説明

食品原料の糸巻き用機具

【課題】 塊状の食品原料の太さに、大きなばらつきがあっても、簡単でしかも短時間で、糸が適切な力で巻き付けられた食品原料を製造することができる食品原料の糸巻き用機具を提供すること。
【解決手段】 塊状の食品原料14の外周に糸11を巻き付けるときに使用される食品原料の糸巻き用機具12において、この糸巻き用機具12を作業台18に取り付けるための取付部15と、取付部15に基端部が結合し先端部16aが自由端であり、食品原料14の略上半分以上の表面と非接触の状態で食品原料14が載置される載置部16とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、糸が巻かれた例えば焼豚、ハム、チキンロール等の食品を製造する際に使用される食品原料の糸巻き用機具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の、糸が巻かれた例えば焼豚を製造する際に使用される食品原料の糸巻き装置として、図8〜図10に示すものがある(例えば、特許文献1参照。)。この糸巻き装置1は、図8及び図9に示すように、焼豚の原料となる塊状の豚肉5を保持するための保持部2を備えている。この保持部2は、5本のロッド3、・・・を有しており、これら5本のロッド3、・・・はホルダ4に取り付けられている。このホルダ4に取り付けられた5本のロッド3、・・・は、互いに平行し、それぞれの基端部は、所定の正五角形の各頂点と対応する各位置に配置されている。これら5本のロッド3で囲まれた内側空間に、焼豚の原料である豚肉(食品原料)5が収容されて保持される。なお、ホルダ4は、図8に示すように、その中心に連結軸6が設けられ、この連結軸6は、回動自在に軸受7を介してハウジング8に設けられている。そして、この連結軸6は、カップリング9を介してモータ10の回転軸10aと連結している。従って、モータ10が駆動して回転軸10aが所定方向に回転すると、保持部2が同方向に回転する。
【0003】
次に、図8に示す糸巻き装置1を使用して、焼豚の原料である塊状の豚肉5に糸を巻く手順を説明する。まず、図9(a)に示すように、5本のロッド3、・・・のうち、4本のロッド3、・・・をホルダ4に装着して、塊状の豚肉5を、5本目のロッド3が装着される部分から挿入する。そして、図9(b)に示すように、豚肉5を4本のロッド3、・・・で囲まれた空間に装着した後に、5本目のロッド3をホルダ4に取り付ける。次に、図9(c)に示すように、糸11の端部をロッド3の先端部に巻き付けて留める。そして、モータ10を駆動させて保持部2を所定方向に回転させることによって、糸11を保持部2の外周に螺旋状に巻き付ける。次に、モータ10を停止させて、糸11を包丁やナイフで切断して、その糸11の端部を豚肉5に巻き付けられている糸11に留める。次に、図10(a)に示すように、5本目のロッド3をホルダ4から引き抜き、図10(b)に示すように、豚肉5及びその外側に螺旋状に巻かれている糸11を、4本のロッド3、・・・の先端部側に滑らせて、これらのロッド3、・・・から取り出す。このようにして、同図に示すように、外周に糸11が螺旋状に巻き付けられた塊状の豚肉5を製造することができる。
【特許文献1】実用新案登録第3088611号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記従来の糸巻き装置1では、図9(c)に示すように、豚肉5の全周を取り囲むように配置された5本のロッド3、・・・の外側に糸11を巻き付けて、この巻き付けた糸11及び豚肉5をロッド3、・・・から取り出すことによって、豚肉5に糸11を巻き付けるようにしているので、糸11の巻付け力が各ロッド3、・・・に掛かり、その結果、糸11を適切な力で豚肉5に巻き付けることができない。よって、見栄えよく糸11を豚肉5に巻き付けることができないという問題がある。
【0005】
そして、糸11を適切な力で豚肉5に巻き付けるようにするために、例えば比較的大きい塊状の豚肉5を5本のロッド3、・・・によって形成される内側空間に装着することが考えられるが、このような大きさの豚肉5は、作業者がそれを内部空間に装着したり、取り出すのに手間が多く掛かり、作業効率が低下する。
【0006】
また、豚肉5の大きさには、ばらつきが存在しており、比較的細い豚肉5では、糸11を巻き付ける強さが更に弱くなるし、比較的太い豚肉5では、ロッド3の内部空間に装着し難いという問題がある。
【0007】
なお、豚肉5の全周を取り囲むように5本のロッド3、・・・を配置してあるのは、この5本のロッド3、・・・(保持部2)が回転する際に、豚肉5が保持部2から離脱しないようにするためである。
【0008】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、塊状の食品原料の太さに、大きなばらつきがあっても、簡単でしかも短時間で、糸が適切な力で巻き付けられた食品原料を製造することができる食品原料の糸巻き用機具を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る食品原料の糸巻き用機具は、塊状の食品原料の外周に糸を巻き付けるときに使用される食品原料の糸巻き用機具において、前記食品原料の糸巻き用機具を固定部に取り付けるための取付部と、前記取付部に基端部が結合し先端部が自由端であり前記食品原料の略上半分以上の表面と非接触の状態で前記食品原料が載置される載置部とを備えることを特徴とするものである。
【0010】
この発明に係る食品原料の糸巻き用機具を使用して、例えば焼豚の原料となる塊状の豚肉(食品原料)に糸を巻き付けるときは、まず、載置部が略水平となるように、この糸巻き用機具の取付部を固定台等に取り付けて固定する。そして、食品原料を載置部上に載置する。次に、例えば左手で食品原料を上から押さえた状態で、右手で食品原料及び載置部の外周に糸を例えば螺旋状に巻き付ける。次に、糸を切断して、その糸の端部を食品原料に巻き付けられている糸に留める。次に、この食品原料、及びその外側に螺旋状に巻き付けられている糸を、載置部の先端部側に滑らせて載置部から取り外す。このようにして、外周に糸が螺旋状に巻き付けられた食品原料を製造することができる。
【0011】
この食品原料の糸巻き用機具によると、食品原料の略上半分以上の表面と非接触の状態でこの食品原料を載置部上に載置できるので、載置部及び食品原料に糸を巻き付けたときに、糸の巻付け力を食品原料に付与することができる。その結果、糸を巻き付けた食品原料を載置部から取り外すことによって、適切な力で糸が巻き付けられた食品原料を製造することができる。
【0012】
そして、この発明に係る食品原料の糸巻き用機具において、前記載置部は、互いに間隔を隔てて略平行に配置された複数本の棒状体で形成され、前記載置部が先端部に向かうに従って幅が狭くなるようにするとよい。このように、載置部を複数本の棒状体で形成すると、食品原料を載置部上に載置したときに、各棒状体が食品原料を変形させてその変形部分に入り込むことができる。これによって、食品原料及び載置部に巻き付けられる糸の巻付け力のうち、食品原料を締め付ける割合を大きくすることができる。よって、載置部から取り外された食品原料には、適切な巻付け力で糸が巻き付けられる。そして、載置部を、その先端部に向かうに従って幅が狭くなるようにすると、糸が巻き付けられた食品原料を、載置部の先端部側に滑らせて簡単に取り外すことができる。
【0013】
また、この発明に係る食品原料の糸巻き用機具において、前記取付部から前記載置部の先端部までの長さを調整するための長さ調整部を設けるとよい。このようにすると、長さ調整部によって、食品原料の長さに応じて取付部から載置部の先端部までの長さを変更することができる。例えば長さが比較的短い食品原料に対して糸を巻き付けるときは、取付部から載置部の先端部までの長さを、その食品原料を保持できる長さに短縮させることができる。これによって、載置部の先端部が食品原料から不必要にはみ出ないようにすることができ、載置部の先端部が邪魔にならずに糸巻き作業ができる。
【発明の効果】
【0014】
この発明に係る食品原料の糸巻き用機具によると、食品原料の略上半分以上の表面と非接触の状態でこの食品原料を載置部上に載置して、これら載置部及び食品原料に糸を巻き付けるようにしているので、食品原料の太さに、大きなばらつきがあっても、簡単でしかも短時間で、糸が適切な力で巻き付けられた食品原料を製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明に係る食品原料の糸巻き用機具(以下、単に「糸巻き用機具」と言うこともある。)の第1実施形態を図1〜図6を参照して説明する。この糸巻き用機具12は、糸11が巻かれた例えば焼豚、ハム、チキンロール等の食品の製造工程において、肉等の塊状の食品原料14に糸11を巻くときに使用することができるものであり、図1に示すように、取付部15と載置部16とを備えている。この糸巻き用機具12及び糸切り刃17は、それぞれ全体が例えばステンレス鋼で形成されており、糸11は、例えばたこ糸が使用される。
【0016】
取付部15は、図1に示すように、例えば作業台18の縁部18aにこの糸巻き用機具12を固定して取り付けるためのものであり、支柱19を有している。支柱19は、細長い棒状体であり、上端部に載置部16が設けられており、下端部にL字状の屈曲部19aが形成されている。この屈曲部19aの先端に第1ナット20が例えば溶接されている。この第1ナット20には、第1ボルト21が螺合している。第1ボルト21は、支柱19と平行して配置されており、その上端部には、第2ナット22が例えば溶接されている。この第2ナット22と第1ナット20との間に第3ナット23が配置され、この第3ナット23は第1ボルト21に螺合している。そして、この第2ナット22と第3ナット23との間に押し当て部材24が取り付けられている。
【0017】
押し当て部材24は、図1及び図2に示すように、略深皿形状であり、底壁に第1ボルト21が挿通する挿通孔24aが形成されている。この挿通孔24aは、第1ボルト21の外径よりも大きく形成されている。よって、押し当て部材24は、第1ボルト21が挿通する状態で、第2ナット22と第3ナット23との間に挟まれて保持されている。
【0018】
また、支柱19には、図1及び図2に示すように、その略中央部位置に矩形の固定板25が設けられている。固定板25は、その板面が第1ボルト21と直角に交わる方向に配置され、一方の端部が支柱19に例えば溶接されている。そして、この固定板25の他端部には、第4ナット26が例えば溶接されており、この第4ナット26に第2ボルト27が螺合している。第2ボルト27と第1ボルト21とは、互いに平行している。そして、第2ボルト27と支柱19との間に第1ボルト21が配置されている。なお、図1に示す28は、補強部材であり、29はハンドルである。このハンドル29は、第1ボルト21の下端部に形成されている貫通孔に挿通している。
【0019】
載置部16は、図1及び図2等に示すように、結合部材30と、4本の棒状体31、・・・とを有している。結合部材30は、所定長さの板状体を円弧状に屈曲形成したものであり、上面が凹となるように、その中央部下面が支柱19の上端に例えば溶接によって結合している。
【0020】
4本の棒状体31、・・・は、それぞれ同等のものであり、隣り合うものどうしが一定の間隔を隔てて略平行に配置されており、それぞれの基端部が結合部材30の下面に例えば溶接されて結合している。また、これら4本の棒状体31、・・・は、先端部16aに向かうに従って全体の横幅が狭くなっている。
【0021】
次に、図1等に示すように構成された糸巻き用機具12を使用して、例えば焼豚の原料となる塊状の豚肉(食品原料14)に糸11を巻き付けるときの手順を、図1〜図5を参照して説明する。まず、図1に示すように、載置部16が略水平となるように、取付部15を使用して糸巻き用機具12を作業台18に取り付けて固定する。つまり、固定板25と押し当て部材24との間に作業台18の縁部18aを配置する。そして、ハンドル29を所定方向に回して、作業台18の縁部18aを固定板25と押し当て部材24との間に挟み込んで締め付ける。これによって、糸巻き用機具12をその縁部18aに固定して取り付けることができ、載置部16が水平状態となる。
【0022】
次に、図3(a)、(b)に示すように、例えば所定重量に形成された食品原料14を載置部16上に載置する。そして、図4(a)に示すように、例えば左手で食品原料14を上から押さえた状態で、右手で食品原料14及び載置部(4本の棒状体31、・・・)16の外周に糸11を例えば螺旋状に巻き付ける。そして、糸11を切断して、その糸11の端部を食品原料14に巻き付けられている糸11に留める。糸11は、後述する糸切り刃17を使用して切断する。次に、図4(b)に示すように、この食品原料14、及びその外側に螺旋状に巻き付けられている糸11を、4本の棒状体31、・・・の先端部16a側に滑らせて載置部16から取り外す。このようにして、外周に糸11が螺旋状に巻き付けられた塊状の食品原料14を製造することができる。
【0023】
この食品原料の糸巻き用機具12によると、図3(b)及び図4(a)に示すように、食品原料14の外周面のうち、上半分以上(上側の約2/3)の外表面と非接触の状態でこの食品原料14を載置部16の4本の棒状体31、・・・上に載置できるので、載置部16及び食品原料14に糸11を巻き付けたときに、糸11の巻付け力を食品原料14に十分に付与することができる。その結果、糸11を巻き付けた食品原料14を載置部16から取り外すことによって、適切な力で糸11が巻き付けられた食品原料14を製造することができる。なお、第1実施形態の載置部16に形成されている4本の棒状体31、・・・は、図3(b)、図4(a)に示すように、食品原料14の外周面のうち約1/3の範囲の底面と接触するように配置されている。
【0024】
そして、この食品原料14の糸巻き用機具12によると、食品原料14の上半分以上(上側の約2/3)の表面と非接触の状態でこの食品原料14を載置部16上に載置して、これら載置部16及び食品原料14に糸11を巻き付けるようにしているので、塊状の食品原料14の太さに、大きなばらつきがあっても、簡単でしかも短時間で、糸11が適切な力で巻き付けられた食品原料14を製造することができる。
【0025】
なお、この糸11が巻き付けられた食品原料14は、例えばたれに漬けた後に加熱することによって焼豚を製造することができる。
【0026】
また、図4(a)に示すように、載置部16が4本の棒状体31、・・・で形成されているので、食品原料14をこれら4本の棒状体31、・・・上に載置したときに、各棒状体31、・・・が、それに載置された食品原料14を変形させてその変形部分に入り込むことができる。これによって、食品原料14及び4本の棒状体31、・・・に巻き付けられる糸11の巻付け力のうち、食品原料14を締め付ける割合を大きくすることができる。よって、載置部16から取り外された食品原料14には、適切な巻付け力で糸11が巻き付けられているようにすることができる。そして、載置部16は、その先端部16aに向かうに従って幅が狭くなるようにしてあるので、糸11が巻き付けられた食品原料14を、載置部16の先端部16a側に滑らせて簡単に取り外すことができる。
【0027】
次に、図5に示す糸切り刃17を説明する。この糸切り刃17は、同図に示すように、例えば中指32に装着して手で持っている糸11を切断することができるものである。具体的な使用例として、図4(a)に示すように、載置部16上に載置されている食品原料14に糸11を巻き付けたときに、糸11を切断するためのものであり、刃本体部33及び装着部34を備えている。
【0028】
刃本体部33は、図5に示すように、板面形状が円弧状の板状部材で形成され、この刃本体部33の凹状に湾曲する内縁部に切刃33aが形成されている。そして、この刃本体部33の一端に装着部34が固定して設けられている。
【0029】
装着部34は、図5に示すように、指に装着される環状部34aを有している。この環状部34aは、板状体を略円形に屈曲して形成されたものであり、その両端部は、環状部34aの外側に向かって直角に折り曲げられて連結部34bとして形成されている。この連結部34bを構成する一対の板状体は、それらの間に刃本体部33の基端部を挟み込んでおり、そして、刃本体部33の基端部と連結部34bとは、2つの鳩目金具35、35で互いに結合されている。
【0030】
この糸切り刃17は、図5に示すように、刃本体部33が手の胛の側に位置するように、装着部34を例えば中指32に装着して使用することができる。そして、この状態で、刃本体部33の先端部33bが中指32の指先側に向かい、切刃33aが中指32と間隔を隔てて中指32に向かうように形成されている。また、刃本体部33の先端縁部は、安全のために略半円形状となっており、切刃33aが設けられていない。
【0031】
この糸切り刃17によると、同図に示すように、糸11を持つ手の中指32に装着することによって、糸11を手に持った状態でその糸11を切断することができる。従って、糸11を切断するときに糸切り刃17を手で持つ動作や、糸11を切断した後に糸切り刃17を手から離して作業台18に置く動作を省略できる。よって、糸切り作業を手間を掛けずに簡単に行うことができる。
【0032】
次に、図6を参照して、図1に示す糸巻き用機具12を他の作業台48に取り付ける場合について説明する。この作業台48は、その縁部48aに樋状部36が設けられている。この樋状部36は、例えば作業台48を水で洗浄するときに排水路として使用されるものである。糸巻き用機具12を作業台48に取り付けるときは、同図に示すように、固定板25と押し当て部材24との間に樋状部36の外側壁36aを配置する。そして、ハンドル29を所定方向に回して、外側壁36aを固定板25と押し当て部材24との間に挟み込んで締め付ける。この締付け力は、外側壁36aが変形しない程度とする。そして、第2ボルト27を所定方向に回転させて、第2ボルト27の先端と押し当て部材24との間に樋状部36の底壁36bを挟み込んで締め付ける。これによって、糸巻き用機具12を作業台48の樋状部36に固定して取り付けることができる。
【0033】
この糸巻き用機具12によると、図6に示すように、固定板25の基端部25a及びこの基端部25aと間隔を隔てて設けられている第2ボルト27と、押し当て部材24との間に樋状部36を挟み込んで取り付ける構成としたので、糸巻き作業の際に載置部16に掛かる力を十分に耐え得るように、この糸巻き用機具12を作業台48に取り付けることができる。
【0034】
次に、この発明に係る糸巻き用機具の第2実施形態を図7等を参照して説明する。この図7に示す第2実施形態の糸巻き用機具37は、図1に示す第1実施形態の糸巻き用機具12に対して、支柱19から載置部16の先端部16aまでの長さを調整するための長さ調整部38、及び作業台18の上面からの載置部16までの高さを調整するための高さ調整部39を設けたものである。これ以外は、第1実施形態と同等であり、同等部分を同一の図面符号で示し、同一部分の詳細な説明を省略する。
【0035】
長さ調整部38は、図7に示すように、上部支柱40の上端に固着されている保持部41を有している。この保持部41には、水平方向に4つの挿通孔41aを形成してあり、この4つの挿通孔41aには、載置部16に設けられている4本の棒状体31、・・・がそれぞれ挿通している。載置部16は、第1実施形態と同等のものである。そして、保持部41の表面にナット42が固着されており、このナット42の孔と保持部41に形成されている1つの挿通孔41aとを連通させる貫通孔41bが保持部41に形成されている。そして、このナット42に長さ固定ボルト43が螺合している。この長さ固定ボルト43は、所定方向に回転させると、ボルト43の先端部が貫通孔41bを通って棒状体31を押し付けることができ、これによって、載置部16を保持部41に固定することができる。
【0036】
この長さ調整部38によると、食品原料14の長さLに応じて上部支柱40から4本の棒状体31、・・・の各先端部16aまでの長さを変更することができる。例えば長さLが比較的短い(又は長い)食品原料14に対して糸11を巻き付けるときは、上部支柱40から棒状体31、・・・の先端部16aまでの長さを、その食品原料14を保持できる長さに短縮(又は伸長)させることができる。つまり、長さ固定ボルト43を緩めて、載置部16の4本の棒状体31、・・・を保持部41の4つの挿通孔41aに沿って、図7の左方向又は右方向に移動させて、上部支柱40から棒状体31、・・・の先端部16aまでの長さを所望の寸法に調整する。そして、長さ固定ボルト43を締め付けることによって載置部16を保持部41に固定すればよい。
【0037】
これによって、4本の棒状体31、・・・の各先端部16aが食品原料14から不必要にはみ出ないようにすることができ、各棒状体31、・・・の先端部16aが邪魔にならずに糸巻き作業ができる。また、比較的長い食品原料14の全体を載置部16上に載置できるようにすることができ、糸巻き作業を簡単にすることができる。
【0038】
高さ調整部39は、図7に示すように、上部支柱40及び下部支柱44を有している。これら上部支柱40及び下部支柱44は、支柱45を構成している。上部支柱40の上端には、長さ調整部38を介して載置部16が設けられており、下部支柱44には第1及び第2ボルト21、27等が設けられている。上部支柱40は、短管状体であり、その下側開口部に下部支柱44の上端部が挿通している。そして、上部支柱40の外周面にナット46が固着されており、このナット46の孔と上部支柱40の内孔40aとを連通させる貫通孔40bが上部支柱40に形成されている。そして、このナット46に高さ固定ボルト47が螺合している。この高さ固定ボルト47は、所定方向に回転させると、ボルト47の先端部が貫通孔40bを通って下部支柱44を押し付けることができ、これによって、上部支柱40を所望の高さで下部支柱44に固定することができる。
【0039】
この高さ調整部39によると、作業者の身長等に応じて、作業台18の上面から載置部16までの高さHを調整することができる。これによって、載置部16上に載置される食品原料14を、糸巻き作業のし易い高さに設定することができる。
【0040】
ただし、第1及び第2実施形態では、焼豚の原料となる豚肉を食品原料14の例として挙げたが、これに代えて、例えばハム等の原料となる食肉を食品原料としてもよいし、これ以外のものを食品原料としてもよい。例えば、食品原料として、塩漬けした鶏肉でごぼうを巻き付けたものとしてもよい。この食品原料を使用してチキンロールを製造することができる。
【0041】
そして、第1及び第2実施形態では、図3(a)に示すように、載置部16に4本の棒状体31、・・・を設けた構成としたが、棒状体31の本数をこれ以外の複数本としてもよい。また、これらの4本の棒状体31、・・・に代えて、この4本の棒状体31、・・・が配置されている範囲に相当する形状の樋状部材を設けた構成としてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0042】
以上のように、本発明に係る糸巻き用機具は、塊状の食品原料の太さに、大きなばらつきがあっても、簡単でしかも短時間で、糸が適切な力で巻き付けられた食品原料を製造することができる優れた効果を有し、このような糸巻き用機具等に適用するのに適している。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】この発明の第1実施形態に係る食品原料の糸巻き用機具を示す正面図である。
【図2】同第1実施形態に係る同糸巻き用機具を示す斜視図である。
【図3】同第1実施形態に係る同糸巻き用機具を使用して食品原料に糸を巻く手順を示す図であり、(a)は載置部に食品原料を載置する前の状態を示す斜視図、(b)は載置部に食品原料を載置した状態を示す斜視図である。
【図4】同第1実施形態に係る同糸巻き用機具を使用して食品原料に糸を巻く手順を示す図であり、(a)は載置部に載置された食品原料に糸を巻き付けた状態を示す斜視図、(b)は糸が巻き付けられた食品原料を載置部から取り外した状態を示す斜視図である。
【図5】同第1実施形態に係る同糸巻き用機具を使用して食品原料に巻かれた糸を糸切り刃で切断する状態を示す斜視図である。
【図6】同第1実施形態に係る同糸巻き用機具を他の作業台に取り付けた状態を示す正面図である。
【図7】同発明の第2実施形態に係る食品原料の糸巻き用機具を示す正面図である。
【図8】従来の食品原料の糸巻き用機具を示す縦断面図である。
【図9】同従来の糸巻き用機具を使用して食品原料に糸を巻く手順を示す図であり、(a)は保持部内に食品原料を装着する前の状態を示す斜視図、(b)は保持部内に食品原料を装着した状態を示す斜視図、(c)は保持部内に装着された食品原料及び保持部に糸を巻き付けた状態を示す斜視図である。
【図10】同従来の糸巻き用機具を使用して食品原料に糸を巻く手順を示す図であり、(a)は1本のロッドを引き抜いた状態を示す斜視図、(b)は糸が巻き付けられた食品原料を保持部から取り出した状態を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0044】
11 糸
12、37 糸巻き用機具
14 食品原料
15 取付部
16 載置部
16a 載置部の先端部
17 糸切り刃
18、48 作業台
19、45 支柱
20 第1ナット
21 第1ボルト
22 第2ナット
23 第3ナット
24 押し当て部材
25 固定板
26 第4ナット
27 第2ボルト
29 ハンドル
30 結合部材
31 棒状体
33 刃本体部
33a 切刃
34 装着部
34a 環状部
35 鳩目金具
36 樋状部
38 長さ調整部
39 高さ調整部
40 上部支柱
41 保持部
41a 挿通孔
41b 貫通孔
43 長さ固定ボルト
44 下部支柱
47 高さ固定ボルト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
塊状の食品原料の外周に糸を巻き付けるときに使用される食品原料の糸巻き用機具において、
前記食品原料の糸巻き用機具を固定部に取り付けるための取付部と、前記取付部に基端部が結合し先端部が自由端であり前記食品原料の略上半分以上の表面と非接触の状態で前記食品原料が載置される載置部とを備えることを特徴とする食品原料の糸巻き用機具。
【請求項2】
前記載置部は、互いに間隔を隔てて略平行に配置された複数本の棒状体で形成され、前記載置部が先端部に向かうに従って幅が狭くなっていることを特徴とする請求項1記載の食品原料の糸巻き用機具。
【請求項3】
前記取付部から前記載置部の先端部までの長さを調整するための長さ調整部を備えることを特徴とする請求項1又は2記載の食品原料の糸巻き用機具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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