説明

食品容器封緘用粘着テープ

【課題】各種食品容器に対して十分な接着力と接着保持性を確保しながら、剥離後に糊残りが生じにくく、しかも容易に剥離開封できる食品容器封緘用粘着テープを提供する。
【解決手段】基材の片面に下塗り層を介して粘着剤層を有する食品容器封緘用粘着テープにおいて、前記粘着剤層がゴム系粘着剤を含み、前記下塗り層が主ポリマーとして(メタ)アクリル系単量体をグラフト重合したジエン系ゴムを含むことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴム系粘着剤を用いる食品容器封緘用粘着テープ(シート状のものも含む)に関するものであり、例えばタマゴパック等の食品容器に対して、優れた封緘性(接着力)と易開封機能を有し、パックのリサイクル性を阻害しない粘着テープに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、タマゴパック等の食品容器の封緘手段として、ホッチキスやミシン目などが採用されていたが、リサイクル性の観点から、最近では、プラスチック基材に粘着剤層(アクリル系、ゴム系)を設けた粘着テープなどが、よく用いられるようになってきた。
【0003】
しかしながら、従来の粘着テープでは、粘着力が不十分な場合があり、その場合には流通過程や保存中にパックが空いてしまうといった問題が生じる。また、粘着力が大きすぎると、粘着テープを剥がす際に、テープの切れや裂けが生じ、またパックが斜めに裂けるなどの問題もあった。更に、剥離後に粘着剤がパックに残って、パックをリサイクルする際の阻害要因になる場合があった。
【0004】
このような粘着剤の残存(糊残り)に対しては、ゴム系粘着剤を用いる場合、基材への接着力が大きいため、下塗り層を設けるより、粘着剤自体の凝集力を高める方法が一般に採用されている。但し、特別な事情が有る場合には、ゴム系粘着剤に対する下塗り層が設けられ、例えば、加硫ゴム接着用の両面粘着テープにおいて、メチルメタクリレートをグラフト重合した天然ゴムを含む下塗り層が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
また、ポリ塩化ビニル基材の粘着テープにも、メチルメタクリレートをグラフト重合した天然ゴムを含む下塗り層が設けられた例がある(例えば、特許文献2参照)。しかし、これらの粘着テープの用途では、粘着テープを剥離した際の糊残りなどが通常問題とならず、前記のような食品容器封緘用粘着テープとは、要求される特性(例えば糊残り性や易開封性など)が大きく異なっている。
【特許文献1】特開平5−117601号公報
【特許文献2】特開平10−259360号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明の目的は、各種食品容器に対して十分な接着力と接着保持性を確保しながら、剥離後に糊残りが生じにくく、しかも容易に剥離開封できる食品容器封緘用粘着テープを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究したところ、ゴム系粘着剤に対して、(メタ)アクリル系単量体をグラフト重合した天然ゴム等を主ポリマーとする下塗り層を設けることで、上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
即ち、本発明の食品容器封緘用粘着テープは、基材の片面に下塗り層を介して粘着剤層を有する食品容器封緘用粘着テープにおいて、前記粘着剤層がゴム系粘着剤を含み、前記下塗り層が主ポリマーとして(メタ)アクリル系単量体をグラフト重合したジエン系ゴムを含むことを特徴とする。
【0009】
本発明の食品容器封緘用粘着テープによると、粘着剤層がゴム系粘着剤を含むため、種々の容器材料に対して十分な接着力を有し、上記の下塗り層の効果により接着保持性に優れると共に剥離後に糊残りが生じにくい。また、使用中に接着力が増加しにくく、剥離開封性も良好になる。
【0010】
上記において、前記粘着剤層がイソシアネート化合物を含有することが好ましい。ゴム系粘着剤に対しても、イソシアネート化合物の添加によって粘着剤の凝集力等が高まるため、糊残り性を更に改善することができる。なお、凝集力の向上は、イソシアネート化合物の自己反応やゴム中の付随成分又は下塗り層との反応などに起因すると、推定される。
【0011】
また、前記下塗り層が、ポリエステル樹脂、及び塩化ビニル/酢酸ビニル/マレイン酸共重合体を含むことが好ましい。下塗り層へのかかる樹脂成分の添加により、投錨性を向上させることができる。
【0012】
前記ゴム系粘着剤が天然ゴムを主成分とする天然ゴム系粘着剤であることが好ましい。ゴム系粘着剤のなかでも天然ゴム系粘着剤は、より広範囲の容器材料に対して十分な接着力を有し、イソシアネート化合物の添加による凝集力の向上効果もより大きくなる。
【0013】
前記基材を構成する材料がポリエステルであることが好ましい。ポリエステル基材は、厚みを薄くして柔軟性を持たせた場合でも、十分な強度を有するので、食品容器の封緘工程や剥離作業が好適に行える。
【0014】
本発明の食品容器封緘用粘着テープは、特に前記基材と前記下塗り層との間に印刷層を有する場合に有効である。食品容器封緘用粘着テープでは、印刷層が基材に設けられることが多く、下塗り層を設けても、印刷層と下塗り層との界面で剥離が生じ易くなる。本発明では、上記の如き下塗り層を設けたことで、印刷層に対しても良好な投錨性を得ることができる。
【0015】
また、本発明の食品容器封緘用粘着テープは、特にタマゴパックの封緘用に使用される場合に有効である。タマゴパックの場合、流通過程や保存中にパックが空いてしまうといった問題や、粘着テープを剥がす際にテープの切れや裂けが生じる問題など、接着力と剥離開封性とのバランスが微妙であり、またリサイクルを行う上で糊残りが問題となり易かった。このため、十分な接着力と接着保持性を確保しながら、剥離後に糊残りが生じにくく、しかも容易に剥離開封できる本発明の粘着テープが特に有効となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明の食品容器封緘用粘着テープは、例えば、タマゴパック、ミカンパック、トマトパック、シイタケパックなどの樹脂フィルム容器、納豆パック、トマトパックなどの樹脂発泡体容器などの封緘用に使用するものである。なかでも、タマゴパック封緘用粘着テープとして有用である。
【0017】
本発明の食品容器封緘用粘着テープは、基材の片面に下塗り層を介して粘着剤層を有するものであり、基材と下塗り層との間には印刷層などを有していてもよい。また、基材の背面には背面処理層を有していてもよく、粘着剤層の表面にはセパレータ等を有していてもよい。
【0018】
前記粘着剤層はゴム系粘着剤を含むが、ゴム系粘着剤のベースポリマーとしては、たとえば、天然ゴム、イソプレン系ゴム、スチレン−ブタジエン系ゴム、再生ゴム、ポリイソブチレン系ゴム、さらにはスチレン−イソプレン−スチレン系ゴム、スチレン−ブタジエン−スチレン系ゴム等があげられる。これらのゴムは2種以上併用することも可能である。本発明では、ゴム系粘着剤が天然ゴムを主成分とする天然ゴム系粘着剤であることが好ましい。
【0019】
本発明における粘着剤層は、イオウ、含イオウ化合物、フェノール樹脂、有機金属化合物などの架橋剤によって凝集力を高めていることが好ましいが、特に、イソシアネート化合物の添加によって凝集力を高めていることが好ましい。
【0020】
このようなイソシアネート化合物としては、2官能以上のものが好ましく、例えばイソシアネート化合物としては、たとえば、ブチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートなどの低級脂肪族ポリイソシアネート類、シクロペンチレンジイソシアネート、シクロヘキシレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどの脂環族イソシアネート類、2,4−トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネートなどの芳香族ジイソシアネート類、トリメチロールプロパン/トリレンジイソシアネート3量体付加物(日本ポリウレタン工業社製、商品名コロネートL)、トリメチロールプロパン/ヘキサメチレンジイソシアネート3量体付加物(日本ポリウレタン工業社製、商品名コロネートHL)、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体(日本ポリウレタン工業社製、商品名コロネートHX)などのイソシアネート付加物などがあげられる。
【0021】
イソシアネート化合物を用いる場合の含有量は、ゴム成分100重量部に対して、0.5〜10重量部が好ましく、1〜3重量部がより好ましい。この含有量が0.5重量部未満であると、添加による効果がほとんどなく、10重量部を超えると、食品容器に対する粘着力が不十分となり、タマゴパック等の保持特性が低下する傾向がある。
【0022】
本発明における粘着剤層には、任意成分として、上記成分以外にさらにフェノール樹脂、テルペン−フェノール樹脂、テルペン樹脂、キシレン樹脂、ロジン、水添ロジンなど各種粘着付与剤(タッキファイヤー)を含有してもよい。粘着付与樹脂としては、天然樹脂系(テルペン系樹脂)が好ましい。
【0023】
また、粘着剤層には、炭酸カルシウム、カーボンブラック等の無機充填剤、滑剤、老化防止剤、着色剤、消泡剤、光安定剤、揺変剤(チキソトロピー剤)、紫外線吸収剤、酸化防止剤、耐熱安定剤、耐加水分解安定剤などの安定剤等を適宜使用することができる。これらの任意成分は、1種を単独に用いてもよく、または2種以上を使用してもよい。
【0024】
粘着剤層の厚みは、2〜100μmが好ましく、5〜50μmがより好ましい。2μmより小さくなると食品容器に対する粘着力が不十分となり、100μmを超えると粘着力が飽和し、経済的ではなく、粘着剤がはみ出したり、凝集破壊(糊残り)の原因にもなる傾向がある。
【0025】
一方、前記下塗り層は、主ポリマーとして(メタ)アクリル系単量体をグラフト重合したジエン系ゴムを含むものである。かかるグラフト化ジエン系ゴムは、ジエン系ゴム100重量部に対し、(メタ)アクリル系単量体を好ましくは20〜200重量部、常法によりグラフト反応させることにより、得ることができる。
【0026】
幹部分となるジエン系ゴムとしては、天然ゴム、イソプレン系ゴム、ブタジエン系ゴム、ポリイソブチレン系ゴム等があげられるが、天然ゴムが好ましい。
【0027】
(メタ)アクリル系単量体としては、例えばtert−ブチル(メタ)アクリレート、イソプロピルメタクリレート、エチルメタクリレート、メチルメタクリレート、(メタ)アクリル酸、などが挙げられる。これらの中でも、投錨性の改善の面からメチルメタクリレートが最も好ましく用いられる
この下塗り層は、上記のグラフト化ジエン系ゴムのほかに、他の樹脂成分や粘着付与剤などを含有してもよい。他の樹脂成分としては、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル樹脂、塩化ビニル、酢酸ビニル、マレイン酸の単独重合体又は共重合体などが挙げられる。中でも、ポリエステル樹脂、及び塩化ビニル/酢酸ビニル/マレイン酸共重合体を含むことが好ましい。
【0028】
塩化ビニル/酢酸ビニル/マレイン酸共重合体を構成する単量体組成としては、一般に塩化ビニル80〜95重量%、好ましくは88〜92重量%、酢酸ビニル1〜10重量%、好ましくは4〜8重量%、マレイン酸(無水マレイン酸)1〜10重量%、好ましくは2〜6重量%であるのがよい。このような単量体組成からなる共重合体の市販品の例としては、電気化学社製商品名電化ビニル1000C、日本ゼオン社製商品名ゼオン400×110Aなどが挙げられる。
【0029】
ポリエステル樹脂の含有量は、下塗り層中、好ましくは20〜80重量%である。また、塩化ビニル/酢酸ビニル/マレイン酸共重合体の含有量は、下塗り層中、好ましくは5〜60重量%である。
【0030】
下塗り層の厚みは、0.01〜10μmが好ましく、0.05〜3μmがより好ましい。0.01μm未満であると、十分な投錨性が発揮できない(密着性が低下)する傾向があり、10μmを超えると、下塗り層の中で凝集破壊(糊残り)する傾向がある。
【0031】
本発明における基材(支持体)としては、ポリエステルフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルムなどのプラスチックフィルムが挙げられる。これらの中でも、特にポリエステルフィルムが好ましい。
【0032】
基材の厚みは、粘着テープを用いて、ある程度の強度を維持しながら、食品容器の封緘工程や剥離作業が好適に行えるように、10〜50μmが好ましく、15〜35μmがより好ましい。
【0033】
本発明では、基材と下塗り層との間に印刷層を有していてもよいが、印刷層としては、各種インクを用いることができる。但し、基材/印刷層/下塗り層との各界面での投錨破壊や印刷層自体の破壊を防止する観点から、ビニル系樹脂、エポキシ系樹脂などの樹脂成分として含むインクが好ましい。
【0034】
また、基材を背面処理する場合、背面処理剤としては公知の長鎖アルキル系、シリコーン系の背面処理剤などが使用できる。
【0035】
本発明の食品容器封緘用粘着テープは、基材の片面に、グラフト化ジエン系ゴムを含む下塗り溶液を塗布,乾燥して、下塗り層を形成し、その後、この下塗り層にゴム系粘着剤溶液を塗布,乾燥して粘着剤層を形成すればよい。また、粘着剤層の形成は、一旦セパレータ上で行い、このものを下塗り層を有する基材に貼り合わせるようにしてもよい。
【実施例】
【0036】
以下、本発明の構成と効果を具体的に示す実施例等について説明する。なお、実施例等における評価項目は下記のようにして測定を行った。
【0037】
(接着力)
各実施例及び比較例で得られた幅15mm粘着テープを用い、23℃の環境下でタマゴパック(PET)に2kgローラー1往復で貼り付け、その後すぐに180°ピーリング時の接着力を測定した。
【0038】
(投錨性)
各実施例及び比較例で得られた幅15mm粘着テープを用い、23℃の環境下で粘着剤層の面同士を貼り合わせて、手動によるピッキング方式にて投錨性(粘着剤のとられ)を目視で調べた。
【0039】
(タマゴパックのテープ開封性)
各実施例及び比較例で得られた幅15mmの粘着テープをタマゴパックに貼り付けて、5℃で48時間エージングし、その後タマゴパックから強制的にテープを剥がした時のテープの切れの発生の有無を調べた(試験N数=5)。
【0040】
(タマゴパックの保持性)
各実施例及び比較例で得られた幅15mmの粘着テープをタマゴパックに貼り付けて、5℃で48時間エージング後のパックからのテープの剥がれ、浮きの発生を目視で調べた(試験N数=5)。
【0041】
(タマゴパックへの糊残り性の有無)
各実施例及び比較例で得られた幅15mmの粘着テープをタマゴパックに貼り付けて、5℃、23℃、40℃で48時間エージングし、その後タマゴパックから強制的にテープを剥がして、タマゴパックへの糊残りの発生の有無を目視で調べた(試験N数=10)。
【0042】
実施例1
基材としてポリエステルフィルムの片面コロナ処理品(東レ株式会社製 ルミラーS−105 厚さ25μm)のコロナ面に、下記配合からなる下塗り剤を溶剤に溶かし、固形分1〜2μm厚みとなるように塗工、乾燥し、さらにその上層に天然ゴム系粘着剤組成物を15μm厚みとなるように塗工、乾燥して粘着テープを得た。この粘着テープを用いて、前記評価試験を行った。
(下塗り剤)
MMAグラフト天然ゴム(メチルメタクリレート100重量部を天然ゴム100重量部にグラフト重合したもの、以下同じ)
(粘着剤)
天然ゴム 100重量部
粘着付与樹脂(テルペン系樹脂) 80重量部
老化防止剤(大内新興化学社製 ノクラック200) 2重量部
架橋剤(日本ポリウレタン社製 コロネートL) 2重量部。
【0043】
実施例2
実施例1において、下記の下塗り剤および粘着剤を用いること以外は、実施例1と同じ方法で粘着テープを作成し、評価した。
(下塗り剤)
MMAグラフト天然ゴム 100重量部
塩ビ酢ビ系共重合体(電気化学 電化ビニル1000C、塩化ビニル/酢酸ビニル/マレイン酸=90/6/4(重量比)、以下同じ) 40重量部
ポリエステル樹脂(東洋紡製 バイロン200) 60重量部
(粘着剤)
天然ゴム 100重量部
粘着付与樹脂(テルペン系樹脂) 80重量部
老化防止剤(大内新興化学社製 ノクラック200) 2重量部
架橋剤(日本ポリウレタン社製 コロネートL) 2重量部。
【0044】
実施例3
実施例1において、下記の下塗り剤および粘着剤を用いること、並びに印刷インク(大日精化、NB−500)を用いて支持体と下塗り層の間に塗布(印刷層の厚さ1〜2μm)する以外は、実施例1と同じ方法で粘着テープを作成し、評価した。
【0045】
(下塗り剤)
MMAグラフト天然ゴム 100重量部
塩ビ酢ビ系共重合体(電気化学 電化ビニル1000C) 40重量部
ポリエステル樹脂(東洋紡製 バイロン200) 60重量部
(粘着剤)
天然ゴム 100重量部
粘着付与樹脂(テルペン系樹脂) 80重量部
老化防止剤(大内新興化学社製 ノクラック200) 2重量部
架橋剤(日本ポリウレタン社製 コロネートL) 2重量部。
【0046】
比較例1
実施例1において、下塗り剤を設けずに下記の粘着剤を用いること以外は、実施例1と同じ方法で粘着テープを作成し、評価した。
(下塗り剤)なし
(粘着剤)
天然ゴム 100重量部
粘着付与樹脂(テルペン系樹脂) 80重量部
老化防止剤(大内新興化学社製 ノクラック200) 2重量部
架橋剤(日本ポリウレタン社製 コロネートL) 2重量部。
【0047】
比較例2
実施例1において、下記の下塗り剤および粘着剤を用いること以外は、実施例1と同じ方法で粘着テープを作成し、評価した。
(下塗り剤)
MMAグラフト天然ゴム 100重量部
塩ビ酢ビ系共重合体(電気化学 電化ビニル1000C) 40重量部
ポリエステル樹脂(東洋紡製 バイロン200) 60重量部
(粘着剤)
アクリルエマルジョン粘着剤 NT−63(東亞合成株式会社製)。
【0048】
比較例3
実施例1において、下記の下塗り剤および粘着剤を用いること、並びに印刷インク(大日精化、NB−500)を用いて支持体と下塗り層の間に塗布(印刷層の厚さ1〜2μm)する以外は、実施例1と同じ方法で粘着テープを作成し、評価した。
(下塗り剤)
MMAグラフト天然ゴム 100重量部
塩ビ酢ビ系共重合体(電気化学 電化ビニル1000C) 40重量部
ポリエステル樹脂(東洋紡製 バイロン200) 60重量部
(粘着剤)
アクリルエマルジョン粘着剤 NT−63(東亞合成株式会社製)。
【0049】
比較例4
実施例1において、下記の下塗り剤および粘着剤を用いること、並びに印刷インク(大日精化、NB−500)を用いて支持体と下塗り層の間に塗布(印刷層の厚さ1〜2μm)する以外は、実施例1と同じ方法で粘着テープを作成し、評価した。
(下塗り剤)
NBRとポリアミドの混合物
(粘着剤)
天然ゴム 100重量部
粘着付与樹脂(テルペン系樹脂) 80重量部
老化防止剤(大内新興化学社製 ノクラック200) 2重量部
【0050】
参考例1
実施例1において、下記の下塗り剤および粘着剤を用いること以外は、実施例1と同じ方法で粘着テープを作成し、評価した。
(下塗り剤)
MMAグラフト天然ゴム 100重量部
塩ビ酢ビ系共重合体(電気化学 電化ビニル1000C) 40重量部
(粘着剤)
天然ゴム 100重量部
粘着付与樹脂(テルペン系樹脂) 80重量部
老化防止剤(大内新興化学社製 ノクラック200) 2重量部
架橋剤(日本ポリウレタン社製 コロネートL) 2重量部。
【0051】
参考例2
実施例1において、下記の下塗り剤および粘着剤を用いること以外は、実施例1と同じ方法で粘着テープを作成し、評価した。
(下塗り剤)
MMAグラフト天然ゴム 100重量部
ポリエステル樹脂(東洋紡製 バイロン200) 60重量部
(粘着剤)
天然ゴム 100重量部
粘着付与樹脂(テルペン系樹脂) 80重量部
老化防止剤(大内新興化学社製 ノクラック200) 2重量部
架橋剤(日本ポリウレタン社製 コロネートL) 2重量部。
【0052】
参考例3
実施例1において、下記の下塗り剤および粘着剤を用いること以外は、実施例1と同じ方法で粘着テープを作成し、評価した。
(下塗り剤)
MMAグラフト天然ゴム 100重量部
架橋剤(日本ポリウレタン社製 コロネートL) 2重量部
(粘着剤)
天然ゴム 100重量部
粘着付与樹脂(テルペン系樹脂) 80重量部
老化防止剤(大内新興化学社製 ノクラック200) 2重量部。
【0053】
参考例4
実施例1において、下記の下塗り剤および粘着剤を用いること以外は、実施例1と同じ方法で粘着テープを作成し、評価した。
(下塗り剤)
MMAグラフト天然ゴム 100重量部
塩ビ酢ビ系共重合体(電気化学 電化ビニル1000C) 40重量部
ポリエステル樹脂(東洋紡製 バイロン200) 60重量部
(粘着剤)
天然ゴム(野村貿易社製 RSS−1級) 100重量部
粘着付与樹脂(テルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂) 80重量部
老化防止剤(大内新興化学社製 ノクラック200) 2重量部
イオウ(細井化学工業社製 微粉イオウ) 0.5重量部
架橋剤(ジブチルチオカーバメイト亜鉛) 3重量部。
【0054】
以上の結果を表1に示す。
【0055】
【表1】

表1の結果が示すように、実施例1〜3の粘着テープは、十分な接着力と接着保持性を確保しながら、剥離後に糊残りが生じにくく、しかも容易に剥離開封できるものであった。特に、下塗り層がポリエステル樹脂、及び塩ビ酢ビ系共重合体を含む実施例2〜3では、糊残り性が更に改善でき、印刷層を有する場合(実施例3)でも良好な結果であった。
【0056】
これに対して、下塗り層を設けない比較例1やアクリル系粘着剤を用いた比較例2では、投錨性が悪く、接着保持性や糊残り性が悪化した。また、基材に印刷層を設ける場合、アクリル系粘着剤を用いた比較例3では、投錨性が悪く、接着保持性や糊残り性が悪化し、下塗り層がNBRとポリアミドの混合物である比較例4では、基材と印刷層との間で、投錨破壊が生じ、糊残りが発生した。
【0057】
また、実施例2と参考例1〜2との対比から、下塗り層がポリエステル樹脂、及び塩ビ酢ビ系共重合体を含む場合の糊残り性の改善効果が確認できた。実施例1〜2と参考例3〜4との対比から、粘着剤層がイソシアネート化合物を含む場合の糊残り性の改善効果が確認できた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材の片面に下塗り層を介して粘着剤層を有する食品容器封緘用粘着テープにおいて、前記粘着剤層がゴム系粘着剤を含み、前記下塗り層が主ポリマーとして(メタ)アクリル系単量体をグラフト重合したジエン系ゴムを含むことを特徴とする食品容器封緘用粘着テープ。
【請求項2】
前記粘着剤層がイソシアネート化合物を含有する請求項1記載の食品容器封緘用粘着テープ。
【請求項3】
前記下塗り層が、ポリエステル樹脂、及び塩化ビニル/酢酸ビニル/マレイン酸共重合体を含む請求項1又は2に記載の食品容器封緘用粘着テープ。
【請求項4】
前記ゴム系粘着剤が天然ゴムを主成分とする天然ゴム系粘着剤である請求項1〜3いずれかに記載の食品容器封緘用粘着テープ。
【請求項5】
前記基材を構成する材料がポリエステルである請求項1〜4いずれかに記載の食品容器封緘用粘着テープ。
【請求項6】
前記基材と前記下塗り層との間に印刷層を有する請求項1〜5いずれかに記載の食品容器封緘用粘着テープ。
【請求項7】
タマゴパックの封緘用に使用されるものである請求項1〜6いずれかに記載の食品容器封緘用粘着テープ。

【公開番号】特開2006−104290(P2006−104290A)
【公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−291497(P2004−291497)
【出願日】平成16年10月4日(2004.10.4)
【出願人】(300007095)日東電工CSシステム株式会社 (16)
【Fターム(参考)】