール3の外周を保護する保護筒部23が形成され、この保護筒部23に続く基部22の外周には継手本体1と螺合する螺合部としての雄ねじ22aが形成されている。また、基部22の後部は、締結工具で把持可能とするように外形を大きくするとともに六角ナット状とした把持部24に形成されている。
【0021】
このように形成された結合用部材2には、保護筒部23内において基部22から前側へ、つまり、継手本体1側へ突出するように環状のフェルール3が形成されている。フェルール3の軸心の孔は配管pを貫通させる貫通孔31であり、その直径は、前述の配管接続口16及び基部22の軸心に設けられた貫通孔21と略同径である。このフェルール3は、図1から分かるように、環状であって、後端部において径方向に延びる薄肉部4を介し基部22に連結されて、結合用部材2と一体的に形成されている。
【0022】
フェルール3は、軸方向の断面で見ると、例えば図3(a)に示すように、後部が略一定の肉厚に形成され、前部が先端にいくに従い薄くなるように外周面がテーパ面32に形成されている。このテーパ面32の傾斜角度は前述のようにカム面19の傾斜角度よりやや小さい角度に形成されている。また、フェルール3の後端面33は、内周側から径方向外方に窪む空間部34を介して基部22に形成された押圧面25と対峙するように形成されている。空間部34は、軸方向の断面で見て外周側に尖る略V字形をなす形状に形成されている。より詳しく見ると、図3(a)〜(c)に示すように、尖端部分には僅かな直線部34aが形成されている。このような空間部34が形成されていることにより、その前面となるフェルール3の後端面33は、内周側が前方となるように傾斜して形成され、また、空間部34の後面となる押圧面25は、内周側が後方となるように傾斜して形成されている。
【0023】
一方、フェルール3の後部の外周面と薄肉部4の前面側(すなわちフェルール3の先端側)とは、図1に図示されるように軸方向の断面で見て略直角に連結されている。また、この直角部は、フェルール3から薄肉部4に跨る後端面33からなる後部側の面と、フェルール3の円筒状外周面及び薄肉部4の前面側平面で形成される前部側の面とからなる断面形状において、エッジ状の先端41を有する切込をなし、この切込により局部的に肉厚が薄くなる最薄肉部42が形成されている(図3(a)参照)。この最薄肉部42は、エッジ状の先端41を備えた切込により形成されていることになるため、結合用部材2に対し軸方向の力が作用すると、応力集中が生起される。
【0024】
なお、フェルール3の先端部の内周面には、先端部の変形を容易にするための切込部35が設けられている。この切込部35が設けられることにより、結合用部材2を手回しで締め付ける段階において、切込部35の前方に薄く形成された楔状部3aを配管pと配管接続口16との間に押し込んで配管pを仮止め可能としている。フェルール3によるシールのための配管pへの食い込みは、この切込部35の後側に形成されるエッジ部3bにより行われる。また、フェルール3の後端面33よりの内周面には、フェルール3を二分するような大きな溝部36が形成されている。この溝部36が形成されていることにより、フェルール3の前部においては先端部のエッジ部3bを配管pに食い込むように変形させることを容易にしている。また、溝部36が形成されていることにより、フェルール3の後部においては後端面33の内周側縁部を形成するエッジ部3cを配管pに食い込むように変形させている。このようにエッジ部3cを配管pに食い込むように変形させるのは、配管pの抜け止め機能を発揮させるとともに、配管pを伝達する振動がエッジ部3bに伝達されることを抑止している。これにより、エッジ部3bによる配管シール機能及び配管保持機能を高く維持している。
【0025】
以上のように構成される本食い込み式管継手による配管接続方法について説明する。
継手本体1に対し配管pを接続するに際し、継手本体1は配管、容器類、閉鎖弁等の所定の装置側機器に取り付けられているものとする。本食い込み式管継手による配管接続は、まず結合用部材2の貫通孔21に配管pを挿入して貫通させて、結合用部材2を配管pに外装する。次に、配管pの先端部をフェルール3の貫通孔31を通じて配管接続口16に挿入し、その先端面を段部16aに当接させ、結合用部材2を継手本体1に螺合する。この状態が図1である。
【0026】
次に、結合用部材2を手回しで締め付けていくと、フェルール3の楔状部3aが配管pと配管接続口16との間に押し込まれ、配管pの仮止めが行われる。この状態が図3(a)である。
【0027】
そして、その後は、フェルール3の切込部35の後側の部分がカム面19に当接するため大きな回転トルクを必要とする。したがって、この段階から後の工程では締結工具を使って結合用部材2を継手本体1に締め付ける。この締め付けにより従来例の場合と同様に、フェルール3の先端部がカム面19に押し付けられた状態で結合用部材2が締め付けられることにより、薄肉部4に軸方向前向きの力が作用する。このとき、従来のものと異なり、フェルール3の外周面と薄肉部4の前面との交差部、すなわちエッジ状の先端41(図3(a)参照)が形成されている最薄肉部42に応力集中が発生する。この結果、従来のように、薄肉部4が延びることが少なくなり、この最薄肉部42において薄肉部4が切断される。このときの切断感覚は、応力集中により延伸量が少ない状態で切断されるため明瞭に認識される。フェルール3は、薄肉部4が切断されて独立の状態になってから、結合用部材がさらに締結されることにより、後端面33の外周側端部が押圧面25に当接される(図3(b)参照)。このとき、従来のように延伸して薄くなった部分が切れやすい状態でフェルール3の後端にくっ付いているような状態にはなっていないので、切り子となるような残片くずが少なくなる。
【0028】
フェルール3は、上記のように後端面33の外周側端部が押圧面25により押圧される状態から結合用部材2がさらに締め付けられると、中心部が後方へ拡がるように傾斜する傾斜面として形成されている押圧面25により押圧されるので、溝部36を中心として前後の部分が軸心側に曲がり易くなる。したがって、フェルール3は、溝部36の前部においては、溝部36を中心にしてエッジ部3bが配管pに食い込むように傾斜し、溝部36の後部においては、溝部36を中心にして後端面33の内周側のエッジ部3cが配管pに食い込むように傾斜する(図3(c)参照)。
【0029】
このように、フェルール3の前部においては、エッジ部3bが配管pに食い込むように変形されることにより、配管pの外周面がフェルール3のエッジ部3bでシールされるとともに、配管pが保持され、さらに、カム面19に対しフェルール3のテーパ面32が押し付けられて、カム面19とフェルール3のテーパ面32との間がシールされる。また、フェルール3の後部においては、エッジ部3cの食い込みにより、この部分において配管pが保持され、配管pの抜け止め防止機能が発揮される。また、配管pを伝達する振動がこのエッジ部3cで吸収されるため、エッジ部3bの食い込み部への伝達が阻止され、エッジ部3bによるシール効果が高く維持される。
【0030】
このようにして、フェルール3の先端部におけるエッジ部3bの食い込み及びフェルール3の後端部におけるエッジ部3cの食い込みが所定量進行すると、結合用部材2を締め付けるための回転トルクが所定値に到達することになり、配管pの接続が完了する(図2参照)。
【0031】
以上のように構成された本実施の形態に係る食い込み式管継手は次のような効果を奏する。
(1)フェルール3を結合用部材2の基部22に連結する薄肉部4において、エッジ状の先端41を有する切込により局部的に肉厚が薄くされた最薄肉部42が形成されているため、この最薄肉部42に応力集中が生起される。この結果、薄肉部4の延伸量が少ない状態で、薄肉部4が最薄肉部42の部分で切断される。したがって、切り粉の発生が少なくなく、切り粉の発生による性能低下の問題を回避することができる。また、薄肉部4の延伸量が少なくなることにより切断感覚も明瞭となるので、作業者による切断の感知が容易になる。したがって、作業管理が容易になる。
【0032】
(2)エッジ状の先端41を有する切込は、薄肉部4における前面部(すなわち、フェルール3の先端側の面部)に形成され、この切込の反対側の面部は、空間部34を形成する平面部で形成されている。したがって、切込の加工をフェルール3の先端側、つまり開放側からすることができるので、加工が容易になる。また、切込の反対側の面については、空間部34の加工により形成されるので、殊更に加工工数を増加させる必要がない。
【0033】
(3)空間部34の平面部、すなわち、薄肉部4及びフェルール3に跨る後端面33は、内周側の縁部がフェルール3の軸線方向における先端側に位置するように傾斜した傾斜面部として形成されるので、前記エッジ状の先端を有する切込が、フェルール3の外周面と薄肉部4のフェルール3先端側の面との交差により形成される。したがって、空間部34を形成する側面を傾斜面とすることにより、薄肉部4の先端側の面部に殊更の切込を形成することなく、切込の加工手間が削減される。
【0034】
(4)また、最薄肉部42がフェルール3の後部の外周面の延長上に形成されるため、フェルール3を分離した後には薄肉部4の残片が殆どフェルール3側には残らない。このためフェルール3の後端面33がその後に押圧面25に当接したときに残片がフェルール3からはがれて切り子となるようなことが殆ど無い。
【0035】
(5)結合用部材2の基部22から前方に突出するフェルール3は、保護筒部23により外周周りが保護されている。このため、配管接続前の部品保管の状態において、フェルール3を傷付けるようなことが予防される。
【0036】
(6)フェルール3の先端部に切込部35が設けられていることにより、この切込部35より前の楔状部3aが変形しやすくなっている。この結果、結合用部材2を手回しで締結することにより、楔状部3aを配管接続口16と配管pの外周面との間に容易に差し込むことができ、配管pを締結工具で締結しなければならなくなる前に仮止めすることができる。これにより、その後の締結工具を使用した結合用部材2の締結作業を効率化することができる。
【0037】
(7)フェルール3の内周面側において、後端面33に近い位置に大きな溝部36が形成されているので、この溝部36を中心にしてフェルール3の前部を軸心側に傾斜させることが容易になり、エッジ部3bによる食い込みを十分に行わせることが容易となる。また、この溝部36を設けることにより、溝部36の後部がこの溝部36を中心として傾斜するので、フェルール3の後端面33の内周側のエッジ部3cを効率よく配管に食い込ませることができる。この結果、エッジ部3cによる配管保持機能により、配管pを伝達する振動がエッジ部3cにより吸収され、エッジ部3bによる配管シール機能及び配管保持機能への悪影響を防止することができる。
【0038】
(8)また、本実施の形態に係る食い込み式管継手を冷媒回路や給水回路に使用した冷凍装置や、本実施の形態に係る食い込み式管継手を給湯回路や給水回路に使用した温水装置においては、薄肉部4の切り粉による管継手の性能低下の恐れが軽減され、製品の信頼性が向上する。また、溝部36を設けたことにより、フェルール3の先端部及び後端部に形成されるエッジ部3b、3cが配管pに食い込むので、管継手のシール効果が向上するとともに耐久性が向上するので、この点からも製品の信頼性が向上する。また、フェルール3の先端部に切込部が設けられて、楔状部3aにより配管pの仮止めが行われるので、その後の締結工具を使用した配管接続作業が効率化される。
【0039】
(実施の形態2)
次に、実施の形態2について図4に基づき説明する。実施の形態2は、実施の形態1に対して、空間部の形状と薄肉部に形成される切込の形状を変更したものである。
【0040】
実施の形態2における、フェルール3は図4に示すようなものであって、基本的には実施の形態1のものと同一であるが、後方に形成される空間部34の前面側の平面部、すなわち、薄肉部4からフェルール3に跨る後端面33が軸心に対し直角となっている点で、実施の形態1と異なる。また、空間部34を形成する平面部としての後端面33の形状が軸心に対し直角となることにより、薄肉部4の前面側には、薄肉部4の前面から3角形状の切込が切り込まれている。また、この切込の下辺がフェルール3の後部の外周面の延長面上に形成されているので、最薄肉部42はフェルール3の後部の外周面の延長面上に形成されていることになる。
【0041】
実施の形態2の食い込み式管継手は、以上のように形成されたものであって、他は実施の形態1と同一である。また、実施の形態2は、以上のように構成されるので、次のような効果を奏することができる。
【0042】
(1)空間部34を形成する平面部が軸心に対し直角に形成されるので、エッジ部3cによる食い込みが、実施の形態1の場合に比しより効果的に行われる。
(2)また、実施の形態1の場合と同様に、最薄肉部42がフェルール3の後部の外周面の延長面上に形成されているため、フェルール3分離後には薄肉部4の残片が殆ど残らず、切り子が殆ど発生しない。
【0043】
(3)その他、実施の形態1における効果(1)、(2)及び(5)〜(8)の効果を奏することができる。
(実施の形態3)
次に、実施の形態3について図5に基づき説明する。実施の形態3は、実施の形態2と比較して、フェルールの内周面に形成される溝部の形状、薄肉部を形成する切込の形状及びその位置を変更したものである。
【0044】
実施の形態3におけるフェルール3は、図5に示すようなものであって、フェルール3の内周面における後端面33に近い位置に形成される溝部36は、台形状に形成したものである。この台形は、上辺の長さが短いので略V字状となっている。このように溝部36の先端部を小さくすることにより、フェルール3の前部と後部とをこの溝部36を中心として前方又は後方に傾斜させるのに都合がよくなっている。
【0045】
また、薄肉部4におけるフェルール3の先端側の面部に形成される、エッジ状の先端41を備えた切込は、薄肉部4の中央部に形成され、略V字状の形状に形成されている。したがって、最薄肉部42が薄肉部4の中央部に形成されている。なお、この実施の形態3の場合は、フェルール3が薄肉部4において分離されたときにフェルール3に付いている残片が実施の形態2の場合より多くなるが、従来のように引張られて切れたものではないので外れにくい。したがって、切り子の発生は従来に比し低減されている。
【0046】
なお、実施の形態3の食い込み式管継手は、以上のように形成されているので、実施の形態1における(1)、(2)及び(5)〜(8)の効果を奏することができる。
(実施の形態4)
次に、実施の形態4について図6及び図7に基づき説明する。実施の形態4は、実施の形態1と比較して、フェルールの内周面に形成される溝部の形状を変更するとともに、継手本体と結合用部材との螺合構造を変更したものである。以下これを具体的に説明する。
【0047】
実施の形態4におけるフェルール3は、図6及び図7に示すようなものであって、フェルール3の内周面における後端面33に近い位置に形成される溝部36は、実施の形態3の場合と同様に、上辺の長さが短い台形状であって、略V字状に形成されている。このように溝部36の尖端部を小さくすることにより、フェルール3の前部と後部とをこの溝部36を中心として前方又は後方に傾斜させるのに都合よくしたことは実施の形態3の場合と同様である。
【0048】
次に、継手本体1と結合用部材2との螺合構造の点について説明する。継手本体1においては、実施の形態1におけるような雌ねじ筒部14は形成されずに、軸部15の外周側に雄ねじ15aが形成されている。また、結合用部材2においては、保護筒部23に代わり、基部22の前方に雌ねじ筒部28が形成されている。また、基部22の外周に形成されていた雄ねじ22aは廃止され、雌ねじ筒部28の内周面には、継手本体1の雄ねじ15aに螺合される雌ねじ28aが形成されている。また、雌ねじ筒部28は、実施の形態1の場合の保護筒部23に代わりフェルール3の外周を保護することができる。
【0049】
実施の形態4の食い込み式管継手は、以上のように形成されているので、実施の形態1における(1)〜(4)、及び(6)〜(8)の効果を奏することができる。
(実施の形態5)
次に、実施の形態5について図8に基づき説明する。実施の形態5は、実施の形態1において、フェルールの内周面に形成される溝部の形状とフェルールの後方に形成される空間部の形状とを変更したものである。
【0050】
この実施の形態におけるフェルール3の内周面における後端面33に近い位置に形成される溝部36は、先の実施の形態3及び実施の形態4における溝部と同一の形状である。すなわち、この実施の形態における溝部36は、図8に示すように、実施の形態3及び実施の形態4の場合と同様に上辺の長さが短い台形状であって、略V字状に形成されている。また、このように溝部36の尖端部を小さくしたことも、実施の形態3及び実施の形態4の場合と同様に、フェルール3の前部と後部とをこの溝部36を中心として前方又は後方に傾斜させるのに都合よくするためである。
【0051】
一方、この実施の形態におけるフェルール3の後方の空間部34は、図8に示すようなものであって、空間部34の尖端部、つまり外周側部分は、実施の形態1のものと同様のV字状に形成され、空間部34の内周側部分は、前後面が軸線に垂直な平面を成すように形成されている。また、空間部34の外周側部分のV字状は、上記溝部36の形状と同一に形成されている。
【0052】
したがって、空間部34の後面となる押圧面25は、外周側部分25aが傾斜面であり、内周側部分25bは軸線に垂直な垂直面に形成されている。なお、外周側部分25aの傾斜面は、内周側が後方となるように傾斜する傾斜面であり、この点については実施の形態1の傾斜面と同様である。また、この外周側部分25aの傾斜面は、最薄肉部42で切断された後のフェルール3の後端部に当接するように構成されている。さらに、この実施の形態に係る押圧面25は、結合用部材2の締結過程における途中までは外周側部分25aでフェルール3の外周側の後端部を押圧するが、結合用部材2の締結過程における途中から後は、軸線に垂直な垂直面から成る内周側部分25bでフェルール3の外周側の後端部を押圧するように構成されている。
【0053】
一方、空間部34の前面を成す薄肉部4からフェルール3に跨る後端面33は、切込の反対側の部分を含む外周側部分33aが傾斜面であり、内周側部分33bが軸線に垂直な垂直面に形成されている。したがって、フェルール3の後部の外周面と薄肉部4の前面側との直角の連結部は、実施の形態1の場合と同様に、フェルール3から薄肉部4に跨る後端面33に対する切込を形成し、この切込の位置に最薄肉部42を形成している。また、後端面33の内周側縁部を形成するエッジ部3cが直角に形成されている。
【0054】
実施の形態5の食い込み式管継手は、以上のように形成されたものであって、他は実施の形態1と同一であるので、次のような効果を奏することができる。
(1)、空間部34の外周側部分と溝部36とが同一の形状に形成されているので、空間部34と溝部36とを同一の刃物(カッタ)で切削することができる。
【0055】
(2)また、空間部34に形成される押圧面25は、外周側部分25aを傾斜面とし、内周側部分25bを軸線に垂直な垂直面とするとともに、結合用部材2が締結される過程の途中でフェルール3の外周側の後端部を押圧する面を押圧面25の外周側部分25aから内周側部分25bへと切り換えるように構成されている。したがって、この切換のタイミングを調整することにより、エッジ部3cの食い込み量及び結合用部材2のねじ込みストロークを調整することができる。
【0056】
(3)フェルール3の後端面の内周側のエッジ部3cが直角に形成されるので、エッジ部3cによる食い込みが、実施の形態1の場合に比しより効果的に行われる。
(4)その他、実施の形態1と同様の効果を奏することができる。
【0057】
(実施の形態6)
次に、実施の形態6について図9に基づき説明する。実施の形態6は、実施の形態5における溝部の形状を変更したものである。
【0058】
すなわち、この実施の形態に係る溝部36は、その設計意図、接続する配管pの材質や寸法、フェルール3の材質や形状などの諸仕様の変更により溝部36を深く形成する必要が生じた場合に対応する形状を示す。
【0059】
この場合、溝部36は、実施の形態5の場合と同様の刃物を使用することを加味し、図9に示すように、外周側部分36a、すなわち尖端部を実施の形態4における溝部36のV字状と同一とし、内周側部分36bの前後の壁面を軸線に垂直な平面により形成したものとしている。溝部36を深く形成する必要のある場合は、このような形状で溝部36を形成することにより、実施の形態5と同様の効果を奏することができる。
【0060】
(変形例)
(1)上記各実施の形態においては、局部的に肉厚が薄くされた最薄肉部42を形成するために、エッジ状の先端41を有する切込がフェルール3の先端部が存在する前面側に形成されているが、製作の容易性を無視するならば反対側の面に形成されたものとしてもよい。
【0061】
(2)上記各実施の形態においては、フェルール3の先端部に切込部35を設けるとともに、フェルール3内周面側における後端面33に近い位置に溝部36を設けている。しかし、これらの形状については先に掲げたものに限定されるものではない。また、これら切込部35及び溝部36を設けない従来公知のものに変更してもよい。また、それらの形状についても先に掲げたものに限定されるものではない。
【0062】
(3)実施の形態1〜3、5及び6には、継手本体1側に雌ねじ14aを形成するとともに結合用部材2側に雄ねじ22aを形成している。しかし、この螺合部の構造については実施の形態4に示したように、継手本体1側に雄ねじ15aを形成するとともに結合用部材2側に雌ねじ28aを形成してもよく、その場合における具体的構造については先の例に限定されるものではない。
【0063】
(4)また、上記各実施の形態においては、フェルール3が結合用部材2に対し一体に形成され、カム面19が継手本体1に形成されている。しかし、これとは逆にフェルール3を継手本体1と一体的に形成し、カム面19を結合用部材2に形成したものとしてもよく、また、フェルール3の取付についても、結合用部材2の基部22のような位置に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明の実施の形態1に係る食い込み式管継手の部分断面図であって、締結前の組み付け状態を示す。
【図2】同食い込み式管継手の部分断面図であって、締結完了の状態を示す。
【図3】同食い込み式管継手におけるフェルールの周りの配管接続工程図であって、(a)はフェルールの先端部の楔状部により配管が仮止めされた状態図であり、(b)はフェルールが分離された後の状態図であり、(c)は締結完了の状態を示す。
【図4】本発明の実施の形態2に係る食い込み式管継手のフェルール周りの拡大断面図である。
【図5】本発明の実施の形態3に係る食い込み式管継手のフェルール周りの拡大断面図である。
【図6】本発明の実施の形態4に係る食い込み式管継手の部分断面図であって、締結前の組み付け状態を示す。
【図7】同食い込み式管継手の部分断面図であって、締結完了の状態を示す。
【図8】本発明の実施の形態5に係る食い込み式管継手のフェルール周りの拡大断面図である。
【図9】本発明の実施の形態6に係る食い込み式管継手のフェルール周りの拡大断面図である。
【図10】従来の食い込み式管継手におけるフェルール周りの拡大断面図である。
【図11】同食い込み式管継手におけるフェルールの切断工程図であって、(a)はフェルールの先端部がカム面に当接した分離前の状態図であり、(b)はフェルールを接続する薄肉部が切断されるときの状態図であり、(c)はフェルールの後端面が結合用部材の押圧面に当接したときの状態図である。
【符号の説明】
【0065】
p…配管、1…継手本体、2…結合用部材、3…フェルール、4…薄肉部、16…配管接続口、19…カム面、25…押圧面、33…後端面、34…空間部、41…(エッジ状の)先端、42…最薄肉部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
接続すべき配管を挿入する配管接続口を有する継手本体と、継手本体に締結される結合用部材と、継手本体又は結合用部材の何れか一方に径方向に延びる薄肉部を介し一体的に形成された環状のフェルールと、フェルールが形成されていない他方の継手本体又は結合用部材に、フェルールの先端部を配管に食い込ませるようにガイドするカム面とを備え、
前記フェルールが形成されている継手本体又は結合用部材に、フェルールの後端面に対し空間部を挟んで対向する押圧面が形成され、
前記フェルールは、継手本体と結合用部材とが連結されるときの軸方向の力により前記薄肉部が切断されて独立し、その後に、後端部が前記押圧面により押圧されて先端部がカム面のガイド作用により接続すべき配管に食い込むように形成された食い込み式管継手において、
前記薄肉部には、少なくとも一方の面側にエッジ状の先端を有する切込が形成され、この切込により局部的に肉厚が薄くされた最薄肉部が形成されていることを特徴とする食い込み式管継手。
【請求項2】
前記切込は、前記薄肉部におけるフェルールの先端側の面部に形成され、この切込の反対側の面部は、前記空間部を形成する平面部であることを特徴とする請求項1記載の食い込み式管継手。
【請求項3】
前記切込は、薄肉部におけるフェルールの先端側の面からV字状又は3角形状に軸方向に切り込まれた切込であり、前記空間部の平面部はフェルールの軸線に対し略垂直方向に形成されていることを特徴とする請求項2記載の食い込み式管継手。
【請求項4】
前記空間部の平面部は、内周側がフェルールの軸線方向における先端側に位置するように傾斜した傾斜面部として形成され、前記切込は、フェルールの外周面と前記薄肉部のフェルール先端側の面との交差部であることを特徴とする請求項2記載の食い込み式管継手。
【請求項5】
請求項1〜4の何れか1項に記載の食い込み式管継手を冷媒回路、給水回路、又は、冷媒回路と給水回路の双方に使用した冷凍装置。
【請求項6】
請求項1〜4の何れか1項に記載の食い込み式管継手を給湯回路、給水回路、又は、給湯回路と給水回路の双方に使用した温水装置。
【請求項1】
接続すべき配管を挿入する配管接続口を有する継手本体と、継手本体に締結される結合用部材と、継手本体又は結合用部材の何れか一方に径方向に延びる薄肉部を介し一体的に形成された環状のフェルールと、フェルールが形成されていない他方の継手本体又は結合用部材に、フェルールの先端部を配管に食い込ませるようにガイドするカム面とを備え、
前記フェルールが形成されている継手本体又は結合用部材に、フェルールの後端面に対し空間部を挟んで対向する押圧面が形成され、
前記フェルールは、継手本体と結合用部材とが連結されるときの軸方向の力により前記薄肉部が切断されて独立し、その後に、後端部が前記押圧面により押圧されて先端部がカム面のガイド作用により接続すべき配管に食い込むように形成された食い込み式管継手において、
前記薄肉部には、少なくとも一方の面側にエッジ状の先端を有する切込が形成され、この切込により局部的に肉厚が薄くされた最薄肉部が形成されていることを特徴とする食い込み式管継手。
【請求項2】
前記切込は、前記薄肉部におけるフェルールの先端側の面部に形成され、この切込の反対側の面部は、前記空間部を形成する平面部であることを特徴とする請求項1記載の食い込み式管継手。
【請求項3】
前記切込は、薄肉部におけるフェルールの先端側の面からV字状又は3角形状に軸方向に切り込まれた切込であり、前記空間部の平面部はフェルールの軸線に対し略垂直方向に形成されていることを特徴とする請求項2記載の食い込み式管継手。
【請求項4】
前記空間部の平面部は、内周側がフェルールの軸線方向における先端側に位置するように傾斜した傾斜面部として形成され、前記切込は、フェルールの外周面と前記薄肉部のフェルール先端側の面との交差部であることを特徴とする請求項2記載の食い込み式管継手。
【請求項5】
請求項1〜4の何れか1項に記載の食い込み式管継手を冷媒回路、給水回路、又は、冷媒回路と給水回路の双方に使用した冷凍装置。
【請求項6】
請求項1〜4の何れか1項に記載の食い込み式管継手を給湯回路、給水回路、又は、給湯回路と給水回路の双方に使用した温水装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2008−232227(P2008−232227A)
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−71055(P2007−71055)
【出願日】平成19年3月19日(2007.3.19)
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年3月19日(2007.3.19)
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)
【Fターム(参考)】
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