食品加熱保温器
【課題】食品を載置する複数の載置部を、それぞれ、設定温度に加熱保持するためのヒータと温度センサが故障したとき、その故障した温度センサ、ヒータを特定する。
【解決手段】各載置部の温度制御のために、各載置部の温度センサの検出値を制御回路に入力する。制御回路は、温度センサの検出値に異常があったとき、その温度センサが故障したと判断し、更に、温度センサの検出温度が異常であったとき、その温度センサにより温度検出された載置部のヒータが故障したと判断する。そして、操作パネル37のランプ44〜61のうち故障した載置部のランプを点滅させると共に、故障した個所をエラー表示器68にコードで表示する。
【解決手段】各載置部の温度制御のために、各載置部の温度センサの検出値を制御回路に入力する。制御回路は、温度センサの検出値に異常があったとき、その温度センサが故障したと判断し、更に、温度センサの検出温度が異常であったとき、その温度センサにより温度検出された載置部のヒータが故障したと判断する。そして、操作パネル37のランプ44〜61のうち故障した載置部のランプを点滅させると共に、故障した個所をエラー表示器68にコードで表示する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保温室内に棚などの載置部を設け、この載置部をヒータにより加熱することによって当該載置部に載せられた食品を加熱保温する食品加熱保温器に関する。
【背景技術】
【0002】
食品加熱保温器は、通常、ショーケースとして構成され(例えば、特許文献1,2参照)、コンビニなどに設置される。上記特許文献1では、冷蔵室と温蔵室を有したショーケースにおいて、温蔵室内にホットプレート(食品載置部)を複数段に配置し、このホットプレートをヒータにより加熱して当該ホットプレート上に載置された食品を加熱保温する構成としている。
【0003】
また、特許文献2では、中華まんじゅうなどを販売するショーケースにおいて、底面ヒータで加熱した空気を対流させることによって温蔵室内を加熱したり、側面ヒータの熱を熱伝導により複数の食品載置棚に伝えて食品を加熱したりすることに加え、蒸気発生装置を設け、この蒸気発生装置から発生する蒸気によって中華まんじゅうを蒸すことができるように構成している。
【特許文献1】特開平7−231835号公報
【特許文献2】特開2004−173797号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ホットプレート方式によって食品を加熱保温する食品加熱保温器では、複数のホットプレート毎にヒータが設けられている。このため、ヒータが断線などすると、その断線したヒータを有するホットプレートだけが加熱機能を失う。ところが、他のホットプレートは、依然として加熱源として機能し続けるため、店員がホットプレートの故障に気付き難いという不具合がある。
また、通常、ホットプレートのヒータは、ホットプレートの温度を検出するサーモスタットによって通断電制御されるが、サーモスタットが接点溶着などの故障を生ずると、ヒータが通電されっぱなしとなってホットプレートが高温となる。
【0005】
ホットプレートの故障により、器内の温度が通常より低く、或いは高くなれば、ホットプレートが故障していることに気付くが、しかし、故障に気付いたとしても、どのホットプレートが故障しているのか分り難い。ホットプレートに触れてみれば、温度の低い或いは高いホットプレートが故障しているということは分るであろうが、正常に機能しているホットプレートや、サーモスタットが接点溶着している高温のホットプレートに触れたりしなければならないので、危険である。
【0006】
特許文献2では、温蔵室の温度を検出する温度センサと湿度を検出する湿度センサを設け、制御装置がそれら温度センサおよび湿度センサの故障検出を行い、故障でない場合、加熱保温や蒸気発生などの制御を行い、故障であれば、運転を停止するように構成している(段落「0159」〜「0161」参照)。しかしながら、この特許文献2に示された制御を複数のホットプレートを備えた食品保温器の制御に適用した場合、温蔵室の温度低下や温度上昇を検出することはできるが、温蔵室の温度低下がヒータ断線から生じたのか、ヒータ断線ならば、どのホットプレートのヒータが断線しているのかなどを検出することはできない。
【0007】
本発明は上記の事情に鑑みてなされたもので、その目的は、食品の載置部を複数のヒータによって加熱する食品加熱保温器において、故障が生じた場合に、故障の発生と故障の生じた場所とを通知することができる食品加熱保温器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、食品を載置する載置部を複数の区部に分け、前記複数の区部毎に、前記区部を加熱するヒータ、前記区部の温度を検出する区部温度センサおよび前記区部温度センサの検出温度に応じて前記ヒータを通断電するスイッチング素子を含んで構成された定温加熱手段を設け、更に、前記載置部の前記複数の区部について設けられた複数の前記定温加熱手段の故障を個別に検出する故障検出手段と、複数の前記定温加熱手段のうち、前記故障検出手段により故障が検出された定温加熱手段を特定して通知する通知手段とを設けてなる食品加熱保温器にある。
上記構成によれば、故障検出手段によって複数ある定温加熱手段のうち、いずれの定温加熱手段が故障したのかを検出し、通知手段により、故障した定温加熱手段を特定して通知する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、故障した定温加熱手段を特定できるので、故障した場合に、これに迅速に対応できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。食品加熱保温器1は、コンビニなどに設置される業務用で、図2〜図5に示すように、台座2上に、ショーケースを兼ねる保温室3を有している。この保温室3は、フレーム4と、フレーム4の左右両側面に固定された側面ガラス5,5と、フレーム4の天井面の後半部および前半部に固定された天井板6および天井ガラス7と、フレーム4の後部の左右両支柱4a,4a間にスライド可能に設けられてフレーム4の後面を開閉する2枚のスライド扉8と、フレーム4によって上下方向にスライド可能に取り付けられてフレーム4の傾斜する前面を開閉するスライド扉9とを組み合わせて構成されている。
【0011】
上記のスライド扉8は、サッシュの内側にガラス板を嵌めこんで構成されており、保温室3の後面を開閉する。また、スライド扉9も、サッシュの内側に若干湾曲するガラス板を嵌めこんで構成されており、保温室3の前面を開閉する。従って、保温室3は、側面ガラス5,5、天井ガラス7、スライド扉8,9を通して内部が透視可能な構成となっている。なお、スライド扉8は商品販売時に店員により開閉され、スライド扉9は内部の掃除など際に同じく店員により開閉される。
【0012】
保温室3内には、複数段、例えば左右に上下2段ずつの金属製棚板10〜13が設けられている。これら棚板10〜13は、保温室3の底面の金属製敷板14と共に食品の載置部とされている。これら棚板10〜13および敷板14からなる載置部は、複数の区部に分けられている。この実施形態においては、棚板10〜13はそれ自身が1つの区部とされ、敷板14は中央にて敷板左14aと敷板右14bの2つの区部に分けられている。
【0013】
載置部の各区部には、ヒータと温度センサとが配設されている。つまり棚板10〜13の裏面および敷板左14a、敷板右14bの裏面には、それぞれの区部を加熱するための例えばコード状のヒータ15〜20が蛇行状に配設されている。従って、棚板10〜13、敷板14は、それぞれホットプレートとして機能し、上部に載置された食品を加熱する。また、棚板10〜13および敷板左14a、敷板右14bの裏面には、それぞれの区部の温度を検出するための載置部温度センサ(区部温度センサ)21〜26が配設されている。更に、本実施形態では、棚板10〜13および敷板左14a、敷板右14bの裏面には、それぞれの区部の温度が所定の高温度を超えたときに溶断する温度ヒューズ27〜32が配設されている。
【0014】
上記各載置部温度センサ21〜26は、図6に示すように、それぞれ制御回路(制御手段)33に接続されている。また、各ヒータ15〜20は、それぞれスイッチング素子としてのSSR34を介して制御回路33に接続されている。そして、制御回路33は、各載置部温度センサ21〜26の検出信号から棚板10〜13および敷板左14a、敷板右14bの温度を検出し、その検出温度に応じて各ヒータ15〜20をSSR34を介して通断電制御する。
【0015】
具体的には、上記各載置部温度センサ21〜26は、例えば温度に応じて抵抗値が変化するサーミスタからなり、図7に示すように、各載置部温度センサ21〜26の一方の端子はプラス電源+Vccに接続され、他方の端子は抵抗35を介してグランドに接続されている。そして、各載置部温度センサ21〜26と抵抗35との共通接続点が制御回路33に接続されている。このため、制御回路33は、各載置部温度センサ21〜26と抵抗35の共通接続点の分圧電圧を、各載置部温度センサ21〜26の検出信号(電圧)として入力する。
【0016】
一方、載置部の各区部のヒータ15〜20は、図7に示すように、100Vの商用電源36、SSR34のフォトトライアック34a、前記各温度ヒューズ27〜32と直列に接続されている。そして、制御回路33は、各載置部温度センサ21〜26の検出信号から棚板10〜13および敷板左14a、敷板右14bの温度を検出し、その検出温度と各棚板10〜13および棚板左14a、14bの設定温度とを比較し、その比較結果に応じてSSR34のフォトダイオード34bを制御してフォトトライアック34aをオンオフ、ひいては載置部の各区部のヒータ15〜20を通断電するように構成されている。
【0017】
棚板10〜13および敷板左14a、敷板右14bの設定温度(目標温度)は、標準、高め、低めの3通りに設定することができる。載置部の各区部(棚板10〜13および敷板左14a、敷板右14b)の標準、高め、低めの各設定温度は、図12(a)に示されている。ここで、左右の下段棚板は、敷板左14aと敷板右14bを指す。
棚板10〜13および敷板左14a、敷板右14bの設定温度を、標準、高め、低めのうちのいずれかに設定するためには、図1に示す台座2の裏側に設けられた操作パネル37の温度選択スイッチ38〜43を操作する。即ち、各温度選択スイッチ38〜43を1回操作する度に、棚板10〜13および敷板左14a、敷板右14bの設定温度は、標準→高め→低めと変わり、更に1回操作すると、元の標準に戻るようになっている。
【0018】
操作パネル37において、各温度選択スイッチ38〜43の上側には、上から下に向って、高め、標準、低めの各ランプ44〜49,50〜55,56〜61が3段に並べて配設されている。そして、各温度選択スイッチ38〜43により設定温度が選択されると、その選択された設定温度を示すランプが点灯するようになっている。
【0019】
操作パネル37には、更に、電源スイッチ62、ブザー切スイッチ63の他に、運転中ランプ64、警報ランプ(警報手段)65、ブザー(警報手段)66、適温ランプ67、エラー表示器68などが設けられている。このうち、エラー表示器68は、例えば3個の7セグメントの表示器から構成され、後述のように故障の内容を、図13に示す「E」と「数字」の組み合わせコードによって表示する。
【0020】
前述の制御回路33には、各載置部温度センサ21〜26、ヒータ15〜20の通断電制御用の各SSR34の他、各ランプ44〜61,64,65,67、ブザー66、エラー表示器68が駆動回路69を介して接続されていると共に、電源スイッチ62、ブザー切スイッチ63が接続されている。更に、制御回路33には、扉スイッチ70および室内温度センサ71が接続され、駆動回路69には、照明ランプ72が接続されている。なお、照明ランプ72は、保温室3内を照明するためのものであるが、図2〜図5には図示していない。
【0021】
扉スイッチ70は、スライド扉9の開閉を検出するためのもので、例えば台座2に設けられてスライド扉9の閉鎖時にはオンした状態にあり、スライド扉9が開放されると、オフするようになっている。また、室内温度センサ71は、フレーム4の後面の左右方向中央部に設けられた支柱4bの上部に設けられ、保温室3内の温度を検出するようになっている。この室内温度センサ71も前記各載置部温度センサ21〜26と同様に、サーミスタからなり、図7に示すように両端子はプラス電源+Vcc、抵抗73を介してグランドにそれぞれ接続されている。そして、室内温度センサ71と抵抗73との共通接続点が制御回路33に接続されている。
【0022】
次に上記構成の作用を説明する。電源スイッチ62をオン操作して電源を投入すると、照明ランプ72が点灯されると共に、各SSR34がオンして各ヒータ15〜20が通電される。このヒータ15〜20の通電により、棚板10〜13、敷板左14a、敷板右14bが加熱される。そして、保温室3内が所定温度以上になると、これを室内温度センサ71が検出し、制御回路33が適温ランプ67を点灯させて、食品が投入できる状態になったことを通知する。
【0023】
棚板10〜13、敷板左14a、敷板右14bの設定温度は、初期には「標準」に設定されている。そして、外部温度や食品の種類(包装された食品か、飲料缶かなど)に応じて、温度選択スイッチ38〜43を操作して棚板10〜13、敷板左14a、敷板右14bの温度設定を行う。
棚板10〜13、敷板左14a、敷板右14bに載置された食品は、それらの載置部の各区部のヒータ15〜20が温度センサ21〜26の検出温度に応じて通断電されることによって設定温度に加熱保持される。本実施形態では、制御回路33は、例えば1秒経過毎に図8の温度制御ルーチンを実行する。図8の温度制御ルーチンに入ると、制御回路33は、載置部の各区部(棚板10〜13、敷板左14a、敷板右14b)の温度制御を順に実行した後、室内温度制御およびドア管理を実行してゆく。載置部の各区部の温度制御の内容、室内温度制御の内容、ドア管理の内容は、それぞれ図9〜11に示されている。
【0024】
図9の載置部の各区部の温度制御ルーチンは、棚板10〜13、敷板左14a、敷板右14bを設定された温度に保持すると共に、故障が生じた場合に当該故障の発生と故障個所および故障の種類と共にユーザに通知するためのものである。
即ち、図8の温度制御ルーチンに入ると、制御回路33は、まず、左側上段載置部、つまり棚板10の温度制御(ステップS1)を行う。この棚板10の温度制御では、図9に示すように、制御回路33は、まず、棚板10の温度センサ21の検出信号を入力する(ステップA1)。次に、制御回路33は、温度センサ21の検出値を基に、後述のようにして温度センサ21や棚板10のヒータ15の故障の有無を判断し(ステップA2、ステップA3)、故障がない場合、温度センサ21の検出温度が温度選択スイッチ38によって選択された設定温度以上であるか否かを判断する(ステップA4)。
【0025】
そして、温度センサ21の検出温度が設定温度以上であるとき、つまり設定温度が標準(棚板10では80℃)であった場合、80℃以上であるとき、制御回路33は、SSR34にオフ信号を出力してヒータ15を断電(温度制御手段;ステップA4で「YES」、ステップA5)する。また、温度センサ21の検出温度が設定温度未満であるとき、つまり設定温度が標準(80℃)であった場合に、80℃未満であるとき、制御回路33は、SSR34にオン信号を出力してヒータ15に通電する(温度制御手段;ステップA4で「NO」、ステップA6)。
【0026】
このようなヒータ15の通断電により、棚板10が設定温度に保持される。そして、このヒータ15の通断電による棚板10の温度制御は、その他の棚板11〜13、敷板左14aおよび敷板右14bについても、ヒータ15〜20の通断電によって同様に行われる(図8のステップS2〜ステップS6)。なお、図8において、左側中段載置部は左側中段の棚板12、左側下段載置部は敷板左14a、右側上段載置部は右側上段棚板11、右側中段載置部は右側中段の棚板13、右側下段載置部は敷板右14bのことである。
【0027】
ところで、使用中に食品加熱保温器1が故障することがある。本実施例では、故障検出の対象を、第1に、載置部の各区部つまり各棚板10〜13、敷板左14a、敷板右14bをそれぞれ設定温度に加熱保持するための手段、つまり、各温度センサ21〜26と抵抗35との直列回路をプラス電源+Vccとグランドとの間で接続するセンサ回路74、および各ヒータ15〜20とSSR34と各温度ヒューズ27〜32とを直列に接続してなるヒータ回路75から構成される定温加熱手段76としている。第2に、室内温度センサ71と抵抗73との直列回路をプラス電源+Vccとグランドとの間で接続するセンサ回路77としている。
【0028】
まず、定温加熱手段76の故障は、温度センサ21〜26自身の断線・短絡を含むセンサ回路74の断線・短絡や(温度センサの故障)、SSR34、ヒータ15〜20自身の短絡・断線を含むヒータ回路75の短絡・断線など(それ以外の故障)が原因となる。このようなセンサ回路74の故障やヒータ回路75の故障は、次のようにして故障検出手段としての制御回路33によって検出される。
【0029】
即ち、温度センサ21〜26自身、或いはセンサ回路74中に断線が生じていた場合、制御回路33には、温度センサ21〜26の検出信号として、断線の箇所によってプラス電源+Vccの電圧がそのまま入力されたり、グランドの電位がそのまま入力されたりする。
【0030】
一方、ヒータ回路75が短絡状態となっていた場合、ヒータ15〜20は断電されることなく常時通電となり、異常高温となる。逆に、ヒータ回路75中に断線が生ずると、ヒータ15〜20は、通電されることなく常時断電となり、異常に温度低下する。
そこで、制御回路33は、載置部温度制御ルーチン、例えば左側上段の棚板10の温度制御ルーチンに入り、温度センサ21の検出信号を入力すると(ステップA1)、次に、温度センサ21の検出値が正常であるか否か、つまりプラス電源+Vccの電圧またはグランド電位になっていないかどうかを判断する(故障検出手段;ステップA2)。そして、プラス電源+Vccの電圧またはグランド電位になっていない場合、制御回路33は、温度センサ21の検出値は正常と判断し(ステップA2で「YES」)、センサ回路74に故障なしとする。
【0031】
温度センサ21の検出値がプラス電源+Vccの電圧またはグランド電位であった場合、制御回路33は、温度センサ21(センサ回路74)の故障と判断し(ステップA2で「NO」)、加熱停止手段としてのSSR34をオフしてヒータ15を断電すると共に、故障をユーザに通知すべく、通知手段による警報と表示、具体的には、棚板10についての3段の温度設定ランプ44,50,56を全て点滅、適温ランプ67の消灯、警報ランプ65の点灯、ブザー66の鳴動、エラー表示器68へのエラー内容表示を行う(通知制御手段;ステップA7)。この場合のエラー表示器68へのエラー内容表示は、図13に示すように、E60,61,63〜67によって行われるが、ここでは左側上段の棚板10の温度センサ21の故障であるから、「E61」のコード表示によって行われる。
【0032】
センサ回路74に故障なしと判断された場合(ステップA2で「YES」)、制御回路33は、ヒータ回路75の故障検出に入り、載置部の各区部の温度が上限値以下または下限値以上であるか否かを判断する(故障検出手段;ステップA3)。なお、載置部の各区部の上限温度および下限温度は、図12(a)に示すように定められている。温度センサ21の検出温度が棚板10の上限温度(120℃)以下または下限温度(50℃)以上であった場合、制御回路33は、ヒータ回路75に故障なしと判断し(ステップA3で「YES」)、上述した温度センサ21の検出温度に応じてヒータ15を通断電する温度制御に移行する。
【0033】
温度センサ21の検出温度が棚板10の上限温度を越えまたは下限温度未満であった場合、制御回路33は、ヒータ回路75に故障ありと判断し(ステップA3で「NO」)、SSR34をオフしてヒータ15を断電すると共に、故障をユーザに通知すべく警報と表示、具体的には、棚板10についての全温度設定ランプ44,50,56の点滅、適温ランプ67の消灯、警報ランプ65の点灯、ブザー66の鳴動、エラー表示器68へのエラー表示を行う(通知制御手段;ステップA8)。この場合のエラー表示器68へのエラー内容表示は、図13に示すように、「E81」のコード表示によって行われる。
【0034】
以上のようなセンサ回路74の故障、ヒータ回路75の故障は、棚板10以外の載置部の各区部についても同様に行われ、故障が検出された場合には、同様の警報と表示とがなされる。
なお、エラー表示器68への故障表示は、最後に検出された故障に対応する表示のみが表示される。
【0035】
以上のようにセンサ回路74或いはヒータ回路75が故障すると、ブザー66が鳴動するので、故障の発生に直ちに気付くようになる。なお、ブザー音は、ブザー切スイッチ63を操作することによって停止させることができる。そして、故障に気付いたユーザは、通知手段としての温度設定ランプ44〜49,50〜55,56〜61の点滅によって故障した載置部を知る。例えば、温度設定ランプ44,50,56が点滅していれば、左側上部の棚板10の定温加熱手段76に故障が発生したことを知る。
【0036】
また、通知手段としてのエラー表示器68に表示されたコードを見ることにより、温度センサ21〜26を含むセンサ回路74とヒータ15〜20を含むヒータ回路75のうち、いずれの回路に故障が発生したのかを知ることができる。このため、故障位置、故障の原因を発見し易くなり、修理を迅速に行うことができる。
【0037】
さて、図8の温度制御ルーチンにおいて、載置部についての温度制御が全て終了すると、次に制御回路33は、室内温度制御(ステップS7)に移行する。室内温度センサ71のセンサ回路77の故障検出は、この室内温度制御において行われる。即ち、室内温度制御に移行すると、制御回路33は、図10に示すように、まず、室内温度センサ71の検出信号を入力する(ステップB1)。そして、その室内温度センサ71の検出値は正常であるか否かを判断する。
【0038】
この室内温度センサ71は、載置部温度センサ21〜26と同様のセンサ回路77を構成しているので、短絡・断線があった場合には、プラス電源+Vccの電圧またはグランド電位が検出信号として制御回路33に入力される。そこで、制御回路33は、室内温度センサ71の検出値がプラス電源+Vccの電圧またはグランド電位でない場合、センサ回路77に故障なしと判断する(ステップB2で「YES」)。
【0039】
センサ回路77に故障がなかった場合、制御回路33は、室内温度センサ71の検出温度が上限温度以下であるか否か(ステップB3)、下限温度以上であるか否か(ステップB4)を判断する。室内温度センサ71の検出温度が上限温度以下で下限温度以上であった場合、制御回路33は、異常なしと判断して室内温度制御ルーチンを終了する(ステップB3で「YES」、ステップB4で「YES」、リターン)。
【0040】
室内温度センサ71を含めてそのセンサ回路77に故障が発生した場合、室内温度センサ71の検出値がプラス電源+Vccの電圧またはグランド電位となるので、制御回路33は、センサ回路77の故障と判断し(ステップB2で「NO」)、加熱保温運転停止手段としての全ヒータ15〜20のSSR34にオフ信号を出力して全ヒータ15〜20を断電すると共に、適温ランプ67を消灯し、ブザー66を鳴動させ、且つエラー表示器68に室内温度センサ71の故障を示すE30(図13参照)のコード表示を行う(ステップB5)。
【0041】
また、室内温度センサ71の検出温度が上限値を超えていた場合(ステップB3で「NO」)、制御回路33は、上記したと同様にして全ヒータ15〜20を断電すると共に、適温ランプ67を消灯し、ブザー66を鳴動させ、且つエラー表示器68に保温室3の温度異常(上限警報)を示すE20(図13参照)のコード表示を行う(ステップB6)。
【0042】
更に、室内温度センサ71の検出温度が下限値未満の場合(ステップB4で「NO」)、制御回路33は、適温ランプ67を消灯し、ブザー66を鳴動させ、且つエラー表示器68に保温室3の温度異常(下限警報)を示すE21(図13参照)のコード表示(以上、警報通知)を行う(ステップB7)。保温室3内の温度が下限温度未満となった場合、その主たる原因は、スライド扉8やスライド扉9が開放されたままとなっていて、そこから保温室3内に外気が侵入してくることによる。
【0043】
このため、保温室3内の温度が下限温度未満となった場合には、ヒータ15〜20を断電することなく、そのまま加熱保温運転を継続させる。そして、ブザー66の鳴動により、スライド扉8やスライド扉9の開放に気付いた店員がこれを閉めると保温室3内の温度は上昇し、下限温度以上となる。そして、制御回路33は、以後のステップB4の実行により、室内温度センサ71が保温室3の下限温度以上を検出した時点で適温ランプ67を点灯し、ブザー66を停止(ブザー切スイッチ63により既に停止されていることが多い。)させ、且つエラー表示器68のコード表示を消す。
【0044】
このように、センサ回路77が故障し、或いは、保温室3内の温度が異常高温になっていたり、異常低温になっていたりした場合、室内温度制御ルーチンにおいて警報が発せられ、故障の内容がエラー表示器68に表示される。このため、故障の原因を究明し易く、故障に迅速に対処できる。なお、保温室3の異常高温としては、ヒータ15〜20のヒータ回路75のうちのいずれかのヒータ回路の短絡が考えられる。また、保温室3の異常低温は、スライド扉9の開放保持が考えられる。
【0045】
室内温度制御のルーチンが終了すると、制御回路33は、ドア管理ルーチンに行こうする(ステップS8)。このドア管理ルーチンに入ると、図11に示すように、制御回路33は、扉スイッチ70がオン(閉)しているか否かを判断する(ステップC1)。スライド扉9が閉じられていれば、扉スイッチ70はオン状態にあるので、制御回路33は、ステップC1で「YES」と判断し、リターンとなる。
【0046】
扉スイッチ70がオフしている場合には、制御回路33は、ステップS1で「NO」となり、次のステップC2でエラー表示器68に「OP」を表示する(ステップC2)。この「OP」の表示により、店員はスライド扉9が開放されたままにあることに気付き、スライド扉9を閉じる。
【0047】
以上説明したように、本実施形態によれば、載置部(棚板10〜13、敷板左14a、敷板右14b)の定温加熱手段76が故障すると、どの載置部の定温加熱手段が故障したのかを、載置部のそれぞれの温度設定を行なう温度選択スイッチ38〜43の上段部分に設けられた高め、標準、低めの各ランプ44〜49,50〜55,56〜61のうち、故障した載置部についての高め、標準、低めの各ランプを点滅させるので、どの載置部の定温加熱手段が故障したのかを知ることができる。
【0048】
しかも、故障をしたのは、定温加熱手段76のうちのどこかを、エラー表示器65によって表示するので、温度センサ21〜26を含むセンサ回路74側なのか、ヒータ15〜20を含むヒータ回路75側なのかを知ることができる。
このため、修理を行う場合に、故障個所、故障原因を容易に特定することができ、迅速に故障に対処できる。
【0049】
その上、本実施例では、故障した場合に、定温加熱手段76のうちのセンサ回路74とヒータ回路75のいずれの側が故障したかを、温度センサ21〜26の検出値によって判定するので、故障回路の判定構成が簡単なものとなる。
更に、本実施形態では、載置部温度センサ21〜26の検出値によって故障と判定した場合には、故障と判定された載置部のヒータだけを断電し、他のヒータは通電を継続するので、食品加熱保温器1の加熱保温運転を継続することができる。
【0050】
載置部が故障しても加熱保温運転を継続させた場合に予測される第1の問題は、故障した載置部のヒータ回路75の例えばSSR34が故障していて制御回路33がSSR34にオフ信号を出力してもヒータが通電され続けることからくる載置部の異常高温である。この異常高温の問題は、各載置部に温度ヒューズ27〜32が設けられているので、ヒータ15〜20を断電できなかったとしても、載置部がある温度以上になれば温度ユーズが溶断してヒータを断電するので、安全である。仮に、温度ヒューズが溶断しなかったり、溶断してもヒータを断電できなかったりした場合には、保温室3内が上限温度を超えた高温度となり、これを室内温度センサ71が検出することによってブザー66を鳴動させ、且つエラー表示器68に上限温度超えを表示するので、これに対応して店員が電源スイッチ62をオフ操作する。これにより、載置部の異常高温が防止されるので、より一層の安全性を確保できる。
【0051】
また、載置部が故障しても加熱保温運転を継続させた場合に予測される第2の問題は、その故障した載置部の商品の低温度化である。故障した載置部については、ヒータの断電により設定温度の保持は難しくなるが、しかし、保温室3内が適温に保持されることによって故障した載置部の食品も適温に保持できる。そして、保温室3内の温度が下限温度を下回るようになると、これを室内温度センサ71が検出してブザー66を鳴動させ、且つエラー表示器68に下限温度未満を表示するので、これに対応して店員が電源スイッチ62をオフ操作して食品加熱保温器1の運転を停止させ、食品の販売を停止する。これにより、適温に加熱されていない食品が販売される不具合の発生を防止できる。
また、本実施形態では、各載置部の設定温度を、標準以外に、高め、低めに設定できるので、載置する食品の形態や外部温度によって載置部の設定温度を変えることによって、最適な加熱保温温度とすることができる。
【0052】
なお、本発明は上記し且つ図面に示す実施形態に限定されるものではなく、以下のような拡張或いは変更が可能となる。
スイッチング素子はSSRに限られず、トライアック単体であっても良いし、IGBTなどであっても良い。
ステップB5,6で全ヒータ15〜20を断電する場合、電源スイッチをSSRなど制御回路33によって制御可能な電気電子部品で構成し、この電源スイッチをオフさせるようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の一実施形態を示すもので、操作パネルの正面図
【図2】食品加熱保温器を正面側から見た斜視図
【図3】食品加熱保温器を背面側から見た斜視図
【図4】図3のA−A線に沿う断面図
【図5】図3のB−B線に沿う断面図
【図6】電気的回路構成を示すブロック図
【図7】センサ回路とヒータ回路の具体的構成を示す回路図
【図8】温度制御の内容を示すフローチャート
【図9】載置部の温度制御の内容を示すフローチャート
【図10】室内温度制御の内容を示すフローチャート
【図11】ドア管理の内容を示すフローチャート
【図12】(a)は載置部の各区部の3段階の設定温度を示す図、(b)は載置部と保温室の上限温度と下限温度を示す図
【図13】コード表示と故障内容との関係を示す図
【符号の説明】
【0054】
図面中、10〜13は棚板(載置部)、14は敷板(載置部)、15〜20はヒータ、21〜26は載置部温度センサ(区部温度センサ)、33は制御回路(故障検出手段)、34はSSR(スイッチング素子、加熱停止手段、加熱保温運転停止手段)、44〜49,50〜55,56〜61は温度設定ランプ(通知手段)、68はエラー表示器(通知手段)、71は室内温度センサ、74はセンサ回路、75はヒータ回路、76は定温加熱手段、77はセンサ回路を示す。
【技術分野】
【0001】
本発明は、保温室内に棚などの載置部を設け、この載置部をヒータにより加熱することによって当該載置部に載せられた食品を加熱保温する食品加熱保温器に関する。
【背景技術】
【0002】
食品加熱保温器は、通常、ショーケースとして構成され(例えば、特許文献1,2参照)、コンビニなどに設置される。上記特許文献1では、冷蔵室と温蔵室を有したショーケースにおいて、温蔵室内にホットプレート(食品載置部)を複数段に配置し、このホットプレートをヒータにより加熱して当該ホットプレート上に載置された食品を加熱保温する構成としている。
【0003】
また、特許文献2では、中華まんじゅうなどを販売するショーケースにおいて、底面ヒータで加熱した空気を対流させることによって温蔵室内を加熱したり、側面ヒータの熱を熱伝導により複数の食品載置棚に伝えて食品を加熱したりすることに加え、蒸気発生装置を設け、この蒸気発生装置から発生する蒸気によって中華まんじゅうを蒸すことができるように構成している。
【特許文献1】特開平7−231835号公報
【特許文献2】特開2004−173797号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ホットプレート方式によって食品を加熱保温する食品加熱保温器では、複数のホットプレート毎にヒータが設けられている。このため、ヒータが断線などすると、その断線したヒータを有するホットプレートだけが加熱機能を失う。ところが、他のホットプレートは、依然として加熱源として機能し続けるため、店員がホットプレートの故障に気付き難いという不具合がある。
また、通常、ホットプレートのヒータは、ホットプレートの温度を検出するサーモスタットによって通断電制御されるが、サーモスタットが接点溶着などの故障を生ずると、ヒータが通電されっぱなしとなってホットプレートが高温となる。
【0005】
ホットプレートの故障により、器内の温度が通常より低く、或いは高くなれば、ホットプレートが故障していることに気付くが、しかし、故障に気付いたとしても、どのホットプレートが故障しているのか分り難い。ホットプレートに触れてみれば、温度の低い或いは高いホットプレートが故障しているということは分るであろうが、正常に機能しているホットプレートや、サーモスタットが接点溶着している高温のホットプレートに触れたりしなければならないので、危険である。
【0006】
特許文献2では、温蔵室の温度を検出する温度センサと湿度を検出する湿度センサを設け、制御装置がそれら温度センサおよび湿度センサの故障検出を行い、故障でない場合、加熱保温や蒸気発生などの制御を行い、故障であれば、運転を停止するように構成している(段落「0159」〜「0161」参照)。しかしながら、この特許文献2に示された制御を複数のホットプレートを備えた食品保温器の制御に適用した場合、温蔵室の温度低下や温度上昇を検出することはできるが、温蔵室の温度低下がヒータ断線から生じたのか、ヒータ断線ならば、どのホットプレートのヒータが断線しているのかなどを検出することはできない。
【0007】
本発明は上記の事情に鑑みてなされたもので、その目的は、食品の載置部を複数のヒータによって加熱する食品加熱保温器において、故障が生じた場合に、故障の発生と故障の生じた場所とを通知することができる食品加熱保温器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、食品を載置する載置部を複数の区部に分け、前記複数の区部毎に、前記区部を加熱するヒータ、前記区部の温度を検出する区部温度センサおよび前記区部温度センサの検出温度に応じて前記ヒータを通断電するスイッチング素子を含んで構成された定温加熱手段を設け、更に、前記載置部の前記複数の区部について設けられた複数の前記定温加熱手段の故障を個別に検出する故障検出手段と、複数の前記定温加熱手段のうち、前記故障検出手段により故障が検出された定温加熱手段を特定して通知する通知手段とを設けてなる食品加熱保温器にある。
上記構成によれば、故障検出手段によって複数ある定温加熱手段のうち、いずれの定温加熱手段が故障したのかを検出し、通知手段により、故障した定温加熱手段を特定して通知する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、故障した定温加熱手段を特定できるので、故障した場合に、これに迅速に対応できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。食品加熱保温器1は、コンビニなどに設置される業務用で、図2〜図5に示すように、台座2上に、ショーケースを兼ねる保温室3を有している。この保温室3は、フレーム4と、フレーム4の左右両側面に固定された側面ガラス5,5と、フレーム4の天井面の後半部および前半部に固定された天井板6および天井ガラス7と、フレーム4の後部の左右両支柱4a,4a間にスライド可能に設けられてフレーム4の後面を開閉する2枚のスライド扉8と、フレーム4によって上下方向にスライド可能に取り付けられてフレーム4の傾斜する前面を開閉するスライド扉9とを組み合わせて構成されている。
【0011】
上記のスライド扉8は、サッシュの内側にガラス板を嵌めこんで構成されており、保温室3の後面を開閉する。また、スライド扉9も、サッシュの内側に若干湾曲するガラス板を嵌めこんで構成されており、保温室3の前面を開閉する。従って、保温室3は、側面ガラス5,5、天井ガラス7、スライド扉8,9を通して内部が透視可能な構成となっている。なお、スライド扉8は商品販売時に店員により開閉され、スライド扉9は内部の掃除など際に同じく店員により開閉される。
【0012】
保温室3内には、複数段、例えば左右に上下2段ずつの金属製棚板10〜13が設けられている。これら棚板10〜13は、保温室3の底面の金属製敷板14と共に食品の載置部とされている。これら棚板10〜13および敷板14からなる載置部は、複数の区部に分けられている。この実施形態においては、棚板10〜13はそれ自身が1つの区部とされ、敷板14は中央にて敷板左14aと敷板右14bの2つの区部に分けられている。
【0013】
載置部の各区部には、ヒータと温度センサとが配設されている。つまり棚板10〜13の裏面および敷板左14a、敷板右14bの裏面には、それぞれの区部を加熱するための例えばコード状のヒータ15〜20が蛇行状に配設されている。従って、棚板10〜13、敷板14は、それぞれホットプレートとして機能し、上部に載置された食品を加熱する。また、棚板10〜13および敷板左14a、敷板右14bの裏面には、それぞれの区部の温度を検出するための載置部温度センサ(区部温度センサ)21〜26が配設されている。更に、本実施形態では、棚板10〜13および敷板左14a、敷板右14bの裏面には、それぞれの区部の温度が所定の高温度を超えたときに溶断する温度ヒューズ27〜32が配設されている。
【0014】
上記各載置部温度センサ21〜26は、図6に示すように、それぞれ制御回路(制御手段)33に接続されている。また、各ヒータ15〜20は、それぞれスイッチング素子としてのSSR34を介して制御回路33に接続されている。そして、制御回路33は、各載置部温度センサ21〜26の検出信号から棚板10〜13および敷板左14a、敷板右14bの温度を検出し、その検出温度に応じて各ヒータ15〜20をSSR34を介して通断電制御する。
【0015】
具体的には、上記各載置部温度センサ21〜26は、例えば温度に応じて抵抗値が変化するサーミスタからなり、図7に示すように、各載置部温度センサ21〜26の一方の端子はプラス電源+Vccに接続され、他方の端子は抵抗35を介してグランドに接続されている。そして、各載置部温度センサ21〜26と抵抗35との共通接続点が制御回路33に接続されている。このため、制御回路33は、各載置部温度センサ21〜26と抵抗35の共通接続点の分圧電圧を、各載置部温度センサ21〜26の検出信号(電圧)として入力する。
【0016】
一方、載置部の各区部のヒータ15〜20は、図7に示すように、100Vの商用電源36、SSR34のフォトトライアック34a、前記各温度ヒューズ27〜32と直列に接続されている。そして、制御回路33は、各載置部温度センサ21〜26の検出信号から棚板10〜13および敷板左14a、敷板右14bの温度を検出し、その検出温度と各棚板10〜13および棚板左14a、14bの設定温度とを比較し、その比較結果に応じてSSR34のフォトダイオード34bを制御してフォトトライアック34aをオンオフ、ひいては載置部の各区部のヒータ15〜20を通断電するように構成されている。
【0017】
棚板10〜13および敷板左14a、敷板右14bの設定温度(目標温度)は、標準、高め、低めの3通りに設定することができる。載置部の各区部(棚板10〜13および敷板左14a、敷板右14b)の標準、高め、低めの各設定温度は、図12(a)に示されている。ここで、左右の下段棚板は、敷板左14aと敷板右14bを指す。
棚板10〜13および敷板左14a、敷板右14bの設定温度を、標準、高め、低めのうちのいずれかに設定するためには、図1に示す台座2の裏側に設けられた操作パネル37の温度選択スイッチ38〜43を操作する。即ち、各温度選択スイッチ38〜43を1回操作する度に、棚板10〜13および敷板左14a、敷板右14bの設定温度は、標準→高め→低めと変わり、更に1回操作すると、元の標準に戻るようになっている。
【0018】
操作パネル37において、各温度選択スイッチ38〜43の上側には、上から下に向って、高め、標準、低めの各ランプ44〜49,50〜55,56〜61が3段に並べて配設されている。そして、各温度選択スイッチ38〜43により設定温度が選択されると、その選択された設定温度を示すランプが点灯するようになっている。
【0019】
操作パネル37には、更に、電源スイッチ62、ブザー切スイッチ63の他に、運転中ランプ64、警報ランプ(警報手段)65、ブザー(警報手段)66、適温ランプ67、エラー表示器68などが設けられている。このうち、エラー表示器68は、例えば3個の7セグメントの表示器から構成され、後述のように故障の内容を、図13に示す「E」と「数字」の組み合わせコードによって表示する。
【0020】
前述の制御回路33には、各載置部温度センサ21〜26、ヒータ15〜20の通断電制御用の各SSR34の他、各ランプ44〜61,64,65,67、ブザー66、エラー表示器68が駆動回路69を介して接続されていると共に、電源スイッチ62、ブザー切スイッチ63が接続されている。更に、制御回路33には、扉スイッチ70および室内温度センサ71が接続され、駆動回路69には、照明ランプ72が接続されている。なお、照明ランプ72は、保温室3内を照明するためのものであるが、図2〜図5には図示していない。
【0021】
扉スイッチ70は、スライド扉9の開閉を検出するためのもので、例えば台座2に設けられてスライド扉9の閉鎖時にはオンした状態にあり、スライド扉9が開放されると、オフするようになっている。また、室内温度センサ71は、フレーム4の後面の左右方向中央部に設けられた支柱4bの上部に設けられ、保温室3内の温度を検出するようになっている。この室内温度センサ71も前記各載置部温度センサ21〜26と同様に、サーミスタからなり、図7に示すように両端子はプラス電源+Vcc、抵抗73を介してグランドにそれぞれ接続されている。そして、室内温度センサ71と抵抗73との共通接続点が制御回路33に接続されている。
【0022】
次に上記構成の作用を説明する。電源スイッチ62をオン操作して電源を投入すると、照明ランプ72が点灯されると共に、各SSR34がオンして各ヒータ15〜20が通電される。このヒータ15〜20の通電により、棚板10〜13、敷板左14a、敷板右14bが加熱される。そして、保温室3内が所定温度以上になると、これを室内温度センサ71が検出し、制御回路33が適温ランプ67を点灯させて、食品が投入できる状態になったことを通知する。
【0023】
棚板10〜13、敷板左14a、敷板右14bの設定温度は、初期には「標準」に設定されている。そして、外部温度や食品の種類(包装された食品か、飲料缶かなど)に応じて、温度選択スイッチ38〜43を操作して棚板10〜13、敷板左14a、敷板右14bの温度設定を行う。
棚板10〜13、敷板左14a、敷板右14bに載置された食品は、それらの載置部の各区部のヒータ15〜20が温度センサ21〜26の検出温度に応じて通断電されることによって設定温度に加熱保持される。本実施形態では、制御回路33は、例えば1秒経過毎に図8の温度制御ルーチンを実行する。図8の温度制御ルーチンに入ると、制御回路33は、載置部の各区部(棚板10〜13、敷板左14a、敷板右14b)の温度制御を順に実行した後、室内温度制御およびドア管理を実行してゆく。載置部の各区部の温度制御の内容、室内温度制御の内容、ドア管理の内容は、それぞれ図9〜11に示されている。
【0024】
図9の載置部の各区部の温度制御ルーチンは、棚板10〜13、敷板左14a、敷板右14bを設定された温度に保持すると共に、故障が生じた場合に当該故障の発生と故障個所および故障の種類と共にユーザに通知するためのものである。
即ち、図8の温度制御ルーチンに入ると、制御回路33は、まず、左側上段載置部、つまり棚板10の温度制御(ステップS1)を行う。この棚板10の温度制御では、図9に示すように、制御回路33は、まず、棚板10の温度センサ21の検出信号を入力する(ステップA1)。次に、制御回路33は、温度センサ21の検出値を基に、後述のようにして温度センサ21や棚板10のヒータ15の故障の有無を判断し(ステップA2、ステップA3)、故障がない場合、温度センサ21の検出温度が温度選択スイッチ38によって選択された設定温度以上であるか否かを判断する(ステップA4)。
【0025】
そして、温度センサ21の検出温度が設定温度以上であるとき、つまり設定温度が標準(棚板10では80℃)であった場合、80℃以上であるとき、制御回路33は、SSR34にオフ信号を出力してヒータ15を断電(温度制御手段;ステップA4で「YES」、ステップA5)する。また、温度センサ21の検出温度が設定温度未満であるとき、つまり設定温度が標準(80℃)であった場合に、80℃未満であるとき、制御回路33は、SSR34にオン信号を出力してヒータ15に通電する(温度制御手段;ステップA4で「NO」、ステップA6)。
【0026】
このようなヒータ15の通断電により、棚板10が設定温度に保持される。そして、このヒータ15の通断電による棚板10の温度制御は、その他の棚板11〜13、敷板左14aおよび敷板右14bについても、ヒータ15〜20の通断電によって同様に行われる(図8のステップS2〜ステップS6)。なお、図8において、左側中段載置部は左側中段の棚板12、左側下段載置部は敷板左14a、右側上段載置部は右側上段棚板11、右側中段載置部は右側中段の棚板13、右側下段載置部は敷板右14bのことである。
【0027】
ところで、使用中に食品加熱保温器1が故障することがある。本実施例では、故障検出の対象を、第1に、載置部の各区部つまり各棚板10〜13、敷板左14a、敷板右14bをそれぞれ設定温度に加熱保持するための手段、つまり、各温度センサ21〜26と抵抗35との直列回路をプラス電源+Vccとグランドとの間で接続するセンサ回路74、および各ヒータ15〜20とSSR34と各温度ヒューズ27〜32とを直列に接続してなるヒータ回路75から構成される定温加熱手段76としている。第2に、室内温度センサ71と抵抗73との直列回路をプラス電源+Vccとグランドとの間で接続するセンサ回路77としている。
【0028】
まず、定温加熱手段76の故障は、温度センサ21〜26自身の断線・短絡を含むセンサ回路74の断線・短絡や(温度センサの故障)、SSR34、ヒータ15〜20自身の短絡・断線を含むヒータ回路75の短絡・断線など(それ以外の故障)が原因となる。このようなセンサ回路74の故障やヒータ回路75の故障は、次のようにして故障検出手段としての制御回路33によって検出される。
【0029】
即ち、温度センサ21〜26自身、或いはセンサ回路74中に断線が生じていた場合、制御回路33には、温度センサ21〜26の検出信号として、断線の箇所によってプラス電源+Vccの電圧がそのまま入力されたり、グランドの電位がそのまま入力されたりする。
【0030】
一方、ヒータ回路75が短絡状態となっていた場合、ヒータ15〜20は断電されることなく常時通電となり、異常高温となる。逆に、ヒータ回路75中に断線が生ずると、ヒータ15〜20は、通電されることなく常時断電となり、異常に温度低下する。
そこで、制御回路33は、載置部温度制御ルーチン、例えば左側上段の棚板10の温度制御ルーチンに入り、温度センサ21の検出信号を入力すると(ステップA1)、次に、温度センサ21の検出値が正常であるか否か、つまりプラス電源+Vccの電圧またはグランド電位になっていないかどうかを判断する(故障検出手段;ステップA2)。そして、プラス電源+Vccの電圧またはグランド電位になっていない場合、制御回路33は、温度センサ21の検出値は正常と判断し(ステップA2で「YES」)、センサ回路74に故障なしとする。
【0031】
温度センサ21の検出値がプラス電源+Vccの電圧またはグランド電位であった場合、制御回路33は、温度センサ21(センサ回路74)の故障と判断し(ステップA2で「NO」)、加熱停止手段としてのSSR34をオフしてヒータ15を断電すると共に、故障をユーザに通知すべく、通知手段による警報と表示、具体的には、棚板10についての3段の温度設定ランプ44,50,56を全て点滅、適温ランプ67の消灯、警報ランプ65の点灯、ブザー66の鳴動、エラー表示器68へのエラー内容表示を行う(通知制御手段;ステップA7)。この場合のエラー表示器68へのエラー内容表示は、図13に示すように、E60,61,63〜67によって行われるが、ここでは左側上段の棚板10の温度センサ21の故障であるから、「E61」のコード表示によって行われる。
【0032】
センサ回路74に故障なしと判断された場合(ステップA2で「YES」)、制御回路33は、ヒータ回路75の故障検出に入り、載置部の各区部の温度が上限値以下または下限値以上であるか否かを判断する(故障検出手段;ステップA3)。なお、載置部の各区部の上限温度および下限温度は、図12(a)に示すように定められている。温度センサ21の検出温度が棚板10の上限温度(120℃)以下または下限温度(50℃)以上であった場合、制御回路33は、ヒータ回路75に故障なしと判断し(ステップA3で「YES」)、上述した温度センサ21の検出温度に応じてヒータ15を通断電する温度制御に移行する。
【0033】
温度センサ21の検出温度が棚板10の上限温度を越えまたは下限温度未満であった場合、制御回路33は、ヒータ回路75に故障ありと判断し(ステップA3で「NO」)、SSR34をオフしてヒータ15を断電すると共に、故障をユーザに通知すべく警報と表示、具体的には、棚板10についての全温度設定ランプ44,50,56の点滅、適温ランプ67の消灯、警報ランプ65の点灯、ブザー66の鳴動、エラー表示器68へのエラー表示を行う(通知制御手段;ステップA8)。この場合のエラー表示器68へのエラー内容表示は、図13に示すように、「E81」のコード表示によって行われる。
【0034】
以上のようなセンサ回路74の故障、ヒータ回路75の故障は、棚板10以外の載置部の各区部についても同様に行われ、故障が検出された場合には、同様の警報と表示とがなされる。
なお、エラー表示器68への故障表示は、最後に検出された故障に対応する表示のみが表示される。
【0035】
以上のようにセンサ回路74或いはヒータ回路75が故障すると、ブザー66が鳴動するので、故障の発生に直ちに気付くようになる。なお、ブザー音は、ブザー切スイッチ63を操作することによって停止させることができる。そして、故障に気付いたユーザは、通知手段としての温度設定ランプ44〜49,50〜55,56〜61の点滅によって故障した載置部を知る。例えば、温度設定ランプ44,50,56が点滅していれば、左側上部の棚板10の定温加熱手段76に故障が発生したことを知る。
【0036】
また、通知手段としてのエラー表示器68に表示されたコードを見ることにより、温度センサ21〜26を含むセンサ回路74とヒータ15〜20を含むヒータ回路75のうち、いずれの回路に故障が発生したのかを知ることができる。このため、故障位置、故障の原因を発見し易くなり、修理を迅速に行うことができる。
【0037】
さて、図8の温度制御ルーチンにおいて、載置部についての温度制御が全て終了すると、次に制御回路33は、室内温度制御(ステップS7)に移行する。室内温度センサ71のセンサ回路77の故障検出は、この室内温度制御において行われる。即ち、室内温度制御に移行すると、制御回路33は、図10に示すように、まず、室内温度センサ71の検出信号を入力する(ステップB1)。そして、その室内温度センサ71の検出値は正常であるか否かを判断する。
【0038】
この室内温度センサ71は、載置部温度センサ21〜26と同様のセンサ回路77を構成しているので、短絡・断線があった場合には、プラス電源+Vccの電圧またはグランド電位が検出信号として制御回路33に入力される。そこで、制御回路33は、室内温度センサ71の検出値がプラス電源+Vccの電圧またはグランド電位でない場合、センサ回路77に故障なしと判断する(ステップB2で「YES」)。
【0039】
センサ回路77に故障がなかった場合、制御回路33は、室内温度センサ71の検出温度が上限温度以下であるか否か(ステップB3)、下限温度以上であるか否か(ステップB4)を判断する。室内温度センサ71の検出温度が上限温度以下で下限温度以上であった場合、制御回路33は、異常なしと判断して室内温度制御ルーチンを終了する(ステップB3で「YES」、ステップB4で「YES」、リターン)。
【0040】
室内温度センサ71を含めてそのセンサ回路77に故障が発生した場合、室内温度センサ71の検出値がプラス電源+Vccの電圧またはグランド電位となるので、制御回路33は、センサ回路77の故障と判断し(ステップB2で「NO」)、加熱保温運転停止手段としての全ヒータ15〜20のSSR34にオフ信号を出力して全ヒータ15〜20を断電すると共に、適温ランプ67を消灯し、ブザー66を鳴動させ、且つエラー表示器68に室内温度センサ71の故障を示すE30(図13参照)のコード表示を行う(ステップB5)。
【0041】
また、室内温度センサ71の検出温度が上限値を超えていた場合(ステップB3で「NO」)、制御回路33は、上記したと同様にして全ヒータ15〜20を断電すると共に、適温ランプ67を消灯し、ブザー66を鳴動させ、且つエラー表示器68に保温室3の温度異常(上限警報)を示すE20(図13参照)のコード表示を行う(ステップB6)。
【0042】
更に、室内温度センサ71の検出温度が下限値未満の場合(ステップB4で「NO」)、制御回路33は、適温ランプ67を消灯し、ブザー66を鳴動させ、且つエラー表示器68に保温室3の温度異常(下限警報)を示すE21(図13参照)のコード表示(以上、警報通知)を行う(ステップB7)。保温室3内の温度が下限温度未満となった場合、その主たる原因は、スライド扉8やスライド扉9が開放されたままとなっていて、そこから保温室3内に外気が侵入してくることによる。
【0043】
このため、保温室3内の温度が下限温度未満となった場合には、ヒータ15〜20を断電することなく、そのまま加熱保温運転を継続させる。そして、ブザー66の鳴動により、スライド扉8やスライド扉9の開放に気付いた店員がこれを閉めると保温室3内の温度は上昇し、下限温度以上となる。そして、制御回路33は、以後のステップB4の実行により、室内温度センサ71が保温室3の下限温度以上を検出した時点で適温ランプ67を点灯し、ブザー66を停止(ブザー切スイッチ63により既に停止されていることが多い。)させ、且つエラー表示器68のコード表示を消す。
【0044】
このように、センサ回路77が故障し、或いは、保温室3内の温度が異常高温になっていたり、異常低温になっていたりした場合、室内温度制御ルーチンにおいて警報が発せられ、故障の内容がエラー表示器68に表示される。このため、故障の原因を究明し易く、故障に迅速に対処できる。なお、保温室3の異常高温としては、ヒータ15〜20のヒータ回路75のうちのいずれかのヒータ回路の短絡が考えられる。また、保温室3の異常低温は、スライド扉9の開放保持が考えられる。
【0045】
室内温度制御のルーチンが終了すると、制御回路33は、ドア管理ルーチンに行こうする(ステップS8)。このドア管理ルーチンに入ると、図11に示すように、制御回路33は、扉スイッチ70がオン(閉)しているか否かを判断する(ステップC1)。スライド扉9が閉じられていれば、扉スイッチ70はオン状態にあるので、制御回路33は、ステップC1で「YES」と判断し、リターンとなる。
【0046】
扉スイッチ70がオフしている場合には、制御回路33は、ステップS1で「NO」となり、次のステップC2でエラー表示器68に「OP」を表示する(ステップC2)。この「OP」の表示により、店員はスライド扉9が開放されたままにあることに気付き、スライド扉9を閉じる。
【0047】
以上説明したように、本実施形態によれば、載置部(棚板10〜13、敷板左14a、敷板右14b)の定温加熱手段76が故障すると、どの載置部の定温加熱手段が故障したのかを、載置部のそれぞれの温度設定を行なう温度選択スイッチ38〜43の上段部分に設けられた高め、標準、低めの各ランプ44〜49,50〜55,56〜61のうち、故障した載置部についての高め、標準、低めの各ランプを点滅させるので、どの載置部の定温加熱手段が故障したのかを知ることができる。
【0048】
しかも、故障をしたのは、定温加熱手段76のうちのどこかを、エラー表示器65によって表示するので、温度センサ21〜26を含むセンサ回路74側なのか、ヒータ15〜20を含むヒータ回路75側なのかを知ることができる。
このため、修理を行う場合に、故障個所、故障原因を容易に特定することができ、迅速に故障に対処できる。
【0049】
その上、本実施例では、故障した場合に、定温加熱手段76のうちのセンサ回路74とヒータ回路75のいずれの側が故障したかを、温度センサ21〜26の検出値によって判定するので、故障回路の判定構成が簡単なものとなる。
更に、本実施形態では、載置部温度センサ21〜26の検出値によって故障と判定した場合には、故障と判定された載置部のヒータだけを断電し、他のヒータは通電を継続するので、食品加熱保温器1の加熱保温運転を継続することができる。
【0050】
載置部が故障しても加熱保温運転を継続させた場合に予測される第1の問題は、故障した載置部のヒータ回路75の例えばSSR34が故障していて制御回路33がSSR34にオフ信号を出力してもヒータが通電され続けることからくる載置部の異常高温である。この異常高温の問題は、各載置部に温度ヒューズ27〜32が設けられているので、ヒータ15〜20を断電できなかったとしても、載置部がある温度以上になれば温度ユーズが溶断してヒータを断電するので、安全である。仮に、温度ヒューズが溶断しなかったり、溶断してもヒータを断電できなかったりした場合には、保温室3内が上限温度を超えた高温度となり、これを室内温度センサ71が検出することによってブザー66を鳴動させ、且つエラー表示器68に上限温度超えを表示するので、これに対応して店員が電源スイッチ62をオフ操作する。これにより、載置部の異常高温が防止されるので、より一層の安全性を確保できる。
【0051】
また、載置部が故障しても加熱保温運転を継続させた場合に予測される第2の問題は、その故障した載置部の商品の低温度化である。故障した載置部については、ヒータの断電により設定温度の保持は難しくなるが、しかし、保温室3内が適温に保持されることによって故障した載置部の食品も適温に保持できる。そして、保温室3内の温度が下限温度を下回るようになると、これを室内温度センサ71が検出してブザー66を鳴動させ、且つエラー表示器68に下限温度未満を表示するので、これに対応して店員が電源スイッチ62をオフ操作して食品加熱保温器1の運転を停止させ、食品の販売を停止する。これにより、適温に加熱されていない食品が販売される不具合の発生を防止できる。
また、本実施形態では、各載置部の設定温度を、標準以外に、高め、低めに設定できるので、載置する食品の形態や外部温度によって載置部の設定温度を変えることによって、最適な加熱保温温度とすることができる。
【0052】
なお、本発明は上記し且つ図面に示す実施形態に限定されるものではなく、以下のような拡張或いは変更が可能となる。
スイッチング素子はSSRに限られず、トライアック単体であっても良いし、IGBTなどであっても良い。
ステップB5,6で全ヒータ15〜20を断電する場合、電源スイッチをSSRなど制御回路33によって制御可能な電気電子部品で構成し、この電源スイッチをオフさせるようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の一実施形態を示すもので、操作パネルの正面図
【図2】食品加熱保温器を正面側から見た斜視図
【図3】食品加熱保温器を背面側から見た斜視図
【図4】図3のA−A線に沿う断面図
【図5】図3のB−B線に沿う断面図
【図6】電気的回路構成を示すブロック図
【図7】センサ回路とヒータ回路の具体的構成を示す回路図
【図8】温度制御の内容を示すフローチャート
【図9】載置部の温度制御の内容を示すフローチャート
【図10】室内温度制御の内容を示すフローチャート
【図11】ドア管理の内容を示すフローチャート
【図12】(a)は載置部の各区部の3段階の設定温度を示す図、(b)は載置部と保温室の上限温度と下限温度を示す図
【図13】コード表示と故障内容との関係を示す図
【符号の説明】
【0054】
図面中、10〜13は棚板(載置部)、14は敷板(載置部)、15〜20はヒータ、21〜26は載置部温度センサ(区部温度センサ)、33は制御回路(故障検出手段)、34はSSR(スイッチング素子、加熱停止手段、加熱保温運転停止手段)、44〜49,50〜55,56〜61は温度設定ランプ(通知手段)、68はエラー表示器(通知手段)、71は室内温度センサ、74はセンサ回路、75はヒータ回路、76は定温加熱手段、77はセンサ回路を示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
保温室内に食品を載置する載置部を設けた食品加熱保温器において、
前記載置部を複数の区部に分け、前記複数の区部毎に、前記区部を加熱するヒータ、前記区部の温度を検出する区部温度センサおよび前記区部温度センサの検出温度に応じて前記ヒータを通断電するスイッチング素子を含んで構成された定温加熱手段を設け、
更に、前記載置部の前記複数の区部について設けられた複数の前記定温加熱手段の故障を個別に検出する故障検出手段と、
複数の前記定温加熱手段のうち、前記故障検出手段により故障が検出された定温加熱手段を特定して通知する通知手段と
を設けてなる食品加熱保温器。
【請求項2】
前記故障検出手段は、故障の内容を、前記区部温度センサの入力値に基づいて、前記区部温度センサの故障と、それ以外の故障とに分けて検出可能で、
前記通知手段は、前記故障検出手段により故障が検出された前記定温加熱手段を特定して通知するほか、前記故障検出手段により検出された前記故障の内容を通知することを特徴とする請求項1記載の食品加熱保温器。
【請求項3】
前記故障検出手段により前記定温加熱手段の故障が検出されたとき、当該故障が検出された定温加熱手段の前記ヒータへの通電を停止する加熱停止手段が設けられていることを特徴とする請求項1または2記載の食品加熱保温器。
【請求項4】
前記保温室内の温度を検出する室内温度センサと、全ての前記定温加熱手段の前記ヒータへの通電を停止する加熱保温運転停止手段とを設け、
前記室内温度センサの検出温度が所定の上限温度を超えたとき、前記加熱保温運転停止手段により全ての前記定温加熱手段の前記ヒータへの通電を停止すると共に、前記通知手段により故障を通知するようにしてなる請求項1ないし3のいずれかに記載の食品加熱保温器。
【請求項5】
前記保温室内の温度を検出する室内温度センサを設け、
前記室内温度センサが所定の下限温度未満を検出したとき、前記通知手段により警告通知を発し、その後に、前記庫内温度センサが前記所定の下限温度以上を検出したとき、前記通知手段による前記警告通知を停止することを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の食品加熱保温器。
【請求項1】
保温室内に食品を載置する載置部を設けた食品加熱保温器において、
前記載置部を複数の区部に分け、前記複数の区部毎に、前記区部を加熱するヒータ、前記区部の温度を検出する区部温度センサおよび前記区部温度センサの検出温度に応じて前記ヒータを通断電するスイッチング素子を含んで構成された定温加熱手段を設け、
更に、前記載置部の前記複数の区部について設けられた複数の前記定温加熱手段の故障を個別に検出する故障検出手段と、
複数の前記定温加熱手段のうち、前記故障検出手段により故障が検出された定温加熱手段を特定して通知する通知手段と
を設けてなる食品加熱保温器。
【請求項2】
前記故障検出手段は、故障の内容を、前記区部温度センサの入力値に基づいて、前記区部温度センサの故障と、それ以外の故障とに分けて検出可能で、
前記通知手段は、前記故障検出手段により故障が検出された前記定温加熱手段を特定して通知するほか、前記故障検出手段により検出された前記故障の内容を通知することを特徴とする請求項1記載の食品加熱保温器。
【請求項3】
前記故障検出手段により前記定温加熱手段の故障が検出されたとき、当該故障が検出された定温加熱手段の前記ヒータへの通電を停止する加熱停止手段が設けられていることを特徴とする請求項1または2記載の食品加熱保温器。
【請求項4】
前記保温室内の温度を検出する室内温度センサと、全ての前記定温加熱手段の前記ヒータへの通電を停止する加熱保温運転停止手段とを設け、
前記室内温度センサの検出温度が所定の上限温度を超えたとき、前記加熱保温運転停止手段により全ての前記定温加熱手段の前記ヒータへの通電を停止すると共に、前記通知手段により故障を通知するようにしてなる請求項1ないし3のいずれかに記載の食品加熱保温器。
【請求項5】
前記保温室内の温度を検出する室内温度センサを設け、
前記室内温度センサが所定の下限温度未満を検出したとき、前記通知手段により警告通知を発し、その後に、前記庫内温度センサが前記所定の下限温度以上を検出したとき、前記通知手段による前記警告通知を停止することを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の食品加熱保温器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2009−11430(P2009−11430A)
【公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−173985(P2007−173985)
【出願日】平成19年7月2日(2007.7.2)
【出願人】(502285664)東芝コンシューマエレクトロニクス・ホールディングス株式会社 (2,480)
【出願人】(503376518)東芝ホームアプライアンス株式会社 (2,436)
【出願人】(503020242)西山工業株式会社 (6)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年7月2日(2007.7.2)
【出願人】(502285664)東芝コンシューマエレクトロニクス・ホールディングス株式会社 (2,480)
【出願人】(503376518)東芝ホームアプライアンス株式会社 (2,436)
【出願人】(503020242)西山工業株式会社 (6)
【Fターム(参考)】
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